Disc. 久石譲 『Kids Return』

1996年6月26日 CD発売 POCH-1576
2005年10月5日 CD発売 UPCY-9003
2021年11月27日 LP発売 PROS-7035

 

1996年公開 映画「Kids Return」
監督:北野武 音楽:久石譲 出演:安藤政信 金子賢 他

 

 

[あらすじ]

懐かしい顔をシンジ(安藤政信)は見つけた。高校時代の同級生マサル(金子賢)。あの頃ふたりが熱中していたのは自転車の曲乗りだ。シンジがハンドルに後ろ向きに乗ってペダルを漕ぎ、マサルが荷台に跨って舵を取る。コツは息をぴったり合わせること。そうやって校庭に描いた軌跡のように、ふたりの道のりはいつまでも途切れず続くと思っていた。

マサルはやりたいと思えばすぐに行動し、ダメと分かればすぐあきらめて次のことをやる。自分がやりたいことだけをやってシンジとつるんで楽しく生きている。なじみのサテンで一服し、看板娘のサチコ(大家由祐子)に色目をつかうヒロシ(柏谷享助)を茶化し、気分が乗れば学校へ向かう。ホーキで作った”先公人形”を屋上から吊るし、キザな若手教師の自慢の新車を焼け焦げにしたり…そんなふたりは、担任(森本レオ)の目には”落ちこぼれ”としか映らない。

大学入試が近づき、授業もテクニック重視の実戦型に変わって、気ままなふたりの生活にも変化が訪れた。カツアゲた高校生の、助っ人ボクサーに叩きのめされたマサルはボクシングに励み、シンジも誘われるままジムに入門した。そんなある夜、いい気分で入ったラーメン屋でヤクザ(寺島進)に絡まれ、あわやのところを貫禄でさばいた若頭(石橋凌)にマサルは尊敬の眼差しを浮かべる。

数か月後、シンジは前座戦でデビューを飾り、やがて挑戦者の資格を得た。トレーナーがセンスを見抜き、コーチが口説いて、会長(山谷初男)以下ジムをあげてシンジをチャンピオン候補に育て上げてきたのだ。しかしジムにはマサルの姿はない。いつも後ろにつき従っていたシンジに、遊び半分のスパーリングで鮮やかなカウンターを食らって以来、マサルは姿を消したのだ……。

 

 

 

〈episode 3〉
特にこの作品のエンディングは、かなり印象的なシーンに仕上がりましたね。主人公の2人が「もう俺たち終ったのかな」「まだ始まってもいねぇよ」と言った瞬間にドーンとテーマ音楽とエンド・ロールが入ってくる。普通ロール・チャンスというと、映画の本編が終わり、ポツポツと立ち上がるお客さんに向けた”どうぞお帰り下さい”の合図みたいになりがちですが、でも「まだ始まってもいねぇよ」の台詞のあとにきわめて激しく飛び込んでくるこの作品の音楽は、ロール・チャンスをも作品の一部として取り込んでしまうほどの迫力があるし、それがあるから直前のシーンもより生きてくるという相乗効果をもたらしていると思うんです。メインテーマのキャッチーさでいえば、「菊次郎~」とともに、メロディメイカーとしての久石さんの力量を再認識させられます。

〈サウンドトラック制作進行ノート〉
1995年10月27日 調布にっかつ撮影所にて前半部のラッシュを見る。その後打ち合わせ。
1996年2月16日 にっかつ撮影所にてオールラッシュ。監督を交え最終打ち合わせ。
1996年2月29日 代々木にあるワンダーステーション2st.にて音楽制作開始。
1996年3月13日 音楽制作日程終了。

(「joe hisaishi meets kitano films」CDライナーノーツより)

 

 

「音楽的にいうと、僕は10代・20代の子が主人公だから、音楽は元気なものでやる必要性を感じていたんで、相当リズミックにしましたね。底辺のベースにあるのはユーロビート、もっというとディスコビートみたいなもの、その上に来るのが印象に非常に残るのに、歌おうと思うと歌えないくらい、拒否しているメロディなんですよ。北野さんもあのメロディをすごく気に入ってくれて、「いや~、メロディ残るなあ。いいよこれは」っておっしゃって、すごくうれしかったですね。特にラストシーンがね、「まだ始まっちゃいねえよ」って言った瞬間に、ピストルの音をサンプリングしたんですけど、ドヒューンといって、エンドロールになりますよね。もう「この効果狙ったね」って言われるくらいハマっちゃったんでね。あそこは北野さんも喜んじゃって「あのエンドロールのために映画があったなあ」なんてね。

あれはね、不思議な話、北野さんの事故後の復帰の映画であると同時に、僕にとっても復帰作だったんですよ、こんなこと話すのは初めてなんだけど。映画音楽から離れて、自分のソロアルバムをつくったり、他人のプロデュースをしたりしていて、1年半か2年のブランクがあった。そこへちょうど偶然にも、日本を代表する二人の監督に同時に頼まれたんで、「これはもう復帰しなきゃな」と。先にできたのが『キッズ・リターン』で、その次に『もののけ姫』の準備にかかった。そういう意味で『キッズ・リターン』は相当大事にしてつくった作品です。」

Blog. 「キネマ旬報増刊 1998年2月3日号 No.1247」北野武映画 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「あれは本当に、最後の最後に録った。ピアノは、実際に弾いて入れた音はすごく少ないんですよ。でも、それが印象に残るぐらい、生の存在感ってあるんですよね。それはプレイヤーの質もあるけどね。でも、結果的にピアノが目立ってくれて、僕自身は本当にほっとしているし、嬉しく思いますね(笑)。」

「”ミニマル”っぽいやつね。あれは、すごく苦労しました。ヤマハのVP-1とVL-1に、いくつか音色をブレンドして、あの空気感が出るまでやってみたんです。だから、あれを聴いた人はなかなか打ち込みとは思わないと思う。」

Blog. 「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1996年8月号 No.139」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

久石譲 『Kids Return』

1. MEET AGAIN
2. GRADUATION
3. ANGEL DOLL
4. ALONE
5. AS A RIVAL
6. PROMISE…FOR US
7. NEXT ROUND
8. DESTINY
9. I DON’T CARE
10. HIGH SPIRITS
11. DEFEAT
12. BREAK DOWN
13. NO WAY OUT
14. THE DAY AFTER
15. KIDS RETURN

All Composed & Arranged by Joe Hisaishi

プロデュース・作曲・編曲・演奏:久石譲

ゲスト・ミュージシャン
角田順(ギター)
梯郁夫(パーカッション)

レコーディング・スタジオ:ワンダーステーション
レコーディング・エンジニア:浜田純伸(ワンダーステーション)
アシスタント・エンジニア:石原裕也(ワンダーステーション)
シンセサイザー・オペレーター:山田友規(ワンダーステーション)

 

コメントする/To Comment