Disc. 久石譲 『イメージアルバム ベスト・コレクション』

1986年12月21日 CD発売 32ATC-135
1986年12月21日 LP発売 25AGL-3034
1986年12月21日 CT発売 25AGC-2034

 

久石譲監修によるイメージアルバム・ベスト。「風の谷のナウシカ」「アリオン」「天空の城ラピュタ」よりいずれもイメージアルバムから選曲されている。

 

 

イメージアルバムとは

映画制作時、作品の世界観からイメージして作られた楽曲のこと。映画本編で使用される劇中音楽とは異なり、そちらはサウンドトラックに収録される。

映画制作時、音楽面でのイメージボードや絵コンテにあたるもの、それがイメージアルバムの役割でもある。監督からの解説・キーワード・絵をもとに、イメージを最大限ふくらませて、音楽だけでその世界を表現しようとするスタジオジブリ作品では恒例でもある。

このイメージアルバムがあるからこそ、監督と作曲者は、ラフスケッチ(曲)をもとに、映画本編のどこにどのモチーフの曲を使うかという、共通言語(音楽)で制作を進めることができる。だからこそ、スタジオジブリ作品 宮崎駿監督の映画、そして久石譲による音楽は、どの作品もその音楽世界の完成度も高く、作品に一役も二役もかっている。

この過程でイメージアルバムから、曲の構成やアレンジが大幅に変更になるもの、映画本編では使用されない未使用曲、映画ストーリーに合わせて曲名が変更になる、といったことも起こりうることになる。イメージアルバムとは、映像がまだできあがる前に、音楽だけでその作品の世界観を表現した、原石のようなもの。

久石譲の場合、もちろんイメージアルバムからの未使用曲もあるが、イメージアルバム段階からの曲のクオリティーも高く、サウンドトラックと聴きくらべても、すぐにどの曲か連想できるほど、そのメロディーはイメージアルバムの時点でほぼ完成しているところは注目に値する。

サウンドトラックのほうは、本編ストーリーに合わせて音楽の尺(長さ)が変わってきたり、カット割りに合わせてのアレンジやフェードアウトなど、1曲まるまる聴くことはほぼできない。その点、イメージアルバムにおいては、1曲1曲が音楽として構成されているため、1曲あたり4-5分、かつイントロからエンディングまで起承転結に富んでいる。

これはイメージアルバム制作段階では、まだ映像ができていないことが多く、そのカット割りや映像シーンの長さもわからないという点ももちろんある。それゆえ1曲ごとの音楽完成型として表現されている。イメージアルバムでは、その楽器編成も自由なため、ある意味では映画とは違った広がりや奥ゆきのある世界観を楽しむことができる。

こういった予備知識をもとに、イメージアルバムを聴いていくと、より一層ひとつの音楽作品として楽しめるだけでなく、いかに貴重で贅沢なアルバムであるか、ということがわかる。映画は完成された本編が作品化されて親しまれるが、音楽においては、イメージアルバムとサウンドトラックなど、いろんな側面から作品の世界観を自由に楽しみ、それぞれのイメージをふくらませることができる。

 

 

 

イメージアルバム・ベストコレクション

「風の谷のナウシカ」
1.風の伝説
2.はるかな地へ (~ナウシカのテーマ~)
3.メーヴェ
4.王蟲
5.鳥の人 (~ナウシカのテーマ~)
「アリオン」
6.前奏曲 (プレリュード)
7.風・荒野 (メイン・テーマ)
8.運命の糸
9.魔宮
10.レスフィーナ
「天空の城ラピュタ」
11.鉱夫
12.フラプター
13.シータとパズー

作曲・編曲・演奏:久石譲

 

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