Blog. 「クラシック プレミアム 40 ~シューベルト2~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/7/15

クラシックプレミアム第40巻は、シューベルト2です。

第10巻にて、シューベルト1として、交響曲 第7番 《未完成》 第8番 《ザ・グレイト》が収録されていました。今号では歌曲集となっています。

 

【収録曲】
ピアノ五重奏曲 イ長調 D667 《ます》
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ボロディン弦楽四重奏団団員
ゲオルク・ヘルトナーゲル(コントラバス)
録音/1980年

歌曲 《魔王》 D328
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ジェラルド・ムーア(ピアノ)
録音/1958年

歌曲集 《美しい水車屋の娘》 D795 より
〈さすらい〉 〈小川の子守歌〉
イアン・ボストリッジ(テノール)
内田光子(ピアノ)
録音/2003年

歌曲集 《冬の旅》 D911 より 〈菩堤樹〉 〈あふれる涙〉
歌曲集 《白鳥の歌》 D957 より 〈セレナード〉
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ジェラルド・ムーア(ピアノ)
録音/1962年

歌曲 《野ばら》 D257
イアン・ボストリッジ(テノール)
ジュリアス・ドレイク(ピアノ)
録音/1962年

歌曲 《アヴェ・マリア(エレンの歌 第3)》 D839
バーバラ・ボニー(ソプラノ)
ジェフリー・パーソンズ(ピアノ)
録音/1994年

 

「久石譲の音楽的日乗」第39回は、
音楽の始まり - 古代ギリシャからグレゴリオ聖歌へ

前号では、「倍音」に関する中身の濃い講義のような内容でした。今号では音楽の起源までさかのぼって綴られています。そして久しぶりの近況報告もあり。今久石譲が何をしているのか、今後お披露目されるであろう、水面下の制作もの。エッセイならではの久石譲活動をのぞけてうれしい限りです。

一部抜粋してご紹介します。

 

「音楽はいつ、どこで始まったのか? そしてどう進化し続けるのだろうか? 未来の音楽は? そんなことばかり考えていると何もできなくなるから、とりあえず目先の作曲に専念する。」

「今書いているのは秋に初演するエレクトリックヴァイオリンと室内オーケストラの作品で、約25分の長さの僕にとっては大作なのだが、そのスケッチはできた。これから夏のW.D.O.(ワールド・ドリーム・オーケストラ。あと1ヶ月半しかないのだが1ヶ月前には譜面を渡したいから実質半月!)の演目の仕上げをして、その後、コントラバス協奏曲のスケッチを書かなければならない。その間に他の仕事もするから、エレクトリックヴァイオリンの仕上げは夏の終わりか秋口か・・・・・やれやれ。」

「話を戻して、音楽は人類が始まってからずっと人々の身近にあった。例えば生まれたばかりの赤ん坊が音に関心を示すだけではなく、音楽にも敏感に反応することから、DNAのどこかに音楽的シナプスが組み込まれているのではないかとさえ思える。つまり音楽は人間にとってあるべき自然なものなのだ。」

「その音楽の起源はわからない。が、古代の遺跡などから人間との関わりを推察することはできる。例えば歌っている人のレリーフだったり、笛や太鼓、ハープなどの楽器が発見されたり、壁画、あるいは象形文字などで音楽を演奏する記述が残っている。はるか昔、紀元前3500年頃のメソポタミア、古代エジプトなど、それぞれの時代に彼らがどんな音楽を演奏していたのか? 実際の音は残っていないからわからないのだが、想像するだけで楽しい。」

「だが、古代ギリシャに関しては、西洋文明の発祥の地でもあり、音楽が盛んだったと言われている。音階やリズム、そして和音まであって音楽が理論化されていたらしい。実際デルポイにある石碑に、当時の楽曲がギリシャ文字とギリシャの音楽記号で書かれているものが発見されている。またピタゴラスやプラトンなどの哲学者は、宇宙の調和の根本として音楽を研究していた。特にプラトンの音楽に関する考えは今日の音楽状況に対しても通用する鋭い啓示になっているのだが、これはいつかまとめて書きたい。なぜそこまで知っているか、あるいはこだわるかと言えば、実は映画の監督をすることになったとき、プラトンの考えを題材にするために調べたからである。」

「グレゴリオ聖歌は単旋律(モノフォニー)、つまり一つのメロディーを独唱したり斉唱したりするのだが、前回書いた倍音から導かれた音階は、ここで教会施法という形になった。この音階と施法は混同しがちなのだが、音階は倍音に基づいた音のステップ、あるいは階段で、施法は中心音などそれぞれ役割を持った音の順列だ。あれ、ややこしくなってきた。音階というとハーモニー理論が確立された後の長音階や単音階だと思われる方も多いと思うが、そうではない。半音階もあれば、全音階もある。詳しく知りたい人はインターネットや音楽理論書を読んで下さい、ますますわからなくなるかも知れないけど(笑)。」

「この協会施法にはドリア、ヒポドリア、フリギア施法などあるのだが、これは講義ではないから割愛する。」

「さて一般の生活の中にも音楽はたくさんあった。結婚式から葬儀、演劇や人々が集い踊るときの舞曲、フォークソング(民謡)など社会的な活動と密接に繋がっていた。そしてその音楽は単旋律、もしくはそれにリズムがつく程度だったのではないかと考えられる。音楽を伝える楽譜はまだ無く、多くは口伝であり、定形の言葉はあるが多分に即興的な要素が強く、人々が持ち寄った笛や太鼓がこれも即興的に色を添える。そう、この時代、音楽は即興的なものが主流だった。」

「さて、グレゴリオ聖歌にクリスマス・ミサ曲《幼子が生まれた》という曲がある。おそらく最も古い聖歌お一つだと思われる。とてもシンプルで厳かな曲だ。もちろん単旋律なのだが、15世紀の後半、ピエール・ド・ラ・リューというフランドルの作曲家が同じ曲を多声部の音楽として作曲した。本当に心が洗われる美しい響きの曲だ。時はルネサンス、ポリフォニー音楽の時代が来たのである。」

 

さて、クラシックプレミアムも全50巻、このエッセイ連載も残すところあと10回ほど。ということで音楽の始まりから、歴史を追うように、順序だててクライマックスへと筆が向うのかな、そんな印象です。

そして冒頭の久石譲近況報告!

「今書いているのは秋に初演するエレクトリックヴァイオリンと室内オーケストラの作品で、約25分の長さの僕にとっては大作なのだが、そのスケッチはできた。これから夏のW.D.O.(ワールド・ドリーム・オーケストラ。あと1ヶ月半しかないのだが1ヶ月前には譜面を渡したいから実質半月!)の演目の仕上げをして、その後、コントラバス協奏曲のスケッチを書かなければならない。その間に他の仕事もするから、エレクトリックヴァイオリンの仕上げは夏の終わりか秋口か・・・・・やれやれ。」

【8月のW.D.O.コンサートツアー】
なるほどまだオーケストレーションが終わっていないのか (エッセイ執筆時)

【エレクトリックヴァイオリンと室内オーケストラ作品】
9月開催予定の「久石譲プレゼンツ ミュージック・フューチャー Vol.2」にて久石譲待望の新作にして世界初演の「室内交響曲」が演奏プログラムに入っているのですが、まさにそのことでしょうか。エレクトリックヴァイオリンといえば、同コンサート企画Vol.1にて、ニコ・ミューリー作曲:《Seeing Is Believing》という楽曲を取り上げています。6弦エレクトリック・ヴァイオリンによる協奏曲作品です。それを経て、Vol.2では自らの新作にエレクトリック・ヴァイオリンをフィーチャーした室内オーケストラ作品・・・楽しみですね!

【コントラバス協奏曲】
これはまさに未知の情報です。なにかの委嘱でしょうか?コントラバスとはまた珍しい楽器編成だなと思います。これに関しては新しい情報を待つのみですね。それにしても8月発売予定、待望のオリジナル・アルバム「ミニマリズム2」しかり、室内楽オーケストラの響きがこれから続きそうな予感です。

 

クラシックプレミアム 40 シューベルト2

 

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