Overtone.第51回 「久石譲指揮 新日本フィル 第637回定期演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2021/09/28

9月11,12日開催「久石譲指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 第637回 定期演奏会」です。終演後は、新日本フィル・ファンの熱い感想がSNSに溢れていました。また12日公演は、アーカイブ有料配信も期間限定(9/22-9/28)で視聴でき、多くの人が楽しめたコンサートとなりました。

今回ご紹介するのは、ふじかさんのコンサート・レポートです。もう6回目にもなります(プレッシャーになってない?!その話はのちほど)。予習していないとここまで書けないかも、そんな全体から細部まで遠近法なレポートお楽しみください。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637

[公演期間]  
2021/09/11,12

[公演回数]
2公演
9/11 東京・すみだトリフォニーホール
9/12 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

[曲目]
新日本フィル創立50周年委嘱作品 [世界初演]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

 

 

新日本フィル 第637回定期演奏会(指揮 久石譲)の模様をレポートさせて頂きます。

2021年9月11日14:00開演 すみだトリフォニーホール

 

残暑の残る9月中旬、新日本フィルの新シーズン開幕と新日本フィルのComposer in Residence and Music Partner というポジションに就任した久石さんが就任祝いを兼ねてのコンサートが開催されました。

今回はマーラーの『Symphony No.1』を軸に久石さんの新作『Symphony No.3』を世界初演という、とても重厚なプログラムが組まれました。まだまだコロナ禍の影響の真っただ中にいる、昨今マーラーの”巨人”がこの世の中にどのように響くのか…とても期待にあふれるコンサートになりました。

 

チケットもぎりを過ぎ、ホワイエに入るとトリフォニーホールから新日本フィルへ豪華な花束が贈られていました。ホール内へ入ると、今回は巨大編成のオーケストラのためか、ステージの端ギリギリまで椅子が置かれています。1st ヴァイオリン16人の巨大編成。超大作の2曲がホールにどのような響きで伝わるのかワクワクしてきました。

 

 

Joe Hisaishi『Metaphysica(Symphony No.3)』

1楽章 existence

独特のリズムにホルンのメロディからスタート。口ずさみにくいような複雑なメロディと交錯するリズムからは、高速で螺旋階段を昇っていくような印象を受けました。その後、冒頭のメロディを変容させながら、弦楽、金管へと受け継がれていきます。低音弦のピチカートが現れるあたりからは『Contrabass Concerto』の様な雰囲気の箇所も。

中間部の息の長いヴァイオリンメロディからはクラシックの要素も取り入れられたのかなと感じるところもありました。後半に向かうにつれ、増えてゆくパーカッションからは『The East Land Symphony』の1楽章に通ずる世界観も。

 

2楽章 where are we going?

前作の『Symphony No.2』の1楽章と同じような雰囲気のタイトルを持つ本楽章。浮遊感と虚無感を感じるような独特なメロディが全体を構成していきますが、どこかクラシカルな響き。交響曲における緩急楽章を意識したのかなと思いました。しかし、冒頭で提示されたメロディは変奏をしていき、『Symphony No.2』の2楽章に共通した空気を感じさせます。ミニマルの交響曲なので、あるモチーフを繰り返しながら変容していくというところは一貫されているようでした。

 

3楽章 substance

久石さんの力強い振りとともに、響く2音の和音。その後、ミニマル特有のパルスと弦楽器のうねりで進行していきました。弦楽が下から上へと上昇していく様子からは、『弦楽オーケストラのための螺旋』や『5th Dimension』、打楽器が一定のリズムを刻む様子からは『The End of The World』の1楽章のような印象も。終盤に向かうにつれリズムとメロディが幾重にも重なり、独特なグルーヴ感を感じさせ、そのまま力強くフィナーレへと向かいました。

 

コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。

『Symphony No.2』と似たような変奏部分の要素はあり、『The East Land Symphony』のような重たく、緊迫した様子も少なく、純粋な音の追求の作品であるということは伝わってきましたが、これから音源化されたものを何度も繰り返し聴いて自分の中に取り入れていきたいと思う作品でもありました。

 

 

休憩

 

 

Gustav Mahler:『Symphony No.1 in D major”Titan”』

1楽章 Langsam.Schleppend.Wie ein naturlaut.

短・長とも感じさせない弦楽の長い和音の上に、木管の4度音程の下降が次々と紡がれ、遠くから聴こえるファンファーレの華やかな音色。それに続くカッコウの鳴き声のような音色。ホルンのふくよかな音色。短い冒頭からすでにたくさんの要素を詰め込んだ超大作がどっしりとスタートしました。主題へと向かうための半音階的な低音弦のフレーズもジリジリと迫ってくるような雰囲気にワクワクが膨らみます。

それから続く主題のメロディ。牧歌的で明るいメロディから幸福感が伝ってきました。今回も冒頭主題の繰り返しはきっちりと再現。2度目の主題は1度目とはまったく異なった音色で聴こえるのは、毎回不思議に感じます。

中間部から暗・明をいったり来たりしながら、終盤へ向かっていく様子はとても高揚感に包まれました。終盤のティンパニとオケとの掛け合いは少しテンポ感は速めでスッキリとフィニッシュへ向かいました。

 

2楽章 Kraftig bewegt,doch nicht zu cshnell

舞曲的な出だしのパートは速めのテンポ感で演奏されると思いきや、どっしりとした低音弦のリズムから。少しタメがある感じがして、大股でステップを踏む感覚。楽しい雰囲気のメロディを聴いていると、顔もほころんでしまいました。

中間部へと向かうホルンソロからは、ここからは雰囲気が大きく変わるよ!というような合図を送るような久石さんが印象的でした。ゆったりとした3拍子が印象的な中間部は美しいメロディをじっくりと聴かせてくれるとともに、恒例の対向配置から聴こえてくるヴァイオリンの掛け合いがさらに華やかに聴こえてきます。再び前半の主題に戻るとどっしりとした演奏へ。久石さんの指揮も大きな身振りで全体を引っ張っていきました。

 

3楽章 Feierlich und gemessen,ohne zu schleppen

有名な民謡のメロディで始まるこの楽章、少しテンポ感は速めで小切れよくコントラバスのソロから始まりました。久石さんの『Symphony No.2』の3楽章と共通した要素を感じられる本楽章。メロディが次々と折り重なる部分はミニマル的なアプローチも感じることができました。

途中から出てくる木管の副旋律をひょいっと拾い上げるような指揮をしているのも印象的でした。この楽章でも中間部では非常に美しいメロディが特徴的ですが、こちらもじっくりと聴くことができました。再び冒頭の主題に戻ると、さらに要素が追加されていて、視覚的にも音楽的にも楽しめました。

 

4楽章 Sturmisch bewegt-Energisch

3楽章から絶え間なく演奏される本楽章。久石さんの大きな振りとともに、嵐のような激しい旋律が上下します。この楽章は同じような波形のフレーズが次々と現れて構築されていくので、ミニマル的なアプローチがよく似合いました。冒頭の激しいパートから一転して、中間部は弦楽によるメロディはより優雅に、情熱的に。久石さんも大きく身体を動かして、全体に指示を出していきました。

一度主調のD-Durが顔をのぞかせ、小さな盛り上がりを見せたあと、1楽章の再現が始まります。ここまで全体を通しての体感時間あっという間で、ここの再現で「もう終わりか!」と思ってしまいました。

ここからは言うまでもなく、怒涛の展開を魅せてくれます。ヴィオラの怪しげなメロディから、一気に炸裂する金管のファンファーレ。再び主調のD-Durに転調したのち、金管が主音から下降してゆく華やかなメロディをふんだんに聴かせて、迫りくるような大迫力のコーダ。圧倒的な迫力に泣きそうになってしまいました。身体が熱くなるような熱い演奏でフィナーレまで一気に駆け抜けていきました。

 

 

会場からは惜しみない拍手が続きました。久石さんもそれに答えるようにいつもより時間をかけじっくりと楽団員へと称賛の拍手を送ります。久石さんに拍手が向けられると照れてしまって、オーケストラの奥のほうへ隠れていってしまうシーンも(笑) 最後は客席に大きくバイバイと手を振ってステージを去りました。

長年の信頼とさらなる音楽の進化へと向かう久石さんと新日本フィルの皆様。今後のコンサートにも更なる期待が膨らむ就任記念コンサートになりました。

 

2021年9月27日 ふじか

 

 

 

とてもボリュームいっぱいのレポートでしたね。

久石譲作品、ふじかさんのレポートはいつも他作品が引き合いに出されています。久石譲の作曲活動の点と点が線になっているような気がしてきます。また聴いていない新作でも、おのずとイメージしやすくなりますね。でも似てる似てないじゃないんですよね。作風として同じベクトルを感じる、たぶんそんな表現に近いんじゃないかなあ、と僕なんかは勝手に共感しています。その作品につながったんだ!? ハッと驚くこともままあります。

マーラー作品、ふじかさんは毎回予習されているんですよね。いつもコンサートが近づくと予習ツイートが流れてくるので、そうだ僕もしなきゃと思い出すほどです。そして音源だけじゃない、スコア片手に予習しているときもある。これにはまいった。とてもとても及ばない。コンサートを最大限に楽しみたい!最大限に浴びて吸収したい!、、、言わなくても伝わってきます。

 

こぼれ話。

コンサート会場でお会いして話すことできました。コンサート・レポート、なんか書くの当たり前とか思ったり…プレッシャーになっていたりしませんか?コンサートを純粋に楽しめていますか? そんな質問に「自分の記憶の整理もできるので楽しく書かせてもらってます」と笑顔でひと言。ありがとうございます!

そして独り言のように、「これってアーカイブ配信見てから書いたほうがいいかなあ」と真剣な眼差しで一点を見つめてた瞬間が印象的でした。それもあってコンサートから間を置いたこのタイミングで送ってくれました。コンサート、書く、観る聴く、書くまとめる。けっこう時間とられる工程だと思います。でも、それだけ自分のなかに染みこんでいくことも多い、と僕も信じています(笑)。

 

”コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。”

 

レポート中にありましたが、すごく同感です。視聴してはじめてわかったこともあるし確認できたこともある。けれど、なかなか感想を書くのは難しい。僕は最初からさじを投げて、視聴前にコンサートレポートを一旦終わらせてしまいました。追記しようとも思ったけれど、部分でしかないんですよね、ちょっとしたことの追加に終わる。それなら世界初演の瞬間の感想のまま、今はさわらないでおこうと。急いでわかることもないし、わかりっこないし。音源化されてスコア化されて、ゆっくり味わっていきたい作品ですね。

 

 

いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)

ふじかさん
@fujica_30k

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
ちょっとした反応やリアクションあると書いた人はとってもうれしいです(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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