Disc. 久石譲 『映画 二ノ国 オリジナル・サウンドトラック』

2019年8月21日 CD発売

2019年公開映画『二ノ国』
製作総指揮/原案・脚本:日野晃博
監督:百瀬義行
音楽:久石譲
主演:山﨑賢人
主題歌:須田景凪「MOIL」

 

人気RPG『二ノ国』シリーズを長編アニメーション映画化!製作総指揮/原案・脚本:日野晃博(『レイトン』シリーズ )×監督:百瀬義行(『おもひでぽろぽろ』原画 )×音楽:久石譲という日本を代表するドリームメーカーが集結!オリジナルストーリーで描かれる劇場版の本作では、主人公“ユウ”の声を演じる山﨑賢人をはじめ、宮野真守、津田健次郎、坂本真綾、梶裕貴、山寺宏一といった声優ドリームチームの参加も決定!全世界が待望するアニメーション映画『二ノ国』が誕生する。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

ー久石さんはゲーム『二ノ国』から楽曲を担当されていますが、今回映画『二ノ国』の音楽をつくるにあたって、最初にどんなことを考えましたか。

久石:
多くの映画音楽は基本的には状況か、あるいは登場人物の心情に音楽をつけるのですが、僕はあまりそういう方法は取っていないんですよ。それよりも、観客側から客観的に見て、観客の心情を表現する音楽を作っている。だけど映画『二ノ国』はエンターテインメントな映画。こういう映画は、やはり物語の状況や心情に寄り添わないといけない。僕としては久しぶりに、物語に沿った音楽を書きましたね。

ー一ノ国で流れる曲と、二ノ国で流れる曲。具体的にはどのような違いがありますか。

久石:
一ノ国というのは私たちが暮らすのと同じような、現実世界。そこで流れる音楽は、室内楽のような小編成での演奏にしています。一方、二ノ国はファンタジーな異世界。ベーシックに、フルオーケストラでの演奏です。一ノ国と二ノ国で流れる音楽をきっぱりと分けるというのが基本。一ノ国と二ノ国で同じメロディを使っている場合もありますが、その場合も違うアレンジをしています。

ー映画だからこそできたこと、チャレンジされたことはありますか。

久石:
見ている方がワクワクするようにできたらいいなと思って、全体的にはパーカッションを使ってリズミックにしています。そこは僕にとってのチャレンジでしたね。ゲーム版のテーマ曲もさりげなく出していますから、ゲームファンの方にも楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。

ーレコーディングはいかがでしたか。

久石:
僕のレコーディングに参加する人たちは、オーケストラでは首席奏者クラスの人たちばかり。ミニマル・ミュージックに慣れている人たちもいて、非常に助かりました。日本のミュージシャンは本当にすばらしいですよ。ちゃんと音楽上でコミュニケーションを取れる人たちと取り組んだので、その場で生み出されたものもあった。楽しくレコーディングができました。

ー久石さんにとって映画音楽をつくるお仕事は、どういう意味合いがありますか。

久石:
エンターテインメントな作品に関わるとたくさんの人とコミュニケーションを取るので、新しい表現が生まれてくる。自分だけではやらないようなこともできたりする。そういう新しい発見があるから楽しいし、やめられないんですよね。映画音楽もコンサートもそれは一緒。僕にとって生きることと同じなんです。

ー久石さんの音楽を楽しみにしている方々にメッセージを音楽します。

久石:
今年の2月にパリでコンサートを行った時、フランスメディアのインタビューを受けましたが、みんな『二ノ国』のことを知っていました。「今度映画化されるんですよね。音楽を担当するんでしょう」と質問された。日本国内のみではなく、海外でも認知されているタイトルが、『二ノ国』。それが映画化されるということで、みんな期待を持っているんだなと感じています。

日本のみならず海外にも、この音楽が映画とともにみんなに聞いてもらえたら、僕にとっては何よりの喜びです。

Blog. 「映画「二ノ国」公式アートブック」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「今の自分のやり方ってどちらかと言うと非常にミニマル・ミュージック的なアプローチがすごく多いんです。ミニマル・ミュージックというのは、同じ音型を繰り返す。そういうやり方をしているから、今の自分のやり方だと、エンターテインメントの映画にはあまり合わないんですよね。普通ではお断りしちゃう仕事のひとつなんです。ですが、過去にゲームでいっぱい作ってきた音楽があったので、それとうまくバランスを取れれば、今までとは全く違う切り口・やり方の映画音楽になるかなと思って。その辺はちょっと意識しましたね」

本作の題材となったゲーム「二ノ国」シリーズの音楽も担当していた。その時々の楽曲制作に精一杯で過去のことはあまり考えないという久石は、10年前のゲーム音楽について聞くと「あの頃はこうやったんだなというのがわかります。今は同じやり方は全くしていないからね。頑張ってよく書いたなと思ったぐらいの感じですかね」とコメント。「(ゲーム版の)テーマはさりげなく出したりしています。そういうところは楽しんでもらえるのかなと思います」とゲームファンに向けて明かした。

Info. 2019/07/26 久石譲、音楽は「生きること」 映画『二ノ国』収録現場で語る (Webニュース2種より)より抜粋)

 

 

「まずゲームと映画はまったく違うものなので、やり方は変えています。ただ今回の映画はエンターテインメントな映画だったので、音楽のあり方も変えました。通常、映画音楽は映像を説明するような音楽、状況や登場人物の心情に音楽をつけるんですけど、僕は普段そういう方法を取ってないんです。観客側から客観的に見る方法を取ってるんですが、エンターテインメントな映画になればなるほど、状況や心情に寄り添わなければならないので、その意味で久しぶりに、そういう音楽を書きました。ただ、映画の製作側から、ゲームとはまったく違う音楽をつくってほしいと言われたんですが、それは根本的に間違っていると思ったのでそう答えました。ゲームであれ映画であれ『二ノ国』という世界観がひとたび出来上がると、ストーリーがどうであろうと、ベーシックな部分は一緒なんですよ。ある意味では、同じ曲を使ったほうがいいということもあります。だからこそ、そこは客観的に分析して、どこをどういう手法でやるか、それを考えました」

Blog. 「Men’s PREPPY 2019年9月号」映画『二ノ国』久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

【百瀬監督、製作総指揮/原案・脚本の日野氏からのコメント】

■監督 百瀬義行
壮大なオーケストレーションの中に、登場人物が揺れ動く繊細な心を汲み取った久石さんの音楽は、映画に新しい彩りを添えてくださいました。

■製作総指揮/原案・脚本 日野晃博
久石譲さんの音楽は、二ノ国の世界観を形成する最重要の要素です。
今回の音楽も、原作のゲームからさらに飛躍し、映画独自の世界観をカタチづくることに成功しています。二ノ国にいるときと一ノ国にいるときの、音楽性の違いなどにも注目ポイントです。
今回の映画二ノ国でもそうですが、久石さんのつくられる、感情に寄り添った音楽の流れは、映画音楽の神髄と言えると思います。

出典:映画『二ノ国』オフィシャルサイト|ニュース
http://wwws.warnerbros.co.jp/ninokunijp/news.html?id=186459891748

 

 

 

予告編・特報・PV動画などに使用されていた楽曲は、「2. おだやかな日常」「4. 二ノ国へ」「13. 空のランデブー」「15. 姫の心」「16. 仕組まれた入場」「24. 命をかけた戦闘」「25. 届かぬ思い」「33. 決着の時」「34. 別れ」 *特報のみゲーム版サウンドトラックから使用

 

録音は2019年5月23、24日アバコスタジオにて。おそらくフルオーケストラ編成楽曲を中心に行われいると推測する。Bunkamuraスタジオでは、小編成楽曲が録音されたのか、部分録り(楽器ごと)に使われたのか、日付ふくめて不明。

CDライナーノーツ・クレジットより、フルオーケストラ編成と室内楽の編成表がはっきりとわかることもうれしい。既存のオーケストラ楽団ではなく招集型であり、久石譲の音楽活動の線でいうと、FOC(フューチャー・オーケストラ・クラシックス)の流れをくむ方法になっている。FOCメンバーとの重複具合は細かく照合していないけれど、もちろん周知のメンバーも参加している。

フルオーケストラ編成と室内楽の奏者は一致していない(ピアノ除く)。室内楽ヴァイオリンは、FOCコンサートマスターの近藤薫さん。このあたりは、奏者が違うことで演奏の質をも分離したかったというよりも、どのリーダーを起点として招集をかけたかではないかと推測している。

 

 

2019.8.27 Update

映画観てサントラ聴いてレビュー。

全体をとおして。

「全体的にパーカッションを使ってリズミックにしている」(久石)とある、それは生楽器だけではなく打ち込みも含めた多彩なもの。新曲はもちろん、ゲーム版から使用された曲たちもパーカッションが強調・足されたもの多く、全体のトーンとしてうなずける。

CDクレジットでは室内楽のほうにシンセサイザーが明記されているけれど、フルオーケストラ楽曲でも使用されている。生楽器を基調としたなかで電子音のアクセントというつくり方になっている。また小編成は薄い、フルオーケストラは厚い、という凹凸感をあまり感じないことも特筆できる。小編成のカラフルな音色と、フルオーケストラの引き締まったソリッドな響きが、ふたつの対照的な編成をうまく均衡にしている。

映画本編106分、サウンドトラック盤52分とあるなか、実際には上映時間の2/3以上音楽が流れる印象がある。これは《収録曲のいくつかが複数回使用されている》《サントラ未収録の楽曲がある(新曲/既発ゲームサントラ)》がその理由。

「久しぶりに状況や心情に寄り添った音楽を書いた」(久石)とある、それは曲はもちろん音楽の当て込み方としても顕著で、この場面では・この状況では・この登場人物では・この組み合わせでは、というように、明快な音楽配置になっている。そのため、複数回登場する曲も多くなってくる。それが曲の一部を切り取った部分的なものであっても。

ゲーム版からの使用曲は、一曲のなかで2つ以上の原曲がつながったトラックも多い。映画の終わりエンドロールでメインテーマや主要テーマをメドレーのように組み立てて構成することは、久石譲の映画音楽にもあるけれど、本編のなかでここまで多用することは極めて珍しい。それゆえ『二ノ国』音楽にゲームから親しんできたファンにとっては、この曲もこの曲もとてんこ盛りなうれしさある、サービス旺盛な音楽構成になっている。

まとめると、エンターテインメント映画のためのエンターテインメント音楽、そんなアプローチに集約されている。

 

 

楽曲ごとに。

全35曲を細かくレビューはできないので、ピックアップして紹介していく。ゲーム版音楽から本作映画に使用されたものもあわせて紹介していく。理由はふたつ。映画版音楽を聴いて興味をもった人がゲーム版音楽にもふれて『二ノ国』音楽の世界を広げてほしいこと。もうひとつは、どのサウンドトラックから持ち出した曲が多いかを整理したかったこと。結果的には、『二ノ国 II レヴァナントキングダム オリジナル・サウンドトラック』が最も多く、それは映画とゲームの共通性というよりも、久石譲の作曲手法やスタンスが近しいため(2018年作品)違和感なく並べやすかったのかもしれない。

ゲーム版から使用された曲は、すべて新アレンジ・新録音になっている。下記【○○と同曲/○○と○○をつなげた曲】としか書いていないものもある。もちろん既出音源をそのまま使用したのではなく、この映画のために新アレンジ・新録音されたもの。また、同じメロディをもった曲でもサウンドトラックにはタイトル違いアレンジ違いで複数収録されていることがある。気に入った曲があったら、もっとほかのバージョンもあるのかもしれないと、ゲームサントラにも手をのばしてみてほしい。

ゲームをしていない人が書いているので、ゲーム版から持ち出された音楽が、映画で使用されたシーンと関連性があるのか、もしくは裏設定があるのか、などはわからない。そんななかでも曲名や使用場所からうっすら推察できるものもある。ゲーム版から『二ノ国』を楽しんでいる人には、おっ!という新しい発見もあるのかもしれない。

 

 

[ゲーム版]

 

 

1. 不思議なお爺さん
19. 異世界への旅立ち
31. 受け継がれるもの
ビー玉のような神秘的な音色と、3つの音符をつなげた短いモチーフが、楽器を替えながらゆっくりと交錯する曲。19. 31.も同じモチーフを使って展開していて、その上にたゆたうストリングスの調べが誘ってくれる。本作のなかでは客観的・俯瞰的な一歩引いた曲想、しっかりと今のスタンスも顔を出す。漂うようにずっと聴いていたい、主張しない音楽の好例といえる。映画では、数回使われていたり(どのトラックかの選別は難しい)、ループして長めに流れてもいたり。一ノ国と二ノ国の両方で使われていることからも、世界観を有機的につなぐ主要テーマ曲のひとつになっている。

 

2. おだやかな日常
ギターの弦をおさえて音程の出ないようにかき鳴らす、パーカッションのような使い方が風通しよい。後半は乾いた音色で小気味よく。この曲に限らず、ギターは一ノ国のコントラストや空気感を表現する大切な役割を果たしている。(この曲はこのあともう一度ふれている)

 

4. 二ノ国へ
26. 襲撃
4. 後半に聴くことができるのが、おなじみ『二ノ国』メインテーマ。(漆)(白)(レ) また26.でも聴かれる弦楽器とクラリネットのソリッドなかけ合いが、一種サクソフォーンの音色のようにも聴こえて新鮮。こういった組み合わせは、これまであまりなかったように思う。映画では、4.の前にサントラにはないバージョンが3-5分流れていた。かっこいいバージョンだったので収録されていないのがもったいない。26.の使いまわしではなかった印象はある、かけ合う弦楽器やクラリネットのフレーズが違っていたように思うから…。(もし違っていたらごめんなさい)

 

6. 酒場
アイルランドやケルトを思わせる賑わう街や人の光景。ティンホイッスル、ヴァイオリン、ギターにパーカッションと、まるで即興セッションのような躍動感と陽気さとちょっぴりの哀愁。とりわけベースがないことが素晴らしい。ベースがあることで曲としてきちっとした型ができあがる、土台のしっかりとした一曲ができあがる。だからここは、酒場の世界観につけたとも言えるし、酒場でたまたま演奏されていた状況内音楽、即興演奏のようなものをかたちにしたともとれる。もちろんそういった演奏シーンはない。音楽の位置づけ意味づけをふくらませることができる。ベースがないことがポイント。映画では、もっと長くループしていた。また、酒場のシーンではこの曲が流れるという設定、数回聴くことができる。

もうひとつ、「9. ネコ王国の城下町」(漆)でもティンホイッスルやパーカッションをベースにした曲があり、「25. ネズミ王国の城下町」(レ)はその変奏になっている。そして、「酒場」もまた同じメロディから派生、大きく変奏したバリエーションとみるととてもおもしろい。

”『二ノ国 レヴァナントキングダム』の主人公・エバンがエスタバニアをつくり、二ノ国にあった様々な国を統一する。それから数百年経過したのが映画『二ノ国』の世界、という裏設定がある”(公式情報より)…らしい。

 

7. 侵食する呪い
「5. The Horror of Manna」(白)と同曲。ゲーム版のほうが重厚にドラマティックに展開している。”昔とはやり方も違う”という久石譲の言葉を、音楽というかたちでしっかり体感できるかもしれない。使用される楽器、奏法やアクセントなど聴きくらべると、たとえそれが微細な違いであったとしても、言葉では抽象的になってしまうものをたしかに感じとれる。

 

8. エスタバニア城
16. 仕組まれた入場
今回、映画のために書き下ろされた新曲たちは、意外にもミニマル手法の曲がとても多い。そして、このような勇壮なミニマルを久石譲オリジナル作品として、1分や30秒ではなくたっぷりと聴いてみたい。これがもっと変化していったら、転調していったら、展開していったら、と想像するだけで高揚感が湧いてくる。

 

9. 疑惑
27. 悲しき過去
29. ガバラスとの戦い
33. 決着の時
同じモチーフで展開している。ここに記すのは33. 、冒頭に「7. 強大な魔法」(漆)が使われ、このモチーフが流れ、後半は『二ノ国』メインテーマ(漆)(白)(レ)をほぼ1コーラス聴くことができる。アレンジは(レ)をベースにしているけれど、合唱編成はないフルオーケストラ版、オーケストレーションも細かく異なる。数あるメインテーマのバリエーションがゲーム版からあるなか、新たなひとつ。

実は映画では、33. の『二ノ国』メインテーマはイントロ部分までしか流れない!映画には登場しないメインテーマ1コーラス。音楽収録ではフルサイズではないけれどメインテーマ単曲で録音されているはず。完成した映画の前後シーンからみたとき、当初通して使われる予定だったものがカットされたとは考えにくい。もしくは別の箇所で使う予定だったのか。いろいろ推察はできる…けれどここは! 『二ノ国』音楽ファンへ、しっかりメインテーマも収録してますよ、うれしいボーナストラック的ギフトとして楽しもう。(映画予告編で使用されたメインテーマは、この映画サントラバージョン)

 

10. 険悪なムード
この曲と「3. 忍び寄る危機」は同じ曲を基調としているのではないかと思っている。10.に聴かれるメロディを3. 頭のなかで当てはめるとぴたっとはまる。もちろん同じ一ノ国の世界につけられた曲ということもある。映画では、部分的ふくめて数回聴くことができる。

 

11. 募る思い
12. 思いがけない出会い
15. 姫の心
34. 別れ
今もってしてなお、こんなメロディを生みだしてしまうのか感嘆、と新旧すべての久石譲ファンうれしい一曲。メロディを奏でる楽器たち 11. ピアノ/12. フルート/15. 34. ヴァイオリン がスポットライトを浴びている。15. 34. サビのメロディと対旋律の流れも美しい。34.の終部には、「心のかけら」(漆)(白)のメロディが登場しゲームファンくすぐる演出になっている。映画では、11. 15. の1コーラスなども数回聴くことができる。

またこの曲の出だしメロディ2小節は、「2.おだやかな日常」のモチーフとしても使われている…と思っている。つまり、映画『二ノ国』にとっての主要テーマ曲であり、かつ、それは一ノ国(2.)と二ノ国(11. 12. 15. 34.)を有機的に結びつけている、かたちを変えてどちらの世界にも登場する曲。

 

13. 空のランデブー
「24. 果てしない空」(レ)と同曲。木管楽器の戯れが追加されただけでも気分はさらに飛躍する。テンポも違う、ピアノや打楽器の配置加減も違う。

 

14. 清めの舞
とりわけドビュッシーのような印象派的音楽を、ここまで大胆に自曲で表現したことはなかったかもしれない。映画というフィールドだからこそできた曲だと思うと、ついつい舞いのつづきを想像してしまう希少な一曲。

 

17. コロシアムの戦い
「8. 苦闘」(レ)「20. 命運をかけた戦い」(レ)をつなげた曲。

 

18. 決死の賭け
「2. クーデター」(レ)と同曲。重低感のあるパーカッションは映画版のほうがパンチ効いて、曲全体にあたえる重心も深い。

 

20. ふたつの道
25. 届かぬ思い
緊迫感や緊張感といったものを、オーケストラで表現するとこうなる、パーカッションを主体にするとこうなる、短いながらとても綿密に計算されている。間違ってもただパーカッションを追加したということにはなっていない。

 

21. 命のゆくえ
「21. 切ない思い出」(レ)と同曲。 

 

22. 黒の侵攻
「11. ボスバトル」(レ)と「5. 別れ」(レ)をつなげた曲。 

 

23. 激しい攻防
「20. 命運をかけた戦い」(レ)と「9. The Zodiarchs」(白)をつなげた曲。

 

24. 命をかけた戦闘
「11. 帝国行進曲」(漆)と同曲。

 

28. マリオネット
作品から飛び出すけれど、「2 Pieces for Strange Ensemble 1. Fast Moving Opposition」(『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』2017・CD収録)を思い出してしまったほど、久石譲の旬がつまったスタイル。あと5分でも7分でも、ズレながら変化しながらどっぷりと堪能したい、そんな一曲。映画では、フレーズが鋭く飛び交う部分と、リズム刻みだけになる部分が、シーンの切り替わりとリンクしていて、そのあまりにおさまりいいスムーズさに、ただただ脱帽。あっ、映像とのこういうシンクロの仕方、マッチングの仕方もあるんだな、と新たな一面を目撃した瞬間だった。

 

30. 守る覚悟
「5. アリー ~追憶~」(漆)「20. 奇跡 ~再会~」(漆)と同曲。映画版は曲の途中で終わっている。優麗にドラマティックに展開し、きれいに着地しているゲーム版もぜひ。

 

32. 伝説の勇者
「26. 守護神」(レ)と「19. 最後の戦い」(漆)をつなげた曲。

 

35. 似た者同士
旋律が追っかけてくるような手法、歌い出しが小節頭か裏拍かという変化。幹があって枝葉が豊かなように、源流とたくさんの小川があるように、大きな時間と小さな時間があるように。すべてのもののつながり。近年の久石譲にみられる新しいたしかな手法。『NHKスペシャル シリーズ ディープ オーシャン』や『プラネタリアTOKYO To the Grand Universe 大宇宙へ』(未音源・2019年8月現在)、そして2019年映画『海獣の子供』サウンドトラックでも、いろいろ趣向を凝らし存分に楽しむことができる。映画では、部分的に使わている箇所がもうひとつある。

 

 

映画使用曲
「10. 砂漠の王国の町」(漆)の一部、既発音源をもとにしながらも一風変わったかたちで使われている。ゲームを楽しんだ人なら、あの曲!とわかるほどのアラビア風な曲。映画サントラ未収録。

「15. 漆黒の魔導士ジャボー」(漆)の一部がおそらく既発音源のまま使用されている。映画サントラ未収録。

「17. 迷宮」(漆)の冒頭から一部。ただ自信がない。メモに【メランコリックな曲 ターンタタ+弦(漆)or(白)】と書いていたので、それをもとに聴きなおし。候補として「8. Sorrow」(白)とどちらかかなあと絞り込み、【ターンタタ】が決め手となって暫定的に。映画で流れた場所は「33. 決着の時」のあと。わかったら教えてください。

 

 

このように、映画版音楽はゲーム版からも多くの音楽が使用され、『二ノ国』ファンにとってはてんこ盛りのうれしい充実となっている。一曲ごとの分数が短く、もっと先を聴きたい、このまま続いてほしい、と思ってしまうのは映画サウンドトラックのジレンマ。

ゲーム版は映像や時間の尺に左右されない音楽作品として構成されているものも多い。とりわけ、『二ノ国 漆黒の魔導士 オリジナル・サウンドトラック』『Ni No Kuni: Wrath of the White Witch - Original Soundtrack』は、曲ごとにしっかり起承転結で展開する作曲方法をとっている。映画サウンドトラックからゲームサウンドトラックへ好奇心を広げると、お気に入り曲との楽しい出会いもきっとある。

また、楽曲をフラットに並べてみたことで、映画のための新曲が決してエンターテインメントに寄りすぎていない、今の久石譲のスタイルを貫いたものも多い、そんなこともわかった。音楽制作にあたりすべてのゲーム版音楽を聴きなおし、映画への可能性を吟味し、10年前に書いたものと今書くものが並列する。『二ノ国』の世界観を継承し、新たな一面もみせる。

『二ノ国』という作品、2010年ゲームから2019年映画まで、それぞれに新しい世界観で音楽をつけている、あわせて4枚のCDリリースは、久石譲の音楽活動のなかでも稀なほど長期的に携わっている作品。いつかコンサートでも壮大な組曲を聴いてみたい。第2組曲、第3組曲、、夢は果てしない。

 

 

 

 

1. 不思議なお爺さん
2. おだやかな日常
3. 忍び寄る危機
4. 二ノ国へ
5. 未知なる異世界
6. 酒場
7. 侵食する呪い
8. エスタバニア城
9. 疑惑
10. 険悪なムード
11. 募る思い
12. 思いがけない出会い
13. 空のランデブー
14. 清めの舞
15. 姫の心
16. 仕組まれた入場
17. コロシアムの戦い
18. 決死の賭け
19. 異世界への旅立ち
20. ふたつの道
21. 命のゆくえ
22. 黒の侵攻
23. 激しい攻防
24. 命をかけた戦闘
25. 届かぬ思い
26. 襲撃
27. 悲しき過去
28. マリオネット
29. ガバラスとの戦い
30. 守る覚悟
31. 受け継がれるもの
32. 伝説の勇者
33. 決着の時
34. 別れ
35. 似た者同士

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi

Orchestration by Chad Cannon, Joe Hisaishi

Performed by
Except Track-1, 2, 3, 6, 9, 10, 11, 19, 26
Flute:Hirioshi Arakawa
    Misao Shimomura
Oboe:Ami Kaneko
    Masato Satake
Clarinet:Soushi Nakadate
      Kei Kusunoki
Bassoon:Mariko Fukushi
       Masashi Maeda
Horn:Yoshiyuki Uema
    Hirofumi Wada
    Kazune Fukae
Trumpet:Takaya Hattori
       Homare Onuki
Trombone:Shinsuke Torizuka
Bass Trombone:Koichi Nonoshita
Tuba:Nana Ishimaru
Timpani:Tadayuki Hisaichi
Percussion:Mitsuyo Wada
      Keiko Nishikawa
      Nanae Uehara
Harp:Yuko Taguchi
Piano/Celesta:Febian Reza Pane
Strings:Manabe Strings

Track-1, 2, 3, 6, 9, 10, 11, 19, 26
Clarinet:Hidehito Naka
Percussion:Akihiro Oba
Piano:Febian Reza Pane
Synthesizer:Naoko Imamura
Guitar:Go Tsukada
Violin:Kaoru Kondo
Cello:Sin-ichi Eguchi
Tin Whistle:Akio Noguchi (Track-6)

Recorded at Avaco Studio, Bunkamura Studio
Mixed at Bunkamura Studio
Recording & Mixing Enginner:Suminobu Hamada
Derector & Manipulator:Yasuhiro Maeda

and more…

 

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