「久石譲ってバリバリの現代音楽もやってるんだ」「ミニマル・ミュージックを作ってたんだ」そんな声も聞かれますね。映画音楽やCM曲のイメージしかなかったらびっくりしますよね。その感覚、平成に置いていこう。久石譲の原点はミニマル・ミュージックであり、久石譲の最新もまたミニマル・ミュージックを追求しています。上の『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(2021)には、耳にしたことのあるメロディから本格的な現代曲まで分け隔てなく並んでいます。これちょっとうらやましいです。先入観なしに疑いようなくこれが久石譲なんだと受け取れる感覚、ベスト盤に選ばれるような曲なんだと同じ心持ちで聴ける感覚。長年のファンでも「久石さんの現代作品は聴かない、ちょっと苦手かも」「ミニマルってなんか難しい」ってありますよね。その感覚、平成に置いていこう。これから新しくファンになる人たちは、ミニマル・ネイティブですよ。令和だしね、令和スイッチでいきましょう。
Asian Dream SongとDVD音源でそろえなかったのはきっと理由がある。ライブのほうはチェロ合奏とピアノ。オリジナルのほうはヴァイオリンら高低の豊かな弦楽合奏の響き。ホプレガのクライマックスでよくわかる。こみ上げてくる涙腺を止めることはできないと。Hope&Legacy
VIEW OF SILENCE / 久石譲
Asian Dream SongとDVD音源でそろえなかったのはきっと理由がある。ライブのほうはチェロ合奏とピアノ。オリジナルのほうはヴァイオリンら高低の豊かな弦楽合奏の響き。ホプレガのクライマックスでよくわかる。こみ上げてくる涙腺を止めることはできないと。Hope&Legacy pic.twitter.com/2nPcHI3Ly9
PRETENDER=ふりをしている人。強いふり、大丈夫なふり、傷ついていないふり。その中にあるVIEW OF SILENCE、耳をすませる。自分の心をみつめる。まだそこには、いつもそこには、ありたい自分の灯。内なる情熱は消えていない。Hope&Legacy pic.twitter.com/2gqpqlfhSw
羽生結弦さん、アスリートの顔からさらにアーティストの顔になったと感じます。そして一貫しているプロフェッショナルの顔。これからも<羽生結弦×久石譲>を見たい。そのためにできること。
in simple English .. may be wrong –>
He looks like change from Athlete style to Artist style. and, no change Professional style. Now and forever, we want to see <Yuzuru Hanyu×Joe Hisaishi> special works. Please stop reupload or share on video site and SNS without permission, especially paid distribution. Thank you!
羽生結弦さん、アスリートの顔からさらにアーティストの顔になったと感じます。そして一貫しているプロフェッショナルの顔。これからも<羽生結弦×久石譲>を見たい。そのためにできること。 in simple English .. may be wrong –>
— 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 (@hibikihajimecom) April 8, 2023
VIEW OF SILENCE
羽生結弦選手「Hope&Legacy」のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。今も昔もピアノとストリングスという構成には強いこだわり。久石譲いわく”「内なる情熱」というようなエモーショナルな部分が引き出せたと思う”。至芸の弦音(つるおと)美しい。
VIEW OF SILENCE 羽生結弦選手「Hope&Legacy」のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。今も昔もピアノとストリングスという構成には強いこだわり。久石譲いわく”「内なる情熱」というようなエモーショナルな部分が引き出せたと思う”。至芸の弦音(つるおと)美しい。#久石譲ベスト2
羽生結弦選手「Hope&Legacy」”View of Silence”。『PRETENDER』CD収録曲ですが、2001年福島「うつくしま未来博」上映作品『4 MOVEMENT』(監督:久石譲)でも使われた曲。この曲には東日本大震災、東北への想いが込めれているのかも。”Asian Dream Song”はスケート始めた頃と夢。象徴的な2曲にのせて。
羽生結弦選手「Hope&Legacy」”View of Silence”。『PRETENDER』CD収録曲ですが、2001年福島「うつくしま未来博」上映作品『4 MOVEMENT』(監督:久石譲)でも使われた曲。この曲には東日本大震災、東北への想いが込めれているのかも。”Asian Dream Song”はスケート始めた頃と夢。象徴的な2曲にのせて。
— 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 (@hibikihajimecom) March 4, 2020
Asian Dream Song
歌曲版サビのないこちら原型。羽生結弦選手のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。そのスポーツとこの曲に共通するのは、芯の強さと芸術性の高み。いつまでも輝きを失わない。”View of Silence”も収録してほしかったですね。
#久石譲ベストアルバムの曲 Asian Dream Song 歌曲版サビのないこちら原型。羽生結弦選手のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。そのスポーツとこの曲に共通するのは、芯の強さと芸術性の高み。いつまでも輝きを失わない。”View of Silence"も収録してほしかったですね。
— 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 (@hibikihajimecom) March 4, 2020
(up to here, updated on 2024.04.28)
忘れもしない2016年9月半ば。フィギュアスケートの羽生結弦選手が、久石さんの楽曲を使用するというニュースが飛び込んできました。日を追うごとに少しずつ明らかになる情報、久石譲ファンサイトとして楽曲「Hope&Legacy」~(「View of Silence」+「Asian Dream Song」)についてインフォメーションしました。そして更新修正をくり返し、たくさんの人に見てもらうことができました。
でもこうやって「Hope&Legacy」に新しい解釈と想いを馳せてみると、すっと受け入れられて、新しい聴こえ方がしてくるような気がします。「View of Silence」「Asian Dream song」とは違う、『Hope&Legacy』という作品として、新しい命を得た幸運な楽曲なのかもしれないと。
この楽曲が僕にくれたもの。1つは、話題をきっかけに多くの人がサイトを訪れてくれたこと。1つは、久石さんファンとのかけがえのない出逢いがあったこと。1つは、久石さんがコンサートでも披露してくれたこと。そう、「久石譲ジルベスターコンサート2016」で、「View of Silence」「Asian Dream Song」が演奏されました。往年の名曲でこそあれコンサート披露されるなんて、約10年ぶりくらいと言っても言い過ぎではありません。
いや、そこはちゃんと調べないといけませんね。「Asian Dream Song」、「久石譲ジルベスターコンサート2008」以来8年ぶり、「View of Silence」、「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ Etude&Encore PIANO STORIES 2003」以来13年ぶり、 でした。なんとDVD収録盤あのコンサート以来だったんですね。これだけでも羽生結弦さんに感謝しないといけませんね。コンサートにプログラムしたきっかけ、そのひとつにはなっていると思いますから。そんなスペシャルコンサートについてはレポートしています。
2023年9月9,11日開催「新日本フィルハーモニー交響楽団 第651回 定期演奏会」です。2020年同楽団のMusic Parterとして定期演奏会にも登場するようになっています。2021年には「マーラー:交響曲第1番」と自身の新作「久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)」をプログラムしました。今回は「マーラー:交響曲第5番」と自身の新作「Adagio for 2 Harps and Strings」をプログラム、マーラー作品のなかでも有名な「アダージェット」(交響曲第5番第4楽章)と並べらることになった久石譲版アダージェットともいえる作品。
事あるごとに書かれる弦楽オーケストラのための楽曲達。『D.E.A.D組曲』『Sinfonia』『螺旋』『Encounter』『I Want to Talk to You』そして今回の『Adagio』。4声(コントラバスが入るので正確には5声になりますが)は和声学の基本にもなるので、やはり弦楽だけの作品は久石さんの中でも特に大事にしている気がしています。オーケストレーションもこの4声が基本となってくるので、基本に忠実になおかつ、このシンプルな編成で作品性の高いものを残していきたいのかもしれません。『ピアノと弦楽オーケストラのための新作』もいつか楽しみにしています笑
2023年9月9,11日開催「新日本フィルハーモニー交響楽団 第651回 定期演奏会」です。2020年同楽団のMusic Parterとして定期演奏会にも登場するようになっています。2021年には「マーラー:交響曲第1番」と自身の新作「久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)」をプログラムしました。今回は「マーラー:交響曲第5番」と自身の新作「Adagio for 2 Harps and Strings」をプログラム、マーラー作品のなかでも有名な「アダージェット」(交響曲第5番第4楽章)と並べらることになった久石譲版アダージェットともいえる作品。
2台のハープ。久石譲は2台のハープをよく利用する。以前レビューしたFuture Orchestra Classics Vol.3でもレポ・スメラの「交響曲第2番」は2台のハープが一番前に配置されて印象的だった。久石譲の自作曲の中でも日本武道館コンサートでもハープ2台が使われ、その他にも「Another Piano Stories ~The End of the World~」アルバム(2009)と「天人の音楽2018」でもハープ2台が使われた。
Claude Debussy『La Mer,trois esquisses symphoniques pour orchestre』
第1楽章『De l’aube a midi sur la mer(海上の夜明けから真昼まで)』 コントラバスとティンパニの導入から、泡を感じさせる2台ハープの音色。チェロとヴィオラの1つ目の動機が顔出すとヴァイオリンのトレモロ、さらに木管により1つ目の動機が次々と顔を覗かせます。イングリッシュホルンとトランペットにより2つ目の動機が流れると、盛り上がり始め、主題が流れてきます。雄大で壮大な海の旅へ誘います。
第2楽章『Jeux de vagues(波の戯れ)』 タイトル通り、どのパートも波を表すような上下へ細かく動く旋律が随所に散りばめられています。冒頭のヴァイオリンのトレモロを伴うメロディも美しく、そのメロディはフルートへと受け継がれます。時折出てくるハープのグリッサンドも目を惹きます。楽曲が激しく動くところでは、久石さんも大きな身振りで全体に指示を出していきます。コーダ部に出てくるハープの音色は深海のような雰囲気も感じさせ、静かに終わります。
第3楽章『Dialogue du vent et de la mer(風と海の対話)』 怪しげな低弦の序章とともに1楽章でのモチーフが次々と聴こえてきます。テンポが上がってくるところは、久石さんも重心を右に傾けて全体を引っ張ていくような指揮をしていました。弦楽のうねりに2つのモチーフが次々と折り重なると、本当に大海原のような壮大な風景が浮かんできます。中盤ではホルンによるコーラルのような美しいハーモニーも聴こえてきます。2つのハープが再び聴こえてくるシーンは後半に流れるであろう『深海牧場』のような雰囲気も感じさせます。最後は再び2つのモチーフが次々となだれ込み、大きなうねりになって壮大なフィナーレとなりました。
「久石譲:2 Dances for Large Ensemble」第2楽章です。長尺なメロディラインが4,8分音符で奏されたあと、同じテンポをキープしたまま16音符に圧縮されて奏される変化を聴くことができます。コンサート映像が公開されています。18分20秒あたりから2分間くらいの箇所です。この楽曲も同じモチーフで首尾一貫です。さらに高度に解析すると、基本モチーフは8分音符の粒です。でも18分20秒あたりの展開はスウィングする付点リズムのようになっているから「4,8分音符」とここでは書きました。そう、圧縮のパターンは等倍だけじゃありません。8分音符が等間隔で16音符や4分音符になるだけでじゃない、いろいろ変形した伸び縮み方もしている。圧縮バリエーションと言っていいのかな、いやむしろ、《圧縮》と《変奏》の合わせ技と言ったほうが正しいに近いのかもしれません。ほかでも旋律がカノン風にズレて増殖していたり、音符の長さを変えて同時に並走していたり。ここもまた《圧縮》と《増殖》が現れている状態といえます。まだまだ話し足りないけど先に進める、名残惜しい。
“JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE Vol.8” Special Online Distribution
(余談)
近年の久石譲作品から「Single Track Music 1」「2 Pieces」「2 Pages (Recomposed)」などにも《増殖》や《圧縮》といったキーワードは出てきます。曲ごとにどこを指して増殖している状態なのか?注目して聴いてみるのもおもしろいです。