Disc. 久石譲 『二ノ国 II レヴァナントキングダム オリジナルサウンドトラック』

2018年6月6日 CD発売

2018年3月発売PS4 / PC ゲームソフト「ニノ国」シリーズ最新作のサウンドトラック。『二ノ国 漆黒の魔導士』(2010・Nintendo DS)、『ニノ国 白き聖灰の女王』(2011・PlayStation 3)にひきつづき本作も久石譲が音楽担当。

 

ゲーム音楽の枠を超えた最高傑作!!
久石譲が紡ぐ 王道ファンタジーRPGがここに!

(CD帯より)

 

Message
久石譲

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」は前回につづき音楽を担当しました。日野さんとも気心が知れているし、すんなり作曲に入ることができたと思います。

ゲームの音楽は必要とされる曲数が非常に多く、繰り返し聴く性質のものなので、今回の楽曲をどうやってまとめるか考え、リズムを中心に全体を組み立てて作っていきました。

加えて今回は、前作に比べて音楽的なレベルを上げた知的なアプローチもしています。もちろんエンターテイメント性は大切にしたうえでのことです。東京フィルハーモニー交響楽団の熱演もあり良い録音ができました。

このサウンドトラックを聴いて、音楽と一緒に「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の世界に浸ってもらえると嬉しいです。

(Message ~CDライナーノーツより)

 

 

ゲームプレイ音源よりも、広がりあるサウンドかつみずみずしい楽器の音色たち。さすがサウンドトラック用にマスタリングされた最高音質の仕上がりになっている。二ノ国II音楽はサウンドトラック盤でめでたく完結する。

それぞれの楽曲とも音の配置やバランスが見事に調整されている。「2.クーデター」はゲームプレイ音源ではループ用となっていたが、サウンドトラック盤は【1st トレーラー】音源で聴くことができた終部になっている。「8.苦闘」「27.滅びの王国」「28.闇の呪文歌」も終部が異なる。前提として繰り返し聴かれることを目的とした音楽づくりのため、どの曲も終部はフェードアウトや冒頭に自然に戻れるような接続的終部になっているなため、上の4曲はサウンドトラック盤ならではのはからい。

CDには”all composed by JOE HISAISHI”のクレジットはない。これについては下記の *at game release にてゲームソフト・エンドクレジットから詳細記している。

短い楽曲群ながら、ゲームには膨大な曲数を必要とするという久石譲の言葉とおり、実にクオリティ高くバリエーション豊かな全31曲がならぶ。今の久石譲だからこその曲想、音作り、ノンビブラートに近い奏法やソリッドなオーケストレーションなど、現代的な響きに溢れている。

ファンタジーというスタジオジブリ作品との共通点もあれば、戦いやフィールドがめまぐるしく変化していくというスタジオジブリ作品にはない世界感もある。そしてそれは音楽にも同じように言える。久石譲による二ノ国ワールドを音楽だけでも十分に楽しめる、渾身の作品になっている。

 

 

久石譲インタビュー、ゲーム音楽を聴いての各楽曲レビュー、印象的なエンディングテーマ、世界各国にゲーム本体特典として付属したCD盤やLP盤など。ゲームソフト発売後まもなく、サウンドトラック盤リリース情報のまえにまとめたもの。詳細はこちらに記した。

参考)

 

 

 

1. 二ノ国II メインテーマ
2. クーデター
3. 脱出
4. 戦闘開始
5. 別れ
6. 夢の中の少年
7. 広大な大地
8. 苦闘
9. フニャ
10. 危険な谷
11. ボスバトル
12. 勇ましき進軍
13. 神秘の森
14. 欲望の町
15. 希望
16. のどかな日常
17. 大海原
18. 水の都
19. 海底洞窟
20. 命運をかけた戦い
21. 切ない思い出
22. 進化の大都市
23. ファクトリー
24. 果てしない空
25. ネズミ王国の城下町
26. 守護神
27. 滅びの王国
28. 闇の呪文歌
29. ラストバトル
30. キングダム
31. 希望の未来

 

音楽:久石譲
オーケストレーション:チャド・キャノン 山下康介 久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:栗友会
指揮:久石譲

エンディングテーマ「希望の未来」
作・編曲:久石譲
リズム・アレンジ:ガブリエル・プロコフィエフ 松浦晃久 久石譲
ヴォイス:麻衣
コーラス:東京混声合唱団
パーカッション:和田光代
ケルティック・ティンホイッスル:野口明生
ハープ:堀米綾
ピアノ:鈴木慎崇
ストリングス:真部ストリングス

レコーディング&ミキシングエンジニア:小幡幹男
レコーディング・スタジオ:アバコクリエイティブスタジオ サウンドインスタジオ
ミキシング・スタジオ:サウンドインスタジオ
マスタリング・エンジニア:藤野成喜(ユニバーサルミュージック)
マスタリング・スタジオ:UNIVERSAL MUSIC STUDIOS TOKYO

 

初回封入特典:二ノ国II レヴァナントキングダム スペシャルステッカー ※全2種中1種ランダム封入

 

 

輸入盤同時発売

WORLDWIDE RELEASE JUNE 6TH 2018

Ni no Kuni II : Revenant Kingdom Original Soundtrack

1. Theme from Ni no Kuni II
2. The Toppled Throne
3. The Escape
4. Let Battle Commence
5. Leavetaking
6. The Curious Boy
7. The Great Outdoors
8. Into the Fray
9. Here Come the Higgledies!
10. Treacherous Valley
11. Boss Battle
12. To Arms!
13. Forest of Mysteries
14. City of Hunger
15. There is Hope
16. Carefree Days
17. The High Seas
18. Kingdom by the Sea
19. Deep Sea Cave
20. Fateful Encounter
21. Painful Memories
22. City of the Future
23. The Factory Floor
24. The Boundless Skies
25. In the Kingdom of the Mice
26. Kingmaker’s Theme
27. The Lost Kingdom
28. Dark Rite
29. The Final Showdown
30. Evan’s Kingdom
31. Happily Ever After

Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra 
Composed and arranged by Joe Hisaishi
Voice by Mai
31 tracks, 1 disc, 24-page booklet – English text

 

初回特典:二ノ国II 公式ミニ色紙 *先着限定

 

Info. 2018/06/06 「二ノ国 II レヴァナントキングダム オリジナル・サウンドトラック」CD発売決定!! 【5/26 Update!!】

 

Disc. 久石譲×辻井伸行 | 世武裕子 | 辻井伸行『羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL』

2018年6月6日 CD2枚組発売

映画『羊と鋼の森』久石譲×辻井伸行によるエンディングテーマ「The Dream of the Lambs」を含むサウンドトラック+音楽集というCD2枚組。DISC1には久石譲×辻井伸行によるエンディング・テーマ「The Dream of the Lambs」、世武裕子による本編音楽を、DISC2には映画の中で主役の一部を務めるピアノ作品を、辻井伸行の演奏で完全収録した超豪華なスペシャル盤。

 

 

世界的作曲家で、映画音楽界の巨匠でもある久石譲がエンディング・テーマを書き下ろし、世界的ピアニストである辻井伸行がソロピアノを演奏!

映画『羊と鋼の森』(2018年6月公開)の世武裕子によるサウンドトラックに加え、映画に登場する主要なピアノ曲を辻井伸行の演奏で収録した超豪華オフィシャル・アルバム!

(CD帯より)

 

2018公開映画『羊と鋼の森』
監督:橋本光二郎
脚本:金子ありさ
音楽:世武裕子
出演:山崎賢人、鈴木亮平、三浦友和 他

 

 

映画『羊と鋼の森』エンディング・テーマ
久石譲 × 辻井伸行 The Dream of the Lambs

久石譲 | 作曲

ピアニストはいろいろなピアノに出会わなければならない。ピアノによってタッチがそれぞれすごく違います。調律師は求める音を表現してくれる、本当に大事な存在で、音は出さないけど立派な音楽家だと思います。そんな調律師を描いた原作を、オファーをいただく前に読ませていただきました。成長譚の美しくてとても良い話。だからこそ、綺麗なだけで終わらないように、映画の奥行を出せるように、シビアなミニマル的な部分とメロディアスな部分の交差する曲を作るように意識しました。

その曲を辻井くんと一緒に作ることができて嬉しく思います。古典的なスタイルをとりつつ、現代的な曲を作ったのですが、見事に弾いてくれました。辻井くんは本当に素晴らしいピアニストで、特にリズム感が凄いです。無駄なものが無いきちんとしたリズム。これを活かしたいと思って指揮をしました。演奏をしていて、とても楽しかったです。辻井くんとはまたぜひ一緒に演奏させていただきたいですね。

 

辻井伸行 | ピアノ

オファーをいただく前に原作を点字の本にしてもらって読んでいましたが、ピアノをやっている人なら皆さん興味のある話だと思います。曲にもたくさんのイメージがあったり、ピアノには壮大でカッコいいところがあったり、いろいろな面白いことが分かる素晴らしい物語です。そんな映画の演奏を、久石さんとご一緒させていただけたのは本当に光栄でした。久石さんの大ファンで、素晴らしい曲をずっと聴いていたので、本当に嬉しかったです。

久石さんに楽譜をいただいた時に、どのような気持ちで作曲されたのか想像し、また映画のイメージを自分の中で膨らませて、できる限りのことをしようと思って練習し、本番に挑みました。お会いするまでは緊張しましたが、本当にお優しい方で、合わせやすく、またいろいろと勉強させていただきました。この曲は感動的で、美しく、弾いていて本当に楽しかったですし、収録があっという間でした。また是非ご一緒させていただきたいです。

ピアノの調律師さんは僕にとってなくてはならない存在です。ピアニストは演奏するときは一人ですが、調律師さん、観客の皆さんと一緒にコンサートを作り上げていると思っています。

国内外のさまざまな場所で調律師さんと出会うのですが、いろいろなタイプの調律師さん、そして会場のピアノと出会えるのは楽しいですね。

(久石譲・辻井伸行コメント ~CDライナーノーツより)

 

DISC 2 ピアノ作品 曲目解説:
ラヴェル、モーツァルト:道下京子
ベートーヴェン:柴田克彦
ショパン:伊熊よし子

(CDライナーノーツ収載)

 

 

from
Info. 2018/06/08 映画『羊と鋼の森』エンディング曲「The Dream of the Lambs」 久石譲&辻井伸行 初タッグ

 

 

「The Dream of the Lambs」、久石譲曰く「綺麗なだけで終わらないように、映画の奥行を出せるように、シビアなミニマル的な部分とメロディアスな部分の交差する曲を作るように意識しました」とあるとおり、とても作り込まれた楽曲であり強く印象に残る楽曲である。エンターテインメントならがここまで音楽的にも表現した楽曲は稀有。古典クラシックにも通じるオーケストラ編成ながら、モチーフやリズムは現代的で、ソリッドなオーケストレーションもまた現代的な響き。辻井伸行が弾くことを想定して書かれたピアノパートはとても難易度が高く、見事に表現した演奏は何度聴いても聴き惚れてしまう。コンチェルト風ともとれる構成は、ピアノとオーケストラが対等に呼応する。

映画公開に先がけて5月に行われた映画完成披露試写会や、6月放送TV番組「ミュージック・ステーション」では、ピアノソロ・ヴァージョン(約2分)もお披露目されている。

またこの豪華コラボレーションは、映画公開記念コンサートとして、一夜限りの共演も実現している。そのコンサートの模様とコンサートレポートは記した。

 

 

サウンドトラックも、シンプルであり映像を邪魔することのない主張しすぎない音楽になっている。またクラシック曲を映画用に編曲した数曲も、原曲を尊重した上品なものになっている。

DISC2に収録されたピアノ作品集は、映画で登場するピアノ曲を、辻井伸行の演奏でコンパイルしたもの。収録曲はすべて既出CD作品からのものではあるけれど、ピアノ入門・クラシック入門としても、聴き馴染みのものから本格的な作品まで最適である。辻井伸行という日本が誇る世界的ピアニストを知る機会、聴くきっかけとしても、ここからまた新しいピアノの世界が広がる一枚。

 

 

 

DISC 1
映画『羊と鋼の森』 エンディング・テーマ
久石譲×辻井伸行
1. The Dream of the lambs
久石譲(指揮) 東京交響楽団 ピアノ:辻井伸行

映画『羊と鋼の森』のための音楽 (オリジナル・サウンドトラック) 
2. 『羊と鋼の森』メインテーマ
3. ピアノスケッチ
4. たまご
5. モーツァルト:きらきら星(連弾) 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
6. 明るく静かに澄んで懐かしい
7. 思い出
8. ショパン:小犬のワルツ 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
9. 移りゆく季節
10. 家族の肖像
11. 外村の戸惑い
12. 森のお葬式
13. いつも、そうやって
14. 森の音がする
15. みたことのない世界
16. 好きって気持ち
17. ピアノを弾くひと
18. メンデルスゾーン:結婚行進曲 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
19. シューベルト:楽に寄す 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
20. 夢のように美しい

世武裕子 作曲:2-4, 6, 7, 9-17, 20 編曲:5, 8, 18, 19

 

DISC 2
辻井伸行 『羊と鋼の森』のためのピアノ作品集
1. ラヴェル:水の戯れ
2. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
3. モーツァルト:きらきら星変奏曲
4. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第1楽章
5. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第2楽章
6. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第3楽章
7. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第1楽章
8. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第2楽章
9. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第3楽章
10. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第4楽章

ピアノ:辻井伸行

 

DISC 1
エンディング・テーマ「The Dream of the Lambs」
Music:久石譲
Conductor:久石譲
Piano:辻井伸行
Orchestra:東京交響楽団

Engineers:浜田純伸 (Sound Inn) 村松健 (Octavia Records)
Recorded at 武蔵野市民文化会館
Mixed at Bunkamura Studio

サウンドトラック
Music:世武裕子
Producer:北原京子 (東宝ミュージック)
Engineer:田中信一
Recorded & Mixed at Onkyo Studio, sound inn
Piano recorded at Sound City Setagaya (Tr.5,8,18,19)
Piano:世武裕子 (Tr.8 & other) 石橋愛 (Tr.5,18,19) 内田野乃夏 (Tr.5) 松村優吾 (Tr.8)

DISC 2
Recorded at Teldex Studio Berlin (Tr.1, 3-10)
Recording producer & editing:Friedemann Engelbrecht (Teldex Studio Berlin)
Recorded at Salamanca Hall (Tr.2)
Recording producer & editing:Tak Sakurai (Pau)

and more…

 

Disc. 久石譲 『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III オリジナル・サウンドトラック』

2018年5月23日 CD発売

山田洋次監督「家族はつらいよ」シリーズ最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』のオリジナル・サウンドトラック。前2作に続いて本作も久石譲が音楽担当。

 

2018年公開 映画「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III」
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 平松恵美子
音楽:久石譲
出演:橋爪功 吉行和子 西村まさ彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優 他

 

 

「家族はつらいよ」シリーズ一貫してのメインテーマ、シリーズ第3作では華麗なワルツに変身している。喜劇のコミカルさ、踊るような軽やかさ、弦楽の流れるような優美さとの対比に、ティンパニなどパーカッション群や低音金管楽器など、これから始まる家族のドタバタ劇を予感させるところもおもしろい。

本作のもうひとつの主要テーマ曲となっている”妻のモチーフ”も新たに書き下ろされ、随所に散りばめられている。「3.溜息」「4.創作教室」「7.この狭い家の中で」「8.史枝の日常」「10.妻の覚悟」「17.ごめんね」「18.夫の覚悟」「19.薔薇のスカーフ」「21.雨降って地固まる」「23.妻よ薔薇のように」、こう並べてみるといかに重要な役割になっていることか。情感たっぷりの切なくも温まるメロディは美しい。映画エンドロールに流れる楽曲もメインテーマではなくこちらが採用されている。このことからも本作を彩る象徴的な楽曲。”妻のテーマ”の対となっているともとれる「14.可哀想な幸之助」の旋律、そういう聴き方をするとおもしろい。

細かい話だけれど「4.自転車に乗って」、映像での自転車に乗る速度、気持ちの抑揚の変化に合わせて音楽もテンポ感に変化をもたせている。こういった繊細な配慮はさすがである。

リアリティのある物語ということもあって、シリーズ一貫して本作も音楽の入る場所はそう多くない。シンプルな小編成アンサンブルになっているのも、過剰な音楽効果をおさえたものだろう。それだけに旋律のひとつひとつが、楽器の音色がとても鮮度高く、身近で生音を聴いているような音楽の呼吸をも感じとることができる上品さがある。

「家族はつらいよ」シリーズも第3作をむかえ、久石譲によるメインテーマもシリーズごとにカラーを打ち出している。本作ではワルツ(3拍子)となり、それはさながら輪舞曲(ロンド)である。音楽におけるロンド形式とは、異なる旋律を挟みながら、同じ旋律(ロンド主題)を何度も繰り返す形式のこと。「家族はつらいよ」の物語もまた、おなじみの家族・主人公たちによる日常の喜劇と家族愛のくりかえし。

シリーズを重ねてストーリーや役者のアンサンブルは円熟味を増し、同じように音楽もアンサンブルが変化している。もし次回作を期待できるなら、新しいアンサンブルたちが楽しみな作品。

 

 

1. メインテーマ
2. 平和な朝
3. 溜息
4. 自転車に乗って
5. 創作教室
6. ミセス憲子
7. この狭い家の中で
8. 史枝の日常
9. 泥棒
10. 妻の覚悟
11. お兄ちゃん!
12. ダメおやじ
13. 二人のなれそめ
14. 可哀想な幸之助
15. 故郷
16. ボヤ騒ぎ
17. ごめんね
18. 夫の覚悟
19. 薔薇のスカーフ
20. おかえり
21. 雨降って地固まる
22. 憲子の想い
23. 妻よ薔薇のように

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Conducted by Joe Hisaishi

Performed by
Flute & Piccolo:Hideyo Takakuwa
Oboe:Satoshi Shoji
Clarinet & Bass Clarinet:Hidehito Naka
Bassoon:Tetsuya Cho
Horn:Yuta Ono, Jo Kishigami
Trumpet:Hitomi Niida
Trombone:Nobuhide Handa
Trombone & Bass Trombone:Takahiro Suzuki
Percussion:Tomohiro Nishikubo
Timpani & Percussion:Akihiro Oba
Percussion:Mitsuyo Wada
Harp:Kazuko Shinozaki
Piano & Celesta:Febian Reza Pane
Strings:Manabe Strings

Recorded at Victor Studio
Mixed at Bunkamura Studio

Recording & Mixing Engineer:Suminobu Hamada (Sound Inn)

and more…

 

Disc. 久石譲 『二ノ国 II レヴァナントキングダム』 *at game release

2018年3月23日 PS4 / PC ゲームソフト発売

*at game release
これはゲームソフト発売後まもなく、サウンドトラック盤リリース情報の前にまとめたものである。

 

 

レベルファイブ「二ノ国」シリーズ最新作。『二ノ国 漆黒の魔導士』(2010・Nintendo DS)、『ニノ国 白き聖灰の女王』(2011・PlayStation 3)にひきつづき本作も久石譲が音楽担当。

2015年12月「PlayStation Experience 2015」にて発表、同時に公開された1stトレーラー(約3分)では久石譲による本作のための書き下ろし音楽を聴くことができた。以降順次トレーラー公開され、コアスタッフによる特別インタビュー動画なども公開された。

映像集で使用された久石譲音楽についてもふれたいので映像リストをまとめる。

 

【公式映像集】

  • 1stトレーラー(約3分)2015/12 公開
  • 2ndトレーラー(約2分)2016/12 公開
  • 3rdトレーラー(約1分半)2017/6 公開
  • 4thトレーラー(約1分半)2017/8 公開
  • TGS 2017トレーラー(約1分半)2017/9 公開
  • 声優紹介トレーラー(5thトレーラー)(約5分)2017/12 公開
  • 特別インタビュー映像 第1弾「アニメーション編」(約3分半)2017/12 公開
  • 特別インタビュー映像 第2弾「キャラクター編」(約3分半)2018/1 公開
  • ゲームプレイ映像 システム紹介篇(約3分)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」(約3分半)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第4弾「ゲームシステム編」(約3分半)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第5弾「アート編」(約3分半)2018/3 公開
  • ファイナルトレーラー(約1分半)2018/3 公開
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・前編(約6分) 2018/3 公開
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・後編(約6分)2018/3 公開
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』王に集いし英傑篇(15秒)2018/3 公開
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』アニメの世界を旅する篇(15秒)2018/3 公開

(レベルファイブ公式サイト/公式Youtubeにて視聴可能 ※2018年4月現在)

 

音楽にフォーカスして掘りさげる。

 

【公式映像集/使用楽曲】

  • 1stトレーラー(約3分)2015/12 公開
    「クーデター The Toppled Throne」「希望 There is Hope」をもとに構成されたトレーラー専用音楽
  • 2ndトレーラー(約2分)2016/12 公開
    「The Zodiarchs」「The Wrath of the White Witch」「Kokoro no Kakera -Pieces of a Broken Heart- (English Version)」※Ni No Kuni: Wrath Of The White Witch Original Soundtrack
  • 3rdトレーラー(約1分半)2017/6 公開
    「戦闘開始 Let Battle Commence」「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」
  • 4thトレーラー(約1分半)2017/8 公開
    「守護神 Kingmaker’s Theme」
  • TGS 2017トレーラー(約1分半)2017/9 公開
    「ボスバトル Boss Battle」「キングダム Evan’s Kingdom」
  • 声優紹介トレーラー(5thトレーラー)(約5分)2017/12 公開
    「命運をかけた戦い Fateful Encounter」「勇ましき進軍 To Arms!」「果てしない空 The Boundless Skies」
  • 特別インタビュー映像 第1弾「アニメーション編」(約3分半)2017/12 公開
    「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」
  • 特別インタビュー映像 第2弾「キャラクター編」(約3分半)2018/1 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「戦闘開始 Let Battle Commence」
  • ゲームプレイ映像 システム紹介篇(約3分)2018/2 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「戦闘開始 Let Battle Commence」「勇ましき進軍 To Arms!」「命運をかけた戦い Fateful Encounter」
  • 特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」(約3分半)2018/2 公開
    「希望 There is Hope」「The High Seas 大海原」「果てしない空 The Boundless Skies」
  • 特別インタビュー映像 第4弾「ゲームシステム編」(約3分半)2018/2 公開
    「戦闘開始 Let Battle Commence」「The High Seas 大海原」「闇の呪文歌 Dark Rite」
  • 特別インタビュー映像 第5弾「アート編」(約3分半)2018/3 公開
    「ボスバトル Boss Battle」「広大な大地 The Great Outdoors」
  • ファイナルトレーラー(約1分半)2018/3 公開
    「守護神 Kingmaker’s Theme」「戦闘開始 Let Battle Commence」「夢の中の少年 The Curious Boy」
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・前編(約6分) 2018/3 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「果てしない空 The Boundless Skies」「命運をかけた戦い Fateful Encounter」「欲望の町 City of Hunger」「ネズミ王国の城下町 In the Kingdom of the Mice」「フニャ Here Come the Higgledies!」「脱出 The Escape」「The High Seas 大海原」
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・後編(約6分)2018/3 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「勇ましき進軍 To Arms!」「クーデター The Toppled Throne」~(曲間つなぎめ1stトレーラー専用音楽version)~「守護神 Kingmaker’s Theme」「広大な大地 The Great Outdoors」
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』王に集いし英傑篇(15秒)2018/3 公開
    「勇ましき進軍 To Arms!」
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』アニメの世界を旅する篇(15秒)2018/3 公開
    「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」

 

上記【公式映像集】から取り上げたいことは3つ。

1stトレーラー
本作のために書き下ろされた主要テーマ・メインテーマが初公開となった2015年12月。そして見逃してはいけないこと、1stトレーラー用音楽はこの映像のためだけに構成された音楽であるということ。映像集がでそろいゲームソフトが発売になり全貌がわかる今だからこそ、気づくことができる貴重な発見。これについては後にも詳しく掘りさげたい。

2ndトレーラー
全映像集が久石譲による「二ノ国 II」新作音楽から使用されているなか、2dnトレーラーだけは前作音楽からの使用になっている。

特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」
久石譲インタビューが公開された貴重な記録。レコーディング風景や日野晃博氏のインタビューもまじえた久石譲が語る二ノ国 II。

【日本語テロップ】

自分の中でいろいろ考えていって、どうしてもやっぱりゲームの音楽っていうのは音楽の数が多いので、それをどうやってまとめるかなということと、ちょうど今、割とリズムをオーケストラでしっかり出すやり方をしているから、それで全体をやってみようという、そういうつもりでやりましたね(久石)

今回は2回目なので、日野さんのこともすごく尊敬しているので、これはやろうと(久石)

ジブリ作品のファンじゃないですか、皆、僕も含め。だからやっぱり久石さんにお会いしたら、もう凄いオーラで緊張しまくったんですけれども、久石さん熱い人なので正面からちゃんと付き合おうという形でやらしていただきましたね(日野)

日野さん本当にいろいろ考えられて作ったゲームなので、(僕も)精一杯作ったし、比較的全体の様子が見えてたので、作り易かったですよね(久石)

ちょっとメゾフォルテなんで、ちょっと大きめにフォルテに吹いてもらって良いですか?それで22小節目でメゾフォルテを下げて行く感じで(久石)

前作の二ノ国に比べてちょっと音楽的なレベルを上げたというか、難しいという訳じゃないんだけど、知的レベルを上げたアプローチ。ですからちょっとかなりオーケストラは難しいんですよ演奏が。だけど本当、東フィルさん(東京フィルハーモニー交響楽団)が一生懸命やってくれてとてもいい録音ができましたね(久石)

ゲームの常識を超えたところでいろいろ音楽を作ってこられるので、戦闘シーンの音楽も普通のRPGの戦闘とは一線を画すものだし、ゲームを超えた音楽性だと思いますね(日野)

ゲーム音楽はどうしても繰り返して聴く訳ですよね。ですから、繰り返して聴く(曲を作る)方法と通常に作る方法とちょっと違うんですよ。その中で音楽とそのゲームにはまってもらうと嬉しいかなというか浸ってもらうと嬉しいかなと思います(久石)

(動画より書き起こし)

 

 

《得意技を封印した新境地》

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽は、久石譲の得意技をことごとく封印したなかで新境地を切り拓いた快作である。ポイントは久石譲インタビューにもあるとおり”くり返し聴かれる”ことを想定した音楽づくり。

  • 展開しない音楽 ~起承転結を排除した構成~
  • 歌えないメロディ ~リズムモチーフと違和感~
  • 音楽三要素の優先順位 ~一般常識の真逆~
  • ミニマル手法の封印 ~くり返す手法は同じはず なのに~

 

展開しない音楽 ~起承転結を排除した構成~

ゲーム音楽はオープニングやエンディングを除き、プレイ中に同じ音楽をくり返し聴くことが多い。それは本作のようなRPGであっても同じである。「二ノ国 II」の楽曲の多くは、Aメロ-Bメロ-サビ-転調-大サビなどと展開しない、起承転結を排除したAメロ-BメロもしくはA-B-Cをループするような音楽構成になっている。同時に最小限に展開するA-B-Cなど一曲のなかにおいても、雰囲気が大きく変わる曲想にはつくられていない。曲の終止部はフェードアウトや接続的フレーズ、くり返しイントロに戻ってもつながりやすい音楽づくりがされている。

「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」はコーラスを編成した構成になっている。より大きく広がりのある世界観になっていて、前二作からの変化も聴き比べるとおもしろい。本作では混声合唱を巧みに使った楽曲群も複数ある。メインテーマでありゲームオープニングで華やかに流れる同曲と、メインテーマのバリエーションでプレイ中に聴くことができる「広大な大地 The Great Outdoors」「キングダム Evan’s Kingdom」。この3楽曲をもっても、展開する音楽(メインテーマ)と展開しない音楽(バリエーション2曲)の組み立て方の違いをわかりやすく感じとることができる。

話は音楽全体に戻して、くり返し聴くことを目的としたという点では、起承転結しない展開しないことはまっとうな手法である。だがデメリットとしてこれを表面的に施しただけでは単調になり、くり返されることで飽きてしまう音楽になりうる。

 

歌えないメロディ ~リズムモチーフと違和感~

どの楽曲もそれぞれに性格のはっきりしたバリエーションに富んだもの。印象に残るにもかかわらず実は歌えるメロディは少ない。歌心のある・ドラマティックに展開する、そういった主役的メロディは意図的に排除されている。

なにで推しきっているかといえばリズムであり、リズム動機・リズムモチーフのような旋律を配置していること。メロディのない曲という見方もあるけれど、それだと陳腐なBGMと勘違いされるので、そうではない、モチーフや旋律はしっかりと存在する。そしてこの手法において、ハーモニーとぶつかる違和感のある旋律も多い(一瞬の不協和音のようなもの)。旋律としてもリズムとしてもより輪郭がはっきりし、アクセントやインパクトもクリアする。さらにこれらモチーフのキャッチーさと違和感のさじ加減こそ、くり返し聴かれる飽きのこない音楽という久石譲の絶妙のバランス感覚といえる。

 

音楽三要素の優先順位 ~一般常識の真逆~

音楽三要素はメロディ、ハーモニー、リズム。ポップスで言えば、歌(メロディ)があって伴奏(ハーモニー)があってドラム(リズム)があって成立するし、楽曲として成立させるうえでの優先順位も当然この順番になる。

しかし、本作で久石譲が切り拓いた新境地は一般常識の真逆ともいえる音楽構成である。リズムにもっとも重点がおかれている。先に書いたリズム動機・リズムモチーフに徹底していることはもちろん、ほかにも随所にある。

展開しない音楽において飽きを克服するべく、テンポに変化をつけている。同一楽曲内で曲想が変化したり、パートが展開していけば、もちろんテンポも変わってくる。でもそういった作り方をしていないなかで、曲想やフレーズの変化によるものではない、聴き流していて自然すぎて気づかない範囲でテンポ変化を施している。つまり曲の緩急をテンポによって実現している。ダンス・ミュージックのように正確なテンポを刻みつづける趣とは異なる、人が聴いていて心理的・生理的に心地よいと感じる流れ。それは人の呼吸や脈が一定リズムではないことと同じ無意識下に本能的に気持ちいいと感じる、極めてレベルの高いテクニック。しかも、くり返すことを前提にしたテンポバランスなのだから、これはもう。

リズムに重点というと、パーカッション群が大活躍しているのかと思うがそうではない。旋律そのものがリズムの役割も果たしているのでパーカッションはむしろ少ない方である。誤解を生むので、一般的でオーソドックスなパーカッションの種類と量であり、久石譲独特のパーカッション群や緻密に飛び交うパーカッション群は少ない。つまりメロディとリズムを切り離した三要素ではなく、メロディ=リズムなのだ。メロディでありながらリズムを刻んでいる。

このような意図があったときに、大変になってくるのがその演奏。まるで映像にあわせるように繊細で心地いいテンポ変化をつけること、しかしながら、メロディに抑揚やアクセントをつけてしまわないこと。メロディでありリズムであることの持ち味を実現する、東京フィルハーモニー交響楽団に求められた音楽レベル・知的レベルの難易度のひとつではないかと推測している。ついつい演奏に気持ちや力が入ってしまわないこと、きっちりそろえること、奏法やビブラートもふくめてあくまでもフラットであること。悠々と歌うような旋律も、横揺れして流れてしまわないように、しっかりとブレスしてフレーズごとに切っている楽曲たち。

たとえば歌でいうと、2番はこぶしが入りました。それは悪いことではない、同じフレーズでも単純にくり返すよりも表現方法を変える。楽曲が展開している、ピークにもっていくための、一般的である。でも、本作の音楽においてそれをしてしまうとくり返し聴くという制約に叶わない。こぶしが入ったり表現(奏法)に凹凸が出過ぎるとループがきれいに流れないからだ。やはり音楽的アプローチの肝は「きっちりそろえる」こと。

 

まだまだある。

楽曲が展開するというのは、メロディの変化でもあり、コード進行の展開でもあり転調でもあったりする。本作の楽曲群がシンプルな音楽構成といえるのは、これらが施されていないからであることは書いてきた。

いま一度「シンプル」ということに重点を置くと、本作の楽曲たちと前二作において大きく異なるのが、緻密で密度の濃いつくり込まれた音楽か否かである。くり返し飽きのこない音楽にするために余白のある音楽にしているとも言える。でもそれだけではないようにも思う。ここで登場するのがハーモニー、本作の音楽にはハーモニーを意図的に避けているように聴こえる。メロディをハモるということではなく、メロディに絡めた複雑な副旋律や内声といったものが緻密で密度の濃い久石譲音楽たらしめているとしたら。

リズムを最優先する手法をとるために、リズムの輪郭を一本際立たせるために、別のリズムやテンポ感・フレーズ感といったものを誘発させる副旋律や内声を配置していない。そしてまたメロディと異なるフレーズを絡めるこということは、必然的に和音やコード感といったハーモニーを生んでしまうのである。実際に楽曲群の多くは旋律が入りくんでいないし、複数の楽器で奏されているけれど同じ旋律のユニゾンも多い。なぜハーモニーを抑えたかは、くり返すこと・展開しないことに軸(コードが進行することは楽曲の起承転結を促す)があるし、先に書いたメロディ・モチーフそのものにハーモニーとぶつかる不協和音的エッセンスを散りばめているから。ん?ということは、あえて違和感のある音をぶつけているのは、メロディや曲が展開しないようにくい止めている効果もあるのか?!曲がきれいに流れていかないですよと宣言している音たちなのか?! そうこの考察もループしてしまう。

もちろん最小限に配置された副旋律たちも最大の効果をあげている。本作でのハーモニーの役割は、和声感やコード感といった響きではなく、ハーモニーもリズムであり、リズムのためのハーモニー(複旋律)である。そう、すべてはリズムのために。

 

ミニマル手法の封印 ~くり返す手法は同じはず なのに~

くり返し聴くことが目的ならば、まさに久石譲の真骨頂ともいえるミニマル手法があるではないか。ミニマル・ミュージックは最小限の音型(モチーフ)がくり返したりズレたりするもの。

本作の楽曲群では、なんとこのミニマル手法は使われていない。なぜだろう?と疑問に思い考えてみる。そうすると意外な一面が見えてきたように思う。ミニマル音楽はただくり返しているわけではない。ズレや変化といった展開することと同居している。ただくり返すだけならそれはミニマル・ミュージックではないとも言える。久石譲のオリジナル作品や映画音楽などあらゆる音楽のなかなら、ミニマル手法が炸裂している楽曲を思い浮かべると、共通して覚醒的に陶酔的に音楽は展開している。シンプルにくり返すことがミニマル・ミュージックなのだけれど、変化や展開のないそれは持ち味がなくなり、ミニマルとしてのアイデンティティを失ってしまうということなのかもしれない。

 

 

前二作の緻密で密度の濃い音楽は、音楽完成度からすると非常に高い。本作ではさらに一歩推し進めて、あえて自身の持ち味得意技を封印し新しい境地に挑んでいる。

イメージをかきたてる起承転結のはっきりしたドラマティックな音楽、一度聴いたら耳から離れない歌いたくなる心揺さぶるメロディ、緻密なオーケストレーションと独特の楽器編成でつくりこまれた密度の濃い音楽、原点であり真骨頂でもあるミニマル手法を盛りこんだオリジナリティある音楽。

久石譲音楽が久石譲音楽たらしめているこれらの得意技をすべて封印して挑んだのが「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽。そして結果、それは同じように久石譲音楽ブランドをしっかりとまとい、新しい可能性をも提示してくれた新境地にして傑作。

 

 

1stトレーラー専用音楽

ちょっと力を抜いて、百聞は一見にしかず。1stトレーラーの音楽だけがそれ専用につくられた音楽だということは冒頭に書いた。

今現在視聴することができる公式動画をもとに進める。本作楽曲より「クーデター The Toppled Throne」をもとに構成された音楽で、0:50~1:25、1:45~2:00のパートはゲーム本作には採用されていない。ちょっとした数十秒の間で繰り広げられる展開やフレーズといった曲想の変化こそ、上に書いたいつもの久石譲音楽たらしめているかたちのひとつである。2:00以降の「希望 There is Hope」もゲームにはないバージョン、壮大に盛り上がっていく展開が聴けるのはこの1stトレーラーならでは。

つらつらだらだらと考察してきたことを、百聞は一聴にしかず。この人はこういうことを言いたいのかなぁ、そのひとつ少しでも伝わっていただけたら幸いです。

 

【二ノ国II レヴァナントキングダム】1st トレーラー 約3分
レベルファイブ公式Youtubeチャンネルより

 

 

エンディングテーマ「希望の未来」

久石譲作曲/編曲による楽曲で、前2作とは異なり歌曲ではない。麻衣のヴォイスによるヴォカリーズになっている。(前作テーマ曲「心のかけら」作詞:鈴木麻実子 歌:麻衣)

オリエンタルな旋律と前衛的でアヴァンギャルドな音やリズム構成。民族音楽からのヴォイス・サンプリングも織り交ぜた、今の久石譲からは耳を疑うような斬新な楽曲に驚く。「オリエントへの曵航」(オリジナルアルバム「illusion」(1988)収録)の再来かと錯覚するようなニンマリしてしまうようなアグレッシブな楽曲。

クレジットにはないが、久石譲本人のヴォイスも隠し味として入っている気がする、そんなパートが数箇所ある。いや、きっと入っていると思う。

なんという凝りに凝ったリズムアレンジだろう、エネルギーが湧き出るようなグルーヴ感と最先端のリズムパーカッション・プログラミング。このリズムアレンジは共作となっている。手がけたのは、ガブリエル・プロコフィエフ、松浦晃久、久石譲。久石譲の好奇心・実験・挑戦のつまった渾身の楽曲になっている。体の底から心の底から覚醒する快感を味わえる楽曲。

興味深いのが、この楽曲ベースラインがまったく動かない。拍子も刻まないほどに。これだけリズム感があり躍動的な曲なのにである。そしてうねるような低音は曲中盤に集約されている。ここだけ一気に乱れ狂い重厚重音な渦をまく。怒涛の低音ミニマル。そう、この楽曲はリズム・アレンジが要なのだ。リズムで大きく楽曲を支え疾走する。その他フィーチャーされた楽器群による構成も相乗効果で素晴らしい。なんだか「こんなのどうですか?」と新しいギフトを自信たっぷりに差し出された気分だ。

ガブリエル・プロコフィエフ、どこかで聞き覚えのある名前と思ったら、久石譲ともつながりの深い音楽家。久石譲が興味を抱き、刺激を受け、出会い、共作し、別作品を自身のコンサートで取り上げ、そんな歩みを紐解くことができる。音楽家同士の共鳴と一期一会の結晶のひとつ、今だからこそ作ることができた楽曲、それが「希望の未来」。

 

以下、ガブリエル・プロコフィエフ氏にフォーカスして掘り下げる。

 

◇2014年 WEB「REAL SOUND」掲載インタビュー

――先ほどもお話に出ましたが、久石さんが刺激を受けるクリエイターを何人か挙げていただけますか。

久石:
最近だと、アメリカの32歳のニコ・ミューリー。彼はいいですね、完全にポストクラシカルの人間で、ビョークのプロデュースをしたり、メトロポリタンオペラというアメリカで一番大きな歌劇場でも曲を書いています。技術力もある。こういう新しい世代がガンガン出てきています。セルゲイ・プロコフィエフの孫にあたるガブリエル・プロコフィエフも面白いと思います。

Blog. 久石譲 『WORKS IV』 発売記念インタビュー リアルサウンドより 抜粋)

 

◇2014年 雑誌「モーストリー・クラシック 2015年2月号」掲載 インタビュー

「僕の作曲の根本にはミニマルミュージックがありますが、正統派のミニマル・ミュージックの作曲家は、ライリー、ライヒなど4人だけで、あとはポスト・ミニマルやポスト・モダンで、いまポスト・クラシカルというクラシックの範疇にとどまらないミューリーや大作曲家の孫のガブリエル・プロコフィエフといった人達が出ている。そんなミニマルの与えた影響や流れなどは、大きな意味があるのに日本では聴くことができない。それをもっと紹介したいし、自作も書きたいということで始めました。集客は大変ですが、今後も続けていきます」

Blog. 久石譲 「モーストリー・クラシック 2015年2月号」 インタビュー内容 より抜粋)

 

◇2016年 NHK WORLD 「Joe Hisaishi Special Program」

ガブリエル・プロコフィエフ氏本人がインタビュー出演し、久石譲音楽の魅力を語る。

Blog. NHK WORLD 「Joe Hisaishi Special Program」 久石譲特番放映内容

 

◇2017年 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー Vol4」コンサート

ガブリエル・プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番 (2006)
Gabriel Prokofiev:String Quartet No. 2

ガブリエル・プロコフィエフの《弦楽四重奏曲第2番》もクラブシーンの影響を受けながらも祖父譲りの強い音の構成力と感情を揺さぶる強い力があります。そう、今年は「くり返す」ということと「揺さぶられる感情」あるいは「揺れ動く感情」がテーマです。

このお三方とは今年ニューヨークやロンドンで直接お会いしてそれぞれの楽曲へのアドバイスをいただきました。また作曲家どうしの話題はとても刺激的で至福の時間でもありました。

(久石譲)

Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.4」 コンサート・レポート より抜粋)

 

休憩を挟んで3曲目に演奏された『弦楽四重奏曲第2番(ガブリエル・プロコフィエフ/2006』では、ヴァイオリンが弦を激しく叩いてビートを紡ぐといった斬新な演奏を披露。楽器こそクラシック系だが、これはもはやEDM等のダンスミュージック。作者のガブリエル・プロコフィエフは、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフの孫。祖父のDNAを引き継ぎポスト・クラシカル系の作曲家でありながら、DJとしても活動し、クラブミュージックとの競作も発表しているほど。

Info. 2017/10/26 「久石譲 ミュージック・フューチャーVol.4コンサート開催」(Webニュースより) 抜粋)

 

 

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽は公式にクレジットのあるもので全31曲。ただし、追加音楽の明記もあるので、全31曲が久石譲によるものではないと推測している。といっても、他者による追加音楽は1曲程度だろう。こういう書き方をするのは楽曲ごとの作者が不明だからである。またゲーム内では久石譲作曲をベースにしたシンセサイザー・アレンジ楽曲(他者による編曲)や追加楽曲、ジングルもふくめるとトータル約60曲にも及ぶ。

ひとつ確かな手引きとなること。冒頭に紹介した公式映像集に使用された楽曲たち、また下記紹介する海外限定版にのみ付属するLPやCDに収録された楽曲たち。これらは間違いなく久石譲が作曲したものであり、同時に「二ノ国 II」の音楽を語るうえで主要なテーマ曲ということになる。ゲーム発売にともなう完全なるオリジナル・サウンドトラック盤CDには至っていない。

久石譲が約30曲も本作のために書き下ろし、こんなにも素晴らしいクオリティの音楽なのに、ゲーム愛好家しか聴けないというのは非常にもったいない。2015年12月に初めて耳にした時から、約2年越しにようやくその全貌を現した「二ノ国 II」音楽。待ち望んだ二ノ国ファン、ゲームファン、久石譲ファンのためにも、ぜひCD化を熱望している。オリジナル・サウンドトラック完全盤として。そのとき1stトレーラー専用音楽などもボーナス・トラックで収録してくれたなら、歓喜にふるえる。

くり返し聴くことを目的とした音楽づくりは完成度が低いのだろうか。決してそうではないことは書いてきた。もし制作段階からサントラ盤を出す意図がなかったとしたら、それはとても残念に思う。今の久石譲がいっぱいにつまった快作、実験と挑戦で新しい可能性を響かせてくれた傑作。

いつの日か久石譲コンサートによって、組曲として壮大に起承転結する音楽作品へと昇華されることも夢みる。「二ノ国 II レヴァナントキングダム」音楽は、CD化されること・コンサートで披露されることではじめて完結する。着地できない優れた楽曲たちに、とびっきりのゴールをつくってほしい。

 

注)
「Ni No Kuni: Wrath of the White Witch - Original Soundtrack」は、2011年「二ノ国 白い聖灰の女王」(日本・PS3)を経て2013年1月海外版ゲームソフト発売に連動するように発売された。

 

 

商品パッケージについて

音楽に関連する商品情報のみピックアップする。いずれも日本国内版にはない特典で本作の海外人気をうかがわせる。

「Ni No Kuni II: Revenant Kingdom: King’s Edition (PS4) / (PC DVD) EU版」には、二ノ国 IIからの2楽曲が収録されたアナログレコード(LP)が付属している。

(LPジャケット 表/裏)

 

(LP盤 表/裏)

The Sound of NI NO KUNI II: REVENANT KINGDOM

Track 01. Theme from Ni no Kuni II
Track 02. The Curious Boy

Music Composed and Directed by Joe Hisaishi
Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra in Tokyo, Japan.

 

 

「Ni No Kuni II: Revenant Kingdom – Premium Edition (北米版)」には、二ノ国 IIからの4楽曲が収録されたCDが付属している。

(ケース CD盤)

Ni no Kuni II: Revenant Kingdom Music CD Collection

01 Theme from Ni no Kuni II 3:59
02 The Boundless Skies 3:19
03 Evan’s Kingdom 2:52
04 There is Hope 1:55

Artist: Joe Hisaishi
Genre: Original Soundtrack
Published by: BANDAI NAMCO Entertainment America
Release Region: North America
Release Date: 2018/3/23

Composed & Conducted by Joe Hisaishi
Orchestration: Chad Cannon, Kosuke Yamashita, Joe Hisaishi
Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra
Chorus: Ritsuyukai

Recording & Mixing Engineer: Mikio Obata
Sound Manipulator: Yusuke Yamashita (WONDER CITY)
Recording Studio: AVACO CREATIVE STUDIO, SOUND INN STUDIO
Mixing Studio: SOUND INN STUDIO

 

 

(日本国内版 PS4)

 

楽曲情報

・二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II
・クーデター The Toppled Throne
・別れ Leavetaking
・闇の呪文歌 Dark Rite
・広大な大地 The Great Outdoors
・大海原 The High Seas
・果てしない空 The Boundless Skies
・脱出 The Escape
・危険な谷 Treacherous Valley
・神秘の森 Forest of Mysteries
・海底洞窟 Deep Sea Cave
・ファクトリー The Factory Floor
・キングダム Evan’s Kingdom
・欲望の町 City of Hunger
・進化の大都市 City of the Future
・水の都 Kingdom by the Sea
・ネズミ王国の城下町 In the Kingdom of the Mice
・滅びの王国 The Lost Kingdom
・戦闘開始 Let Battle Commence
・苦闘 Into the Fray
・ボスバトル Boss Battle
・命運をかけた戦い Fateful Encounter
・守護神 Kingmaker’s Theme
・ラストバトル The Final Showdown
・夢の中の少年 The Curious Boy
・のどかな日常 Carefree Days
・勇ましき進軍 To Arms!
・希望 There is Hope
・切ない思い出 Painful Memories
・フニャ Here Come the Higgledies!
・希望の未来 Happily Ever After

 

ミュージック・クレジット

音楽:久石譲
オーケストレーション:チャド・キャノン 山下康介 久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:栗友会
指揮:久石譲

エンディングテーマ「希望の未来」
作/編曲:久石譲
リズム・アレンジ:ガブリエル・プロコフィエフ 松浦晃久 久石譲
ヴォイス:麻衣
コーラス:東京混声合唱団
パーカッション:和田光代
ケルティック・ティンホイッスル:野口明生
ハープ:堀米綾
ピアノ:鈴木慎崇
ストリングス:真部ストリングス

レコーディング&ミキシングエンジニア:小幡幹男
マニピュレーター:山下祐介(ワンダーシティ)

レコーディング・スタジオ:AVACO CREATIVE STUDIO SOUND INN STUDIO
ミキシング・スタジオ:SOUND INN STUDIO

追加音楽:西郷憲一郎
サウンドデザイナー:山中大 西浦智仁 橋詰友美子 畑田浩孝
サウンド制作サポート:森下真都香 吉田祐也 柴田陽介

※ミュージック・クレジット項はゲーム本作エンドロールクレジットより。編集記載のため紹介順序は異なる。

 

【商品情報】
対応機種:PlayStation®4/PC
発売日:2018年3月23日(金)
CERO:B(12才以上対象)
価格:
[通常版] 8,000円(税別)
[初回限定版「COMPLETE EDITION」] 10,000円(税別)
[シーズンパス] 2,000円(税別)
制作・発売:株式会社レベルファイブ
海外発売:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

【キャスト】
エバン役:志田 未来
ロウラン役:西島 秀俊
シャーティー役:門脇 麦
シャリア役:木村 文乃
セシリウス役:山崎 育三郎
ラティエ役:吉谷 彩子

ガットー役:吉田 鋼太郎

【スタッフ】
ストーリー/ゼネラルディレクター:日野 晃博
キャラクターデザイン:百瀬 義行
音楽:久石 譲

©LEVEL-5 Inc.

 

 

2018.6.6 release

 

Disc. 久石譲 『毛虫のボロ』 *Unreleased

2018年3月21日 映画公開

 

『毛虫のボロ』 ジブリの森のえいが

公開日:2018年3月21日(水・祝)~8月31日(金)予定
原作・脚本・監督:宮崎駿
声と音:タモリ
音楽:久石譲
時間:14分20秒
会場:三鷹の森ジブリ美術館 映像展示室「土星座」

 

映画本編はすべてタモリによる声と音のみで、エンディングに久石譲によるピアノ曲が1曲流れる作品になっている。

また映画パンフレットの制作クレジットにも「音楽:久石譲」とあるのみなので、シンプルなピアノ曲ということになる。曲名は記載がないため曲名不明の楽曲である。

スタジオジブリ小冊子「熱風 2018年3月号」の米津玄師コメントにて楽曲の印象が少しだけ触れてある。詳細は割愛するが、一連のジブリ美術館のための音楽(展示室用BGM他)の流れをくんだ楽曲であることが推測できる。

映画パンフレットには、約15ページにおよぶ映画シーンの絵紹介、2ページにわたる宮崎駿×養老孟司 対談、プロダクションノートとして奥井敦(撮影監督)・吉田昇(美術監督)・中村幸憲(CG作画監督)のインタビューが掲載されている。

 

 

 

■宮崎駿監督のコメント(全文)

ごあいさつ

生まれたばかりのちっぽけな毛虫に世界はどう見えているのでしょう。
小学生のとき、植物の光合成について教えられて、光合成はどう見えるのかズーッと気になっていました。
毛虫には空気の粒は見えるのかなぁとか、葉っぱをかじった時はゼリーのような味がするのかなぁとか、狩人蜂は今の戦場で飛び回っている無人攻撃機みたいなものかなぁとか…。
それでこんな映画ができてしまいました。
さいごまでつきあってくれたスタッフと、ノボロギクを教えてくれた家内と、音をあててくれたタモリさんに感謝します。
タモリさんなくては、この映画は完成しませんでした。

ありがとう
宮崎駿

2018年3月11日

Info. 2018/03/14 宮崎駿監督最新短編アニメ『毛虫のボロ』完成 久石譲ピアノ曲 より)

 

 

Disc. 久石譲 『Oriental Wind』 2018 New version *Unreleased

2018年3月18日 CMオンエア開始

サントリー緑茶 伊右衛門「こころの茶屋 編」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。2004年から2012年まで同CMシリーズにて様々なヴァージョンで使用されてきた「Oriental Wind」。2017年に5年ぶりに新ヴァージョンにて再登場して、翌2018年も新たなヴァージョンがうまれた。

 

商品名:サントリー緑茶 伊右衛門
出演者:本木雅弘/宮沢りえ/草彅剛
Web公開日:2018年3月16日
オンエア開始日:2018年3月18日
ナレーター:松川信
使用楽曲:Oriental Wind
作曲家:久石譲

 

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ティザー』篇 30秒 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ティザー/歌』篇 60秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 歌』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 歌 特別』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 足しびれ』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM

 

4月9日 CMオンエア開始

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 地図』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 自撮り』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM

 

4月9日 Web公開

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋』 草彅剛篇 メイキングムービー 1分28秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー

 

4月9日 ラジオCM

  • 草彅剛 挑戦篇 40秒
  • 草彅剛 春の風編 40秒
  • 草彅剛 ジーンズ篇 40秒

 

 

4月19日「たらい篇」が追加公開。4月23日からTVCMもオンエア開始。

 

商品名:サントリー緑茶 伊右衛門
出演者:本木雅弘/宮沢りえ/加藤茶/高木ブー/仲本工事
Web公開日:2018年4月19日
オンエア開始日:2018年4月23日
ナレーター:松川信
使用楽曲:Oriental Wind
作曲家:久石譲

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 たらい』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 加藤茶 高木ブー 仲本工事 サントリーCM

 

サントリー公式サイトにおいてCM動画/メイキング動画/ラジオCM視聴可能 (※2018年3月現在)
https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/green_tea/pr/

 

 

2017年版を継承したようなひっかかりのあるメロディがピアノで奏でられる。その後盛り上がる旋律は弦楽3拍子に変化したりと、おなじみのメロディを変拍子を巧みに交錯させ、新鮮味を与えている。小編成アンサンブルを基調としたシンプルな構成。

清涼感もあり、懐かしさもあり、新しさもある。メロディ配置や楽器配置ふくめて現代的なアプローチである。

1コーラス目はピアノに始まり、2コーラス目はフルートが奏でる。CMでは1コーラス目(3月18日~O.A.)と2コーラス目(4月23日~O.A.)がそれぞれ使用されている。また2コーラス(1分15秒)をフルで聴くことができるのはメイキング動画から。

 

 

久石譲の代表曲のひとつともいえるこの曲「Oriental Wind」。サントリー緑茶 伊右衛門 CM曲として四季折々なバリエーションでお茶の間に響いてきた楽曲。実は2004年から現在にいたるまでCMバージョンは音源化されていない。十数バージョンに及ぶ全バージョンがいずれもCDにはなっていないという信じられない作品。

また2012年からの「新テーマ」もCD化されていない。今回のNewヴァージョンをきっかけに全CMヴァージョンのパッケージ化の機運が高まってくれればと心から願っている。

 

 

 

日本を代表する曲「Oriental Wind」の歴史は下記ご参照

 

 

Disc. 久石譲指揮 ナガノ・チェンバー・オーケストラ 『ベートーヴェン:交響曲 第2番&第5番「運命」』

2018年2月21日 CD発売

精鋭メンバーが集結した夢のオーケストラ! ベートーヴェンはロックだ!!

長野市芸術館を本拠地として結成したオーケストラ「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」は、音楽監督久石譲の呼び掛けのもと、日本のトッププレーヤーが結集してスタートしました。当ベートーヴェン・ツィクルスは、”音楽史の頂点に位置する作品のひとつ”と久石がこよなく愛する「第九」に至るまで、2年で全集完成を目指します。第1弾アルバムでは、作曲家ならではの視点で分析し”例えればロックのように”という、かつてない現代的なアプローチが好評を博しました。今回も高い演奏技術とアンサンブルと、圧倒的な表現力で、さらに進化したベートーヴェンを聴かせます。

(CD帯より)

 

 

エネルギーと駆動力に充ちたベートーヴェン 柴田克彦

本作は、第1番&第3番「英雄」に続く、久石譲 指揮/ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)のベートーヴェン交響曲シリーズのCD第2弾。NCOは、2016年に開館した長野市芸術館を本拠とする楽団で、長野県出身の久石は、同ホールの芸術監督とNCOの音楽監督を務めている。メンバーは在京オーケストラの首席奏者を多く含む国内外の楽団やフリーの奏者など、若い世代を中心とした名手たち。彼らがホール開館直後から行っている「ベートーヴェン 交響曲全曲演奏会」(全7回)は、2016年7月の第1番に始まり、本作の第2番は2016年7月17日の第2回定期、第5番「運命」は2017年7月15日の第4回定期のライヴ録音である。

当シリーズにおける久石のコンセプトは、「作曲当時の小回りが効く編成で、現代的なリズムを活用した、ロックのようなベートーヴェン」、「往年のロマンティックな表現もピリオド楽器の演奏も、ロックやポップスも経た上で、さらに先へと向うベートーヴェン」であり、演奏もそれを具現している。そしてもう1つ見逃せないのが、NCOの表現意欲の強さだ。

コンサートマスターの近藤薫(東京フィルのコンサートマスターでもある)に話を聞いた際、彼は「クラシックは、伝統と確信が両立しなければいけないと思う。その点NCOは、ベテランから伝統を教わると同時に、少し何かが見えて次の展開に胸躍らせている30代が中心。それゆえ両方を併せもち、誰もがそうした立場を楽しんでいる。いわば演奏家ではなう音楽家の集合体。多様性があって、何にもでなれる。NCOの特徴は、この”皆が生きている”ところではないか」との旨を語っていた。

本作はまさに、久石のアプローチと、その意を自己表現に昇華させ得る”音楽家たち”のパフォーマンスが融合した、きわめて”Live”なベートーヴェンである。

ここでは番号順に特徴をみていこう。

第2番は、緩やかな序奏からリズムとアタックや細かな動きが鮮明に打ち出され、すでにムーヴしている。主部に入ると、弦楽器の生き生きとした刻みが推進力を倍加させ、絶え間なく前進を続ける。木管楽器の瑞々しい表現やティンパニの激しい打ち込みも効果的。これは本作の2曲全体に亘る特徴であり、前記の表現意欲の具体例でもある。第2楽章も緩徐楽章といえど動きが躍動し、それでいてしなやかな歌が流れていく、そのバランスが絶妙だ。第3楽章もリズムと音の動きが明確で、第4楽章は元々動的な音楽がより鮮烈に表出される。特に後半のダイナミズムは圧巻。この演奏を聴くと、まだ初期に属する第2番が、第3番に繋がる英雄様式と、第5番に通じる激しさを内包していることがよく分かる。

第5番は、第2番より熟達した中期の傑作であり、しかも1年後の演奏だ。にもかかわらず、ここで聴く両曲に質的な違和感が全くない。これは、当シリーズのコンセプトの揺るぎなさを証明している。

第5番は、当然のことながら前進性抜群で、テンポの速さが際立っている。だがそれは、メトロノームの指定に拠るものではなく、曲がもつ駆動力やエネルギーを表すための必然的な速さと言っていい。第1楽章は、動機の連鎖が生み出す活力や推進力が通常以上に強調される。第2楽章も速いテンポで弛緩なく進行。第3楽章がこれほど生気に富んでいるのも珍しい。そして第4楽章は圧倒的な勢いと力が横溢し、大管弦楽を凌ぐ迫力で突き進む音楽が、熱い感動を呼び起こす。久石は「巨大なオーケストラが戦艦やダンプカーだとすれば、NCOはモーターボートやスポーツカー」と語っていたが、この第5番は、まさしく強力なモーターボートで疾走するかのようだ。

ベートーヴェンの交響曲は1曲ごとに違った顔をもつ。それはむろん確かだが、当シリーズを聴くと、第1番や偶数番号の曲にも清新なパワーが通底し、どれもが”先へ先へと向っている”ことに気付かされる。やはりベートーヴェンは”ロックに通じる音楽”なのだ。

(しばた・かつひこ)

(CDライナーノーツより)

 

※諸石幸生氏による3ページにわたる曲目解説は割愛。詳細はCD盤にて。

 

 

 

 

[ベートーヴェン・ツィクルス第2弾]
ベートーヴェン:交響曲 第2番&第5番「運命」
久石譲(指揮)ナガノ・チェンバー・オーケストラ

ベートーヴェン
Ludwig Van Beethoven (1770 – 1827)

交響曲 第5番 ハ短調 作品67 「運命」
Symphony No.5 in C minor Op.67
1. 1 Allegro con brio
2. 2 Andante con moto
3. 3 Allegro
4. 4 Allegro

交響曲 第2番 ニ長調 作品36
Symphony No.2 in D major Op.36
5. 1 Adagio molto – Allegro con brio
6. 2 Larghetto
7. 3 Scherzo. Allegro
8. 4 Allegro molto

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (conductor)
ナガノ・チェンバー・オーケストラ
Nagano Chamber Orchestra

2016年7月17日(5.-8.)、2017年7月15日(1.-4.)
長野市芸術館 メインホールにてライヴ録音
Live Recording at Nagano City Arts Center Main Hall, 17 Jul. 2016 (5-8), 15 Jul. 2017 (1-4)

 

Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Nagano Chamber Orchestra
Concertmaster:Kaoru Kondo

Recording & Balance Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineers:Takeshi Muramatsu, Masashi Minakawa
Mixed and Mastered at EXTON Studio, Tokyo

and more…

 

Disc. 久石譲 『南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD』 *Unreleased

2018年2月2日 公開

映画:南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD
公開:2018年2月2日 中国 *日本公開未定
監督:吴有音
音楽:久石譲
主演:赵又廷、杨子姗

 

映画公開に先がけて2月1日に「南极之恋 久石譲 MV / Original Music Score by Joe Hisaishi」動画が公開された。映画本編とレコーディング風景を編集した映像に、この映画のために書き下ろされたメインテーマを聴くことができる。

オーケストラを基調とした大きく包みこむような音楽。愛のテーマともいえる久石譲によるピアノ旋律。南極を舞台にした世界観を反映し、澄みきった壮大な曲想である。

またフルオーケストラのなか、エッセンスとしてデジタル音も低音域や効果音的に配置するなど、NHKシリーズ・ディープオーシャンをはじめとした直近の指向性が反映されている。

劇中音楽もあまり分厚くなりずきず歌いすぎず、リアリティを増す音楽設計がされている。それでもさすがエンタテインメント、盛り上げるところは盛り上げ、スリリングで緊迫感のある音楽、ミニマム手法を駆使した楽曲などが随所に詰め込まれている。

映画「花戦さ」や先に書いた「ディープオーシャン」の音楽を発展させたもの(手法として)、そこからつながる今の久石譲が大作映画・南極という舞台に置き換え、弦楽を前面に出した王道の映画音楽をつくりあげている。

レコーディング・データは不明のため、録音場所・演奏団体などはわからないが、ぜひとも映画日本公開そしてサウンドトラック盤の発売を叶えてほしい久石譲音楽である。

 

映画は現時点で日本未公開で、サウンドトラック盤も発売されていない。

 

 

Disc. 『NHKスペシャル ディープ オーシャン 超深海 地球最深(フルデプス)への挑戦』

2017年11月24日 DVD/Blu-ray発売

2013年TV放映され話題となった「深海プロジェクト」。その最新シリーズとなる「ディープオーシャン」(全3回)。スタッフが再集結し企画された今プロジェクトには、前回音楽担当した久石譲も名を連ねることになった。

シリーズ最終となるこの第3集には、特典映像に久石譲インタビュー動画が収録されている。

 

 

【久石譲が深海に挑む編】

久石譲インタビュー

「やっぱり人間が住む世界とはちょっと違いますよね。だから「異空間」という、そういう感じを音楽でも表現できたらいいかなという気はしてましたね。6500m 7000m 海の底っていうのはすごいわけですよね。そういうところにいる生物、それを少し音楽でも手助けしてそういう雰囲気が出せるといいなと、そう思いました。」

「僕は本来、現代音楽として「ミニマルミュージック」というのをやっているので、その方法論をかなり思いっきり導入したというか、同じフレーズを何度も繰り返すような方法で、たぶんあまりテレビの番組でこういうものを音楽で起用することはないと思うんですけれども、結構実験的にそれをやらせてもらって、音楽的には非常に満足した仕事をさせていただいた。」

「最初のダイオウイカの時から始めて、そこで作ってきた音楽もだんだん回を重ねるごとに進化してきていて、とても映像との関係性も含めて新鮮なものができたと思うので、ぜひ皆さん楽しみにしていただきたいと思います。」

(久石譲さん「超深海は人が住む世界ではない、異空間」インタビュー~NHK公開動画より 書き起こし)

 

[内容紹介]
深海の秘境に、最先端の科学で挑むシリーズ。
世界で初めてダイオウイカを撮影したNHK深海取材班が新たな探検へ旅立つ!

「超深海」の最深部(フルデプス)はマリアナ海溝チャレンジャー海淵、10920メートル。57年前、人類で初めて潜航した海洋冒険家は、そこで深海魚を目撃したという。しかし写真などの証拠はなく、多くの研究者がこの目撃談に疑念を抱いてきた。すさまじい水圧のため、タンパク質が機能できなくなり生存不可能と考えられているからだ。一体、「超深海」とはどんな場所なのか?魚は?そして生命はいるのか?フルデプスを自由に動き回れる無人探査機「UROV11K」や、4Kカメラを搭載した探査機器「ランダー」を研究者とともに新たに開発。のべ2か月に及ぶマリアナ海溝の探査航海に挑む。

(2017年8月27日 NHK総合で放送)

■特典映像 (予定) プレマップ
【新開発フルデプス編】・【久石譲が深海に挑む編】・【メイキング編】

■封入特典(予定) リーフレット
ディレクターとカメラマンによる制作手記/超深海生物図鑑

【音楽】久石譲
【語り】 三宅民夫、久保田祐佳

DVD版 定価:4,104円(税込)
ドキュメンタリー/セル/本編49分+特典/1ステレオ・リニアPCM 25.1chサラウンド・ドルビーTrueHD(ただし「特典映像」はステレオ・リニアPCMのみ)/片面一層/カラー

Blu-ray版 定価:4,104円(税込)
ドキュメンタリー/セル/本編49分+特典/1920×1080i Full HD/1ステレオ・リニアPCM25.1chサラウンド・ドルビーTrueHD(ただし「特典映像」はステレオ・リニアPCMのみ)/一層/カラー

 

Disc. 久石譲 『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』

2017年11月22日 CD発売

『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』
久石譲(指揮) フューチャー・オーケストラ

久石譲主宰Wonder Land Records × クラシックのEXTONレーベル夢のコラボレーション第2弾!未来へ発信するシリーズ!

久石譲が“明日のために届けたい”音楽をナビゲートするコンサート・シリーズ「ミュージック・フューチャー」より、アルバム第2弾が登場。

2016年のコンサートのライヴ・レコーディングから、選りすぐりの音源を収録した本作には、“現代の音楽”の古典とされるシェーンベルクの《室内交響曲第1番》に加え、アメリカン・ミニマル・ミュージックのパイオニアであるライヒの人気作《シティ・ライフ》、そして久石譲の世界初演作《2 Pieces》が並びます。新旧のコントラストを体感できるラインナップと、斬新なサウンド。妖・快・楽——すべての要素が注ぎこまれた究極の音楽を味わえる一枚です。

日本を代表する名手たちが揃った「フューチャー・オーケストラ」が奏でる音楽も、高い技術とアンサンブルで見事に芸術の高みへと昇華していきます。レコーディングを担当したEXTONレーベルが誇る最新技術により、非常に高い音楽性と臨場感あふれるサウンドも必聴です。

「明日のための音楽」がここにあります。

ホームページ&WEBSHOP
www.octavia.co.jp

(CD帯より)

 

 

解説 小沼純一

2016年におこなわれた「MUSIC FUTURE」、久石譲が始めたこのシリーズ、第3回目のコンサートで演奏された3作品を収録したのがこのアルバムとなります。初回が2014年で、「Vol.1」はヨーロッパの作品を、「Vol.2」ではアメリカ合衆国の作品を、そして今回、「Vol.3」ではヨーロッパの20世紀音楽の「古典」と、20世紀の終わりから21世紀現在のアメリカ、そして久石譲の作品をプログラムしています。

「MUSIC FUTURE」では、コンサート・ステージにはなかなかのらない「現代」の作品がプログラムされています。もしかしたらYouTubeなどで聴くことができる音楽もあるでしょう。でも、たくさんの音源がならんでいるなかから、ひとつの楽曲を選び、聴く、ことは容易ではありません。いえ、聴くことはできるでしょうが、何らかの見取り図のなかで聴いてみる、ある歴史性のなかで聴いてみる、というのはコンサートだからできる、コンサートという90分から2時間の「枠」のなか、誰かコーディネイトをする人がいてこそ、単独の楽曲がランダムにならぶだけではない、立体的な構成ができることではないでしょうか。そして、演奏する人たちの表情、姿、しぐさ、ナマでむこうやこっちからやってくる音とともに、そばにいる人たちが感じているもの、反応が、空気を媒介にして肌に届いてくる、そんななかで「聴く」ことが新しい体験になる。「MUSIC FUTURE」にはそんな意図があるようにおもえます。そして、ただコンサートで終わるだけではなく、ひとつの記録としてのCDアルバムができ、そういえばこの前のコンサートでおもしろかったあの曲を、とホールで手にとることができ、自宅で聴くことができれば、どうでしょう。コンサートでとはまた異なった体験が得られるかもしれないし、はじめてではわからなかったことに気づけるかもしれません。コンサートがあり、録音がある、とは、こうした体験の輻輳化が可能になることです。

アルバムでは、「Vol.3」のコンサート当日に演奏された5作品のなかから、3曲を収録しています。演奏された楽曲の数と、CDでの録音の数とは、「Vol.2」とおなじです。

ちょっと耳にすると小難しい、とりとめがない、そんな「現代音楽」を最初につくったといわれているひとり、シェーンベルク(1874-1951)の初期の作品から、21世紀も10年代になって発表された久石譲(1950-)の新作、最後に、20世紀もすぐ終わりといった時期のライヒ(1936-)の作品へ。

小難しい、とりとめのなか、そんな「現代音楽」という言い方をしました。でも、このアルバムに収められているシェーンベルクの作品は、そうした小難しさやとりとめのなさはありません。そんなふうになる「以前」の作品なのです。そして、その意味では、ほぼ110年の広がりを持つヨーロッパ・アメリカ合衆国・日本で生まれた作品ではありますけれど、ひとつの調性システム、ドレミファを基本に据えた音楽のさまざまなかたち、ということができるでしょう。「現代音楽」と呼ばれながらも、その広がりもまたかなりある。そんなことがこのコンサート、アルバムから知ることができるのです。

 

シェーンベルク:
室内交響曲第1番 ホ長調 作品9

「室内楽」ということばがあります。「交響曲」ということばもあります。その両方がくっついたような「室内交響曲」がここにあります。それほど多くはありませんが、いまでは「室内オーケストラ(管弦楽団)」もあります。ところが、20世紀になるまで、このフォーマットの作品はなかったのです。いえ、ダンスの音楽やソングの伴奏などにはあったのです。しかし、シリアスな作品がならぶコンサートではありませんでした。シェーンベルクは「室内交響曲」を2曲つくっていますが、これはその「第1番」で、その意味では世界ではじめて「室内楽」としてはちょっと大きい、「オーケストラ」としてはかなり小さい楽器編成で、代替のきかない音楽作品を生みだしたのです。「MUSIC FUTURE」は、(1管編成の)室内オーケストラに拘ったプログラミングをしてきていますから、そうした室内オーケストラの原点といえるシェーンベルク《室内交響曲第1番》をとりあげているのはひじょうに意味があります。

編成はピッコロ/フルート、オーボエ、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2、弦楽四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ)、コントラバスの15人。ただ人数が少ない、というだけではありません。それぞれの演奏家はアンサンブルの一員であるとともに、ソリストとしての責任を課されています。そこも新しいところです。そして、作曲者自身というところの音色旋律(Klangfarbenmelodie)を用いて、通常のメロディーとは違った、音色の変化そのものがメロディーとして認識されるといった手法が用いられています。シェーンベルクがここまで試してきたさまざまな作曲上の技法が、ここでは綜合されている、とみる人もいます。

全体はひとつの楽章からなっていますけれども、提示—スケルツォ—展開—アダージョ—終曲の5つの部分からなっています。いわば、1楽章のソナタのかたちと多楽章のかたちとをひとつに集約したとみられ、モデルとしてはフランツ・リストの《ピアノ・ソナタ》を挙げられます。

作曲は1906年。翌1907年にウィーンで作曲者自身の指揮で初演。1913年にも自身が指揮し、そのときは弟子のアントン・ヴェーベルン《6つのバガテル》とアルバン・ベルク《アルテンベルク歌曲集》の一部もプログラムにあって、一種のスキャンダルになりました。またアメリカ合衆国に亡命後、1935年にはより大きな編成のオーケストラに改変、「作品9-b」としてロスアンジェルスで演奏しています。

 

久石譲:
2 Pieces for Strange Ensemble

「MUSIC FUTURE Vol.3」、2016年10月に初演された作品です。タイトルをみると、それだけで「?」となるかもしれません。「Strange Ensemble」って何だろう?と。2つの対照的な楽曲がならびます。はじめは休止のはいり方、音のなくなり方で、ちょっとどきっとします。休止符は、そう、ときに、とても聴き手を驚かせるものなのです。〈Fast Moving Opposition〉は、まさにそうした休止を、反復音型のあいまになげこむことで、「聴き始め」のショックを与えます。そこからふつうのリズム・パターンになりますが、すると逆に、変化のないパターンに足で1拍1拍をとりながら、べつの音型の出現や休止、音色の変化などに上半身で反応してゆく、といったふうになります。〈Fisherman’s Wives and Golden Ratio〉は、画家サルバドール・ダリの作品からタイトルをとっていて、しかも、曲そのものとはつながりがない、と久石譲はプログラムノートに記していました。ここでは複数のリズムと、楽器「以外」の音色とがないまぜになります。ある意味、先のシェーンベルク《室内交響曲第1番》での音色旋律を現代風に踏襲しているといえるかもしれません。

 

スティーヴ・ライヒ:
シティ・ライフ

1936年生まれのスティーヴ・ライヒは、ここであらためて紹介するまでもなく、現代アメリカ合衆国を代表する作曲家というだけでなく、1960年代に生まれた「ミニマル・ミュージック」の創始者のひとりです。振り子が行ったり来たりするなかでスピーカーがハウリングをおこす作品や、2人のピアニストがおなじ音型を反復しながら少しずつずれてゆく作品といった、ひじょうにラディカルな「ミニマリズム」から、ほぼ50年、その音楽は、反復性を基本としながらも、大きく変化してきました。そして《シティ・ライフ》は、狭義の「ミニマル・ミュージック」では測りきれない独自性をもった作品です。

タイトルどおり、この作品は、都市での生活がテーマになっています。作曲者自身が住むニューヨークの街の音、環境音がサンプリングされ、作品のなかでひびきます。ピアノやマリンバといった楽器によるリズムは人びとの歩いたり生活したりするリズムを、管楽器や弦楽器による持続音はビル街の存在感や活気のある街の空気を、そしてサンプリングされた音は、楽器音のなかにより具体的な都市間をつくりだす——そんなふうにみることもできるでしょう。でもそうだとしたら、サンプリングされた都市の音はただの素材にすぎません。それだけではなく、ここにあるのは、聴く人が、コンサートホールで演奏を聴いたり、自室のステレオで録音を聴いたりという環境と、一歩外にでて街のなかを歩くことがパラレルになっている、その二重三重の、いわばヴァーチャルな音環境が「作品」化されているところになります。《シティ・ライフ》は心地良い音楽です。他方、こういう環境があたりまえで、かつ心地良いというのはどういうことなのか、人が生きている、生活しているときにかかわる音や音楽はどうあったらいいのか、そんなことも作品は問い掛けてきます。つまりは、カナダの作曲家、マリー.R.シェーファーが提起した、「サウンドスケープ」という概念を、音楽作品をとおして、喚起している——そんなふうに言ったら、うがちすぎでしょうか。

1995年、3つの国の現代音楽アンサンブル(ドイツのアンサンブル・モデルン、イギリスのロンドン・シンフォニエッタ、フランスのアンサンブル・アンテルコンタンポラン)からの共同委嘱により作曲。全体は5つの部分からなります。奇数の楽章には声のはいったサンプリングが用いられるのも特徴です。

編成はフルート2、オーボエ2、クラリネット2、ピアノ2、サンプリング・キーボード2、パーカッション3または4、弦楽四重奏、コントラバス、です。

(こぬま・じゅんいち)

(「MUSIC FUTURE II」CDライナーノーツ より)

 

 

~「MUSIC FUTURE Vol.3」コンサートプログラムより

挨拶 久石譲

今年で3回めを迎えることができて、主催者として大変うれしい限りです。本来インディーズとして小さな集いでしか発表できない現代の楽曲をこの規模で行えることは、評論家の小沼純一さん曰く「世界でもあり得ないこと」なのだそうです。徐々に皆さんからの支持をいただいていることは、多くの優れた演奏家から出演してもいいという話をいただくことからも伺えます。新しい体験が出来るこの「MUSIC FUTURE」をできるかぎり継続していくつもりです。

自作について

《2 Pieces for Strange Ensemble》はこのコンサートのために書いた楽曲です。当初は「室内交響曲第2番」を作曲する予定でしたが、この夏に《The East Land Symphony》という45分を超す大作を作曲(作る予定ではなかった)したばかりなので、さすがに交響曲をもう一つ作るのは難しく、それなら誰もやっていない変わった編成で変わった曲を作ろうというのが始まりでした。

ミニマル的な楽曲の命はそのベースになるモチーフ(フレーズ)です。それをずらしたり、削ったり増やしたりするわけですが、今回はできるだけそういう手法をとらずに成立させたい、そんな野望を抱いたのですが、結果としてまだ完全に脱却できたわけではありません、残念ながら。発展途上、まだまだしなくてはいけないことがたくさんあります。

とはいえ、ベースになるモチーフの重要性は変わりありません。例えばベートーヴェンの交響曲第5番「運命」でも第7番でも第9番の第4楽章でも誰でもすぐ覚えられるほどキャッチーなフレーズです。ただ深刻ぶるのではなく、高邁な理念と下世話さが同居することこそが観客との唯一の架け橋です。

ベートーヴェンを例に出すなどおこがましいのですが、今回の第1曲はヘ短調の分散和音でできており、第2曲は嬰ヘ短調(日本語にすると本当に難しそうになってしまう、誰か現代語で音楽用語を作り替えてほしい)でできるだけシンプルに作りました。しかし、素材がシンプルな分、実は展開は難しい。どこまでいっても短三和音の響きは変わりなくさまざまな変化を試みるのですが、思ったほどの効果は出ない。ミニマルの本質はくり返すのではなく、同じように聞こえながら微妙に変化していくことです。大量の不協和音をぶち込む方がよっぽど楽なのです。その壁は沈黙、つまり継続と断絶によって何とか解決したのですが、それと同じくらい重要だったのはサウンドです。クラシカルな均衡よりもロックのような、例えればニューヨークのSOHOでセッションしているようなワイルドなサウンド(今回のディレクターでもあるK氏の発言)を目指した、いや結果的になりました。

大きなコンセプトとしては、第1曲は音と沈黙、躍動と静止などの対比、第2曲目は全体が黄金比率1対1.618(5対8)の時間配分で構成されています。つまりだんだん増殖していき(簡単にいうと盛り上がる)黄金比率ポイントからゆっくり静かになっていきます。黄金比率はあくまで視覚の中での均整の取れたフォームなのですが、時間軸の上でその均整は保たれるかの実験です。

というわけで、いつも通り締切を過ぎ(それすらあったのかどうか?)リハーサルの3日前に完成? という際どいタイミングになり、演奏者の方々には多大な迷惑をかけました。額に険しいしわがよっていなければいいのですが。

1.〈Fast Moving Opposition〉は直訳すれば「素早く動いている対比」ということになり、2.〈Fisherman’s Wives and Golden Ratio〉は「漁師の妻たちと黄金比」という何とも意味不明な内容です。

これはサルバドール・ダリの絵画展からインスピレーションを得てつけたタイトルですが、すでに楽曲の制作は始まっていて、絵画自体から直接触発されたものではありません。ですが、制作の過程でダリの「素早く動いている静物」「カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽」が絶えず視界の片隅にあり、何かしらの影響があったことは間違いありません。ただし、前者の絵画が黄金比でできているのに対し、今回の楽曲作りでは後者にそのコンセプトは移しています。この辺りが作曲の微妙なところです。

日頃籠りがちの生活をしていますが、こうして絵画展などに出かけると思わぬ刺激に出会えます。寺山修司的にいうと「譜面(書)を捨てて街に出よう」ですかね(笑)

いろいろ書きましたが、理屈抜きに楽しんでいただけると幸いです。

(ひさいし・じょう)

(「MUSIC FUTURE II」CDライナーノーツ より)

 

 

フューチャー・オーケストラ
Future Orchestra

2014年、久石譲のかけ声によりスタートしたコンサート・シリーズ「MUSIC FUTURE」から誕生した室内オーケストラ。現代的なサウンドと高い技術を要するプログラミングにあわせ、日本を代表する精鋭メンバーで構成される。”現代に書かれた優れた音楽を紹介する”という野心的なコンセプトのもと、久石譲の世界初演作のみならず、2014年の「Vol.1」ではヘンリク・グレツキやアルヴォ・ペルト、ニコ・ミューリーを、2015年の「Vol.2」ではスティーヴ・ライヒ、ジョン・アダムズ、ブライス・デスナーを、2016年の「Vol.3」ではシェーンベルクのほか、マックス・リヒターやデヴィット・ラング等の作品を演奏し、好評を博した。”新しい音楽”を体験させてくれる先鋭的な室内オーケストラである。

(CDライナーノーツ より)

 

 

 

久石譲:2 Pieces for Strange Ensembleについて

編成は、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ヴィブラフォン、パーカッション、ドラムス、ピアノ 2、サンプリング・キーボード、弦楽四重奏、コントラバス、だったと思います。こちらもスティーヴ・ライヒ作品にもあったような、アコースティック楽器(アナログ)とサンプラー(デジタル)の見事な融合で、至福の音空間でした。デジタル音は低音ベースや低音パーカッションで効果的に使われていたように思います。一見水と油のような特徴をもったそれらが、よくうまく溶け合った響きになるものだと感嘆しきりでした。CDならば、ミックス編集などでバランスは取りやすいかもですが、コンサート・パフォーマンスで聴けたことはとても貴重でした。

例えば、ピアノを2台配置することで、ミニマル・フレーズをずらして演奏している箇所があります。ディレイ(エコー・こだま)効果のような響きになるのですが、CDだと、コンピューターで編集すれば、ピアノ1の音色をそのまま複製して加工すればいい、などと思うかもしれません(もちろん割り振られたフレーズが完全一致ではないとは思いますが)。そういうことを、アコースティック・ピアノ2台を置いて、互いに均一の音幅と音量で丁寧にパフォーマンスしていたところ、それを直に見聴きできたことも観客としてはうれしい限りです。

1.「Fast Moving Opposition」は、前半12拍子と8拍子の交互で進みます。これも指揮者を見る機会じゃないとおそらく聴いただけではわかりません。この変拍子によって久石譲解説にもあった今回の挑戦である「音と沈黙、躍動と静止、継続と断絶」という構成をつくりだしているように思います。中盤からドラムス・パーカッションが加わり、4拍子独特のグルーヴ感をもって展開していきます。

2.「Fisherman’s Wives and Golden Ratio」は、こちらも指揮者を見ても拍子がわからない変拍子でした。「黄金比率の時間配分で構成」についてはまったくわかりませんでした、難しい。管楽器奏者が口にマウスピースのみを加えて演奏するパートもありました。声なのか音なのか、とても不思議な世界観の演出になります。

言うなれば、贅沢な公開コレーディングに立ち会っている感覚すら覚えたほどです。アコースティック楽器とデジタル楽器、スタジオ・レコーディングならば、1パートずつ録音していくようなそれを、一発勝負で響かせて最高のテイクを奏でるプロたち。スコアを視覚的に見て取るように「あ、今のこの音はこの楽器か」とわかるところも含めて、贅沢な公開レコーディングに遭遇したような万感の想いです。

おそらくとても難解、いやアグレッシブな挑戦的なこと高度なことをつめこんでいる作品だろうと思います。一聴だけでは、第一印象と目に見えた範囲のことでしか語れないので、あまり憶測やふわっとした印象での見解は控えるようにします。1年後?CD作品化された暁には、聴けば聴くほどやみつきになりそうな、味わいがにじみ出てくるような作品という印象です。

 

素早く動いている静物
《素早く動いている静物》 (1956年頃) サルバドール・ダリ

カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽
《カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽》 (1928年頃) サルバドール・ダリ

 

Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.3」 コンサート・レポート より所感抜粋)

 

 

CD鑑賞後レビュー追記

全編をとおして、耳が喜ぶ刺激、そんな音楽です。レコーディングとしても非常にクオリティの高い最高音質には脱帽です。よくぞここまで刻銘に記録してくれました!という言うことでしか表現が浮かびません。

コンサートで聴いたときとはまた違う、収まりのいい録音という音響だからこそ、見えてくる緻密さや聴こえてくる前後左右からの音、新しい発見がたくさんあります。小編成コンサートのシャープでソリッドで立体的な響き、作品の特性もあるのかときにむきだしなほどに鋭利な楽器の音たちは、それだけでも一聴の価値があるほど、ふだんの日常生活ではまた日常音楽では聴くことのできないものです。

 

久石譲作品について。

重厚でパンチの聴いたサンプリング・ベースがかっこいい。この作品を支配する大きな軸になっていると思います。クラブ・ミュージックを彷彿とさせながらも、音と沈黙によって一筋縄ではいかない、踊り流れておわってしまうことのない不思議な世界観を醸しだしています。またこの作品で追求した構成やサンプリング音(低音や金属音の種)は、その後「ダンロップCM音楽」(2016)やNHK「ディープ・オーシャン」(2016-2017)といったエンターテインメント音楽へも派生していきます。そういう点においても、実験的な試みをしただけにとどまらず、今久石譲が求める音を追求したワイルドなサウンドまで。具現化した完成度の高さでこの作品が君臨したからこそ、その先へつながっていると思うと、重要なマイルストーンとなる作品です。なにはともあれ、理屈うんぬんかっこいい!聴けば聴くほどに味がでる、今までに聴くことのできなかった新鮮で刺激的な音楽に出会えたことはたしかです。これがこれから長い時間をかけて聴きなじみ自分のなかへ吸収されていくとしたら、それはまさに快楽といえるでしょう。

 

 

 

アルノルト・シェーンベルク
Arnold Schönberg (1874-1951)
1. 室内交響曲 第1番 ホ長調 作品9 (1906)
 Chamber Symphony No.1 in E major, Op.9

久石譲
Joe Hisaishi (1950-)
2 Pieces for Strange Ensemble (2016) [世界初演]
2. 1. Fast Moving Opposition
3. 2. Fisherman’s Wives and Golden Ratio

スティーヴ・ライヒ
Steve Reich (1936-)
シティ・ライフ (1995)
City Life
4. 1 Check it out
5. 2 Pile driver / alarms
6. 3 It’s been a honeymoon – can’t take no mo’
7. 4 Heartbeats / boats & buoys
8. 5 Heavy smoke

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (Conductor)
フューチャー・オーケストラ
Future Orchestra

2016年10月13日、14日、東京、よみうり大手町ホールにてライヴ録音
Live Recording at Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, 13, 14 October, 2016

 

JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE II

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Future Orchestra
Live Recording at Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, 13, 14 October, 2016

Produced by Joe Hisaishi
Recording & Mixing Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineer:Takeshi Muramatsu
Mixed at EXTON Studio, Tokyo
Mastering Engineer:Shigeki Fujino (UNIVERSAL MUSIC)
Cover Desing:Yusaku Fukuda

and more…