Blog. 久石譲 x 今井美樹 極上コラボレーションの軌跡

Posted on 2015/11/29

久石譲と今井美樹。

90年代に一緒に仕事をしている二人ですが、なぜ今このタイミングで取り上げるかというと、「季節 ~冬~」と「オールタイムベスト盤発売」というふたつです。

最初に結論を言ってしまうと、”ぜひ「遠い街から」という隠れた名曲をこの冬聴いてください!”

 

出会い編

1987年公開映画「漂流教室」(監督:大林宣彦 音楽:久石譲)

この作品の劇中音楽を担当していたのが久石譲です。そしてその主題歌を歌ったのが今井美樹です。

「野性の風」
作詞:川村真澄 作曲:筒美京平 編曲:久石譲

今井美樹の2作目のシングルにしてなんとも豪華な制作陣です。ちなみにサントラ盤に収録されていたとも思いますが、今井美樹は同楽曲を英語(劇中)、日本語(エンドロール)で歌っています。

 

プロデュース編

そして満を持して久石譲x今井美樹のコラボレーションが実ったのが7枚目のアルバム「flow into space」(1992)です。

今井美樹オフィシャルサイトでの、作品コメントには、

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「全く新しい今井美樹」を探して、久石譲プロデュースで、東京とロンドンで録音。
人気曲「The Days I Spent With You」「amour au chocolat」の2曲は布袋寅泰さんから初めての楽曲提供でした。「Blue Moon Blue」での美しいストリングスアレンジや、「かげろう」「雪の週末」など個人的にも大好きな楽曲がいっぱいです。
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とあります。

 

収録楽曲
1.Blue Moon Blue Re-mix (4:31)
作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華 編曲:久石譲
2.amour au chocolat (5:25)
作詞:今井美樹 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
3.素敵なうわさ (5:13)
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:浦田恵司
4.The Days I Spent With You (5:47)
作詞:岩里祐穂 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
5.かげろう Re-mix (5:48)
作詞:今井美樹 作曲:MAYUMI 編曲:久石譲
6.永遠が終わるとき (5:26)
作詞:川村真澄 作曲:久石譲 編曲:久石譲
7.雪の週末 (5:04)
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:久石譲
8.flow into space (3:52)
作詞:今井美樹 作曲:上田知華 編曲:浦田恵司
9.遠い街から (5:24)
作詞:今井美樹 作曲:久石譲 編曲:久石譲

今井美樹 flow into space

 

久石譲が作品プロデュースを担当し、収録全9曲中、作曲2曲、編曲7曲と、久石譲カラーが強くでています。今井美樹の音楽方向性においても大きな分岐点となった作品と言われています。より透明感のある大人な女性、そして布袋寅泰との共同作業へ。

「Blue Monn Blue」はシングル曲なので、聴いたことある方もいるかもしれません。アコースティック・サウンドでとてもお洒落な仕上がりです。

久石譲寄り目線で見るならば、間奏の久石譲によるピアノの旋律が、同時期作品「ぴあの」(NHK朝の連続テレビ小説 主題歌)を彷彿とさせ、聴いているだけでニンマリとしていしまいます。

 

そしてなんといっても隠れた名曲といえば、

 

「遠い街から」

アルバムの最後を飾る「遠い街から」です。

イントロのピアノの調べから、徐々に重なりあうストリングス、透きとおった歌声。今井美樹による歌詞も遠く恋人を待ちわびる女性と冬の情景が広がる世界。

久石譲プロデュース作品としては、このアルバム1作のみで、その後シングルとしてもコラボレーションは現在に至るまでないです。それだからこそ、1992年のこの作品を残してくれたことが素晴らしいの一言に尽きます。

楽曲提供をしたうちのひとつにはなるので、久石譲としては忘れているとしても致し方ないのですが、

・・・・

なんと2007年に久石譲自身のコンサートで取り上げています。「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ There is the Time」全国7公演中、3公演プログラムにて、ヴォーカルは林正子さん。

忘れていなかったんですね、名曲を。

 

オールタイム・ベスト

2015年10月7日発売
「Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-」 今井美樹

今井美樹デビュー30周年目のアニバーサリーイヤーに、彼女のシンガーとしての足跡を辿る全レーベルの垣根を越えたオールタイム・ベストアルバムをリリース。

数々の大ヒット曲はもちろん最新作「Colour」からも選曲、これまでとこれからの代表曲を選りすぐったCD2枚組で全31曲を収録。全曲新たにリマスタリングを行い、エンジニアには日本音楽界の至高・オノセイゲン氏を迎え、ジャケット写真には巨匠・篠山紀信氏の撮り下ろしが決定。

通常盤はCD2枚組で2,980円(税抜)というスペシャル・プライスを設定。コアファンからライトユーザーまで完全に網羅したパッケージで発売。まさにアニバーサリーイヤーを飾るに相応しい、究極のプレミアム・ベスト。 【通常盤/2CD】

(Amazon商品説明より)

●DISC 1
1. PIECE OF MY WISH
2. 瞳がほほえむから
3. Miss You
4. 遠い街から
5. Goodbye Yesterday 6. PRIDE
7. 卒業写真
8. 春の日
9. Blue Moon Blue
10. 愛の詩
11. 陽のあたる場所から
12. 雨のあと
13. 野性の風
14. 夕陽が見える場所
15. 太陽のメロディー (New Recording)

●DISC 2
1. Anniversary
2. ふたりでスプラッシュ
3. SATELLITE HOUR
4. 彼女とTIP ON DUO
5. オレンジの河
6. Boogie-Woogie Lonesome High-Heel
7. FLASH BACK
8. 氷のように微笑んで
9. ホントの気持ち
10. 夏をかさねて
11. 汐風
12. 夢
13. 中央フリーウェイ
14. 微笑みのひと
15. DRIVEに連れてって
16. 幸せになりたい

今井美樹

 

30周年という長い音楽活動の総決算でもありますから、おそらく候補曲もシングル・アルバムと多かったと思います。

久石譲関連作品としては、「野性の風」「Blue Moon Blue」「遠い街から」の3曲が収録されています。先の2曲はシングル曲としても、「遠い街から」は過去アルバム収録曲の1曲です。

30年という時間を越えて選ばれた!名曲たる所以が証明されたのではないでしょうか!?

 

選ばれたことがうれしいというよりも、正直なところ一番おいしいのは何と言っても音質の向上です。

1992年オリジナル盤と2015年オールタイム・ベスト盤、久石譲作品3曲を聴き比べもしましたが、新たにリマスタリングされたその音質のクリアさは素晴らしい!まさに甦る名曲たち!です。

約20年を経ての音響技術の進歩はすごいです。原曲が加工されるということではなく、より制作当時の、制作陣たちが聴いて作っていた音、つまりマスターテープの音質に近い音響で聴くことができる。作り手と聴き手の耳に響くサウンドがより近くなる。

この点においては、パッケージ化しておくことの、現代社会、技術発展の恩恵のひとつではとも思います。久石譲寄りばかりで申し訳ないですが・・・久石譲のピアノも、ほどこしたアコースティックな編曲も、すべてが生き生きと透明感たっぷりに堪能できます。

 

もちろん、久石譲全面プロデュースによる「flow into space」を1枚まるまる聴いてみてほしいところもありますが、そのきっかけとしても、この最新オールタイム・ベスト盤は一聴の価値ありです。

そして当サイトのディスコグラフィーには、オリジナル盤「flow into space」を格納していますので、このオールタイム・ベスト盤はラインナップから外れる、ということもあり、ブログにて紹介させていただきました。

 

番外編

1990年代は、久石譲がJ-POP界でも活躍していた時代です。

初期のアーティスト楽曲提供や編曲担当ともまた違い、どっぷりと腰を据えて、アーティスト・プロデュースをしていた時代です。

今井美樹のほかにも、
純名里沙、西田ひかる、本名陽子 etc…

そのほとんどは今井美樹などと同じく、自らが音楽を手がけた映画やTVドラマなどでの出会いがきっかけです。そういった『久石譲プロデュース』および『久石譲楽曲提供』はディスコグラフィー内にてカテゴリーしていますので、ぜひご覧ください。

久石譲 プロデュース | Produce Work

 

「野性の風」も「Blue Moon Blue」も、久石譲のアレンジ極意をたっぷりと味わうことができます。やっぱり久石譲だな、久石譲の音だと思った、と。作曲ではないのに、編曲だけでそう思わせてしまう、やはり強烈な音楽性なのだと思います。

言わずもがな、今井美樹の歌声も素敵です。せっかく楽曲提供するならば、こういった本格的歌手、歌唱力抜群の方だと何回も聴いていたくなります。

 

これから寒くなる12月に聴く「遠い街から」も、クリスマスを目前に聴く「遠い街から」も、一番寒さのきびしい1-2月に聴く「遠い街から」も、温かいサウンドとぬくもりに包まれる名曲です。

いつしか、シンフォニック・インストゥルメンタル・ヴァージョン、夢のまた夢で聴いてみたいと願いをこめて。

 

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