Overtone.第101回 「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル」コンサート・レポート by thuruさん

Posted on 2025/07/20

7月16,17日開催「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル at 東京ドーム」です。武道館コンサートから17年ぶりとなったジブリフィルムコンサートは久石譲×ロイヤル・フィルという豪華な日本公演で実現しました。2017年から始まった世界ツアーの集大成でもあり待望の凱旋公演です。

今回ご紹介するのは、はじめましてですthuruさんです。ライブ配信での鑑賞ですがその解像度とまるでそこにいるような臨場感と体感が伝わってきてすごいです。ぐっと一気に進んでしまいます。そしてこれまでも久石さんの音楽を聴き続けているとわかる着目点や気づきにわくわくします。ぜひお楽しみください。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Studio Ghibli Film Concert Tour Final at Tokyo Dome

[公演期間]  
2025/07/16,17

[公演回数]
7/16 1公演
7/17 2公演
東京・東京ドーム

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:東京混声合唱団/ブルックリン・ユース・コーラス/リトルキャロル
ソプラノ : エラ・テイラー
ヴォーカル:麻衣
マンドリン:マリー・ビュルー
マーチング:陸上自衛隊東部方面音楽隊
      陸上自衛隊第1音楽隊
      海上自衛隊東京音楽隊
      航空自衛隊航空中央音楽隊
      航空自衛隊中部航空音楽隊

[曲目]
風の谷のナウシカ
1. “NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND”

魔女の宅急便
2. “KIKI’S DELIVERY SERVICE”

もののけ姫
3. “PRINCESS MONONOKE”

風立ちぬ
4. “THE WIND RISES”

崖の上のポニョ
5. “PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA”

天空の城ラピュタ
6. “CASTLE IN THE SKY”

紅の豚
7. “PORCO ROSSO”

ハウルの動く城
8. “HOWL’S MOVING CASTLE”

千と千尋の神隠し
9. “SPIRITED AWAY”

となりのトトロ
10. “MY NEIGHBOR TOTORO”

—–encore—-
Ask me why (for Piano and Orchestra)(映画『君たちはどう生きるか』より)
Madness(映画『紅の豚』より)
Ashitaka and San(映画『もののけ姫』より)

[参考作品]

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ DVD A Symphonic Celebration

 

*プログラムの楽曲リストは、コンサートページや上のDVD/CD作品ページをご参照ください

 

 

久石譲ジブリフィルムコンサートファイナル東京ドームコンサートレポート

3月、日課の響きはじめの部屋のチェックをしているとなんと待ち侘びた日本でのこのコンサートの決定を受け4か月。胸が高鳴る思いでこの2日間を過ごしました。自分は大切な予定が重なる可能性があったのでチケットは買えず、ライブ配信での視聴となりました。その様子をお届けします。僕の目と耳で得たライブのレポートですので少し誤ったものもあるかもです。

開幕を飾るのはやはり『風の谷のナウシカ』宮崎監督とのタッグ一作目です。全体的に、A Symphonic Celebration(以後ASC)と楽曲に変化は見られませんでしたが全体的にスピードが速かったように感じました。ナウシカに限らず、ライブ配信通して、スネアやタンバリンなど打楽器とマイクが近かったのか、強調して聞こえました。

続くは『魔女の宅急便』スクリーンに作中風景が映るのを確認してから数秒おいて海の見える街がスタートしました。WDO2018を継承したジャジーな演奏でした。久石さんは指揮棒を使わずニコニコで指揮をされていました。武道館さながらの上から指揮台、弦楽器群を見渡すアングルもあり、感動しました!海の見える街から傷心のキキへは拍手もなくスムーズに移り変わりました。かあさんのホウキでは、コンサートマスターがスタンドプレイ。ライトアップされていました。豊嶋さんとはまた違う少し遅めなためのある演奏で僕の目にはすでに涙が、、、

3作目は『もののけ姫』アシタカせっ記のスタートは太鼓ではなくバスドラムでした。太鼓自体は設置されていてタタリ神では使用されていました。タタリ神は久石さん公式インスタにも掲載されていたように、ASCに比べかなりスピードアップされていました。最後のもののけ姫に向かっていく、音の重なりでは上から抑えるような指揮が印象的でした。ここで舞台左からソプラノのエラ・テイラーさんが登場。日本語を上手に歌われていました。海外公演同様、スクリーンには他の作品も歌詞が英語で書かれていました。気づいた違いはASCに比べ、歌詞途中の『もりのせい〜』のところをすごく伸ばしていました(伝われー!)また演奏中、久石とソプラノのアイコンタクトが多かったのが印象的でした。曲が終われば大きな拍手。ソプラノのにっこりでした!

もののけ姫がおわり、スタッフが3人楽譜やマイクを設置すると、マンドリンのマリー・ビュルーさんが登場。『風立ちぬ』が始まりました。こちらも気づくほどの変更はなく、久石さんは伴奏スタートでした。ピアノから指揮へ戻る際のマンドリンはASCに比べ、強くゆっくり演奏されていました。また、足で拍をとりながら笑顔で久石さんとアイコンタクトを取り演奏されていました。

スタッフ3人が楽譜やマイクを片付けると、『崖の上のポニョ』がスタート。海のお母さんはもののけ姫と同じソプラノが歌われました。気づいた点が2箇所。いもうと達の活躍の合唱が『Ah-Ah-』と入るあたり。とても遅く感じました。久石さんはコーラスに向かって指揮をしていました。もう一つ、ポニョのメインテーマの中間部優しくなってASCではトランペットがメロディを奏でていましたが、今回はトランペットは聞こえず、ピッコロのみのように聞こえました。(上手く聞こえなかっただけかも)このパートも遅めでした。そこからラスサビとコーラスが入る際、独特なテンポでした。ジャン!と終わるとこれまでにない割れんばかりの拍手が起きました!

続くは自衛隊の白黒混じる軍服によるマーチング『天空の城ラピュタ』です。3隊合同演奏で、人数も多かったため、かなり編曲されているように感じました。とても安定感がありました。その後のCrying youではASCではハープからスタートでしたが、世界ツアー同様合唱からはじまり、ここでも泣いてしまいました、、、自衛隊も途中で加わり、最後はタメありのフィニッシュです。久石さんのほかに、観客席中央部、そして左右スクリーン前のあたりに自衛隊の指揮者がおり、4拍子で大きく拍をわかりやすく取られていました。そして大樹へ。スネアの刻みが最高でした。途中からコーラスも加わり、ラストは交響組曲と同じ掛け合いをコーラスで行い、ダーンジャジャジャン!と自衛隊が締めてフィニッシュです。そして、マーチングで退場となりました。コーラスが手拍子をはじめ、観客もそれに合わせる形で手拍子をしていました。

スクリーンに鈴木敏夫プロデューサーの書いたメインビジュアルが映し出された後、『紅の豚』演奏メンバーが入場します。海外ツアー同様フィンガースナップもあり、ジャジーな演奏でした。スクリーンに写るジーナをバックにピアノを弾く久石さん。めちゃくちゃかっこよかったです。クラリネットの掛け合いも最高。ラストはアンサンブル全員の和音で終了です。

オケが戻り、チューニングをしたところで『ハウルの動く城』です。ここでなんでもないことですが僕の気になってる事が一つ。Worksバージョンに比べASCやこのライブ配信も所々ファゴットの音がよく聞こえるのが気になる今日この頃です。星をのんだ少年では、ドームの天井が青いライトで照らされ、まるで映画に入り込んだかのような演奏でした。人生のメリーゴーランドでは、久石さんのピアノの後のオーボエソロの後にトランペット?か金管がプッと音を出してしまうハプニングが。これにはワルツを奏でるバイオリン奏者も笑っていました。演奏自体に問題はなく、カメラが揺れるほどの拍手が送られました。演奏後にはソロを吹いたトランペット、ファゴットが立って拍手を受けました。

拍手やめのサインを久石さんがした後、麻衣さんが登場。『千と千尋の神隠し』です。少し喉の調子が悪いように見えましたが素晴らしい演奏でした。ピアノの伴奏は少しアレンジされていましたが、ASCからほぼ変わりはなかったです。最後に麻衣さんが高音を出すパートが追加されていました。ふたたびでは、先ほどよりも大きく歌うので、問題なく素晴らしい演奏が行われました。他の公演ではこのコーナーでMCがあったそうです。

そしてラストの『となりのトトロ』風の通り道に始まり、さんぽへと繋ぎます。さんぽは、ASCと違い、武道館コンサートが継承されており、各楽器スタンドプレイのあとのサックスパートはクラリネットに置き換えられていました。また、打楽器フェーズ、コンマスのヴァイオリンソロもありました。そして海外ツアーと異なり、スムーズにトトロのメインテーマに行くのではなく、拍手挟んで静かにヴァイオリンがトトロのテーマを奏ではじめます。中間部のピアノで無事泣きました。最後の転調部は少し遅くタメがありました。

ここまでが予定されていたセットリストです。ソリスト、自衛隊各隊のお偉いさん?が出てきて久石さんと何度も何度もお辞儀をして、アンコールへ。

1曲目は『君たちはどう生きるか』よりAsk me whyです。何度かピアノソロでは演奏されていましたが、今回はピアノとオケのバージョンでした。最初はオケは和音の伴奏でしたが、途中から16部音符で刻む演奏へと移り変わりました。管楽器はそこまで目立ったパートはありませんでした。(トランペットやフルートくらい)映画通してミニマルでいく。その覚悟を感じた演奏でした。今度サントリーホールで日本初演の交響組曲君たちはどう生きるかの伏線かのようにも感じました。

アンコール2曲目はMadnessです。やはりこの曲といえば赤い照明。ダークな雰囲気で演奏が始まりました。途中ピアノ間に合うのかなとヒヤヒヤしながら聴いていました笑。大きな変更はありませんでしたが、終盤のオケとピアノの掛け合いで少し、ずれが起きてしまいましたが逆にいい味を出していたように感じました。やはり東京ドームという大きな会場での音響の弊害ですね、、、しかし、素晴らしい演奏でした。最後には金銀のテープが勢いよく投下されました!

ラストはアシタカとサン。Madness同様に、パリでのコンサート、ASCではアンコールの2曲は収録されていません。武道館ぶりの合唱付きのアシタカとサンは本当に素晴らしかった。この海外ツアー8年間の集大成であるこのコンサートを締めくくるにふさわしい曲。そして演奏でした。交響組曲に比べて、最初の弦楽器の導入が変わったようにも聞こえました。コーラスは英語。大地に緑が戻りました。ここでもやはり泣いてしまいました。

曲が終われば、割れんばかりの拍手。しかし、観客でスタオベの人は少なく、久石さんがおでこに手を当てて見渡す仕草をすると、笑いが起きながらも観客がたちはじめ、大きな拍手が起きました。また、スクリーンには鈴木敏夫プロデューサーが写り、おぉという歓声もおきました。

凱旋公演となった今回の2日間のコンサート。コンサートホールではないため、音響など、難しいこともあったかと思います。しかしそれをも忘れさせる素晴らしい演奏。久石譲xロイヤルフィル。このタッグは今後も韓国、日本、イギリスでコンサートを行います。自分はサントリーでのライブ配信見るつもりですのでまたレポート書かせていただきます。全世界のジブリそして久石譲ファンが喜べる2日間となったこと。心から嬉しいです!!!!

2025年7月19日 thuru

 

とてもディティールの伝わるレポートありがとうございます。コンサートに行った人なら、もっと言うとライブ配信を見た人なら共感できることもたくさんある視覚的にも音響的にも解像度の高いレポートですね。じゃあ、わからない人にはわからない、そんなことはありません。このライブ配信のレポートは一期一会とても貴重なものです。このときのカメラアングルや音響バランスはおそらくライブ配信(客席から見えるものやスクリーンに映し出されるものとも少し違う)のためだけ、だからです。

これから先めでたく円盤化されたときに(勝手に確定!?)視覚的にも音響的にもさらにブラッシュアップされて完成度もぐっと上がってくると予想しますよね。ひとつだけ、僕もトランペットに関しては会場でも配信でもマイクバランスが小さいと感じるときがありました。公演を経る中で修正がかからなかったということは、なんらかの理由があるのかもしれませんね。特に金管楽器はキンキンと音がハウリングするのを防ぐためとかいろいろあるのかもしれませんね。逆に、昼公演でこの楽器音大きいなと思ったのは夜公演の配信ではうまく調整されていたとも感じました。

とにかくドームですからね、ステージに300人乗ってますからね、コンサートホールの聴き方とは前提が違います。マーチングバンド200人もふくめて贅沢すぎる巨大コンサートです。それはもうテーマパークのように大迫力な空間を楽しみたい。ライブ配信もしてくれて少しでもあの臨場感を体感できただけで心からうれしいですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンサート記事

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋では、久石譲コンサートのレポートや感想をどしどしお待ちしています。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心持ちで、思い出を残してみませんか。

 

コンサートについて語りたいそう願うのは、ほかならぬ私もまた誰かにコンサートや音楽の魅力を教えてもらった一人だからです。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
まさかジブリコンサートの感想を語るときが来るなんて、夢だけど夢じゃなかった。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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