Info. 2024/01/30 『君たちはどう生きるか』久石譲インタビュー&レコーディング風景 動画公開 【2/23 update!!】

Posted on 2024/01/30

2023年公開映画『君たちはどう生きるか』(監督:宮﨑駿/音楽:久石譲)、日本公開から世界各国公開への広がりと賞レースの盛り上がりをみせています。このたび米アカデミー賞公式チャンネルやスタジオジブリ作品の海外配給元などから貴重な動画が公開されています。久石譲インタビューや音楽レコーディング風景です。ぜひご覧ください。

 

 

2024.02.23 update

THE BOY AND THE HERON | Joe Hisaishi Conducts “The Last Smile”(約1分)

from GKIDS Films Official YouTube

 

same video

(up to here, updated on 2024.02.23)

 

 

 

‘The Boy and the Heron’ | Scene at The Academy(約10分)

 

from Oscars Official YouTube

 

Text

多くの映画音楽というのは基本的に、登場人物の気持ちを表現するか、状況を表現するかの二つしかないんですよ。で、僕は両方やりたくないわけ。

幸運にも40年もやってきましたけれども、鈴木敏夫プロデューサーから「次もお願いしますね」というのは4,5年前に聞いていました。

指示は全くなくて。とにかく何も予備知識なく素直に見てほしいということで、絵コンテ(脚本)すら全く見せてもらえなかった。で、その観終わった後も宮﨑さんから「あとはよろしく」。

どうやって曲を書いていいのか全く今でもわからないんですよ。いつも映画一本引き受けるたびに、どうしたらいいんだろうって思うし、例えば新しいシンフォニーや作品を書くときも全くわかんなくて。ほんとに何から手をつけていいのかって、毎回ゼロからやってる。それがずっと今日まで続いてるんで。

今回『The Boy and the Heron』をやった段階で、以前からビッグ・オーケストラ(大編成)じゃないかたちで作りたいと思っていました。最初に映像を見たときに、前半がちょっと孤独な少年といいますか、お母さんが亡くなったことに引っかかってる少年がいて。自分が弾くピアノだけ、あるいはそれにちょっと楽器が入るぐらいで乗り切ることで、その少年の孤独感のようなものが出るんじゃないか。

それで後半はちょっとダーク・ファンンタジーになるんで、ここからはトータルでミニマルのスタイルで全部押し切る。そのなかでの金管楽器とか入った、弦もちょっと大きい編成になると。その当時の(作曲家として)一番最初にミニマリストだった自分が、今回は徹底してミニマルですべて曲を書けた。ミニマルの曲を書いた。だから40年かけて一番自分がやりたかったことが出来た、ということになります。

実は宮﨑さんはそこの音楽はいらない、要するにあまり青サギが出てくるシーンを特別扱いしたくないから、音楽が入っちゃうとちょっと不自然に思えた。それなので、最初はあのシーンの音楽を作って聴かせたんですが、やはり宮﨑さんはそれを聴いてちょっと大袈裟かもしれないという話になった。そこで僕は、それはちゃんとある種曲になってたんですけども、どんどん音を抜いていって、で最後にあの一音が一番いいと。ただ、一音が次のシーンでは3つ5つになり、次のまた出てくるところではちゃんと曲になってる。これに関しては宮﨑さんほんとに喜んで「あっ、これやっぱりあってよかった」って、ほんとに喜んでましたね。

やっぱり人の声を使うとより観る人に強く響く。なので、たくさん使うんではなく効果的なところに使いたい。今回の場合はヒミというキャラクターがとても重要で、そんなにたくさん出てくるわけではないんだけども、とても特別な部分を占めてると思ったので。ここにコーラス、それも女声コーラスを使う。わりと感覚的にそれがフィットするだろうと使いました。

「Ask me why」ってあの曲を書いたんだけれども、決して映画のメインテーマになるとも思ってもなくて、映画に使うかどうかも。

宮﨑さんが映画を作ってることはわかってたし、僕のほうも別に誕生日のプレゼントというのじゃなくて、本当は誕生日の日に三鷹の森ジブリ美術館で使う音楽を毎年書いて持って行ってたんです。これは仕事で頼まれてるわけではなくて、最初にジブリ美術館の音楽を僕が担当したから。で、宮﨑さんとももう何年もやってるから、それで誕生日に持って行くって曲は、やっぱりどこかでストーリーは知らないんだけど、なんとなく自分が抱いているイメージで、その映画に沿ったような曲をやっぱり書いてたんだと思います。

ただ問題はそのあとで。その時は宮﨑さんが僕のスタジオに来て、初めて来たのかな、それでその曲を聴いた。で(聴き終わって)表に出た瞬間、鈴木敏夫プロデューサーに「この曲ってメインテーマだよね」って宮﨑さんが言われちゃったんです。僕はそのつもりで作ったんじゃないんだけど、宮﨑さんってこう刷り込みの人だから、一旦「あっ、これいい!」ってなるともう。すごくラッキーだったのか、どっちなのかちょっとわかんないけど(笑)。

音楽は映像と距離をとってたほうがいい。あまり映像にシンクロしてしまうと、申し訳ないけど今のハリウッド映画みたいに(苦笑)ほとんど効果音楽になっている。走ったら速い音楽、泣いたら悲しい音楽っていう、すごくシーンを説明してしまうからね。僕はそれは絶対やりたくないから距離をとる。画面を説明しない。むしろ観る人がどんどん想像をかきたてるような、そういう音楽を書くことが理想だと思っています。ここは映画のことでとても重要なんですけども、観る人にイマジネーションをかきたてる、持ってもらう、観る人が想像できるようなものがいいと思う。音楽も説明しちゃってはいけない。

書きやすいものは全くないですし、次書けなくなるんんじゃないかなという恐怖と心配と。それとパッと浮かんだときに「わぁ、おれって天才!」って思う時と混ぜこぜになってて。それがやっぱり自分の原動力になっていると思います。

朝起きた時、世の中にはないんです、その曲ないんですよね。ところが自分が一生懸命そこでつくる。そうすると夕方には一曲新しい曲がこの世の中に生まれるわけですよ。それは、もしかしたらずっといろいろな人が長い間聴いてくれる曲かもしれないし、ほんとに一回流れただけで終わっちゃうかもしれない。だけど、世の中に何もないものを自分は生み出していける。だから作曲がほんとに好きなんです。で、たぶん何度生まれ変わっても僕は作曲家になりたい。と思います。

(’The Boy and the Heron’ | Scene at The Academy 動画より書き起こし)

 

 

 

語っている内容は主にロングインタビューからと同旨です。各国字幕で動画楽しめない場合などこちらもご参照ください。

 

 

THE BOY AND THE HERON | Joe Hisaishi on the Piano(約1分)

from GKIDS Films Official YouTube

 

 

 

 

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