Blog. 「クラシック プレミアム 36 ~ビゼー~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/5/19

クラシックプレミアム第36巻は、ビゼーです。

 

【収録曲】
《アルルの女》 第1組曲・第2組曲
チョン・ミュンフン指揮
パリ・バスティーユ管弦楽団
録音/1991年

《カルメン》 第1組曲・第2組曲
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
録音/1986年

 

「久石譲の音楽的日乗」第35回は、
ドゥダメルの演奏会を聴いて

今号では久石譲が聴いた演奏会の話から、クラシック界の新しい風、時代、世界の動き、そして日本。いろいろな角度から俯瞰的に理解することができてとてもおもしろい内容でした。

もうひとつ、個人的に気になっていたことが解決しました。久石譲のコンサートでもその都度替わることのあるオーケストラの楽器配置。対向配置、そんな用語があるんですね。通常の楽器配置と、そうじゃないときがあって、なんでだろう? と不思議に思っていました。

作品や楽曲によってかな?とも思ったのですが、いや、同じ楽曲でも配置が違うコンサートもあります。これが対向配置ということがわかりました。そしてどういう意図や効果があるのか。そんなことも書かれていました。

一部抜粋してご紹介します。

 

「先の週末、2日間にわたってグスターボ・ドゥダメル&ロサンゼルス・フィルハーモニックのコンサートに行った。素晴らしいコンサートだったうえ、いろいろ考えさせられることがあったので今回はそれについて書きたい。」

「演目は初日がマーラーの交響曲第6番《悲劇的》のみ(80分かかるから当たり前だが)。2日目はジョン・アダムズの《シティ・ノアール》とドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》だった。僕としてはむろんジョン・アダムズ(1947~/アメリカの作曲家)がお目当てなのだが、前回書いたシェーンベルクなどの楽曲を演奏するコンサートの直後に、富山で《新世界より》を指揮するのでこれも勉強を兼ねて楽しみにしていた。」

「まずマーラーの交響曲第6番《悲劇的》だが、冒頭のチェロとコントラバスが刻むリズムからして切れが良く、音量もびっくりするほど大きい。そしてどんどん盛り上がるのだが、もともと5管編成で、ホルンは8本という巨大な編成なので音が大きいのは当然なのだ。だが、大きくても正確なリズムのために音が低音まで濁っていない。またこの編成では弦楽器は埋もれがちになるが、金管の咆哮の中でもクリアに響いていた。おそらくその要はリズムにあるのだが、ラテン人特有の鋭いリズム感を持つドゥダメルと5年間音楽を演奏している間に、オーケストラ自体リズムへのアプローチもソリッドになったのだろう。まあフィラデルフィア管弦楽団なども明快だったのでアメリカのオーケストラの特徴かもしれない。ヨーロッパの伝統的なオーケストラはもっと音に込める何か、ニュアンスというか精神というか、日本人が八木節を歌う時の小節回しのようなものに近い何かを大切にするから、リズムはそれほど明快ではない。アメリカのオーケストラはそういうものを無視しているわけではないが、それよりも明快さを優先するように思える。ドゥダメル&ロサンゼルス・フィルはもちろん楽譜に書かれているさまざまなニュアンスは丁寧に表現しているし、音楽の目指す方向もぶれていない。僕としては書かれた音がこれほどクリアに表現されるのならこのほうがいい。なんとなれば伝統を持たない日本人が目指すのはこの方向しかないからだ。ちなみに外国人の歌う八木節を想像してみてほしい。うまく歌っても「?」がつく。ヨーロッパ人が聴く日本のオーケストラもそれに近いのかもしれないと思う。」

「話を戻して、マーラーは第4楽章まで集中力が切れず、終わり直前のフォルティッシモもぴったり合い、余韻のある見事なエンディングだった。驚いたのは皆まだ余力があり、もう一度最初から演奏しそうな勢いだったことだ。やはり体力差か? また対向配置(第2ヴァイオリンが向かって右側にいてコントラバスが左の奥にいる配置。古典派、ロマン派の楽曲はほとんどこの配置を想定して作曲家は書いた)で、左側のコントラバスと右側のチューバが同じ音量で拮抗する演奏を初めて聴いた。やはり対向配置はいい。」

「翌日はジョン・アダムズの《シティ・ノアール》からだったが、これはドゥダメルの就任お披露目コンサートのために書かれた楽曲で彼らの得意な演目だ。ジョン・アダムズはミニマル・ミュージックの作曲家としてスタートして、今はポスト・ミニマルというより、後期ロマン派的な手法まで導入し、表現主義的な方法をとっている。つまりメロディーがあり、和音があり、アメリカ音楽特有のリズム(例えばジャズ)があるので、ある意味わかりやすい。そのため現代音楽好きの人たちは、後ろ向きと批判することもある。彼はオーケストラを知り抜いているためそのスコアは精緻を極め、オケからも人気があり、演奏される機会は世界的に多い。音楽出版社のBoosey & Hawkesの会報を見ると、今年の2月から5月までに演奏されるジョン・アダムズの楽曲はきわめて多い。新作のオラトリオを発表したこともあり、近年に書かれた楽曲が目白押しだ。《シティ・ノアール》の演奏回数も多いのだが、その中でも注目すべきはウィーン・フィルが3月にこの楽曲を演奏していることだ。初演から5年ほど経ち、各地で演奏され、今では世界のスタンダードとして認識されたということだ。日本のオーケストラでは・・・・・まだまったく演奏の予定はない、たぶん。 紙面が尽きた、次回に続く。」

 

クラシックプレミアム 36 ビゼー

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