Blog. 『スタジオジブリの歌 -増補盤-』発売に思う「音楽:久石譲」の凄み

Posted on 2015/12/3

2015年11月25日『スタジオジブリの歌 -増補盤-』CDが発売されました。

内容説明を一気に言いますと、、

スタジオジブリ設立30周年記念!ジブリ映画24作品の主題歌/挿入歌を網羅した究極のアニバーサリー盤。2008年リリース「崖の上のポニョ」までのを網羅したオムニバス『スタジオジブリの歌』から、以降公開された「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」の5作品を追加した30周年増補盤にして完全版。高音質のHQCDとして登場。全ての世代に愛されるスタジオジブリの永久保存版として一家に一枚。同内容のオルゴール盤『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤-』も同時発売。

早期購入特典や早期同時購入特典(歌盤とオルゴール盤)もありますが、いつまで入手可能かどうかはショップにてご確認ください。特典内容や詳細はディスコグラフィーにて格納しています。

こちら ⇒ Disc. オムニバス 『スタジオジブリの歌 -増補盤-』
こちら ⇒ Disc. オムニバス 『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤-』

 

【収録楽曲】

[DISC.1]
01. 風の谷のナウシカ(風の谷のナウシカ) 安田成美
02. 君をのせて(天空の城ラピュタ) 井上あずみ
03. さんぽ(となりのトトロ) 井上あずみ
04. となりのトトロ(となりのトトロ) 井上あずみ
05. はにゅうの宿(火垂るの墓) アメリータ・ガリ=クルチ
06. ルージュの伝言(魔女の宅急便) 荒井由実
07. やさしさに包まれたなら(魔女の宅急便) 荒井由実
08. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ) 都はるみ
09. さくらんぼの実る頃(紅の豚) 加藤登紀子
10. 時には昔の話を(紅の豚) 加藤登紀子
11. 海になれたら(海がきこえる) 坂本洋子
12. アジアのこの街で(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
13. いつでも誰かが(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
14. カントリー・ロード(耳をすませば) 本名陽子
15. On Your Mark (On Your Mark) CHAGE and ASKA
16. もののけ姫(もののけ姫) 米良美一
17. ケ・セラ・セラ(ホーホケキョとなりの山田くん)山田家の人々ほか
18. ひとりぼっちはやめた(ホーホケキョとなりの山田くん) 矢野顕子

[DISC.2]
01. いつも何度でも(千と千尋の神隠し) 木村弓
02. 風になる(猫の恩返し) つじあやの
03. No.Woman, No Cry (ギブリーズepisode2) Tina
04. 世界の約束(ハウルの動く城) 倍賞千恵子
05. テルーの唄(ゲド戦記) 手嶌葵
06. 時の歌(ゲド戦記) 手嶌葵
07. 海のおかあさん(崖の上のポニョ) 林昌子
08. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ) 藤岡藤巻と大橋のぞみ
09. The Neglected Garden [荒れた庭](借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
10. Arrietty’s Song (借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
11. 夜明け~朝ごはんの歌(コクリコ坂から) 手嶌葵
12. 上を向いて歩こう(コクリコ坂から) 坂本九
13. さよならの夏~コクリコ坂から~ (コクリコ坂から) 手嶌葵
14. ひこうき雲(風立ちぬ) 荒井由実
15. いのちの記憶(かぐや姫の物語) 二階堂和美
16. わらべ唄(かぐや姫の物語)
17. 天女の歌(かぐや姫の物語)
18. Fine On The Outside (思い出のマーニー) プリシラ・アーン

 

圧巻の主題歌・挿入歌完全網羅となっています。

久石譲にフォーカスします。

宮崎駿監督作品全10作+高畑勲監督作品1作の、計11作品にて音楽を担当している久石譲。ですが、上の収録楽曲全36曲中、久石譲が作曲(編曲)したのは7曲。なんとも少ないという印象です。太文字になっている楽曲が該当曲ですが、「世界の約束」(ハウルの動く城)は編曲のみの担当です。『かぐや姫の物語』挿入歌「わらべ唄」「天女の歌」も作曲は高畑勲監督です。それが久石譲作曲の劇中音楽と絶妙に織り重なって構成されているのですが。

全11作品中、7曲しか歌曲がないということは、当たり前ながら本編音楽は担当していても主題歌は別作曲家によるもの、ということになります。それなのに・・・なんで久石譲=ジブリというイメージが強いんだろう?それは簡潔かつ決定的に言ってしまえば、本編で流れる久石譲の劇中音楽が強烈に印象に残っているからです。

 

これまた当たり前のことだと言われてしまいそうですが、いやこれは一般的に考えてもすごく稀で特筆すべき点です。今でこそ映画音楽というジャンルは確立され一定の立場として扱われていますが、その功績の一因として数えられるのが、間違いなくジブリ音楽です。

・”ナウシカ”と聞いて、浮かんでくるメロディーは?
・「海の見える街」「あの夏へ」という楽曲を聴いて浮かぶ映画は?
・「人生のメリーゴーランド」の華麗なワルツはどの作品?

曲名を聞いてピンとこなくても、そのメロディを聴いた瞬間に、すぐにどのジブリ映画か即答できる人は少なくないと思います。主題歌や挿入歌ではない、歌詞や歌声のない、楽器だけが奏でるインストゥルメンタル楽曲で、強烈な印象を残すことは容易なことではありません。

一般的に記憶している楽曲を思い出して歌えるのは、メロディーに歌詞が乗っているという言葉の力による記憶補佐も大きいと思います。だから鼻歌でもなんとなくメロディを口ずさめる。それをピアノやオーケストラが奏でる旋律を、同じように鼻歌で歌えるほど人の記憶にインパクトを与える旋律の力。

久石譲コンサートでも「ナウシカが聴けた!」「千尋をやってくれた!」と大満足な感想をさしているその楽曲は、もちろん主題歌ではなく劇中音楽です。これが結構な大多数の人に認知されている、それこそがジブリ映画の『音楽:久石譲』たる凄みだと思っています。

ジブリ映画の音楽が担う役割の比重、ジブリ映画はTV放映など鑑賞回数が多い、そんな他の要因ももちろんあるかもしれませんが、・・・でも『耳をすばせば』という映画作品が好きだったとして、「カントリー・ロード」以外に、思い浮かぶ劇中音楽やメロディがあるか、と言われればなかなか難しいです。

 

今回発売された『スタジオジブリの歌 -増補盤-』それ自体ももちろん素晴らしいです。ここまで正規に・公平に・正統に網羅されるベスト・アルバムはどんなジャンルにおいてもなかなかありません。まさに出し惜しみしないスタジオジブリの真摯な姿勢が現れているというところでしょうか。

収録楽曲を聴いても、各々ジブリ映画の世界へと一気に誘ってくれます。プレゼントにも喜ばれている逸品のようで、まさに世代を越えた、老若男女に愛されるジブリソングがぎっしり詰まっています。映画のために書き下ろされた楽曲がほとんどで、そこにもスタジオジブリの歌や音楽に対する力点を感じますし、そういった楽曲たちが後のスタンダード曲となって引き継がれていくんだろうなあと改めて思います。

「ここまで網羅するなら3枚組にしてBGMを集めた音楽集もつけてほしかった」そんなコメントもちらほら見かけるほどで、やはりそこには久石譲音楽がジブリ作品と切っても切れないほどお茶の間に浸透している証拠なのではと思います。

 

今回はたまたま本作品の発売に際して、収録楽曲のラインナップを眺めていて思った、いや再認識した「音楽:久石譲」の凄みについてでした。

残念ながら、今企画と同類の純粋な「スタジオジブリ サウンドトラック ベスト・アルバム」のような作品は発売されていません。それでも『ジブリ・ベスト ストーリーズ』(2014)というベストアルバム作品はあります。同作品は、久石譲名義で初のジブリ・ベスト盤ですが、全曲サウンドトラック盤からではなく、久石譲が音楽作品として再構成した自身のソロ・アルバムに収録された楽曲群です。詳しいレビューは下記ご参照ください。

こちら ⇒ Blog. 久石譲 初ジブリベスト 宮﨑駿 x 久石譲 30周年 CD発売決定!
こちら ⇒ Disc. 久石譲 『ジブリ・ベスト ストーリーズ』

入門編としては太鼓判の作品です。もっと奥深くジブリ作品「音楽:久石譲」の世界へとのめり込みたい方は、ディスコグラフィーにてカテゴライズしています。イメージアルバム、サウンドトラックから、久石譲がオリジナル・ソロアルバムで再構成したもの、ピアノ・ソロ、オーケストラ。映画公開から数年~数十年の時が流れ久石譲によるジブリ音楽は今もなお進化しつづけていることがわかります。

ちょうど2014年久石譲はジブリ作品の交響組曲化を始動させ、記念すべき第1弾「交響詩風の谷のナウシカ」改訂完全版が同年コンサートでお披露目されました。久石譲が現在においても30年以上の時を越えて手を加えて、さらに完成度の高い音楽作品へと昇華する活動をしている。裏を返せば、30年以上の時を越えて、今でも聴かれつづけている、聴きたい聴衆がいつづける、色褪せることのない新鮮な魅力を保ちつづけている。ジブリ映画のおける「音楽:久石譲」はすでに未来へのスタンダード軌道に入っているのです。

こちら ⇒ Studio Ghibili ディスコグラフィー

 

スタジオジブリの歌 増補版スタジオジブリの歌 オルゴール 増補版

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