Blog. 「久石譲 ニューイヤー・コンサート 2010」 コンサート・プログラムより

Posted on 2015/01/22

2010年の幕開けを飾った「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤー・コンサート」

新年早々、長野・東京にて3公演開催されました。2004年に創立した久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)その活動も軌道にのっている時期を象徴して、久石譲作品のみならず海外の映画音楽作品からクラシック音楽まで、新年を彩るにふさわしい華やかな楽曲たちが並んでいます。

 

久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート

[公演期間]
2010/1/6, 7, 9

[公演回数]
3公演(長野・ホクト文化ホール/東京・サントリーホール/東京・オーチャードホール)

[編成]
指揮・ピアノ:久石譲
演奏:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ

[曲目]

第一部
◆バレエ音楽「火の鳥」(1919年版/作曲:イーゴリ・ストラヴィンスキー)
序曲~火の鳥とその踊り~火の鳥のヴァリエーション
王女たちのロンド
カスチェイ王の魔の踊り
子守唄
終曲

◆Winter Garden(作曲:久石譲/バイオリンソロ:豊嶋泰嗣)
1st movement
2nd movement
3rd movement

(休憩20分)

第二部
◆「坂の上の雲」組曲(作曲:久石譲)
時代の風
旅立ち
青春
戦争の悲劇
Stand Alone

◆久石譲 with W.D.O
ロシュフォールの恋人たち (作曲:ミシェル・ルグラン/編曲:山下康介)
24 Theme (作曲:シーン・カラリー/編曲:宮野幸子)
Adventure of Dreams (作曲:久石譲)
World Dreams (作曲:久石譲)
Mission Impossible (作曲:ラロ・シフリン/編曲:久石譲)

—アンコール—
あの夏へ (作曲:久石譲/オーケストラ伴奏あり)
Runner of the Spirit (作曲:久石譲)

 

また2015年の今現在から振り返りますと、演奏プログラムのなかに希少な作品たちを垣間見ることができます。

「Winter Garden」は、2014年ジルベスター・コンサートにて再び全3楽章が演奏され、いまだCD作品化もされていないレアな作品です。

「Adventure of Dreams」は、2009年日清カップヌードルCM曲として書き下ろされ、こちらもコンサートでも数回しか披露されておらず、同じくCD作品化もされていない現時点で幻の一品のひとつ。

「Runner of Spirit」は、2009年第85回箱根駅伝テーマソングとして書き下ろされ、その後毎年正月にお茶の間で聴くことのできる楽曲ですが、こちらもCD作品化されていません。さらにこの楽曲は、久石譲初の吹奏楽作品であり、このコンサートにおいては、オーケストラバージョンとして披露された、オリジナル版としてもコンサート版としてもすべてにおいて希少な作品です。

そんな現時点で伝説的な作品が堪能できたプログラムです。

当日配布されたコンサート・プログラムより各楽曲解説を紐解いていきます。

 

Word Dreams

ワールド・ドリーム・オーケストラ(以下W.D.O.)のテーマ曲。2004年、新日本フィルハーモニー交響楽団とのこの共同プロジェクトをスタートさせるにあたり、久石譲が”祝典序曲”のコンセプトのもと書き下ろした。シンプルで朗々とうたうメロディは、国家のような格調をも感じさせる。
*W.D.O.のファースト・アルバム『WORLD DREAMS』、『W.D.O. BEST』収録

 

Winter Garden
・1st movement
・2nd movement
・3rd movement

ミニマル・ミュージックの手法をベースに、ヴァイオリンとピアノのために書き下ろした2006年の作品『Winter Garden』を、今回はヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲に改訂、新たに第3楽章が付け加えられた。8分の15拍子の軽快なリズムをもった第1楽章、特徴ある変拍子のリズムの継続と官能的なヴァイオリンのメロディによる第2楽章。そして初披露となる第3楽章は、8分の6拍子を基調とし、ソロパートとオーケストラが絶妙に掛け合いながら、後半はヴィルトゥオーゾ的なカデンツァをもって終焉へと向かっていく。W.D.O.コンサートマスターの豊嶋泰嗣のヴァイオリン・ソロでおくる。
*2006年版の『Winter Garden』は、ヴァイオリニスト鈴木理恵子のアルバム『Winter Garden』に収録されている。

 

バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
・序曲~火の鳥とその踊り~火の鳥のヴァリエーション
・王女たちのロンド
・カスチェイ王の魔の踊り
・子守唄
・終曲

1910年から1919年にかけてパリ・オペラ座のために書かれた『火の鳥』(全曲)はロシアの作曲家ストラヴィンスキーの代表作のひとつである。本日演奏される1919年版というのは組曲として構成されたもので、この版以外にも1911年、1945年版があるが、最もよく演奏されるのがこの1919年版である。ストラヴィンスキーは今でこそ20世紀の重要な作曲家のひとりとして挙げられるが、この作品が書かれた当時は全くの無名の新人作曲家と言ってよい存在だった。先に依頼した同じくロシアの作曲家リャードフがなかなか作曲にとりかからなかったからとは言え、その代替案として無名のストラヴィンスキーに作曲を委嘱したロシアバレエ団率いるディアギレフにとっては大きな賭けとなったわけだが、見事ストラヴィンスキーは彼の期待に応え、バレエ公演は成功、そして作曲家自身も一躍スターとなった。

物語はイワン王子が魔王カスチェイに囚われたツァレーヴナ姫と恋に落ち、ふたりの危機を伝説の火の鳥が救う、というもの。組曲は1序奏~火の鳥とその踊り~火の鳥のヴァリエーション 2王女たちのロンド 3カスチェイ王の魔の踊り 4子守唄 5終曲から成り、音楽は途切れることなく演奏される。各シーンの音楽自体は勿論だが、組曲としてそれぞれの音楽の切り替え、つながりは見事としか言い様がない。『火の鳥』はその後、やはりロシアバレエ団のために書かれた『ペトルーシュカ』、『春の祭典』とともに現代オーケストラの重要なコンサート・レパートリーである一方、ディズニーの映画『ファンタジア』にも取入れられるなどバレエ以外のヴィジュアルとのコラボレーションに多用されるのはこの作品が持つ特別なエネルギーに強く惹きつけられるからだろう。

 

「坂の上の雲」組曲
・時代の風
・旅立ち
・青春
・戦争の悲劇
・Stand Alone

司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』が初の映像化。同名のNHKスペシャルドラマとして2009年11月から放送を開始した。音楽を担当した久石は、「史実・そこに立ち向かう人々の”凛とした”生き様を描きたかった」という。今回はその作品群の中から『時代の風』『旅立ち』『青春』『戦争の悲劇』『Stand Alone』と5つのテーマを選りすぐり、組曲形式に再構築した。あえて日本の五音階と西洋のモダンな音階を融合させることにより、独特の世界観を引き立たせている。明治時代、近代国家として新しく生まれ変わろうとする「日本」。純粋さやひたむきさだけでなく、高み=”坂の上”を目指そうとする人々の強い志と貪欲さが時代を動かす風となっていく。世界の歌姫サラ・ブライトマンが歌う『Stand Alone』は、明治の人々の”凛として立つ”美しき姿をイメージしたというメインテーマ。今回はオーケストラとピアノのバージョンで演奏する。自然と口ずさんでしまいような普遍的なメロディと壮大なオーケストレーションが秀逸。
*NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』オリジナル・サウンドトラック収録

 

久石譲 with W.D.O.

ロシュフォールの恋人たち

監督ジャック・ドゥミ、音楽ミシェル・ルグラン、主演カトリーヌ・ドヌーヴのゴールデン・トリオが生み出した、フランス・ミュージカル映画の傑作の一つ。お祭りにわきたつロシュフォールの街を舞台に、さまざまな恋が展開されてゆく1965年の作品。小気味よいリズムが生み出すグルーヴ感と、ストリングスの優美なハーモニーが、いっそう華やかさを盛り立てる。
(『パリのアメリカ人』 ライナーノーツより一部転用)

 

24 Theme

アメリカで2001年に放送開始されたキーファー・サザーランド主演のテレビ・シリーズ「24-TWENTY FOUR-」の主題曲。W.D.O.では2007年の「There is the Time」で初演された。冒頭から手に汗を握る緊迫感あふれる音楽は、『ニキータ』『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』等のテレビ・シリーズを手掛けるショーン・キャラリーによって作曲された。〈シーズン7〉に至るも依然人気は衰えることを知らない。

 

Adventure of Dreams

日清カップヌードルのCF 『DREAM! 夢こそが、明日をつくる』シリーズのテーマ曲としてつくられた。2009年の第4弾「ベーリング海峡篇」からこのCFに参加し、第5弾「北米大陸篇」、そして現在は第6弾の「南米大陸篇」が放映中。人類の歴史を辿るその壮大なスケール感と高揚感をそのままに、重厚感溢れるサウンドが心を打つ。当初よりフル・オーケストラ曲として制作されたが、冒頭に繊細で印象的なピアノ・ソロが書き加えられ、さらにドラマチックなオーケストラ作品として生まれ変わった。

 

Mission Impossible

『スパイ大作戦』のテーマ曲。アメリカで1966年から1973年にかけて放映された人気テレビ・シリーズ同様、トム・クルーズ主演で映画化された『ミッション:インポッシブル』も有名。一瞬で映画を彷彿させるオープニングとエンディング。特徴的な5拍子のリズムは、スリルと爽快さを味あわせてくれる。作曲を手がけたラロ・シフリンは、『ダーティー・ハリー』シリーズや『燃えよドラゴン』等の映画音楽でも名高い。

(久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート コンサート・プログラム より)

 

ニューイヤーコンサート

久石譲 ニューイヤー・コンサート 2010 プログラム

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