報告編:「Freedom」全国ツアー終了

連載 久石譲が挑む「ハウル」の動く音 (読売新聞)
報告編:「Freedom」全国ツアー終了

作曲家でピアニストの久石譲によるコンサートツアー「Freedom」の最終公演が11月29日、東京・初台の東京オペラシティコンサートホールで行われた。

ツアーは、カナダの女性弦楽アンサンブル、アンジェル・デュボー&ラ・ピエタとの共演で、11月3日の神奈川・相模大野での公演を皮切りに、全国14か所で行われた。

自らの希望で今回の共演を実現させた久石は、「彼女たちを、偶然テレビで見て、そのスタイルに魅了された。真っ黒な衣装で激しく体を揺らす姿がとても魅力的だった」と話す。

夏のオーケストラツアーでは指揮が中心だったが、今回はピアニストに徹した。難易度の高い編曲に自ら演奏者として挑む苦労もあったようで、演奏の途中、「今日で最後だと思うと、正直ほっとする」と語った。

前半は、1992年に発売されたソロアルバム「MY LOST CITY」からの曲が中心。「密度の高い曲を前半に集中させようとした時に思いついたのが、ピアノと弦の曲が中心の『MY LOST CITY』だった。今あれをやるとどうなるのかなと思った」

「心の自由」をテーマに制作中の新アルバム(1月発売)の楽曲も披露。収録予定の「ハウルの動く城」のテーマ曲を新アレンジで演奏すると、客席から大きな拍手が起こった。

コンサートのために施された編曲には、どれも荒々しさと優雅さ、単純さと複雑さといった相対する要素が混在している。あえて極端に対比させることで、自己をさらけ出すことを徹底的に追求しているようだった。

久石は、ツアー前に行ったインタビューでこう話している。

「まず自分自身が作ってしまっている束縛から解放されないと何も始まらないんじゃないかという思いが強い。何かを捨てるということではなく、ありのままの自分を受け入れることで生まれる自由があるはず」

コンサートでは、それを見事に実践していた。この日は演奏に粗さも残ったが、もはやそんなことは些細なことに感じられる「久石譲の音楽」がそこにあった。(依田謙一)

(2004年12月7日 読売新聞)

 

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