Info. 2025/03/04 久石譲「一生に一度はオケとじっくり深く仕事を」(読売新聞オンラインより)

Posted on 2025/03/04

久石譲「一生に一度はオケとじっくり深く仕事を」

 「世界のヒサイシ」こと久石譲が、4月から日本センチュリー交響楽団(大阪府豊中市)の“顔”である音楽監督に就任する。2021年に首席客演指揮者に着任し、急速に関係を深めてきた。今後はプログラム策定や経営面などにも関わっていくといい、「過去から未来につながるクラシック音楽のあり方を追求したい」と声に力を込める。(青木さやか)

 

そんな暇ないだろ

 「もののけ姫」や「崖の上のポニョ」など、スタジオジブリ作品の音楽で知られ、国内外の映画音楽や現代音楽も多く手がける。近年は指揮者として世界中のオーケストラと共演。アジア、欧米でも人気は高く、コンサートは数日間で数十万人規模の観客を動員するほどだ。

 日本センチュリー交響楽団から音楽監督の打診を受けた際には、海外の音楽関係者らから「そんなこと、やってる暇ないだろ。世界中がリスト作って待ってんだぞ」と大反対されたと明かす。それでもオファーを引き受けたのは「一生に一度は、オケとじっくりと深く、仕事をしたいと思ったから」と語る。

 ブルックナーやマーラーなどを演奏するオケには80人ほどの楽団員がいるが、日本センチュリー交響楽団の団員数は約50人。比較的小所帯ながら「通常のオケがダンプカーなら、センチュリーはスピードと切れ味のあるスポーツカー」と技量を評価する。小ぶりの編成は世界の潮流でもあり、「きちんとやれば世界の道も開ける。簡単ではないけど、可能性が、ある」と眼光鋭く語る。

 

古典芸能ではない

 楽団の個性を打ち出すため、自ら指揮をする定期演奏会ではコンサートマスターを1人に固定し、同じプログラムで複数回、演奏する方針だ。「1回目で最高の音は出し切れない。数回、演奏することで高いレベルに到達できる」と狙いを語る。

 エンターテインメントの世界に身を置いてきたからこそクラシック界を見る目はシビアだ。たとえば定期演奏会の演目。どの楽団でも古典的な作品を中心に構成されることが多いが、「似たり寄ったりになって、退屈だ」と手厳しい。基本理念として掲げるのは「クラシック音楽は、古典芸能ではない」。プログラムや客演の指揮者の選定にも携わり、今後は演目に現代音楽を1曲は盛り込むつもりだ。

 「新しい曲をやるべきだ。自分も作曲家ですから。連綿と続く音楽の歴史の中に今、自分がいて、そして、未来がある」。新しい音を届けることが、若い聴衆を呼び込むことにもつながると信じている。

 

定演で自作の交響曲

 定期演奏会は4月から来年2月までに計8回あり、久石は6月13日、9月26日、来年1月17日に登壇。ベートーベンの交響曲や、自身が作曲した「交響曲第2番」「ハープ協奏曲」などを披露する予定。他の回は女性指揮者の注目株、デルヤナ・ラザロワや若手の太田弦らがタクトを振る。いずれもザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で。(電)06・6848・3311。

 

昨年10月の就任記者会見で「まずは大阪でトップに。いずれ日本一になるつもりで臨む」と語った久石譲(大阪府豊中市で)

 

昨年10月に開催された定期演奏会でも、楽団員と生き生きとした演奏を届けた (c)日本センチュリー交響楽団

 

出典:久石譲「一生に一度はオケとじっくり深く仕事を」:地域ニュース : 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/feature/CO070356/20250304-OYTAT50050/

 

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