Disc. 久石譲 『Winter Garden for Violin and Orchestra』 *Unreleased

2006年6月7日 CD発売
「Winer Garden」 /鈴木理恵子

ヴァイオリニスト鈴木理恵子のために久石譲が書き下ろし収録された作品。
第1楽章と第2楽章が収められている。

◇ウィンター・ガーデン / 久石譲

2006年作。このアルバムにあわせて書きおろされた楽曲。ミニマリスティックで疾走感のある第1楽章と、それとは対照的に瞑想的な雰囲気を持つ第2楽章の2つの楽章からなる。

1.第1楽章
8分の15拍子の中で多彩にフレーズが変化を見せる。ピアノとヴァイオリンの鋭いパッセージが互いの旋律を模倣しながら交錯してゆき、ねじれる様に絡み合いながらもお互いに歩み寄ることで再現へと向かう。

2.第2楽章
純度の高い硬質な和音の上に、ヴァイオリンが叙情的に歌い始める。次第に不安と緊張を増してゆく旋律を、助長する様に響きが変容してゆく。

(CDライナーノーツ 楽曲解説より)

 

このCD作品には他にも、久石譲学生時代の卒業作品「MEDIA」や映画『水の旅人』主題歌「For You」も収録されている。

 

 

2007年コンサート「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ There is the Time」にて久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)編成、「Winter Garden 1st&2nd movement」、つまり上記第1楽章・第2楽章が演奏される。

 

 

2010年コンサート「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート」にて、第3楽章が新たに加えられ初披露される。

Winter Garden
・1st movement
・2nd movement
・3rd movement

ミニマル・ミュージックの手法をベースに、ヴァイオリンとピアノのために書き下ろした2006年の作品『Winter Garden』を、今回はヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲に改訂、新たに第3楽章が付け加えられた。8分の15拍子の軽快なリズムをもった第1楽章、特徴ある変拍子のリズムの継続と官能的なヴァイオリンのメロディによる第2楽章。そして初披露となる第3楽章は、8分の6拍子を基調とし、ソロパートとオーケストラが絶妙に掛け合いながら、後半はヴィルトゥオーゾ的なカデンツァをもって終焉へと向かっていく。W.D.O.コンサートマスターの豊嶋泰嗣のヴァイオリン・ソロでおくる。
*2006年版の『Winter Garden』は、ヴァイオリニスト鈴木理恵子のアルバム『Winter Garden』に収録されている。

(コンサート・パンフレット 楽曲解説より)

 

 

2014年コンサート「久石譲 ジルベスターコンサート 2014 in festival hall」にて、2010年版をベースに全3楽章が改訂初演される。

Winter Garden (2014年版) ※改訂初演

2006年にヴァイオリンとピアノのために書き下ろした『Winter Garden』(全2楽章)をベースに、ヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲として2010年に改訂、新たに第3楽章が付け加えられた。今回初演される作品は、2010年版をさらにブラッシュアップし、よりヴァイオリンとオーケストラのコントラストを際立たせつつ、ミニマルの手法になぞらえた作品として改訂したもの。8分の15拍子の軽快なリズムをもった第1楽章、特徴ある変拍子のリズムの継続と官能的なヴァイオリンの旋律による瞑想的な雰囲気を持つ第2楽章。そして第3楽章は、8分の6拍子を基調とし、ソロパートとオーケストラが絶妙に掛け合いながら、後半はヴィルトゥオーゾ的なカデンツァをもって終焉へと向かっていく。本日のヴァイオリン・ソロは、関西フィルハーモニーのコンサートマスター・岩谷祐之の演奏でおくる。
★『Winter Garden』(2006年版) 鈴木理恵子ソロアルバム 『Winter Garden』 収録

 

 

以上、「Winter Garden」という作品は、ピアノ&ヴァイオリンによるオリジナル版(2006年)、第3楽章が加えられヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲と発展し(2010年)、さらにブラッシュアップされた2014年版(2014年)という進化をとげていることになる。

オリジナルはピアノとヴァイオリンのかけ合いが息をのむほどの緊張感があり、シンプルだけにより旋律やパッセージがくっきりと浮かび上がり、前衛的な響きがある。

そしてオーケストラ版は、ここまで色彩豊かになるかと感嘆するほど、美しいシンフォニーとなっている。広がりも奥行きも一気に拡大しているなかで、小協奏曲としてのヴァイオリン・ソロとミニマル手法が相乗効果となっている。

久石譲がクラシック音楽の指揮活動をしている成果であろうか、そこには交響詩のような壮大な世界が広がっている。

オリジナルからノンタイアップによる書き下ろし作品だけに、その音楽的進化の過程においても、純度の高い久石譲オリジナル作品に仕上がっている。

CD化してほしい作品である。

 

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