Blog. 「もののけ姫」を読み解く(書籍) 久石譲 インタビュー

Posted on 2014/07/20

スタジオジブリ作品 宮崎駿監督 映画「もののけ姫」1997年公開年に発売された本 別冊 COMIC BOX vol.2 「もののけ姫」を読み解く です。今は既に絶版となっているようです。

 

久石譲インタビュー内容

宮崎さんという高いハードルをこなすことによって
「これで5年はやれる」という気持ちになるんですよ

-今回は長かったですね

「2年間ですからね。他の映画ではこんなに時間をかけることはないですよ。一昨年に話をいただいて、暮れに宮崎さんに会ったんですよ。その時はまだ完全にはストーリーもできていない状態で、内容よりも、いま何故これをつくらなければならないか、というような宮崎さんの覚悟の話が多かったですね。」

-それでイメージアルバムをつくられたのですか

「年が明けて、いくつかのキーワードをいただきました。これは「ナウシカ」以来いつも通りなんですけど、キーワードがタタリ神とか犬神モロとかシシ神の森とかですから、「はっ?」という感じでしたよ(笑)。こういう場合イメージの拠りどころは劇的な部分になるので、今回特に難しかったですね。おどろおどろしいモノしか想像できないでしょ。タタリ神の喜びなんていったってわかんないもの(笑)。「ひとつのメロディで、猛々しくもあり、優しくもあり、唸るような象徴的なメロディを」という注文はありました。それで、宮崎さんの方から早いうちに音を聞きたいというリクエストがあったので、普通はサントラの半年ぐらい前に作るんですけど、すぐ作りました。」

-そんな状態で作ったアルバムとは思えませんけど

「映画をみたら、結果的にはイメージアルバムで作った大事なところは生き残っていましたね。」

-今回のサントラはフルオーケストラですね

「直感的にフルオーケストラでやるべきだと思いましたね。それから、これは僕自身の最近の課題でもあるんですが、構造的に五音階的な要素を積極的にメロディにとりいれようとしていまして、その良さをいかに表現するかも大分考えました。」

「もう一つ、これは日本が舞台ですから、日本的な情緒や世界観もかなり意識しました。最初はこれがイマジネーションの限定を招きまして、尺八だとか琵琶とか、和楽器は異常に音の色が濃いのでどう使うか悩みましたね。最終的には篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、和太鼓などをあくまでもイメージを限定しない範囲で随所に入れました。」

「音の構造自体は五音階だからといって日本的なモノに限定するわけではなかったんですが、途中、西洋的なコード進行の曲を試しに一曲作ったんですよ。そしたら明らかに浮きましたね。宮崎さんもそれが分かって、「今回の久石さんが注意してつくられている音とちょっと違いませんか」とおっしゃってました。」

-サントラに関しては宮崎さんもかんり意見をおっしゃったんですか

「いつもに比べて、現場に来る回数は多かったですね。かなり具体的なディスカッションもしましたし、曲ができる度に話もしまいsた。だいたい宮崎さんが疑問に思ったところは自分も同じように思いましたし、自分が迷うところは宮崎さんも「どうなんでしょう?」といった感じで、理想的なコラボレーションができました。プロデューサーの鈴木敏夫さんも含めて3人で本当に深いレベルのコミュニケーションがとれました。」

-制作期間が長いのは影響がありましたか

「いままでの宮崎さんの作品でも特に苦しかったですね。最初からそうなる事は予想してましたけど。のたうちまわりました。本当はある一定の時期に集中して、自分の頭にあるレベルを超えた確信を得て完結するんですが、こう時間がかかると、それが終わらないから非常に苦しいんです。でも、今回は悔いがなくなるまで最後まで仕上げたと思っています。ひきずるモノがまったくありませんね。」

「作曲家だから音楽だけを作っていればいいという発想は僕にはありません。映画にも音楽家として参加していますが、メイン・スタッフの一人として参加している意識が強い。だから映像に対して意見を言うときもあるんですよ。物事を視るためには映画がどうやってつくられるのか下から全部視て、そこから意識して理解しないとダメだと思ってます。」

「宮崎さんを理解しようと思ったら、やはり宮崎さんの考え方とかバック・ボーンなどを全部自分の中で消化したうえでないと、実際はとてもできません。特に今回は、ただいいメロディをかいたとかそういうレベルの話では追いつけませんよ。」

-観終わって、映像と音楽の関係が凄くいいと思いました。決して映像を邪魔しないけれども、キチンと盛り上げ、印象を残すメロディでした

「僕は2回観ましたけれど、最初に頭で組みたてた全体像からほとんどズレていなかったので、自分のなかで「やった!」という感じでした。部分的な細かい事よりもいかにオープニングからエンディングまで2時間以上うまく構成しきったかが一番気になります。そういう意味でもかなり満足感がありましたね。でも部分ではラストシーンからエンドロールのところが気に入ってます(笑)。」

-ずっと宮崎さんと組んできて、久石さんにとってどんな存在なんですか

「宮崎さんとの仕事は本当に大変です。コンビを組んでいるわけではありませんから、一本一本が真剣勝負でやってきて、気付いたらここまでやらしていただいていたというだけの話です。2,3年おきに一緒に仕事してきて、その都度もし自分が立ち止まっていて進歩していなければ次は必ず切られます。その辺りは厳しい関係です。」

「そして、宮崎さんという高いハードルをこなすことによって「これで5年はやれる」という気分になるんですよ。司馬遼太郎さんがなくなったとき、宮崎さんは司馬さんのように生きればいいと感じたとおっしゃってましたが、僕は逆に宮崎さんをみてこうやって生きればいいんだと判りました。言わば道標みたいなモノですね。」

-監督は引退されるようですね

「それでも宮崎さんは死ぬまで現役の作家ですよ。僕もあと5年したら引退してシニア・ジブリに入れてもらおうかと思ってますけど(笑)。」

 

別冊 COMIC BOX vol.2 「もののけ姫」を読み解く

内容

インタビュー:宮崎駿 「森と人間」

スタッフインタビュー
久石譲(音楽) / 男鹿和雄、山本二三、黒田聡、田中直哉、武重洋二(美術)
保田道世(色彩設定) / 鈴木敏夫(プロデューサー)

絵コンテ / レイアウト / 原画(エボシ/サン) 特別公開!!

技術解説:タタリ神が動くまで CG部の夜明け

制作日誌 ’94~’97
汗と波あと血と笑いの怒涛の2年間 闘いの記録

語られなかった物語
サンの生い立ちは?エボシの過去は?師匠連とは?
物語の背景に見え隠れする「物語」に迫る
*共同体としてのタタラ場とエボシ御前
*エミシの村
*室町時代の民衆
*照葉樹林文化
*「生きろ」の意味
*エボシ幻想曲
*風となって疾る少年アシタカ

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