Blog. 久石譲 「モーストリー・クラシック 2015年2月号」 インタビュー内容

Posted on 2014/12/30

12月20日発売 雑誌「モーストリー・クラシック」2015年2月号(vol.213)久石譲のインタビュー記事「若い世代を集める久石譲」が掲載されています。

今号の特集である「進化する!日本のオーケストラ」に絡めた久石譲の近年の指揮・コンサート活動についての挑戦を熱く語っています。掲載記事内容をご紹介します。同時に2015年の久石譲活動の一大発表もあります!

 

若い世代をコンサートに集める久石譲

日本の楽団は、特に若い世代の集客に苦労している。そんな状況に一石を投じたのが、作曲家の久石譲の指揮する演奏会だ。2004年から新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)を組織、自作の他にもクラシック作品を自ら指揮している。

さらに近年の活動では、「久石譲クラシック・シリーズ」などにおいてクラシックのプログラムで東京フィル、東響を指揮。他に読売日響なども指揮しているが、通常の定期演奏会とほぼ同額のチケットを購入した若い聴衆が会場を埋め、お目当ての映画音楽ばかりでなく、ブラームスやベートーヴェンの交響曲に熱心に耳を傾けている。

「オーケストラの問題点は明確にあります。2000人収容のホールに演奏家が約100人必要です。ロック・コンサートが、演奏家数人で2万、3万の聴衆を集めることから考えると効率は良くない。そのために需要と供給のバランスをとる必要から、どこも観客となるクラシック・ファンを増やす努力をしています。ただ、観客の年齢層が上がっているので、プログラムの作り方に保守的な傾向が出やすくなっている。さらにそれが進むと古典芸能になってしまい、先がない。未来に繋げていくには、現代の音楽をプログラムに加えていくべきだと思います」

久石指揮のコンサートはクラシックを核とした「オーケストラ・コンサート」の形をとって、W.D.O.や各地の楽団とで、ここ数年、かなりの数が行われている。プログラムはほとんどの場合、クラシックの名作、オリジナルの映画音楽、自作を含めた現代の音楽という3本柱で構成されている。

「1960~80年代は、『既成概念を壊す』ことを、音楽だけでなく、美術、文学、映画、建築などが目指していて新しい表現に活気をもって取り組んでいたのが、社会が疲れていくに従って、それが下火になっていった。ただ、その時代の音楽の最大の問題は、解剖学者の養老孟司さんのいう『脳化社会』のようなもので、多くの作曲家が自分の頭の中で正しいと思って作った音楽を先鋭化させていったため、演奏家・観客からどんどん乖離して、ある種の小さなジャンルになって、いまでは年に数回、現代音楽祭をやっているだけになっている」

「僕は、そういった形ではなく、通常のブラームスやベートーヴェンがメインのコンサートの冒頭に、頭でっかちになった『現代音楽』ではなく、現代に必要な『現代の音楽』を聴衆に届けていく作業をオーケストラには日常的にして頂きたいと思います。僕は『アートメント』(アートとエンターテインメントを組み合わせた造語)という言葉を使います。アートを日常にして行く作業、それが、クラシックのコンサートでも必要なのではないかと考えて、自分のコンサートの時に自作やアダムズ、ペルト、グレツキなどを演奏して、後半にクラシックの曲という形をとっています。僕の映画音楽を目当てに若い人が来てくれて、そこで、現代の音楽やクラシックの魅力を感じてもらえれば素晴らしい」

もう一方で、室内楽編成で現代の音楽を集めた「ミュージック・フューチャー」のプロデューサーを行い、2015年も継続していく予定だ。

「僕の作曲の根本にはミニマルミュージックがありますが、正統派のミニマル・ミュージックの作曲家は、ライリー、ライヒなど4人だけで、あとはポスト・ミニマルやポスト・モダンで、いまポスト・クラシカルというクラシックの範疇にとどまらないミューリーや大作曲家の孫のガブリエル・プロコフィエフといった人達が出ている。そんなミニマルの与えた影響や流れなどは、大きな意味があるのに日本では聴くことができない。それをもっと紹介したいし、自作も書きたいということで始めました。集客は大変ですが、今後も続けていきます」

5月には、W.D.O.として競演する新日本フィルが主催する「新・クラシックへの扉」の特別編「現代の音楽への扉」に登場する。

「定評ある入門シリーズなので、僕のコンサートが入るのは、新しい形の実験だと思います。今回は、調性の崩壊を促した『トリスタン和音』が使われている、ワーグナー『トリスタンとイゾルテ』前奏曲から始まって、シェーンベルクの『浄夜』、そして現代の音楽であるペルトの交響曲第3番というプログラムを組みました」

(MOSTLY CLASSIC 2015.2 vol.213 より)

 

2014年の雑誌インタビュー等で語られてきたクラシック音楽への問題提起。課題とそれをふまえた自身の活動への転換。一貫して同じテーマで語られていますので、このインタビュー内容は、その本気度と今後の方向性・指針が見え隠れしています。

そして、すらすら読みながら、最後に重大発表!2015年 久石譲コンサートの一企画の全貌が明らかになったわけです。

2014年からの流れをふまえると、(『現代の音楽』 『アートメント』 『クラシック音楽問題』というキーワード)「W.D.O.コンサート」と「ミュージック・フューチャー シリーズ」は、翌年以降も継続して行われる予感はありましたが、その大きな流れのなかで、『新・クラシックへの扉・特別編 「現代の音楽への扉』コンサートが、指揮:久石譲 演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団で開催されることが発表されました。

2015年5月5日 開催です。詳しい情報はインフォメーションにて更新していきます。

 

予定プログラムより参考Youtube音源を。

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より 第1幕 前奏曲(1857-1859)

 

アルヴォ・ペルト:交響曲第3番(1971)

シェーンベルク:浄夜(1899)

ちなみに「浄夜」(浄められた夜)には、弦楽六重奏版もあります。こちらもファンの間では人気が高いようです。弦楽オーケストラとはまた違った印象と響きです。

さながらこちらは「ミュージック・フューチャー」向けといったところでしょうか。

シェーンベルク:浄夜 六重奏版

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