Disc. 久石譲 『コントラバス協奏曲』 *Unreleased

2015年10月29日 日本テレビ系「読響シンフォニックライブ」 公開収録にて世界初演。

2016年1月21日 日本テレビ系「読響シンフォニックライブ」放映 (1/30 BS日テレ)

 

出演
指揮:久石譲
コントラバス:石川滋 (読響ソロ・コントラバス)
管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:日下紗矢子

曲目
久石譲:
コントラバス協奏曲 (日本テレビ委嘱作品) ※世界初演
第1楽章 Largo – Con brio
第2楽章 Comodo
第3楽章 Con brio

収録:2015年10月29日 東京芸術劇場

 

委嘱経緯

久石譲がコントラバス協奏曲を作曲したのは、石川滋のアルバム「バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~第3番」を送られたことがきっかけ。その2013年は、石川滋が2006年から活動のベースとしていたスイスのベルン交響楽団ソロ首席コントラバス奏者から、読響が初めて設けたソロ・コントラバス奏者として入団した年。同年読響は、宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の音楽録音や、「読響シンフォニックライブ」での「オーケストラストーリーズ・となりのトトロ」「ベートーヴェン:交響曲第7番」の演奏、年末「第九コンサート」で、久石譲(指揮)と共演を重ねていた年でもあった。

久石は石川のバッハを聴き、すぐに1枚の葉書を送った。お礼とともに書かれていたのは「グルーブがいいですね」という言葉。「面白いなぁと思いました。グルーブを褒めてくださるクラシックの方って珍しいですから」と石川は語る。「グルーブは、ジャズで言うリズム感とかノリですね。うねりという感じもあります。僕にジャズのバックグラウンドがあることを、久石さんはおそらくご存知ないと思いますが、『コントラバスと言えばピツィカートでしょ』と曲を書かれる前におっしゃっていました。それで、第2楽章の冒頭であそこまでソロでピツィカートというわけです」。

事実、その第2楽章の冒頭は、グルーブ感溢れるジャズセッションの趣きに溢れ、NYのライブシーンを彷彿とさせる。最初に第1楽章のスケッチが8月中旬、そして9月頭に第2楽章、末に第3楽章、10月になって全楽章の完成版を手にする。タイトなスケジュールの中、「時間を見つけては、音を出し、スコアを読み込んでいました」と語る石川。

曲全体は、久石が得意とするミニマルミュージックの世界。独奏のコントラバスには、フラジオや高度な和音の連続など、高い技巧ととびきりの歌心が求められ、オーケストラパートの難易度も非常に高い。「読響での再演、再々演、そして録音などの機会があれば、一生をかけてチャレンジしたいし、もっともっと自分のものにしたいですね」と最後に語った石川の言葉には、並々ならぬ決意も込められていた。

(参考文献:スズキ・メソード公式サイト内 コンサート・レポートより 編集転載)

 

番組内 久石譲インタビュー

読響との初共演時の印象は…?

松井(司会):
久石さんと読響の初共演は3年半前ですが、今でも印象に残っていることはありますか?

久石:
ショスタコーヴィチの交響曲第5番などを演奏したのですが、作曲家の僕が指揮をするということで、読響の皆さんに助けていただき、とてもいい演奏になったということを覚えています。その他にも、初共演の翌年、2013年には宮崎駿監督作品、「風立ちぬ」の映画音楽レコーディングに読響が参加。読響にとってスタジオジブリの映画音楽を演奏するのは初めての経験でした。また、その直後に読響と久石さんは2度目の共演を果たし、オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」(語り:樹木希林)、ベートーヴェン・交響曲第7番、そしてジョン・アダムズ作曲の「ザ・チェアマン・ダンス」を演奏しました。

今後の読響と久石さんの関係性は?

松井:
改めて、久石さんにとって読響はどんな存在ですか?

久石:
日本を代表する素晴らしいオーケストラで、皆さん一生懸命に演奏してくれます。なので、この関係性は長く続けていきたいと思いますし、より大きなプロジェクトが出来るような、点ではなく、線になる活動を今後もできるといいなと思っています。

(2016年5月開館予定、久石譲が芸術監督をつとめる長野芸術館、そのこけら落とし公演を読売交響楽団との共演にて記念コンサート開催予定)

「コントラバス協奏曲」について

久石:
音がこもりがちになる低域の楽器をオケと共演させながらきちんとした作品に仕上げるのはハードルが高かったです。僕は明るい曲を書きたかったので、ソロ・コントラバス奏者の石川滋さんには今までやったことないようなことにもチャレンジしていただく必要もありました。

 

番組内 石川滋インタビュー

久石譲作曲「コントラバス協奏曲」。石川滋の語るこの曲への思いとは…?

松井(司会):
今回お送りしたコントラバス協奏曲ですが、この曲は、久石さんが石川さんと読響のために書き下ろされた新曲だとお聞きしましたが、いかがでしたか?

石川:
久石さんに曲を書いていただくということは夢のような出来事でした。ましてやソロ楽器としてはマイナーであるコントラバスで協奏曲を書いてくださったのは自分にとってとても貴重な経験になりました。

松井:
コントラバス協奏曲というのはジャンル自体珍しいかと思うのですが、その中で久石さんからのコントラバスへの要求というのはどういうものでしたか?

石川:
最初に譜面を見たときはその曲の素晴らしさに感動して、「ぜひ弾きたい!」と思ったのですが、冷静に譜面を見てみると「これは弾けるのだろうか?」と思うほど難曲でした。音の数や跳躍の多さ、それに音域がとても広く短時間の間に弾かなければならないなど…大変でしたね。

松井:
私も会場で聴かせていただきましたが、聴いているだけで「次は何が来るのだろう」というわくわく感がありましたし、コントラバスをやったことが無い私でも難しそうだなというのが分かりました。ですがとてもかっこいい、素敵な曲だと思いました。

石川:
今久石さんがなさりたい音楽というものがすごくわかる中で、今まで培ってきた映画音楽などのポップな音楽性も随所に見られて、とても素晴らしい曲です。

(公式サイト:読響シンフォニックライブ | 放送内容より 編集転載)

コントラバス協奏曲 1

 

解説

久石譲作曲 コントラバス協奏曲
演奏時間 約30分

僕から久石さんにお願いしたことは2つ。
一つは、「小品」ではなく、コンチェルトとしての“格”を持った作品にしてほしいということ。そしてもう一つは、100年後もコントラバス奏者にとってのレパートリーであって欲しいということ。なんとも言葉足らずで要領を得ないリクエストでしたが、久石さんは「また随分とハードル上げるなぁ」と苦笑いしながら受け止めてくださったのです。

このやりとりから1年。
当代随一の作曲家・久石譲が、当代随一のコントラバス奏者・石川滋と、その仲間たちである読売日本交響楽団のために書いた「コントラバス協奏曲」が、いよいよお披露目されます。

曲は3つの楽章からなります。
全体にミニマルミュージックの手法が散りばめられ、コントラバスの技巧に富んだ独奏が打楽器群の刻むビートの上で踊ります。さらに小編成のオーケストラの各楽器にもソロが割り振られ、独奏コントラバスや他楽器と絡み、細かなリズムの「ズレ」によって立体的な響きが創造されていきます。

独奏コントラバスに求められる技術は大変に高度です。この楽器の調弦に基づく4度のインターバルがベースとなり、ハーモニックスやコルレーニョ、重音といったテクニックが次々と登場します。左手の運指も、右手の運弓も、最高レベルの難度であることは間違いありません。しかしそれらは当然のことながら「超絶技巧のお披露目」のためのものではなく、「コントラバスの表現の可能性」を追求した「必然」です。久石さんと石川さんが積み重ねたやりとりによって完成した楽譜は、結果的に超高難度のものですが、過去のヴァイオリンやピアノの名作たちが、当時「演奏不能」と言われつつも現代ではレパートリーになっている歴史的事実を思えば、「挑戦」の正しい形なのだと感じます。

下手くそなりにコントラバスを弾いていた経験ある者として言えば、技巧的なソロ以外にも、この曲には多くのコントラバスの魅力が詰め込まれています。ジャズやタンゴの薫りがするパッセージでは、独奏コントラバスがベースラインを奏で、読響の名手たちによる様々なソロを魅力的に支えます。歌心くすぐる旋律では、コントラバスの最も響きの美しい音域が用いられ、ここにもコントラバスへの愛情を感じることができます。オケのコントラバスと独奏コントラバスとの絶妙な「ランデブー」はバス弾きにとって感涙ものです。

実は久石さん、この曲を書くためにコントラバスを入手しました。ソロチューニングされた楽器を傍らに置き、きっと譜面を書かれていたことでしょう。そういった楽器への誠実な向き合い方にも、お願いをした側として頭の下がる思いです。

《編成》
フルート2(2番はピッコロ、アルトフルート持ち替え)、オーボエ、クラリネット2(2番はEs管持ち替え)、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2、トランペット、テナートロンボーン、バストロンボーン、ティンパニ、打楽器(ドラムセット、カウベル、ウッドブロック、大太鼓、クラベス、トライアングル、マリンバ、ビブラフォン、グロッケンシュピール、シロフォン、ほか)、ピアノ、チェレスタ、ハープ、弦5部(8-6-4-4-3)、独奏コントラバス

(参考文献:番組プロデューサー制作日誌より Facebook 編集転載)

コントラバス協奏曲 3

 

番組公式Twitterより

このcb協の肝ともいえる打楽器群には、岡田さん・西久保さん・野本さんの読響メンバーに、加藤恭子さん&柴原誠さんという個人的に大好きな2人が加わった強力メンツ!独奏コントラバス以外にも聴きどころ・見どころがいっぱいの作品です!!

コントラバス協奏曲では、普段とは違うアングルからの映像もあり、石川滋さんの“技”がご覧いただけます。ハイポジやフラジオの左手、ジャーマン弓の捌き方やピチカートの指先、弦の“鳴らし方”までが映像になっていると思います。

(「読響シンフォニックライブ」公式サイト Twitter より 抜粋/転載)

読響シンフォニックライブ 2015

コメントする/To Comment