Disc. 久石譲 『組曲「World Dreams」』 *Unreleased

2019年8月1日「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」にて世界初演。

 

組曲「World Dreams」
1.World Dreams
2.Driving to Future
3.Diary

 

ーテーマ曲でもある「World Dreams」が組曲になりますね。

久石:
「World Dreams」は活動を始めた2004年に作った曲です。2001年に9.11(米同時多発テロ)が起きてから、世界はバラバラになって今までの価値観ではもうやっていけなくなるという感覚が自分の中で強くありました。だからこそ、世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思ったんです。

実は「World Dreams」を組曲にしたいという構想はこれまでもありましたが、今年テレビ番組(「皇室日記」)からオファーを受けて「Diary」を書いた時に「World Dreams」の世界観と通じるものがあると感じ組曲にしました。

(久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019 コンサート・パンフレットより 抜粋)

 

 

組曲「World Dreams」 【AB】
15周年を華やかに飾る組曲化で壮大に。2004年発足時にW.D.O.テーマ曲として書き下ろされた「World Dreams」が第1曲に。『Spirited Away Suite』(2019CD)にも収録されている永遠の定番です。近年はアンコールで披露されることも多かったなか、今年は堂々とコンサートの幕開けに響きわたります。

第2曲に書き下ろされた「Driving to Future」は本邦初披露。ミニマルベースの明るい曲で、木管楽器や打楽器が弾むようにキラキラと飛び交い、ストリングスの大きなフレーズが流れるように広がります。精巧に散りばめられた管楽器・打楽器の短いモチーフのズレと、ゆったりと大きく歌うフレーズが後から追っかけてくる弦楽器の旋律のズレ。今最も旬な久石譲のアプローチがつまっています。メロディのはっきりした性格をもつ第1曲と第3曲にはさまれたこの曲は、絶妙な立ち位置でこの組曲の世界観を広げているように思います。イメージを狭める先入観は避けたいですが、TV番組『シリーズ ディープオーシャン』や映画『海獣の子供』とりわけ「10.ジンベエザメ」「9.出航」「11.嵐の中のふたり」あたりを彷彿とさせる(アプローチ・楽想・ハーモニーなど)と聴きながら思っていました。

第3曲「Diary」はTV番組『皇室日記』の新テーマ曲として2019年5月から使用されている楽曲。TV版は約3分の楽曲として一度だけO.A.されたことがありますが、それとは異なる組曲用の再構成、大幅にドラマティックに加筆されていました。第1曲のキメのフレーズが再循環で登場したりと、組曲を統一するにふさわしい壮大なオーケストレーション。

楽章間の拍手をなくすためか、コンサートでは3つの曲がなめらかにつながって披露されました。クロスフェードのように、曲の終音のフェードアウトとクロスして次の曲の始音が立ち上がってくる。素晴らしい集中力と演奏技術です。もしCD化される際には、このあたりがひと呼吸おくのか、同じようにつながるのか。僕はたっぷりひと呼吸おきたい派です。

15周年にして壮大に組曲化された「World Dreams」。これにて完全版でしょうか? また新しいひとつの期待をしています。それは、節目ごとにもっと巨大な作品になっていくのではないか。単純計算ですが、各5分の楽曲として約15分の作品になりました。”組曲”とうたいながら3曲構成?  世界観的にも時間的にもまだまだ大きなスペースを潜在的に秘めているように思えてきます。久石さんが音楽活動をしていくなかで、現代社会と呼応していくなかで、これからも作られていく曲。そこで生まれた曲と「World Dreams」との共鳴。もしくは、すでになんらかのかたちで発表されている作品だけれども、未音源化惜しまれる名曲たち「Mt.Fuji」とか。20周年・25周年のメモリアルに組曲「World Dreams」はまた大きく進化するのかもしれない。そんな楽しみと希望がまたひとつ芽生えました。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

組曲「World Dreams」
ⅰ.World Dreams
例年のコンサートだとアンコールでの演奏機会が多かった一楽章の「World Dreams」ですが、今回は1曲目。組曲化ということでしたが、この楽曲に関しては大きな変更等はなかったと思います。いつもよりメロディの抑揚が感じられ、最初からグッと心を掴まれてしまいました。

ⅱ.Driving to Future
某企業への書き下ろし曲がまさかの組曲の構成曲になるとは思いませんでした。楽曲自体も初めて聴くことなりました。マリンバの刻みに合わせて、メロディのような持続音のような音がチェロから紡ぎだされ、その後弦全体へと広がっていきました。ミニマルとメロディの融合を目指したようなこの楽曲は、近年の『二ノ国Ⅱ』や『海獣の子供』でも実践しており、今の久石さんを凝縮したような作品に仕上がっていました。

Ⅲ.Diary
皇室日記のテーマ曲へと書き下ろされたこの楽曲も組曲への衝撃参入でした。「ラーレー、レーミラー」とゆったりと奏でられるメロディは厳かな雰囲気もありつつ、一楽章と似た要素もあり三楽章にピッタリな楽曲となりました。中盤では一楽章を連想させるようなシーンもあり、終盤ではチューブラーベルズも響きわたり、組曲としての統一性も感じられました。

トータルで聴いてみると、この組曲は2016年WDOのテーマ「再生」の延長線上にある印象を受けました。「再生」から「希望・夢・日常」へ。今回がWDO二期の〆とパンフレットに書いてありましたが、テーマも集結へ向かった気がしました。

Overtone.第24回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート by ふじかさん より抜粋)

 

 

 

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