Disc. 久石譲 『弦楽オーケストラのための《螺旋》』 *Unreleased

2010年2月26日開催コンサート「久石譲 Classics Vol.2」にて初演。

2011年9月7日開催コンサート「久石譲 Classics Vol.4」にて披露。

2014年10月12日開催コンサート「久石譲x新日本フィルハーモニー交響楽団」長野公演にて披露。

2015年2月25,26日開催コンサート「世紀音樂大師-久石譲 Maestro of the Century – Joe Hisaishi」(台北/台南)にて改訂初演されている。

 

2010年の世界初演から、2015年の改訂初演まで、これまでにコンサートで数回披露されたのみでCD未発売曲である。

弦楽オーケストラによる14分にも及ぶ大作。

 

久石譲:弦楽オーケストラのための「螺旋」

弦楽オーケストラのための「螺旋」は、2010年2月16日に行ったコンサート《久石譲 Classics Vol.2》のために書いた作品である。作曲は、2010年1月20日より2週間という短い期間で一気に書き上げ、その後直しを含めて時間の許す限り手を加えた。ミニマル・ミュージックの作家としてコンテンポラリーな作品を書きたいという思いが強かったのかもしれない。

曲は、8つの旋法的音列(セリー)と4つのドミナント和音の対比が全体を通して繰り返し現れる。もちろんミニマル・ミュージックの方法論で作曲したが、その素材として上記の12音的なセリーを導入しているため結果として不協和音が全体の響きを支配している。

心がけたことは、感性に頼らず決めたシステムに即して音を選んでいくことだった。もちろんそのシステムを構築する土台は(それが良いと決めたこと自体)個人的な感性である。

曲の構成は日本の序・破・急(※)の形をとり、第1部は遅めのテンポの中で様々なリズムが交差し、第2部では同じセリーのスケルツォ的躍動感を表現している。第3部の前には、もう一度基本セリーによる静かな神秘的な部分があり、その後、急としての激しい空間のうねりが展開される。

曲のタイトルとして Spiral という言葉を最初考えていたが、この急の部分を作曲したときに「螺旋」という日本語が最もふさわしいと確信した。

(※)序・破・急 = 音楽・舞踊などの形式上の三区分。序と破と急と。舞楽から出て、能その他の芸術にも用いる。

(2011年9月7日《久石譲 Classics Vol.4》 曲目解説より一部補筆し転用)

Blog. 「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団」(長野) コンサート・レポート

 

3.11に大きな影響を受け、本名の藤澤守として発表した「5th Dimension」と同時代に書き下ろされた作品もあってか、現代音楽、芸術性という、大衆性とは表裏一体の一面をのぞかせた久石譲の意欲作。

本人による楽曲解説にもあるとおり、”不協和音が全体の響きを支配している”なか、ミニマル・ミュージック特有のリズム、躍動感と神秘性をかねそなえた、弦の響きが360度まさにスパイラルしている響きがそこにはある。

渦を巻いた弦楽オーケストラの響きには圧倒される。

コンテンポラリーな久石譲作品として後世に残るべき重要な作品である。

 

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