Blog. 歌かインストか ~鶏か卵か~ 映画音楽編

Posted on 2025/06/25

久石譲は稀代のメロディメーカーである。ここは手短に先に進んでいいですよね。これまでにたくさんの名曲を生み出してきました。さて、今一瞬思い浮かべた名曲は歌ものですか?それともインスト曲ですか?

「鶏が先か、卵が先か」”Which came first: the chicken or the egg?” テーマは明解!いろいろな説明をすっ飛ばしても大丈夫、さっそくいってみましょう。

 

 

映画音楽編

久石譲が音楽担当する映画そのケースのひとつに主題歌も含めたその全てをトータルコーディネートすることがあります。映画全体から音楽設計することで主要テーマ曲のメロディが主題歌(歌曲)やメインテーマ(器楽曲)となって多彩に本編に登場してきます。このときその歌とインストは同時に誕生していると言えます。

例えば、ワールドベスト盤に収録されている「Innocent」も「My Neighbour TOTORO」も「Ponyo on the Cliff by the Sea」も。それから「FOR YOU」「TWO OF US」「Tango X.T.C.」も。映画主題歌の器楽曲版とも言えますが、初めのサウンドトラックからインストゥルメンタルver.があります。ワールドベスト盤にあるのは、映画のための曲想や曲尺といった制約から解放された自身の音楽作品(ソロアルバム)や演奏会用作品へと昇華させたものたちです。

だから今回のテーマ「鶏が先か、卵が先か」でピックアップできるような曲はそんなにありません。

 

 

 

 

それもそのはず!

「映画はインストゥルメンタル(器楽)が基本であり、主題歌はインストゥルメンタル(器楽)で通用するメロディーであるのが望ましい」by 久石譲

とはっきり明言しています。そのスタンスは映画音楽を始めた1980年代から一貫しています。なるほど久石譲が手がけた映画音楽には主題歌(歌曲)とメインテーマ(器楽曲)の両方で楽しめるものが多いということですね。これまでに語られてきた中から久石譲の映画音楽・歌の流儀については【テキスト編】でみていきましょう。

 

 

『おくりびと』

この映画のメインテーマといえば「おくりびと/Departures」です。チェロの美しい旋律はただただ耳を傾けたくなります。心を寄せたくなります。久石譲の映画音楽年表にとって欠くことのできないエポックな作品です。しっかりと自身のライフワークであるピアノストーリーズ・シリーズや集大成アルバムにもそのメロディを刻み込んでいます。

実はこの曲、映画主題歌にはなっていませんがイメージソングがあります。12本のチェロと1管編成のアンサンブルにのせてAIが歌詞をつけたものです。その作られた経緯やエピソードも当時からあまり触れられていないため、歌曲版が存在することを知らない人も多いかもしれません。サウンドトラックと発売日は同じです。

 

久石譲 『おくりびと オリジナル・サウンドトラック』

 

 

久石譲 『Another Piano Stories』

 

久石譲 『メロディフォニー』

 

 

映画『海洋天堂』にはメインテーマに歌詞をつけたイメージ・ソング「海洋天堂」があります。映画『川流不“熄”(A Summer Trip)』には主要テーマ曲に歌詞をつけたプロモーション・ソング「慢慢(Slowly)」があります。どちらも映画本編では使われていませんし、編曲は久石譲の手を離れて楽曲制作されています。音源化されていないのでこの話はしません(キッパリ)。

 

 

 

カバー

NHK連続テレビ小説「ぴあの」(1994)は音楽:久石譲です。主演と主題歌も務めた純名里沙の翌年アルバムでは映画『アリオン』から珠玉のメロディ「レスフィーナ」に新たな歌詞をつけた歌曲版「愛の果て」が誕生しています。また『魔女の宅急便』から「めぐる季節」もカバーしています。久石譲プロデュース作品です。

 

 

 

映画から飛び出して新しく生まれた、となったらこのくらいじゃないかなあと思っていますが、何かあったら教えてくださいね。

映画『菊次郎の夏』メインテーマ「Summer」は久石譲の代名詞、いや夏の定番曲、いざ夏の主旋律です。この曲にはコーラスバージョンがあります。!? ほんとです。2022年リトルキャロルのコンサートで初披露されています。音源化はされていません(まだ聴いたことはありません)。器楽曲をコーラス版にしたもので歌詞はありません。編曲は麻衣さん。いつか聴ける日が来たらアップデートして紹介できたらうれしい。

麻衣さんが中心となる女声コーラスグループ リトルキャロルには、スタジオジブリや映画音楽の枠を超えて久石譲のメロディを残していってほしいなと願っています。

 

 

とにもかくにも!

久石譲が映画やドラマのために書き下ろした、その作品のための替えの効かない珠玉の主題歌/メインテーマです。サウンドトラックはそのメロディを歌曲版/器楽曲版で楽しむことができる作品がたくさんあります。

『坂の上の雲』『この世界の片隅に』『ウルルの森の物語』『ぴあの』『LE PETIT POUCET』などなど、イニミニマニモ~

 

 

 

 

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