Disc. 久石譲 『Deep Ocean』 *Unreleased

2016年8月28日 TV放映

『NHKスペシャル シリーズ ディープ オーシャン 潜入!深海大渓谷 光る生物たちの王国』

音楽:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

全3回シリーズ ※第二集、第三集は来年夏以降の放送を予定

 

久石譲インタビュー

「深海の中でこんなに光るものがあるんだっていうのは驚きでしたよね。発光生物だとか、深海の映像がとても強いすばらしい映像だったので、イメージはすごいつけやすかった。作曲も実はそんなに時間かからないで一気に作れた。全部ミニマル・ミュージックでやったというのは初めてで、うまくいくかどうか非常に不安だったんですけども、生の音で聞いていけばいくほどこれで良かった、おそらく映像ともかなりマッチングするんじゃないか、そこがやっていてすごくうれしかったですね。」

■久石譲インタビュー動画(約2分)
http://www.nhk.or.jp/nature/video/43426.html (2016.8現在)
久石譲インタビューおよびレコーディング風景

より書き起こし

 

番組テーマ音楽は緻密で躍動感のあるミニマル・ミュージックで構成されている。管弦楽の各パートや楽器特色を活かしたアンサンブルに近いシャープでソリッドなオーケストレーションが印象的である。番組BGMも数曲書き下ろされており、メインテーマをモチーフとしたり派生させたり、と統一感のある楽曲群が並ぶ。いずれもキャッチーなメロディを持たない、ミニマル手法であるところに注目したい。

2013年TV放映され話題となった「深海プロジェクト」。その最新シリーズとなる「ディープオーシャン」。スタッフが再集結し企画された今プロジェクトには、前回音楽担当した久石譲も名を連ねることになった。そして、『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』で使われた主要楽曲たちも、「ディープオーシャン」では変奏ヴァージョンとして披露されている。こちらもまたメロディや旋律を極力抑えたアレンジとして手が加えられている。またシンプルでソリッドが楽器編成となっている。

「ディープオーシャン」メインテーマと本編BGMの書き下ろし、「深海の巨大生物」からの再構成、新旧あわせて織りこみながらも、今最も旬な久石譲音楽(楽器編成、奏法、構成)が堪能できる作品となっている。

次集以降とあわせて、サウンドトラック盤の発売に大いに期待が高まる作品である。

現時点で未CD化、曲名不明である。

 

【2017.1 追記】

2016年12月31日開催「久石譲ジルベスターコンサート2016」にて世界初演。

Deep Ocean *世界初演
1.the deep ocean
2.mystic zone
3.radiation
4.evolution
5.accession
6.the deep ocean again
7.innumerable stars in the ocean

久石譲コメント

「「Deep Ocean」は今夏NHKでオンエアーされたドキュメンタリー番組のために書いた曲を今回のジルベスターのためにコンサート楽曲として加筆、再構成しました(リハーサルの10日前に完成、相変わらず遅い)。ですから世界初演です。7つの小品からできており、ミニマル特有の長尺でもないので聴きやすいと思いますし、ピアノ2台を使った新しい響きは僕自身ホールで聴いてみたかったのです。でも真冬になぜ深海?寒そうなどといってはいけない、あと半年で夏がきます。」(「久石譲ジルベスターコンサート パンフレットより)

 

レビュー

本公演のサプライズ的演目でした。まさかこの作品が聴けるとは、しかも小編成オーケストラとピアノ2台という大掛かりなステージ配置変更をしての演奏です。「ミュージック・フューチャー vol.3」でも別新作をピアノ2台と室内アンサンブル編成で聴かせてくれたばかりです。ここは小ホールとは違い大ホール。ステージ前面ギリギリのところでセッティング、指揮者も奏者も前面中央に密集、少しでも微細な響きが客席奥や2、3階席まで届くようにと配慮されてのことかもしれません。

ミニマル・ミュージックの心地よいグルーヴ感と、神秘的な世界観。多彩な打楽器や管楽器の特殊奏法などで、目をとじて耳をすませたくなる深海の世界が広がっていました。かなり忘れたくない余韻で気になったので、録画していたTV番組を見返してみました。「ダイオウイカ」シリーズからではなく、「ディープオーシャン」として新しく書きおろした音楽は、ほぼ演奏されたんじゃないかなあ、と記憶をふりしぼっています。2017年夏には第2回以降のTV放映も予定されています。サウンドトラックも発売も待ち遠しい作品です、いやホントしてくれないと困る作品です(強く)。

Blog. 「久石譲 ジルベスターコンサート 2016」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

【2017.7 追記】

2017年7月16日(日)21:00~21:49 NHK総合テレビ
第2集「南極 深海に巨大生物を見た」

音楽:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

 

TV放映鑑賞後レビュー。なんと驚いたことに第2集用に新曲が数多く書き下ろされている。世界観は第1集を引き継ぎ、小編成ながら緻密な音楽構成を充分に堪能することができる。さらに驚いたことに新曲ではサンプラーを使用した電子音も巧みに織り込まれている。近年ではオーケストラ楽器による生音にこだわった音作りがされてきたなか、2017年のCM曲(ダンロップ・伊右衛門Newヴァージョン)などに目を向けると、エッセンスやアクセント、また隠し味としての電子音を聴くことができる。これは、おそらく2014年からつづいている”現代の音楽”を届けるコンサート企画「Music Future」を経ての結実のように思われる。現代音楽家の他作はもちろん、同演奏会で初演される久石譲新作にも楽器も楽器編成も垣根を越えた新しい音世界が広がっている。「2 Pieces for Strange Ensemble」(2016年 同 Vol.3コンサートににて初演)もそういった点と線の流れにある。

コンパクトな室内楽オーケストラでソリッドながら広さ深さのある立体的な音楽。既存曲のバリエーションも違った表情をみせる。第1集と路線を同じく明確なメロディは持たない楽曲が際立っている。それはイメージをかきたて想像を広げるうえに、深海の奥深い神秘な世界観を演出している。

メインテーマは第1集と同じものが堂々と君臨しているが、改めて聴くとミニマル・ミュージックの緻密なズレと楽器セクションごとの交錯がすばらしい。TV音源ですらステレオで聴くとピアノ2台もきれいに左右から、弦楽セクションも右と左で交錯していることがわかる。エンターテインメント音楽(TV番組メインテーマ)としては贅沢なほどに作り込まれた完成度。久石譲オリジナル作品という位置づけでもまったくおかしくない最新の久石譲がたっぷりつまった名曲。

第3集も新曲があるのか待ち遠しいし、W.D.O.2017コンサートでのプログラム予定「Deep Ocean」も期待が高まる。「ジルベスターコンサート2016」で披露されたのは第1集からの音楽を演奏会用に再構成したもの。もちろんこれが聴けると思うだけでも心躍るし、第2集からのサプライズなんてあったらこれまた驚かされる。いずれにしてもコンサートプログラム大歓迎の作品。

またこの極上のミニマル・ミュージックはコンサートで体感することと、緻密なオーケストレーションの結晶をCDステレオ音源で聴けてこそ!第3集(8月放映)で今シリーズは完結予定であるけれど、ディープオーシャン・サウンドトラックが出るまではファンとしては完結しない!こんな傑作がCD化されないと思うだけで…。楽器ごとの音もおもしろい、決して飽きるとは無縁な聴く人色に染まってくれる楽曲たち。この至福の音楽世界にどっぷりとつかりたい。最高音質で。

 

 

2017年8月27日(日)21:00~21:49
第3集「超深海 地球最深(フルデプス)への挑戦」

 

なお、2016年TV放送シリーズ第1回はDVD/Blu-ray化され発売されている。

Info. 2017/07/21 「NHKスペシャル ディープ オーシャン 潜入! 深海大峡谷 光る生物たちの王国」DVD/Bu-ray 発売決定

 

【2017.8追記】

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」にて2楽曲を追加した9つの小品からなる作品としてリニューアル初演。

Deep Ocean
1. the deep ocean
2. mystic zone
3. trieste
4. radiation
5. evolution
6. accession
7. the origin of life
8. the deep ocean again
9. innumerable stars in the ocean

久石譲コメント

「Deep Ocean」は同名のNHKドキュメンタリー番組のために書いた曲をコンサート楽曲として加筆、再構成したものです。去年の大阪ジルベスターコンサートで初演しましたが、今年の夏に最終シリーズとしてオンエアーされる楽曲を新たに加えてリニューアルしています。ミニマル特有の長尺ではないので聴きやすいと思いますし、ピアノ2台を使った新しい響きをお楽しみください。

 

レビュー

2016年から2017年にかけて全3回シリーズで放送される「NHKスペシャル シリーズ ディープオーシャン」のために書き下ろされた楽曲を演奏会用にまとめたものです。2016年大晦日ジルベスターコンサートで事前予告なく初披露されサプライズとなりましたが、今回「3.trieste」「7.the origin of life」が追加され9つの小品からなる作品へと再構成されています。久石譲の最も旬ソリッドなミニマル・ミュージックが堪能できる作品です。

小編成オーケストラとピアノ2台という大掛かりなステージ配置変更をしての演奏は、楽器ひとつひとつの微細な音、普段なかなか見聴きできない打楽器群、特殊奏法による音色のおもしろさ、ミニマル特有のズレをあますことなく体感できる贅沢な音空間です。冒頭から一瞬で神秘的な深海の世界へと誘ってくれます。

気になる追加された2楽曲は、どうもコンサートで初めて聴くような。7月にオンエアされたばかりの第2集からの音楽ではなく、8月にオンエア予定の第3集からのものかもしれません。「3.trieste」は明るく清らかなミニマル音楽だった印象で、「7.the origin of life」は生命の起源にふさわしく音楽の起源バロック音楽まで遡ったような優美な旋律だった印象。第2集はTV放送後何回もリピートしています、たぶん流れていなかったと思います。

エンターテインメント音楽(TV番組メインテーマ)としては贅沢なほどに作り込まれた完成度、楽器編成としても意欲作。久石譲オリジナル作品という位置づけでもまったくおかしくない最新の久石譲がたっぷりつまったメインテーマをはじめ、久石譲独特のミニマル・グルーヴを感じる楽曲群。TVでなんとか耳をすませ、コンサートで臨場感たっぷりに体感し、それでファンとして終われるはずがありません。もしオリジナル・サウンドトラックが発売されたとき、それは久石譲ミニマルアルバムという肩書きでもおかしくない逸品ぞろいです。「これサントラのクオリティ超えてるよね!久石さんのオリジナルアルバムかと思った!」なんて言いたい、そんな日がきっと訪れますように。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

NHKスペシャル

Disc. 久石譲 『Untitled Music』 *Unreleased

2015年10月4日、「題名のない音楽会」リニューアル第1回放送にて初演。

曲名:「Untitled Music」
作曲:久石譲
指揮:久石譲
ヴァイオリン:五嶋龍
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

 

世界一長寿のクラシック音楽番組『題名のない音楽会』(テレビ朝日系)。2015年秋、若き天才ヴァイオリニスト・五嶋龍さんを司会に迎え大胆リニューアルした。それにともない新テーマ曲「Untitled Music」を久石譲が書き下ろしている。

7月15日東京オペラシティでの公開収録にて、新司会者の五嶋龍による「題名のない音楽会」の初公開収録が行われ、作曲者である久石譲自らが指揮し日本フィルハーモニー交響楽団にて演奏された。

記念すべきリニューアル第1回目(10月4日)にて放映。

番組内インタビューにて久石譲は、「伝統のあるクラシックの番組として、一番新しい才能の五嶋龍くんの強力な個性と、そのふたつを念頭において一生懸命書きました。」とコメントしている。

また演奏中のテロップ表示にて、【曲名は番組名から「題名のない音楽」。音楽会に向かうワクワク感を表現。】と紹介されている。

 

冒頭から華やかなオーケストラ・サウンドにて幕をあけ、ヴァイオリンの音色が心躍るように流れていく。クラシック音楽番組にふさわしい気品のある凛とした構成に、ヴァイオリンもバリエーションある奏法を駆使し、表情豊かな音色と響きで魅せる。

久石譲のミニマル・ミュージックをベースとした芸術性と、エンターテイメントで培われた大衆性、その両極性を凝縮させたような結晶化された作品である。近年の指揮活動によってさらに磨きかかったオーケストレーションと構成力によって、ヴァイオリンをいかに際立たせるか、そしてヴァイオリンという楽器の可能性を最大限に追求かつ表現した楽曲となっている。

高音域楽器のピッコロ、グロッケンシュピール、トライアングルなどを巧みにブレンドすることにより、キラキラと輝いた印象を受ける。高音域楽器の対比として、金管楽器をファンファーレ的に配置することで、格調高い華やかさがあり、ヴァイオリンの音域をとてもうまく浮き立たせている。と、個人的には感じます。また緻密でありながら余白のある音楽、主役を際立たせる巧みなオーケストレーションである。

いつもとは違うちょっとフォーマルな音楽会。いつもとは違うちょっとオシャレもして、今まで聴いたことがない音楽との出会いと体験に胸を踊らせて会場へと向かう。そんな心持ちを表現したような作品になっている。

テーマ曲としては約3分半の小品として完成されているが、ここからさらにヴァイオリン・コンチェルトとして発展させていってもおもしろそうな、そんな可能性を秘めた作品である。

番組オープニングでは、「Untitle Music」オープニング・パートが、番組エンディングでは同楽曲エンディング・パートがそれぞれ使用されている。

 

これから番組の案内役として浸透していき、TVの向こう側の日常を華やかにしてくれるだろう。

披露された「Untitle Music」が久石譲コンサートで聴ける日はくるのか、久石譲 x 五嶋龍という夢のコラボレーションがCD化される日はくるのか、時間とともにこれからさらなる変化と進化を遂げていくであろうこの作品を、楽しみにその成長を見ていきたい。

 

2015.12 追記

久石:
「年によって比重が変わります。今年はどちらかというと、自分の作品が多いですね。でも、CMやゲーム音楽も作っていますね。あとは五嶋龍君が司会になった『題名のない音楽会』の新テーマ曲も書かせてもらいました。この「Untitled Music」という曲は自分でもすごく気に入っています。テーマ曲というだけでなく、作品としても聴いていただけると思うのですが、リズムが相当難しくて、絶対に自分では振りたくないなぁ(笑)と思ったくらい(実際は初回放送時に五嶋と共演)。でも、あの曲を書いたことで一つ吹っ切れたところがありました。」

Blog. 「月刊ぴあの 2015年12月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

2016.1 追記

2016年1月24日(日) 9:00-9:30 テレビ朝日系
「題名のない音楽会 -五嶋龍の音楽会-」

2015年10月番組リニューアル第1回にて発表された久石譲作曲「Untitle Music」も再びフルサイズにて放映される。

五嶋龍 番組内インタビュー

「(久石譲が)現代音楽というレッテルを貼って欲しくない、枠に入れて欲しくないとおっしゃっていた。リズムとハーモニー、そして音の並び方というのが非常にエッジー(流行の最先端)な音楽。前に進むような、音楽を過去から未来へ押していくようなイメージだと思います。」

 

五嶋龍が語る「Untitled Music」 (演奏中画面テロップ表示)

「冒頭からリズムが小節ごとに変わり、色々な進化を広げていくのがこの曲の特徴」

「『Untitled Music』とは『題名のない音楽』。これは無限の可能性があるというイメージにピッタリ」

「今 我々が新しい流行や新しい音楽を作っていると実感させてくれる楽曲」

「パターン化された音を繰り返す「ミニマルミュージック」も取り入れている」

題名のない音楽会 untitled music

 

2016.3 追記

2016年3月開催「久石譲&五嶋龍 シンフォニー・コンサート in 北京 / 上海」コンサート・ツアーにて、久石譲指揮、五嶋龍Vnによる「Untitled Music」が、中国にて5公演披露されている。

Blog. 「久石譲&五嶋龍 シンフォニー・コンサート in 北京・上海」 プログラム詳細

 

2016.6 追記

2016年6月5日TV番組「題名のない音楽会」にて、久石譲指揮、五嶋龍Vn、新日本フィルハーモニー交響楽団演奏にて、披露されている。リニューアル初回時の東京フィルハーモニー管弦楽団とはまた趣が異なり、ダイナミックで抑揚豊かな演奏となっている。「題名のない音楽会 久石譲が語る歴史を彩る6人の作曲家たち 前編/後編」というテーマで、2週連続でプログラムされた後編で披露されている。公開収録は4月25日。公開収録時には「Untitled Music」を録り直し、1回目の演奏に久石譲・五嶋龍のいずれかが満足できなかったのか、演奏後の短い会話を経て、その場ですぐに2回目の演奏となった。

 

(演奏中テロップ表示)

「ミニマルミュージックをヴァイオリン協奏曲のスタイルで表現した曲。」

Info. 2016/05/29,06/05 [TV] 「題名のない音楽会」 久石譲2週連続出演! 【5/22 UPDATE】

 

2017.4 追記
五嶋龍から新司会者交代にともない、番組テーマ曲「Untitled Music」も3月をもって終了。今後は久石譲作品として発展していくのか、コンサートでプログラムされる機会が訪れるのか、五嶋龍との日本公演は実現するのか、いろいろな楽しみと可能性を秘めた作品であることに変わりはない。

 

題名のない音楽会 TOP

 

Info.2015/10/04 「題名のない音楽会」新テーマ曲 久石譲『Untitled Music』 TV出演 【9/21 UPDATE】

テレビ朝日『題名のない音楽会』の新テーマ曲を久石が担当しました。

世界一長寿のクラシック音楽番組『題名のない音楽会』が、
2015年秋、若き天才ヴァイオリニスト・五嶋龍さんを司会に迎え大胆リニューアル。
その新テーマ曲「Untitled Music」を久石が担当しました。
放送は、2015年10月からの予定です。ぜひご期待ください。

(久石譲オフィシャルサイトより 転載)

“Info.2015/10/04 「題名のない音楽会」新テーマ曲 久石譲『Untitled Music』 TV出演 【9/21 UPDATE】” の続きを読む

Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『吹奏楽燦選 / 嗚呼! アフリカン・シンフォニー』

2014年10月22日 CD発売

吹奏楽の定番と今後の定番化が期待される作品を、日本を代表する名門、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)による最新のセッション録音で拡充してゆく「吹奏楽燦選」シリーズの第3弾。第1作はエバーグリーンとして定番化しつつあり専門誌でも高い評価、すでにロングセラーとなっている。第2作「フェスティーヴォ!」はレコード・アカデミー賞を受賞、チェコ吹奏楽曲の素晴らしさを広く知らしめてる。

今回の第3弾は、吹奏楽初挑戦となるクラシック界の実力派指揮者、関西フィル首席指揮者を務める藤岡幸夫とTKWOとの、実り豊かなチーム・ケミストリーに注目。藤岡は、吹奏楽オリジナル作品にはスケールの大きさと格調の高さをもたらし、ポップな曲には、タルカス等のクロスオーバー曲で吹かせた熱風を送り込んでいる。TKWOレコーディング・プロジェクトならではの委嘱作。今回は、ブリテン:青少年のための管弦楽入門の吹奏楽版といった趣の伊藤康英の意欲作『ラ・フォリア』を収録。TKWOの高い個人技と緊密なアンサンブル力をフルに発揮させる凝った逸品です。演奏会用マーチの定番『アルセナール』の勇壮な音楽、卒業式の定番曲で美しいコラールの『ロマネスク』といった新旧のオリジナルの名作に加え、2014年5月に亡くなった岩井直溥の代表作であり人気定番曲『ボレロ・イン・ポップス』、高校野球応援に必携の『アフリカン・シンフォニー』といった誰もが聞き知っている名曲が目白押し。久石譲初の吹奏楽曲である箱根駅伝の新テーマ曲など、神曲詰まり過ぎの贅沢極まりない一枚。

 

本作品に久石譲楽曲が収録されている。

「吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》」
Runner of the Spirit  for Symphonic Band
I. オープニング Opening
II. エンディング Ending

 

【楽曲解説】

久石譲 / 吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》

久石譲(1950-)はスタジオ・ジブリの映画音楽などで著名な、言わずと知れた作曲家。そんな久石と吹奏楽の関係は古い。吹奏楽ポップスの歴史を培ってきた「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」のシリーズにおいて、1978年から1985年にかけて、全部で13曲のアレンジを手がけている。また、1976年から1980年の間にはバンドジャーナル誌の付録楽譜の編曲も15回担当している(本名の名義によるものも含む)。久石が商業的なデビューを果たしたのが1974年であることを考えると、初期において吹奏楽の占めたウェイトは小さくはない。

1980年代後半から久石本人による吹奏楽のスコアは世に知られていないが、その長い沈黙を破って生まれたのが、この「ランナー・オヴ・ザ・スピリット」である。毎年正月2日と3日にかけて行われる箱根駅伝の、日本テレビによる中継番組のテーマ音楽として作られたもので、2009年の放送以来、毎年使用されている。テレビ番組用だが、最初から吹奏楽編成で作られているのは珍しいケースである。ファンファーレ的な「オープニング」(CM前のジングルとしても使用されている)と、選手の健闘をねぎらい讃えるかのような「エンディング」の2曲からなる。

(CDライナーノーツ 楽曲解説 より)

 

楽曲詳細や楽曲レビューについては、
Disc. 久石譲 『Runner of the Spirit』 *Unreleased に記している。

 

本作品に収録されているこの2楽曲は、2009年から箱根駅伝のTV放送で流れている音源ではない。

2009年のオリジナル版も東京佼成ウインドオーケストラによる演奏である。楽曲構成が変わっていたり、改訂されているという意味ではなく、録音時の指揮者と団員奏者の違いによる微細な演奏の変化である。

よって同じオリジナルのスコアを使用しているなかで、指揮者の違いによる楽曲のダイナミクス、テンポ、演奏表現方法、パートごとに前面にフィーチャーされている楽器の違いによる印象と響きの違いと思われる。

 

それでも2009年発表から現時点(2014年)までに、久石譲名義として作品化されていないだけに、ほぼオリジナル版と言ってもいいくらいのバージョンがCD作品化されたことは、貴重でありうれしい限りである。

2009年版および以降毎年正月TV放映される際のオリジナル版、指揮は久石譲自らによる。

 

 

東京佼成ウインドオーケストラ

1.音楽祭のプレリュード (アルフレッド・リード)
2.コンサートマーチ《アルセナール》 (ヤン・ヴァンデルロースト)
3.ロマネスク (ジェイムズ・スウェアリンジェン)
4.海の男達の歌 (船乗りと海の歌) (ロバート・W・スミス)
5.マゼランの未知なる大陸への挑戦 (樽屋雅徳)
6.百年祭 (福島弘和) 2012年改訂版
7.嗚呼! (兼田敏)
8.吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》 I. オープニング (久石譲)
9.吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》 II. エンディング (久石譲)
10.ラ・フォリア ~吹奏楽のための小協奏曲 (伊藤康英)
11.ボレロ(イン・ポップス) (モーリス・ラヴェル/岩井直溥 編)
12.アフリカン・シンフォニー (ヴァン・ マッコイ/岩井直溥 編)

演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:藤岡幸夫

録音:2013年9月9~10日、江戸川文化センター(東京) [96kHz/24bit録音]

Disc. 久石譲 『長谷川町子物語 ~サザエさんが生まれた日~』 *Unreleased

放送日:2013年11月29日(金)21:00-
フジテレビ開局55周年特別番組 アニメ「サザエさん」放送45周年記念
TVドラマ 『長谷川町子物語~サザエさんが生まれた日~』

監督・プロデューサー:加藤義人 テーマ音楽:久石譲
出演:尾野真千子 長谷川京子 木村文乃 イッセー尾形 松坂慶子 他

 

メインテーマと姉妹、創造の音楽を書き下ろしている。全体的に、室内楽、小編成、弦楽四重奏のようなシンプルな響き。

メインテーマはピアノ、弦、チェロなどとともに、ピチカートやバンドネオンも聴かれ、とても優しい上品なメロディーであり、普遍的なそっと寄り添うような旋律。昭和的な、日本的なメロディーというよりも、あまり感情に訴えかけず主張しすぎないという直近の作風となっている。

一連の「ラーメンより大切なもの」 「イザベラ・バードの日本紀行」 「かぐや姫の物語」などが
その作風の流れをくんでいる。シンプルであり、小編成であり、唄いすぎない、それでいてしっかりと印象や余韻を残す音楽。

昭和から愛され続けるサザエさんに呼応するかのように、時代に左右されない、時代を選ばない、そんなテーマ音楽になっている。

クラシカルな旋律と響きが印象的な作品。

放送日前後において、未発売作品であり未CD化作品。

 

長谷川町子物語

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

2013年6月26日 CD発売

NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」
2013年1月13日放送 第一部
「NHKスペシャル 世界初撮影!深海の超巨大イカ」
第二部
■第1回「伝説のイカ 宿命の闘い」
放送日時:2013年7月27日(土)午後7時30分~ NHK総合
■第2回「謎の海底サメ王国」
放送日時:2013年7月28日(日)午後9時00分~ NHK総合

音楽:久石譲 演奏:NHK交響楽団 東京ニューシティ管弦楽団

 

久石譲さんインタビュー
番組音楽にかけた想い

NHK 深海 1

「深海」は当然のことながら、地上ではない。我々は地上で生きていますから、そこから考えると、とても深いところ、遠い次元になりますよね。音楽的に言うと、実は深海は宇宙の物語、宇宙と同じ空間であるということが大事なんです。

ただ、宇宙と深海の大きな違いは「水」ですから、今回ハープを2台起用して、フランス印象派的な、ドビュッシーやラヴェルのような世界観を持ち込もうというのが最初の狙いでもありましたね。

このハープがさまざまなパッセージを奏でているところに、和音感などの凝った形を取ることで、深海の不思議な感じを出せるのではないかなと考えました。

NHK 深海 2

今回は「ダイオウイカ」に続いて、「サメ」の曲をつくるということで、最初は苦しむのではないか…という嫌な予感がありましたね(笑)。サメと聞けば、あまりにも有名なジョン・ウィリアムズが作曲した映画『ジョーズ』のテーマ曲がありますから、それしか頭に浮かばないのではないかと思っていたんです。

ところが映像を見せてもらうと、メガマウスは想像していたどう猛なサメとはまったく違っていた。プランクトンを食べたり、サクラエビを食べたり、とても草食系な感じを受けたんです。メガマウスの優しい性格と、時間軸を超えたようなゆったりした広がりをその映像から感じ取ったときに、これならできると思って。メガマウスのイメージをつかめた瞬間から、対比としてどう猛なカグラザメには、不協和音を思いっきりぶつけたり、現代音楽的なアプローチを広げることができて、とても取り組みやすくなりました。

NHK 深海 3

さらに今回、プロデューサーの岩崎弘倫さんから、生きものの連鎖、輪廻を表現してほしいという依頼がありました。

話を伺う中で、いろんな生きものが他のものを食べ、それらがまた他のものを食べるという光景が、ある種宗教的、哲学的なテーマに感じましたね。その普遍的なテーマに対して僕自身も興味を持ち、力を入れて書きました。

書き上がったものは、かなりゆっくりした楽曲なのですが、NHK交響楽団の方々が素晴らしい演奏をしてくださり、とても満足できる作品に仕上がっています。 映像と音楽のめぐり逢いを楽しんでいただきたいですね。

NHK 深海 4

(久石譲インタビュー 出典元:NHK 深海プロジェクト 番組にかけた想い より転載)

 

メインテーマ(1)は、神秘的な深海の世界をあますことなく表現している。フルオーケストラの壮大かつ悠々とした広がりのある響きと、各楽器たちが織りなす旋律が、まさに多種多様な深海の生き物たちを、そして未知の世界の不思議さを感じとることができる。

メインテーマにも関わらず、いい意味でつかみどころのない不思議なメロディーが、未だなお解明されていないことの多い深海の世界、つまりは海の宇宙に対してこれからも探究が続いていく世界であることを予感させる。

ミステリーとロマンの大航海を彷彿とさせる(2)「ミステリー&ロマンへの誘い」、変拍子のリズムがまるで生き物のような躍動感を放つ(3)「海の世界」、シンセサイザーの不思議な音色と旋律が深く深く神秘の世界へ誘う(7)「神秘の海中」、悠々としたストリングスがその品格と高貴さを感じる(11)「ダイオウイカのテーマ」、ピアノで美しく優しく語りかけてくる(13)「達成~メインテーマ~」など、深海の魅力がぎっしりとつまっている。

第二部からも、寄せては返す波のように、解明してはまた新しい謎が現れるというくり返し、そんな深海の迷宮をダイナミックに表現した(16)「深まる謎」、どう猛なカグラザメと優しい性格のメガマウスをうまく対比した(18)と(20)、そして生き物の輪廻、生命の尊厳を高らかに讃歌する(21)「輪廻」、と、その魅力は尽きない。

久石譲本人も本作品の制作について、「音楽的に言うと、実は深海は宇宙の物語、ただ宇宙と深海の大きな違いは「水」、今回ハープを2台起用して、フランス印象派的な、ドビュッシーやラヴェルのような世界観を持ち込もうとしたのが狙いでもある。ハープが様々なパッセージを奏でているところに、和音感などの凝ったかたちを取ることで、深海の不思議な感じを出せるのではないかと考えた。」と語っている。

またプロデューサーからの「生き物の連鎖、輪廻を表現してほしい」との依頼からそれに応えるべく「ある種宗教的、哲学的、そして普遍的」なテーマに対して、魅力のある壮大な音楽世界を築きあげている。

世界も大注目のビッグニュースとはいえ、ひとつの番組において、ここまでの音楽的世界観の作り込みとしては贅沢な作品である。

映画「崖の上のポニョ」映画「海洋天堂」映画「水の旅人」などもそうだが海や水の世界観の表現は本当にすばらしい。そこにはダイナミックな躍動感と、緻密で精細なオーケストレーションという、ふたつの対極的な要素が見事に融合している。

ダイナミクスな海、宇宙、巨大生物から、ミクロな微生物やプランクトン、得体のしれない未知の生命体、そして化石まで命あるすべてのものが、ひとつひとつの旋律に楽器に宿っている。

 

久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

第一部
1.NHKスペシャル深海 メインテーマ
2.ミステリー&ロマンへの誘い
3.海のテーマ
4.科学者たち
5.世紀の大調査
6.ダイブ開始
7.神秘の海中
8.初めての発見
9.セカンドコンタクト
10.挑戦
11.ダイオウイカのテーマ
12.深海へ帰る
13.達成~メインテーマ~
第二部
14.海に生きる大きな生物
15.奇跡の大陸ニッポン
16.深まる謎
17.海の生命力
18.深海の強者 カグラザメ
19.科学者たち~愛~
20.メガマウスのテーマ
21.輪廻
22.NHKスペシャル深海 エンディングテーマ

All Music Composed and Produced by Joe Hisaishi

Performed by Tokyo New City Orchestra
Conducted by Joe Hisaishi

Performed by NHK Symphonic Orchestra (except M-1,8,20,21,22,23,24) ?
Conducted by Junichi Hirogami (except M-1,8,20,21,22,23,24) ?

Recorded at NHK509Studio , NHK506Studio
Mixed at NHK604Studio

Orchestration:Joe Hisaishi , Junichi Nagao

 

Disc. 久石譲 『女信長 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『女信長 オリジナル・サウンドトラック』

2013年4月3日 CD発売

2013年4月5日,6日 二夜連続連続放送フジテレビ系ドラマ「女信長」
原作:佐藤賢一 監督:武内英樹 音楽:久石譲 出演:天海祐希 他

 

民放のTVドラマの音楽を手がけることも近年珍しいけれど時代劇ものとしても『壬生義士伝』や『天地明察』くらいしかない。

混声合唱や和楽器も使用している。フルートと尺八、ハープと琴など、和楽器と西洋楽器の近い音をうまく組み合わせて織りこんでいるところに、そこまでコテコテの時代劇感を演出しないさじ加減があるのかもしれない。

フルート・尺八・ハープ・琴・ピアノに混声合唱と、高音の楽器、また音域に幅のある楽器を随所にちりばめているところが、信長という重厚感に、今回のキーワードである“女信長”という女性らしさがうかがえる。

印象的なメロディーというよりも、こういった演出が気になった作品。全体的な緊迫感迫る音楽は、『坂の上の雲』の音楽に近いかもしれない。

(4) (31)のメインテーマをモチーフにシーンに合わせてアレンジしたもの、(15) (22) (28) (30)などの女性心をテーマにした曲に加え、(3) (8) (23) (24)など戦国時代ならではの厚みのある曲もならぶ。

1曲1曲が短いのは、TVドラマだからかもしれない。ぜひコンサートなどで、ひとつの絵巻のような組曲として聴いてみたい作品。

 

久石譲 『女信長 オリジナル・サウンドトラック』

1. イスパニアからの使者
2. 絶体絶命
3. 奇襲
4. 女信長
5. 運命の子
6. 嫡男として
7. 哀れな宿命
8. 暴君
9. 御濃
10. 父の死
11. 信長誕生
12. 野望
13. 合戦
14. 城下町
15. 恋心
16. 京上洛
17. 服部半蔵
18. 奏愛
19. 御市
20. 明智光秀
21. 天命
22. 信長の哀しみ
23. 決戦
24. 地獄絵図
25. 最強の敵~武田軍~
26. 悲壮な決意
27. 信長と光秀
28. 本能寺~愛のテーマ~
29. 家康の初恋
30. 信長からの解放
31. 新しい時代

All Music Composed, and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Tokyo New City Orchestra
Gu-Zheng:Jiang Xioa-Qing
Japanese transverse flute:Kohei Nishikawa
Shakuhachi:Jun Watanabe
Lute:Hiroshi Kaneko
Tin Whistle:Tkashi Yasui

Recorded at Victor Studio

Orchestration:Kosuke Yamashita , Sachiko Miyano , Joe Hisaishi

 

Disc. 久石譲 『Stand Alone』 坂の上の雲 メインテーマ 全ヴァージョン紹介

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
第1部 2009年 第1回~第5回
第2部 2010年 第6回~第9回
第3部 2011年 第10回~第13回

3年間にまたがる、司馬遼太郎「坂の上の雲」原作の超大作ドラマ。
そしてなんといってもこのドラマの主題歌・メインテーマ 『Stand Alone』は名曲。

ここではこの1曲だけを軸として、
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック」
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 」
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 」
にそれぞれ収録された、『Stand Alone』の全ヴァージョンを紹介。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「Stand Alone」 作詞:小山薫堂 作曲:久石譲
歌:サラ・ブライトマン(第1部) 森麻季(第2部) 麻衣(第3部)

ちいさな光が 歩んだ道を照らす
希望のつぼみが 遠くを見つめていた
迷い悩むほどに 人は強さを掴むから 夢をみる
凛として旅立つ 一朶の雲を目指し

あなたと歩んだ あの日の道を探す
ひとりの祈りが 心をつないでゆく
空に 手を広げ ふりそそぐ光あつめて
友に 届けと放てば 夢叶う
はてなき想いを 明日の風に乗せて

わたしは信じる 新たな時がめぐる
凛として旅立つ 一朶の雲を目指し
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

作詞の小山薫堂さんは、滝田洋二郎監督 映画「おくりびと」の脚本などでも有名。この楽曲に関してこう語っている。

「音の光。もしこの楽曲が、あたなの心を照らすささやかな光になっているとするならば、
僕がこれ以上語ることは何もない。」

 

主題歌も、第1部 サラ・ブライトマン、第2部 森麻季、第3部 麻衣と、それぞれが歌いつないでいる。同じ曲でも、歌い手によって、ここまで印象も味わいも変わるものだと思う。そして、ひとつの曲が第1部から第3部へと変化していく様子は、時代の変化や流れという、これもまたこの作品の世界観を反映している。

 

久石譲本人は、この楽曲に関してこう語っている。

「シンプルであり品格のある音楽にしたい。そして皆さんにぜひ歌っていただきたい。江戸から明治に時代が変わるとき、イギリス文化が取り入れられた。音楽教育にもそれはあり、今も小学校の教科書にはそういった曲がたくさん載っている。そこからアイルランド民謡やスコットランド民謡のような、素朴でどこか懐かしい、いつまでも心に残るような、そんな曲ができたらいいと思った。」

 

旋律的な特徴で印象的に思うことがある。メロディーラインが、つまり旋律が上に登っていっている。まさに、坂の上の雲に向かってひたすらに歩き続けていくように。鮮やかに、高揚感に満ちた希望の歌、そして鎮魂の祈り。

 

「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック」

(1) Stand Alone /サラ・ブライトマン×久石 譲
オーケストラをバックに日本語歌詞を丁寧に美しく歌い上げている。第1部主題歌。
(7) Stand Alone (Vocalise) /サラ・ブライトマン×久石 譲
ヴォカリーズ、つまり歌詞を伴わない母音のみによって歌う歌唱方法。サラの表現力の高さが光る。
(12) Stand Alone for Orchestra
オーケストラのインストゥルメンタル。主にストリングスがメロディーを優雅に奏でる。
(13) Stand Alone with Piano /サラ・ブライトマン×久石 譲
ピアノ伴奏のみに歌唱はヴォカリーズ。久石譲のピアノとサラ・ブライトマンの歌、二つの才能が競演。
※「サントラ2」収録(13) 「サントラ3」収録(20) 同曲収録

 

「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 」

(5) Stand Alone for Violin & Violoncello
ヴァイオリンとチェロの掛け合いにハープの上品な伴奏という悠々な1曲となっている。
(24) Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)
より大人な、違った印象と息吹を与えてくれる佳曲。第2部主題歌。

 

「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 」

(13) Stand Alone /久石譲×麻衣
オーケストラ・アレンジも変更、新ヴァージョン。混声合唱も入りより透明感のある1曲に。第3部主題歌。
(16) Stand Alone for Clarinet & Glockenspiel
クラリネットとグロッケンシュピールによる温かい優しいメロディーになっている。
(21) Saka No Ue No Kumo
メインテーマ 『Stand Alone』を軸に、核となる数曲を織り交ぜた一大叙情詩。11分半にも及ぶ組曲。『Stand Alone』のオーケストレーションも変更されていて、映像を超えた音楽だけの作品に。特にクライマックスのリズム隊も入った高揚感と壮大なスケール感は圧巻。

 

「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編 」には新録や別ヴァージョンはないため、『Stand Alone』という主題歌・メインテーマで、計9つものヴァージョンがあることになる。ひとつずつを簡単に紹介したけれど、どのヴァージョンも素晴らしい品格に仕上がっている。

ドラマ「坂の上の雲」のなかで、第1部から第3部まで、3年間に渡る月日のなかで、いろんな色彩を放ち変化していったように、これから数年先、はたまた数十年先には、また新しい 『Stand Alone』が響きわたっているのかもしれない。

 

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』

2012年2月22日 CD発売

司馬遼太郎の長編小説を原作とするスペシャルドラマ「坂の上の雲」。
日本のテレビ史上これまでにないスケールを目指しNHKが総力を挙げて取り組んだスペシャルドラマである。音楽を手掛けたのは日本を代表するコンポーザー久石譲。

本作は2009-2011年に発表されたサウンドトラック3作品より第1・2・3部の番組メインテーマを一挙収録&人気の高い楽曲を中心に収録した総集編。

壮大なスケール感。希望に満ちた旋律。坂の上の雲に向かってひらすらに歩み続けた明治人の世界が鮮やかによみがえるオリジナル・サウンドトラック。

 

『坂の上の雲』の音楽

スペシャルドラマ『坂の上の雲』の音楽担当の話が来たのはもう7、8年前になります。司馬遼太郎さんの原作が大好きでしたから、ぜひ担当したいとお引き受けしました。

『坂の上の雲』についてはトータルで約80曲作りました。自分ではテレビドラマというより映画音楽として考えて作りました。通常のテレビドラマの音楽は1分とか1分半などの短い曲をたくさん作るようですが、僕は3分前後の曲を多く書いたので、実質膨大な量になりました。今回の作品は現代音楽からメロディアスな音楽まで、自分が作ってきたすべてを総動員して力を入れて作りました。今は3年間の放送を終えてとても嬉しい気持ちです。

最も重要だったのはやはりメインテーマです。番組の顔に相当するメインテーマをどう作るのか一番時間をかけて悩みました。

明治という時代には前体制が壊れて新しい体制に向かっていく楽天主義的な夢がたくさんある。そういう世界観を描きたい。最初にスコットランドやアイルランドの民謡が頭に浮かびました。素朴でどこか懐かしい。いつまでも心に残るような。そんなテーマ曲が書けないかと思いました。

そしてこれだけスケール感あるドラマなら音楽はシンプルにしたい。特にメインになる曲はどこまでシンプルにできるかにこだわりました。また、この物語は「英雄物語」ではなく、一生懸命生きた人間が巨大な戦争に巻き込まれていく話です。歴史の重要な1ページを描くには品格のある音楽を、しかもドラマティックすぎずに描かなくてはいけない。結果として誕生した曲がメインテーマ「Stand Alone」でした。そしてこれだけシンプルだったら、ぜひ皆さんに歌っていただきたいと思い、映画『おくりびと』の脚本家、小山薫堂さんの詞を得て”歌”にしました。

考えてみると、小学校の教科書には「蛍の光」「ロンドンデリーの歌」といったスコットランドやアイルランドの民謡が載っています。江戸から明治に時代が変わるとき、イギリス文化が取り入れられました。そして音楽教育のベースにもそういった音楽があったんです。僕たちは小さい頃からそういった音楽で育っているんですね。意識していなかったのですが、スコットランド民謡のような曲を書こうと思ったこと、最初にイギリス人歌手であるサラ・ブライトマンを起用しようと思ったこと、『坂の上の雲』の音楽を作るにあたってすべてが”イギリス”に向いていました。自分の中にある”イギリス”は『坂の上の雲』の音楽を作らせた大きな要因の一つでした。

昨年震災が起こりました。モノを創る人間として大変大きな衝撃がありました。何を目指して作っていけばよいのか、みんな分からなくなってきています。また、21世紀に入ってから今までの価値観ではやっていけないという事実に直面しています。そんな中、今回の音楽にかけて言うなら大事なのは”Stand Alone”という境地ではないかと感じています。

”Stand Alone”とは独りで立つということ。個人主義ではなく、自分は孤独で独りである、と認識すること。そうすれば人にやさしくすることも、人と力を合わせることも喜びに感じる。僕は最近、「目ざせ、Stand Alone」ということを懸命に考えています。

久石譲

(本原稿は2011年12月3日大阪府東大阪市:司馬遼太郎記念館/特別講演会「坂の上の雲と音楽」より談話を一部抜粋・加筆して再構成したものです)

(CDライナーノーツより)

 

「音の光」

知人から、時々こんなことを言われる。
「Stand Aloneというタイトルが、まず素晴らしいですね」

実はこのタイトルは僕がつけたものではない。作曲者の久石譲から曲をいただいたとき、すでに「Stand Alone」という素敵なタイトルがつけられていた。

久石さんの曲を聴く前に、まず脚本を読むことにした。イメージを膨らませて、言葉の欠片をできるだけたくさん頭の中に並べ、すでに出来上がっている曲とお見合いさせようと思ったからだ。

しかし、物語は壮大過ぎた。人間の尺度で話は紡がれるが、それは国、やがては時代のスケールで語られる。この世界観をそのまま歌にするのはとても難しい。それでも、時を経ても色褪せることのない普遍的な楽曲にしたい、と思った。

言葉に行き詰まってしまった時、初めて楽曲を聴いた。背筋をピンと伸ばし、誰もいない仕事場で大きく深呼吸して、CDプレイヤーのプレイボタンを押したのを覚えている。

それから先、どういう想いのもとにこの詞が完成したかは、あえて伏せておくことにしよう。ドラマの主題歌として皆さんがそれぞれのイメージを抱いている今、その誕生秘話を語るなんて野暮な話だ。

ただ…、ひとつだけ明かすとするならば、僕の頭の中にはずっと「光」のイメージがあった。闇の中にいる人たちにとって、この歌が「光のような存在」になればいいと思った。

光を一方的に求めているだけでは何も始まらない。人間ひとりひとりが自分なりの光を見つけ出し、それを仲間と共有したときはじめて、私たちは大きな光に照らされるのである。

そう、「Stand Alone」とは、音の光。もしこの楽曲が、あなたの心を照らすささやかな光になっているとするならば、僕がこれ以上語ることは何もない。

小山薫堂

(CDライナーノーツより)

 

 

第1部から第3部までの
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック」
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 」
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 」

この計3枚のCD作品よりそれぞれの主要なテーマ曲&人気の高い楽曲を中心に収録した総集編。とにかくこの「坂の上の雲」作品において、曲数が多い。3年にわたって放送とはいえ全13回。司馬遼太郎の原作も全8巻という超大作だけあって、時代の経過やストーリー展開とともに、そのシーンに合わせて新しく書き下ろされた楽曲がそれだけ多いということ。

ジブリ作品にも制作段階から数年費やすものはもちろんある。そしてそれはイメージアルバムやサウンドトラック、その後の交響組曲などに発展していく。

この「坂の上の雲」という作品においては、そういう企画でもなく、本編中に使用された楽曲のみで構成されたサウンドトラックが全3部放送に伴い全3枚のCD作品として発売されている。

メインテーマをはじめとしたいつくかの主要テーマをモチーフにしたものもあるが、それ故ではない、シーンごとの全く新しいテーマ曲の多さが、この総集編からもわかる。

現に久石譲本人もこう語っている。
「約80曲つくった。今回の作品は現代音楽からメロディアスな音楽まで、自分が作ってきたすべてを総動員して力を入れて作った」

もちろんこの総集編にもれてしまった名曲たちもこの作品にはたくさんある。でも考えてみれば、計何十時間にも及ぶこの大作を仮に2時間TVドラマ総集編にしたところでやはり同じこと。視聴者によってはお気に入りの名シーンがカットされてしまうこともある。作品の世界観とバランス、時間の制約からはしょうがない。それはこの「オリジナル・サウンドトラック 総集編」でも同じことが言える。

とにかく「オリジナル・サウンドトラック」1-3のどのCD1枚をとっても、この「オリジナル・サウンドトラック 総集編」であっても、「坂の上の雲」の世界観を、壮大なスケール感で感じとれることは間違いない。

「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック」からは(1)~(6)
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 」からは(7)~(11)
「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 」からは(12)~(16)
がそれぞれ収録されている。

第1部から第3部までそれぞれに使用された主題歌 『Stand Alone』もサラ・ブライトマン(6) / 森麻季(11) / 麻衣(16) とすべて収録されている。

さらには「オリジナル・サウンドトラック 3」に収録されていたボーナス・トラック(17)の約11分の壮大な組曲までと、計77分にも及ぶ贅沢な総集編となっている。

 

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』

1. Stand Alone for Orchestra
2. 時代の風
3. 旅立ち
4. 青春
5. Human Love
6. Stand Alone (Vocalise)  / サラ・ブライトマン×久石 譲
7. 少年の国
8. アリアズナ
9. 終の住処
10. 広瀬の最期
11. Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)
12. 第三部 序章
13. 絶望の砦 ~二〇三高地ニ起ツ~
14. 天気晴朗ナレドモ波高シ
15. 日本海海戦
16. Stand Alone / 久石譲×麻衣
ボーナス・トラック
17. Saka No Ue No Kumo

音楽/久石譲
指揮/外山雄三 演奏/NHK交響楽団 (M1-6,M11,M15-17)
指揮久石譲 演奏/東京ニューシティ管弦楽団 (M7-10,M12-14)

All Music Composed and Produced by 久石譲

Piano by 久石譲 (M6,M11)

Orchestrated by 山下康介 宮野幸子 久石譲

Recorded at
NHK CR-506, CR-509 (M1-6,M11,M15-17)
Nemo studios (M6)

Mixed at NHK CP-604, CR-506

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』

2011年11月9日 CD発売

2009年から2011年まで足掛け3年にわたって放送されたNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
原作は司馬遼太郎の同名小説「坂の上の雲」
2009年第1部 2010年第2部 2011年第3部 全13回
その3年間にわたって放送された全3部の音楽を担当。

 

司馬遼太郎の長編小説を原作とするスペシャルドラマ「坂の上の雲」。
日本のテレビ史上これまでにないスケールを目指しNHKが総力を挙げて取り組んできたスペシャルドラマである。音楽を手掛けるのは日本を代表するコンポーザー久石譲。

本作は「ドラマ第3部」のために録音された新曲と「ドラマ第1部・第2部」使用曲より第1弾・第2弾サントラ未収録曲をまとめて一挙収録した豪華盤。視聴者の皆様から人気の高い「Stand Alone」の新ヴァージョンも収録。

壮大なスケール感。希望に満ちた旋律。坂の上の雲に向かってひたすらに歩み続けた明治人の世界が鮮やかによみがえるオリジナル・サウンドトラック。

 

寄稿

曲が自分を追い越していきました。

身体を通過して、物語を通過して、知らないうちに久石さんの音楽が物語の高揚感とか、もしくは後味みたいなものを先導している形になっていました。

一言でいえば頼もしいというか、守られているというか。ドラマの撮影中「Stand Alone」にそんな不思議な力を感じていました。

本木雅弘

(NHK BS「ザ☆スター」インタビューより談話抜粋・一部加筆修正)

(CDライナーノーツより)

 

久石譲さんのマジック

スペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部は戦争を描いている。映像では砲煙が立ち込め、激しく土煙が舞い上がる。銃口からは火花が散り、何隻もの軍艦が波しぶきを立てながらターンしてゆく。戦争の映像を作るために、制作現場も戦争のようになっている。最新の映像合成技術は凄まじく、リアルな戦場の映像を作り出してゆく。しかしドラマ制作の手間が減った訳ではない。コンピューターのキーを叩けば映像が生み出されるものではなく、結局は手作業だ。多くのスタッフが精魂込めて作業している。職人仕事の積み重ねで映像ができてゆく。この10年間で、撮影から放送にいたるドラマの制作環境はデジタルへと変わったが、やることは変わらない。デジタルを使ったアナログな作業だ。議論と試行と失敗とを積み重ね、現場から番組が生まれる。

音楽も同じであると思う。久石譲さんとわれわれスタッフが議論を積み重ね、できるだけ音楽イメージを共有しようとする。音楽という言葉にならないものについて話し合っている現場は、傍からはかなり滑稽に見えるかもしれない。しかし、音楽が生まれる端緒はそういう現場である。

議論の場における、われわれのある種滑稽な言葉と未完成の映像が、久石さんのもとに残される。そこからは久石さんの作曲家としての孤独な作業だ。ドラマは大勢のスタッフと出演者の共同作業によって作られるが、その中でも孤独な仕事を強いられるのが脚本家と作曲家である。しかし、その孤独な仕事から生み出されるものは素晴らしい。脚本家の原稿の一行が迫真の映像となり、作曲家のスコアは大編成のオーケストラが奏でる美しい音響となる。

第3部の音楽では、ひとつだけわがままを言った。メインテーマである「Stand Alone」を麻衣さんに歌ってほしいということである。麻衣さんは久石さんの娘さんで、3年前に「Stand Alone」のデモを聴いたときに歌っていたのが麻衣さんだった。そのときの鮮烈な印象が忘れられず、是非にとお願いした。

新しい「Stand Alone」を聴いたとき、「鎮魂の祈り」と「未来への希望」という言葉が浮かんだ。このドラマの締め括りにふさわしい音楽になった。ひとつの曲がドラマの各部ごとに変貌を遂げたというだけでなく、この3年間の社会の変化を敏感に反映しているように感じる。久石さんのマジックである。

2011年9月

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
チーフ・プロデューサー 藤澤浩一

(CDライナーノーツより)

 

 

この「オリジナル・サウンドトラック 3 」は第3部新録音楽曲となる(1)~(13)と、第1部未収録楽曲となる(14)~(16)、第2部未収録楽曲となる(19)~(21)に、ボーナス・トラックの(20) (21)で構成されている。

(20)は「オリジナル・サウンドトラック 1」(以下 サントラ1)「オリジナル・サウンドトラック2」(以下 サントラ2)にも収録されている。

主題歌でありメインテーマの『Stand Alone』は、「サントラ1」「サントラ2」の既発6ヴァージョンとは別に、(16)にて、クラリネットとグロッケンシュピールによる温かい優しいメロディーになっている。

第3部で主題歌を歌っているのは、麻衣(13)。オーレストラ・アレンジも「サントラ1」「サントラ2」から変更されていて、新ヴァージョンに。混声合唱も入り、より透明感のある1曲となっている。

第3部の新録音楽曲からは、(1)は「サントラ1」の『(10)激動』とメインテーマ『Stand Alone』をモチーフにした序章、(2)は「サントラ1」の『(2)時代の風』をモチーフにするなど、第1-2部の流れをくみながらも、第3部はまさに戦争が描かれているだけあって、(6) (8) (11)は鳥肌が立つほどの勇壮な楽曲になっている。

第1部の未収録楽曲からは、「サントラ1」の『(3)旅立ち』をモチーフに、よりやさしい響きになっている(15)や、第2部の未収録楽曲からは、本編でも印象的に使用されていた(19)などが新たに加わっている。

そしてほんとにボーナスな1曲に仕上がっているのが、ボーナス・トラックの(21)。11分半にも及ぶ大曲となっていて、曲名からもわかるように、「坂の上の雲」の世界を凝縮した組曲『Saka No Ue No Kumo』。メインテーマ『Stand Alone』を軸に、核となる数曲を織り交ぜた一大叙情詩となっている。

 

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』

第3部:新録音楽曲より
1. 第三部 序章
2. 孤影悄然
3. 大地と命と
4. 煉獄と浄罪
5. 二人の将
6. 絶望の砦 ~二〇三高地二起ツ~
7. 海と命と
8. 天気晴朗ナレドモ波高シ
9. AIR
10. 運命の死地
11. 日本海海戦
12. 終曲
13. Stand Alone / 久石譲×麻衣
第1部:未収録楽曲より
14. 少年の国 III
15. 夢
16. Stand Alone for Clarinet & Glockenspiel
第2部:未収録楽曲より
17. 大英帝国のテーマ
18. 獣たちの宴
19. 赤い花
ボーナス・トラック
20. Stand Alone with Piano / サラ・ブライトマン×久石譲
21. Saka No Ue No Kumo

音楽/久石譲
指揮/外山雄三 演奏/NHK交響楽団 (M11,M13,M21)
指揮/久石譲 演奏/東京ニューシティ管弦楽団

All Music Composed and Produced by 久石譲

Piano by 久石譲
Vocal by 麻衣 (M9,M13)
Chorus by 栗友会合唱団 (M13,M18)

Orchestrated by 山下康介 宮野幸子 久石譲

Recorded at NHK CR-506, CR-509 (M11,M13,M21) Nemo Studios (M20)
Mixed at NHK CP-604, CR-506