1986年5月25日 LP発売 25AGL-3024
1986年5月25日 CA発売 25AGC-2024
1986年5月25日 CD発売 32ATC-113
1993年12月21日 CD発売 TKCA-70226
2004年8月25日 CD発売 TKCA-72720
1986年公開 スタジオジブリ作品 映画「天空の城ラピュタ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲
監督・宮崎駿、プロデューサー・高畑勲の伝えるイメージをもとに、サントラにさきがけて録音されたイメージアルバム。1986年3月に制作され、久石は最終仕上げをロンドンで行っている。サントラとはまた一味違う楽しさが感じられるアルバム。
このアルバムは、LPと共にCDも同時発売されたが、CDのジャケットは異なっている。 ※下部ジャケット写真はCDデザイン
再会
「天空の城ラピュタ」映画化にさきがけてのイメージアルバムを制作するにあたり、宮崎・高畑両氏から、この作品のトータルコンセプトは、私達おとながこれからの子供達に向けて、”今何を残さなければならないか”という事でした。
この壮大な宮崎氏のイメージに対して、僕なりにイメージをさらに拡げる為に、最終仕上げをロンドンのスタジオで行いました。その結果それぞれの曲が、明るく生き生きとしたものになったと思います。
「風の谷のナウシカ」で宮崎・高畑両氏と出会い今回この作品で両氏と再会できた嬉しい反面、僕にとって是が非でも素晴らしい作品を創らねばならないという無言のプレッシャーが、録音の最中毎日、襲ってきました。
それらは、録音当初毎日のように襲ってきたのですが、日を追うごとに曲想がはっきりしてきだし、それぞれのキャラクターに音楽で色を付けるという作業が、スムーズに運び出しました。
素朴さ、壮大なひろがり、激しく、または優しさを持った、ハッキリとしたメロディラインを組み上げていき、僕の代表作品になるものが、出来たと思っています。
このアルバムのマスターテープを聞きながら、録音作業を振返ってみると、苦しかった分だけ、充実感に満たされて、今回の仕事を通じて、何かを得たような気がしています。
久石譲
(再会 ~CDライナーノーツより)
イメージアルバムとは
映画制作段階で、その作品の世界観からイメージして作られた楽曲のこと。ゆえに映画本編で使用される劇中音楽とは異なり、それはサウンドトラックに収録される。
映画をつくるうえで、音楽面でのイメージボードや絵コンテにあたるもの、それがイメージアルバムと言っていいだろう。
監督からの解説やキーワード・絵をもとに、イメージを最大限ふくらませて、音楽だけでその世界を表現しようとするジブリ映画では恒例の試み。このイメージアルバムがあるからこそ、監督と作曲者は、ラフスケッチ(曲)をもとに、映画本編のどこにどのモチーフの曲を使うかという、共通言語(音楽)で制作を進めることができる。
だからこそ、スタジオジブリ作品 宮崎駿監督の映画、そして久石譲による音楽は、どの作品もその音楽世界の完成度も高く、作品に一役も二役もかっている。
ちなみに、この過程で当然ながら、イメージアルバムから、
・曲の構成やアレンジが大幅に変更になるもの
・映画本編では使用されない未使用曲
・映画ストーリーに合わせて曲名が変更になる
こういった過程を経て、サウンドトラックに劇中音楽として、新しい息吹が吹き込まれている。ゆえに、そういった意味においても、イメージアルバムとは、映像がまだできあがる前に、音楽だけでその作品の世界観を表現した、原石のようなもの。
久石譲の場合、もちろんイメージアルバムからの未使用曲もあるが、イメージアルバム段階からの曲のクオリティーも高く、サウンドトラックと聴きくらべても、すぐにどの曲か連想できるほど、そのメロディーはイメージアルバムの時点でほぼ完成しているところがすごい。
変更になっているのは編曲や長さくらいのアレンジである。サウンドトラックでは、本編ストーリーに合わせて、音楽の尺(長さ)が変わってきたり、カット割りに合わせての編曲やフェードアウトなど、1曲まるまる聴くことはできない。
イメージアルバムにおいては、1曲1曲が音楽として構成されているため、1曲あたり4-5分、かつイントロからエンディングまで起承転結に富んでいる。これはイメージアルバム製作段階では、まだ映像ができていないことが多く、そのカット割りや映像シーンの長さもわからないという点ももちろんあるが、それゆえに1曲ごとの音楽完成型として表現されている。
イメージアルバムでは、その楽器編成も自由なため、ある意味では映画とは違った広がりや奥ゆきのある世界観を楽しむことができる。
こういった予備知識をもとに、イメージアルバムを聴いていくと、より一層ひとつの音楽作品として楽しめるだけでなく、いかに貴重で贅沢なアルバムであるか、ということがわかる。
映画は完成された本編が作品化されて親しまれるが、音楽においては、イメージアルバムとサウンドトラックなど、いろんな側面から作品の世界観を自由に楽しみ、それぞれのイメージをふくらませることができる。
(LPジャケット)
1. 天空の城ラピュタ
2. ハトと少年
3. 鉱夫
4. 飛行石
5. ドーラ
6. シータとパズー
7. 大樹
8. フラップター
9. 竜の穴
10. ティディスの要塞
11. シータとパズー
12. 失われた楽園
Produced by Joe Hisaishi
All Song Written & Played by Joe Hisaishi
Recorded at Wonder Station, Nikkatsu Studio Center
Mixed at #1 Air Studio London
Mixed Engineers
Steve Jackson
Masayoshi Ohkawa
Recording Engineer
Atsushi Kaji
Assisted Engineer
Suminobu Hamada (Wonder Station)
Richard Moakes (Air Studio)
Synthesizer Operation
Yasuko Fukuoka
Addition/Musicians
Nakanishi Strings
Takashi Tsunoda
Shin Kazuhara
Takafumi Suzuki
Asuka Kaneko