Disc. 『コーラス メモリアル・エディション』

2005年12月22日 DVD発売 2枚組 ASBY-5288

 

2004年公開フランス映画「コーラス」(日本公開2005年)。久石譲はこの作品自体には携わっていないが、DVD発売にともない特典映像に監督との対談が収録されている。約20分。

また劇場用パンフレットにも寄稿している。

 

 

 

<スタッフ>
製作:ジャック・ペラン/アーサー・コーン/ニコラ・モヴェルネ
監督・脚本・音楽:クリストフ・バラティエ
原案:映画「春の凱旋」(1944年)/音楽:ブリュノ・クーレ
合唱団:サン・マルク少年少女合唱団/指揮:ニコラ・ポルト

本編ディスク:
・本編97分
〈映像特典〉
・予告篇(本国版オリジナル・日本版)
・スタッフ&キャスト プロフィール
 ショート・インタビュー収録:ジャン=バティスト・モニエ/ジュラール・ジュニョ/ジャック・ペラン)

特典ディスク:
・メイキング:『コーラス』はこうして生まれた
・撮影現場より:
 天使たちの歌声/僕に話して!/13歳以上立ち入り禁止/やられたら やり返せ/天使たちのカメラテスト
・天使たちのフォトギャラリー
・コーラス・イン・ジャパン
 久石譲×ジャック・ペラン 対談
 ジャパン・プレミア 天使のソロ(ジャン=バティスト・モニエ独唱)

<封入特典>
楽譜付きメモリアル・ピクチャーノート/封筒付きフォトカードセット(5枚組)/紙飛行機ペーパークラフト(メッセージ付き台紙)

 

Disc. 『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』

2004年8月6日 DVD発売 VWDZ-8066

 

ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル
『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』

 

「大人が聴く歌、大人が唄える歌が欲しい」

宮崎駿監督のそんな想いから、このCDアルバム 「お母さんの写真」 製作プロジェクトは動き始めました。友人、上條恒彦の魂を揺さぶる歌声に感動し、この人に唄ってほしいという宮崎監督の強い願いは、糸井重里や久石譲など多くの人々を動かし、やがて、みんなの想いが1つの形になりました。CDの企画から出来上がるまでを収めたドキュメンタリー映像の第1部と、その完成を記念して三鷹の森ジブリ美術館で行われた上條恒彦のコンサートを収録した第2部との2部構成になっています。これは、大人が唄える歌探しに夢中になった大人たちの心温まる記録です。

 

【第1部】
大人が唄える歌をさがして。 構成・演出/浦谷年良
製作委員会のミーティングやレコーディング風景、宮崎監督や仲間達の熱い思いが伝わります。(約98分)

【第2部】
上條恒彦コンサート in 三鷹の森ジブリ美術館 構成・演出/関根聖一郎
アルバムからの6曲のほかに、「大きな古時計」、「だれかが風の中で」、「さんぽ」も唄われます。(約40分)

【映像特典】
宮崎駿監督作品
2003年夏 ハウス食品「おうちで食べよう。」シリーズ TV-CM
・ままごと篇 ・おつかい篇 ・路地裏篇 ・宣伝力一篇

 

 

久石譲も「油屋」「お母さんの写真」のレコーディング風景で登場する。宮崎駿監督や上條恒彦とのスタジオ内での録音のやりとりを収めた貴重な記録。(第1部、チャプター4,5)

 

 

【第1部】
大人が唄える歌をさがして。 構成・演出/浦谷年良
1.アルバムの発端
2.#見果てぬ夢
3.アルバムの企画会議
4.最初の録音日
5.#油屋&#お母さんの写真
6.#鞦韆(ぶらんこ)
7.#秋
8.#豚の丸焼き背中にかついで&#ひとつやくそく
9.#椅子
10.#牧場の朝&#冬の星座
11.アルバム製作委員会
12.#花あかり
13.#オルガンの丘#真夏の振り子
14.#祝祭
15.#何もいらない&#中央線

【第2部】
上條恒彦コンサート in 三鷹の森ジブリ美術館 構成・演出/関根聖一郎
1.油屋
2.お母さんの写真
3.真夏の振り子
4.中央線
5.冬の星座
6.牧場の朝
7.大きな古時計
8.だれかが風の中で
9.さんぽ

 

Disc. 久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』

久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』

2003年6月25日 DVD発売 UPBH-1094

 

2003年3月から行われた久石譲のコンサート・ツアーの中から4月16日に東京オペラシティーにて行われたコンサートの模様を収録。オリジナルアルバム「ENCORE」「ETUDE~a Wish to the Moon」からの曲を中心に披露したベストライブ。

 

 

長い音楽活動とコンサート活動のなかで、意外にもコンサートDVDとしては初作品化である。公演プログラムの曲間に、リハーサル風景やピアノ練習風景などが、ドキュメンタリータッチで記録されている。

 

 

 

a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR

– Encore & Others –
KIKI
谷への道
View of Silence
風のとおり道
Asian Dream Song
Friends
Summer
One Summer’s Day
HANA-BI

– Etude –
Moonlight Serenade 〜 Silence
月に憑かれた男
impossible Dream
夢の星空
Bolero
a Wish to the Moon

Musée Imaginaire
la pioggia
Tango X.T.C.

ToToRo
Madness
君だけを見ていた

本編111分

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall on April 16,2003

Composed (except “Moonlight Serenade”),
Arranged and Produced,
Conducted and Piano
by
Joe Hisaishi

Violoncello
1st
Hiroshi Kondo ~Concert Master,Solist
Takashi Kondo
Susumu Miyake
2nd
Makoto Osawa
Haruki Matsuba
3rd
Yoshihiko Maeda
Masanori Taniguchi
4th
Hiromi Uekusa
Seiko Ishida

 

Disc. 『千と千尋の神隠し/ SPIRITED AWAY』(北米版DVD)

2003年4月15日 DVD発売

 

2001年公開映画『千と千尋の神隠し』の北米版DVD『SPIRITED AWAY』。本編DVD+映像特典DVDの2枚組となっている。映像特典内容については、日本版と大きく異なっている。

 

【日本版:映像特典(Disc-2)】
・絵コンテ 約124分
 絵コンテを本編とリンクしてマルチアングルで全編収録
 マルチアングル:2/スクイーズ収録
・劇場予告編集 約30分
 劇場公開時の予告編を22種類収録
・「猫の恩返し」作品紹介 約1分

 

【北米版:特典映像(Disc-1)】
・Spirited Away
 映画本編
・Spirited Away Introduction by John Lasseter (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 ジョン・ラセターによる作品紹介 約1分
・The Art of Spirited Away (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 アメリカ版声優・スタッフ・宮崎駿監督などによるドキュメンタリー 約15分
・”Sneak Peeks”: Finding Nemo, Atlantis: Milo’s Return, Stitch! The Movie, Bionicle: Mask of Light, The Lion King Special Edition, New From Disney Interactive trailers
 ディズニー作品予告編
・Castle in the Sky, Kiki’s Delivery Service US DVD trailers
 「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」予告編

 

【北米版:特典映像(Disc-2)】
・Behind The Microphone With Suzanne Pleshette And Jason Marsden (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 アメリカ版声優紹介・英語版吹き替えメイキング 約5分
・Select Storyboard-To-Scene Comparison (Japanese or English 2.0 audio, 16:9, with no subtitles)
 絵コンテを本編とリンクしてマルチアングル *全編ではない 約10分
・Nippon Television Special – The Making Of The Film (Japanese DD 2.0, 4:3, with English subtitles)
 日本テレビ「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」(2001年7月TV放送) 約42分
・Original Japanese Trailers (Japanese DD 2.0, 4:3, with English subtitles)
 劇場予告編集 約30分

 

 

 

久石譲にフォーカスすると、日本版/北米版DVDに同じく収録された「劇場予告編集 / Original Japanese Trailers」で聴かれる音楽について。イメージアルバムにもサウンドトラックにも収録されていない宣伝用BGMとなっている。映画公開前の制作期間中であったこと、本編音楽が完成する前に予告編用BGMが必要であったからと思われる。映画冒頭の不思議の町に迷い込んだ時や湯婆婆のモチーフを連想させる音楽で、ピアノ、シンセサイザー、サンプリングボイスによるマイナー調の楽曲となっている。

 

 

北米版DVDのみに収録された「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」(日本テレビ:2001年7月TV放送)は、その後Bue-ray化されたときにも日本版Discには収録されていない。

北米版Blu-ray + DVD combo(2015年6月16日発売)には、Blu-ray本編・特典映像+DVD特典映像 となっており、DVDのほうに「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」が収録されるなど、北米版DVD2枚組(2003年)を引き継いだ内容となっている。

このTV番組でも劇場予告編集と同じ宣伝用BGMを聴くことができる。また制作ドキュメンタリーとして久石譲による音楽レコーディング風景も紹介されている。宮崎駿監督も同席のもとすみだトリフォニーホールでのフルオーケストラ録音である(約3分)。

 

 

↓こちらはBlu-ray Discの特典映像

Original Japanese storyboards
Original Japanese trailers
Original English theatrical trailer
Original TV Spots
Princess Mononoke in the USA – In September of 1999, Princess Mononoke’s director, Hayao Miyazaki traveled to the US and Canada to promote the film’s release. This feature is a record of those events.
Featurette – Jada Pinkett Smith, Claire Danes, Billy Bob Thornton, Gillian Anderson, Billy Crudup talk about acting in the English voice cast in Princess Mononoke.

 

 

この北米版BD+DVDコンボは2017年10月17日再発売されたおり、新たにブックレット12ページ(Invluding New 12-Page Booklet featuring Filmmaker Statements and Artwork)も封入されている。

北米版以外は比較していない。

 

 

Disc. 久石譲 『4MOVEMENT』

久石譲 『4 MOVEMENT』

2003年3月19日 DVD/CD発売 PCBE-50470

 

2001年「うつくしま未来博」ナイトファンタジア上映作品 『4 MOVEMENT』
監督:久石譲 音楽:久石譲

久石譲 第二回監督作品

 

日本映画音楽の第一人者、久石譲が奏でる
音楽と映像のシンフォニー、「QUARTET」に続き、
自ら監督を務めた待望の映像ファンタジー!

人は心の中にいくつもの顔を持っている。
優しさと人には言えない暗い部分を…。
ミオは成長していく中で心の中の闇に生まれた
もう一人の自分とどう向き合っていくか?
音楽の精ポコとともに巨大な怪物、
黒鳥と闘いながら見つけ出していく…

【STAFF】
監督・音楽:久石譲
プロデューサー:石原真
原案:ドリアン助川
脚本:小川智子
撮影:阪本善尚
音響:橋本文雄

【CAST】
Pace Wu、黄川田将也、浅野優梨愛、山本小百合、相ヶ瀬龍史、若林淳

 

 

【ストーリー】

MOVEMENT 1
殺伐とした大都会。雑然とした風景が闇に転じると少しずつ鼓動が聞こえ、閉ざされた空間(CUBE)から一人の少女・ミオが現れる。暗闇の中で戸惑うミオが目にする1台のピアノ。彼女が鍵盤をたたくと光りが現れ、その中から可愛らしい音楽の精・ポコが誕生する。ミオの良心の象徴であるポコは、彼女の奏でるフレーズを歓喜に満ちたメロディーに導き、それはやがて大きな光とともに新たな世界へと広がっていく…

MOVEMENT 2
大自然に包まれた世界。10才になったミオはポコとともに鬱蒼と生い茂る森を進み、そこでアルトという名の少年に出会う。彼がミオ自身の心の闇であるとも知らず、その不思議な魅力に惹かれ後をついていくが、突然豹変したアルトに翻弄され、自然の脅威にもまれながら闇へと流されていく…

MOVEMENT 3
無機質な人々の流れの中にいるミオは、黒衣をまとった男と出会う。彼に導かれるまま進む道は、人間の愚かさを具現化した殺伐と狂気の世界であった。ミオは怯えと哀しみにもまれながら傷つく人々の間をさまよい歩いていく。全てが焼き尽くされた大地に辿り着いたミオは、そこで朽ち果てた1台のピアノを見つける。ピアノを弾くミオ、幼い頃の思い出が蘇る。が…

MOVEMENT 4
アルトと再会するミオ。20才に成長した二人は思い出の森へと向かい、お互いの想いに気付く。一瞬の安らぎを得たミオだったが、ふと気づくと巨大な黒鳥に変貌したアルトが、邪悪な牙でミオに襲いかかる。ポコとの必死の戦いも空しく、湖畔へ追い詰められていくミオ。しかし、そこで意外な真実が明らかにされていくのであった…

 

 

【メッセージ】

この物語は、主人公のミオが5歳、10歳、20歳と成長していく、4つの楽章(MOVEMENT)から成り立っている。ひとりの人間の心の中には様々な顔があり、とてもやさしい部分と、人にはいえない暗い部分とを皆んなが持っている。ひとりひとりの中にあるものは小さくても、世界中の人間の、つまり60億分ものエネルギーとなると、それが戦争や、憎しみといった世の中の様々な問題を起こしているのではないか。ひとりひとりの中にある問題が連鎖拡大されて戦争が起こったりする。それを解決するのは、自分自身であって、問題は自分の外にあるのではなくて、自分の中にある。「心の中の闇に生まれたもうひとりの自分とどう向き合っていくか」がこの作品の大きなテーマである。  -久石譲

 

 

 

「『4 MOVEMENT』というんですけど、これは1本目の反省から、最新テクノロジーを駆使する方法でやってるんですよ。やっぱり100パーセント満足することって、ないじゃないですか。『カルテット』を撮りおえたあとも、あのシーン、なんでもうひとつ顔のアップを撮っておかなかったんだとか、そんなことばかり考えてたら、もう1本撮りたくなっちゃんたんですよね。『4 MOVEMENT』はね、すごくいい映像が何カットか撮れてるんです」

「あっ、そういうこと言っちゃいけないか(笑)。でも、実はこれが映画のピンポイントなんですよ。北野監督もみんなおっしゃるんですけど、このシーンを撮りたくてストーリーを作ったということはあるんです。それが5つか6つ、その監督が命がけで、どうしてもこれを撮りたかったというシーンを持っている映画は、すべていい映画ですよ」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

当時博覧会会場中央の池にて、夜間開催期間中、野外特設ステージとしてウォータースクリーンにて上映された。噴水などの演出とスクリーンによる映像と音楽である。

 

音楽について。

本編でも登場する(登場人物が奏でる)ピアノやフルート、そしてシンセサイザーを基調としたサウンド構成となっている。シンプルで可愛らしい無邪気なアコースティックサウンド、反面ダークな部分を描いたシンセサイザーサウンドなどである。

主人公がピアノの鍵盤に触れるなにげない音は、同博覧会イメージソング「永遠の心」のモティーフにもなっている。その他の場面にも同メロディーの変奏が、バリエーションとして登場している。

「Crossing」にみられるミニマル的音楽要素も盛り込まれている。

同時期公開(および制作期間においても)であった映画『千と千尋の神隠し』(2001)のエッセンスを思わせるような楽曲もあり、そういった久石譲の音楽時代として聴くこともまたおもしろい。

映像音楽とはいえ、監督・音楽の両方を担っていることから、サウンドトラックという枠にはおさまらない、オリジナル・ソロ作品という捉えかたもできる作品である。

自身が監督を務める作品だけあって、映像と音楽がほぼシンクロするような緻密に練られたサウンド構成となっている。それぞれの楽曲は短いが(1-2分程度)、本編30分、サウンドトラック27分ということからも、ほぼ本編全体で音楽が流れているということでもある。

本編エンドロールにて流れる「VIEW OF SILENCE」は、オリジナル・ソロアルバム『PRETENDER』(1989)に収録されていた楽曲である。メロディーメイカーとして久石譲が存分に堪能できる、ピアノとストリングスの美しい旋律と洗練されたアレンジである。なぜこの楽曲がこの作品に取り上げられたかは、メイキングでのインタビューなどでも語られてはいない。

欲をいえば、イメージソング「永遠の心」のインストゥルメンタル・バージョンを、サウンドトラックのボーナス・トラックとしてでも収録してほしかった。DVDメイキング映像の冒頭と最後のエンドクレジットにて、「永遠の心」オーケストラ・インストゥルメンタル・バージョンが流れる。ピアノとシンフォニーによる美しい構成となっている。フェードイン・フェードアウトのため、1曲全体をとおしてこのシンフォニー版を聴くことはできない。

 

メイキング映像は、撮影記録と久石譲インタビューによって構成されている。森の撮影は屋久島で行われていることや、その他撮影場所、特殊撮影などの様子が記録されている。

音楽の精・ポコは、音符をイメージしてキャラクター化されている。

 

 

 

久石譲 『4 MOVEMENT』

【セル収録内容】
DVD ~ 本編30分 / メイキング(映像)42分
CD ~ オリジナル・サウンドトラック

初回封入特典:オリジナルポストカード

4 MOVEMENT
SOUND TRACK CD

1. Nobody
2. Poco Dance
3. Mio’s Forest
4. Alto ~もう1人の私~
5. Escape
6. Crossing
7. Darkness
8. Sand Piano
9. Refrain
10. Crisis
11. You are …
12. VIEW OF SILENCE

All Music Composed , Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Recording Studios : Wonder Station , Avaco Creative Stuidios

 

Disc. 久石譲 『Quartet カルテット』

久石譲 『カルテット DVD』

2002年3月25日 DVD発売 BCBJ-1128

 

2001年公開 映画「Quartet」
監督:久石譲 音楽:久石譲 出演:袴田吉彦 桜井幸子 他

久石譲 第一回監督作品
[モントリオール映画祭ワールドシネマ部門正式招待作品]

 

 

この作品は僕の自伝ではないけれど、ある意味で僕の物語。僕の周りにいた、音楽と共に生きようとして悩み立ち止まる、繊細で、美しい人たちの物語です。

久石譲

 

 

「音楽が主役になっている、ということ。物語に音楽がからんでいるとか、主人公が音楽家というだけでは音楽映画にはなりません。音楽がドラマとからんでクライマックスに向かっていくような映画を、私は音楽映画と呼ぶことにしています」

「整理すると、音楽とストーリーが密接にかかわっていること、音楽が台詞の代わりになりえていること、この2点に集約されます」

「まず演奏トレーナーには役者が楽器を弾けるようにするのではなく、”弾いているように演じる”ことを教えてもらいました。役者たちは彼のもとで最低1ヵ月間のトレーニングを積んで、撮影に挑んでいます」

「たとえば、役者が演奏しているふうの表情をアップで見せ、切り返しでプロの演じている手元だけを見せるというカット割では、観る人誰もが『編集で見せていますね』と興ざめしてしまう。ワンカットで登場人物が演奏するシーンを成立させるためには、まず役者のトレーニング。しかし、それでも追いつかないほどの演奏技術が必要なパートがあることもわかっていましたから、そこは撮影のトリックを入れる計画を立てました。技法は複数。完全な種明かしをしてはつまらないので、たとえば2人羽折り、たとえば合わせ鏡、そんな技法を用いているということだけお伝えしておきます。時間をかけた創意工夫ばかりで、その分できばえも良かったと自負しています。ぜひ、映画館で演奏シーンを堪能していただきたいですね」

Blog. 「ディレクターズマガジン 2001年11月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「撮影は去年に終えていてね。劇中、袴田(吉彦)君扮する主人公の台詞で『音楽ってそれほどのものなんですか?』っていうのがある。この一言を音楽家である僕が言わせるのは、自分では結構強烈な挑戦だった。多分この一言を撮りたくて映画を作ったんだなと、今は思っている。”音楽を作る”ことと”生きる”ことの関係性を何らかの形にしてみたかったのではないかな。音楽は自分では未だ模索の最中だし『Quartet』も、その明確な答えとは成り得ていないけれど、リアリティという点ではなかなかの仕上がりだよ」

Blog. 「SWITCH スイッチ JULY 2001 Vol.19 No.16」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「ストーリーは自分とはそう関係ないんですけども、僕にとってのリアルという面でね。たとえば、大学のシーンをどこで撮ろうかと、いろんな大学を見せてもらったんですけど、結局、自分が出た大学、国立音大しかない、と。キャンパスの真ん中にはやっぱり噴水(笑)。あったほうがいいんじゃなくて、なきゃいけない。庭ではラッパを練習していないと。ピャラララ、ピャラララとかってやっててくれないとダメなんです(笑)。監督というのはみんなどこかで虚構をやってるから、ウソっぽくなることをすごく恐れるんですね。そこでいちばんリアルなのは、自分の体験なんですよ」

「主人公が、お父さんが家を崩壊させてまでカルテットに打ち込んだことに対して、「音楽ってそれほどのもんですか」っていうシーンがあるんですよ。観ていると、すっと流れちゃう場面かもしれないけど、音楽家である僕が監督しながら、この台詞をいわせるっていうのは、すごく重いんですよね」

「あります、正直いえば。こんなに全部を犠牲にして…。たとえば、この2日間すさまじい指揮をしました。その前は籠もりきりで一日10数時間、譜面を書いてます。そのまた前は、2ヵ月間籠もってレコーディング。1年間、ピアノにさわってないのに、ピアノをダビングするなんてことまで起きてくる。まったくよくやってますよね。何のためにやってるんだろうって、ふと思うことがあるんです。「音楽ってそれほどのもんですか」。この台詞をいわせるために、僕はこの映画を撮ったんじゃないかという気がしてます」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」

「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」

Blog. 「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」 映画『Quartet』久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「まず音楽映画とはどういうものか、明確な定期をしておかなければいけないと思いました。ドンパチがあればギャング映画、音楽があれば音楽映画というふうに考えれば、実際どのジャンルを見ても明確な定義など存在しないんです。そこで自分が考える音楽映画とは、まず第1に音楽自体がストーリーの展開と強く絡んでいなくてはいけない。第2に、せりふの代わりに音楽で半分ぐらいは表現してしまう。つまり、(音楽で)見る側にイマジネーションを広げてもらう。この2点を明確にして自分のスタンスをとろうというのが演出の根底にあったんです」

「そりゃ大混乱ですよ(笑)。譜面を渡されて、『3小節目のジャン!で、左からカメラ寄る』なんて書いてあるわけです。結局、学生さんのアルバイトを雇い、たとえば阪本善尚カメラマンの後ろに1人付けて、「1、2、3、ポーン」という感じで背中を叩いてもらって撮ってもらいましたから(笑)。通常、オケを撮る場合もオケを恐れちゃって遠くから撮るだけっていうケースが圧倒的に多いんですよね。自分はオケの連中との仕事も長いんで、『はいっ!弦、全部どけ~!』ってガンガンなかに入って撮る」

「袴田君たちは(プロの)ヴァイオリン奏者じゃないから、みんな(実際に)弾いていないってわかっているわけです。だから見る側が『あっ、本当に弾いている』と思えるところまでもっていくのが鍵でした。楽曲の小節ごとに顔のアップ、手のアップ……と決め、『その小節だけは何が何でも手とかは写るからね』と指示して、さらってもらったんです」

Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

映像特典「プロローグ・オブ・カルテット」にて久石譲インタビューが収録されている。

配役中、唯一楽器奏者である久木田薫(チェロ)は、本編でも実際に自身が演奏している箇所が多い。またこの映画での出会いがきっかけとなり、 『ジブリ・ザ・クラシックス』というジブリ作品カバーCDを発売している。スタジオジブリ映画の主題歌、挿入曲を、チェロの演奏をメインにクラシック風、タンゴ風などにアレンジ。ギター、バンドネオン、ハーモニカなど多種多彩な楽器によるアコースティック・カバー作品である。

本編中盤に登場する金管アンサンブルは「上野の森ブラス」メンバーだと思われる。本編にて演奏していた楽曲は「ハトと少年」(映画『天空の城ラピュタ』より)である。また同楽曲・同アレンジで収録されているのが、彼らの『ブラス ファンタジア I ~宮崎アニメ作品集~』である。原曲の持ち味をそのままに、上質でハイセンスな金管アンサンブルを堪能することができる作品である。

映画エンドクレジットにて流れる「Main Theme」は、サントラ盤とは異なるヴァージョンとなっている。プログラミングされたパーカッション(リズム系)の音および種類が異なっている。聴き比べてみるのもおもしろい。

 

 

 

 

 

久石譲 『カルテット DVD』

キャスト:袴田吉彦/桜井幸子/大森南朋/久木田薫/藤村俊二/三浦友和

監督・音楽:久石譲
脚本:長谷川康夫/久石譲

本編113分
(シーン・チャプター/ミュージック・チャプター)

映像特典25分
・「プロローグ・オブ・カルテット」(メイキング映像)
・劇場用予告編
・ラジオスポット
・キャスト&スタッフ プロフィール

 

Disc. 『「もののけ姫」はこうして生まれた。』

1998年6月26日 VHS発売 VWSZ-8016
2001年11月21日 DVD発売 VWDZ8016

 

宮崎駿監督が渾身の力をこめて制作し、公開されるや大ヒットとなった1997年スタジオジブリ作品『もののけ姫』。本作はそのアニメーション制作現場から、宣伝戦略、アテレコにおける声優と宮崎監督のやりとり、さらに公開後の大ヒットの様子までを約2年にわたり克明に記録したドキュメント映像である。さらには、北米公開時に宮崎監督がトロント、ロスアンゼルス、ニューヨークの3都市をキャンペーンで回った際の映像も特典として収録している。

 

 

1997年、日本映画界を席巻、話題を独占した「もののけ姫」。数々の記録を破り、映画史に残る金字塔を打ち立てたこの映画は、いかにして生まれたのか?

激しい思いを叩きつけていく宮崎駿監督とそれを支えるスタジオジブリ・スタッフの未知なる挑戦。常識破りの戦いに挑んだ鈴木プロデューサーの戦略とは…。そして久石譲、米良美一による華麗なる音声作りの舞台裏。さらに映画に登場する強烈なキャラクターにのりうつっていった豪華声優陣たち。全ての力が結集した時、「もののけ姫」は、社会現象と化していった。

未だかつてないスケールで作られた「もののけ姫」。多くの謎を秘めた表現と映画に情熱を捧げた人間たちを2年間にわたって熱く、そして静かに見つけ続けた完全ドキュメント。これを見れば「もののけ姫」の全てがわかる!

(DVDジャケットより)

 

 

音楽を担当した久石譲も本作品には登場している。

ひとつは、主題歌「もののけ姫」のレコーディング風景。米良美一とのやりとりや監督もふくめたスタジオでのやりとり、OKテイクまでの道のりが収められている。「アシタカの心の声。この歌はアシタカからサンへの想いである」という宮崎監督のひと言で、ヴォーカルの表現が大きく変化した様子、またそれをうけて歌詞が一部変更になった瞬間など貴重な場面が収められている。

イメージアルバムでの同歌詞と本主題歌の「おまえ」「そなた」という言葉の順番が逆になった瞬間が記録されている。

 

 

もうひとつは、映画冒頭の「旅立ち」の音楽について。ここには当初宮崎監督の構想とは違う勇壮な楽曲が使われている。これは鈴木プロデューサーの提案からである。その経緯については下記ご参照。

Blog. 映画「もののけ姫」 アシタカ旅立ちの音楽 制作秘話

 

そしてこのドキュメントに収録されているのはまさに「旅立ち -西へ-」のフルオーケストラによるレコーディング風景。しかも、レコーディング当日奏でられた同曲は、盛り上がる箇所にシンバルとティンパニが鳴っていない。スタジオで同席していた鈴木プロデューサーからのさらなる提案で、シンバルとティンパニを加えたヴァージョンをその場で演奏してみるというやりとりが全て収められている。打楽器による高揚感なし・ありを聴くことができる貴重な記録である。

なぜそういった提案がされたのか?久石譲と鈴木プロデューサーのこのシーンの解釈の違いからである。久石譲はあくまでも「村を追われたアシタカ・これからの試練」を思っておさえた。一方の鈴木プロデューサーは、「悲壮感を出すよりは、これは新たな旅立ちという祝福」という解釈をしていた。だからもっと勇壮にしたいと。

結果、宮崎駿監督がどちらを採用したかは、周知のとおりである。満面の笑みで「こっちがいいね!」と言って鈴木プロデューサーや久石譲が合いの手を入れる和気あいあいとしたシーンが映像として記録されている。

 

 

VHS:3本組/360分

 

DVD:3枚組/400分

本編ディスク3枚組
<ディスク1> 第1章 紙の上のドラマ 約132分
<ディスク2> 第2章 生命が吹きこまれた! 約137分
<ディスク3> 記録を超えた日 約130分 / 映像特典 約20分

ピクチャーディスク仕様