Overtone.第55回 「MUJI BGM」を聴く

Posted on 2021/11/01

ふらいすとーんです。

無印良品はお好きですか?

僕はわりによくショッピングします。店舗もネットもあります。日常生活のあらゆるカテゴリーを取りそろえている無印です。人によっては、「MUJIのステーショナリーは愛用してる」「生活雑貨シンプルでかわいい」「日用品かゆいところに手が届くグッズみつけた」「掃除したくなるアイテムそろってる」「飽きのこない洋服で合わせやすい」なんて、これは無印良品を使っているという人も多いかもしれませんね。

購買意欲をさらに促進する?店舗の滞在時間をさらに伸ばす? そんな効果あるのかないのか、お店で流れているオリジナルBMGのお話です。

 

 

お店で買い物していると、気になった商品を手にとって眺めながら、思わずBGMに合わせて鼻歌を歌ってしまったことないですか。あるような気がします。無印良品の店舗で流れている音楽って、爽やか、そよ風、心地いい。そんな楽曲多い気がします。北欧、アイリッシュ、ケルティック。そんなジャンル多い気がします。初めて聴く知らない曲なのに、曲に合わせてメロディ追っかけてよんで鼻歌あわせようとしてしまう。ルンルン気分で買い物するおなじみの光景が浮かんできます。

 

いいセンスだな。いい選曲だな。

そういえばCDも出してるのって

お店で流れてるBGMだよね。

大のMUJIファンは買うだろうね。

・・・・

と通り過ぎてきた音楽です。

 

 

 

2021年5月、こんなニュースが飛び込んできました。新型コロナウィルスの影響でテレワークや在宅時間が増えたこともきっかけになっているようです。

 

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無印良品の店内BGM全327曲が一挙サブスク解禁

今回配信されたのは、2001年以降に発表された、無印良品の店内で流れるBGMの数々。収録されたCDは累計24枚におよび、世界16か国・地域をテーマとした伝統音楽になっている。BGMの楽曲はすべて現地の音楽家が演奏したオリジナル録音で、総数は300曲以上にのぼる。時代に消費される音楽とは一味違う、暮らしに寄り添った音楽の魅力を堪能できる。

楽曲の紹介は以下のとおり。〈BGM2〉から〈BGM25〉までの計327曲、16か国が、5月19日より順次配信されている。

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出典:Mikiki|無印良品の店内BGM全327曲が一挙サブスク解禁 より一部抜粋
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/28550

 

 

聴いてみたい!

心動かされたのは「BGMの楽曲はすべて現地の音楽家が演奏したオリジナル録音」、初めて知りました。そうなんだ、その土地に根づいている楽器と楽曲が収録されている。

久石譲音楽が好きな人は、あらゆる楽曲に散りばめられた民族楽器にも興味もつ人いると思います。「この曲にはこんな楽器が使われてるんだ」新鮮な出会いと喜ぶ耳って、これまでに何回も経験ありましたよね。エスニックな楽器とエスニックな色彩は、久石譲音楽のきらりと光るエッセンスです。

『となりのトトロ』のバグパイプ、『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』のアコーディオン、『風立ちぬ』のバラライヤやマンドリン、『かぐや姫の物語』のケルティックハープ、などなど。すぐに思い浮かぶスタジオジブリ作品だけでもたくさん使われています。

また、登場が多いものでいうと、シタール、リュート、ティンホイッスル、そしてエスニックで多彩なパーカッション群。久石譲ソロアルバムからサウンドトラックまで、必ずどこかにひと味効いたアクセントな音色ありますね。

 

 

 

同じWebニュースから。

 

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■楽曲紹介
(BGM NO./タイトル/国/制作年/紹介文)

・BGM2/Paris/フランス/2001/パリのメトロミュージシャンによる演奏を集めました。
・BGM3/Sicily/イタリア/2003/シチリアを中心とした南イタリアのトラディショナルミュージックです。
・BGM4/Ireland/アイルランド/2003/アイリッシュケルトの民謡音楽を集めました。
・BGM5/Puerto Rico/プエルトリコ/2004/サルサの原点、カリブ海プエルトリコの素朴な音楽です。
・BGM6/Andalucia/スペイン/2004/フラメンコのメッカ、セビリアの民族音楽です。
・BGM7/Scotland/イギリス/2005/スコットランドのトラディショナルミュージックです。
・BGM8/Stockholm/スウェーデン/2005/白夜の国、スウェーデンの透明な光から生まれた音楽です。
・BGM9/Naples/イタリア/2006/南イタリア・ナポリで歌い継がれた伝統音楽です。
・BGM10/Buenos Aires/アルゼンチン/2006/タンゴ発祥の地、アルゼンチン ブエノスアイレスを訪れ、タンゴの名曲をモダンアレンジしました。

 

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出典:Mikiki|無印良品の店内BGM全327曲が一挙サブスク解禁 より一部抜粋
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/28550

(以降、全BMG25までつづく)

 

 

 

聴いてみたい!

心動かされたのは、・・・・ということは「世界各国その地域の伝統音楽が現地の楽器と音楽家によって録音されたもの」純正100%、そのまじりっけなしに誘惑されずにはいられません。

久石譲音楽に親しんできた人なら、曲で使用された民族楽器やそこからつながって民族音楽にまで興味広がっていくことあります。僕も昔からケルティックな音楽は好きでインストはもちろん北欧ポップスまで。いや違う待てよ、昔から好きなんじゃなくて、久石譲音楽の影響でいつのまにか好きになっていたのかもしれない。そう思うほどです。

 

 

そして今回。

サブスク解禁全327曲聴きました!楽しかったですよ。けっこうアルバムごとに◎○△ポイント付けたり、アルバムの特徴をひと言メモしたり、お気に入り曲選ぶならこの曲かなとチェックしたり。

正直に告白すると、僕は楽器の音色を聴きたかったんです。もちろんどんな曲があるのか楽しみもあります。でも楽曲的な良さを見つけたい、よりも、楽器の音色のうまみを堪能したい。こっちのほうが動機としては勝っていました。変わってますね。

ひとつ例を出すと、バグパイプやケルティックハープ(アイリッシュハープ)。久石譲曲ではいい塩梅のアクセントとして使われています。いい塩梅=「くぅーっ!ニクい!あるのとないのじゃ大違い!効いてる!神チョイスでしょ!」。ここにあるMUJI BGMは、水を得た魚のように、民族楽器たちが主役となって持ち味を充分に発揮しながら奏でられています。そこが聴きたかった。ケルティックハープ一色に包まれるっていいなあ、曲想によってはこんな音色ニュアンスもあるんだ。そんなうまみを余すところなく堪能したい、できます。

 

 

素材を活かした10曲選びました。

全327曲聴いたなかから選りすぐりの!とはいきませんが、ちょっと以上に気になった曲たちからご紹介します。楽器や曲想でなるべくまんべんなく。もちろん僕の好みは、いかんせん潜在的に反映されてしまっていることは予め目をつぶってください。そう思って耳をひらいてくれるとうれしいです。

 

 

Douce Nuit

 

・BGM2/Paris/フランス/2001/パリのメトロミュージシャンによる演奏

曲名見ただけならわからないですよね。聴いたらわかる「きよしこの夜」です。爽やかでいいですね。アルバム順に聴いていったので走りだしから驚きました。カバーもあるの?クリスマス曲もあるの?と。完走してから言えること、全327曲中クリスマス曲はたぶんこの1曲だけです。誰もが知ってるスタンダードナンバーはほかになかったと思います。だから、あまり必死に探そうとしないでくださいね。徒労におわってしまうかもしれません。

(BGM1は国内ミュージシャンたちによるオリジナル楽曲で制作されています。細野晴臣さんとかだったかな。1980-2000年の店内BGMを集めたCD3枚組だったかな。BGM1アルバムは解禁されていません。そこから次企画として「世界の伝統音楽」シリーズ BGM2が始まっているようです。)

 

 

Passeggiando per Lipari

・BGM3/Sicily/イタリア/2003/シチリアを中心とした南イタリアのトラディショナルミュージック

ボンジョルノ~! そんな賑やかしい声たち聞こえてきそうです。カラッとした青い空にカラッとしたギターの音色。自然と体も弾みそうなリズミカルさです。なんだか、ピクニック、レクレーション、とにかく、屋外に飛びだしたいモードです。

 

 

Sidh Beag agus Sidh Mor

・BGM4/Ireland/アイルランド/2003/アイリッシュケルトの民謡音楽

いいなあ、ケルティックハープ。とっても満足です。曲想もいいですよね。ハープって高音はしゃきっとしてるし低音はぼーんとしてる。弦をはじく強さでも質感やニュアンスが変わって、そういうところも聴き入ってしまいます。

 

 

Andrew Carr / Co a ni mire ri Mairi

・BGM7/Scotland/イギリス/2005/スコットランドのトラディショナルミュージック

あらまた、ケルティックハープ。2曲からなるのかな。風のように爽やかなんだけど、風の流れで起こるちょっとした小さいうねり、そんなグルーヴ感も感じます。

 

 

Le Dénicheur

・BGM12/Paris/フランス/2007/パリを代表する音楽「ミュゼット」を収録

ふかふか焼きたてのパンの匂いたちこめそうです。こんな曲を聴きながら朝の市場で買い物楽しみたい。世界は違うけれど、ソフィーとマルクルみたいに。あまり尖ってないまろやかなアコーディオンの音色もいいです。オープンカフェでとびきりのコーヒー。

 

 

Monk’s Jig – Donnybrook Fair – Boys of the town

・BGM17/Ireland/アイルランド/2012/アイルランドに根ざしたケルトミュージック

アイルランドではヴァイオリンのことをフィドルというようです。楽器は一緒で呼び方と演奏するジャンルが違うのかな。シンプルに言うと、クラシック音楽を演奏するならヴァイオリン、民族音楽を演奏するならフィドルと使い分けてるのかな。カントリー調のギターのカッティング、後半に出てくる音程感のない乾いたパーカッションもいいですね。もしこのあたりが好きならシークレット・ガーデンというアーティストもおすすめです。

 

 

ARKU DANTZA

・BGM22/Basque/スペイン/2017/食と芸術のバスク地方

なんの楽器だろう? わからないまま、コロンと丸いおもしろい音色が好みです。長調と短調のメロディが入れ替わり進みます。『菊次郎の夏』が思い浮かびそうな音色です、なんの楽器だろう?

 

 

Aijā žūžū (lullaby)

・BGM23/Latvia/ラトビア/2018/「バルトの貴婦人」とうたわれる美しい国ラトビア

バグパイプというと、スコットランドやアイルランドのイメージがあります。ラトビア?これバグパイプだよね?と調べました。実はラトビアなどバルト諸国でも盛んな楽器のようです。世界って広い。

 

 

映画『となりのトトロ』のオープニング主題歌「さんぽ」は、イメージアルバムからサウンドトラックへある楽器が追加されています。もともとイントロは、太鼓とシンバルの行進曲のように完成していました。映画製作中のある日、バグパイプの入ったものが宮崎駿監督に届けられたとき、監督は一瞬でそれが気に入ったそうです。たしかに、バグパイプがあるのとないの、印象もワクワク感もだいぶん違いますね。ぜひ聴き比べてみてください。

 

久石譲 『となりのトトロ サウンドトラック集』

 

 

 

Pääskyläinen

・BGM 24/Finland/フィンランド/2019/森と湖の国フィンランド

きれいなコーラスワークです。透明感いっぱいです。

アルバムは各13~15曲ほど収録されています。ベースはインストゥルメンタル曲中心です、ボーカル曲は全体の1~2割くらいあると思います。今回CDを手にとっていないサブスクで聴いたので、楽器のクレジットなんかは全くわかりません。もし鳴っている楽器と書いている楽器違っていたらすいません…もう終わりかけのここで言う?!…。

 

 

Mountain Jigs

・BGM 25/Ireland/アイルランド/2020/ケルト文化が根ざした国

ケルト音楽の笛と一口に言っても、そこにはたくさんの種類があるみたいです。ティンホイッスルのような高音も鳴っていますけれど、どの笛いくつの笛が楽しくアンサンブルしているんでしょうね。

 

from MUJI BGM YouTube

 

 

気になる土地から。

好きな国、気になる地域の音楽から聴いてみるのもいいと思います。ちょっとした旅行気分ですね。メモからほかの楽器のことをいうと、BGM5 Puerto RicoやBGM6 Andaluciaはギター、BGM10 Buenos Airesはタンゴ、BGM20 Limaはカスタネット、BGM21 Bulgariaはブルガリアン、そんな特徴あったと思います。

 

気になる季節から。

楽曲配信プラットフォームはほぼ完備されています。日本国内はもちろん世界の各配信サービスで提供されているようです。そしてMUJIでは、どの地域の音楽が一番聴かれているか、どの国で一番聴かれているか、そんな追跡リサーチもしっかりしているようです。いつか見た制作者インタビューでは、台北でもっともMUJI BGM聴かれてるとあった、そう記憶しています。

一挙24枚327曲は聴けない、順番に聴いていくほど時間もない。そんな人にはMUJI公式が提供しているSpotifyプレイリストおすすめです。

 

 

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■Spotifyプレイリスト
ボーカルの入らない環境音楽として、自宅でのテレワークやリラックス・タイムに音楽をお楽しみいただけるよう、BGMシリーズのなかから、様々なシチュエーションに応じてお聞きいただけるプレイリストを定期的に更新します。Spotifyプレイリストは、年に4回更新予定です。

30曲 – 1時間40分
BGM2~25のうち、〈初夏を過ごす〉をコンセプトに楽曲をプレイリストとしてまとめました。
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出典:Mikiki|無印良品の店内BGM全327曲が一挙サブスク解禁 より一部抜粋
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/28550

 

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夏プレイリストは上のリンクでわかります。季節はめぐり、今は秋コレクションに変わっています。

 

 

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MUJI BGM Autumn
プレイリスト • 2021
37曲 • 2時間

「MUJI BGM」は、様々な国をテーマにしたBGM2~25を絶賛配信中。季節は秋へと移り変わり「芸術の秋」「食の秋」というイメージからやや哀愁の感じられるような楽曲をセレクトしたプレイリストになっております。「MUJI BGM」のプレイリストでは様々なシチュエーションに応じてお聞きいただけるプレイリストを定期的に更新しております。是非お聞きください。
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出典:MUJI BGM 配信|無印良品
https://www.muji.com/jp/ja/stories/other/712536

(Autumn Playlist ※2021年11月1日現在)

 

 

公式サイトにはCDアルバム購入ページもあります。アルバム1枚990円(税込)です。各曲30秒ずつのダイジェスト視聴もできるようです。最新作BGM26はワルシャワなんですね。けっこう根強い人気を誇っているBGMシリーズのようで、コンプリートしている人、新作を楽しみにしている人も多いみたいです。また、冬のプレイリストも楽しみですね。季節の変わり目とプレイリストの変わり目はわからないので気になる人はチェックです。毎年季節ごとに少しずつ内容も更新されていくんだと思います。

 

 

 

むすび。

僕はマイルドな言い方をして、かなり個性的な興味の入口でMUJI BGMを聴き楽しみました。むずかしい顔をしてガチで聴いてやる、そんな音楽じゃないのかもしれません。本格的かどうかはわかりませんが本場ものなのはたしかです。たっぷり収穫ありましたよ。

このご時世にからめていろいろなことも書けます。気軽に旅行に行けない今だからとか、テレワークや在宅でおうち時間増えた今だからとか、ちょっとでもリラックス安らげる時間がほしい今だからとか。もちろんそんなニーズもしっかりつかんだ人気で聴かれているだろうMUJI BGMです。

 

今回思ったことは3つです。

〈土地を楽しむ音楽〉だなということ。本当ならその土地に行かないと聴けない曲を楽しむことができます。実際に気温や湿度の影響などで、その土地から持ち運べない楽器や音楽ってあります。日本の尺八なんかもそうです。とてもデリケートな楽器らしいです。旅行気分はもちろん、人生で訪れるには余りある土地を楽しむ音楽です。

〈暮らしを聴く音楽〉だなということ。その土地に根づいている音楽だからこそ、暮らす人々の生活音すら一緒になって聞こえてきそうです。伝統音楽には、宗教や風習と結びついて受け継がれてきたものもあると思います。どんなときによく演奏される音楽なのかな? どんな人たちに紡がれてきた音楽なのかな? そう想像してみるのもおもしろいです。

〈日常を楽しむ音楽〉だなということ。個人の半径3メートル以内でみてみると、料理しながら掃除しながら、いつもの家事を楽しく味つけしてくれそうです。読書しながらエクササイズしながら、頭も体もすっきりして効果あがりそうです。個人の半径3メートルから広げてみてみると、誰かと一緒に時間を過ごしたくなる、そんな音楽のようでもあります。会話が弾みそうとか笑顔になりそうとか。不思議ですよね。個人でもちゃんと満たされる。そして誰かとスペースを共有したくなる音楽。

ちょっと部屋に花を飾るように、ちょっと日常の変化を感じてみる。1曲聴いただけでもそんな気分になれそうなMUJI BMGのお話でした。

 

 

Clothiers March

おやすみなさいのケルティックハープ。

 

それではまた。

 

reverb.
無添加な音楽はきっと体にいい♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Overtone.第54回 久石譲ベストアルバム「Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol.2」を聴く

Posted on 2021/10/21

ふらいすとーんです。

久石譲キャリア初、世界同日リリースのベストアルバム『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』は2020年2月に届けられました。世界共通盤(各国盤に対訳ライナーノーツ封入)、デジタル配信、収録曲と連動した新しいミュージックビデオの公開など。これまでの活動を集大成してお祝いしたいような永久保存盤の登場でした。

それから約1年半。ベクトルを同じくした第2弾ベストアルバム『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi』が2021年8月にリリースされました。

 

 

久しぶりに一曲一曲ゆっくり聴きました。ファンにとっても節目のような心持ちで、初めて聴いたときのあの感動や、懐かしさ、新しく抱く感情もあったりしながら、久石譲音楽と共に歩んできた時間に思い馳せる、そんなベスト盤です。

コンサートでプログラムされるときを除いて、昔の曲について振り返ること、今感じること、今記すこと。いい機会だと思って、このベスト発売当時ツイッターに一曲ごとコメントしていきました。今回はそれをまとめたものです。一般的な楽曲解説にはなっていないので、ぜひオリジナル盤やベスト盤のライナーノーツなどで、詳しくは紐解いてもらえたらなと思います。

いちファンが語るその曲のこと(魅力・思い出・解説)です。あなたが思うその曲のこと(魅力・思い出・解説)と少しでも共感することがあったならうれしいです。ツイートしたそのままをご紹介します。

 

・・・・

という趣旨で第1弾ベストアルバムをOvertoneしました。

 

 

 

第2弾ベストアルバムでは、一口コメント大募集企画!全28曲から好きな1曲1ツイート「この曲好き!」その魅力・思い出を140文字で。よせがきのように集まったらいいなとTwitterで募集しました。

 

 

tendoさん(@tendo01)
ken*さん(@bellaortensia)
むーんさん(@HisaishiM)
yasu-da-joeさん(@yasu-da-joe)
スラスイさん(@sura_DTMer)
まーくさん(@masakzk)
森智香RRLRssさん(@tomo_ringring)
ふじかさん(@fujica_30k)

 

ご参加ありがとうございます!久石譲愛あふれる方たちばかりです。ぜひこの機会に勢いでもってFFつながったりして、ファンの共感できる場所が広がっていったらいいなと思います。

 

 

Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2

【Disc1】
01. ANGEL DOLL (映画『キッズ・リターン』より)
02. la pioggia (映画『時雨の記』より)
03. il porco rosso (映画『紅の豚』より)
04. Lost Sheep on the bed
05. FOR YOU (映画『水の旅人 侍KIDS』より)
06. White Night
07. DA-MA-SHI-E
08. Departures -memory- (映画『おくりびと』より)
09. TWO OF US (映画『ふたり』より)
10. Rain Garden
11. Friends (TOYOTA「クラウン マジェスタ」CMソング)
12. Summer (映画『菊次郎の夏』より)
13. Les Aventuriers
14. Kids Return (映画『キッズ・リターン』より) ※初収録

【Disc2】
01. Links
02. VIEW OF SILENCE
03. Nocturne
04. Silence (住友ゴム工業「デジタイヤ プレミアム VEURO」CMソング)
05. MKWAJU 1981-2009
06. Ashitaka and San (映画『もののけ姫』より)
07. The Rain (映画『菊次郎の夏』より)
08. DEAD for Strings, Perc., Harpe and Piano: 1. D.e.a.d
09. Tango X.T.C. (映画『はるか、ノスタルジィ』より)
10. The Little House (映画『小さいおうち』より)
11. HANA-BI (映画『HANA-BI』より) ※初収録
12. Silencio de Parc Güell
13. WAVE
14. World Dreams

 

 

 

Jump to the point
▽アルバム全体
▽DISC 1 収録曲
▽DISC 2 収録曲

 

全体

初めて見たものを親だと思うヒナのように、ある日僕らは運命的に久石譲音楽に出会った。『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol.2』このベストアルバムにはそんな出会いの瞬間が詰まっている。

アビー・ロード・スタジオにてマスタリグ。Songs of …”HOPE”つながり?! ベスト1はどこだろう? 曲ごとの調整はもちろんハイレゾ音源にも対応した最高品質と職人エンジニア。僕のオーディオ装置と耳はハイスペックじゃないけれど。聴く心持ちはハイスペックでいたい。はい。

ひとつの音からたくさんを聴くピアノ曲。たくさんの音からひとつを聴くオーケストラ・アンサンブル曲。たっぷり入っています。全28曲なんと18枚のアルバムから贅沢セレクト&初収録2曲!たっぷり入っています。

このアーティストの次の作品が出たらとにかく買って聴かなくちゃ。その年月。がっかりしたこともあったけれど、また次を期待して楽しみに待たなくちゃ。その信頼。新譜出るたびにそのときの自分との距離感で測りながら一緒に歩んできた。その足跡。

「でもやっぱり自分で作ったプレイリストの方が最強ですね」結局それかい(ken*)

前アルバムにも今アルバムにも「坂の上の雲」や「人体」シリーズ、「ぴあの」などNHK関係のものが収録されてない?編集さん、NHKはお嫌い?それとも何か権利関係?個人的には「Stand Alone」(坂の上の雲)や「THE INNERS」(人体Ⅰ)を入れて欲しかったなぁ。(むーん)

1980年代から現在まで、振り返れば私の人生の殆どは久石さんの音楽と共に歩んでいる。何とも幸せな時期に生まれたんだろうとベストアルバムを聴くとしみじみ感じる。この先もずっと久石さんの音楽を聴いて歩んで生きたい。(むーん)

久石譲さんは僕の人生です。(スラスイ)

 

 

 

DISC 1

ANGEL DOLL

ミディアムテンポのKids Returnのメロディは、うまくコントロールできないパワーや感情をさとしてくれるよう。久石譲いわく「歌おうと思うと歌えないくらい、拒否しているメロディ」は青春の時間そのもののよう。

映画『キッズ・リターン』の前半部分で、喫茶店の少年が店員に手紙と一緒に手渡したのが天使の人形だ。 この曲では「Kids Return」のメインメロディーをギターが演奏する。なぜか夕日が映し出すイメージが描かれる曲だ。ドキドキしながらも、一方では寂しい、わからない感じ。(tendo)

The 久石さん的な和音の響きが堪らないですね……ミディアムテンポで進行する『Kids Return』のメロディは遣り切れなさと落ち着きが同時に存在しているかのように思う。(スラスイ)

 

la pioggia

イタリア語で”雨”。イントロはピアノの雨粒のよう。大人の恋物語を描いた映画主題曲。古都を舞台に日本情緒ある映像と旋律。だけどなんでか第一印象から門出の春のイメージが染みついている。最新ミュージックビデオ後半の桜色した映像うれしかった。ずっとこんな色してた。

イタリア語で”雨”。歌い出しのストリングスとやさしく合いの手入れるハープ。あるときマーラーの「アダージェット」につながった。映画『ヴェニスに死す』で印象的な美しい曲。久石譲のなかでは深いところでなにかつながっているのかもしれない、いないのかもしれない。

心が本当に楽になる曲だ。 弦楽器が暖かく包み込まれていて、温かい雰囲気を醸し出している。 個人的には近藤浩志さんのアルバム『ARCANTO』での音源が好きだ。この曲は少しゆっくり演奏するともっと感じが出る曲のようだ。(tendo)

『Rain Garden』が雨の陰鬱な表情を彩るのであれば,こちらは雨露の美しさ,雫の輝き,そして雨の優しい表情を彩っているように思う。雨粒のようなPianoと,それを優しく包み込む音色の温かみが深く沁みます。(スラスイ)

 

il porco rosso

はやく大人になりたい子どもと、いつまでもピュアでいたい大人のための曲。このバージョンは、ジャジーでエレガントな美しいセッション。「カッコイイとは、こういうことさ。」

すでにポピュラーになっていた大人も楽しめるジブリ映画。そこへ大人も楽しめるジブリ音楽を印象づけた曲かもしれない。決定打ともいえるかも。いつの時代にもどこの国にも国民的映画には素敵な音楽がある。「俺達は運命共同体ってわけだ」「パートナーってわけね」

「TWO OF US」がモチーフになった曲ではないかと思ったことがある。しかし、ジャズの香りが漂う全く違う曲になった。個人的にこの曲をピアノで演奏していて諦めたことがある。いつかまた挑戦して必ず素敵に演奏したい曲だ。(tendo)

ジャジーな一曲。映画紅の豚も大好きで、2019年の久石譲&WDOのコンサートのアンコールでこの曲が流れ始めた瞬間大号泣しました。ピアノソロから始まり途中から楽器隊が入ってくるverが1番好き。この曲には生きる中で大切なことが詰まっているなぁと感じます。(森智香RRLRss)

優雅で大人の雰囲気漂うジャジーな楽曲。後半の即興演奏的な旋律も魅力的。ロマンチシズムに浸る夜。(スラスイ)

 

Lost Sheep on the bed

ゆっくりと力ぬいて身も心もあずけるベッド。メロディと和音はどっちもN極の磁石のよう付かずにそれる彷徨感あります。曲に惹かれすぎて耳が覚めないように。迷える羊もいつしか眠りにつきそうです。

1分5秒から雰囲気が一度変わるが、この部分が好きだ。夢の国へとゆっくり浸っていく感じがする。暖かい日差しの下で平和に眠った猫を見守るような感じの曲だ。(tendo)

微睡むような旋律が魅力的。思わず夢見心地に。昼寝前に聴ききたい楽曲。(スラスイ)

 

FOR YOU

愛と夢と希望と。もしも…「久石譲が音楽を担当したディズニー映画」そんな架空の話をしても、けっこう信じてしまうかもしれない。ハートウォーミングに素敵にまっすぐにオーケストラは歌う。

ハリウッドにはスピルバーグもディズニーもいた。ファンタジーな映像と音楽は等しかった。もしかしたら、日本には久石譲のファンタジー音楽にこたえる映像に恵まれなかったのかも。スタジオジブリ作品をのぞいては。そんな裏返しな必然性すら感じてしまう王道の名曲です。

この曲が私は大好き。特に後半3分過ぎぐらいからのストリングス。まるで大空を滑空するかのような響きを聴くと自然と背筋がゾクゾクして涙が出てくる。だから私は、この曲を車の運転中は聴かないように気を付けている(笑)(むーん)

『MELODY Blvd.』アルバムの一番目の曲である「I Believe In You」も僕にとって大きな力になる素敵な歌でしたが、「FOR YOU」の英文歌詞バージョンでした。「あなたになら…」の歌も日本語歌詞バージョンです。すべてのバージョンが素敵です。久石譲さんは知れば知るほど驚きますね!(tendo)

自然と涙が溢れてくるような,そのような感情を抱かせてくれる楽曲。雨が降り止み,次第に太陽の光が差し込んでくる情景が思い浮かぶ。水のように澄み渡ったオーケストレーションが魅力的。高音のStringsとHornの掛け合いに感極まる瞬間。Solo Violin&Piano ver.も素敵です。(スラスイ)

 

White Night

とってもあったかい。ピアノとストリングスとベルと。私にはとっておきのクリスマス・ソングあるんだ。それだけで久石譲ファンはほっこりしてる。そしてこう思ってる。たくさんの人に聴いてほしい、ちょっとした温かさをわけてあげられると思うよと。

ホワイトクリスマスが思い浮かぶ曲です。中盤部以降はベルも鳴っています。いろいろな冬の幸せだった思い出が、一つ二つ思い出させる曲ですね。久石譲の曲には、心をなでるあたたかい力があるようです。(tendo)

出会ったその日から,自分のクリスマスはこの楽曲と共にある。冬の“あたたかさ”を捉えた,和やかで優しい楽曲。一変して転調後は,賑やかに煌めく聖夜の街に目を輝かせているような,美しい情景が思い浮かんでくる。最後の鐘の響きと共に,26日を迎えています。(スラスイ)

 

DA・MA・SHI・絵

こちら起伏と弾力感に富んだロンドン交響楽団の演奏、風圧がたまらない。そこから約10年。引き締まったソリッドなWDOの演奏、対向配置の音響がたまらない。『Spirited Away Suite』CD収録のほうも聴いてみてほしい。だましかたも進化していますよ。きっと。

Disc1の真ん中のトラックにミニマル作品が挟まれていて異色だと感じました。オランダの画家エッシャーの作品をモチーフに作られた作品です。どの楽器に耳を傾けるかによって異なって聴こえる魅力的な曲です。私は特に金管楽器が好みですね!(tendo)

複数の旋律が積み重なり,変化していく様はまさにEscherのだまし絵。幾何学的なミニマル楽曲。対向配置での演奏もまた魅力的。炸裂する金管が非常にコンサート映えすると個人的に……何度聴いても飽きません。(スラスイ)

 

おくりびと ~memory~

言葉にならない想いを、言葉では言い尽くせない想いを、ピアノとチェロが語ってくれる。草原をなでる優しい風のように。いつまでも上書きされない思い出のまま。

試写会で映画を観て、エンドロールが終わったとき、自然と拍手があったのを覚えてます。この時点でまだサントラが未発売で、発売までしばらくサビのメロディを忘れないように、思い出しては頭の中で再生、思い出しては頭の中で再生を、繰り返しておりました。(ken*)

美しいメロディーを目を閉じて聴いていると、私たちを慰めてくれるような気もして、人生の楽しさを歌っているようでもある。映画のオリジナルサウンドトラックであるにもかかわらず、コンサートの演奏曲やソロアルバムの収録曲の間に挟まれても違和感がない。(tendo)

全てを包み込むような温かみのある音色で,情緒的に歌うCelloが非常に美しい。えも言われぬ幸福感に溢れる楽曲。人生に寄り添い,在りし日を偲ぶメロディ。(スラスイ)

 

TWO OF US

映画『ふたり』メインテーマ。いくつかのボーカル曲もある。胸がしめつけられる。そして涙腺の解放へ。僕は、このバージョンや近年のWDO[HOPE]ver.で、高ぶった演奏の終わりと拍手との一瞬の合間に、すすり泣きや涙でむせぶ観客席の余韻を耳にしなかったことはない。

人には原点というものがあると思うが、私の原点は名アルバム「My Lost City」であり、中でも最もお気に入りだったこの曲である。悲しい三重奏のこの曲を聴いた時、私は久石さんに魅入られてしまった。その日から30年、私は久石さんに実らぬ片想いを続けている。(むーん)

W.D.O.2017の韓国公演で僕の涙と鼻水をぬぐった曲です。弦楽器の非常に魅力的なものを感じましたね!ピアノに弦楽器の哀しい音色が加わると、ハマるしかない曲です。(tendo)

感傷的なメロディが涙を誘う楽曲。啜り泣くような弦の響に思わず胸がつかえる。(スラスイ)

 

Rain Garden

音楽で中間色の風合いを表現するのってむずかしいと思う。鮮やかでくっきりした久石譲曲の集まる『ピアノ・ストーリーズ』シリーズにこんな曲は欠かせない。輪郭線のはっきりしない濃淡ゆらぐ水彩音のよう。素敵な間奏曲のひととき。

Piano StoriesⅡで最後に好きになった曲。この曲が好きなった瞬間は、自分史上はじめて全曲好きなアルバムが誕生した瞬間。(ken*)

クラシックスタイルの曲だ。ピアノのみで構成された曲で、久石譲の演奏を心ゆくまで楽しむことができる。少し暗くて憂鬱な雰囲気の曲だが、雨の日に趣をもって聴くことができる曲だ。(tendo)

印象主義音楽を思わせるような,物憂げで湿度の高い,涼しげな楽曲。長2度の響きが心地よくてクセになる。梅雨の時期にこの楽曲を聴いて「雨の日も悪くないなぁ」と思ったり思わなかったり。しめやかに降る雨と共に,心落ち着く安らぎのひととき。ラヴェル好きは必聴。(スラスイ)

 

Friends
ベストアルバム全28曲うち6曲のライヴ音源が収録されている。1999年から2017年にわたる。そこにあるのは録音物というよりも出来事なんだと思った。二度と起こることのないその時だけの出来事。一期一会のフレンズ。かけがえのない時間。そして記憶のぬくもり。

ライブバージョンゆえ、鍵盤に顔を近づけ眉をハの字にして、情熱的にピアノを弾く姿が思い浮かびます。(ken*)

この曲もCM曲として始まった曲だ。上品で洗練された雰囲気の曲です。『PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』のアルバムに収録されたオーケストラバージョンも良いと思う。子供の頃一緒に遊びまわった友達よりは、大人になってお酒を一杯飲む友達の感じがする、そんな曲。(tendo)

優しい旋律に思い出が溢れ出す。この曲を聴きながら,旧友と語らう日を楽しみに生きていく。(スラスイ)

 

Summer

「こんな曲が聴きたかったんだ私」日本人の夏心を射とめた曲。サントラはじめ、ピアノソロ、アンサンブル、オーケストラ、ギターまで。いろいろなバージョンは、いろいろな夏の風景をみせてくれる。私の夏の主旋律。

久石譲の音楽に本格的にはまるきっかけになった曲だと思う。この曲の魅力はあまりにも多く計り知れない。このアルバムに収録された曲は『Shoot The Violist』アルバムのバージョンで、マリンバの弾む魅力が存分に感じられる。(tendo)

夏の情感を見事に描いた,夏を代表する楽曲。蒸し暑い昼下がりも,この楽曲を聴けば忽ち“思い出の夏”の1ページに。様々なver.によって多様な表情を見せつつ,何気ない夏の日常にノスタルジックな感情を抱かせてくれるこの楽曲が大好きです。(スラスイ)

 

Les Aventuriers

魅惑の5拍子はノンストップに疾走する。狂熱的に聴き惚れたあとには『Symphonic Suite “Kikiʼs Delivery Service”』CD収録のほうも聴いてみてほしい。こんな改訂あったんだとコロンブスの卵です。弦楽は面舵いっぱい!取り舵いっぱい!冒険者たちの夢への航海。

コンサートでもよく演奏された曲ですね。独特のリズム感と休まない疾走で気分が急上昇します。緊張感とスリルが感じられる曲です。1967年のフランス映画『冒険者たち』にインスピレーションを受けて作曲したという。比較して聴いてみるのも面白いですね。(tendo)

活発な5拍子楽曲。Cello&Marimbaのリズムで身体を動かしたくなる衝動に襲われる。メロディもリズムもひたすらに格好良い![Woman] ver.での上行するViolaも魅力的。(スラスイ)

 

Kids Return

初収録!WDO2017ライヴ音源。ピアノとストリングスがぶつかり合うパッションと進化した律動に熱くなる。曲がフィニッシュしても湧き起こったエネルギーと高揚感をもてあます。ひたむきの青い春。

『Kids Return』は迷い挫折する2人の友達を通じて残酷な現実を描いた映画でしたが、最後のシーンのセリフでは「まだ始まってもいない」という希望を物語ります。青春の唐突さと自分の道を淡々と歩いていく勇気を感じられる曲です。(tendo)

痛い程に剥き出しの感情,迸る情熱と,それを如何に取り扱うべきか何処に持っていくべきか分からない,不器用で熱い青春を思い浮かべる楽曲。鬼気迫るStringsと力強いPiano……衝突し,迫ってくる両者に思わず圧倒されてしまいます。緩急とメロディの受け渡しが秀逸。(スラスイ)

 

 

 

 

 

DISC 2

Links

まさに雷に打たれたような衝撃だった。それまでに聴いてきたどの久石譲音楽とも違っていたから。戸惑ったファンもいれば歓喜したファンもいる。次のステージを宣言した瞬間だった。黄色い声援が崇高な拍手喝采へと変わる時代の転換点のように。

今振り返ってみれば『Minima_Rhythm』は装置的なアルバムだった。ファンに変化を求めたし新しい魅力を提示した。そんなきっかけや引き金になっていたと時間が証明する。15拍子の求心力は大きく広がっていく、つながっていく。ミニマリズムのモニュメント。

私は本当に好きな曲だ。ミニマル曲だが、街を歩く時にもよく口ずさんだりする。8分の15拍子で複雑な変拍子を持つ曲だが、そんな複雑な曲とは思えないほど聴きやすいし、リズム感のある曲だ。(tendo)

快速の15/8拍子。聴くだけでニヤニヤするミニマル楽曲。WDO2018での衝撃と感動は忘れません……(スラスイ)

 

VIEW OF SILENCE

羽生結弦選手「Hope&Legacy」のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。今も昔もピアノとストリングスという構成には強いこだわり。久石譲いわく”「内なる情熱」というようなエモーショナルな部分が引き出せたと思う”。至芸の弦音(つるおと)美しい。

ザ・久石譲と言ってもいい名曲。タイトルとは逆説的に、情熱をさらけ出すような演奏。おそらく「VIEW」は表向き、とか目に見える部分という意味で、そこはSilenceだけど、目に見えない部分があって、そこはViolenceかもしれねえぜ?って言ってるんだと思ってます。(ken*)

ピアノとString Orchestraが本当によく似合う素敵な曲だ。ありがたいことに韓国公演前に日本のフィギュアスケート羽生結弦選手の曲選定でこの曲が再注目され、W.D.O.2017でプログラムされ素晴らしい演奏を直接聴くことができた。(tendo)

力強い打鍵,情熱的なメロディの交差する熱い楽曲。緊迫感と熱情を秘めて駆け抜ける旋律に鳥肌が立つ。(スラスイ)

 

Nocturne

ノンタイアップなオリジナル楽曲だから輝く曲というのがある。もし映像にあわせてしまったらメロウにすぎるかもしれない。いつまでもそのままでいてほしい。純度の高い夜想曲は微かに照らしまどろむ。

単曲買いする習慣だったなら再会しないような曲かもしれない。でも、わからなかったものがわかる、いや、うまくつかめなかったものがしっくりくる。そんな時はきっと訪れる。うれしい再会の機会はとっておきたい。だから作品はいつも全曲買い。

『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』のために作曲されたピアノソロ曲で、C♯minorからなる曲だ。ショパンのNocturne No.20と比べて聴いてみると面白い。寂しく悲劇的な雰囲気の曲のようだが、久石譲ならではの明るく希望に満ちたメロディーがあちこちに隠れている。(tendo)

美しさと優しさを秘めた夜想曲。時に切なく,時にあたたかく。この曲と共に,心ゆくまで夜を堪能したい。(スラスイ)

 

Silence

曲名なぞって小さく弱く弾いてはいけない曲。水を打ったような静けさには、ぴんと糸の張った緊張感がある。そのエネルギーがピアノのパッションになる。音楽だけに耳を傾けるためのサイレンス、なのかもしれない。

この曲はダンロップVEUROのCM曲として作曲された。これと同時に久石譲のオリジナルアルバム『ETUDE』の1曲目である。 2分34秒からの部分は圧巻だ。15秒で勝負するCM曲から始まったというのが信じられない完成度とクールな曲だ。(tendo)

内声和音とオクターブのエチュード。静かに夜を語る曲想,かと思いきや情熱を秘めたオクターブの旋律が美しく響く……月光に照らされながら聴きたい楽曲。(スラスイ)

 

MKWAJU 1981-2009

このオーケストラ版を聴くたびに「ムクワジュ組曲」残り3曲と交響作品になったならと夢をみる。「ASIAN SYMPHONY」のように。とてもエキゾチックな作品になる。エスニック、アジア、そして日本をまたにかけたシンフォニーたちに。躍動する久石譲ミニマルの原点。

久石譲の原点と呼ばれるにふさわしい曲だ。2つのマリンバ、アフリカ太鼓などの楽器が加わって久石譲の弾ける独特の魅力がぷんぷん感じられるミニマル曲だ。(tendo)

エスニックな雰囲気漂うミニマル楽曲。緻密に計算された“ズレ”の美を堪能することが出来る。思わず身体もノリノリに……(スラスイ)

 

アシタカとサン

久石さんの曲は最短距離で人の心に届いてしまう。

『もののけ姫』の最後のシーンで流れる曲だ。久石譲の定番アンコール曲だ。久石譲がアンコール曲でこの曲のピアノソロバージョンを演奏してくれたことを思い出す。個人的にピアノでよく演奏していた曲だったから、さらに感慨深かった。(tendo)

まさにEvergreenな楽曲。オーケストラver.はもちろん,ピアノソロver.も美しい。様々なver.がありますが,どれも大好き。(スラスイ)

 

The Rain

雨に洗われた風景は光っている。曲の後半に「Summer」の旋律が聴こえてくる。太陽のまぶしい夏だから、雨で潤った風景は反射してさらにまぶしく輝くことをおしえてくれる。

ヴァイオリンとピアノ、そしてチェロとピアノのハーモニーが印象的な曲だ。温かいメロディー。そして、後半部に聴きき馴染んだ「Summer」のメロディーがヴァイオリンで演奏される時、全身に戦慄が走った。(tendo)

雨の中,一人そこに立っているような情景が思い浮かぶ。終結部の『Summer』の旋律で,次第に光芒が差し,夏の暑い太陽が見える。久石さんは“雨”の表現が本当に豊か。美しい……(スラスイ)

 

1.D.e.a.d

ミニマルでストイックな構造。レミラレ(DEAD)にこだわった。弦楽オーケストラにこだわった。不協和音は美しい音楽をつくるために必要なものなんだ。危うさと狂気はときに美しく、のみ込まれそうになる。

久石譲も方向性に悩んだ時期があったようだ。自分が追求していたミニマル作品を出し、ひいては交響曲を作曲したかったのではないか。クラシック、現代音楽の世界に再び戻ってきた重要な位置の作品だと思う。(tendo)

レミラレ(D,E,A,D)の旋律が支配する,狂気と美の共存する楽曲。そのメロディは深淵を知っているかのよう。(スラスイ)

 

Tango X.T.C.

映画『はるか、ノスタルジィ』メインテーマ。久石譲いわく「過去に対面して行くサスペンス」をイメージしたという。オーケストラ・バージョンは、とりわけその振り幅をのぞかせる。そして久石譲のタンゴはいたく官能的だ。

最後にシンバルが一緒に演奏する部分が一番好きだ。振り返ってみると、この曲は私の人生で久石譲の曲を通じて慰めと安定を得るきっかけになった曲だ。久石譲×Tangoはいつも素晴らしい。(tendo)

美しく官能的な旋律は,聴く人を忘我の境地へと至らせる。金管の和音が非常に美しい。(スラスイ)

 

小さいおうち

元来、久石メロディは4拍子だった。いつしか久石メロディは3拍子までも手中に収めてしまった。同じ山田洋次監督の『東京家族』も3拍子、『家族はつらいよ3』はシリーズ主題曲が3拍子へ変化した。そして巨匠のタッグは昭和がほのかに香る。懐かしくて温かい佇まい。

白状するとこのベストで聴くまでこんなにも魅力的な曲であったとは気づかなかった。改めて新鮮な気持ちで聴いたこの曲は、哀愁と切なさが全体に漂う、なんとも不思議な魅力が放ってた。唄えるメロディーに魅力を添えるコードとリズム。久石譲の魅力が凝縮された楽曲だ。(yasu-da-joe)

映画『小さいおうち』の主人公「たきのテーマ」ともいえる運命のテーマから「とき子のワルツ」へとスムーズにつながる。『MY LOST CITY』アルバムと『紅の豚』のように、『小さいおうち』と『風立ちぬ』も久石譲の音楽観で出会い接点をなしているのは興味深い。(tendo)

あたたかさに包まれた楽曲。弦楽器の響きが心に沁みる。後半のワルツも穏やかで少し切なく,ノスタルジックであたたかい。(スラスイ)

 

HANA-BI

初収録!WDO2017ライヴ音源。ピアノとストリングスで彩られた【mládí】コーナーは北野武監督作品3曲からなる。海外公演でも熱望必至のプログラム。そしてコンサートで聴いたものと同じ演奏は、いつまでも感動の余韻にひたることができる、ようになった。

2003年に久石譲がピアノソロで演奏した映像がW.D.O.2017で目の前に再現された。夢のような瞬間だった。さらに、この演奏をアルバム音源で聴けるなんて嬉しい。2分23秒からの部分が本当に好きだ。(tendo)

美しく闇を秘めた楽曲。どこかイタリアの雰囲気。美しいのだけど,決して明るいわけではない。そこが複合的な感情を表しているかのようで魅力的です。(スラスイ)

 

Silencio de Parc Güell

シンプルゆえに繊細に訴えかけてくる。音の余白からいろいろな想いが溢れだしそうになる。インティメイトなピアノの調べは心を無防備にする。灯(ともしび)を見つめる。

タイトルの”Parc Güell”はスペインの有名な建築家ガウディ作品の”グエル公園”を意味する。生前に行ってみたい場所の一つである。この曲も平和で柔らかい感じの曲だ。天才建築家と天才音楽家の出会いが、このようなのだろうか?(tendo)

ゆったりとした雰囲気が魅力的な楽曲。その穏やさには,創造性が秘められている。そのような気がします。(スラスイ)

 

WAVE

寄せては返す波のように心地のよいエモーショナル。走馬灯のような心の揺らぎ。まるでフィルムの1コマ1コマをつないで流れていくように16分音符のピアノ織りなす調べ。日常のいろいろな場面や感情に寄り添ってくれる音楽。聴く人色に染まってくれる曲。

2011年韓国での公演で初めて聴いた曲だ。久石譲がピアノに腰を下ろしてアンコール演奏を始めたが、私は初めて聴いた曲にしばらく戸惑っていた記憶がある。しかし今では、私はこの曲の魅力にとらわれてしまってたまにピアノで演奏している。(tendo)

人生初の久石さんのコンサート『ミニマリズムツアー2009』でのアンコール、ステージのスポットライトを浴びたピアノで演奏されてる姿がいまでも印象に残ってる。ミニマルの波形に乗る現れては消える単音のメロディ。音源が出るのをずっと待ってた名曲。(ふじか)

その名の通り,波のように揺れ動く旋律が魅力的なミニマル楽曲。街中に溶け込むような,何処かでこの曲が流れていてほしいなと思える雰囲気をもっている。(スラスイ)

 

World Dreams

WDOテーマ曲。久石譲いわく「国歌のような格調あるメロディ」は、今や久石譲ファンのアンセムになっている。合唱版や組曲版にも進化したこの曲は、常に時代を映した鏡といえる。時間の架け橋となってこれからも一緒に歩んでいく曲。音はふくらむ。夢はふくらむ。

夢と希望と未来を表現した曲だ。チューブラベルが本当に印象的だ。この曲をコンサート会場で実際に聴いた時は本当に嬉しかったし、情熱的な指揮と演奏がとても素晴らしかった。(tendo)

互いに手を取り合うように,様々な楽器がユニゾンで歌う格調高い楽曲。希望を抱いて鳴る打楽器,ファンファーレのような金管,世界に響かせるかのようなベル,優しく歌う木管,それらを包み込む弦楽器。この楽曲は,希望の未来を奏でている。(スラスイ)

 

 

 

いかがでしたか?

たくさんの素敵なコメントありがとうございます。

 

 

──言葉がとまる。

なんだか詩集をゆっくり丁寧に味わいながら読んでいるような気分になります。そして、それぞれの詩にその人が投影されている。思い出のときを一緒に見つめかえしているような気分にさせてくれます。そこに自然と立ち上がってくる曲たちに包まれて。

 

 

全曲プレイしながらゆっくり読んでみる。好きな曲を選んで、ほかの人はこの曲をどんなふうに思っているのか見てみる。ファンによるライナーノーツのように『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』を聴くときには思い出してめくってみてほしい。そんなとっておきのOvertoneになればいいなと思っています。

 

 

 

久石譲ベストアルバム『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol.2』発売にあわせて、新たに制作されたMusic Videoたちです。

 

Joe Hisaishi – HANA-BI

 

Joe Hisaishi – la pioggia

from Joe Hisaishi Official YouTube

 

 

むすび。(もツイートそのまま)

映画について語られるとき、いつの頃からだろう、音楽の話題で盛りあがるの珍しいことじゃなくなった。登場人物たちと同じように惹きつけられ魅了され尽きない花が咲く。もし、久石譲がいなかったら、映画音楽界は今あるものとは結構違ったものになっていたんじゃないかな。

ジョン・ウィリアムズはたくさんの映画音楽ベスト盤がある。実は交響曲や協奏曲の自作品も発表してるの知ってる? この久石譲ベスト盤は映画音楽+ミニマル・ミュージックを軸とした自作品も収録。それが世界中で広く聴かれるようになる。ワールドベストとしてこの違いは計り知れない。

《DEAD組曲》からもメロディの「愛の歌」じゃなくてミニマルの「D.e.a.d」を選ぶあたり、大衆性・商業性 ≦ 芸術性・作家性を世界中に聴かせたいという戦略野心すら感じてCool!!です。ベスト1よりもリスナーライクじゃない、ぐっと重心とバランスのとれた久石譲音楽を集成しています。

久石譲ふたつのベスト『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』『Songs of Hope: Vol.2』 同曲異編はこの6曲「Summer」「il porco rosso」「Departures」「Kids Return」「HANA-BI」「Ashitaka and San」。ピアノ、アンサンブル、オーケストラほか。聴きわけるほどに味わい奥深い。

 

 

それではまた。

 

reverb.
それぞれの一口コメント。同じものは一つもない。ここ音楽の魅力!たまらない(^^)♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第53回 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2021/10/11

10月8日開催「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサートです。入魂1公演、一期一会の1公演。また前回Vol.7に引き続いてライブ配信もあり、国内外から広く視聴できるコンサートになりました。

今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。久石譲コンサートがライブ配信されたものは、ほぼ記しているだろうtendoさんです。そして、、久石譲インスタグラムでコメントした&いいね!もらった記念すべき第1号おめでとうございます!(^^) もうフットワークがあっぱれすぎて…とろい僕にはお手上げ。

 

 

久石譲プレゼンツ ミュージック・フューチャー Vol.8
Joe Hisaishi presents MUSIC FUTURE VOL.8

[公演期間]  
2021/10/08

[公演回数]
1公演
東京・紀尾井ホール

[編成]
指揮:久石譲
室内楽:Music Future Band
バンドマスター:西江辰郎

[曲目] 
Nico Muhly: Step Team (2007) *日本初演

Bryce Dessner: Murder Ballades for Chamber Ensemble (2013) *日本初演
1. Omie Wise
2. Young Emily
3. Dark Holler
4. Wave the Sea
5. Brushy Fork
6. Pretty Polly
7. Tears for Sister Polly

—-intermission—-

Arvo Pärt: Fratres for Violin and Piano (1977/1980)

Lepo Sumera: 1981 from “Two pieces from the year 1981” (1981)

Joe Hisaishi: 2 Dances for Large Ensemble (2021) *世界初演
Mov.I How do you dance?
Mov.II Step to heaven

 

 

今回はコンサートのレビューをコンサート直後に一気に書きます。

 

久石譲 presents MUSIC FUTUREコンサートの紹介

もう8回目になりましたね。久石譲のMUSIC FUTUREコンサートは、ミニマル曲をはじめとする様々な現代音楽を紹介するコンサートです。WDO、FOC、MF 久石譲の3大コンサートです。

MFではWDO、FOCと同じく久石譲の新曲がよく初演されます。WDOでジブリアニメの交響組曲シリーズとしてアルバムが発売され、FOCでベートーベン、ブラームスの交響曲がアルバムとして発売されるように、MFでは久石譲 presents MUSIC FUTUREアルバムシリーズも一緒に進行中です。

 

10月20日に発売される『久石譲 presents MUSIC FUTURE V』アルバムもコンサート会場で先行発売されたそうです。本当に羨ましい経験ですね!

 

 

久石譲のインスタグラム

コンサート前には面白いことがたくさんありました。

まず、ツイッターでは@joehisaishi2019アカウントで久石譲の一言インタビュー動画が公開されました。〈現代音楽とは何か。〉〈 コンサートで演奏される曲はどんな曲なのか。〉 簡単な紹介になっています。

 

そして久石譲の個人インスタグラムです。

スタッフによる久石譲の公式アカウントとは別の@joehisaishi_composerという新アカウントです。可能な限り本人によって直接運営されるそうです。とても急なニュースでしたが、写真が掲載されたり削除されたり、はじめごちゃごちゃもありましたが久石譲さんの年代にインスタグラムを運営するというのは本当にすごいですね!

少し自慢しますと、私は久石譲さんの個人インスタグラムの最初のレスと一番目のいいねを頂いた人になりました。

本当に素敵な瞬間でした。

I Want to Talk to Youの実現でした!

その他にもコンサートの貴重なリハーサル映像と久石譲さんが直接書いたいろんなメッセージがありました。日常を垣間見ることもでき、本当に良い経験でしたね。

 

 

そうです。

今からしっかりコンサートのレビューを始めます。 

 

Nico Muhly:Step Team

 

コンサート前に予習できなかった曲でした。Spotifyでも再生されていません。曖昧な曲でしたが、ピアノのスタッカートを中心に曲が進んでいくようでした。途中でトロンボーンが長く噴き出したり、曲が途切れるような進行でした。

 

 

久石譲が指揮途中に指で数字を指さします。訳は分かりませんが、WDO2014でもペンデレツキの曲を指揮する時、似たような指揮をしていたと思います。

その後、久石譲のインスタグラムで聞こえていたメロディが出てきて、雰囲気も明るくなりますね。現代音楽にはもう慣れたようで、すぐによく楽しめました。

 

 

久石譲の総譜には、謎の記号があふれていますね。演奏もそうですが、指揮も手強い曲ということでしょう。ところでこの譲報、見てもいいですよね? 私はカメラが近寄ったので見るしかありませんでした。 ^^;

 

 

Bryce Dessner:Murder Ballades for Chamber Ensemble

 

続く曲はMurder Balladesです。第1楽章は、とてもさわやかな雰囲気です。

この曲が演奏された瞬間突然泣き出してしまいました。実は今日は元気が本当にない日でした。疲労度が極限に達していて、また消化もうまくいかなくて、それで気分も良くなかったんですね。心も体も極限に疲れていて大変な状況に、ユーモラスで明るい曲が流れて一瞬緊張がほぐれていろんな感情が来たようです。

コンサートは音楽を完全に楽しむことができる素晴らしい時間だと思います。たとえオンラインストリーミングで楽しむコンサートでもね。そして音楽で伝えられるのは、楽しさとコミュニケーションです。久石譲さんのコンサートでたくさん癒されて、エネルギーももらえた感じでした。

とにかくまたコンサート内容に戻りましょう。

 

 

第3楽章ではピアノに独特な装置をしておいたのかユニークな音がしました。アルバムで聴くのとコンサート・リアルタイムで視聴するのとは、こういった違いではないでしょうか? このようなコンサートを見ていると、音楽家たちの創意性と熱情が感じられます。

 

 

独特な打楽器も登場します。マレットを変え続けながら曲に合わせて演奏する姿が印象的でした。最後の第7楽章も久石譲のインスタグラムでリハーサルの映像として公開された部分でした。本当に強力なエネルギーを感じた曲です。本当に素敵ですね。

 

 

久石譲のMC

 

久石譲がMUSIC FUTUREコンサートを愛していることは彼のMCとしてもわかります。WDOとFOCには久石譲のMCがないのに対して、MFのコンサートには久石譲のMCが外せない感じですね。

オンラインで7回目のコンサートと今回の8回目のコンサートを見たのがすべてですが、雰囲気から今までいつもMCをしてきたんじゃないか…という推測です。

日本語なのでほとんど聞き取れないけど、インスタグラムに関する話をしていますね!フォロワー数を誇る彼の姿が本当に… 😁 その中の最初のコメントと最初のいいねが私ですよ!

 

 

Arvo Pärt:Fratres for Violin and Piano

 

アルヴォ・ペルト、そしてレポ・スメラ。 2人ともエソトニアの現代作曲家です。エソトニアはやや馴染みのない国ですが、アルヴォ・ペルトはとても馴染みの名前ですね。レポ・スメラは、最近の久石譲のコンサートによく登場する名前です。休憩後、二人の作曲家の作品が並べられます。

久石譲の指揮なしで、ヴァイオリンとピアノが演奏します。MF Vol.7でも指揮のない曲が登場したのを見て、これも毎シリーズこんなパターンを繰り返してきたのでしょうか。

ヴァイオリンの複雑な独奏の最後にピアノのどっしりした演奏。そしてヴァイオリンとピアノの静かな旋律。

 

 

ピアノの演奏には鍵盤の一番低い音も使われていますね。パターンが繰り返される曲です。おぼろげな愛を語る曲かな? イメージがたくさん見えて、多くの感情が行き交う曲であることは確かです。ヴァイオリンの激しい演奏にはぐりぐりした感情が出て、ヴァイオリンとピアノの静かな演奏にも様々なイメージが浮かぶ曲です。例えば、静かに日光が照らす教会の中とか、夜明けの冷たい風に吹かれながら歩く街とか…。

 

 

Lepo Sumara:1981 from “Two pieces from the year 1981”

 

このピアノ曲、もしかして久石譲が直接演奏しないか。そんな期待を少しだけしたんですが (笑) こんな難しいピアノ曲を演奏する時間に作曲に力を入れたほうがいいですよね!指の健康も考えなければなりません。

 

 

この曲では前の曲とは反対に、ピアノの一番高い音が使われています。大したことではないかもしれませんが、やっぱり面白い要素ですね。電子楽譜を使用しているようですが、原理が少し気になりますね。機会があれば調べてみます。

レポ・スメラの交響曲2番目もそうだったけど、短い音階での執拗に繰り返されるメロディに、独特の雰囲気が感じられますね。ところどころに雰囲気を切り換える、重くて強力な低音も特徴のようです。演奏が終わった後の静寂が本当に良かったです。

 

 

Joe Hisaishi:2 Dances for Large Ensemble

 

いよいよ久石譲の新曲です。

タンタンターンタンターンというリズムが登場するが、これは「The End of the World I.Collapse」での基本リズムと同じです。それぞれの楽器が統一感のない演奏をします。 拍子も違うし、メロディも違うようです。タイトルからも分かるように、ダンスリズムになっているけれど絶対ダンスを踊れない曲を作ってみようという感じの曲です。上と下に音の躍動性を見せる部分は久石譲の『Metaphysica』の第1楽章が浮かびました。

不思議な曲です。前では”統一感のない演奏”と言いましたが、慌ただしい中にどこかに秩序感は感じられます。たぶんリズムを利用したのでしょうが、以前久石譲の『Metaphysica』をレビューしたときも混沌の中に秩序を感じると私は言っていなかったか? いろいろと『2 Dances』の最初の楽章と『Metaphysica』の最初の楽章は共通点がたくさん感じられますね。

第1楽章の演奏が終わると拍手が沸き起こりました。本来は、楽章間の拍手は省略しなければなりませんが、私もこの瞬間に会場にいたら、思わず拍手が沸き起こっていたのではないかと思いました。

 

 

第2楽章の「Step to heaven」は変奏曲形式の曲です。このごろ久石譲がよく作曲するスタイルですね。久石譲の『交響曲第2番』第2楽章である「Variation 14」とイメージが一番重なってみえる曲でした。楽器、拍子、パーカッション、雰囲気が変わり続けながら曲が進んでいきます。曲が急に速くなって、急に停止する場面があります。

 

 

しかし、数秒の静寂後に再び曲が進行しますが、こうした展開も久石譲の『交響曲第2番』第3楽章である「Nursery Rhyme」に見られる構成に似ていると感じました。久石譲のいろんな交響曲の姿が見られる曲だなんて興味深い曲ですね。ピアノ、フルート、ヴァイオリンの曲終わりも格好よかったです。

 

 

続く拍手と挨拶。

久石譲がメンバーたちを一列に並べた後、抜けた人がいないか何度も見回した後、聴衆に向かって挨拶する場面が印象深かったです。

本当にものすごいエネルギーを感じたコンサートです。久石譲さんは本当にすごいですね!この気運のまま!私は活気に満ちた日常をまた過ごすことができそうです。これからの久石譲さんの活躍も本当に楽しみです。

 

2021年10月9日 tendo

 

出典:TENDOWORKS|久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8 콘서트 리뷰
https://tendowork.tistory.com/76

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャルYouTube特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

コンサートを体感しているあいだのtendoさんの心情の流れまで、ぐっと伝わるレポートでじんわり沁みわたってくるものがあります。いつも思うのですが、ほんとよく見てる!よく聴いてる!すごいなあ!を心のなかで連発しながら楽しみました。

ふたつ。tendoさんは韓国でも人気と知名度を誇る久石譲の、スタジオジブリ作品をはじめとした映画音楽以外をもっと国内で広く知ってほしい。そうして個人サイトで発信しています。もし韓国で深く久石譲音楽にハマっていきたいファンにはうれしい道標になりますよね。どんなアクセスと出会いとつながりが待ちうけているか誰もわからない。そのきっかけや機会が存在している、未来へのワクワク感ありますね。

プログラムノートなしに、ここまで深く聴き入っているってすごいです。全作品とも楽曲解説見てないなかで、純粋に音楽だけでどう聴いたのかどう聴こえたのか。合ってる間違ってるなんてない、自分が感じたことこそすべて、胸に大切にしまいたいものです。自分なりの回答をしぼり出すことが経験値アップになることは、何においてもそうですよね。集中力おそるべしです。

 

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
人のレポートで吸収力アップする実感うれしいですよね(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第52回 「久石譲指揮 新日本フィル 第637回定期演奏会」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2021/10/10

9月11,12日開催「久石譲指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 第637回 定期演奏会」です。終演後は、新日本フィル・ファンの熱い感想がSNSに溢れていました。また12日公演は、アーカイブ有料配信も期間限定(9/22-9/28)で視聴でき、多くの人が楽しめたコンサートとなりました。

今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。WDO2021のコンサート・レポートも対訳させてもらいました。国内外でのライブ配信の実現が、国内外のファンレポートも叶えてくれてうれしいかぎりです。それにしても深堀りな考察に対訳ににらめっこ。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637

[公演期間]  
2021/09/11,12

[公演回数]
2公演
9/11 東京・すみだトリフォニーホール
9/12 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

[曲目]
新日本フィル創立50周年委嘱作品 [世界初演]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

 

 

はじめに

今回の公演では久石譲の新作である3番目の交響曲が世界初演され、マーラーの最初の交響曲が演奏された。交響曲第2番についてのレビューをしてから2ヶ月も経っていないけれど、3番目の交響曲を映像とともに聴くことができるのは久石譲のファンとして非常に嬉しかった。3番目の交響曲もやはり見逃さずに、きちんとレビューしてみようと思う。

 

Joe Hisaishi : Metaphysica (Symphony No.3)

久石譲の3番目の交響曲で、Metaphysicaはラテン語で形而上学という意味を持っている。形而上学は、さまざまな意味で使われる言葉だが、久石譲のプログラムノートによれば、形而上学が存在と知識を理解する学問であるように、今度の交響曲も音の運動性だけで構成された楽曲を目標にすると記している。交響曲の第1楽章と第3楽章のタイトルは形而上学で使われる用語を使っているのがおもしろかった。

実は、マーラーという作曲家も死と形而上学について一生をかけて悩み、追求した作曲家である。形而上学に対するマーラーと久石譲の”全く異なるアプローチ”は、確実に異なる性格の2つの交響曲を作っている。

 

I. existence

 

新日本フィルハーモニー交響楽団の50周年を記念して委嘱された、そして新しいシーズンの始まりとなる曲にふさわしい、6台のホルンの壮大な演奏で始まる。祝典の雰囲気が感じられる。このメロディは最初の楽章のメインテーマである。

巨大な飛行機が離陸のために滑走路を走ることさえ省略して高く昇ってしまい、青空を自由に飛び回るような感じの曲だった。私がそのような飛行機になったと空想して自由に身を任せれば、混沌の中の平和が訪れる不思議な曲だった。

この曲に混沌の中で秩序が感じられるのは、拍子のためではないかという気がする。久石譲がプログラムノートで明らかにした「休符を含む16分音符3つ分のリズムがすべてを支配し、その上でメロディ的な動きが変化している」という説明は完璧に理解するのは難しいです。

複雑で速いリズムが落ち着きを取り戻し、すぐに激情的に揺れ動く。この時、7台のホルンが一斉に楽器を高く持ち上げて演奏する。

 

 

マーラーの交響曲を意識した視覚的な効果かもしれない。 音響的な効果もあると思う。再び激しくなり、クライマックスに進んだ後、久石譲が拳を握ると同時に、急いで締めくくられる。

 

 

II. where are we going?

 

弦楽器がテーマを提示している。前の楽章とは対照的に、比較的落ち着いてゆったりとした速度の聴きやすいメロディである。

 

 

久石譲の指揮棒を見ると、こういう雰囲気では指揮棒を手放したまま素手で指揮するのが見られる。

 

第2楽章もやはり、主題となるモチーフが繰り返されるミニマル曲だ。木管楽器、そして金管楽器が次々と登場し、感情的に盛り上がる。久石譲が指揮棒を再び持ち出す。その後しばらくして、曲の雰囲気が変わる。 拍子が早くなってメロディーが変化している…? 実際には全くそうではない。同じフレーズのメロディの拍子が圧縮されて変奏されただけだ。

 

 

第2楽章の中間部にQuartetのパートもある。面白い構成だ。

 

大太鼓、ティンパニ、スネアドラムなどのパーカッションが以後、曲の雰囲気を盛り上げる。そこにボール(gong)とチューブラーベルが合わさって素晴らしい雰囲気だ。グロッケンシュピールのきらめく音も聴こえる。そのように絶頂に達してからトロンボーン、トランペット、ホルンなどが主題を見事に演奏して最後に弦楽器が再びテーマを静かに繰り返して終わる。まるで世の中の美しさを語っているような楽章だった。

 

 

III. substance

 

第3楽章は再び混沌としている。非常に爆発的な音を立てて始まる。ド、ソ、レ、ファ、シ♭、ミ♭! 2オクターブをまたぐ音域を一気に飛び越える。第1楽章の「existence」よりずっと激烈で速い。

宇宙にロケットを立て続けに打ち上げた後、宇宙を遊泳するような雰囲気になったり、再び混沌がやってくる。そのように雰囲気が何回も変化する曲になっている。

曲の核心となっている6つの音を2回押し込むように演奏する部分もある。ド!ソ!レ!ファ!シ♭!ミ♭!その部分から久石譲のミニマル曲である『DEAD』のような感じをうけた。

その後も静かだと思うと、ドンドンと騒がしい雰囲気になり、また続いていたずらな雰囲気に流れていく。この時、欠かせないウッドブロックが登場し、思わず笑みを浮かべた。

マーラーの交響曲第1番の第4楽章は、静かになったり爆発したりを繰り返して感情を極限に達するさまが似ている感じもうけた。

 

 

7台のホルンが第1楽章の時のように再び空を飛び始め、曲の終盤に向かっている。第3楽章の最初のように、2オクターブを越える音域を一気に飛び越える爆発的なロケットを相次いで発射して(?)仕上げられる。

 

 

〈Metaphysica〉は2番目の交響曲と同じく音の運動性と論理のみを重視して作曲された曲だと思いますが、はるかにリズムが複雑で、スピード感や音の動きが強烈だった。結論として〈Metaphysica〉は大規模な編成にふさわしく強力さを見せてくれた交響曲だと思う。特に最後の楽章は混沌して爆発的な雰囲気に圧倒され、曲を聴いてから何日も寝込んだ…ではなかったが、それほどインパクトの強い曲だった。

 

 

G.Mahler : Symphony No.1 in D Major ‘Titan’

第1楽章の徐々に夜が明けるような雰囲気や、カッコウの音と呼ばれる4度下りから、前に演奏された久石譲の〈Metaphysica〉とは克明に異なる二つの交響曲の性格を把握することができた。

 

 

舞台の外から聞こえるトランペットの音。楽譜に「in sehr weiter Entfernung aufgestellt(非常に遠い距離に配置する)」という指示のため、トランペット奏者は舞台の外で演奏した後、舞台に入場するところも見ることができる。

 

交響曲を書く前に作曲されたマーラーの歌曲「さすらう若者の歌」のテーマが頻繁に登場したり、第2楽章にはオーストリア民謡のレントラー舞曲が登場し、第3楽章では有名なボヘミアン民謡「Jacques Frere」(フレール・ジャック)を葬送曲風にパロディにして演奏するなど、マーラーの独特さを時代を超えて感じることができた。

最も圧巻だったのは第4楽章だった。 若いマーラーの苦しみが感じられる凄まじい始まりは地獄のテーマだ。続いて、長く美しく演奏される第2主題は天国のテーマだ。

 

 

第1楽章でトランペットが舞台の外で演奏した序奏(Introduction)と天国のテーマが出会い、喜びを感じることができる。この時、ホルンの8人の奏者が全員立ち上がり、強力な演奏を披露する。(ホルンの後ろで演奏するトロンボーンは、この瞬間のために今まで待機していたのだ)

 

 

〈Titan〉でホルンを持ち上げて演奏する姿と、〈Metaphysica〉でホルンを持ち上げて演奏する姿、そして〈Titan〉の最後の楽章と〈Metaphysica〉の最後の楽章。妙に共通点が見えるような二つの交響曲ですが、感情を最大限に排除したままの論理、音の運動性のみを追求した〈Metaphysica〉と、森の静かな朝の雰囲気や様々な感情を感じることができた〈Titan〉。大編成の豪華なオーケストラに久石譲の新作、マーラーの交響曲まで。本当に楽しいコンサートだった。

 

 

おわりに

2021年は《ミニマル・ミュージックの年》だ。『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2 』に収録されたミニマル曲、『Minima_Rhythm IV』、「I Want to Talk to You」「Symphony No.2」「Symphony No.3」、そして10月のMUSIC FUTUREコンサートでの「2 Dances」まで。これから久石譲がさらに交響曲4番、5番、6番などを順番に出し始めるのか、それとも様々な編成のミニマル曲を作るのか楽しみだ。

 

2021年9月25日 tendo

 

出典:TENDOWORKS|히사이시조 – 신 일본 필 교향악단 제637회 정기 연주회 리뷰
https://tendowork.tistory.com/75?category=721068

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャルYouTube特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

もし僕がジョン・ウィリアムズをわりとリアルタイムに追いかけていると仮定します。日本にいると情報も積極的に自らキャッチしにいかないとわからない。くわえて映画音楽ジャンル以外で自作品もここまで追えるかな。最新コンサートのライブ配信があるとわかっても、そのうちCDになったときにでも、そう思ってしまわないかな、そんなことを思ったりします。

それだけに、久石譲の映画音楽ジャンルと変わらないかそれ以上に、凄まじい熱量と行動力をもって追いかけている。リアルタイムに久石譲音楽を浴びている。すごいなあ!うれしいなあ!だからもっともっと紹介したいなあ! そんな気持ちあります。

 

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
音楽も言葉もニュアンスって大切。だから翻訳も丁寧にしたいと。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第51回 「久石譲指揮 新日本フィル 第637回定期演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2021/09/28

9月11,12日開催「久石譲指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 第637回 定期演奏会」です。終演後は、新日本フィル・ファンの熱い感想がSNSに溢れていました。また12日公演は、アーカイブ有料配信も期間限定(9/22-9/28)で視聴でき、多くの人が楽しめたコンサートとなりました。

今回ご紹介するのは、ふじかさんのコンサート・レポートです。もう6回目にもなります(プレッシャーになってない?!その話はのちほど)。予習していないとここまで書けないかも、そんな全体から細部まで遠近法なレポートお楽しみください。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637

[公演期間]  
2021/09/11,12

[公演回数]
2公演
9/11 東京・すみだトリフォニーホール
9/12 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

[曲目]
新日本フィル創立50周年委嘱作品 [世界初演]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

 

 

新日本フィル 第637回定期演奏会(指揮 久石譲)の模様をレポートさせて頂きます。

2021年9月11日14:00開演 すみだトリフォニーホール

 

残暑の残る9月中旬、新日本フィルの新シーズン開幕と新日本フィルのComposer in Residence and Music Partner というポジションに就任した久石さんが就任祝いを兼ねてのコンサートが開催されました。

今回はマーラーの『Symphony No.1』を軸に久石さんの新作『Symphony No.3』を世界初演という、とても重厚なプログラムが組まれました。まだまだコロナ禍の影響の真っただ中にいる、昨今マーラーの”巨人”がこの世の中にどのように響くのか…とても期待にあふれるコンサートになりました。

 

チケットもぎりを過ぎ、ホワイエに入るとトリフォニーホールから新日本フィルへ豪華な花束が贈られていました。ホール内へ入ると、今回は巨大編成のオーケストラのためか、ステージの端ギリギリまで椅子が置かれています。1st ヴァイオリン16人の巨大編成。超大作の2曲がホールにどのような響きで伝わるのかワクワクしてきました。

 

 

Joe Hisaishi『Metaphysica(Symphony No.3)』

1楽章 existence

独特のリズムにホルンのメロディからスタート。口ずさみにくいような複雑なメロディと交錯するリズムからは、高速で螺旋階段を昇っていくような印象を受けました。その後、冒頭のメロディを変容させながら、弦楽、金管へと受け継がれていきます。低音弦のピチカートが現れるあたりからは『Contrabass Concerto』の様な雰囲気の箇所も。

中間部の息の長いヴァイオリンメロディからはクラシックの要素も取り入れられたのかなと感じるところもありました。後半に向かうにつれ、増えてゆくパーカッションからは『The East Land Symphony』の1楽章に通ずる世界観も。

 

2楽章 where are we going?

前作の『Symphony No.2』の1楽章と同じような雰囲気のタイトルを持つ本楽章。浮遊感と虚無感を感じるような独特なメロディが全体を構成していきますが、どこかクラシカルな響き。交響曲における緩急楽章を意識したのかなと思いました。しかし、冒頭で提示されたメロディは変奏をしていき、『Symphony No.2』の2楽章に共通した空気を感じさせます。ミニマルの交響曲なので、あるモチーフを繰り返しながら変容していくというところは一貫されているようでした。

 

3楽章 substance

久石さんの力強い振りとともに、響く2音の和音。その後、ミニマル特有のパルスと弦楽器のうねりで進行していきました。弦楽が下から上へと上昇していく様子からは、『弦楽オーケストラのための螺旋』や『5th Dimension』、打楽器が一定のリズムを刻む様子からは『The End of The World』の1楽章のような印象も。終盤に向かうにつれリズムとメロディが幾重にも重なり、独特なグルーヴ感を感じさせ、そのまま力強くフィナーレへと向かいました。

 

コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。

『Symphony No.2』と似たような変奏部分の要素はあり、『The East Land Symphony』のような重たく、緊迫した様子も少なく、純粋な音の追求の作品であるということは伝わってきましたが、これから音源化されたものを何度も繰り返し聴いて自分の中に取り入れていきたいと思う作品でもありました。

 

 

休憩

 

 

Gustav Mahler:『Symphony No.1 in D major”Titan”』

1楽章 Langsam.Schleppend.Wie ein naturlaut.

短・長とも感じさせない弦楽の長い和音の上に、木管の4度音程の下降が次々と紡がれ、遠くから聴こえるファンファーレの華やかな音色。それに続くカッコウの鳴き声のような音色。ホルンのふくよかな音色。短い冒頭からすでにたくさんの要素を詰め込んだ超大作がどっしりとスタートしました。主題へと向かうための半音階的な低音弦のフレーズもジリジリと迫ってくるような雰囲気にワクワクが膨らみます。

それから続く主題のメロディ。牧歌的で明るいメロディから幸福感が伝ってきました。今回も冒頭主題の繰り返しはきっちりと再現。2度目の主題は1度目とはまったく異なった音色で聴こえるのは、毎回不思議に感じます。

中間部から暗・明をいったり来たりしながら、終盤へ向かっていく様子はとても高揚感に包まれました。終盤のティンパニとオケとの掛け合いは少しテンポ感は速めでスッキリとフィニッシュへ向かいました。

 

2楽章 Kraftig bewegt,doch nicht zu cshnell

舞曲的な出だしのパートは速めのテンポ感で演奏されると思いきや、どっしりとした低音弦のリズムから。少しタメがある感じがして、大股でステップを踏む感覚。楽しい雰囲気のメロディを聴いていると、顔もほころんでしまいました。

中間部へと向かうホルンソロからは、ここからは雰囲気が大きく変わるよ!というような合図を送るような久石さんが印象的でした。ゆったりとした3拍子が印象的な中間部は美しいメロディをじっくりと聴かせてくれるとともに、恒例の対向配置から聴こえてくるヴァイオリンの掛け合いがさらに華やかに聴こえてきます。再び前半の主題に戻るとどっしりとした演奏へ。久石さんの指揮も大きな身振りで全体を引っ張っていきました。

 

3楽章 Feierlich und gemessen,ohne zu schleppen

有名な民謡のメロディで始まるこの楽章、少しテンポ感は速めで小切れよくコントラバスのソロから始まりました。久石さんの『Symphony No.2』の3楽章と共通した要素を感じられる本楽章。メロディが次々と折り重なる部分はミニマル的なアプローチも感じることができました。

途中から出てくる木管の副旋律をひょいっと拾い上げるような指揮をしているのも印象的でした。この楽章でも中間部では非常に美しいメロディが特徴的ですが、こちらもじっくりと聴くことができました。再び冒頭の主題に戻ると、さらに要素が追加されていて、視覚的にも音楽的にも楽しめました。

 

4楽章 Sturmisch bewegt-Energisch

3楽章から絶え間なく演奏される本楽章。久石さんの大きな振りとともに、嵐のような激しい旋律が上下します。この楽章は同じような波形のフレーズが次々と現れて構築されていくので、ミニマル的なアプローチがよく似合いました。冒頭の激しいパートから一転して、中間部は弦楽によるメロディはより優雅に、情熱的に。久石さんも大きく身体を動かして、全体に指示を出していきました。

一度主調のD-Durが顔をのぞかせ、小さな盛り上がりを見せたあと、1楽章の再現が始まります。ここまで全体を通しての体感時間あっという間で、ここの再現で「もう終わりか!」と思ってしまいました。

ここからは言うまでもなく、怒涛の展開を魅せてくれます。ヴィオラの怪しげなメロディから、一気に炸裂する金管のファンファーレ。再び主調のD-Durに転調したのち、金管が主音から下降してゆく華やかなメロディをふんだんに聴かせて、迫りくるような大迫力のコーダ。圧倒的な迫力に泣きそうになってしまいました。身体が熱くなるような熱い演奏でフィナーレまで一気に駆け抜けていきました。

 

 

会場からは惜しみない拍手が続きました。久石さんもそれに答えるようにいつもより時間をかけじっくりと楽団員へと称賛の拍手を送ります。久石さんに拍手が向けられると照れてしまって、オーケストラの奥のほうへ隠れていってしまうシーンも(笑) 最後は客席に大きくバイバイと手を振ってステージを去りました。

長年の信頼とさらなる音楽の進化へと向かう久石さんと新日本フィルの皆様。今後のコンサートにも更なる期待が膨らむ就任記念コンサートになりました。

 

2021年9月27日 ふじか

 

 

 

とてもボリュームいっぱいのレポートでしたね。

久石譲作品、ふじかさんのレポートはいつも他作品が引き合いに出されています。久石譲の作曲活動の点と点が線になっているような気がしてきます。また聴いていない新作でも、おのずとイメージしやすくなりますね。でも似てる似てないじゃないんですよね。作風として同じベクトルを感じる、たぶんそんな表現に近いんじゃないかなあ、と僕なんかは勝手に共感しています。その作品につながったんだ!? ハッと驚くこともままあります。

マーラー作品、ふじかさんは毎回予習されているんですよね。いつもコンサートが近づくと予習ツイートが流れてくるので、そうだ僕もしなきゃと思い出すほどです。そして音源だけじゃない、スコア片手に予習しているときもある。これにはまいった。とてもとても及ばない。コンサートを最大限に楽しみたい!最大限に浴びて吸収したい!、、、言わなくても伝わってきます。

 

こぼれ話。

コンサート会場でお会いして話すことできました。コンサート・レポート、なんか書くの当たり前とか思ったり…プレッシャーになっていたりしませんか?コンサートを純粋に楽しめていますか? そんな質問に「自分の記憶の整理もできるので楽しく書かせてもらってます」と笑顔でひと言。ありがとうございます!

そして独り言のように、「これってアーカイブ配信見てから書いたほうがいいかなあ」と真剣な眼差しで一点を見つめてた瞬間が印象的でした。それもあってコンサートから間を置いたこのタイミングで送ってくれました。コンサート、書く、観る聴く、書くまとめる。けっこう時間とられる工程だと思います。でも、それだけ自分のなかに染みこんでいくことも多い、と僕も信じています(笑)。

 

”コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。”

 

レポート中にありましたが、すごく同感です。視聴してはじめてわかったこともあるし確認できたこともある。けれど、なかなか感想を書くのは難しい。僕は最初からさじを投げて、視聴前にコンサートレポートを一旦終わらせてしまいました。追記しようとも思ったけれど、部分でしかないんですよね、ちょっとしたことの追加に終わる。それなら世界初演の瞬間の感想のまま、今はさわらないでおこうと。急いでわかることもないし、わかりっこないし。音源化されてスコア化されて、ゆっくり味わっていきたい作品ですね。

 

 

いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)

ふじかさん
@fujica_30k

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
ちょっとした反応やリアクションあると書いた人はとってもうれしいです(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Overtone.第50回 「久石譲×日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2021/09/23

9月19日開催「久石譲 × 日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会」です。新しいホール アクリエひめじのオープニングシリーズとして開催されました。また翌20日は京都公演(同プログラム)、24日には「定期演奏会 #257」(別プログラム)など目白押しです。

2021年4月、久石譲は日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任しました。その就任シーズンをお祝いするように、12月の山口公演・豊中公演、2022年3月の「定期演奏会 #262」まで、西日本エリアを中心にいつもなら久石譲コンサートはなかなか開催されない地域までくまなく巡ります。久石譲×日本センチュリー交響楽団の新しいタッグだからこそ実現できるスケジュール&プログラムです。

 

 

 

今回ご紹介するのは、ふじかさんのコンサート・レポートです。もう5回目にもなります(感謝です!)。とにもかくにも鮮度満点!濃厚満点!なレポートをお楽しみください。

 

 

久石譲 × 日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会

[公演期間]  
2021/09/19

[公演回数]
1公演
兵庫・アクリエひめじ 大ホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
コンサートマスター:松浦奈々

[曲目]
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

—-intermission—-

久石譲:DA・MA・SHI・絵
久石譲:Symphonic Suite Castle in the Sky / 交響組曲「天空の城ラピュタ」

—-encore—-
久石譲:Merry-Go-Round

[参考作品]

久石譲 千と千尋の神隠し 組曲 交響組曲「天空の城ラピュタ」久石譲 Symphonic Suite Castle in the Sky

 

 

久石譲×日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会の模様をレポートさせて頂きます。

2021年9月19日 15:00開演 アクリエひめじ 大ホール

 

台風一過のよく晴れた三連休の中日、兵庫県の姫路市に新たに誕生したコンサートホール「アクリエひめじ」のこけら落とし公演として、久石譲×日本センチュリー交響楽団の演奏会が開催されました。

引き続き緊急事態宣言が発令されており、数日前に同内容で開催予定だった岐阜公演は中止になってしまいましたが、こちらの公演は対策を行った上で、無事に公演が行われました。

 

14:20くらいに会館に到着。検温・消毒のあとにホール内へ入場しました。ホワイエは天井が高く、窓ガラスも大きく取られていてとても明るい印象でした。

15:00すぎにステージに楽団員の皆様が続々集結。コンマスの登場のちに、チューニングが行われ、その後しばし静寂。ほどなくして拍手喝采の中、久石さんがステージに登場しました。

 

 

Felix Mendelssohn:『Symphony No.4 in A major,Op.90,”Italian”』

Ⅰ.Allegro vivace

木管のトレモロのような刻みのイントロから始まり、弦楽による躍動感と明るく開放的なメロディが会場を華やかに包み込みました。こけら落としに相応しい、本楽曲の1楽章。同じような音型が全体を支配する楽曲のため、久石さんによるミニマル的なアプローチとの相性も抜群。

今回もオーケストラの配置は対向配置のため、1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンが別々の動きをする箇所は、より立体的に聴こえてきます。テンポ感は通常程度だったと記憶していましたが、8分の6拍子のリズム感を久石さんはキビキビとした動きで指揮を行っていて、キレのある歯切れのよい演奏をしていました。省略されることの多い前半の提示部も繰り返しが行われていました。

 

Ⅱ.Andante con moto

2楽章は若干テンポ感は速めな感じがしました。チェロとコントラバスが8分音符の上下に動くような音列の伴奏を演奏しながら、どこか民謡的ながら、物悲し雰囲気のメロディを木管が紡いでいきます。途中のヴァイオリンの旋律に先日のマーラーの『Symphony No.1』の3楽章の副旋律に似たような箇所もあり、聴いていてワクワクするような場面もありました。

 

Ⅲ.Con moto moderato

3拍子のリズムに合わせて優雅なメロディが披露される三楽章。ゆったりとしたメロディの聴かせどころは、久石さんが左手を使ってテンポを速めたり緩めたり、メロディをタメたりなど細かく指示を出していました。一方で中間部の大きく曲調が変わるところでは、テンポも速くなり、副旋律は小躍りをするような上昇をしていくなど、メリハリを大きく感じることができた楽章だったので、聴きごたえは抜群でした。

 

Ⅳ.Saltarello:Presto

終楽章は全体を3連符が支配していて、高速で駆け抜けていきます。こちらもミニマル的なアプローチがとても似合う楽章で、スピード感ある序奏から木管の舞曲のようなメロディが流れます。本当に速かったです。ですが、縦のラインががっちりと揃っていて、同じリズムを刻むところは本当に高揚しました。久石さんもカチッカチッとしたリズム感を指揮棒で指示していて、聴いている側もビートを刻みたくなるような感じがしました。トップスピードのまま、フィニッシュ。全体通しては30分ほどの楽曲でしたが、体感時間はあっという間でした。

演奏後お辞儀をしたのちに舞台袖へと戻る久石さん。と同時に拍手も一旦途切れてしまって、楽団の皆さんが盛り上げる場面も。久石さんもちょっと動揺(?)してしまったのか、再度登壇してお辞儀の際にはコンマスの譜面台に肘をぶつけてしまうハプニング(?)もありました。

 

 

休憩中に舞台転換が行われ、ステージ中央にはピアノが備え付けられました。

 

 

Joe Hisaishi『DA・MA・SHI・絵』

2009年のミニマリズムツアーで演奏されたのち、しばらく披露される機会が少なくなってしまっていた本楽曲。2019年のWDOツアーから再びセットリストに組み込まれることが増え、地方での単発公演等でもセレクトされることが増えてきています。今回の姫路公演でも聴くことができました。

CDでは何度も聴いているのに、やはり生で聴くと圧倒的な迫力。ヴァイオリンから始まる遊び心があり、口ずさみたくなるような主題テーマに畳みかけていくように重なってはズレていく、様々な要素たち。そして軸となる鍵盤やパーカッションによるパルスのリズム。

こちらも対向配置のため、会場で聴いていると音の万華鏡を体感しているような気分になってきます。中盤から入る金管のロングトーンや後半にいくにつれ増えてゆくパーカッションも聴きどころ。演奏が難しい楽曲ですが、楽団員の皆さんも楽しそうに演奏されていたのも印象的でした。8分ほどの時間にミニマルミュージックの魅力をたくさん詰め込んだ、濃密な世界を堪能できました。

 

 

Joe Hisaishi『Symphonic Suite”Castle in the Sky”』

2017年WDOツアーにて初演され、その後世界各地の演奏会でも披露されている本組曲。いままで生で聴く機会に恵まれず、ようやく聴くことができました。

『Doves and the Boy』の金管のファンファーレから一気に物語の世界観へと引きずり込まれます。メインテーマとなる『The Girl Who Fell from the Sky』での、チェロがメロディを演奏するシーンでは久石さんが、手を横にスーッと動かしてゆく指揮が印象に残りました。

こちらも音源では何度も聴いてきましたが、やはり生で聴くと印象はまったく変わります。音源収録からもさらに時間も経過しているため、さらに磨きがかけられたような感じがしました。特に抑揚のつけ方はまったく異なっている感じを受ける箇所もありました。

『Memories of Gondoa』での2回目のサビでは久石さんがグーッと音量を下げるような指示を体全体で行っていて、それに答えるように美しいデクレッシェンド。とても繊細な表現に磨きがかかっていました。

『Robot Soldier~Resurreciton-Rescue~』ではまるで映画本編を観ているかのような手に汗握るようなスリリングな展開。映像が無くても、思い返すことができるようにアップグレードされたオーケストレーションには終始圧倒されました。

そして今回の組曲内で一番印象に残った点は、久石さんによるピアノを『Innocent』にてしっかりと堪能できたところです。昨年の骨折というハプニングからコンサート内でのピアノ演奏がかなり控えられてきている印象を受けていましたが、今回は1曲まるまる演奏。『君をのせて』のメロディを作曲者本人の手から紡がれる貴重な時間。特に前半の完全ソロの部分は全身に染み入るように聴き入っていました。後半の伴奏パートもオケを率いるように華麗な演奏。アウトロの最後の一音までしっかりと噛みしめながら聴きました。

指揮者としての活動にウェイトを占めるようになってから、ピアノ演奏の曲が縮小傾向にありますが、1曲だけでもいいから、今後も久石さんのピアノを聴きたいと強く願う瞬間でもありました。

『The Eternal Tree of Life』での金管の力強い雄大なメロディとパーカッションによる浮遊感を感じさせ、盛り上がりのピークを聴かせたのち、全体でバン!というフィナーレで演奏は終わりました。

 

 

会場も笑顔が溢れ、拍手喝采!

久石さんがお辞儀をし、何度かのカーテンコール。

そして恒例の演奏者への拍手を行いました。

 

Encore

Joe Hisaishi『Merry-go-round』

マンドリン・アコーディオンが抜かれた以外、WDO2019でのアレンジとほぼ同一だったと思います。ハープから始まるイントロののち、華麗で優雅なワルツが会場全体を包みます。サプライズ的に演奏された本楽曲に会場も圧倒されたような雰囲気を感じました。終盤の転調からよりドラマチックに。こけら落とし公演の最後はみんなが踊りだしくなるような、幸福感と熱気に包まれて幕を閉じました。

 

 

拍手喝采の中、カーテンコールに応じる久石さん。最後はバイバイと手を振ったのちに、満面の笑顔でステージを去りました。今回初めて体感することができた久石譲×日本センチュリー交響楽団。今後も様々なプログラムで西日本の群衆を久石ワールドへと引き込んでくれそうです。また足を運べる機会があれば、ぜひ参加したいと思い、コンサート会場を後にしました。

 

2021年09月21日 ふじか

 

 

 

楽しかったですね!コンサートの様子が自然と浮かんできそうな、音楽もふわっと響いてきそうな、”This is Report!” いつも感嘆しています。素敵なレポートありがとうございます。まだまだ過去のふじかさんレポートも読みたくなった人は、ぜひコンサートを追体験してみてください。最後に紹介しています。

 

いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)

ふじかさん
@fujica_30k

 

 

リハーサル風景

 

姫路公演風景

 

京都公演風景

from 日本センチュリー交響楽団 公式ツイッター
@Japan_Century

 

 

本公演は会場で配布されたプログラムに楽曲解説の掲載はありません。初オケ!初コンサート!のお客さまも多かったようですね。序盤の戸惑いも終わる頃にはすっかり感動にハイテンションですね。初めて!だけに、コンサート・パンフレットは思い出の記念品として残るもの。楽曲解説はあったほうがいつでもあの感動を呼び醒ますことができますね。と、僕は思います。ぜひよろしくお願いします!

 

 

姫路公演も京都公演も当日券なしの完売御礼!

京都公演は撮影カメラが入っていたようです。

今後のアナウンスも楽しみですね!

 

from SNS

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
オケが変われば音も空気も変わる。楽しいですね。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第49回 「On the Nature of Daylight/マックス・リヒター」一曲を聴く

Posted on 2021/09/22

ふらいすとーんです。

あまりにも今の作曲家です。本格的な音楽活動は2000年代から。そんななか、すでに評価の定まった、確固たる地位を確立している、これからますます動向に注目が集まっていく。そんな作曲家だろうマックス・リヒターです。

 

 

マックス・リヒター
MAX RICHTER

マックス・リヒターはドイツ生まれのイギリス作曲家です。2002年にアルバム『メモリーハウス』でソロ・デビュー。クラシックとエレクトロニカを融合させたポスト・クラシカルを代表する作曲家として人気を集めています。「ポスト・クラシカル」という言葉の生みの親でもあって、この言葉によるカテゴライズのおかけでジャンルや次世代作曲家がひとつの潮流として推し進められてきた効果は大きくあると思います。

日本で広くマックス・リヒターの名が認知されるようになったのは、ヴィヴァルディの《四季》をリコンポーズしたアルバム『25%のヴィヴァルディ』(2012)。斬新かつ現代的な再構築でみずみずしさと新しい息吹に感動します。世界各国のクラシック・チャートで1位を獲得しています。

そして、もうひとつ。映画『メッセージ』(2016)に使用された「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」です。作曲家や曲名を知らない人でも、この曲は聴いたことあるかもしれない。たとえば、久石譲を語るときに「Summer」や「Oriental Wind」が外せないのと同じように、マックス・リヒターを語るときに「On the Nature of Daylight」は外せない。そんな代表曲の先頭に立つ一曲です。

 

今回は、一曲だけでOvertone。

 

 

映画『メッセージ』(2016)のオープニング&エンディングテーマに「On the Nature of Daylight」が起用されたとき。物語のテーマや映像との相乗効果もあって、この映画を観た多くの人に強い印象を残します。映画スコアを担当したヨハン・ヨハンソンの曲たちよりも、映画のトーンを決定づけているほど、この映画の核になっています。それを象徴するかのようなエピソードがあります。 ”ヨハンソンも、ヴィルヌーヴ監督が仮に入れていたリヒターの既存曲を超えるものは作れないと判断し、そのまま使うように進言した”  こう言われている一曲です。

「On the Nature of Daylight」は、2枚目のオリジナル・アルバム『The Blue Notebooks』(2004)に収録された曲です。まだまだ作曲家としても認知されていない頃です。その後、映画『主人公は僕だった』(2006)で挿入曲の一つとして使用され、映画『シャッター・アイランド』(2010)、映画『二郎は鮨の夢を見る』(2011)、映画『ディス/コネクト』(2012)、映画『天使が消えた街』(2014)、映画『夜明けの祈り』(2016)といった多くの映画で用いられるようになっていきます。

とてもおもしろい現象です。どの映画作品もマックス・リヒターが音楽を担当しているわけではなく(『ディス/コネクト』除く)、それぞれの映画に必要な挿入曲の一つとして、監督たちに熱望されてきた曲。普通は、同じ曲をいくつもの作品になんて、使うほうも使われるほうも敬遠しますよね。それなのに? 何色にも染まるし、何色にも染まらない、ナチュラルに伝えたいことをのせやすい音楽なのかもしれません。

 

 

Richter: On The Nature Of Daylight

from MaxRichterMusic Official YouTube

 

5つの弦楽器とシンセサイザー低音によるシンプルな構成です。静謐なるくり返し。始めから終わりまで同じフレーズがくり返されているだけなのに、極めてエモーショナルな波があります。揺れ動く音のなか、旋律や楽器の息づかい、まるで心地よい朗読を聴いているように何かを語りかけてきます。6分間という時間、いつもとは違う時間の流れ方をしているようです。

楽曲タイトルは、古代ギリシアの哲学者エピクロスの宇宙論をローマの哲学者ティトゥス・ルクレティウス・カルスが詩の形式で解説した書「On The Nature of Daylight(『事物の本性について』)」から取られています。この原典の深堀りはできていませんが、なんとも含蓄のあるタイトルだなと思います。

 

アルバム1曲目はプロローグ、「2.On The Nature of Daylight」に始まり、ピアノソロとなった「11.Written On The Sky」で終わる『The Blue Notebooks』。この一曲がコンセプチュアルな軸になっていることがうかがえます。

 

Richter: Written On The Sky

 

 

映画『ディス/コネクト』(2012)は、「On The Nature of Daylight」が使用された映画のなかで、唯一マックス・リヒターが映画全体の音楽を担当した作品です。サントラ盤では、同曲をモチーフにした曲たちも多く散りばめられています。別アレンジ曲といえるものもあれば、曲の素材を少し使ったり、曲を構成する素材を削ぎ落として使っていたり。「9.The Report」「10.Written On The Sky」「13.Break In」「14.Confrontation」「15.Afghanistan」「17.Unwritten」「18.The Swimmer」など。ときにピアノソロに、ときにエレクトロニカに。

 

The Report

Unwritten

 

 

2018年、『The Blue Notebooks』リリース15周年を記念した特別版がリリースされます。新曲から新規リミックスやボーナス・トラックまで加わった2CDです。ここで初めて登場するのが「On the Nature of Daylight」4つのニュー・トラックです。

 

 

Max Richter – On The Nature Of Daylight (Entropy)

ニュー・レコーディング版です。原曲とたぶんスコアはそのままに、奏者は入れ替わっていたりもします。新録音にあわせてMUSIC VIDEOも作られています。僕はなぜかこちらEntropyのほうがだんぜん好きです。一番好きです。響きのニュアンスが素晴らしい。

ロンドンAir Studiosでの収録と撮影です。マックス・リヒターは、映画音楽もオリジナルアルバムも、レコーディングにはほとんどこのスタジオを使っているようです。唐突に、久石譲作品『WORKS・I』や『水の旅人 -侍KIDS- オリジナル・サウンドトラック』も、Air Studiosで制作されたアルバムです、ご縁あります。

 

 

Max Richter – On the Nature of Daylight | DG120 concert – Hong Kong, China

from Deutsche Grammophon – DG

弦楽オーケストラ版です。CDはセッション録音で収録されています。2019年には日本公演も15年ぶりに果たし、3日間で異なる3つのプログラムを公演するという大プロジェクトを成し遂げています。共演を務めたのは、WDOでおなみじ新日本フィルハーモニー交響楽団です。もちろん披露されています。この公式動画は、同年の香港フィルハーモニー管弦楽団との香港公演の模様です。

 

このほかに、「This Bitter Earth / On The Nature Of Daylight」「Cypher」というリミックス版2曲が15周年記念盤に収録され、トータル4つの新版「On the Nature of Daylight」が誕生しました。

 

 

マックス・リヒターが語ったこと。

 

“『ブルー・ノートブック』の作曲時、私は“非現実の政治”あるいは“政治の虚構”が始まったと感じていました。ありもしない大量破壊兵器を口実にイラク戦争を始めるなんて、不条理そのものではないかと。だから『ブルー・ノートブック』のなかで、不条理という手法で権力構造を批判した作家カフカのテキストを朗読パートに加えることにしたんです。ここ数年、米英をはじめとする世界各地において、ふたたび不条理な要素が強まってきていると感じます。だからこそ、『ブルー・ノートブック』は今の時代にふさわしい作品ではないかと。”

(from 日本公演時インタビュー 2019)

 

 

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」

from UNIVERSAL MUSIC JAPAN

これは2019年発売ベストアルバム『ボイジャー マックス・リヒター・ベスト』の際に作られた楽曲解説プロモーション動画です。

 

 

久石譲「Summer」や「Oriental Wind」が多くの人に愛聴され、多くの人に演奏されているように。マックス・リヒター「On the Nature of Daylight」も、多くのカバーやトランスクリプション(異なる楽器への編曲版)があります。動画サイトをめぐると、いかに広く愛されているかよくわかります。

 

SIGNUM saxophone quartet & Hila Karni – On the Nature of Daylight (Transc. for Saxophone and Cello)

シグナム・サクソフォン四重奏団という、2020年ドイツ・グラモフォンよりデビューを果たしたアーティストで、そのアルバム『エコーズ』に収録されています。

 

ほかにも、世界中の演奏家が、オーケストラが、自らの楽器レパートリーにしている、演奏会のプログラムに並べている。奏しながらイメージしているのは、平和の尊さ、命の尊さ、音楽の尊さだったりするのかもしれない。どんなイメージで発信されたとしても、共通する想いはある。聴いた人たちが共鳴しあうような想いが生まれる。言葉の壁を越えてつながることのできる音楽、まさにそんな一曲「On the Nature of Daylight」です。

 

 

出会い。

2016年「久石譲 presents ミュージック・フューチャー Vol.3」で、マックス・リヒター「Mercy」がプログラムされたときです。ヴァイオリン&ピアノからなるこの曲、コンサートでは、我らがWDOコンサートマスター豊嶋泰嗣さんのヴァイオリンの音色で、小ホールという至福空間を満たしてくれました。

これをきっかけに気がつくと、約10枚のオリジナル・アルバムと、約30作品の映画/テレビドラマ・サウンドトラックと、聴けるものはどんどん手にとっていきました。そして今、リアルタイムで追いかけている、そんな作曲家です。

知れば知るほど、マックス・リヒターの曲は、いろいろな映画に、いろいろなTV番組BGMに、あるいは美術の個展BGMに、あるいはフィギュアスケートの演技曲目に。多くの使用頻度とあらゆる選曲バリエーションで使われていると気づきます。日常のなかにさりげなく、知らず知らずのうちに通奏している。極めて汎用性の高い、かつ芸術性の高い音楽をつくっているという深みに溺れていきます。

現代曲なのに、いかにもクラシック曲のようなポジションを獲得している曲たち。不思議です。使いやすいけれど陳腐なBGMにはならない。バッハのG線上のアリア、パッヘルベルのカノン、時代を超えた通奏低音のような風格すら感じるマックス・リヒター音楽です。

 

 

「On the Nature of Daylight」。最小音型でシンプルに構成された音楽。しっかり印象的でありながら、いかなる映像にもなじむ曲。ひたすらにくり返しながらも同じことのループではない。寄せては返す波のように心地のよいエモーショナル。走馬灯のような心の揺らぎ。いろいろな場面や感情に寄り添ってくれる音楽。聴く人色に染まってくれる曲。そんな音楽的魅力を感じます。

・・・・ふと、久石譲音楽に置き換えたときに、どんな曲だろう? いろいろな候補曲が浮かんできたなかで、しっくりきたひとつ「WAVE」です。もしこの曲が、映画の印象的なシーンに使われる挿入曲だったなら、多種多様なジャンル映画たちに多岐使用されることになったなら。たぶん何の不思議も感じません。なんと素敵な現象だろうと思います。

「WAVE」。最小音型でシンプルに構成された音楽。しっかり印象的でありながら、いかなる映像にもなじむ曲。ひたすらにくり返しながらも同じことのループではない。寄せては返す波のように心地のよいエモーショナル。走馬灯のような心の揺らぎ。いろいろな場面や感情に寄り添ってくれる音楽。聴く人色に染まってくれる曲。そんな音楽的魅力を感じます。(上の「On the Nature of Daylight」と同文)

 

WAVE

from Joe Hisaishi Official

 

 

収録アルバム

 

 

 

 

むすび。

アルバム『The Blue Notebooks』は、原盤(2004輸入盤/2015国内流通輸入盤)、15周年2CD盤(2018輸入盤)、15周年2CDデラックス盤(2018輸入盤)、SHM-CD盤(2019初国内盤)と4タイプあります。収録曲数の違い、価格、入手しやすさなど、詳細は公式サイトにてゆっくり眺めてみてください。せっかくなら、今回紹介した全バージョンが収録されている2CD盤おすすめです。

公式サイト:ユニバーサルミュジックジャパン|マックス・リヒター DISCOGRAPHY
https://www.universal-music.co.jp/max-richter/discography/

 

 

Max Richter – Richter: On The Nature Of Daylight

2018年、15周年記念盤リリースにあわせて、新しく作られたMUSIC VIDEOです。エリザベス・モスが出演しています。音源はオリジナル版(2004)を使用しています。

マックス・リヒター音楽。それは、深く深く自分のなかに降りていきたいときに、深いところで結びつく音楽なのかもしれません。そして気がつくと、自分の知らない内面と対峙することになる。僕にとっては、大切な音楽、大切な時間です。

 

 

追記

最新オリジナル・アルバム『EXILES / MAX RICHTER』(2021年8月6日発売)にも「On The Nature Of Daylight」弦楽オーケストラ・ヴァージョンが新録音されています。(とても厳密にいうと、低音シンセサイザーも外した初のオーケストラ楽器のみ録音になります。)また、このアルバムは「レコード芸術 2021年10月号」にて特選盤にも選ばれています。その話は機会あればまた。

 

 

それではまた。

 

reverb.
マックス・リヒター音楽の旅はつづきます♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第48回 新しいピアノ・ストーリーズのかたち

Posted on 2021/08/17

ふらいすとーんです。

久石譲人気を揺るぎないものにしたシリーズ、時代ごとにファンをぎゅっとつかんできたシリーズ、「ピアノ・ストーリーズ」です。

 

ピアノ・ストーリーズとは

映画・TV・CMのために書かれた音楽を、独立した音楽作品として書き直した楽曲が数多く収録されています。アルバムにはオリジナル楽曲も配置されています。エンタメ楽曲とオリジナル楽曲でテーマをコンセプチュアルにまとめたもの。その時代の指向性を色濃く反映した音楽制作になっています。ピアノを基調として、アルバム・コンセプトに即してリアレンジされることで、一枚とおして聴ける統一感と、人気曲も新しい魅力で聴かせてくれます。

メロディ親しみやすい楽曲も、クラシックから現代音楽までの語法によって精緻に構成されています。エンターテインメントな衣装をまといながら、そこには時代や流行に左右されないアート性が宿っています。まさに色褪せることのない洗練された響き。久石譲の大衆性と芸術性を絶妙にブレンド、気品のあるアコースティックな音楽作品へと昇華させたもの。それが「ピアノ・ストーリーズ」です。

久石譲コンサート活動と連動することも多く、過去にはアルバム引き下げてのコンサート・ツアーや、あるいはコンサートの楽器編成そのままにアルバム制作を並行して完成させた盤もあります。おのずと収録された楽曲たちは、演奏会用作品としてもしっかりと成立している。アルバムとコンサート、久石譲のライフワークであり、その時代ごとのマイルストーンや区切りの役割も果たしてきました。そして、忘れてはいけないこと。「ピアノ・ストーリーズ」人気とともに、ピアニスト久石譲の魅力もたっぷり届けてきた、大切なシリーズです。

 

 

数々の映画音楽をピアノソロ用にアレンジしたアルバム。シリーズ第1作であり代表作。シンセサイザー仕事の多かった当時、原点に戻りたいとシンプルな表現を目指したという。「Fantasia (for Nausicaä) 」「Innocent」「The Wind Forest」ほか収録。

久石譲 『piano stories』

 

ピアノとストリングス。映画・TV・CM音楽からはもちろん、珠玉のオリジナル曲たちで彩るアルバム。「Asian Dream Song」「Angel Springs」「Kids Return」ほか収録。

久石譲 『PIANO STORIES 2』

 

イタリア的な”唄”をコンセプトに、映画・TV・CM音楽からオリジナル曲・カバー曲まで。イタリアで現地オーケストラとレコーディングするほどこだわった、エスプリ香るアルバム。「il porco rosso」「HANA-BI」「Cinema Nostalgia」ほか収録。

久石譲 『PIANO STORIES 3』

 

ピアノとストリングスをメインに、映画音楽・TV・CM音楽が数多く収録されたアルバム。親しみやすいタイアップ曲とは対照的なオリジナル曲の内省性が”自由”に奥ゆきと深みを。「人生のメリーゴーランド 」「Oriental Wind」「Spring」ほか収録。

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

 

シリーズ4枚から久石譲自らセレクトしたベスト・アルバム。新しいファンのための入門編にもなるうれしい一枚は、宮崎駿監督作品から北野武監督はもちろんCM曲まで。「人生のメリーゴーランド -Piano Solo Ver.-」未発表音源も収録。

久石譲 『Piano Stories Best ’88-’08』

 

ピアノと12人のチェロにパーカッションらを加えた斬新な楽器編成によるアルバム。エンターテインメント音楽はもちろん作家性の色濃い自作品まで。シリーズのなかでもポップスとクラシックの二面性が拮抗した、独自性を放つ”Anoter”なアルバム。「Ponyo on the Cliff by the Sea」「Departures」「The End of the World」ほか収録。

久石譲 『Another Piano Stories』

 

more!

 

 

2020年ベストアルバム『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』に収録された曲も多いです。世代ごとに大きな螺旋を描いてきた久石譲ファン、また新たなファンを獲得するメモリアルな一枚になる愛蔵版です。

代表曲はもちろん久石譲のキャリアを一望できる2020ベスト盤は、待望の世界リリースでCD盤・デジタル配信・ストリーミングまで、さらに広がっています。ベスト盤を起点にして過去「ピアノ・ストーリーズ」シリーズを一枚ずつめくっていく、そんな逆スパイラルな楽しみ方も、これからはそっちが主流になっていくでしょう。

 

 

 

2016年頃から、久石譲作品をメインとしたコンサートのときに、「ピアノ&ストリングス」コーナーがプログラムに挙がることがでてきました。1990-2000年代の久石譲アンサンブルコンサートやピアノソロコンサートに足を運んできたファンには懐かしい、またオーケストラを指揮する姿しか見たことのないファンには新鮮な、美しい旋律と響きに心酔するコーナーです。

 

 

新しいピアノ・ストーリーズのかたち

  • 弾き振りの一体感
  • 新しいオーケストレーション
  • ピアノの円熟味

これまでのピアノ・ストーリーズとの変化を、大きく3つに分けて進めていきます。名曲たちが時を越えてコンサート演奏される、そんな喜び満ちた面もありますが、今だからこそ聴ける新しさもいっぱいに届けてくれています。

 

 

どんな曲が演奏されてきた?

” ”で囲んだ久石譲コメントとともに。

 

【Hope】for Piano and Strings
View of Silence
Two of Us
Asian Dream Song

“また弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)に初挑戦します。そのためこのコーナーはすべて新しくオーケストレーションし直しました。”

“その弾き振りの「HOPE」というコーナータイトルは長野パラリンピックのときに作った応援アルバムのタイトルからとりました。折しもフィギュアスケートの羽生結弦さんが今年の演目で採用している楽曲が2曲含まれます、お楽しみに。”

Blog. 「久石譲 ジルベスターコンサート 2016」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

【mládí】for Piano and Strings
Summer
HANA-BI
Kids Return

“また弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)もおこないます。これは昨年の大阪ジルベスターコンサートで初めて実践し、今年もチェコのプラハ等で好評だったのでW.D.O.としても初めて試みます。ちなみに今までは指揮の合間にピアノを弾いていたのですが今回はピアノの合間に指揮をする? ややこしいですね、その違いをぜひご覧ください。”

“弾き振りの「HOPE」はフィギュアスケートの羽生結弦さんが昨シーズンの演目で採用していた楽曲が2曲含まれています。また「mládí」は北野武監督映画に作った楽曲を構成したものです。チェコ語で青春という意味でヤナーチェクにも同名のタイトル曲があります。”

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」 コンサート・レポート より抜粋)

*【mládí】初演:2017年4月プラハコンサート「THE WORLD OF JOE HISAISHI」

 

 

The Path of the Wind 2018

(映画『となりのトトロ』より「風のとおり道」、ピアノ&ストリングス版の新たなオーケストレーションで演奏されました。同年夏NHK「ジブリのうた」でピアノ&ヴァイオリン版も初披露され歓喜しました。デュオ版と同じ楽曲構成にストリングスが極上に包みこむ芸術的な響きになっています。)

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート 参照
Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」BS日テレTV放送 レビュー 参照

 

 

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings
Woman
Pnoyo on the Cliff by the Sea
Les Aventuriers

“ここ数年挑んでいるピアノと弦楽オーケストラの形です。指揮者としてオーケストラと対峙する関係と違い、演奏者として一体感が高く、とても好きなスタイルです。一方、指揮者もやらなければならないので、とてもハードなスタイルでもあります。作曲家の久石譲さんは演奏家にとても厳しいので、ピアニストとしてはいつも大変です(笑)。

今回はハープともう一台のピアノ、パーカッションを入れました。「Woman」「Ponyo on the Cliff by the Sea」「Les Aventuriers」の3曲とも「Another Piano Stories」というアルバムに入っていた曲です。12人のチェロとピアノ、ハープとパーカッションという特殊な編成のバージョンをベースにしながら、今回のツアーのために書き直ししました。”

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

コンサートで披露した楽曲の多くは、過去「ピアノ・ストーリーズ」シリーズにも収録されています。楽曲構成(パート・時間)の大枠は変わない。けれども、すべての曲でピアノ&ストリングスのための新たなオーケストレーションが施されています。CD収録の原曲はどんな楽器編成なのか、どのあたりが違うのか、細かいことは各コンサート・レポートに記しています。興味あったら、ぜひ見てみてください。

 

弾き振りの一体感
久石譲コメントにもあったので、雰囲気は伝わるでしょうか。指揮者と演奏者をかねたプレイングマネージャーのポジションで、ぐいぐい全体をリードしていきます。時に身振り手振りでオーケストラを導き、ピアノ演奏中は目配せでお互いの呼吸をつかみあう。ピアノと弦楽器が融合し溶けあうことで生まれる一体感、それはコミュニケーションだけでなく演奏にもたしかに現れています。直球で言うと、より久石譲ピアノの表現に近づいたオーケストラ、久石譲ストリングスのような感覚のもの、”弾き振り”にはそれがあります。

 

新しいオーケストレーション
ピアノとストリングス。ストリングスとは、フルオーケストラ(管弦楽)から管楽器のいない弦楽オーケストラです。カラフルさは劣るはずなのに、楽曲ごとに色彩豊かに表情豊かに多種多彩な世界観を演出してくれています。弦のリズムの刻み方、ヴァイオリン・ソロ、主旋律から伴奏音型まで入れ替わり立ち替わる高低弦楽器たち。さらに、曲によっては、久石譲ミニマル・エッセンスに欠かせないマリンバやハープなどの打楽器群も色を添えている。こういった特殊な楽器編成だけをみても、古典クラシックにはないポップスにもない、先鋭的な現代作曲家久石譲が浮かび上がってきます。

やっぱり大きいのは、クラシックから現代音楽まで熟知している、モダンなオーケストレーションとアプローチでしょうか。対旋律やハーモニーが生みだす複雑な響き、不協和音すらも心地よい現代的な響きです。アップテンポからスローテンポまで、いかなる曲も決して失われることのない呼吸する現代的リズム。いかんなく発揮するソリッドなアプローチと、弾き振りによって緩急自在なピアノ&ストリングスの表現は、今の久石譲だからこそです。

久石メロディに、モダンなハーモニーとリズムでアップトゥデートです。セレクトされた楽曲たちは、メロディを強く打ち出したもの、メロディにこだわったもの、メロディを歌わせるものが並んでいます。そこへ施された新しいオーケストレーションは、エンターテインメント音楽として登場した原曲とは一線を画する、芸術性の息吹が芽生えています。

いま唯一、音源化されている「Woman」「Ponyo on the Cliff by the Sea」「Les Aventuriers」この3曲だけでも、聴いてもらえたらなんとなく感じてもらえることあると思います(^^)♪

 

 

 

ピアノの円熟味
「ピアノ・ストーリーズ」シリーズを第1作から聴きかえしてみると、久石譲ピアノも変化していると気づくことできます。

久石譲にしか出せないピアノの音ってあるんです。やっぱりいい、としか言いようがないんです。それはテクニックや技術といったものを超えたところにある、魔法の音です。もし仮に目をつぶって聴いていたとしても、久石譲が弾いているピアノだとわかる。あっ、いま久石譲の音が鳴っているなあと。誰でも指を下ろせば鳴るピアノ。それなのに、音を聴いただけで誰が弾いているかわかるピアニストって日本に世界にどのくらいいるだろう? と思ったりします。

論理的に説明しようとすれば、それは作曲家自らによる演奏だから。でもそれだけじゃ到底説明することができないなにかがありますよね。特に、最近の久石さんの手から紡ぎだされるピアノの音色は円熟味を感じます。とてもやわらかい、凛と立った、ピュアで無邪気な、悟ったような慈しみ、優しくて強い、儚く切ない、芯の強さ、ぬくもり、いくつもの裏と表な表現が浮かびます。でもそれが多面的に音をつくっている。ピアニスト久石譲にしか出せない富んだニュアンスがある。熟成されたお酒のように、奥ゆかしい深みでいろいろな味わいを包んでくれます。今だからこそ録音してほしい音、封じ込めてほしい音がそこにはあるんです。

 

(ピアノの円熟味項は、これまでコンサート・レポートなんかで書き散らかしたものを引っ張りだして加えながら整えました。なんとなく気持ち的なもので…臨場感的なもので…。)

 

 

空想は止まらない。

もし、これからもコンサートで「ピアノ&ストリングス」コーナーがつづくなら。新しく選ばれる曲もきっとあるでしょう。北野武監督の初期作品から「Silent Love」「Sonatine」もぜひ聴いてみたいです。フルオーケストラ版はある二楽曲ですが、室内楽の響きもピカイチだろうなあと空想は止まりません。思いつくかぎり、White Night、EVE、太王四神記、おくりびと、この世界の片隅に、イザベラ・バードの日本紀行、海獣の子供、銀河鉄道の夜、遠い街から、、と個人的趣味のオンパレードになっていきます。ああ、この曲あの曲がピアノ&ストリングスのかたちになったらなんて素敵だろう。

人それぞれに、思い描く「ピアノ・ストーリーズ」がきっとありますよね。それは、わたしが・あなたが、久石譲ファンとして歩んできたストーリーそのものであるように。いい音楽は何度でも甦る、いつでも命をふきかえす。思い出と一緒に輝くエバーグリーンな名曲たちも、また新しい思い出を一緒につくってくれるために、装い新たに輝き変えて出会える日がくるかもしれない。

 

 

「ピアノ・ストーリーズ」、それは「WORKS」や「ミニマリズム」と同じくらい大切なシリーズだと思っています。新しいピアノ・ストーリーズのかたち。弾き振り、オーケストレーション、ピアノの3つで進めてきました。進化をつづける現代の先鋭性と、深化をつづける久石譲ピアノ。新しい久石譲の物語です。時代ごとに聴いてきた名曲たちが、今の久石譲によって語りはじめられたとき。それは、私たちにとっても、とっておきのマイ・ストーリーになる。そんな未来を楽しみにしています。

新しいピアノ・ストーリーズの候補曲たち(2016-)です。ちょっと売れすぎて困ってしまいそう。ぜひ、アップトゥデートしたものを届けるところまでいってほしい!

 

 

・・・・

そう書きすすめていたところの新情報でした。

コンサートから2曲が初音源化されることに!

 

”日本の巨匠・久石譲が本格的に世界リリース!Deccaリリース第2弾となるベスト作品。海外での認知度も高い映画音楽を中心に、彼の音楽人生を代表する名曲ばかり。北野武映画曲 “Kids Return” “HANA-BI” の新規録音を含む、全28曲。2枚組みアルバム。”

 

 

 

久石譲が語ったこと

”映画のテーマを集めてはいるんですけど、その映画を見た人がああこの音楽はあの映画で見た時が懐かしかったね、と思うために作っているのではなくて、逆に映画で扱われた事を全然無視して、聞いた人が新たにストーリーを再構成するといいますか、新たに架空のサウンド・トラックみたいな感じでとらえて欲しい、ということで『Piano Stories』としたんです。”

”メロディこそが、送り手と聴き手の橋渡しになってくれるんです。どんなに複雑なアレンジの曲でも、しっかりしたメロディがあれば、それは人の心に残る。それはメロディが、時間軸と空間軸上の記憶回路だからなんですね。だから今はしっかりしたメロディを作ることを根本にしています。いいメロディさえあれば、バックがたとえどんなにアバンギャルドであっても許されると思うんです”

(『Piano Stories』CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

 

New Piano Stories ~ My Story~
Music by Joe Hisaishi

【Hope】for Piano and Strings
1.View of Silence
2.Two of Us
3.Asian Dream Song

【mládí】for Piano and Strings
4.Summer 
5.HANA-BI **初音源化
6.Kids Return **初音源化

7.The Path of the Wind

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings *CD収録
8.Woman
9.Ponyo on the Cliff by the Sea
10.Les Aventuriers

ほか

 

 

 

・・・・

このかたちで収録してみてバカ売れしてみてほしかった(^^) まだまだ、いろいろなかたちで収録してほしいコンプリートしてほしい希望は捨てていません。珠玉の名曲たちが、こぼれ落ちてしまうことなく、私たちの手元に大切に持っておける宝石箱のなかで、輝きつづけられる日がきますように。

久石譲人気を揺るぎないものにしたシリーズ、時代ごとにファンをぎゅっとつかんできたシリーズ、「ピアノ・ストーリーズ」です。そして、僕らは出口のない魅力へ彷徨する物語の登場人物です。

 

それではまた。

 

reverb.
記したい区切りがひとつつきました♪(下書きは春頃でした)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第47回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2021/07/30

4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。

今回ご紹介するのは、WDOだけでも3回連続(2018/2019/2021)でレポートしてくれる、ふじかさんです。さすが久石譲音楽を広く深く愛してやまない、ふじかさんです。過去作品たちから新作につながっているもの、そして未来の新作たちへつながるかもしれないもの。久石譲曲の点と点が線になっていて理解をやさしく助けてくれるレポートです。

 

 

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021

[公演期間]  
2021/04/21 ~ 2021/04/24
2021/07/25,26

[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール

*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(国内/海外)

*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(国内/海外)

[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24)、安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣

[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 (世界初演)
    Symphony No.2  (World Premiere)
    Mov.1 What the world is now?
    Mov.2 Variation 14
    Mov.3 Nursery rhyme 

—-intermission—-

久石譲:Asian Works 2020 (世界初演)
    I. Will be the wind
    II. Yinglian
    III. Xpark

久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
    Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

—–encore—-

久石譲:World Dreams

 

 

WDO2021東京芸術劇場公演の様子をレポートさせて頂きます。

2021年7月25日 東京芸術劇場 15:00開演

今回のWDO公演は新型コロナウイルスによる情勢の変化で大きく振り回されるツアーとなってしまいました。本来は4月末に開催予定でしたが、3度目の緊急事態宣言により公演は中止。およそ3か月遅れ、再度公演が設定されましたが、またしても4度目の緊急事態宣言が発令され、そのような状況下での開催となりました。ちょうど、東京オリンピックの開催とも重なり、会場では消毒・検温のほか、手荷物検査も実施されていました。個人的には2019年の静岡公演以来、約2年ぶりのWDOとなりました。

今回の目玉はコロナ禍で書き上げられた『Symphony No.2』。前作の交響曲となる『The East Land Symphony』からは早くも5年となり、待望の最新作の交響曲となりました。そして同時に演奏される『もののけ姫組曲』は2016年WDO公演にもプログラムされており、破壊と再生をキーワードにどんな世界観が構築されるのか本当に楽しみにしていました。

 

会場に入ると、ほぼ満席の客席。しかし、会話は少なく、いつもよりは静かな印象を受けました。

15時すぎに楽団員の登壇に続き、コンサートマスターの豊嶋さんが登場。チューニングののちにしばしの沈黙。ほどなくして、久石さんが登場。前回のFOC Vol.3と同様、コンマスとの握手はせず会釈のみで、指揮台へと上がります。

 

 

Joe Hisaishi 『Symphony No.2』

『1楽章 What the world is now?』

前作の交響曲『The East Land Symphony』では再生と東日本大震災以降の日本を軸に構成されていて、楽曲の始まりから重々しい雰囲気で導入されるのが印象的でしたが、今回の『No.2』ではプログラムにて「純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した」との記載がありました。

早速、導入部では前作のような重々しい和音ではなく、どこか浮遊感のある和音にストリングスが散発的に2音の音を折り重ねていくような展開から始まりました。同時にチェロによるモチーフが提示され、そのモチーフが木管へと引き継がれていきます。その後はストリングスが細かいパッセージを構成しながら、打楽器隊のパワフルな演奏が加わります。雰囲気としては先日のFOC Vol.3で披露されたレポ・スメラの『Symphony No.2』を彷彿とさせるものもありました。

テンポもリズムも大きく変わっていきますが、軸となるのは冒頭で提示されたチェロによるフレーズで、それらを取り込み、変容しながらフィナーレへと一気に駆け上がっていきました。息つく間もなく、次々と曲の構成が変わっていく様子はまさしくタイトルにもあるように、今日のコロナ禍での世界の様子を暗示させるものも感じました。

演奏後、一瞬拍手が入りそうになりましたが、間一髪で鳴りませんでした…

 

『2楽章 Variation 14』

去年のMusic Future Vol.7にて小さい編成での試演がされましたが、いよいよ完全版での披露となります。『1楽章』の雰囲気とは一気に変わり、どこか陽気でリズミックなモチーフが提示され、次々と変奏されていきます。このどこか陽気でリズミックなモチーフはまるで『Encounter』のようなユーモアも感じます。様々な音色とアレンジで受け継がれゆくモチーフは聴いていて本当に楽しく、後半にゆくにつれて体を揺らしていきたくなるようなわくわく感に包まれます。終盤は冒頭のモチーフが華やかなパーカッションとスピード感ある演奏により、スリル満点になります。その後、ストリングの短いフレーズを繰り返しながら、チェロの音色で終わります。

 

『3楽章 Nursery rhyme』

プログラムには「日本のわらべ歌をもとにミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるのかの実験作である」と記載がありました。

わらべ歌のモチーフがコントラバスから始まり、チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンと受け継がれていきます。冒頭がコントラバスから始まることにびっくりしましたが、ある意味マーラーの『Symphony No.1 3楽章』のフランス民謡(日本語歌詞では「グーチョキパーでなにつくろう」)というモチーフを引用したような部分と共通のものも感じました。

わらべ歌モチーフがミニマル的なアプローチで発展をしていく様子は、以前『なよたけのかぐや姫(女声三部合唱のための)』にて実践してきた部分も取り入れられたような部分もあり、いままでの作品にて実験・実践してきた部分も活用し、今回の楽曲へ応用して取り組まれていった様子も感じることができ、それらを踏まえると前作の『The East Land Symphony』とはうって変わって、純粋に音の運動性を追求した作品であると改めて意識することができました。

ミニマルアプローチでの盛り上がりがピークに達したところ、一瞬演奏が途切れます。この瞬間に一瞬拍手がなるハプニングもありました。その後は、再度冒頭のコントラバスによるモチーフの再提示がありますが、副旋律も加わりより重厚な演奏になります。このモチーフを再度発展させていき、再び盛り上がりのピークへ。最終盤は、コントラバスソロによりモチーフを歌い上げ、静かに終わります。

 

 

今回の『Symphony No.2』から感じられたことは、ここ近年のミニマル作品にて取り入れてきた部分を様々な形で活用し、構成していった部分でした。各楽章ともそれぞれ、モチーフを提示し、アレンジさせ発展していきます。そしてただズレていくためだけのミニマルではなく、ミニマルもエッセンスの一つとして構成されています。

近年の『Single Track Music 1』『Chamber Symphony No.2』『I Want to Talk to You』『Encounter』『2 Pieces』などなど単旋律の追求、モチーフの発展の仕方など、様々な方法を実験し、行きついた作品が今回の交響曲であると感じました。そして、日本の作曲家だからこそできた西洋楽器と東洋のメロディ・モチーフとの融合。

今後、この楽曲は世界での演奏会でも数多く予定されていており、日本のエンターテインメント性をも訴えることができる作品だと思います。いずれは、日本を代表する交響曲のスタンダードとしてラインナップされるとファンとしてはうれしい限りです。もし、FOCなどでの少し小さい編成でのオーケストラにて演奏した場合、どのような表情へ変わるのか…音を運動性を追求した作品だけあって、今後の様々な発展も期待できる作品となりました。

 

 

Joe Hisaishi『Asian Works 2020』

2020年に発表されたエンターテインメント作品をピックアップしたコーナー。近年のエンタメ作品は発表のみでコンサートでの披露や音源化されることなく埋もれてしまうことが多かったですが、今回のコンサートでは一挙に3曲もコンサートのピースとして披露されました。本当にうれしい限りです。

 

『Ⅰ.Will be the wind』

ミニマルテイストを感じさせるピアノのフレーズを軸に、次々と様々な楽器が折り重なるように演奏されていきます。要所要所に入ってくるミニマル特有のズレが聴いていてなんともクセになります。後半に入るにつれ、加わってくる弦楽器の少し切なげなメロディとミニマルの交差から久石さんのエンターテインメント性が光ります。最後は力強く、バンっ!とフィニッシュです。

 

『Ⅱ.Yinglian』

香港映画の『赤狐書生オリジナルサウンドトラック』から『英蓮』がセレクト。ピアノの刻みから展開されるクラリネットから聴こえてくる、浮遊感のあり、掴みどころがないようなフワフワとしたメロディ。近年のエンタメ作品で実施されている引いた音楽がここでも実践されている気がしました。

 

『Ⅲ.Xpark』

最後は台湾の水族館のための音楽からセレクト。フルートの明るく楽しいミニマルを感じさせるメロディから始まり、木管の演奏へと続きます。ミニマル素材と海や深海などのテーマとの相性は抜群。水の流れを感じさせる雄大な弦の調べや、光を感じさせる伴奏のリズム。久石さん自身も楽しそうに体を揺らしながら指揮をしていたのが、印象的でした。最後は水の気泡が弾けるようなピチカートでポンッ!と終わりました。

 

近年のエンタメ作品では、ミニマルの要素が随所に取り込まれていて作品のクオリティが一段と高められています。納品先で流れて終わりではなく、コンサートで取り上げても作品として成立する完成度。この3曲を聴くと、いままで発表されコンサート等でのお披露目がまだの作品も今後の演奏があるのでは…!と期待のできるコーナーでもありました。

 

 

Joe Hisaishi『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』

今回のコンサートのもう一つの目玉、『もののけ姫組曲』が満を持して登場です。ちなみに私自身、2016年版演奏時はプログラムされていないほうの公演(Bプロ)を聴いたため、この組曲はいまだに聴いたことがありませんでした。今回ようやく初鑑賞です。

 

『アシタカせっ記』

久石さんの大きな振りとともに轟く大太鼓の音色。一気に物語の世界観へといざないます。メロディの入口にはパーカッションも加わり、より壮大な印象へ。

『TA・TA・RI・神』

再び、久石の大きな振りとともに轟く大太鼓とさらに和太鼓の音色。緊張感あふれるメロディと吠える金管、炸裂するパーカッション。会場が揺れるような演奏の迫力に会場全体も圧倒されたような雰囲気を感じました。

『旅立ち~西へ~』

先ほどの緊張感からはうって変わり、『もののけ姫』のメロディを軸に楽曲が展開されていきます。後半での壮大なパートではメロディの美しさとアレンジの力強さが見事に伝わってきます。

『コダマ』

コダマの首を回す音は打楽器にて見事に表現。原曲でのシンセの音は木管や金管の息の長い音色で再現。コミカルで不思議な雰囲気のこの楽曲もオーケストラにて完全に構築されていました。

『呪われた力~神の森』

劇中にてアシタカが敵から襲われるスリリングなこの曲も取り込まれ、そのままシシ神のテーマへ。木管から紡がれる怪しい雰囲気から混沌を感じさせる激しいパートへ。

『もののけ姫』

ゲストソプラノが登場し、有名な主題歌を披露。途中から転調し、ソプラノの美しさがより感じられる場面では、生演奏だからこそ伝わってくる気迫も感じられ鳥肌が立ちました。

『黄泉の世界~死と生のアダージョ』

終盤に向けて組み込まれた世界崩壊のクライマックス。手に汗握るようなスリリングな楽曲に時折顔をのぞかせる『もののけ姫』のテーマ。

『アシタカとサン』

組曲の終盤を飾るのは、物語では再生のテーマとして流れた本楽曲。今回のアレンジでは豊嶋さんのヴァイオリンソロを堪能できるバージョンへと進化しており、久石さんも短いながら、ピアノの伴奏として参加します。後半ではソプラノが加わり、希望の歌詞を豊かに歌い上げ、希望の鐘も響きながら美しく幕を閉じました。

 

 

会場からは割れんばかりの惜しみない拍手。

何度かのカーテンコールののちにアンコールへと進みます。

 

Encore

Joe Hisaishi『World Dreams』

いままで、何度も聴いてきた本楽曲でここまで泣きそうになってしまったのは初めてでした。コロナ禍で日常はもちろん音楽を楽しむ状況まで一変し、いままでとはまったく違う世の中になってしまいました。今の世界の夢ははやく日常を取り戻すこと。そこへ向かいたいというエネルギーがこの楽曲に凝縮されていて、改めて元気と活力をもらうことができました。

「哀しみにつまずけば 自由がみえる 歓びの灯が消えても ともに歩き続けよう」

 

演奏が終わると再び、拍手喝さい。

なかなか鳴りやまない拍手の中、大盛況で振替公演1日目は幕を閉じました。

 

2021年7月28日 ふじか

 

 

 

純粋に読んでいて楽しいです。リラックスしていて力まずにすっと読みやすいというかなあ、自分のと比べるとなおさら(苦笑)。今回も共感できるところ、新しい発見なところ、おもしろい表現なところ、とマーカーを引いていったら、なんとカラフルになるだろう! そんな感想です。いつも素敵なレポートありがとうございます。

 

いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)

ふじかさん
@fujica_30k

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
レポート多いと感想や感動が立体的になってきてうれしいです(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Overtone.第46回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2021/07/29

4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。

今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。感嘆すると思います、日本ファン顔負けの精通ぶりに。もし僕が海外作曲家にお気に入りがいたとして、ここまでリアルタイムに正確に音楽活動を追っかけられるかな。時差なし!誤差なし!すごいですっ!

 

 

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021

[公演期間]  
2021/04/21 ~ 2021/04/24
2021/07/25,26

[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール

*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(国内/海外)

*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(国内/海外)

[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24)、安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣

[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 (世界初演)
    Symphony No.2  (World Premiere)
    Mov.1 What the world is now?
    Mov.2 Variation 14
    Mov.3 Nursery rhyme 

—-intermission—-

久石譲:Asian Works 2020 (世界初演)
    I. Will be the wind
    II. Yinglian
    III. Xpark

久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
    Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

—–encore—-

久石譲:World Dreams

 

 

はじめに

久石譲のアルバムは、多くの曲をTENDOWORKで扱ってきたが、いざジブリ曲は扱ったことがない。ジブリ曲はあえて私が説明しなくても広く知られていることもあるし、たくさん聴かれていることもあるからだ。また、久石譲が最終的に作曲家として追求したミニマル音楽をより応援したいこともあった。

それにもかかわらず、今回のコンサートは、久石譲の第二交響曲が演奏される歴史的なコンサートなのでしっかりレビューみたいという思いがした。

 

W.D.O.の紹介

W.D.O.は久石譲の代表的なコンサートシリーズだ。それほど歴史も深い。韓国にも来韓して素晴らしい演奏を披露したことがある(WDO2017)。特に2008年の「久石譲 in 武道館」公演をはじめ、数多くの公演を行い、2015年から、新しいプロジェクトとしてスタジオジブリ・アニメーション音楽の交響組曲に取り組んでいる。

 

紆余曲折の多かったコンサート

今回のコンサートは本当にいろいろな情報が何度も出入りした。それだけ紆余曲折が多かった。2019年を最後に再準備期間に突入したW.D.O.が、2年ぶりにW.D.O.2021に戻るというびっくりするニュースが流れてきた。2020年だけスキップして、1年ぶりに帰ってきたも同然だった。さらに、予想もしなかった4月の公演日程だった。(ほとんどW.D.O.公演は8月頃の夏に行われる。)次いでライブストリーミング公演の計画発表。しかし、「ワールド・ドリーム・オーケストラ」ツアーの途中、日本の緊急事態宣言でキャンセルされてしまう。

後に振替公演の知らせが聞こえてきたが、再び緊急事態宣言のニュースも聞こえてきてパニックに陥った。それにもかかわらず、結果的に公演が行われた。だからこそ、感慨深いコンサートではなかっただろうか。

 

これからしっかりコンサートのレビューを始める。

 

Joe Hisaishi:Symphony No.2

久石譲の第二交響曲だ。「久石譲の交響曲第1番は何か」というささやかな議論になるがパスしよう。

 

Mov.1 What the world is now?

 

第1楽章は、現在のパンデミックをはじめとする世界各国の悲劇を意識したようなタイトルの「What the world is now?」 悲壮な雰囲気が逸品だった。少し難しく感じられるミニマル曲だ。

 

 

久石譲の曲には、ウッドブロックが本当にたくさん入る。交響曲第2番の第1楽章からウッドブロックが登場する。チクトクチクトクする効果音を響かせた。(このコンサートでウッドブロックのすごい活用度を知ることができるだろう。)

このウッドブロックの音が鳴り止む頃にものすごく曲が激しくなるが、この時、登場するフレーズでフィリップ・グラスのGlassworksの素早く繰り返されるフレーズが思い浮かんだ。「The Border」では、だんだん低い音に下がっていくような印象的な部分があるが、今回の曲では似たような形だが、むしろだんだん高い音に上がっていくようなフレーズがあった。(これを狙ったのかもしれない。)

 

Mov.2 Variation 14

 

第二楽章の「Variarion14」は「MUSIC FUTURE VOL.7」でより小さな規模で演奏されたことがあった。リズム感とウィットに富んだ曲だ。名前にふさわしく、変奏曲形式である。久石譲の”Single Track Music”の手法が少し連想される面があり印象的だった。これはなんの和音もなく曲が成り立つ手法であるが、不協和音などに依存する現代音楽の限界を克服しようとする試みの一種であるように見えた。演奏されるメロディのいくつかの箇所で、他の楽器が同じ音に短く重ねて演奏する部分があり、リズム感もキープし雰囲気もアップする感じだった。(ただし、これによる演奏難易度は非常に上昇するものと予想された。)しかし、この曲は厳然として見れば”Single Track Music”ではない。中間部分からセクションが互いにすれ違いからだ。

 

 

最後の頃にはとても静かになり、グロッケンシュピールとヴィブラフォンが演奏される場面があるが、すぐに続く激しいトゥッティ演奏がハイライトだ。この部分は、僕のお気に入りの部分だ。”Single Track Music”の限界を振り切ってすっきりと演奏されるフレーズと、各楽器の激しい演奏が逸品だ。最後のチェロの締めも素晴らしい。

 

Mov.3 Nursery rhyme

 

最初コントラバスが奏でる童謡がテーマになる。なのでタイトルも「Nursery rhyme」。これは日本の童謡で、日本人のツイッターの反応を見ると、「かごめかごめ」という曲の少しの変形だと多く言われている。

静かで落ち着いた曲のように思えるが、すぐに拍子が速くなりテーマになるメロディも複雑になる。主題となるメロディがシンプルな童謡だったので、それでも比較的聴きやすかった。 (コロナ以降の楽めるコンサートが目標になっているため、第2、3楽章はわざとシンプルに書いた感じがする。)

このような強烈な速さで進行された後クライマックスに入る。この部分では、多くの人々が音楽が終わった感じることもあったようだ。しかし、クライマックスの後つかの間の静寂に続いて、再び重く荘重に変奏主題が演奏された後、コントラバスが静かにソロで演奏されて終わる。とても劇的な構成だ。

 

だから結論的に、久石譲の交響曲第2番は、全体的に変奏曲の形式で成り立っていて、ある意味退屈になりうる危険な構造だったかもしれないが、悩みと研究を重ねて交響曲まで成立させた大作とすることができるようだ。

 

 

Joe Hisaishi:Asian Works 2020

I. Will be the wind

 

中国で公開されたLEXUSテーマ曲「Will be the wind」だ。とても洗練された雰囲気の曲だ。典型的なメロディ+ミニマルな感じの曲。風が吹くような感じのモチーフが様々に変化し、心を揺さぶる。単純なモチーフの繰り返しではない、無意識の何かを引き出す不思議な魔法を使う曲だ。ピアノの旋律もとても印象的だ。また、久石譲の武器であるマリンバも欠かせない。最後までよどみなく吹き荒れる素敵な曲だ。

 

II. Yinglian

 

いよいよTENDOWORKでレビューしていた曲が登場した。(https://tendowork.tistory.com/66)「Yinglian」は『赤狐書生』という香港映画のラブテーマに当たる曲だ。とても魅惑的なメロディが印象的だ。特異な点は、「MUSIC FUTURE Vol.7」でも演奏されたジョン・アダムズの「Gnarly Buttons:Movement III – Put Your Loving Arms Around Me」ととても似た雰囲気の曲ということである。これは久石譲の意図なのか?聴き比べてみるのもおもしろいだろう。クラリネットのソロ演奏は本当に素晴らしかった。

 

III. Xpark

 

祭り的な雰囲気のとても明るい曲だ。Xparkの館内展示音楽として久石譲が作曲した曲は全7曲だが、このうち1曲がW.D.O.で演奏されたものである。YouTubeでXparkに関する動画を見ながらいくつかの曲の一部を聴いてみると、すべて美しく素晴らしい曲ばかりだ。海外に出て行くことができないため、実際に聴くことができない貴重な音源である。コンサートでこういう形でも1曲ちゃんと聴けてうれしい。

 

 

豊嶋泰嗣さんのヴァイオリン・ソロ部分でこんなに明るい笑顔を見せてくれる久石譲さん…!!!

 

 

Joe Hisaishi:Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

 

W.D.O.2016で演奏された交響組曲が完全版に進化した。2016年に演奏された「Symphonic Suite “Princess Mononoke”」は音源発売もされず、コンサートの映像化もされなかった。だからファンたちがとても熱望した曲だが、この機会にアルバム発売にもつながってほしい。やはりもののけ姫の曲は胸を鳴らし、耳を清めるような感じだった。

 

 

ウッドブロックをたたきながらコダマを表現した。(大太鼓の横の楽器もウッドブロックだろうか。 鉄製の感じがするんだけど… マレットの違いかも…)この曲は、1998年にアルバムとして発売された「交響組曲もののけ姫」になかった追加された部分だ。

 

 

ソプラノ安井陽子さんが「もののけ姫」を素敵に歌ってくれた。クライマックスの部分はいつ聴いても身の毛がよだつほどいい。

 

 

いまにも終わりそうだった交響組曲は、世界の崩壊を表現した楽曲が演奏され、再び緊張が高まる。コントラバスを下から上へ上から下へと演奏される技法が印象的だ。この部分が追加されることでもののけ姫の物語世界が完成されて、音楽的にもより完成された感じだ。

 

 

最後の曲「アシタカとサン」。個人的にもののけ姫で一番好きな曲だ。久石譲のピアノ演奏とコンサートマスター豊嶋泰嗣さんの素敵なヴァイオリン・ソロ演奏。久石譲のピアノは概ね伴奏にとどまりヴァイオリン・ソロがとても華やかだった。久石譲のピアノ演奏はいつ聴いてもいいが、「アシタカとサン」ピアノ・ソロとして多く演奏されてきたので、ヴァイオリン・ソロ演奏で聴くととても新鮮だった。特に今回のコンサートのために変形されたフレーズが心をつかんだ。次いでソプラノ安井陽子さんのボーカルバージョンが引き継がれた。 武道館の合唱バージョンはもうおなじみだったからソプラノバージョンもとても良かった。原曲のカウンターテナーともまた違った感じだ。

今回のコンサートでは、久石譲がコンサートの出演者紹介で「Conductor, Piano」ではなく、「Conductor」としてだけ紹介された。指の負傷の影響もあったはず、それでも指揮台からメインピアノに移動してピアノ演奏を披露するサプライズ演出を見せた。たとえ短い演奏でも、こんなファンサービスに感動した!!

 

World Dreams

 

コンサートのアンコール曲は「World Dreams」で終わる。W.D.O.の象徴になってしまった曲だ。2019年以降、「World Dreams」が終わるとマリンバの音が幻聴で聞こえてくる後遺症があるが、どうしようもない。

 

 

久石譲の今回の「ワールド・ドリーム・オーケストラ・2021」コンサートは、2016年のコンサートと似ている面がある。久石譲の「The East Land Symphony」と「もののけ姫交響組曲」が演奏された2016年、そして久石譲の「交響曲第2番」と「もののけ姫交響組曲2021」が演奏された2021年。本当に素晴らしい組み合わせだ。 2016年のコンサートが映像化されていないことが残念でならない。

また、リアルタイムストリーミングの利点は、彼のコンサートをリアルタイムで見て、感じた点を、日本の観客とすぐに共有することができるし、今すぐ映像と録音に残ったコンサートを何回も繰り返すことができるということだ。テレビやブルーレイとは異なり、編集の心配もなく、公演開始前の楽器のチューニング、舞台セッティングの過程などを生き生きと見ることができるのもいい。

これからもリアルタイムのストリーミングが慣行として残ってほしいという願いをもって終了。

 

2021年7月27日 tendo

 

出典:TENDOWORKS|久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2021 コンサート・レビュー
https://tendowork.tistory.com/70

 

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャルYouTube特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

”2019年以降、「World Dreams」が終わるとマリンバの音が幻聴で聞こえてくる後遺症があるが、どうしようもない。”

ここは、組曲「World Dreams」I.World Dreamsの終わり、ストリングの響きをのこしたまま II.Driving to Futureのマリンバへとつながっていく。組曲版が染みついてしまってるからの幻聴ですね♪ もしこの部分を見て、「それわかるっ! おなじくそうなるっ!」って思った人、tendoさんと楽しく仲良くなれると思います。ぜひツイッターでFFつながってください(^^)

tendo
@tendo01

 

tendoさんとはSNSで交流しています。ご自身のサイトに公開していたレポートを、日本語に翻訳するかたちで紹介させてもらうこと、快諾してくれました。なるべくオリジナルテキストの雰囲気が残るように必要な添削と最低限の補正にしています。複数の翻訳サイトを使って吟味しました。tendoさんのレポートおもしろかったですよね、 かなり伝わるもの多かったですよね。果汁100%のままとはいきませんが、80%くらいで美味しさ伝わったならうれしいです。

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
ライブ配信が海外ファンレポート第1号を叶えてくれました(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪