Disc. 藤原真理 『風 -Winds ~ナウシカの思い出に捧げる』

1988年6月21日 CD発売

「自然との共生」というメッセージのもと藤原真理の幅広い音楽性をアピールしたヒット・シリーズ 、「風」の第1作。久石譲のトータル・プロデュースで名作「風の谷のナウシカ」の他、映画音楽、クラシックの名曲を藤原真理の豊かなチェロが奏でる。決してカヴァーという言葉では語れない新たな魅力を放つ楽曲に生まれ変わっている。

ほろびゆく自然をみつめて
名手 藤原真理が新境地を拓いた大ヒット・アルバム。

 

解説

藤原真理さんの《風シリーズ》は、「風」「風のメッセージ」「風のかたみ」の3部からなります。いずれも、自然をテーマとするクラシックやポピュラーの名曲をアレンジしたものを集めて収めていますが、藤原真理さんのチェロが奏でる音風景は、偉大なる自然の力と生命の尊さ、滅びゆく自然への讃歌、そして哀歌、さらに私たちの心に刻まれた喜びや哀しみ、といったすべてを包みこんで、さわやかな感動とともにはこんでくれます。

また、藤原真理さんが共感にみちた演奏で紡ぎだす個々の小品名曲が、深々とした大きな世界となって聴きての前に広がるときの感銘は、言葉では伝えきれないほどです。

太陽から三番目に近い惑星…ブルー・プラネットに、吹く風はとても不思議。青い空の下、高い波が砕けた防波堤のあいだを吹いていた透明な風が、今朝は、名も無い駅に咲くコスモスをそっと揺らしています。街中ではほとんど感じられなくなりましたが、緑のある風景のなかにいくと、風にもにおいがあり、色があることもわかります。季節の変わり目をまっさきに教えてくれるのも風。きのうまでと違う、きょうの風に、誰よりも早く気づいたとき、嬉しい発見に心がときめきます。

自然との共生をテーマにした藤原真理さんのアルバム「風」を初めて耳にしたときも、土や光や風といった自然の肌触りを感じ、心ときめくとともに、とてもやさしい気持ちになりました。過去から未来へと受け継ぐもの、受け継がれるものは、懐かしくも新しい、普遍の美しさにみちた永遠のメッセージ。私たちが人にも自然にもやさしくなれたとき、誰もがきっと自然のぬくもりを感じることができるでしょう。それを伝えるのも、風…。そんな気がしています。

横堀朱美

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

【曲目メモ】

「風の谷のナウシカ」から5つのメロディー(組曲)/久石譲
「風の谷のナウシカ」は、1982年2月号から雑誌「アニメージュ」に連載された漫画原作をもとに1984年3月に公開された宮崎駿原作・脚本・監督による不朽の名作です。巨大産業文明が「火の七日間」とよばれる大戦で崩壊して1000年後、地上は死の森「腐海」に覆われ、かろうじて生き延びた人口500人の小さな王国「風の谷」の族長の娘ナウシカは、侵攻してきたトルメキア軍に父を殺され、自らも腐海に落下…。ひとりの少女の愛が奇跡を呼びます。音楽は久石譲が担当。ここで演奏される5つのメロディーは、映画で使用された楽曲と、サウンド・トラックに先行して発売されたイメージ・アルバムから選ばれています。

鳥の歌/カタロニア民謡
スペインのカタロニア地方は、バルセロナを中心に優れた芸術を育んできました。この地方から出た不世出のチェロの巨匠で、作曲家、パブロ・カザルス(1876~1973)の名前とともに忘れられないのが「鳥の歌」でしょう。故郷カタロニアの古いクリスマス・キャロルからカルザスが編曲して、国連総会の会場や、ホワイトハウス・コンサートで演奏・紹介して以来、平和を象徴する曲になりました。「カタロニアの鳥たちはピース、ピースと鳴きます」と、鳥の鳴き声とピース(平和)をあわせて語ったエピソードも有名です。

甘き春に/カルミナ11世紀
10世紀から13世紀頃、諸国を遍歴したゴリアードとよばれる学生や下級聖職者たちによってうたわれたラテン語の世俗歌集「カルミナ・ブラーナ」に含まれる1曲です。「カルミナ」とは「歌」のこと。自然と恋愛への讃歌「甘き春に」は11世紀の作。ネウマ符でメロディーが付されていました。

ウォーキング・イン・ジ・エア/ハワード・ブレイク ~アニメーション「スノーマン」より
少年の作ったゆきだるまが、真夜中に動きだして、少年とゆきだるまが楽しく遊びます。不思議な一夜の出来事、そして朝になって・・・。美しい詩情にみちたレイモンド・グリッグスによる絵本「ザ・スノーマン」がアニメーション化され、音楽はハワード・ブレイクが担当しました。1982年作。

緑の森を楽しく歩いた/マーラー
後期ロマン派の作曲家マーラー(1860~1911)の創作は、交響曲と歌曲に集中し、両者の楽想を緊密に融合させた音楽には、19世紀末の苦悩と永遠の平和と自然観がうたいこめられています。この曲は、3巻からなる歌曲集「若き日の歌」の第2巻に収められています。ドイツ古来の民謡詩集からとられた歌詞に、のびやかな美しさをもつメロディーがつけられています。

野生のエルザ/ジョン・バリー
1966年に公開されたジェームズ・ヒル監督の映画「野生のエルザ」は、ケニアの草原に生まれた野生のライオン、エルザと、狩猟家アダムソン夫婦との心あたたまる交流の物語。原作はJ.アダムソンの同名ノンフィクションです。映画音楽を担当したジョン・バリーは、ご存知『007』シリーズはじめ多数の作品を手がけています。マット・モンローの美声で一世を風靡した主題曲「ボーン・フリー」は、アカデミー作曲賞、主題歌賞を受賞。

グリーン・レクイエム/久石譲 ~映画「グリーン・レクイエム」より
新井素子の人気作であり出世作である小説「グリーン・レクイエム」をもとに、1985年に今関あきよし監督が映画化したSFファンタジー。1988年に公開。物語は、国立植物学研究所の研究員、嶋村信彦と、緑の髪の少女、光合成する異星人を中心に展開します・・・。音楽は久石譲が手がけています。

空と太陽と海/フランソワ・ドゥゲルト
1965年にフランソワ・ドュゲルトのオリジナル・ソングとしてフランスで人気を集めた曲です。南欧の、輝く太陽と青い空と美しく広がる海のもとでの風情と、自然のなかでの解放感がうたわれています。

ラルゴ~協奏曲集『四季』の「冬」より/ヴィヴァルディ
4つのヴァイオリン協奏曲からなる『四季』は、四季折々の自然と人々の表情を描写した標題音楽で、イタリア・バロック最大の作曲家ヴィヴァルディ(1678~1741)の代表作です。「冬」の第2楽章にあたるこのラルゴでは、暖炉のかたわらでのおだやかでやすらかな憩いが描かれています。全曲を通じてもっとも詩的で美しい楽章です。

(曲目メモ ~ 2002年発売CD ライナーノーツより)

 

2010年8月18日発売 Blu-spec CD
コロムビア創立100周年記念「DENON CLASSICS BEST 100」 シリーズとして高音質ブルースペックCD仕様にて再リリースされてる。(それまでにも幾度か再発盤がある)

 

藤原真理 風 wind ナウシカの思い出に捧げる

《風の谷のナウシカ》から5つのメロディー 〈組曲〉 (久石譲)
1. I-風の伝説
2. II-はるかな地へ
3. III-レクイエム
4. IV-遠い日々
5. V-谷への道

6. 鳥の歌 (カタロニア民謡)
7. 甘き春に (カルミナ11世紀)
8. ウォーキング・イン・ジ・エア (ハワード・ブレイク) ~アニメーション『スノーマン』より
9. 緑の森を楽しく歩いた (マーラー)
10. 野生のエルザ (ジョン・バリー)
11. グリーン・レクイエム (久石譲) ~映画『グリーン・レクイエム』より
12. 空と太陽と海 (フランソワ・ドュゲルト)
13. ラルゴ (ヴィヴァルディ) ~協奏曲集『四季』~「冬」より

藤原真理 (チェロ)
秦はるみ (ピアノ) 1~6, 9
久石譲 (シンセサイザー) 6, 8~13

プロデュース・編曲:久石譲

録音:1987年6月~1988年4月 日本コロムビア第1スタジオ、ワンダー・ステーション

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