Disc. 東海林修 『DIGITAL TRIP 1800 アリオン』

1986年5月21日 LP発売
1993年10月21日 CD発売

1986年公開 映画「アリオン」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

楽曲解説

1.地底王ハデス
アリオンをだましゼウス転覆を計るが、アリオンに気付かれ殺される王のテーマで、何度も現われますが、ドラマの展開を期待させるいい出だしです。シンセのたのしみのシーケンサーでかっこよくスタートです。はじめにきかれる笛のような響はデジタル・サウンプリングしたものです。

2.セネカ
アリオンを慕う先住民の子セネカのテーマですが、思いきってテレビ・ゲームの音を使ってみました。大いに論の分かれるところかもしれません。じつは私の機材でもオリジナルとそっくり同じことが出来ます。また作り方も手に取るようにわかりますが、コピーを作っても全く無意味なので、こんな手段をとったわけで、このアルバムで最も苦労した点のひとつです。

3.アリオン
刺客として育てられたティターン族の少年のテーマらしく、大変スリルに満ちた感じを久しぶりにホワイト・ノイズのパーカッションでいきいきと描いてみました。フランジャーなど暫く使わなかったエフェクターも新鮮に響きました。

4.メインテーマ
大変詩的な美しいテーマです。アルペジオを左右に配し立体感をだしました。さらに、デジタルのドラムでリズムをつくれば当たり前で面白みに欠けるので、シンセサイザーらしいリズムセクションで飾ることにしました。

5.戦闘
ほんの少し、私なりの解釈でテーマの品位を傷つけないよう注意をしながら長めにしました。すさまじい争いの表現が見事な曲です。

6.レスフィーナ
私はこの曲がたいへん気にいってますし、オリジナルの音色演奏とも立派ですが、ここでは私なりの音選びをしました。これからはマニピュレーター評価の重要なポイントになっていくと考えられますのでとても神経をつかう場面が多いのが実情です。ともあれ、ゼウスによって秘力を封じられたレスフィーナの美しさが伝わると嬉しいと思います。

7.想い
アカペラで歌われたテーマですが、ここでもシンセサイザーアルバムらしくいまは少しばかり懐かしい感じのテクノ・ポップ風に仕立て直しをしてみましたが、少し高域を抑え賛美歌調の雰囲気を大切にしました。

8.プロメテウス~海蝕洞
黒の獅子王ながらアリオンを助け導く謎の味方らしく、抑えた感じにミステリアスな気分も加わった旋律。シンセサイザーで表現すると、なにやらエスニックな感じが強調され不思議な気分です。

9.ポセイドン
七つの海を制す王、ポセイドンらしくスケールの大きな曲です。もっとも電子楽器の得意とする分野でしょうか。

10.初陣
オリジナルは勇ましい戦場の様子がいきいきと表現されていて、ティンパニが轟き、ブラスが輝かしく響いています。ここではシンセサイザー・パーカッションですから、大いに頑張ってみました。それぞれの個性が楽しめると思います。

11.ハデス
サントラもこの辺りになると、オケも良く鳴りだし、立派な演奏になっています。ティターン三兄弟の長兄で、暗い地底の王らしく響かせるよう、懸命の努力を重ねました。

12.ポセイドンの死
最もシンセサイザーでの表現が楽しみな感じの曲で、このような曲ばかりだといいのですが。ともあれこの中で使ったドラムはとても満足しています。

13.オリンポスへ
スケールの大きなテーマで、よく扱われる題材ですが、見事に描かれています。そこで私も、二つのタイプを作り慎重に比較した結果、少し控え目のほうを採用しました。

14.テュポーン
古世代の巨大な翼龍テュポーン。アソス山に住むこの怪獣、素材としてとても興味深く音楽表現も楽しみで、ひびきもいきいきしています。オリジナルにはスネア・ドラムは聞けませんでしたが、ここではよりポップにリズミックに変えてあります。

15.アポロン
野望に燃えるアポロンにしては控え目な曲ですが、たいへん奥の深い民族色豊かな表現がなされています。ここではアップル・コンピュータでつくりだした、ギターにもハープにも聴ける音色を左に、シンセサイズしたリバーブを右に配して全く別の世界を作ってみました。リズム・セクションは慎重を期しましたが、カーツウェルのベースは、なかなか味わいがあって、びっくりしました。

16.ペガサスの少女
作家の異なる作品で少しばかり雰囲気が変わります。型通りのしっかりしたポップス調。テクノの感じが使って、私なりの衣変えを施しておきました。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

Digital Trip 1800 アリオン

1. 地底王ハデス
2. セネカ
3. アリオン
4. メインテーマ
5. 戦闘
6. レスフィーナ
7. 想い
8. プロメテウス~海触洞
9. ポセイドン
10. 初陣
11. ハデス
12. ポセイドンの死
13. オリンポスへ
14. テュポーン
15. アポロン
16. ペガサスの少女

作曲:久石譲 (1-15) 林哲司 (16)
編曲:東海林修

シンセサイザー:東海林修

 

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