Disc. 久石譲指揮 ナガノ・チェンバー・オーケストラ 『ベートーヴェン:交響曲 第1番&第3番「英雄」』

2017年7月19日 CD発売

長野市芸術館を本拠地として、2016年、新たなオーケストラ「ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)」が誕生しました。音楽監督久石譲の呼び掛けのもと、日本のトッププレーヤーが結集してのベートーヴェン・ツィクルスが開始。“音楽史の頂点に位置する作品のひとつ”と久石がこよなく愛する「第九」に至るまで、2年で全集完成を目指します。作曲家ならではの視点で分析する”例えればロックのように”、かつてない現代的なアプローチによる久石譲&NCOのベートーヴェン・ツィクルス、第1弾。

精鋭メンバーが集結した夢のオーケストラ!ベートーヴェンはロックだ!!

EXTONレーベルとは、2016年にリリースしたライヴ盤「久石譲 presents ミュージック・フューチャー 2015」に続くコラボレーションになる。

 

 

ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)は長野市芸術館(2016年にオープン)を本拠地とした新しいオーケストラです。若くて優秀なうえに経験も豊富です。

僕がそこの芸術監督として最初に取り組むプロジェクトをベートーヴェンの交響曲全曲演奏&CD化にしました。我々のオーケストラは、例えればロックのようにリズムをベースにしたアプローチで誰にでも聴きやすく、それでいて現代の視点、解釈でおおくりすることができます。つまり新たなベートーヴェンです。今回お届けするのは第1回、第3回定期演奏会で演奏された楽曲です。

楽しんでいただければ幸いです。

2017年6月 久石譲

(CDライナーノーツより)

 

 

前進し躍動するベートーヴェン 柴田克彦

これは、聴く者の全身に活力を送り込み、五感を覚醒させるベートーヴェンだ。今回の交響曲全集プロジェクトにおける久石譲のコンセプトは、「作曲当時の小回りが効く編成で、現代的なリズムを活用した、ロックのようなベートーヴェン」。これに、著名オーケストラの首席クラスが集い、海外一流楽団やフリーの名手も加わった「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」が全力で応えたのが、本作の演奏である。

長野市芸術館で両曲のライヴを体験した際には、久石のソリッドなアプローチと、若い世代を中心とする精鋭たちの表現意欲が相まった、躍動感と生気あふれる音楽に感銘を受けた。”小回りの効く編成”ゆえに浮上する音やフレーズの綾も実感した。そしてリアルかつバランスの良いCD録音をあらためて聴くと、それらに加えて、細かなリズムの意味深さや、音塊一体で前進する強烈なエネルギーを再認識させられる。

両曲ともに速めのテンポでキビキビと運ばれ、緩徐楽章であろうと全く停滞しない。だが快速調であっても勢い任せではなく、各フレーズがこまやかに息づいている。第1番は、推進力と力感の中に、若きベートーヴェンの前向きの意志が漲っている。この曲は先達の進化形である以上に、未来を見据えた作品なのだ。第3番は、リズムが躍る鮮烈な音楽。特にシンコペーションや弦の刻みが効果を上げる。第4楽章前半部分での弦楽器陣の室内楽的な絡みも新鮮だ。そして重厚長大なイメージの「エロイカ」が、実は第7番を先取りするビートの効いた曲であることに気付かされる。

往年のロマンティックな表現や分厚い響きも、次のピリオド楽器演奏も、あるいはまたロックやポップスも経た上で、さらに先へと向うベートーヴェンの交響曲がここにある。

(しばた・かつひこ)

(CDライナーノーツより)

 

※諸石幸生氏による3ページにわたる曲目解説は割愛。詳細はCD盤にて。

 

 

久石譲インタビュー

「ベートーヴェンはやはりクラシック音楽の最高峰。何をどう頑張っても最後はここに行き着くんです。別の音楽を何回か経験した後に挑む方法もありますが、最初にベートーヴェンの交響曲全曲演奏を経験し、あるときにまた挑戦すればいい — 僕はそう考えました。演奏者もベートーヴェンをやるとなれば気持ちが違いますし、新たにスタートしたナガノ・チェンバー・オーケストラでも、メンバーの結束の強さが変わってきます。これはとても重要なことだと思っています」

「我々の演奏は、日本の人たちが通常やっているベートーヴェンではないんですよ。アプ ローチは完全にロックです。さらに言うとベートーヴェンが初演したときの形態でもあります。現代のオーケストラは、ワーグナー以来の巨大化したスタイルであり、ドイツ音楽は重く深いものだと思われています。しかしベートーヴェンが初演した頃は、ナガノ・チェンバー・オーケストラくらいの編成なんです。巨大なオーケストラが戦艦やダンプカーだとすれば、ナガノ・チェンバー・オーケストラは、モーターボートやスポーツカー。小回りが効くし、ソリッドなわけです。我々は、ベートーヴェンが本来意図した編成を用いながら、現代の解釈で演奏します。なぜなら昔と違ってロックやポップスを聴いている今の奏者は、皆リズムがいいからです。そのリズムを前面に押し出した強い音楽をやれば、物凄くエキサイティングなベートーヴェンになる。我々のアプローチはそういうことです」

「何十回もやって慣れてきたスタイルと全く違うので、メンバーも興奮していますよ。別に特別な細工をしたわけではありません。先に申し上げたように、編成はオリジナルに近づけて、リズムなどは現代的な解釈を採用しただけです。皆が色々な音楽を聴いている今は、その感覚で捉えなかったら、ベートーヴェンをやる意味はないと思うのです。ですから本当に、だまされたと思って一度聴きに来てください」

Blog. 「NCAC Magazine Opus.4」(長野市芸術館) 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

[ベートーヴェン・ツィクルス第1弾]
ベートーヴェン:交響曲 第1番&第3番「英雄」
久石譲(指揮)ナガノ・チェンバー・オーケストラ

ベートーヴェン
Ludwig Van Beethoven (1770 – 1827)

交響曲 第1番 ハ長調 作品21
Symphony No.1 in C major Op.21
1. 1 Adagio molto – Allegro con brio
2. 2 Andante cantabile con moto
3. 3 Menuetto. Allegro molto e vivace
4. 4 Adagio – Allegro molto e vivace

交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
Symphony No.3 in E-flat major Op.55 “Eroica”
5. 1 Allegro con brio
6. 2 Marcia funebre. Adagio assai
7. 3 Scherzo. Allegro vivace
8. 4 Finale. Allegro molto

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (conductor)
ナガノ・チェンバー・オーケストラ
Nagano Chamber Orchestra

2016年7月16日(1.-4.)、2017年2月12日(5.-8.)
長野市芸術館 メインホールにてライヴ録音
Live Recording at Nagano City Arts Center Main Hall, 16 Jul. 2016 (1-4), 12 Feb. 2017 (5-8)

 

Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Nagano Chamber Orchestra
Concertmaster:Kaoru Kondo

Recording & Balance Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineers:Takeshi Muramatsu, Masashi Minakawa
Mixed and Mastered at EXTON Studio, Tokyo

and more…

 

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