Blog. 久石譲 「千と千尋の神隠し」 インタビュー ロマンアルバムより

Posted on 2014/11/20

2001年公開 スタジオジブリ作品 映画『千と千尋の神隠し』
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

映画公開と同年に発売された「ロマンアルバム」です。インタビュー集イメージスケッチなど、映画をより深く読み解くためのジブリ公式ガイドブックです。最近ではさらに新しい解説も織り交ぜた「ジブリの教科書」シリーズとしても再編集され刊行されています。(※2014.11現在「千と千尋の神隠し」は未刊行 2016年以降予定)

今回はその原本ともいえる「ロマンアルバム」より、もちろん2001年制作当時の音楽:久石譲の貴重なインタビューです。

 

「映像を豊かに彩る『千尋』のサウンド」

『風の谷のナウシカ』から現在まで17年。
久石さんは、すべての宮崎駿監督作品に音楽担当として参加してきた。その久石さんが、『千尋』は過去最高の傑作かもしれない、と語る。宮崎さんが生み出した映像に対する、久石さんの回答は--。

-この映画について宮崎さんからはどのような注文があったのでしょうか?

久石 「『もののけ姫』あたりから、内容説明というよりは詞に近いものをくれるようになったんです。僕はイメージポエムと呼んでいるんだけど、宮崎さんは言葉に鋭い方だから、そこに込められている意味はすごく大きいんじゃないか。そう考えて、そこから発想を始めたんです。それでまずは、イメージアルバムを歌もの中心で作って、それからサウンドトラックにかかりました。」

-今回、バリ島の楽器ガムランや、沖縄、中近東、アフリカなど世界さまざまな地域の音を取り入れていますが。

久石 「宮崎さんがさまざまなものを取り入れることであの世界に広がりを与えているように、僕もさまざまな音を取り入れることで、映画を見た人のイマジネーションを広げていきたいと思ったんです。かつてこれほど大胆に、フルオーケストラとエスニックな音を融合させたことはないと思いますよ。今回、コンサートホールを使ってライブ収録をしたのですが、正解だったんじゃないかな。宮崎さんは空気感を大事にする人だし、あの世界の拡がりを表現するためには、やはりオケが必要なんですよ。

でも、そうしたにぎやかな曲って、実は千尋の気持ちにつけていく静かな曲を、引き立たせるためのものでもあるんですよ。僕としてはピアノと弦だけの曲とか、ほとんど単音のピアノでメロディーを弾いている、その静けさを、むしろ大事にしたいと思いましたから。」

-千尋という主人公を、久石さんはどうお考えですか?

久石 「すごく魅力的ですよ。今までのヒロインでは一番いいんじゃないかな。誰にとっても身近な存在で。最後まで千尋が10歳の等身大の女の子でいるよう、僕自身かなり考えたし、宮崎さんもそうだったと思います。あのぶちゃむくれの顔が、最後は美しく見えますからね。」

〈海〉のシーンに表現された宮崎監督の深い思い

作品の根底にある思いを音楽にして

-今回、他のキャラクターのテーマ曲も作ってますね。

久石 「湯婆婆のテーマ曲は苦労したなぁ。何度も書き直してるんです。宮崎さんのキャラクターって複雑で、善人が後ろに悪を抱えていたり、きびしい顔の裏に優しさがあったりするじゃないですか。必ず相反する両面を要求するから、単に怖いおばあさんとして書くことができないんです。でも、その分、自分でも、一、二の出来になったんじゃないかな。通常の楽器を使っているけど、その音がしないように作ったんですよ。ピアノの一番高い音と低い音が同時に鳴るような。あの曲は、気に入っている曲の1つです。」

-『千尋』という作品そのものについては、どうお考えですか。

久石 「今回の作品で僕が感じるのは、人間はひとりぼっちだと。だけど前向きに生きるひたむきさとかやさしさとか、そういったものを表現したい作品なんだなってこと。

その辺が一番出ているのが、海の上を走る電車のところで、あそこが宮崎さんが一番やりたかったところだ、と僕は思ってるんですよ。それがイメージアルバムのなかにある「海」という曲とすごく合っていて、宮崎さんも真っ先に気に入ってくれた。嬉しかったですね。

根底にあるのはこれまでの宮崎作品と一緒だと思うんですけど、今回は、宮崎さんの私的な心情が色濃く出ている作品だな、と思います。作品と作家としての距離が近づいている印象がありますよね。この映画には、宮崎さん自身が経験したことや体験したことがかなり入っているんじゃないかと思います。だからこそこの映画は、大傑作になったと思います。過去の宮崎作品で、一番の傑作かもしれませんね。」

(千と千尋の神隠し ロマンアルバム より)

 

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