雑誌「サライ」9号(2006年5月4日)小学館
“ウイスキー「想い出」語り”というサントリーのタイアップ記事(50ページめ)に久石が登場いたします。ウイスキーにまつわる久石の今昔物語をお楽しみに。
2006年4月26日 CD発売 WRCT-1010
コメント
ミニマルアーティストを止めて映画を何本か録った後、僕はこの「楽園 モルディブ」の音楽を作った。きわめてシンプルでありながら明るい透明な世界観ができたのは、三好さんと行ったモルディブでの体験と美しい写真がなければ書かなかった、あるいは書けなかった。
そして長い年月を経て今聞いてみると、それが何よりもミニマルミュージック的であったことに僕はある種の感慨を抱く。「心の中のMistral(季節風)」そんな体験をこのアルバムで一緒にできれば僕らの「楽園」は幸せだ。
久石譲
昔、久石さんと一緒にモルディブの島々をあちこち旅をしました。20年以上も前です。久石さんにつくっていただいたこの音楽によって、僕の楽園へのイメージがしっかりと形になりました。僕の「RAKUEN」の源がこの音楽です。
三好和義
(コメント ~CDライナーノートより)
4月26日(水)~5月7日(日)新宿タカシマヤにて三好和義写真展「南国の楽園 ON THE BEACH」がありました。なぜ三好和義さんの写真展が関係あるの?と疑問をもたれる方のために説明いたしますと、4月26日にWonderland Recordsからリリースされた『RAKUEN / MALDIVES』は1985年に発売されたビデオ『RAKUEN』に久石が音楽をつけたサウンドトラックで、その映像ビデオを撮影したのが写真家の三好和義さんです。今回『RAKUEN / MALDIVES』を発売するにあたり三好さんの事務所へ連絡すると、偶然にも三好さんの方でも新宿タカシマヤで写真展を催すとのこと。そういった経緯からCDの発売を写真展に合わせることになったのです。
タカシマヤ10階の展示場にて三好和義さんがこれまで撮影した地球にいちばん美しい場所”楽園”をテーマにした写真約200点がところ狭しと展示され、南国の風景やそこに住む人たちの日常などを映し出していました。ゴールデンウィークということもあって写真展には多くの人だかりができており、会場のBGMとして流れていた『RAKUEN / MALDIVES』のおかげもあって気分はまさに楽園でした。会場には三好さんもおいでになり、サイン会やギャラリートークショーなども開催され展示会は大盛況のうちに幕を閉じました。
(三好和義写真展『南国の楽園 ON THE BEACH』レポート ファンクラブ会報 JOE CLUB vol.2 2006.06 より)
(VHS CSMV0062)
RAKUEN/MALDIVESは、”水平線のフォトグラファー”の異名をとる三好和義氏の”RAKUEN”シリーズ第3弾目の作品である。いい画面でフィックスしたまま長い時間見せるという、第1弾からの基本姿勢をふまえながらモルディブを舞台に撮影している。今回の作品を制作するにあたり、三好氏は1984年から時間の許す限りモルディブを訪れている。その時の体験について三好氏は、こう語っている。──『ある日、どこからともなく僕の心の奥をくすぐる様な香りが、プーンとしてきた。これだ!僕のRAKUENの香りがしたんだ。目に入ってきたのは、巨大な房のバナナだった。僕のRAKUENを見つけた気がした。僕の祖先はきっと、いつもバナナと一緒に暮らしていたんだと思う。また、モルディブでは島が不思議な見え方をするんだ。ボートで走っていると、水変遷に椰子の木が2、3本霞んで見える。そのうち5本、10本と見えてきて、近づくにつれて白い砂が浮いたり沈んだり見えてくるだ。地球が丸いことをその時、感じたんだ』──三好氏はまったく感性の人なのだ。今回のビデオの撮影期間は1985年2月から3月にかけての約1カ月間。むろん三好氏本業の写真を撮る時間を含めてである。今回の作品では特に長望遠(35mmカメラで24mm相当)と広角(35mmカメラで24mm相当)のレンズを多用し、三好氏独特の世界を創り出している。また、音楽では「風の谷のナウシカ」、「Wの悲劇」の音楽を担当した久石譲氏が、三好氏とモルディブへ同行し、フェアライトとシンセサイザーを駆使した曲を創りあげている。三好和義のRAKUEN/MALDIVES。鳥になって、モルディブの空を飛んでいるような気分。自分の部屋がモルディブの砂浜になった気分。海辺で音楽でも聴いているような気軽な感じで、見てほしい。
(VHS封入カード より)
1985年にリリースされた、写真家 三好和義氏の人気シリーズ「楽園」モルディブ版、そのビデオに収録されていた音源をリマスタリングして収録したアルバム。自身のレーベル、WANDER LAND RECORDS 設立によって約20年を経て作品化された貴重な音源。
究極の楽園ヒーリング・ミュージック。タイトルの通り安らげる楽園のような一枚。トロピカルなサウンド 楽器によるミニマルミュージック。永遠に終わることのないようなくり返すミニマル音楽が、時が止まったような時間を忘れさせてくれる楽園へと誘ってくれる。
多くのピアノやオーケストラ作品とは一線を画した心地のよいやわらかなシンセサイザーサウンド・アルバムとなっている。
1.RAKUEN
2.MALÉ ATOLL
3.TROPICAL WIND -a palm-
4.SILENT FISH
5.WALKIN’ TO THE MALDIVES
6.MIRAGE
7.TROPICAL WIND
8.EVENING SERENADE
9.RAKUEN SUNSET
All composed, Arranged, Produced by JOE HISAISHI
Photograph: KAZUYOSHI MIYOSHI
Remastered by TOSHIYUKI TAKAHASHI (WonderStation)
2006年4月3日 TV放送開始
テレビ東京系「家族の時間」(毎週月曜日 夜10時54分~11時)の音楽を久石譲が担当している。番組は2010年3月29日、全208回をもって終了。
番組案内
毎回、1つの家族を見つめます。何気ない普段の生活の中にある「家族の時間」の温もり。久石譲の暖かいオリジナル曲と鶴田真由の清涼感溢れるナレーションでお届けします。
久石譲メッセージ
僕は家庭を顧みることのない仕事人間で、ほとんど寝る事と、食べる事のために帰っている。その分気遣いをしているつもりだが家族はもっと神経を使っている。たぶん。
人間の顔と同じようにそれぞれの家族には他人にはわからないそれぞれの家族の顔がある。その小さな喜びや哀しみは何にも代え難い。
この番組の音楽を通して細やかな罪滅ぼしと感謝の気持ちを僕は伝えたいと思う。
久石譲
(番組公式サイトより)
楽曲情報
家族の時間 ~メインテーマ~
家族の時間 ~絆~
家族の時間 ~日常~
CD化されていない作品。
スタジオジブリ作品をはじめとして、数多くの映画音楽などで活躍している久石譲。彼の長女・麻衣が、父親の楽曲「さくらが咲いたよ」で歌手デビューする。
2歳からピアノの英才教育を受け、6歳からNHK東京放送児童合唱団に所属した彼女。これまで表立った活動はしていないように思われるが、実は、父・久石譲が参加した「風の谷のナウシカ」の中で、ナウシカの回想シーンで流れる「ラン ラン ララ~」のあのメロディーを歌っているのが、当時4歳の彼女である。
[Web]
・完全無料放送 「Gyao」 New!
World Dream Orchestraツアー「12月の恋人たち」の映像を見ることができます。コンサートへ行くことができなかった人もふたたびあの感動を味わいたい人もぜひご覧ください! “Info. 2006/01/01 メディア情報 [Web・ラジオ・新聞・雑誌・TV]” の続きを読む
2005年12月22日 DVD発売 2枚組 ASBY-5288
2004年公開フランス映画「コーラス」(日本公開2005年)。久石譲はこの作品自体には携わっていないが、DVD発売にともない特典映像に監督との対談が収録されている。約20分。
また劇場用パンフレットにも寄稿している。
<スタッフ>
製作:ジャック・ペラン/アーサー・コーン/ニコラ・モヴェルネ
監督・脚本・音楽:クリストフ・バラティエ
原案:映画「春の凱旋」(1944年)/音楽:ブリュノ・クーレ
合唱団:サン・マルク少年少女合唱団/指揮:ニコラ・ポルト
本編ディスク:
・本編97分
〈映像特典〉
・予告篇(本国版オリジナル・日本版)
・スタッフ&キャスト プロフィール
ショート・インタビュー収録:ジャン=バティスト・モニエ/ジュラール・ジュニョ/ジャック・ペラン)
特典ディスク:
・メイキング:『コーラス』はこうして生まれた
・撮影現場より:
天使たちの歌声/僕に話して!/13歳以上立ち入り禁止/やられたら やり返せ/天使たちのカメラテスト
・天使たちのフォトギャラリー
・コーラス・イン・ジャパン
久石譲×ジャック・ペラン 対談
ジャパン・プレミア 天使のソロ(ジャン=バティスト・モニエ独唱)
<封入特典>
楽譜付きメモリアル・ピクチャーノート/封筒付きフォトカードセット(5枚組)/紙飛行機ペーパークラフト(メッセージ付き台紙)
2005年12月20日 CD+iVCD発売 CGM0169 ※輸入盤のみ
2006年香港公開 映画「情癲大聖」
(英題:A Chinese Tall Story 邦題:西遊記リローデッド)
監督:Jeff Lau Chun Wai ジェフ・ラウ 音楽:久石譲
西遊記を題材にしたSFファンタジー。音楽的にもアジアンテイストあり、ハリウッド映画を彷彿とさせるダイナミックさ、とりわけハリー・ポッターの世界観を思わせるファンタジーさなどバラエティーに富んだ内容になっている。
それは編成やアレンジにも現れていて、フルオーケストラ、シンセサイザー、民族楽器など多数混在するなか、うまく融合した独特な異次元、SFファンタジーの世界へ連れて行ってくれる。
主題歌(1)は、アジアの響きのするメロディアスな旋律。デュエットにより歌われ、民族楽器も絡みあう壮大な世界観を演出している。その主題歌でもありメインテーマをモチーフとしたものは、(6) (7) (11) (18) (20) などでも聴くことができる。美しい旋律をピアノや胡弓が悠々と奏でている。
日本では映画「西遊記リローデッド」として、DVDなどで鑑賞することができる。
また、主題歌/メインテーマ曲は、オリジナル・ソロアルバム「Asian X.T.C.」にて「A Chinese Tall Story」として収録。サウンドトラック用とは別に、原曲の持ち味をそのままに、ピアノと二胡、そしてストリングが叙情的に流れる、完成された1曲として聴くことができる。
1.情聖 Sacred Love – 謝霆鋒/ 蔡卓妍 (情癲大聖主題曲)
2.佛光初現 Prologue / The Triumphant Entrance
3.妖夜 Dogfight Over Shache
4.奪命煩音 Words Are Lethal
5.天王有難 Rout Of The Four Heavenly Knights
6.你跳我跳/ 愛情笨豬跳 Lover’s Gambit
7.“等” Longing For You
8.在下唐三藏 Yours Truly, Tripitaka
9.大陰謀 The Conspiracy
10.棄明投暗 Capitulation
11.雪中送外 Twirling Snow
12.君臨天下 Alien Invasion
13.美-艷 I Can Fly!
14.戰役愛你萬年 Help is On The Way
15.世界的終末 Annihilation of The Tree Spirit
16.秘密 The Princess’s Secret
17.再鬧大宮 Storming of The Celestial Court
18.我知道I Know
19.回頭是岸 Divine Manifestation
20.無限的愛 A Journey West
iVCD
1. 唐僧取情经
2. 莎车城大影院 (I)情圣 MV (II)爱 MV (III)情癫大圣 制作特辑 (IV)情癫大圣 剧场版第一版预告片 (V)情癫大圣 剧场版第二版预告片
3. 一切从癫开始
4. 造妖者
5. 免费唐僧肉尽情下载
6. 唐僧棒打妖精游戏
7. 西域圣诞 e Card
Music Composed and Produced by Joe Hisaishi
Piano:Joe Hisaishi
Performed by The China Philharmonic Orchestra
Conducted by Joe Hisaishi
二胡 Er-hu:Chen Jun
Kena:Takashi Asahi
Recorded at 北京電影廠録音室(中国), Wonder Station(日本)
2005年12月14日 CD発売 FLCF-4088
2005年公開 映画「男たちの大和/YAMATO」
監督:佐藤純彌 音楽:久石譲 出演:反町隆史 渡哲也 他
“勇敢”と“悲壮”の二つの雰囲気に魅了
PRODUCTION NOTE
精力的に画と音と対峙し続け、今や日本映画音楽界のみならず国際的にも活躍している巨匠・久石譲。実は彼、若き日に映画音楽の大家である故・佐藤勝の恩恵を受けており、かつて『陸軍残虐物語』や『敦煌』など何本も佐藤勝と共に名作を連打してきた佐藤純彌監督の感慨もひとしおであった。
本作の音楽を作曲するにあたり、久石は「大和」「青春」「戦闘」「レクイエム」「癒し」そして「再生」といった6つの大きなモチーフを構築し、シーンに応じてそれらを巧みに使い分けながら1曲1曲を奏で上げ、作品に多大な成果をもたらしている。それぞれが明確なメロディと繊細な音色に気を配った素晴らしい楽曲ばかり。また悲劇が連鎖していくストーリー性にも関わらず、すべての画と音を堪能した後の印象は、涙を流した後のさわやかさにも似てどこか明るく晴れやかである。それは未来への希望を示唆する作品の意図を十分汲みとった、久石譲の映画音楽作曲家としての卓抜したセンスも当然挙げられるが、同時に彼が生来持ち得ている音楽的純粋性と、劇中の特年兵たちが醸し出す純粋性とが気持ちよく呼応しているからでもあろう。ラストを壮麗に刻印する「再生」のモチーフ曲は、デモテープを聴いた角川春樹プロデューサーから「もうひといき粘ってみないか」との要望に久石が熱く応え、全く新しい発想で作り上げた渾身の仕上がりともなった。録音は2005年10月3、4日、かつしかシンフォニーヒルズにて、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団およそ80名に、コーラスの栗友会60名という大編成。そこで、初めてオーケストラで奏でられた新たな「再生」に接した角川プロデューサーは、涙を拭う暇もないまま久石のもとへ駆け寄り、堅い握手を交わしたのであった。それを見守る佐藤監督の表情も実に満足げだ。その後も久石は、佐藤監督と0.1秒レヴェルの音と画の細かい打ち合わせを終始和やかに行いつつ、録音を続けていく。
自ら指揮台に立って棒を振る久石は、演奏が終わるためび自分の曲を具現化してくれるオーケストラの面々に感謝の意を表することを忘れない。「ありがとう」「素晴らしい」「最高!」それらの言葉を発する久石の子供のような笑顔は、音楽に対する純粋性を巧みに物語っている。そしてその純粋性こそは『男たちの大和/YAMATO』にふさわしいものでもあるのだ。
(映画「男たちの大和/YAMATO」劇場用パンフレット より)
(CDライナーノーツ より)
以上、ふたつの資料より重複箇所などを再構成している
1.YAMATO 唄:長渕剛
2.大和の海
3.男たちの大和
4.光る海
5.兵士のエチュード
6.青春の碑(いしぶみ)
7.海の墓標
8.沈みゆく太陽
9.生きる覚悟と死ぬ覚悟
10.英霊たちの旅立ち
11.愛の無常
12.花の降る午後
13.名残りの雪
14.女たちの大和
15.特攻の海
16.惜別の賦
17.男たちの挽歌
18.帰らざる海
19.青春の巡礼
20.明日に生きる
21.大和よ永遠に
22.CLOSE YOUR EYES 唄:長渕剛
All Score Composed, Arranged and Conducted by Joe Hisaishi
Performed by The Tokyo Philharmonic Orchestra / Ritsuyukai
Produced by Ko Ishikawa
A&R: Isao Okada (FLME)
Recorded & Mixed by Suminobu Hamada
Assistant Engineers: Hiroyuki Akita, Tomotaka Saka & Akihiro Tabuchi
Co-operatred by Octavia Record, SCI, Psy Corporation & Hibino
Recorded at Katsushika Symphony Hills & Wonder Station
Mastering Engineer: Hiroyuki Hosaka
Jacket Design: Daisuke Suzuki
Special Thanks Toei Company, OFFICE REN, Tatsuya Masutou & Wonder Staff
M1
Lyrics, Composition, Arrangement: Tsuyoshi Nagabuchi
M22
Lyrics, Composition, Arrangement: Tsuyoshi Nagabuchi Strings Arrange: Ichizo Seo
12月10日にロサンゼルス批評家協会賞が発表された。このなかで日本の『ハウルの動く城』の作曲をした久石譲が音楽賞を受賞した。次点が発表されるこの賞では、次点はやはり日本映画である『トニー滝谷』を作曲した坂本龍一であった。アメリカの映画の賞では珍しい日本映画、日本人同士の争いだったことになる。音楽賞の日本人の受賞は、1985年の武満徹の『乱』以来20年ぶり2度目である。
久石譲は現代音楽の作曲家として活動をする一方で、映画音楽の作曲も積極的に手掛けている。とりわけ宮崎駿監督のアニメ映画では『風の谷にナウシカ』以来、『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』など数多くの作品を手掛けてきた。今では、宮崎アニメには欠かせない顔となっている。