Overtone.第89回 モチーフ「アンリリース」

Posted on 2023/01/17

ふらいすとーんです。

Overtone モチーフです。

きれいに考えをまとめること、きれいに書き上げることをゴールとしていない、メモのような雑文です。お題=モチーフとして出発点です。これから先モチーフが展開したり充実した響きとなって開けてくる日がくるといいのですが。

 

モチーフ「アンリリース」

当サイトは、発売されていない楽曲を「*Unreleased」と表記しています。なぜこれにしたんでしょうか?

 

未発表
TV・映画・CM・コンサートなど、発表していないわけではない。公にはなっている。

未作品化
作品になっていないわけではない。発表されている。アルバム=作品の定義もある。

未音源化
一般発売ではない特定の人に届けられる非売品やプレゼント品などもある。音源化されたものが存在する。リスナーが所有しているフィジカル(CD)やデジタル(配信)が存在する。

未CD化
メディアを限定してしまう。DVD・Blu-ray Audioなども存在する。デジタル(配信)のみリリースされる場合もある。…記録媒体という点ではLP・カセットからのデジタル化=CD化も従来ある。ここでは重複混乱するのでデジタル=配信で進めている…

未収録
サウンドトラック未収録楽曲、などという使い方をする。ある作品のなかで使われた楽曲という狭義になる。公にはなっている。

未商品化
Music Videoやライブ映像などがDVD等発売される際、初商品化などと言ったりする。プロモーションやWEB公開されていたものが商品化されるという意味も含む。無形のダウンロードやオンデマンドであっても課金する商品となる。

フィジカル/デジタル
フィジカル(CD・DVD・LP)とデジタル(配信・ダウンロード・サブスク)に分かれる。日本ではサブスクという呼称が主流だが音楽ストリーミングサービスのひとつ。発売パターンや発売順序も複雑化している。

ディスク
CD・DVDはディスク化といえる。LPを円盤としてのディスクに含めるか、記録媒体としてデジタルではないので除外するか、などカテゴライズが煩雑化する。

ソフト
ハードとソフトという区分があり従来はCDソフト・GAMEソフトなどとも言われた。ソフトの定義は各分野で多岐にわたり有形無形の境界線もなくなっている。商品=ソフトと広義になる。最近ではフィジカル(物理メディア)を使用することが多い。

パッケージ
フィジカルやソフトに近いが、形態を表すことがある。複数パッケージ(初回・通常・収録曲・特典・仕様)で発売などある。また有形無形の境界線もむずかしい。デジタル版も複数パッケージのひとつの形態となりうる。

メディア
オーディオメディア(CD・レコード・カセット)となるし、音楽ソフト(CD・レコード・ビデオ等)ともなる。カテゴライズが煩雑化する。

アナログ・LP
レコードのみリリースされる場合もある。またCD化を飛び越えて、デジタルリリース後にアナログ盤として登場するなど複雑化している。世界的にみると音楽ファンの需要と供給はデジタル>レコード>CDとなり日本のみCD優位性がある。

Vinyl
日本ではCDなどのデジタルメディアと区別してアナログレコードと呼ばれている。海外では一般的にVinyl(ビニール)と表記される。アナログやLPでは通じないことも多い。

 

 

発売されたときには……

CD化・DVD化・LP化・アナログ化・アルバム化・円盤化・音盤化・ディスク化・パッケージ化・ソフト化・商品化・音源化・初収録・配信リリース・デジタルリリース・ハイレゾ化 など

 

発売されたときには……

待望のCD化/遂にフィジカル盤が登場/配信限定リリース/初LP化/残す未音源化コンチェルトは…/初商品化されるMV2曲を含めて全…/あの名盤が初ハイレゾ化 など

 

ほんとうは……

図解や表にしたほうがいいくらい、キーワードごとに重なり合う部分がたくさんあります。解釈や使い方もいろいろです。ただし、公式発信(アーティスト・レーベル等)は常に一番適したキーワードを選択していると思うことが多いです。

 

まだまだある……

新しく見つけたら追記するかもです。こんな言葉、こんな言い方、もあると見つけたら教えてください。コンテンツ(音楽・映像・ライブ)を届けるものがメディア(CD・ストリーミング・LIVE配信)です。一番大切なのはコンテンツそのものです。手段や媒体はその次です。うれしいIT社会のなか受け取れる方法や機会は格段に広がっています。文明の変容によって言葉も変容していくのだ、なんて。

 

 

久石譲作品でいうと……

1)『Piano Stories Best ’88-’08』「人生のメリーゴーランド -Piano Solo Ver.-」※未発表音源

”『PIANO STORIES 4』にオーケストラ伴奏のアレンジ版が収録されていたが、ここに聴かれるピアノ・ソロ・ヴァージョンはそれとは別に収録されたもので、本盤が初出となる。”(CDライナーノーツより)

音源としては存在していたが未発表だった楽曲。一般的に音源が存在したか否かリスナーにはわからない。「別バージョンがある」と公言していれば話は変わる。また、初めて公になる音源なのでこの場合の未発表は適している。未収録音源(すでに使われたけど収録されなかった)とはならない。もちろん初収録でもマルになる。どういった経緯をもつ楽曲なのかという特性やアピールにおいて、未発表音源という表現は最適といえる。

 

2)『Ghibli Best Stories ジブリ・ベスト ストーリーズ』「海のおかあさん」*初CD化

”9.海のおかあさん(CD初収録)『崖の上のポニョ』本編では1コーラスしか聴くことの出来なかったオープニング主題歌を、今回初めて2コーラスのフルヴァージョンで収録したもの。”(CDライナーノーツより)

楽曲は1コーラスものがサウンドトラック盤に収録されていて、同じ音源元のフルサイズが初めて収録された。未発表音源とはならない。未収録音源ともならない。もし近年なら初CD化ではなく初音源化のほうが適切にもみえる。この作品はデジタルリリース/サブスク解禁されていない。現時点でも初CD化のままを継続している。

 

 

日本語って難しい……

未発売
一番適切だと判断しました。一般に多くのリスナーが受け取れる(アクセスできる)かたちで発売されていない。

Unreleased
未発売を英語にしたのは、海外の人が見てもアイコンのように意味がわかるからです。日本語で未発売・未音源・未収録とニュアンスを混同してしまう言葉を使用するよりも、Unreleasedなら誰が見ても一発でその意味合いはわかります。一語の結論にここまで思考めぐらせていたなんて…暇ですね。

アンリリース
「その曲は発売されていないよ」「その曲はCDになっていないよ」「その曲はリリースされていないよ」なんて会話で使うこともあると思います。ここらで「その曲はアンリリースだよ」と通称でもいいんじゃないかな、個人的に使っていこうかな、和製英語だけど伝わりますよね。(だってRecomposedもリコンポーズって言うでしょ会話のなか)

 

そんなモチーフでした。

それではまた。

 

reverb.
アンリリースがなくなっていくことが一番うれしい。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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