Disc. 久石譲 『Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲』 *Unreleased

2018年8月9日、「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」にて世界初演。

 

アメリカのアカデミー賞長編アニメーション賞を獲った作品で、海外からも一番これを演奏してほしいという要望が強いんですよね。すごく強いのですが、なぜかチャレンジをずっと避けていた曲なんです。今年本格的に取り組んでみて、思った以上に激しい曲が多くて驚きました。人間世界から異世界に迷い込んで、千尋という名前が千に変わり、両親が豚に変えられたりする中で、様々な危機が来る。当然、音楽も激しくなるわけです。一方でこの作品には「六番目の駅」に代表されるような、現実と黄泉の世界の狭間が色濃く表現されている。宮崎さんが辿り着いた死生観が漂っている気がします。でもだからこそ生きていることが大事なんだ、ということをちゃんと謳っている。その思いが伝わればいいなと思っています。

久石譲

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・パンフレット より)

 

 

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 【AB】
今年のW.D.O.は“あの夏へ”がやってくる。──このキャッチコピーのとおり、目玉となるジブリ交響作品化シリーズ第4弾。2001年映画公開年に組曲化した「Super Orchestra Night 2001」収録版を遥かに超える完全版が巨大な姿を現しました。多種多彩な音楽を盛り込んだオリジナル・サウンドトラック盤から、ストーリーにそって展開される組曲。「あの夏へ」「夜来る」「神さま達」「湯屋の朝」「底なし穴」「竜の少年」「カオナシ」「6番目の駅」「ふたたび」「帰る家」映画のシーンを象徴する10楽曲です。今、このサントラ楽曲たちをプレイリストで一気に流してみても圧巻ですが、フルオーケストラ版でヴァージョンアップした組曲は、まさにオーケストラのフルスペック。映像化・音源化されるその日まで多くを語ることができません。海外からも一番要望の強い作品、きっとこれを聴いたら度肝を抜かれでしょう。

強く思ったこと。ファンタジー音楽の金字塔。たとえば『ハリーポッター』が西洋ファンタジーをうまく表現していたときに、『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジーとして誇れるものです。映像と音楽を切り離しても『ハリーポッター』は西洋ファンタジー音楽の魅力がつまっています。同じように『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジー音楽の象徴のようです。これってすごいことだな、と改めて思ったわけです。ファンタジーならではの夢・異世界・冒険・活劇・希望。ここに日本やアジアのエッセンスを見事に盛り込んでファンタジー音楽にしている。日本のアニメーションはすごいと言われます。でも、あえて言うなら、もっと大きな枠でファンタジーと言ってもいいんじゃないか。海外からも一番要望の強い作品、それは宮崎駿作品だから、日本アニメーションだから、それだけかな、ファンタジーとして評価されているんじゃないかな。そして久石譲が築きあげた音楽は、東洋ファンタジー音楽の象徴として熱望されているんじゃないかな。実写やアニメーションという枠をとっぱらって。そんなことを強く思いました。だから僕は、『千と千尋の神隠し』音楽はファンタジー音楽の金字塔、と言いたい。

”あの夏へ”にはじまり”あの夏へ”におわる。久石譲ピアノにはじまり久石譲ピアノにおわる。”One Summer’s day”のメロディは世界中のファンをうっとり魅了します。ピアノの音がゆっくり空気に包まれていく余韻まで、久石譲が鍵盤から指をはなして静止した数秒間まで。日本の”間”をたっぷりと感じとってほしいエンディングです。

 

久石譲 『千と千尋の神隠し サウンドトラック』

 

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

『Spirited Away Suite』
今回のコンサートの目玉。「千と千尋の神隠し」組曲です。まず、サントラの曲名で構成を報告します。「あの夏へ(弾き振り)→夜来る→神さま達→湯屋の朝→底なし穴→竜の少年→カオナシ→6番目の駅(弾き振り)→ふたたび(指揮のみ)→帰る家(弾き振り)→One Summer’s Dayの終結部」という構成でした。

久石さんの分散和音から始まる『あの夏へ』。後半はあの世界へといざなうドライブのシーンもオーケストラで完全再現です。いままでコンサートで披露されてこなかった楽曲もふんだんに取り入れられていて、圧倒されました。『カオナシ』までもが完全再現で演奏されとは思いませんでした。大迫力です。これまでの交響組曲の中でも久石さんがピアノ演奏する場面もかなり多かったです。『6番目の駅』での不安を表すようなアルペジオと浮遊感のあるメロディ。とても繊細でした。『ふたたび』でフィナーレかな?と思ってましたが、まさか『帰る家』まで組まれているとは思いませんでした。『あの夏へ』と『帰る家』は同じメロディですが、映画を見ても思いますが、全然雰囲気が異なる印象を受けてしまいます。最初では不安とさみしさを感じさせるのですが、最後では思い出と希望を持ち帰る感じがします。それを今回の生演奏でも感じられて感無量でした。そして最終的に『One Summer’s Day』のアウトロに結びつきました。今回もかなりのクオリティの交響組曲に仕上がっていて、かなり感動しました。

Overtone.第18回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・レポート by ふじかさん より抜粋)

 

 

 

Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『交響組曲「天空の城ラピュタ」』

2018年8月1日 CD発売

「天空の城ラピュタ」が壮大なシンフォニーに生まれ変わった。
海外でも絶賛された「ASIAN SYMPHONY」とのカップリングによる至高の作品集。

(CD帯より)

 

昨年、国内5都市と韓国ソウルにて開催された「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」コンサートツアーで初演された、2大作品が待望のCD化。

【1】Symphonic Suite “Castle in the Sky”(交響組曲「天空の城ラピュタ」)
宮崎駿監督作品『天空の城ラピュタ』のサウンドトラックを約30分におよぶ壮大な交響組曲として蘇らせた。「ハトと少年」「君をのせて」「大樹」など、映画を彩る名曲たちが、ラピュタの世界へ誘います。

【2】ASIAN SYMPHONY(全5楽章)
2006年に発表された「アジア組曲」をもとに再構成。新たな楽章を加え、全5楽章からなる約30分の組曲として、メロディアスなミニマル作品に生まれ変わりました。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

アルバムに寄せて

このアルバムは2017年8月2日から16日まで国内5都市と韓国ソウル(2回公演)を巡ったコンサートツアー「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」で初演されたSymphonic Suite “Castle in the Sky”(交響組曲「天空の城ラピュタ」)とASIAN SYMPHONYを収めている。ファン待望の内容といえよう。

ところで、不思議なことがあるものだ。このところ書庫の雑物を始末しているのだが、その中に、久石譲グループが出演している西武美術館コンサート’78『現代音楽の変容』のチラシと六本木の俳優座劇場でのムクワジュ・アンサンブル・ファースト・コンサートのそれこそチラシを三つ折りしたような簡素なプログラムが混ざっていた。荒瀬順子の奏するマリンバ”ミトラ”の独特なうなり音を思い出しながら、何とはなしに横に除けておいた。そうしたら3日も経たないうちにこのCDの原稿依頼の電話を頂戴したのだった。

ファンの方はご存じだろうが、久石譲は70年代後半ミニマル・ミュージックの作曲と演奏に取り組んでいた。今は存在しない西武美術館コンサート・シリーズへの出演はその当時の記録である。そうした彼のレコード・デビューは1981年に作曲とプロデュースを手掛けたアルバム『MKWAJU』のLPであった。同年6月24日の旧俳優座劇場コンサートは、LPの発売記念を兼ねて演奏の中心メンバーであった荒瀬順子・定成庸司・高田みどりのパーカッション・トリオが「ムクワジュ・アンサンブル」の名前で催したものである。

もう40年近くも経っている。なんとも懐かしいとしか言いようがなかった。

俳優座劇場のプログラムに掲載されている久石譲の挨拶文には、「…まだ名前もついていないこのグループと僕は、新しいアンサンブルを作る事を話し合っていた。『20世紀に於ける音楽の大きな特徴はアフリカを中心としたリズムである。しかるにクラシックでは、19世紀の古びた感覚のままリズムをないがしろに…』などと話しつつ、僕はこのアンサンブルの必要性を説いた。」とあって、アフリカないしアフロ・リズムへの当時抱いていた強い関心のほどを示している。確かに、美術館コンサートの演目には『アジア・ダンス』というガーナ音楽が含まれているし、LPのタイトルピースである”MKWAJU”(ムクワジュ)とは、アフリカ原産の常緑樹タマリンドのスワヒリ語というから、アフリカへのこだわりが良く出ている。

もうひとつ興味ぶかいのは、この挨拶文の最後の方で、LPとコンサートの音の様相との違いに触れている個所である。「レコードでは僕が今最も望んでいる音の状態として、よりポップな世界に仕上げているが、コンサートでのMKWAJU、Pluse In My Mindは、昨年最初に作曲した段階でのオリジナルコンセプトをそのまま例示する形で演奏される事になる。どうか聞き比べてみてください。」とある。たしかにLPでは、上記のトリオ以外にペッカーのラテン・パーカッションや久石自身のキーボード、さらには当時YMOのコンピュータ・プログラマーを務めていた松武秀樹も参加しており、ポップな感覚での処理が際立っている。このポップな世界への急接近がこのアルバムであったことは間違いない。

この美術館コンサートのチラシとムクワジュ・アンサンブル・ファースト・コンサートのプログラムを手にしながら、今回のアルバムを聴いて、いろいろと感ずるところがあった。なかでも、確かなことは、”MKWAJU”以降の転身先であるポップス界に於いて大きく青々と枝葉を広げた久石譲の存在感の大きさである。それと同時に、彼が自分の音楽的出自にしっかりと根を張って、いわばミニマル・ミュージックを自分にとっての飛行石のような大事な宝ものとして抱きかかえている姿であった。

重ねていえば、樹高20メートルに達するという常緑高樹ムクワジュは、ラピュタの大樹を思わせるが、同時に音楽家としての久石譲そのものにも思われた次第である。

 

Symphonic Suite “Castle in the Sky”
(交響組曲「天空の城ラピュタ」)

1960年代から70年代初めのアメリカでは、人種問題の複雑化、ベトナム戦争の泥沼化、公害問題の深刻化など、行き詰まりを見せる社会の支配文化に敵対し、反逆するカウンター・カルチャーの波が起こった。相似た状況は日本にもあったわけだが、全般的には支配体制への反逆、抵抗、異議申し立て、社会的逸脱から生み出された思想、価値観、ライフスタイルは、未来への展望を生み出すことはなかった。

しかし「科学がまだ人を不幸にするとは決まっていないころ、そこではまだ世界の主人公は人間だった」という人間に対する、あるいは人間を含む生命ある世界そのものの価値や意義を前提とする宮崎駿の冒険物語は、時代批判と過去への反省を込めながら、次世代のあるべき姿や心に描くべき夢を語っている。

1986年に公開されたスタジオジブリ作品、監督宮崎駿、音楽久石譲の映画『天空の城ラピュタ』は、まさしく方便でない正義、遊びでない愛、通貨に換算されぬ宝、そして発見の驚きや新しい出会いを、あるいは希望を熱く語り、自己犠牲や献身をとおして絆を深めてゆく冒険物語であり、久石譲の音楽も、古典的な骨格を備えてとてもシンフォニックなものである。てらいなく朗々と、あるいは心に染むように情緒深く、さらには軽やかに伸びやかに、そして堂々と要所要所で、映像とコラボレートする見事なものである。

映画のサントラ盤は同年8月に挿入歌「君をのせて」を含めたLPが、9月にCDが発売された。この好評を受けて、全8曲をシンフォニー化した「天空の城ラピュタ シンフォニー編 ~大樹~」のLPが同年12月に、翌年1月にはCDが発売された。さらに映画『天空の城ラピュタ』の評価は国際的なものとなり、2002年10月には北米での英語吹替版に合わせたニュー・サントラアルバム「Castle in the Sky ~天空の城ラピュタ・USAヴァージョン・サウンドトラック~」が発売された。

このSymphonic Suite “Castle in the Sky”(交響組曲「天空の城ラピュタ」)は、Symphonic Poem NAUSICAÄ 2015(交響詩「風の谷のナウシカ」)、Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE(交響組曲「もののけ姫」)に続くスタジオジブリ交響作品化プロジェクトの第3弾に当たるもので、前述の3つのスコアを参照したうえで、構成されており、以下のような展開となっている。

01. Doves and the Boy ~ The Girl Who Fell from the Sky / ハトと少年~空から降ってきた少女
シンフォニー編のプロローグ。パズーの毎朝の日課はトランペットで「朝の曲」を奏でてからハトにパンくずをあげること。このトランペットから組曲は始まる。物語の中では、シータがパズーに助けられた翌朝、トランペットの音で彼女が穏やかに目覚めるシーンで奏でられる。「空から降ってきた少女」はいうまでもなくメインテーマである。

02. A Street Brawl ~ The Chase ~ Floating with the Crystal / 愉快なケンカ~追跡~飛行石
パズーが暮らすスラッグ渓谷の住民とドーラ一家のケンカとトロッコ列車を舞台にしたドーラ一家とシータたちの追いかけっこ。シンフォニー編の「大活劇」。アメリカ版のA Street BrawlとThe Chase。そして飛行石に救われるパズーとシータ。

03. Memories of Gondoa / ゴンドアの思い出
シンフォニー編では「母に抱かれて」のサブ・タイトルがある。物語の最後の方、シータがムスカに追い詰められて玉座の間で言ったセリフと「ゴンドアの谷の歌」が科学力を極めたラピュタが滅亡した理由を物語っている。

04. The Crisis ~ Disheartened Pazu / 危機~失意のパズー
サントラ盤の「ゴンドアの思い出」、ラスト部分。迫り来る危機。ムスカに囚われたパズーはラピュタの探索を諦めるようシータに言われて失意の中、要塞を去っていく。アメリカ版のDisheartened Pazu。

05. Robot Soldier ~ Resurrection – Rescue ~ / ロボット兵(復活~救出)
アメリカ版のRobot Soldier ~Resurrection – Rescue~。ラピュタ人が作った「兵器」だが、あくまで「自分を持たない忠実で無垢な存在」。

06. Gran’ma Dola
シンフォニー編。欲望を隠すことなく、またなりふり構わず突き進む魅力的な悪人である空中海賊ドーラ一家のバアさま。物語の後半ではパズーとドーラは一族の母艦であるタイガーモス号の乗員となる。

07. The Castle of Time / 時間(とき)の城
サントラ盤の「天空の城ラピュタ」の後半部。

08. Innocent
「空から降ってきた少女」のピアノ独奏版である「Innocent」をほぼ使用している。作曲家自身のとてもしっとりとした演奏が味わえる。

09. The Eternal Tree of Life / 大樹
アメリカ版のThe Eternal Tree of Lifeのオーケストレーションを採用している。いうまでもなくラピュタの庭園の大樹。ラピュタを浮上させていた飛行石の巨大な結晶体はこの大樹の根に囲まれており、シータとパズーの唱えた滅びの言葉「バルス」によって城は崩壊するが、大樹とその大樹に支えられて残った城の上層部はさらに高度へと上昇しながら飛び去って行く。

 

ASIAN SYMPHONY

ミニマル・ミュージックの誕生は、いずれも1930年代後半生まれのラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラスなどのアメリカの作曲家たちに帰せられる。伝統を背負ったヨーロッパでなくアメリカの民俗音楽研究やサブ・カルチャーに出自をもつ音楽家たちであったことが重要である。

日本におけるミニマル・ミュージックの受容は、1968年の第2回「オーケストラル・スペース」でライヒの『ピアノ・フェイズ』、1970年の大阪万博鉄鋼館でのライリーの『イン・C』の演奏紹介に始まるが、1977年にはライリーが初来日し、狭山湖のユネスコ村で真夜中の2時ころから明け方まで、電子オルガンで長大なドローンに載せた即興演奏を繰り広げた。注)久石も当時その会場で聴いていた。

少なくともそれまでの現代音楽に聴くことのできなかった単調な音型やリズム・パルスの反復と心地よいハーモニーの同居。それはそれは新鮮に聴こえたものであった。創作の上でのミニマル・ミュージックの日本的受容も70年代には顕著なものとなっていた。

もちろん『ピアノ・フェイズ』を最初に紹介した一柳慧(1933~)の『ピアノ・メディア』(1972)のような、年長組の例もあるが主体は、本場の創始者たちのちょうど一回り下の、戦後生まれの1940年代後半から50年代前半の世代にあった。ロック世代でもあるし、アフリカ開放をうたうミンガスやローチの思想的ジャズの流行に心躍らせたりした世代でもあるし、ちょうど日本における民族音楽のフィールドワーク研究成果が盛んに紹介されるようになった時期に出合った世代でもある。

それぞれ背景も作風も目指した方向も異なったが『リタニア』(1973)の佐藤聰明(1947~)、『線の音楽』(1973)の近藤譲(1947~)、『ムクワジュ』(1981)の久石譲(1950~)、『ケチャ』(1979)の西村朗(1953~)等々、いずれも国際的な評価を受ける日本の代表的作曲家となったことは、嬉しいことである。

この久石譲の新作ASIAN SYMPHONYのベースとなっているのはソロ・アルバムの「Asian X.T.C.」(2006年発売)の収録曲である。このアルバムはメロディアスな前半6曲を陽side(Pop side)とし、ミニマル色を強く打ち出した後半4曲を陰side(Minimal side)に分けている。この後半に収録されていたアンサンブル編成の4曲は、その後フルオーケストラ編成に拡大されて2006年から2007年のアジアツアーにおいて「Asia組曲」として披露された。このASIAN SYMPHONYは新たに1曲(映画『花戦さ』の赦しのモティーフ)を加え、配列も新たに整えて全5楽章構成の交響曲として完結させたものである。なかでも1・4・5楽章は、リズム操作とオーケストレーションとで聴きごたえある作品となっている。

石田一志(音楽評論家)
2018年6月16日

(アルバムに寄せて ~CDライナーノーツより)

 

*CDライナーノーツ 英文併記

 

 

CDライナーノーツで紹介された1978年当時のコンサートチラシ (参考資料として)

 

 

 

久石譲コメント

最後に「天空の城ラピュタ」について。先日高畑勲監督と『かぐや姫の物語』の上映前にトークイベントをおこなったのですが、このラピュタについての話題がもっとも長かった。それだけ思い入れがあったわけです。考えてみれば宮崎監督、高畑勲プロデューサーという両巨匠に挟まれてナウシカ、ラピュタを作っていたわけですから、今考えれば恐ろしいことです。

今回すべてのラピュタに関する楽曲を聴き直し、スコアももう一度見直して、交響組曲にふさわしい楽曲を選んで構成しました。約28分の組曲ができました。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」 コンサート・レポート より)

 

 

「主題歌を作るときに宮崎監督からいただいた詩がありました。ただちょっと文章(の文字量)が足りなかったりして、それを高畑さんと2人で、メロディーにはめていく作業を何日もやりました。ですから今、世界中の人に歌ってもらっている『君をのせて』という曲は、宮崎さんと僕と、実は高畑さんがいなかったら完成しなかった曲です」

Info. 2018/05/15 「高畑勲 お別れの会」三鷹の森ジブリ美術館で開かれる より)

 

 

2018年5月開催「JOE HISAISHI IN CONCERT」にて香港初演。以下久石譲コメント。

Castle in the Sky は1986年に製作された映画で宮崎さんとのコラボレーションは2回目の作品です。プロデューサーは「ナウシカ」に続いて高畑勳氏でした。考えてみれば両巨匠に挟まれて作っていたわけですから、今考えれば大変恐ろしいことです(笑)。

主題歌の「君をのせて」は多くの人々に歌われ、親しまれ作曲者としては嬉しい限りです。31年後の2017年、僕と新日本フィルハーモニーが主催 する World Dream Orchestra のコンサートのために交響組曲として再構成しました。

その際にすべての楽曲を聴き直し、スコアももう一度見直しました。原作の持つ夢への挑戦と冒険活劇的な要素を活かしたとても楽しい約28分の組曲ができました。

曲目解説:久石 譲

(JOE HISAISHI IN CONCERT コンサート・パンフレット より)

 

 

ASIAN SYMPHONY 軌跡

2006年5月10日開催「「名曲の旅・世界遺産コンサート」〜伝えよう地球の宝〜」のために書き下ろされ、同コンサートにて「Asian Crisis」がオーケストラ作品(二管編成)として初演。

2006年8月10日開催「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ サイコ・ホラーナイト 一日だけのスペシャルコンサート 真夏の夜の悪夢」においても演奏され、三管編成へと再構築されている。

2006年10月4日発売オリジナル・ソロアルバム『Asian X.T.C.』では、「Asian Crisis」他アジアをテーマとした楽曲が多数収録される。編成はバラネスク・カルテットやパーカッションなどによるアンサンブル構成。

同アルバム収録曲から選ばれたアジアン・ミニマル楽曲、2006年からの「アジアツアー2006」を経て、2007年3月5日開催「アジアオーケストラツアーファイナルコンサート」まで、オーケストラ作品として披露された4曲「Dawn of Asia」「Hurly-Burly」「Monkey Forest」「Asian Crisis」を総称して《アジア組曲》と呼ばれている。(=久石譲自身がそう名付けている)

 

 

「タイトルは『Asian Crisis』。この楽曲を作曲していた久石は実に楽しんで作曲していた。不協和音ギリギリの官能的な楽曲に細かい作業が続き、体力の限界にもかかわらず、終始笑顔が絶えなかった。去年は、「『D.E.A.D.』、今年はこれが出来たからもういいや」という声が出るくらい出来上がりに満足していた。「6分前後だけど、本当は12分前後の曲だな」とも言っていた。~(略)~”危機(Crisis)の中の希望”と久石がいっていた通り、核心に迫るような、官能的なイメージが頭をよぎる。」

(名曲の旅・世界遺産コンサート レポートより ファンクラブ会報 JOE CLUB 2006.6)

 

 

2007/3/5 東京・サントリーホール with 新日本フィルハーモニー交響楽団

「ピアノソロコーナーの後はアルバム『Asian X.T.C』の中から。「Dawn of Asia」、続いて「Hurly-Burly」「Monkey Forest」と、勢いのある3曲が続きました。駆け上がるようなフレーズがたたみかけるように続くのが特徴的なこの「Dawn of Asia」、実はリハーサルで最も時間を割いた曲なのです。続いての「Hurly-Burly」は遊び心満載な楽曲です。オリジナルはサクソフォーンが印象的でしたが、オーケストラバージョンも更に力強く、題名のとおり大騒ぎを物語る作品になりました。弦楽器だけという編成で演奏された「Monkey Forest」、テンポも速いし、複雑なリズム。他の楽曲にも増してしっかりと指揮をしなくては、と、久石は本番前に構えていました。「Asian Crisis」、後半に行くにつれての緊張感は圧巻でしたね。」

(久石譲 アジアオーケストラツアー ファイナルコンサート レポートより ファンクラブ会報 JOE CLUB 2007.6)

 

 

久石譲コメント

「ASIAN SYMPHONY」は2006年におこなったアジアツアーのときに初演した「アジア組曲」をもとに再構成したものです。新たに2017年公開の映画『花戦さ』のために書いた楽曲を加えて、全5楽章からなる約28分の作品になりました。一言でいうと「メロディアスなミニマル」ということになります。作曲時の上昇カーブを描くアジアのエネルギーへの憧れとロマンは、今回のリコンポーズで多少シリアスな現実として生まれ変わりました。その辺りは意図的ではないのですが、リアルな社会とリンクしています。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」 コンサート・レポート より)

 

 

本作に収録された2大作品のレビューは、コンサート・レポートに瞬間を封じ込め記した。

 

 

本作は、初演されたコンサートからのライヴ・レコーディングではなく、CD化のために改めてセッション・レコーディングが行われている。コンサートを経てスコアに修正が施された箇所もある。臨場感と緻密な音づくりを極めたクオリティ、圧巻と貫禄のパフォーマンス、作品完成度を追い求めここに極めた渾身のCD作品化。満を持して世に送り届けられる。

 

 

久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
交響組曲「天空の城ラピュタ」

Joe Hisaishi & New Japan Philharmonic World Dream Orchestra
Symphonic Suite Castle in the Sky

Symphonic Suite “Castle in the Sky”
01. Doves and the Boy ~ The Girl Who Fell from the Sky
02. A Street Brawl ~ The Chase ~ Floating with the Crystal
03. Memories of Gondoa
04. The Crisis ~ Disheartened Pazu
05. Robot Soldier ~ Resurrection – Rescue ~
06. Gran’ma Dola
07. The Castle of Time
08. Innocent
09. The Eternal Tree of Life

ASIAN SYMPHONY
10. I. Dawn of Asia
11. II. Hurly-Burly
12. III. Monkey Forest
13. IV. Absolution
14. V. Asian Crisis

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by New Japan Philharmonic World Dream Orchestra, Yasushi Toyoshima (Concertmaster)
Solo Piano by Joe Hisaishi (Track-08)

Recorded at Sumida Triphony Hall, Tokyo (April 6th, 2018)

Symphonic Suite “Castle in the Sky”
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon, Joe Hisaishi

Recording & Mixing Engineer:Suminobu Hamada (Sound Inn)
Assistant Engineer:Hiroyuki Akita
Mixed at Bunkamura Studio
Mastering Engineer:Shigeki Fujino (UNIVERSAL MUSIC)

and more…

 

Disc. 久石譲指揮 ナガノ・チェンバー・オーケストラ 『ベートーヴェン:交響曲 第7番&第8番』

2018年7月18日 CD発売

精鋭メンバーが集結した夢のオーケストラ!ベートーヴェンはロックだ!!

音楽監督久石譲の呼び掛けのもと、長野市芸術館を本拠地として結成された「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」は、日本の若手トッププレーヤーが結集し、ダイナミックで溌剌としてサウンドが魅力のオーケストラです。2年で全集完成を目指すベートーヴェン・ツィクルスは、作曲家ならではの視点で分析した、”例えばロックのように”という、かつてない現代的なアプローチが話題となっています。さまざまな異なる個性が融合し、進化を続ける久石譲とNCOのベートーヴェンをどうぞお楽しみください。

(CD帯より)

 

 

リズムとカンタービレの共存 柴田克彦

本作は、第1番&第3番「英雄」、第2番&第5番「運命」に続く、久石譲指揮/ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)のベートーヴェン交響曲シリーズの第3弾。長野市芸術館を本拠地とし、久石が音楽監督を務めるNCOは、在京オーケストラの首席奏者を多く含む国内外の楽団やフリーの奏者によって構成されている。彼らは、ホール開館直後の2016年7月から2018年7月にかけて、ベートーヴェンの交響曲の全曲演奏(全7回)及びライヴ録音を行っており、本作には2018年2月12日の第6回定期の2演目が収録されている。

当シリーズにおける久石のコンセプトは、「作曲当時の小回りが効く編成で、現代的なリズムを活用した、ロックのようなベートーヴェン」。弦楽器の編成(本作)は、ヴァイオリンが全体で16名、ヴィオラが6名、チェロが4名、コントラバスが3名とかなり絞られている。久石とNCOは、これを生かしたソリッドな響きで、細かな音の綾を浮き彫りにしながら、推進力と躍動感溢れる演奏を聴かせてきた。

さて第7番と第8番は同時期の作。サイズや曲想こそ違えども、リズムが強調されている点、純粋な緩徐楽章がない点など、双生児的な面をもっている。共にいわば”ビートが効いた、停滞しない音楽”だ。久石は当初から「ロックやポップスを聴いている今の奏者は皆リズムがいい。そのリズムを前面に押し出した強い音楽をやれば、物凄くエキサイティングなベートーヴェンになる」と語っていたし、これまでの演奏からみても、彼らのアプローチに最も適した作品であるのは間違いない。

実際に聴くと、まさしくその通り。快速テンポでビートの効いた躍動的な演奏が展開されている。だがここで重要なのは、第7番では”カンタービレ”、第8番では”ユーモアや和み”との共生が成就されていること。ベートーヴェンが狙ったのは、そこではなかったか? 本公演前、NCOのコンサートマスター・近藤薫(東京フィルでも同職にある)に話を聞いた際、「久石さんは、流行や世が求めるアプローチよりも、ベートーヴェンが交響曲で何をしたかったのか?との視点で考えている。作曲家ゆえに、音符を通して対話し、構造を読み解こうとしているように思う」との旨を語っていた。本作を聴くと、この言葉を思い出す。

もう1つ感心させられるのは、奏者たちの生き生きとした反応と積極性だ。短いフレーズの応答や合いの手における絶妙な会話と相まって、全体に覇気が漂っている。特に木管楽器の存在感が抜群。オーボエの荒絵理子(東響首席)をはじめとするNCOメンバーの妙技も、本作の魅力の1つだ。

第7番は、第1楽章の遅い序奏部からすでに駆動力が示され、何かが起こりそうな予感が漂っている。主部に入ると、「ターン・タタン」の基本リズムが明確に描かれ、前向きに進みながらも、音楽の流れはしなやかだ。この”リズムはくっきり、フレージングはなめらか”は、全曲に亘る特徴でもある。第2楽章は精妙なダイナミクスで奏される弦楽パートの室内楽的な絡み合いが見事。しかも「アレグレット」の歩調はキープされている。第3楽章は溌剌と進行し、トリオもレガートだが停滞はしない。第4楽章は超速テンポの畳み込みが凄まじい。「タンタカタン」のリズムや細部の動きは明瞭で、終盤のバッソ・オスティナートも通常以上の凄みを発揮する。

第8番の第1楽章は軽やか且つ力強い。ここもリズムが明確で、ティンパニ等の強烈なアタックも耳を奪い、圧倒的な推進力が第7番と双生児たることを明示する。第2楽章は木管の瑞々しい刻みとしなやかな弦楽器群の対比が絶妙。第3楽章は流動的な運びに添えられるアクセントが効果的で、ホルン2本を筆頭にしたトリオの美しさも特筆される。第4楽章はむろん軽快だが、やはり細部まで入念に表出され、勢い任せになることはない。

”爽快なエネルギーと高揚感”に充ちた本作を聴くと、残る3曲への期待がいやが上にも膨らむ。

(しばた・かつひこ)

(CDライナーノーツより)

 

※諸石幸生氏による3ページにわたる曲目解説は割愛。詳細はCD盤にて。

 

 

 

 

[ベートーヴェン・ツィクルス第3弾]
ベートーヴェン:交響曲 第7番&第8番
久石譲(指揮)ナガノ・チェンバー・オーケストラ

ベートーヴェン
Ludwig Van Beethoven (1770 – 1827)

交響曲 第7番 イ長調 作品92
Symphony No.7 in A major Op.92
1. 1 Poco sostenuto -Vivace
2. 2 Allegretto
3. 3 Presto
4. 4 Allegro con brio

交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
Symphony No.8 in F major Op.93
5. 1 Allegro vivace e con brio
6. 2 Allegretto scherzando
7. 3 Tempo di menuetto
8. 4 Allegro vivace

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (conductor)
ナガノ・チェンバー・オーケストラ
Nagano Chamber Orchestra

2018年2月12日 長野市芸術館 メインホールにてライヴ録音
Live Recording at Nagano City Arts Center Main Hall, 12 Feb. 2018

 

Produced by Joe Hisaishi, Keiji Ono

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Nagano Chamber Orchestra
Concertmaster:Kaoru Kondo

Recording & Balance Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Recording Engineers:Takeshi Muramatsu, Masashi Minakawa
Mixed and Mastered at EXTON Studio, Tokyo

and more…

 

Disc. 久石譲 『二ノ国 II レヴァナントキングダム オリジナルサウンドトラック』

2018年6月6日 CD発売

2018年3月発売PS4 / PC ゲームソフト「ニノ国」シリーズ最新作のサウンドトラック。『二ノ国 漆黒の魔導士』(2010・Nintendo DS)、『ニノ国 白き聖灰の女王』(2011・PlayStation 3)にひきつづき本作も久石譲が音楽担当。

 

ゲーム音楽の枠を超えた最高傑作!!
久石譲が紡ぐ 王道ファンタジーRPGがここに!

(CD帯より)

 

Message
久石譲

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」は前回につづき音楽を担当しました。日野さんとも気心が知れているし、すんなり作曲に入ることができたと思います。

ゲームの音楽は必要とされる曲数が非常に多く、繰り返し聴く性質のものなので、今回の楽曲をどうやってまとめるか考え、リズムを中心に全体を組み立てて作っていきました。

加えて今回は、前作に比べて音楽的なレベルを上げた知的なアプローチもしています。もちろんエンターテイメント性は大切にしたうえでのことです。東京フィルハーモニー交響楽団の熱演もあり良い録音ができました。

このサウンドトラックを聴いて、音楽と一緒に「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の世界に浸ってもらえると嬉しいです。

(Message ~CDライナーノーツより)

 

 

ゲームプレイ音源よりも、広がりあるサウンドかつみずみずしい楽器の音色たち。さすがサウンドトラック用にマスタリングされた最高音質の仕上がりになっている。二ノ国II音楽はサウンドトラック盤でめでたく完結する。

それぞれの楽曲とも音の配置やバランスが見事に調整されている。「2.クーデター」はゲームプレイ音源ではループ用となっていたが、サウンドトラック盤は【1st トレーラー】音源で聴くことができた終部になっている。「8.苦闘」「27.滅びの王国」「28.闇の呪文歌」も終部が異なる。前提として繰り返し聴かれることを目的とした音楽づくりのため、どの曲も終部はフェードアウトや冒頭に自然に戻れるような接続的終部になっているなため、上の4曲はサウンドトラック盤ならではのはからい。

CDには”all composed by JOE HISAISHI”のクレジットはない。これについては下記の *at game release にてゲームソフト・エンドクレジットから詳細記している。

短い楽曲群ながら、ゲームには膨大な曲数を必要とするという久石譲の言葉とおり、実にクオリティ高くバリエーション豊かな全31曲がならぶ。今の久石譲だからこその曲想、音作り、ノンビブラートに近い奏法やソリッドなオーケストレーションなど、現代的な響きに溢れている。

ファンタジーというスタジオジブリ作品との共通点もあれば、戦いやフィールドがめまぐるしく変化していくというスタジオジブリ作品にはない世界感もある。そしてそれは音楽にも同じように言える。久石譲による二ノ国ワールドを音楽だけでも十分に楽しめる、渾身の作品になっている。

 

 

久石譲インタビュー、ゲーム音楽を聴いての各楽曲レビュー、印象的なエンディングテーマ、世界各国にゲーム本体特典として付属したCD盤やLP盤など。ゲームソフト発売後まもなく、サウンドトラック盤リリース情報のまえにまとめたもの。詳細はこちらに記した。

参考)

 

 

 

1. 二ノ国II メインテーマ
2. クーデター
3. 脱出
4. 戦闘開始
5. 別れ
6. 夢の中の少年
7. 広大な大地
8. 苦闘
9. フニャ
10. 危険な谷
11. ボスバトル
12. 勇ましき進軍
13. 神秘の森
14. 欲望の町
15. 希望
16. のどかな日常
17. 大海原
18. 水の都
19. 海底洞窟
20. 命運をかけた戦い
21. 切ない思い出
22. 進化の大都市
23. ファクトリー
24. 果てしない空
25. ネズミ王国の城下町
26. 守護神
27. 滅びの王国
28. 闇の呪文歌
29. ラストバトル
30. キングダム
31. 希望の未来

 

音楽:久石譲
オーケストレーション:チャド・キャノン 山下康介 久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:栗友会
指揮:久石譲

エンディングテーマ「希望の未来」
作・編曲:久石譲
リズム・アレンジ:ガブリエル・プロコフィエフ 松浦晃久 久石譲
ヴォイス:麻衣
コーラス:東京混声合唱団
パーカッション:和田光代
ケルティック・ティンホイッスル:野口明生
ハープ:堀米綾
ピアノ:鈴木慎崇
ストリングス:真部ストリングス

レコーディング&ミキシングエンジニア:小幡幹男
レコーディング・スタジオ:アバコクリエイティブスタジオ サウンドインスタジオ
ミキシング・スタジオ:サウンドインスタジオ
マスタリング・エンジニア:藤野成喜(ユニバーサルミュージック)
マスタリング・スタジオ:UNIVERSAL MUSIC STUDIOS TOKYO

 

初回封入特典:二ノ国II レヴァナントキングダム スペシャルステッカー ※全2種中1種ランダム封入

 

 

輸入盤同時発売

WORLDWIDE RELEASE JUNE 6TH 2018

Ni no Kuni II : Revenant Kingdom Original Soundtrack

1. Theme from Ni no Kuni II
2. The Toppled Throne
3. The Escape
4. Let Battle Commence
5. Leavetaking
6. The Curious Boy
7. The Great Outdoors
8. Into the Fray
9. Here Come the Higgledies!
10. Treacherous Valley
11. Boss Battle
12. To Arms!
13. Forest of Mysteries
14. City of Hunger
15. There is Hope
16. Carefree Days
17. The High Seas
18. Kingdom by the Sea
19. Deep Sea Cave
20. Fateful Encounter
21. Painful Memories
22. City of the Future
23. The Factory Floor
24. The Boundless Skies
25. In the Kingdom of the Mice
26. Kingmaker’s Theme
27. The Lost Kingdom
28. Dark Rite
29. The Final Showdown
30. Evan’s Kingdom
31. Happily Ever After

Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra 
Composed and arranged by Joe Hisaishi
Voice by Mai
31 tracks, 1 disc, 24-page booklet – English text

 

初回特典:二ノ国II 公式ミニ色紙 *先着限定

 

Info. 2018/06/06 「二ノ国 II レヴァナントキングダム オリジナル・サウンドトラック」CD発売決定!! 【5/26 Update!!】

 

Disc. 久石譲×辻井伸行 | 世武裕子 | 辻井伸行『羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL』

2018年6月6日 CD2枚組発売

映画『羊と鋼の森』久石譲×辻井伸行によるエンディングテーマ「The Dream of the Lambs」を含むサウンドトラック+音楽集というCD2枚組。DISC1には久石譲×辻井伸行によるエンディング・テーマ「The Dream of the Lambs」、世武裕子による本編音楽を、DISC2には映画の中で主役の一部を務めるピアノ作品を、辻井伸行の演奏で完全収録した超豪華なスペシャル盤。

 

 

世界的作曲家で、映画音楽界の巨匠でもある久石譲がエンディング・テーマを書き下ろし、世界的ピアニストである辻井伸行がソロピアノを演奏!

映画『羊と鋼の森』(2018年6月公開)の世武裕子によるサウンドトラックに加え、映画に登場する主要なピアノ曲を辻井伸行の演奏で収録した超豪華オフィシャル・アルバム!

(CD帯より)

 

2018公開映画『羊と鋼の森』
監督:橋本光二郎
脚本:金子ありさ
音楽:世武裕子
出演:山崎賢人、鈴木亮平、三浦友和 他

 

 

映画『羊と鋼の森』エンディング・テーマ
久石譲 × 辻井伸行 The Dream of the Lambs

久石譲 | 作曲

ピアニストはいろいろなピアノに出会わなければならない。ピアノによってタッチがそれぞれすごく違います。調律師は求める音を表現してくれる、本当に大事な存在で、音は出さないけど立派な音楽家だと思います。そんな調律師を描いた原作を、オファーをいただく前に読ませていただきました。成長譚の美しくてとても良い話。だからこそ、綺麗なだけで終わらないように、映画の奥行を出せるように、シビアなミニマル的な部分とメロディアスな部分の交差する曲を作るように意識しました。

その曲を辻井くんと一緒に作ることができて嬉しく思います。古典的なスタイルをとりつつ、現代的な曲を作ったのですが、見事に弾いてくれました。辻井くんは本当に素晴らしいピアニストで、特にリズム感が凄いです。無駄なものが無いきちんとしたリズム。これを活かしたいと思って指揮をしました。演奏をしていて、とても楽しかったです。辻井くんとはまたぜひ一緒に演奏させていただきたいですね。

 

辻井伸行 | ピアノ

オファーをいただく前に原作を点字の本にしてもらって読んでいましたが、ピアノをやっている人なら皆さん興味のある話だと思います。曲にもたくさんのイメージがあったり、ピアノには壮大でカッコいいところがあったり、いろいろな面白いことが分かる素晴らしい物語です。そんな映画の演奏を、久石さんとご一緒させていただけたのは本当に光栄でした。久石さんの大ファンで、素晴らしい曲をずっと聴いていたので、本当に嬉しかったです。

久石さんに楽譜をいただいた時に、どのような気持ちで作曲されたのか想像し、また映画のイメージを自分の中で膨らませて、できる限りのことをしようと思って練習し、本番に挑みました。お会いするまでは緊張しましたが、本当にお優しい方で、合わせやすく、またいろいろと勉強させていただきました。この曲は感動的で、美しく、弾いていて本当に楽しかったですし、収録があっという間でした。また是非ご一緒させていただきたいです。

ピアノの調律師さんは僕にとってなくてはならない存在です。ピアニストは演奏するときは一人ですが、調律師さん、観客の皆さんと一緒にコンサートを作り上げていると思っています。

国内外のさまざまな場所で調律師さんと出会うのですが、いろいろなタイプの調律師さん、そして会場のピアノと出会えるのは楽しいですね。

(久石譲・辻井伸行コメント ~CDライナーノーツより)

 

DISC 2 ピアノ作品 曲目解説:
ラヴェル、モーツァルト:道下京子
ベートーヴェン:柴田克彦
ショパン:伊熊よし子

(CDライナーノーツ収載)

 

 

from
Info. 2018/06/08 映画『羊と鋼の森』エンディング曲「The Dream of the Lambs」 久石譲&辻井伸行 初タッグ

 

 

「The Dream of the Lambs」、久石譲曰く「綺麗なだけで終わらないように、映画の奥行を出せるように、シビアなミニマル的な部分とメロディアスな部分の交差する曲を作るように意識しました」とあるとおり、とても作り込まれた楽曲であり強く印象に残る楽曲である。エンターテインメントならがここまで音楽的にも表現した楽曲は稀有。古典クラシックにも通じるオーケストラ編成ながら、モチーフやリズムは現代的で、ソリッドなオーケストレーションもまた現代的な響き。辻井伸行が弾くことを想定して書かれたピアノパートはとても難易度が高く、見事に表現した演奏は何度聴いても聴き惚れてしまう。コンチェルト風ともとれる構成は、ピアノとオーケストラが対等に呼応する。

映画公開に先がけて5月に行われた映画完成披露試写会や、6月放送TV番組「ミュージック・ステーション」では、ピアノソロ・ヴァージョン(約2分)もお披露目されている。

またこの豪華コラボレーションは、映画公開記念コンサートとして、一夜限りの共演も実現している。そのコンサートの模様とコンサートレポートは記した。

 

 

サウンドトラックも、シンプルであり映像を邪魔することのない主張しすぎない音楽になっている。またクラシック曲を映画用に編曲した数曲も、原曲を尊重した上品なものになっている。

DISC2に収録されたピアノ作品集は、映画で登場するピアノ曲を、辻井伸行の演奏でコンパイルしたもの。収録曲はすべて既出CD作品からのものではあるけれど、ピアノ入門・クラシック入門としても、聴き馴染みのものから本格的な作品まで最適である。辻井伸行という日本が誇る世界的ピアニストを知る機会、聴くきっかけとしても、ここからまた新しいピアノの世界が広がる一枚。

 

 

 

DISC 1
映画『羊と鋼の森』 エンディング・テーマ
久石譲×辻井伸行
1. The Dream of the lambs
久石譲(指揮) 東京交響楽団 ピアノ:辻井伸行

映画『羊と鋼の森』のための音楽 (オリジナル・サウンドトラック) 
2. 『羊と鋼の森』メインテーマ
3. ピアノスケッチ
4. たまご
5. モーツァルト:きらきら星(連弾) 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
6. 明るく静かに澄んで懐かしい
7. 思い出
8. ショパン:小犬のワルツ 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
9. 移りゆく季節
10. 家族の肖像
11. 外村の戸惑い
12. 森のお葬式
13. いつも、そうやって
14. 森の音がする
15. みたことのない世界
16. 好きって気持ち
17. ピアノを弾くひと
18. メンデルスゾーン:結婚行進曲 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
19. シューベルト:楽に寄す 『羊と鋼の森』サウンドトラック Version
20. 夢のように美しい

世武裕子 作曲:2-4, 6, 7, 9-17, 20 編曲:5, 8, 18, 19

 

DISC 2
辻井伸行 『羊と鋼の森』のためのピアノ作品集
1. ラヴェル:水の戯れ
2. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
3. モーツァルト:きらきら星変奏曲
4. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第1楽章
5. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第2楽章
6. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57《熱情》 第3楽章
7. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第1楽章
8. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第2楽章
9. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第3楽章
10. ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58  第4楽章

ピアノ:辻井伸行

 

DISC 1
エンディング・テーマ「The Dream of the Lambs」
Music:久石譲
Conductor:久石譲
Piano:辻井伸行
Orchestra:東京交響楽団

Engineers:浜田純伸 (Sound Inn) 村松健 (Octavia Records)
Recorded at 武蔵野市民文化会館
Mixed at Bunkamura Studio

サウンドトラック
Music:世武裕子
Producer:北原京子 (東宝ミュージック)
Engineer:田中信一
Recorded & Mixed at Onkyo Studio, sound inn
Piano recorded at Sound City Setagaya (Tr.5,8,18,19)
Piano:世武裕子 (Tr.8 & other) 石橋愛 (Tr.5,18,19) 内田野乃夏 (Tr.5) 松村優吾 (Tr.8)

DISC 2
Recorded at Teldex Studio Berlin (Tr.1, 3-10)
Recording producer & editing:Friedemann Engelbrecht (Teldex Studio Berlin)
Recorded at Salamanca Hall (Tr.2)
Recording producer & editing:Tak Sakurai (Pau)

and more…

 

Disc. 久石譲 『二ノ国 II レヴァナントキングダム』 *at game release

2018年3月23日 PS4 / PC ゲームソフト発売

*at game release
これはゲームソフト発売後まもなく、サウンドトラック盤リリース情報の前にまとめたものである。

 

 

レベルファイブ「二ノ国」シリーズ最新作。『二ノ国 漆黒の魔導士』(2010・Nintendo DS)、『ニノ国 白き聖灰の女王』(2011・PlayStation 3)にひきつづき本作も久石譲が音楽担当。

2015年12月「PlayStation Experience 2015」にて発表、同時に公開された1stトレーラー(約3分)では久石譲による本作のための書き下ろし音楽を聴くことができた。以降順次トレーラー公開され、コアスタッフによる特別インタビュー動画なども公開された。

映像集で使用された久石譲音楽についてもふれたいので映像リストをまとめる。

 

【公式映像集】

  • 1stトレーラー(約3分)2015/12 公開
  • 2ndトレーラー(約2分)2016/12 公開
  • 3rdトレーラー(約1分半)2017/6 公開
  • 4thトレーラー(約1分半)2017/8 公開
  • TGS 2017トレーラー(約1分半)2017/9 公開
  • 声優紹介トレーラー(5thトレーラー)(約5分)2017/12 公開
  • 特別インタビュー映像 第1弾「アニメーション編」(約3分半)2017/12 公開
  • 特別インタビュー映像 第2弾「キャラクター編」(約3分半)2018/1 公開
  • ゲームプレイ映像 システム紹介篇(約3分)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」(約3分半)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第4弾「ゲームシステム編」(約3分半)2018/2 公開
  • 特別インタビュー映像 第5弾「アート編」(約3分半)2018/3 公開
  • ファイナルトレーラー(約1分半)2018/3 公開
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・前編(約6分) 2018/3 公開
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・後編(約6分)2018/3 公開
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』王に集いし英傑篇(15秒)2018/3 公開
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』アニメの世界を旅する篇(15秒)2018/3 公開

(レベルファイブ公式サイト/公式Youtubeにて視聴可能 ※2018年4月現在)

 

音楽にフォーカスして掘りさげる。

 

【公式映像集/使用楽曲】

  • 1stトレーラー(約3分)2015/12 公開
    「クーデター The Toppled Throne」「希望 There is Hope」をもとに構成されたトレーラー専用音楽
  • 2ndトレーラー(約2分)2016/12 公開
    「The Zodiarchs」「The Wrath of the White Witch」「Kokoro no Kakera -Pieces of a Broken Heart- (English Version)」※Ni No Kuni: Wrath Of The White Witch Original Soundtrack
  • 3rdトレーラー(約1分半)2017/6 公開
    「戦闘開始 Let Battle Commence」「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」
  • 4thトレーラー(約1分半)2017/8 公開
    「守護神 Kingmaker’s Theme」
  • TGS 2017トレーラー(約1分半)2017/9 公開
    「ボスバトル Boss Battle」「キングダム Evan’s Kingdom」
  • 声優紹介トレーラー(5thトレーラー)(約5分)2017/12 公開
    「命運をかけた戦い Fateful Encounter」「勇ましき進軍 To Arms!」「果てしない空 The Boundless Skies」
  • 特別インタビュー映像 第1弾「アニメーション編」(約3分半)2017/12 公開
    「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」
  • 特別インタビュー映像 第2弾「キャラクター編」(約3分半)2018/1 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「戦闘開始 Let Battle Commence」
  • ゲームプレイ映像 システム紹介篇(約3分)2018/2 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「戦闘開始 Let Battle Commence」「勇ましき進軍 To Arms!」「命運をかけた戦い Fateful Encounter」
  • 特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」(約3分半)2018/2 公開
    「希望 There is Hope」「The High Seas 大海原」「果てしない空 The Boundless Skies」
  • 特別インタビュー映像 第4弾「ゲームシステム編」(約3分半)2018/2 公開
    「戦闘開始 Let Battle Commence」「The High Seas 大海原」「闇の呪文歌 Dark Rite」
  • 特別インタビュー映像 第5弾「アート編」(約3分半)2018/3 公開
    「ボスバトル Boss Battle」「広大な大地 The Great Outdoors」
  • ファイナルトレーラー(約1分半)2018/3 公開
    「守護神 Kingmaker’s Theme」「戦闘開始 Let Battle Commence」「夢の中の少年 The Curious Boy」
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・前編(約6分) 2018/3 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「果てしない空 The Boundless Skies」「命運をかけた戦い Fateful Encounter」「欲望の町 City of Hunger」「ネズミ王国の城下町 In the Kingdom of the Mice」「フニャ Here Come the Higgledies!」「脱出 The Escape」「The High Seas 大海原」
  • コマさんと風丸一郎太の二ノ国II大冒険・後編(約6分)2018/3 公開
    「キングダム Evan’s Kingdom」「勇ましき進軍 To Arms!」「クーデター The Toppled Throne」~(曲間つなぎめ1stトレーラー専用音楽version)~「守護神 Kingmaker’s Theme」「広大な大地 The Great Outdoors」
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』王に集いし英傑篇(15秒)2018/3 公開
    「勇ましき進軍 To Arms!」
  • TVCM『二ノ国II レヴァナントキングダム』アニメの世界を旅する篇(15秒)2018/3 公開
    「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」

 

上記【公式映像集】から取り上げたいことは3つ。

1stトレーラー
本作のために書き下ろされた主要テーマ・メインテーマが初公開となった2015年12月。そして見逃してはいけないこと、1stトレーラー用音楽はこの映像のためだけに構成された音楽であるということ。映像集がでそろいゲームソフトが発売になり全貌がわかる今だからこそ、気づくことができる貴重な発見。これについては後にも詳しく掘りさげたい。

2ndトレーラー
全映像集が久石譲による「二ノ国 II」新作音楽から使用されているなか、2dnトレーラーだけは前作音楽からの使用になっている。

特別インタビュー映像 第3弾「音楽編」
久石譲インタビューが公開された貴重な記録。レコーディング風景や日野晃博氏のインタビューもまじえた久石譲が語る二ノ国 II。

【日本語テロップ】

自分の中でいろいろ考えていって、どうしてもやっぱりゲームの音楽っていうのは音楽の数が多いので、それをどうやってまとめるかなということと、ちょうど今、割とリズムをオーケストラでしっかり出すやり方をしているから、それで全体をやってみようという、そういうつもりでやりましたね(久石)

今回は2回目なので、日野さんのこともすごく尊敬しているので、これはやろうと(久石)

ジブリ作品のファンじゃないですか、皆、僕も含め。だからやっぱり久石さんにお会いしたら、もう凄いオーラで緊張しまくったんですけれども、久石さん熱い人なので正面からちゃんと付き合おうという形でやらしていただきましたね(日野)

日野さん本当にいろいろ考えられて作ったゲームなので、(僕も)精一杯作ったし、比較的全体の様子が見えてたので、作り易かったですよね(久石)

ちょっとメゾフォルテなんで、ちょっと大きめにフォルテに吹いてもらって良いですか?それで22小節目でメゾフォルテを下げて行く感じで(久石)

前作の二ノ国に比べてちょっと音楽的なレベルを上げたというか、難しいという訳じゃないんだけど、知的レベルを上げたアプローチ。ですからちょっとかなりオーケストラは難しいんですよ演奏が。だけど本当、東フィルさん(東京フィルハーモニー交響楽団)が一生懸命やってくれてとてもいい録音ができましたね(久石)

ゲームの常識を超えたところでいろいろ音楽を作ってこられるので、戦闘シーンの音楽も普通のRPGの戦闘とは一線を画すものだし、ゲームを超えた音楽性だと思いますね(日野)

ゲーム音楽はどうしても繰り返して聴く訳ですよね。ですから、繰り返して聴く(曲を作る)方法と通常に作る方法とちょっと違うんですよ。その中で音楽とそのゲームにはまってもらうと嬉しいかなというか浸ってもらうと嬉しいかなと思います(久石)

(動画より書き起こし)

 

 

《得意技を封印した新境地》

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽は、久石譲の得意技をことごとく封印したなかで新境地を切り拓いた快作である。ポイントは久石譲インタビューにもあるとおり”くり返し聴かれる”ことを想定した音楽づくり。

  • 展開しない音楽 ~起承転結を排除した構成~
  • 歌えないメロディ ~リズムモチーフと違和感~
  • 音楽三要素の優先順位 ~一般常識の真逆~
  • ミニマル手法の封印 ~くり返す手法は同じはず なのに~

 

展開しない音楽 ~起承転結を排除した構成~

ゲーム音楽はオープニングやエンディングを除き、プレイ中に同じ音楽をくり返し聴くことが多い。それは本作のようなRPGであっても同じである。「二ノ国 II」の楽曲の多くは、Aメロ-Bメロ-サビ-転調-大サビなどと展開しない、起承転結を排除したAメロ-BメロもしくはA-B-Cをループするような音楽構成になっている。同時に最小限に展開するA-B-Cなど一曲のなかにおいても、雰囲気が大きく変わる曲想にはつくられていない。曲の終止部はフェードアウトや接続的フレーズ、くり返しイントロに戻ってもつながりやすい音楽づくりがされている。

「二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II」はコーラスを編成した構成になっている。より大きく広がりのある世界観になっていて、前二作からの変化も聴き比べるとおもしろい。本作では混声合唱を巧みに使った楽曲群も複数ある。メインテーマでありゲームオープニングで華やかに流れる同曲と、メインテーマのバリエーションでプレイ中に聴くことができる「広大な大地 The Great Outdoors」「キングダム Evan’s Kingdom」。この3楽曲をもっても、展開する音楽(メインテーマ)と展開しない音楽(バリエーション2曲)の組み立て方の違いをわかりやすく感じとることができる。

話は音楽全体に戻して、くり返し聴くことを目的としたという点では、起承転結しない展開しないことはまっとうな手法である。だがデメリットとしてこれを表面的に施しただけでは単調になり、くり返されることで飽きてしまう音楽になりうる。

 

歌えないメロディ ~リズムモチーフと違和感~

どの楽曲もそれぞれに性格のはっきりしたバリエーションに富んだもの。印象に残るにもかかわらず実は歌えるメロディは少ない。歌心のある・ドラマティックに展開する、そういった主役的メロディは意図的に排除されている。

なにで推しきっているかといえばリズムであり、リズム動機・リズムモチーフのような旋律を配置していること。メロディのない曲という見方もあるけれど、それだと陳腐なBGMと勘違いされるので、そうではない、モチーフや旋律はしっかりと存在する。そしてこの手法において、ハーモニーとぶつかる違和感のある旋律も多い(一瞬の不協和音のようなもの)。旋律としてもリズムとしてもより輪郭がはっきりし、アクセントやインパクトもクリアする。さらにこれらモチーフのキャッチーさと違和感のさじ加減こそ、くり返し聴かれる飽きのこない音楽という久石譲の絶妙のバランス感覚といえる。

 

音楽三要素の優先順位 ~一般常識の真逆~

音楽三要素はメロディ、ハーモニー、リズム。ポップスで言えば、歌(メロディ)があって伴奏(ハーモニー)があってドラム(リズム)があって成立するし、楽曲として成立させるうえでの優先順位も当然この順番になる。

しかし、本作で久石譲が切り拓いた新境地は一般常識の真逆ともいえる音楽構成である。リズムにもっとも重点がおかれている。先に書いたリズム動機・リズムモチーフに徹底していることはもちろん、ほかにも随所にある。

展開しない音楽において飽きを克服するべく、テンポに変化をつけている。同一楽曲内で曲想が変化したり、パートが展開していけば、もちろんテンポも変わってくる。でもそういった作り方をしていないなかで、曲想やフレーズの変化によるものではない、聴き流していて自然すぎて気づかない範囲でテンポ変化を施している。つまり曲の緩急をテンポによって実現している。ダンス・ミュージックのように正確なテンポを刻みつづける趣とは異なる、人が聴いていて心理的・生理的に心地よいと感じる流れ。それは人の呼吸や脈が一定リズムではないことと同じ無意識下に本能的に気持ちいいと感じる、極めてレベルの高いテクニック。しかも、くり返すことを前提にしたテンポバランスなのだから、これはもう。

リズムに重点というと、パーカッション群が大活躍しているのかと思うがそうではない。旋律そのものがリズムの役割も果たしているのでパーカッションはむしろ少ない方である。誤解を生むので、一般的でオーソドックスなパーカッションの種類と量であり、久石譲独特のパーカッション群や緻密に飛び交うパーカッション群は少ない。つまりメロディとリズムを切り離した三要素ではなく、メロディ=リズムなのだ。メロディでありながらリズムを刻んでいる。

このような意図があったときに、大変になってくるのがその演奏。まるで映像にあわせるように繊細で心地いいテンポ変化をつけること、しかしながら、メロディに抑揚やアクセントをつけてしまわないこと。メロディでありリズムであることの持ち味を実現する、東京フィルハーモニー交響楽団に求められた音楽レベル・知的レベルの難易度のひとつではないかと推測している。ついつい演奏に気持ちや力が入ってしまわないこと、きっちりそろえること、奏法やビブラートもふくめてあくまでもフラットであること。悠々と歌うような旋律も、横揺れして流れてしまわないように、しっかりとブレスしてフレーズごとに切っている楽曲たち。

たとえば歌でいうと、2番はこぶしが入りました。それは悪いことではない、同じフレーズでも単純にくり返すよりも表現方法を変える。楽曲が展開している、ピークにもっていくための、一般的である。でも、本作の音楽においてそれをしてしまうとくり返し聴くという制約に叶わない。こぶしが入ったり表現(奏法)に凹凸が出過ぎるとループがきれいに流れないからだ。やはり音楽的アプローチの肝は「きっちりそろえる」こと。

 

まだまだある。

楽曲が展開するというのは、メロディの変化でもあり、コード進行の展開でもあり転調でもあったりする。本作の楽曲群がシンプルな音楽構成といえるのは、これらが施されていないからであることは書いてきた。

いま一度「シンプル」ということに重点を置くと、本作の楽曲たちと前二作において大きく異なるのが、緻密で密度の濃いつくり込まれた音楽か否かである。くり返し飽きのこない音楽にするために余白のある音楽にしているとも言える。でもそれだけではないようにも思う。ここで登場するのがハーモニー、本作の音楽にはハーモニーを意図的に避けているように聴こえる。メロディをハモるということではなく、メロディに絡めた複雑な副旋律や内声といったものが緻密で密度の濃い久石譲音楽たらしめているとしたら。

リズムを最優先する手法をとるために、リズムの輪郭を一本際立たせるために、別のリズムやテンポ感・フレーズ感といったものを誘発させる副旋律や内声を配置していない。そしてまたメロディと異なるフレーズを絡めるこということは、必然的に和音やコード感といったハーモニーを生んでしまうのである。実際に楽曲群の多くは旋律が入りくんでいないし、複数の楽器で奏されているけれど同じ旋律のユニゾンも多い。なぜハーモニーを抑えたかは、くり返すこと・展開しないことに軸(コードが進行することは楽曲の起承転結を促す)があるし、先に書いたメロディ・モチーフそのものにハーモニーとぶつかる不協和音的エッセンスを散りばめているから。ん?ということは、あえて違和感のある音をぶつけているのは、メロディや曲が展開しないようにくい止めている効果もあるのか?!曲がきれいに流れていかないですよと宣言している音たちなのか?! そうこの考察もループしてしまう。

もちろん最小限に配置された副旋律たちも最大の効果をあげている。本作でのハーモニーの役割は、和声感やコード感といった響きではなく、ハーモニーもリズムであり、リズムのためのハーモニー(複旋律)である。そう、すべてはリズムのために。

 

ミニマル手法の封印 ~くり返す手法は同じはず なのに~

くり返し聴くことが目的ならば、まさに久石譲の真骨頂ともいえるミニマル手法があるではないか。ミニマル・ミュージックは最小限の音型(モチーフ)がくり返したりズレたりするもの。

本作の楽曲群では、なんとこのミニマル手法は使われていない。なぜだろう?と疑問に思い考えてみる。そうすると意外な一面が見えてきたように思う。ミニマル音楽はただくり返しているわけではない。ズレや変化といった展開することと同居している。ただくり返すだけならそれはミニマル・ミュージックではないとも言える。久石譲のオリジナル作品や映画音楽などあらゆる音楽のなかなら、ミニマル手法が炸裂している楽曲を思い浮かべると、共通して覚醒的に陶酔的に音楽は展開している。シンプルにくり返すことがミニマル・ミュージックなのだけれど、変化や展開のないそれは持ち味がなくなり、ミニマルとしてのアイデンティティを失ってしまうということなのかもしれない。

 

 

前二作の緻密で密度の濃い音楽は、音楽完成度からすると非常に高い。本作ではさらに一歩推し進めて、あえて自身の持ち味得意技を封印し新しい境地に挑んでいる。

イメージをかきたてる起承転結のはっきりしたドラマティックな音楽、一度聴いたら耳から離れない歌いたくなる心揺さぶるメロディ、緻密なオーケストレーションと独特の楽器編成でつくりこまれた密度の濃い音楽、原点であり真骨頂でもあるミニマル手法を盛りこんだオリジナリティある音楽。

久石譲音楽が久石譲音楽たらしめているこれらの得意技をすべて封印して挑んだのが「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽。そして結果、それは同じように久石譲音楽ブランドをしっかりとまとい、新しい可能性をも提示してくれた新境地にして傑作。

 

 

1stトレーラー専用音楽

ちょっと力を抜いて、百聞は一見にしかず。1stトレーラーの音楽だけがそれ専用につくられた音楽だということは冒頭に書いた。

今現在視聴することができる公式動画をもとに進める。本作楽曲より「クーデター The Toppled Throne」をもとに構成された音楽で、0:50~1:25、1:45~2:00のパートはゲーム本作には採用されていない。ちょっとした数十秒の間で繰り広げられる展開やフレーズといった曲想の変化こそ、上に書いたいつもの久石譲音楽たらしめているかたちのひとつである。2:00以降の「希望 There is Hope」もゲームにはないバージョン、壮大に盛り上がっていく展開が聴けるのはこの1stトレーラーならでは。

つらつらだらだらと考察してきたことを、百聞は一聴にしかず。この人はこういうことを言いたいのかなぁ、そのひとつ少しでも伝わっていただけたら幸いです。

 

【二ノ国II レヴァナントキングダム】1st トレーラー 約3分
レベルファイブ公式Youtubeチャンネルより

 

 

エンディングテーマ「希望の未来」

久石譲作曲/編曲による楽曲で、前2作とは異なり歌曲ではない。麻衣のヴォイスによるヴォカリーズになっている。(前作テーマ曲「心のかけら」作詞:鈴木麻実子 歌:麻衣)

オリエンタルな旋律と前衛的でアヴァンギャルドな音やリズム構成。民族音楽からのヴォイス・サンプリングも織り交ぜた、今の久石譲からは耳を疑うような斬新な楽曲に驚く。「オリエントへの曵航」(オリジナルアルバム「illusion」(1988)収録)の再来かと錯覚するようなニンマリしてしまうようなアグレッシブな楽曲。

クレジットにはないが、久石譲本人のヴォイスも隠し味として入っている気がする、そんなパートが数箇所ある。いや、きっと入っていると思う。

なんという凝りに凝ったリズムアレンジだろう、エネルギーが湧き出るようなグルーヴ感と最先端のリズムパーカッション・プログラミング。このリズムアレンジは共作となっている。手がけたのは、ガブリエル・プロコフィエフ、松浦晃久、久石譲。久石譲の好奇心・実験・挑戦のつまった渾身の楽曲になっている。体の底から心の底から覚醒する快感を味わえる楽曲。

興味深いのが、この楽曲ベースラインがまったく動かない。拍子も刻まないほどに。これだけリズム感があり躍動的な曲なのにである。そしてうねるような低音は曲中盤に集約されている。ここだけ一気に乱れ狂い重厚重音な渦をまく。怒涛の低音ミニマル。そう、この楽曲はリズム・アレンジが要なのだ。リズムで大きく楽曲を支え疾走する。その他フィーチャーされた楽器群による構成も相乗効果で素晴らしい。なんだか「こんなのどうですか?」と新しいギフトを自信たっぷりに差し出された気分だ。

ガブリエル・プロコフィエフ、どこかで聞き覚えのある名前と思ったら、久石譲ともつながりの深い音楽家。久石譲が興味を抱き、刺激を受け、出会い、共作し、別作品を自身のコンサートで取り上げ、そんな歩みを紐解くことができる。音楽家同士の共鳴と一期一会の結晶のひとつ、今だからこそ作ることができた楽曲、それが「希望の未来」。

 

以下、ガブリエル・プロコフィエフ氏にフォーカスして掘り下げる。

 

◇2014年 WEB「REAL SOUND」掲載インタビュー

――先ほどもお話に出ましたが、久石さんが刺激を受けるクリエイターを何人か挙げていただけますか。

久石:
最近だと、アメリカの32歳のニコ・ミューリー。彼はいいですね、完全にポストクラシカルの人間で、ビョークのプロデュースをしたり、メトロポリタンオペラというアメリカで一番大きな歌劇場でも曲を書いています。技術力もある。こういう新しい世代がガンガン出てきています。セルゲイ・プロコフィエフの孫にあたるガブリエル・プロコフィエフも面白いと思います。

Blog. 久石譲 『WORKS IV』 発売記念インタビュー リアルサウンドより 抜粋)

 

◇2014年 雑誌「モーストリー・クラシック 2015年2月号」掲載 インタビュー

「僕の作曲の根本にはミニマルミュージックがありますが、正統派のミニマル・ミュージックの作曲家は、ライリー、ライヒなど4人だけで、あとはポスト・ミニマルやポスト・モダンで、いまポスト・クラシカルというクラシックの範疇にとどまらないミューリーや大作曲家の孫のガブリエル・プロコフィエフといった人達が出ている。そんなミニマルの与えた影響や流れなどは、大きな意味があるのに日本では聴くことができない。それをもっと紹介したいし、自作も書きたいということで始めました。集客は大変ですが、今後も続けていきます」

Blog. 久石譲 「モーストリー・クラシック 2015年2月号」 インタビュー内容 より抜粋)

 

◇2016年 NHK WORLD 「Joe Hisaishi Special Program」

ガブリエル・プロコフィエフ氏本人がインタビュー出演し、久石譲音楽の魅力を語る。

Blog. NHK WORLD 「Joe Hisaishi Special Program」 久石譲特番放映内容

 

◇2017年 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー Vol4」コンサート

ガブリエル・プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番 (2006)
Gabriel Prokofiev:String Quartet No. 2

ガブリエル・プロコフィエフの《弦楽四重奏曲第2番》もクラブシーンの影響を受けながらも祖父譲りの強い音の構成力と感情を揺さぶる強い力があります。そう、今年は「くり返す」ということと「揺さぶられる感情」あるいは「揺れ動く感情」がテーマです。

このお三方とは今年ニューヨークやロンドンで直接お会いしてそれぞれの楽曲へのアドバイスをいただきました。また作曲家どうしの話題はとても刺激的で至福の時間でもありました。

(久石譲)

Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.4」 コンサート・レポート より抜粋)

 

休憩を挟んで3曲目に演奏された『弦楽四重奏曲第2番(ガブリエル・プロコフィエフ/2006』では、ヴァイオリンが弦を激しく叩いてビートを紡ぐといった斬新な演奏を披露。楽器こそクラシック系だが、これはもはやEDM等のダンスミュージック。作者のガブリエル・プロコフィエフは、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフの孫。祖父のDNAを引き継ぎポスト・クラシカル系の作曲家でありながら、DJとしても活動し、クラブミュージックとの競作も発表しているほど。

Info. 2017/10/26 「久石譲 ミュージック・フューチャーVol.4コンサート開催」(Webニュースより) 抜粋)

 

 

「二ノ国 II レヴァナントキングダム」の音楽は公式にクレジットのあるもので全31曲。ただし、追加音楽の明記もあるので、全31曲が久石譲によるものではないと推測している。といっても、他者による追加音楽は1曲程度だろう。こういう書き方をするのは楽曲ごとの作者が不明だからである。またゲーム内では久石譲作曲をベースにしたシンセサイザー・アレンジ楽曲(他者による編曲)や追加楽曲、ジングルもふくめるとトータル約60曲にも及ぶ。

ひとつ確かな手引きとなること。冒頭に紹介した公式映像集に使用された楽曲たち、また下記紹介する海外限定版にのみ付属するLPやCDに収録された楽曲たち。これらは間違いなく久石譲が作曲したものであり、同時に「二ノ国 II」の音楽を語るうえで主要なテーマ曲ということになる。ゲーム発売にともなう完全なるオリジナル・サウンドトラック盤CDには至っていない。

久石譲が約30曲も本作のために書き下ろし、こんなにも素晴らしいクオリティの音楽なのに、ゲーム愛好家しか聴けないというのは非常にもったいない。2015年12月に初めて耳にした時から、約2年越しにようやくその全貌を現した「二ノ国 II」音楽。待ち望んだ二ノ国ファン、ゲームファン、久石譲ファンのためにも、ぜひCD化を熱望している。オリジナル・サウンドトラック完全盤として。そのとき1stトレーラー専用音楽などもボーナス・トラックで収録してくれたなら、歓喜にふるえる。

くり返し聴くことを目的とした音楽づくりは完成度が低いのだろうか。決してそうではないことは書いてきた。もし制作段階からサントラ盤を出す意図がなかったとしたら、それはとても残念に思う。今の久石譲がいっぱいにつまった快作、実験と挑戦で新しい可能性を響かせてくれた傑作。

いつの日か久石譲コンサートによって、組曲として壮大に起承転結する音楽作品へと昇華されることも夢みる。「二ノ国 II レヴァナントキングダム」音楽は、CD化されること・コンサートで披露されることではじめて完結する。着地できない優れた楽曲たちに、とびっきりのゴールをつくってほしい。

 

注)
「Ni No Kuni: Wrath of the White Witch - Original Soundtrack」は、2011年「二ノ国 白い聖灰の女王」(日本・PS3)を経て2013年1月海外版ゲームソフト発売に連動するように発売された。

 

 

商品パッケージについて

音楽に関連する商品情報のみピックアップする。いずれも日本国内版にはない特典で本作の海外人気をうかがわせる。

「Ni No Kuni II: Revenant Kingdom: King’s Edition (PS4) / (PC DVD) EU版」には、二ノ国 IIからの2楽曲が収録されたアナログレコード(LP)が付属している。

(LPジャケット 表/裏)

 

(LP盤 表/裏)

The Sound of NI NO KUNI II: REVENANT KINGDOM

Track 01. Theme from Ni no Kuni II
Track 02. The Curious Boy

Music Composed and Directed by Joe Hisaishi
Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra in Tokyo, Japan.

 

 

「Ni No Kuni II: Revenant Kingdom – Premium Edition (北米版)」には、二ノ国 IIからの4楽曲が収録されたCDが付属している。

(ケース CD盤)

Ni no Kuni II: Revenant Kingdom Music CD Collection

01 Theme from Ni no Kuni II 3:59
02 The Boundless Skies 3:19
03 Evan’s Kingdom 2:52
04 There is Hope 1:55

Artist: Joe Hisaishi
Genre: Original Soundtrack
Published by: BANDAI NAMCO Entertainment America
Release Region: North America
Release Date: 2018/3/23

Composed & Conducted by Joe Hisaishi
Orchestration: Chad Cannon, Kosuke Yamashita, Joe Hisaishi
Performed by the Tokyo Philharmonic Orchestra
Chorus: Ritsuyukai

Recording & Mixing Engineer: Mikio Obata
Sound Manipulator: Yusuke Yamashita (WONDER CITY)
Recording Studio: AVACO CREATIVE STUDIO, SOUND INN STUDIO
Mixing Studio: SOUND INN STUDIO

 

 

(日本国内版 PS4)

 

楽曲情報

・二ノ国 II メインテーマ Theme from Ni no Kuni II
・クーデター The Toppled Throne
・別れ Leavetaking
・闇の呪文歌 Dark Rite
・広大な大地 The Great Outdoors
・大海原 The High Seas
・果てしない空 The Boundless Skies
・脱出 The Escape
・危険な谷 Treacherous Valley
・神秘の森 Forest of Mysteries
・海底洞窟 Deep Sea Cave
・ファクトリー The Factory Floor
・キングダム Evan’s Kingdom
・欲望の町 City of Hunger
・進化の大都市 City of the Future
・水の都 Kingdom by the Sea
・ネズミ王国の城下町 In the Kingdom of the Mice
・滅びの王国 The Lost Kingdom
・戦闘開始 Let Battle Commence
・苦闘 Into the Fray
・ボスバトル Boss Battle
・命運をかけた戦い Fateful Encounter
・守護神 Kingmaker’s Theme
・ラストバトル The Final Showdown
・夢の中の少年 The Curious Boy
・のどかな日常 Carefree Days
・勇ましき進軍 To Arms!
・希望 There is Hope
・切ない思い出 Painful Memories
・フニャ Here Come the Higgledies!
・希望の未来 Happily Ever After

 

ミュージック・クレジット

音楽:久石譲
オーケストレーション:チャド・キャノン 山下康介 久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:栗友会
指揮:久石譲

エンディングテーマ「希望の未来」
作/編曲:久石譲
リズム・アレンジ:ガブリエル・プロコフィエフ 松浦晃久 久石譲
ヴォイス:麻衣
コーラス:東京混声合唱団
パーカッション:和田光代
ケルティック・ティンホイッスル:野口明生
ハープ:堀米綾
ピアノ:鈴木慎崇
ストリングス:真部ストリングス

レコーディング&ミキシングエンジニア:小幡幹男
マニピュレーター:山下祐介(ワンダーシティ)

レコーディング・スタジオ:AVACO CREATIVE STUDIO SOUND INN STUDIO
ミキシング・スタジオ:SOUND INN STUDIO

追加音楽:西郷憲一郎
サウンドデザイナー:山中大 西浦智仁 橋詰友美子 畑田浩孝
サウンド制作サポート:森下真都香 吉田祐也 柴田陽介

※ミュージック・クレジット項はゲーム本作エンドロールクレジットより。編集記載のため紹介順序は異なる。

 

【商品情報】
対応機種:PlayStation®4/PC
発売日:2018年3月23日(金)
CERO:B(12才以上対象)
価格:
[通常版] 8,000円(税別)
[初回限定版「COMPLETE EDITION」] 10,000円(税別)
[シーズンパス] 2,000円(税別)
制作・発売:株式会社レベルファイブ
海外発売:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

【キャスト】
エバン役:志田 未来
ロウラン役:西島 秀俊
シャーティー役:門脇 麦
シャリア役:木村 文乃
セシリウス役:山崎 育三郎
ラティエ役:吉谷 彩子

ガットー役:吉田 鋼太郎

【スタッフ】
ストーリー/ゼネラルディレクター:日野 晃博
キャラクターデザイン:百瀬 義行
音楽:久石 譲

©LEVEL-5 Inc.

 

 

2018.6.6 release

 

Disc. 久石譲指揮 ナガノ・チェンバー・オーケストラ 『ベートーヴェン:交響曲 第2番&第5番「運命」』

2018年2月21日 CD発売

精鋭メンバーが集結した夢のオーケストラ! ベートーヴェンはロックだ!!

長野市芸術館を本拠地として結成したオーケストラ「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」は、音楽監督久石譲の呼び掛けのもと、日本のトッププレーヤーが結集してスタートしました。当ベートーヴェン・ツィクルスは、”音楽史の頂点に位置する作品のひとつ”と久石がこよなく愛する「第九」に至るまで、2年で全集完成を目指します。第1弾アルバムでは、作曲家ならではの視点で分析し”例えればロックのように”という、かつてない現代的なアプローチが好評を博しました。今回も高い演奏技術とアンサンブルと、圧倒的な表現力で、さらに進化したベートーヴェンを聴かせます。

(CD帯より)

 

 

エネルギーと駆動力に充ちたベートーヴェン 柴田克彦

本作は、第1番&第3番「英雄」に続く、久石譲 指揮/ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)のベートーヴェン交響曲シリーズのCD第2弾。NCOは、2016年に開館した長野市芸術館を本拠とする楽団で、長野県出身の久石は、同ホールの芸術監督とNCOの音楽監督を務めている。メンバーは在京オーケストラの首席奏者を多く含む国内外の楽団やフリーの奏者など、若い世代を中心とした名手たち。彼らがホール開館直後から行っている「ベートーヴェン 交響曲全曲演奏会」(全7回)は、2016年7月の第1番に始まり、本作の第2番は2016年7月17日の第2回定期、第5番「運命」は2017年7月15日の第4回定期のライヴ録音である。

当シリーズにおける久石のコンセプトは、「作曲当時の小回りが効く編成で、現代的なリズムを活用した、ロックのようなベートーヴェン」、「往年のロマンティックな表現もピリオド楽器の演奏も、ロックやポップスも経た上で、さらに先へと向うベートーヴェン」であり、演奏もそれを具現している。そしてもう1つ見逃せないのが、NCOの表現意欲の強さだ。

コンサートマスターの近藤薫(東京フィルのコンサートマスターでもある)に話を聞いた際、彼は「クラシックは、伝統と確信が両立しなければいけないと思う。その点NCOは、ベテランから伝統を教わると同時に、少し何かが見えて次の展開に胸躍らせている30代が中心。それゆえ両方を併せもち、誰もがそうした立場を楽しんでいる。いわば演奏家ではなう音楽家の集合体。多様性があって、何にもでなれる。NCOの特徴は、この”皆が生きている”ところではないか」との旨を語っていた。

本作はまさに、久石のアプローチと、その意を自己表現に昇華させ得る”音楽家たち”のパフォーマンスが融合した、きわめて”Live”なベートーヴェンである。

ここでは番号順に特徴をみていこう。

第2番は、緩やかな序奏からリズムとアタックや細かな動きが鮮明に打ち出され、すでにムーヴしている。主部に入ると、弦楽器の生き生きとした刻みが推進力を倍加させ、絶え間なく前進を続ける。木管楽器の瑞々しい表現やティンパニの激しい打ち込みも効果的。これは本作の2曲全体に亘る特徴であり、前記の表現意欲の具体例でもある。第2楽章も緩徐楽章といえど動きが躍動し、それでいてしなやかな歌が流れていく、そのバランスが絶妙だ。第3楽章もリズムと音の動きが明確で、第4楽章は元々動的な音楽がより鮮烈に表出される。特に後半のダイナミズムは圧巻。この演奏を聴くと、まだ初期に属する第2番が、第3番に繋がる英雄様式と、第5番に通じる激しさを内包していることがよく分かる。

第5番は、第2番より熟達した中期の傑作であり、しかも1年後の演奏だ。にもかかわらず、ここで聴く両曲に質的な違和感が全くない。これは、当シリーズのコンセプトの揺るぎなさを証明している。

第5番は、当然のことながら前進性抜群で、テンポの速さが際立っている。だがそれは、メトロノームの指定に拠るものではなく、曲がもつ駆動力やエネルギーを表すための必然的な速さと言っていい。第1楽章は、動機の連鎖が生み出す活力や推進力が通常以上に強調される。第2楽章も速いテンポで弛緩なく進行。第3楽章がこれほど生気に富んでいるのも珍しい。そして第4楽章は圧倒的な勢いと力が横溢し、大管弦楽を凌ぐ迫力で突き進む音楽が、熱い感動を呼び起こす。久石は「巨大なオーケストラが戦艦やダンプカーだとすれば、NCOはモーターボートやスポーツカー」と語っていたが、この第5番は、まさしく強力なモーターボートで疾走するかのようだ。

ベートーヴェンの交響曲は1曲ごとに違った顔をもつ。それはむろん確かだが、当シリーズを聴くと、第1番や偶数番号の曲にも清新なパワーが通底し、どれもが”先へ先へと向っている”ことに気付かされる。やはりベートーヴェンは”ロックに通じる音楽”なのだ。

(しばた・かつひこ)

(CDライナーノーツより)

 

※諸石幸生氏による3ページにわたる曲目解説は割愛。詳細はCD盤にて。

 

 

極寒を吹き飛ばす久石譲のハレなベートーヴェン第2弾

今月の締めは、「ドラマ音楽の達人」久石譲が芸術監督を務める長野市芸術館をフランチャイズとしたナガノ・チェンバー・オーケストラによるベートーヴェン/交響曲ツィクルスのライヴ録音シリーズの第2弾、第5&2番。デビュー盤の第1&3番については、本欄の昨年8月号で「勢いの勝った痛快な演奏」とご紹介したが、今回の2曲にも指揮者・久石が語る「例えればロックのようにリズムをベースにしたアプローチで……」という基本姿勢が貫かれている。第1ヴァイオリン8の室内管編成の演奏は、すべての局面で陰もなく明快、シンプルな力感を添えながら超快速のテンポで運ばれる。ピリオドとモダンの要素を混合させながら、エッジを効かせた疾風怒濤のハレな表現は痛快すぎて、ベートーヴェン音楽の精神性などに思いを寄せる暇もないのだが、それはそれで心地よいのだ。

(「レコード芸術 2018年3月号 Vol.67 No.810」内 New Disc Collection項より)

 

 

 

 

[ベートーヴェン・ツィクルス第2弾]
ベートーヴェン:交響曲 第2番&第5番「運命」
久石譲(指揮)ナガノ・チェンバー・オーケストラ

ベートーヴェン
Ludwig Van Beethoven (1770 – 1827)

交響曲 第5番 ハ短調 作品67 「運命」
Symphony No.5 in C minor Op.67
1. 1 Allegro con brio
2. 2 Andante con moto
3. 3 Allegro
4. 4 Allegro

交響曲 第2番 ニ長調 作品36
Symphony No.2 in D major Op.36
5. 1 Adagio molto – Allegro con brio
6. 2 Larghetto
7. 3 Scherzo. Allegro
8. 4 Allegro molto

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (conductor)
ナガノ・チェンバー・オーケストラ
Nagano Chamber Orchestra

2016年7月17日(5.-8.)、2017年7月15日(1.-4.)
長野市芸術館 メインホールにてライヴ録音
Live Recording at Nagano City Arts Center Main Hall, 17 Jul. 2016 (5-8), 15 Jul. 2017 (1-4)

 

Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Nagano Chamber Orchestra
Concertmaster:Kaoru Kondo

Recording & Balance Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineers:Takeshi Muramatsu, Masashi Minakawa
Mixed and Mastered at EXTON Studio, Tokyo

and more…

 

Disc. 久石譲 『南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD』 *Unreleased

2018年2月2日 公開

映画:南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD
公開:2018年2月2日 中国 *日本公開未定
監督:吴有音
音楽:久石譲
主演:赵又廷、杨子姗

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
録音:ビクタースタジオ

 

映画公開に先がけて2月1日に「南极之恋 久石譲 MV / Original Music Score by Joe Hisaishi」動画が公開された。映画本編とレコーディング風景を編集した映像に、この映画のために書き下ろされたメインテーマを聴くことができる。

オーケストラを基調とした大きく包みこむような音楽。愛のテーマともいえる久石譲によるピアノ旋律。南極を舞台にした世界観を反映し、澄みきった壮大な曲想である。

またフルオーケストラのなか、エッセンスとしてデジタル音も低音域や効果音的に配置するなど、NHKシリーズ・ディープオーシャンをはじめとした直近の指向性が反映されている。

劇中音楽もあまり分厚くなりずきず歌いすぎず、リアリティを増す音楽設計がされている。それでもさすがエンタテインメント、盛り上げるところは盛り上げ、スリリングで緊迫感のある音楽、ミニマム手法を駆使した楽曲などが随所に詰め込まれている。

映画「花戦さ」や先に書いた「ディープオーシャン」の音楽を発展させたもの(手法として)、そこからつながる今の久石譲が大作映画・南極という舞台に置き換え、弦楽を前面に出した王道の映画音楽をつくりあげている。

レコーディング・データは不明のため、録音場所・演奏団体などはわからないが、ぜひとも映画日本公開そしてサウンドトラック盤の発売を叶えてほしい久石譲音楽である。

 

映画は現時点で日本未公開で、サウンドトラック盤も発売されていない。

 

 

Disc. 久石譲 『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』

2017年11月22日 CD発売

『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』
久石譲(指揮) フューチャー・オーケストラ

久石譲主宰Wonder Land Records × クラシックのEXTONレーベル夢のコラボレーション第2弾!未来へ発信するシリーズ!

久石譲が“明日のために届けたい”音楽をナビゲートするコンサート・シリーズ「ミュージック・フューチャー」より、アルバム第2弾が登場。

2016年のコンサートのライヴ・レコーディングから、選りすぐりの音源を収録した本作には、“現代の音楽”の古典とされるシェーンベルクの《室内交響曲第1番》に加え、アメリカン・ミニマル・ミュージックのパイオニアであるライヒの人気作《シティ・ライフ》、そして久石譲の世界初演作《2 Pieces》が並びます。新旧のコントラストを体感できるラインナップと、斬新なサウンド。妖・快・楽——すべての要素が注ぎこまれた究極の音楽を味わえる一枚です。

日本を代表する名手たちが揃った「フューチャー・オーケストラ」が奏でる音楽も、高い技術とアンサンブルで見事に芸術の高みへと昇華していきます。レコーディングを担当したEXTONレーベルが誇る最新技術により、非常に高い音楽性と臨場感あふれるサウンドも必聴です。

「明日のための音楽」がここにあります。

ホームページ&WEBSHOP
www.octavia.co.jp

(CD帯より)

 

 

解説 小沼純一

2016年におこなわれた「MUSIC FUTURE」、久石譲が始めたこのシリーズ、第3回目のコンサートで演奏された3作品を収録したのがこのアルバムとなります。初回が2014年で、「Vol.1」はヨーロッパの作品を、「Vol.2」ではアメリカ合衆国の作品を、そして今回、「Vol.3」ではヨーロッパの20世紀音楽の「古典」と、20世紀の終わりから21世紀現在のアメリカ、そして久石譲の作品をプログラムしています。

「MUSIC FUTURE」では、コンサート・ステージにはなかなかのらない「現代」の作品がプログラムされています。もしかしたらYouTubeなどで聴くことができる音楽もあるでしょう。でも、たくさんの音源がならんでいるなかから、ひとつの楽曲を選び、聴く、ことは容易ではありません。いえ、聴くことはできるでしょうが、何らかの見取り図のなかで聴いてみる、ある歴史性のなかで聴いてみる、というのはコンサートだからできる、コンサートという90分から2時間の「枠」のなか、誰かコーディネイトをする人がいてこそ、単独の楽曲がランダムにならぶだけではない、立体的な構成ができることではないでしょうか。そして、演奏する人たちの表情、姿、しぐさ、ナマでむこうやこっちからやってくる音とともに、そばにいる人たちが感じているもの、反応が、空気を媒介にして肌に届いてくる、そんななかで「聴く」ことが新しい体験になる。「MUSIC FUTURE」にはそんな意図があるようにおもえます。そして、ただコンサートで終わるだけではなく、ひとつの記録としてのCDアルバムができ、そういえばこの前のコンサートでおもしろかったあの曲を、とホールで手にとることができ、自宅で聴くことができれば、どうでしょう。コンサートでとはまた異なった体験が得られるかもしれないし、はじめてではわからなかったことに気づけるかもしれません。コンサートがあり、録音がある、とは、こうした体験の輻輳化が可能になることです。

アルバムでは、「Vol.3」のコンサート当日に演奏された5作品のなかから、3曲を収録しています。演奏された楽曲の数と、CDでの録音の数とは、「Vol.2」とおなじです。

ちょっと耳にすると小難しい、とりとめがない、そんな「現代音楽」を最初につくったといわれているひとり、シェーンベルク(1874-1951)の初期の作品から、21世紀も10年代になって発表された久石譲(1950-)の新作、最後に、20世紀もすぐ終わりといった時期のライヒ(1936-)の作品へ。

小難しい、とりとめのなか、そんな「現代音楽」という言い方をしました。でも、このアルバムに収められているシェーンベルクの作品は、そうした小難しさやとりとめのなさはありません。そんなふうになる「以前」の作品なのです。そして、その意味では、ほぼ110年の広がりを持つヨーロッパ・アメリカ合衆国・日本で生まれた作品ではありますけれど、ひとつの調性システム、ドレミファを基本に据えた音楽のさまざまなかたち、ということができるでしょう。「現代音楽」と呼ばれながらも、その広がりもまたかなりある。そんなことがこのコンサート、アルバムから知ることができるのです。

 

シェーンベルク:
室内交響曲第1番 ホ長調 作品9

「室内楽」ということばがあります。「交響曲」ということばもあります。その両方がくっついたような「室内交響曲」がここにあります。それほど多くはありませんが、いまでは「室内オーケストラ(管弦楽団)」もあります。ところが、20世紀になるまで、このフォーマットの作品はなかったのです。いえ、ダンスの音楽やソングの伴奏などにはあったのです。しかし、シリアスな作品がならぶコンサートではありませんでした。シェーンベルクは「室内交響曲」を2曲つくっていますが、これはその「第1番」で、その意味では世界ではじめて「室内楽」としてはちょっと大きい、「オーケストラ」としてはかなり小さい楽器編成で、代替のきかない音楽作品を生みだしたのです。「MUSIC FUTURE」は、(1管編成の)室内オーケストラに拘ったプログラミングをしてきていますから、そうした室内オーケストラの原点といえるシェーンベルク《室内交響曲第1番》をとりあげているのはひじょうに意味があります。

編成はピッコロ/フルート、オーボエ、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2、弦楽四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ)、コントラバスの15人。ただ人数が少ない、というだけではありません。それぞれの演奏家はアンサンブルの一員であるとともに、ソリストとしての責任を課されています。そこも新しいところです。そして、作曲者自身というところの音色旋律(Klangfarbenmelodie)を用いて、通常のメロディーとは違った、音色の変化そのものがメロディーとして認識されるといった手法が用いられています。シェーンベルクがここまで試してきたさまざまな作曲上の技法が、ここでは綜合されている、とみる人もいます。

全体はひとつの楽章からなっていますけれども、提示—スケルツォ—展開—アダージョ—終曲の5つの部分からなっています。いわば、1楽章のソナタのかたちと多楽章のかたちとをひとつに集約したとみられ、モデルとしてはフランツ・リストの《ピアノ・ソナタ》を挙げられます。

作曲は1906年。翌1907年にウィーンで作曲者自身の指揮で初演。1913年にも自身が指揮し、そのときは弟子のアントン・ヴェーベルン《6つのバガテル》とアルバン・ベルク《アルテンベルク歌曲集》の一部もプログラムにあって、一種のスキャンダルになりました。またアメリカ合衆国に亡命後、1935年にはより大きな編成のオーケストラに改変、「作品9-b」としてロスアンジェルスで演奏しています。

 

久石譲:
2 Pieces for Strange Ensemble

「MUSIC FUTURE Vol.3」、2016年10月に初演された作品です。タイトルをみると、それだけで「?」となるかもしれません。「Strange Ensemble」って何だろう?と。2つの対照的な楽曲がならびます。はじめは休止のはいり方、音のなくなり方で、ちょっとどきっとします。休止符は、そう、ときに、とても聴き手を驚かせるものなのです。〈Fast Moving Opposition〉は、まさにそうした休止を、反復音型のあいまになげこむことで、「聴き始め」のショックを与えます。そこからふつうのリズム・パターンになりますが、すると逆に、変化のないパターンに足で1拍1拍をとりながら、べつの音型の出現や休止、音色の変化などに上半身で反応してゆく、といったふうになります。〈Fisherman’s Wives and Golden Ratio〉は、画家サルバドール・ダリの作品からタイトルをとっていて、しかも、曲そのものとはつながりがない、と久石譲はプログラムノートに記していました。ここでは複数のリズムと、楽器「以外」の音色とがないまぜになります。ある意味、先のシェーンベルク《室内交響曲第1番》での音色旋律を現代風に踏襲しているといえるかもしれません。

 

スティーヴ・ライヒ:
シティ・ライフ

1936年生まれのスティーヴ・ライヒは、ここであらためて紹介するまでもなく、現代アメリカ合衆国を代表する作曲家というだけでなく、1960年代に生まれた「ミニマル・ミュージック」の創始者のひとりです。振り子が行ったり来たりするなかでスピーカーがハウリングをおこす作品や、2人のピアニストがおなじ音型を反復しながら少しずつずれてゆく作品といった、ひじょうにラディカルな「ミニマリズム」から、ほぼ50年、その音楽は、反復性を基本としながらも、大きく変化してきました。そして《シティ・ライフ》は、狭義の「ミニマル・ミュージック」では測りきれない独自性をもった作品です。

タイトルどおり、この作品は、都市での生活がテーマになっています。作曲者自身が住むニューヨークの街の音、環境音がサンプリングされ、作品のなかでひびきます。ピアノやマリンバといった楽器によるリズムは人びとの歩いたり生活したりするリズムを、管楽器や弦楽器による持続音はビル街の存在感や活気のある街の空気を、そしてサンプリングされた音は、楽器音のなかにより具体的な都市間をつくりだす——そんなふうにみることもできるでしょう。でもそうだとしたら、サンプリングされた都市の音はただの素材にすぎません。それだけではなく、ここにあるのは、聴く人が、コンサートホールで演奏を聴いたり、自室のステレオで録音を聴いたりという環境と、一歩外にでて街のなかを歩くことがパラレルになっている、その二重三重の、いわばヴァーチャルな音環境が「作品」化されているところになります。《シティ・ライフ》は心地良い音楽です。他方、こういう環境があたりまえで、かつ心地良いというのはどういうことなのか、人が生きている、生活しているときにかかわる音や音楽はどうあったらいいのか、そんなことも作品は問い掛けてきます。つまりは、カナダの作曲家、マリー.R.シェーファーが提起した、「サウンドスケープ」という概念を、音楽作品をとおして、喚起している——そんなふうに言ったら、うがちすぎでしょうか。

1995年、3つの国の現代音楽アンサンブル(ドイツのアンサンブル・モデルン、イギリスのロンドン・シンフォニエッタ、フランスのアンサンブル・アンテルコンタンポラン)からの共同委嘱により作曲。全体は5つの部分からなります。奇数の楽章には声のはいったサンプリングが用いられるのも特徴です。

編成はフルート2、オーボエ2、クラリネット2、ピアノ2、サンプリング・キーボード2、パーカッション3または4、弦楽四重奏、コントラバス、です。

(こぬま・じゅんいち)

(「MUSIC FUTURE II」CDライナーノーツ より)

 

 

~「MUSIC FUTURE Vol.3」コンサートプログラムより

挨拶 久石譲

今年で3回めを迎えることができて、主催者として大変うれしい限りです。本来インディーズとして小さな集いでしか発表できない現代の楽曲をこの規模で行えることは、評論家の小沼純一さん曰く「世界でもあり得ないこと」なのだそうです。徐々に皆さんからの支持をいただいていることは、多くの優れた演奏家から出演してもいいという話をいただくことからも伺えます。新しい体験が出来るこの「MUSIC FUTURE」をできるかぎり継続していくつもりです。

自作について

《2 Pieces for Strange Ensemble》はこのコンサートのために書いた楽曲です。当初は「室内交響曲第2番」を作曲する予定でしたが、この夏に《The East Land Symphony》という45分を超す大作を作曲(作る予定ではなかった)したばかりなので、さすがに交響曲をもう一つ作るのは難しく、それなら誰もやっていない変わった編成で変わった曲を作ろうというのが始まりでした。

ミニマル的な楽曲の命はそのベースになるモチーフ(フレーズ)です。それをずらしたり、削ったり増やしたりするわけですが、今回はできるだけそういう手法をとらずに成立させたい、そんな野望を抱いたのですが、結果としてまだ完全に脱却できたわけではありません、残念ながら。発展途上、まだまだしなくてはいけないことがたくさんあります。

とはいえ、ベースになるモチーフの重要性は変わりありません。例えばベートーヴェンの交響曲第5番「運命」でも第7番でも第9番の第4楽章でも誰でもすぐ覚えられるほどキャッチーなフレーズです。ただ深刻ぶるのではなく、高邁な理念と下世話さが同居することこそが観客との唯一の架け橋です。

ベートーヴェンを例に出すなどおこがましいのですが、今回の第1曲はヘ短調の分散和音でできており、第2曲は嬰ヘ短調(日本語にすると本当に難しそうになってしまう、誰か現代語で音楽用語を作り替えてほしい)でできるだけシンプルに作りました。しかし、素材がシンプルな分、実は展開は難しい。どこまでいっても短三和音の響きは変わりなくさまざまな変化を試みるのですが、思ったほどの効果は出ない。ミニマルの本質はくり返すのではなく、同じように聞こえながら微妙に変化していくことです。大量の不協和音をぶち込む方がよっぽど楽なのです。その壁は沈黙、つまり継続と断絶によって何とか解決したのですが、それと同じくらい重要だったのはサウンドです。クラシカルな均衡よりもロックのような、例えればニューヨークのSOHOでセッションしているようなワイルドなサウンド(今回のディレクターでもあるK氏の発言)を目指した、いや結果的になりました。

大きなコンセプトとしては、第1曲は音と沈黙、躍動と静止などの対比、第2曲目は全体が黄金比率1対1.618(5対8)の時間配分で構成されています。つまりだんだん増殖していき(簡単にいうと盛り上がる)黄金比率ポイントからゆっくり静かになっていきます。黄金比率はあくまで視覚の中での均整の取れたフォームなのですが、時間軸の上でその均整は保たれるかの実験です。

というわけで、いつも通り締切を過ぎ(それすらあったのかどうか?)リハーサルの3日前に完成? という際どいタイミングになり、演奏者の方々には多大な迷惑をかけました。額に険しいしわがよっていなければいいのですが。

1.〈Fast Moving Opposition〉は直訳すれば「素早く動いている対比」ということになり、2.〈Fisherman’s Wives and Golden Ratio〉は「漁師の妻たちと黄金比」という何とも意味不明な内容です。

これはサルバドール・ダリの絵画展からインスピレーションを得てつけたタイトルですが、すでに楽曲の制作は始まっていて、絵画自体から直接触発されたものではありません。ですが、制作の過程でダリの「素早く動いている静物」「カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽」が絶えず視界の片隅にあり、何かしらの影響があったことは間違いありません。ただし、前者の絵画が黄金比でできているのに対し、今回の楽曲作りでは後者にそのコンセプトは移しています。この辺りが作曲の微妙なところです。

日頃籠りがちの生活をしていますが、こうして絵画展などに出かけると思わぬ刺激に出会えます。寺山修司的にいうと「譜面(書)を捨てて街に出よう」ですかね(笑)

いろいろ書きましたが、理屈抜きに楽しんでいただけると幸いです。

(ひさいし・じょう)

(「MUSIC FUTURE II」CDライナーノーツ より)

 

 

フューチャー・オーケストラ
Future Orchestra

2014年、久石譲のかけ声によりスタートしたコンサート・シリーズ「MUSIC FUTURE」から誕生した室内オーケストラ。現代的なサウンドと高い技術を要するプログラミングにあわせ、日本を代表する精鋭メンバーで構成される。”現代に書かれた優れた音楽を紹介する”という野心的なコンセプトのもと、久石譲の世界初演作のみならず、2014年の「Vol.1」ではヘンリク・グレツキやアルヴォ・ペルト、ニコ・ミューリーを、2015年の「Vol.2」ではスティーヴ・ライヒ、ジョン・アダムズ、ブライス・デスナーを、2016年の「Vol.3」ではシェーンベルクのほか、マックス・リヒターやデヴィット・ラング等の作品を演奏し、好評を博した。”新しい音楽”を体験させてくれる先鋭的な室内オーケストラである。

(CDライナーノーツ より)

 

 

 

久石譲:2 Pieces for Strange Ensembleについて

編成は、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ヴィブラフォン、パーカッション、ドラムス、ピアノ 2、サンプリング・キーボード、弦楽四重奏、コントラバス、だったと思います。こちらもスティーヴ・ライヒ作品にもあったような、アコースティック楽器(アナログ)とサンプラー(デジタル)の見事な融合で、至福の音空間でした。デジタル音は低音ベースや低音パーカッションで効果的に使われていたように思います。一見水と油のような特徴をもったそれらが、よくうまく溶け合った響きになるものだと感嘆しきりでした。CDならば、ミックス編集などでバランスは取りやすいかもですが、コンサート・パフォーマンスで聴けたことはとても貴重でした。

例えば、ピアノを2台配置することで、ミニマル・フレーズをずらして演奏している箇所があります。ディレイ(エコー・こだま)効果のような響きになるのですが、CDだと、コンピューターで編集すれば、ピアノ1の音色をそのまま複製して加工すればいい、などと思うかもしれません(もちろん割り振られたフレーズが完全一致ではないとは思いますが)。そういうことを、アコースティック・ピアノ2台を置いて、互いに均一の音幅と音量で丁寧にパフォーマンスしていたところ、それを直に見聴きできたことも観客としてはうれしい限りです。

1.「Fast Moving Opposition」は、前半12拍子と8拍子の交互で進みます。これも指揮者を見る機会じゃないとおそらく聴いただけではわかりません。この変拍子によって久石譲解説にもあった今回の挑戦である「音と沈黙、躍動と静止、継続と断絶」という構成をつくりだしているように思います。中盤からドラムス・パーカッションが加わり、4拍子独特のグルーヴ感をもって展開していきます。

2.「Fisherman’s Wives and Golden Ratio」は、こちらも指揮者を見ても拍子がわからない変拍子でした。「黄金比率の時間配分で構成」についてはまったくわかりませんでした、難しい。管楽器奏者が口にマウスピースのみを加えて演奏するパートもありました。声なのか音なのか、とても不思議な世界観の演出になります。

言うなれば、贅沢な公開コレーディングに立ち会っている感覚すら覚えたほどです。アコースティック楽器とデジタル楽器、スタジオ・レコーディングならば、1パートずつ録音していくようなそれを、一発勝負で響かせて最高のテイクを奏でるプロたち。スコアを視覚的に見て取るように「あ、今のこの音はこの楽器か」とわかるところも含めて、贅沢な公開レコーディングに遭遇したような万感の想いです。

おそらくとても難解、いやアグレッシブな挑戦的なこと高度なことをつめこんでいる作品だろうと思います。一聴だけでは、第一印象と目に見えた範囲のことでしか語れないので、あまり憶測やふわっとした印象での見解は控えるようにします。1年後?CD作品化された暁には、聴けば聴くほどやみつきになりそうな、味わいがにじみ出てくるような作品という印象です。

 

素早く動いている静物
《素早く動いている静物》 (1956年頃) サルバドール・ダリ

カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽
《カダケスの4人の漁師の妻たち、あるいは太陽》 (1928年頃) サルバドール・ダリ

 

Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.3」 コンサート・レポート より所感抜粋)

 

 

CD鑑賞後レビュー追記

全編をとおして、耳が喜ぶ刺激、そんな音楽です。レコーディングとしても非常にクオリティの高い最高音質には脱帽です。よくぞここまで刻銘に記録してくれました!という言うことでしか表現が浮かびません。

コンサートで聴いたときとはまた違う、収まりのいい録音という音響だからこそ、見えてくる緻密さや聴こえてくる前後左右からの音、新しい発見がたくさんあります。小編成コンサートのシャープでソリッドで立体的な響き、作品の特性もあるのかときにむきだしなほどに鋭利な楽器の音たちは、それだけでも一聴の価値があるほど、ふだんの日常生活ではまた日常音楽では聴くことのできないものです。

 

久石譲作品について。

重厚でパンチの聴いたサンプリング・ベースがかっこいい。この作品を支配する大きな軸になっていると思います。クラブ・ミュージックを彷彿とさせながらも、音と沈黙によって一筋縄ではいかない、踊り流れておわってしまうことのない不思議な世界観を醸しだしています。またこの作品で追求した構成やサンプリング音(低音や金属音の種)は、その後「ダンロップCM音楽」(2016)やNHK「ディープ・オーシャン」(2016-2017)といったエンターテインメント音楽へも派生していきます。そういう点においても、実験的な試みをしただけにとどまらず、今久石譲が求める音を追求したワイルドなサウンドまで。具現化した完成度の高さでこの作品が君臨したからこそ、その先へつながっていると思うと、重要なマイルストーンとなる作品です。なにはともあれ、理屈うんぬんかっこいい!聴けば聴くほどに味がでる、今までに聴くことのできなかった新鮮で刺激的な音楽に出会えたことはたしかです。これがこれから長い時間をかけて聴きなじみ自分のなかへ吸収されていくとしたら、それはまさに快楽といえるでしょう。

 

 

 

アルノルト・シェーンベルク
Arnold Schönberg (1874-1951)
1. 室内交響曲 第1番 ホ長調 作品9 (1906)
 Chamber Symphony No.1 in E major, Op.9

久石譲
Joe Hisaishi (1950-)
2 Pieces for Strange Ensemble (2016) [世界初演]
2. 1. Fast Moving Opposition
3. 2. Fisherman’s Wives and Golden Ratio

スティーヴ・ライヒ
Steve Reich (1936-)
シティ・ライフ (1995)
City Life
4. 1 Check it out
5. 2 Pile driver / alarms
6. 3 It’s been a honeymoon – can’t take no mo’
7. 4 Heartbeats / boats & buoys
8. 5 Heavy smoke

久石譲(指揮)
Joe Hisaishi (Conductor)
フューチャー・オーケストラ
Future Orchestra

2016年10月13日、14日、東京、よみうり大手町ホールにてライヴ録音
Live Recording at Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, 13, 14 October, 2016

 

JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE II

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Future Orchestra
Live Recording at Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, 13, 14 October, 2016

Produced by Joe Hisaishi
Recording & Mixing Engineer:Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineer:Takeshi Muramatsu
Mixed at EXTON Studio, Tokyo
Mastering Engineer:Shigeki Fujino (UNIVERSAL MUSIC)
Cover Desing:Yusaku Fukuda

and more…

 

Disc. 久石譲 『室内交響曲第2番《The Black Fireworks》〜バンドネオンと室内オーケストラのための〜』 *Unreleased

2017年10月24日「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.4」にて初演。

室内交響曲第2番《The Black Fireworks》〜バンドネオンと室内オーケストラのための〜 
1. The Black Fireworks / 2. Passing Away in the Sky / 3. Tango Finale
初演:2017年10月24日 よみうり大手町ホール
演奏:久石譲(指揮)、三浦一馬(バンドネオン)、フューチャー・オーケストラ

 

バンドネオンでミニマル!というアイデアが浮かんだのは去年のMFで三浦くんと会ったときだった。ただコンチェルトのようにソロ楽器とオーケストラが対峙するようなものではなく、今僕が行っているSingle Trackという方法で一体化した音楽を目指した。Single Trackは鉄道用語で単線ということですが、僕は単旋律の音楽、あるいは線の音楽という意味で使っています。

普通ミニマル・ミュージックは2つ以上のフレーズが重なったりズレたりすることで成立しますが、ここでは一つのフレーズ自体でズレや変化を表現します。その単旋律のいくつかの音が低音や高音に配置されることでまるでフーガのように別の旋律が聞こえてくる。またその単旋律のある音がエコーのように伸びる(あるいは刻む)ことで和音感を補っていますが、あくまで音の発音時は同じ音です(オクターヴの違いはありますが)。第3曲の「Tango Finale」では、初めて縦に別の音(和音)が出てきますが、これも単旋律をグループ化して一定の法則で割り出したものです。

そういえばグラスさんの《Two Pages》は究極のSingle Trackでもあります。この曲から50年を経た今、新しい現代のSingle Trackとして自作と同曲を同時に演奏することに拘ったのはそのためかもしれません。

全3曲約24分の楽曲はすべてこのSingle Trackの方法で作られています。そのため《室内交響曲第2番》というタイトルにしてはとてもインティメートな世界です。

また副題の《The Black Fireworks》は、今年の8月福島で中高校生を対象にしたサマースクール(秋元康氏プロデュース)で「曲を作ろう」という課題の中で作詞の候補としてある生徒が口にした言葉です。その少年は「白い花火の後に黒い花火が上がってかき消す」というようなことを言っていました。その言葉がずっと心に残り、光と闇、孤独と狂気、生と死など人間がいつか辿り着くであろう彼岸を連想させ、タイトルとして採用しました。その少年がいつの日かこの楽曲を聴いてくれるといいのですが。

久石譲

(「ミュージック・フューチャー vol.3」コンサート・パンフレット より)

 

 

さて、久石譲新作「室内交響曲第2番《The Black Fireworks》~バンドネオンと室内オーケストラのための~」について。単旋律の音楽ということで、約27分全3曲一貫した単旋律で構成されています。

単旋律というキーワードを掘り下げたときに、「Single Track Music 1」(吹奏楽版・2014年)「Single Track Music 1」(サクソフォン四重奏と打楽器版・2015年/「Minima_Rhythm II」CD収録)があります。この作品を聴いたときに、なにか新しい挑戦がはじまった布石のような作品かもしれない、と少し時間が経過してから思った記憶があります。このSingle Track(=単旋律の音楽、線の音楽)が久石譲のなかでも大きなテーマのひとつになっていることを今回パンフレットでも感じとることができました。

単旋律について多くを語ることができません。なにが醍醐味でなにが組み立ての妙で、という専門的なことがまったくわからないからです。パンフレット久石譲解説と、「Singe Track Music 1」の吹奏楽版久石譲解説、CD作品「ミニマリズム2」評論家による専門的解説の項を読んでいただき、理解を深めていただければ幸いです。

 

今言えること。約27分にも及ぶ長大な単旋律にもかかわらず、決して単調とも単純とも思うことの絶対にない豊かで広がりのある作品。この先どんな展開をしていくのか気になって仕方のないあっという間の時間。単旋律ながら広がり奥ゆき厚みのある立体的な音楽。不思議な迫力です。

三浦一馬さんのバンドネオンも相当な演奏難易度だったと思います。張り詰めた緊張感と真剣なる熱演。久石譲指揮とオーケストラ奏者、ステージ全体が気迫に包まれそのエネルギーだけでも圧倒されてしまうほど。「今自分たちが届けたい音楽はこうだ!」と野心と確信にみなぎったオーラで、それはまさに狂気。

なにか不思議な魅力を感じます。とても個人的な解釈だけでもって言葉にすることを許されるならば。始点と終点がわからない魅力、待ちうける展開の魅力。単旋律ということはハーモニーがない、和声がないということですよね(ここが間違っていると根底から覆される)。どこまでも1本の旋律であり多声の伴奏や対旋律のない音楽。メロディやコード進行がはっきりしているということはその音楽の起承転結がわかりやすいということです。小学校の「起立・礼・着席」をピアノで伴奏することもコード進行のひとつです。全3曲ともにパートが展開しているはずなのですが、どこが始点かどこが終点かわからない。次につながる展開もよめない。フィリップ・グラス「Two Pages」は4-5音からなる基本音型(モチーフ)があってそれが伸縮展開していくわけですが、久石譲作品は単旋律が様々な装いでおり重なっているように聴こえます。実に入りくんでいる、実に難しい、としか言えないのです。

実際に鳴っている楽器や音色はとても緻密で細かく配置され豊かな世界を構築しているのだけれど、別の見方をすると全体を大きく太い線1本で貫かれているような。そして、普段耳にする多くの音楽が複旋律・多声音楽(ポリフォニー)であり、それぞれが独立した旋律をもつことで音楽三要素のメロディ・ハーモニー・リズムがつくられ、メロディと異なる伴奏や対旋律によって奏でられているとしたときに。これはすごい!と思うわけです。単旋律でメロディ(モチーフ)を奏でることはもちろん、分散和音のように音を散らすことやおり重なり交錯するフレーズでハーモニー的響きを錯覚させ、ズレや変化によってグルーヴ感のあるリズムを生み出す。もしあまりにも見当違いな勘違いをしていないのならば、これはすごい!と思うわけです。

こういう音楽って聴き飽きることがないだろうな、とまたすぐにでも聴きたい衝動にかられます。ループのようでありエンドレスのようであり、でも同じところをぐるぐる廻っているわけではなく螺旋のように上昇下降と展開をもった音楽。単旋律って日本固有の響きとしても親和性があるのかなあ、そんなことも頭をかすめたりしますが、今感覚だけで語るのはここまで。ぜひ1年越しにCD化されるならば、そのときにまたしっかり向き合って聴き楽しみたい作品です。

~*~

そして、自作の新作については、興味深いコメントも。これは自分が勝手にそう思ったそう捉えたということだがとことわったうえで、サマースクールでの生徒の言葉が副題となった「白い花火の後に黒い花火が上がってかき消す」、東日本大震災を経験した彼の発したこの言葉にいろいろと思いずっと心に残っていた、というようなことをおっしゃっていました。また、パンフレットでは約24分となっていますが、おそらく27分くらいあります、とも。サマースクールについては下記インフォメーションも発信していますのでぜひご覧ください。

Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー vol.4」 コンサート・レポート より抜粋)

 

同シリーズコンサートは開催1年後にライブ音源化されることが慣例となりつつある。この作品もCD化される日がくること願っている。