Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート

Posted on 2019/08/14

8月1日から8月12日まで国内7都市8公演で巡った「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサートツアー。

❝久石譲と新日本フィルによるワールド・ドリーム・オーケストラ、発足から15年。
これまでの集大成として組曲「World Dreams」を披露!
宮崎駿監督の楽曲を交響組曲にするプロジェクト、今年は「魔女の宅急便」!❞

キャッチコピーに胸躍りチケットは即SOLD OUT、期待と楽しみ膨らんだファンの熱気と興奮は各会場ともスタンディングオベーションと鳴り止まないカーテンコール、大きな感動につつまれました。

 

 

まずは演奏プログラム・アンコールのセットリストから。

 

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2019

[公演期間]  
2019/08/01 ~ 2019/08/12

[公演回数]
8公演
8/1 静岡・静岡市民文化会館 大ホール【A】
8/2 愛知・愛知県芸術劇場 コンサートホール 【A】
8/5 広島・ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ 【B】
8/6 長崎・長崎ブリックホール 【B】
8/8 東京・サントリーホール 【A】
8/9 東京・サントリーホール 【B】
8/11 京都・京都コンサートホール 大ホール 【B】
8/12 兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 【A】

[編成]
指揮:久石 譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣

[曲目]
【PROGRAM A】 All Music by Joe Hisaishi
組曲「World Dreams」 *世界初演
1.World Dreams
2.Driving to Future
3.Diary

ad Universum *世界初演
1.Voyage
2.Beyond the Air
3.Milky Way
4.Spacewalk
5.Darkness
6.Faraway
7.Night’s Globe
8.ad Terra

—-intermission—-

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings *改訂初演
Woman
Pnoyo on the Cliff by the Sea
Les Aventuriers

Kiki’s Delivery Service Suite *世界初演

—-encore—-
Il Porco Rosso (Pf.Solo)
Merry-Go-Round

 

【PROGRAM B】 All Music by Joe Hisaishi
組曲「World Dreams」 *世界初演
1.World Dreams
2.Driving to Future
3.Diary

Deep Ocean
1.the deep ocean
2.mystic zone
3.trieste
4.radiation
5.evolution
6.accession
7.the origin of life
8.the deep ocean again
9.innumerable stars in the ocean

—-intermission—-

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings *改訂初演
Woman
Pnoyo on the Cliff by the Sea
Les Aventuriers

Kiki’s Delivery Service Suite *世界初演

—-encore—-
Summer (Pf.Solo) ※広島/長崎/東京
あの夏へ (Pf.Solo) ※京都
Merry-Go-Round

 

About
Kiki’s Delivery Service Suite

Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

Mandolin:Tadashi Aoyama
Accordion:Tomoni Ota

[参考作品]

久石譲 千と千尋の神隠し 組曲 久石譲 『Another Piano Stories』 久石譲 『魔女の宅急便 サントラ音楽集』 久石譲 『ENCORE』

 

 

さて、個人的な感想はひとまず置いておいて、会場にて販売された公式パンフレットより紐解いていきます。

 

Program Interview

ーWORLD DREAM ORCHESTRA(W.D.O.)の活動を再開して以降、今年で6回目のツアーです。

久石:
W.D.O.は2004年から活動を始めました。最初の頃、第1期と呼べる時期は、ロックもポップスも含め、様々な世界中の音楽をオーケストラ作品として表現してきました。2年間の小休止後、第2期が始まり、自分の作品を中心に演奏してきました。今年はその第2期の区切りの年だと捉えています。

ーテーマ曲でもある「World Dreams」が組曲になりますね。

久石:
「World Dreams」は活動を始めた2004年に作った曲です。2001年に9.11(米同時多発テロ)が起きてから、世界はバラバラになって今までの価値観ではもうやっていけなくなるという感覚が自分の中で強くありました。だからこそ、世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思ったんです。

実は「World Dreams」を組曲にしたいという構想はこれまでもありましたが、今年テレビ番組(「皇室日記」)からオファーを受けて「Diary」を書いた時に「World Dreams」の世界観と通じるものがあると感じ組曲にしました。

ーAプロでは次の曲が「ad Universum」です。

久石:
今年オープンしたプラネタリウム(コニカミノルタ プラネタリウム)のために書いた曲を組曲として構成し直しました。宇宙がテーマだったので、ミニマル・ミュージックでありながら聴きやすさを大事にして作った曲です。つまり相反する要素を一つの曲の中で表現している。そういう意味ではBプロで演奏する深海をテーマにした「Deep Ocean」の続編としての側面もあります。

ーBプロは今お話に出た「Deep Ocean」。

久石:
もともとはNHKの番組「深海」シリーズのために書いた曲です。ストイックでありながら、難しくなってしまうギリギリ手前で楽しんでもらえる曲になっていると思います。

ー後半は「Woman」から始まります。

久石:
ここ数年挑んでいるピアノと弦楽オーケストラの形です。指揮者としてオーケストラと対峙する関係と違い、演奏者として一体感が高く、とても好きなスタイルです。一方、指揮者もやらなければならないので、とてもハードなスタイルでもあります。作曲家の久石譲さんは演奏家にとても厳しいので、ピアニストとしてはいつも大変です(笑)。

今回はハープともう一台のピアノ、パーカッションを入れました。「Woman」「Ponyo on the Cliff by the Sea」「Les Aventuriers」の3曲とも「Another Piano Stories」というアルバムに入っていた曲です。12人のチェロとピアノ、ハープとパーカッションという特殊な編成のバージョンをベースにしながら、今回のツアーのために書き直ししました。

ー最後は「Kiki’s Delivery Service Suite」。

久石:
W.D.O.の第2期では宮崎駿監督作品を交響組曲にするシリーズを続けてきました。今年は「魔女の宅急便」です。

映画用に書いた曲というのは、台詞や物語の流れを踏まえ、音楽があえて語り過ぎないようになっています。さらにもともとこの作品は軽めのヨーロピアンサウンドを目指して作った曲です。それをシンフォニックな曲にしてしまうのは違うと思い、ずいぶん悩みました。今から30年前に書いた曲で、譜面もまともに残っていなかったのにも苦労しました(笑)。今回のツアーではアコーディオンとマンドリンの奏者を加え、映画の世界観を追体験しながら、音楽を存分に楽しんでもらえたら嬉しいですね。

ー今後のW.D.O.については。

久石:
最初にお話しした通り、今回が第2期の区切りです。オーケストラのコンサートで一人の作曲家が自作品だけで様々なプログラムを提示し、続けてこられたことは奇跡で、それが実現できたのはお客様の期待あってのこと。本当に感謝しています。第3期をどうしていくか。大事なことはお客様だけでなく、自分もオーケストラも心からエキサイティングな気持ちで臨めることだと思います。そのことを今年のツアーを通じて考えていきたいですね。

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・パンフレット より)

 

 

 

 

さて、久石譲本人による楽曲解説で充分にコンサートの雰囲気は伝わると思います。補足程度に感想や参考作品、アンコールもまじえてご紹介していきます。

 

組曲「World Dreams」 【AB】
15周年を華やかに飾る組曲化で壮大に。2004年発足時にW.D.O.テーマ曲として書き下ろされた「World Dreams」が第1曲に。『Spirited Away Suite』(2019CD)にも収録されている永遠の定番です。近年はアンコールで披露されることも多かったなか、今年は堂々とコンサートの幕開けに響きわたります。

第2曲に書き下ろされた「Driving to Future」は本邦初披露。ミニマルベースの明るい曲で、木管楽器や打楽器が弾むようにキラキラと飛び交い、ストリングスの大きなフレーズが流れるように広がります。精巧に散りばめられた管楽器・打楽器の短いモチーフのズレと、ゆったりと大きく歌うフレーズが後から追っかけてくる弦楽器の旋律のズレ。今最も旬な久石譲のアプローチがつまっています。メロディのはっきりした性格をもつ第1曲と第3曲にはさまれたこの曲は、絶妙な立ち位置でこの組曲の世界観を広げているように思います。イメージを狭める先入観は避けたいですが、TV番組『シリーズ ディープオーシャン』や映画『海獣の子供』とりわけ「10.ジンベエザメ」「9.出航」「11.嵐の中のふたり」あたりを彷彿とさせる(アプローチ・楽想・ハーモニーなど)と聴きながら思っていました。

第3曲「Diary」はTV番組『皇室日記』の新テーマ曲として2019年5月から使用されている楽曲。TV版は約3分の楽曲として一度だけO.A.されたことがありますが、それとは異なる組曲用の再構成、大幅にドラマティックに加筆されていました。第1曲のキメのフレーズが再循環で登場したりと、組曲を統一するにふさわしい壮大なオーケストレーション。

楽章間の拍手をなくすためか、コンサートでは3つの曲がなめらかにつながって披露されました。クロスフェードのように、曲の終音のフェードアウトとクロスして次の曲の始音が立ち上がってくる。素晴らしい集中力と演奏技術です。もしCD化される際には、このあたりがひと呼吸おくのか、同じようにつながるのか。僕はたっぷりひと呼吸おきたい派です。

15周年にして壮大に組曲化された「World Dreams」。これにて完全版でしょうか? また新しいひとつの期待をしています。それは、節目ごとにもっと巨大な作品になっていくのではないか。単純計算ですが、各5分の楽曲として約15分の作品になりました。”組曲”とうたいながら3曲構成?  世界観的にも時間的にもまだまだ大きなスペースを潜在的に秘めているように思えてきます。久石さんが音楽活動をしていくなかで、現代社会と呼応していくなかで、これからも作られていく曲。そこで生まれた曲と「World Dreams」との共鳴。もしくは、すでになんらかのかたちで発表されている作品だけれども、未音源化惜しまれる名曲たち「Mt.Fuji」とか。20周年・25周年のメモリアルに組曲「World Dreams」はまた大きく進化するのかもしれない。そんな楽しみと希望がまたひとつ芽生えました。

 

ad Universum 【A】
コニカミノルタプラネタリアTOKYO『To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲』のために書き下ろされた曲たちが『ad Universum』というタイトルで組曲化されました。この作品についてはとても曖昧な印象、な話になってしまいます。現在もロングラン上映中かつ未CD化のオリジナル楽曲たちだからです。

おそらくほとんどの曲が組曲化で盛り込まれているような気はします。小さい編成のオーケストラ+シンセサイザーで組み立てられたオリジナル版は、ミニマル手法を貫いた楽曲たちです。コンサートの印象では、やや編成を大きくし、アクセントやパンチの効いたダイナミックなオーケストレーションも施され、あくまでも管弦楽をベースとして必要最小限のキーボードによる電子音使用、まさに演奏会用の音楽作品に再構成されているんだろうと思います。静かな曲での電子音はエッセンスとしてとても効果的で、オーケストラも厚すぎず、散りばめられた星たちが適度な距離感でまたたくように、音たちもそれぞれの距離感で奏であい、、やっぱり曖昧な印象になってしまう。

エンディングに流れる曲はオリジナル版では合唱編成あり、この楽曲だけラジオO.A.音源として聴くことができます。コーラスの厚みが金管楽器などに置き換わっていました。さすが演奏会用に昇華されたダイナミックなエンディング曲です。ということで、、プラネタリウム鑑賞時のレビューのほうが各楽曲について細かく記しているかもしれません。

さて、今回この作品を聴かせてもらえたことで、次の夢も浮かんできてしまいます。『Deep Ocean』『ad Universum』という進化つづける久石譲がつまった作品たち、きちんとした音楽作品としての組曲化。次の候補は? 『Children of the Sea』!そう映画『海獣の子供』音楽の組曲化!きっと素晴らしいものになるとわかってしまう確信してしまう空想してしまう、今回この『ad Universum』を聴けたことで。

 

Deep Ocean 【B】
2017年コンサートでも披露された作品。ピアノ2台をオーケストラが囲むというなかなかお目にかかれない編成の魅力。音階をもったカウベル(チューンドカウベル)や珍しいパーカッション群、いつもの楽器が特殊奏法で効果音のようだったりと、生楽器だけで多彩な音世界を魅せてくれる作品です。今回編成が少し大きくなっていました。弦14型(14.12. ~ 7.)と通常オーケストラサイズ、音やフレーズが追加されていたり、厚みが増していたり。……でもこれは、もしかすると編成が変わったことでのバランスの変化、今まで聴こえなかった音が聴こえてきた……気のせいかもしれません……内心気のせいだとは思っていない自分がいますけれども。テレビサントラはまだかな、コンサート音源はまだかな、とずっと追っかけている作品です。楽曲について、追いかけ記録はこちら。

 

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings 【AB】
『Another Piano Stories ~The End of the World~』(2009)収録曲から3曲セレクト。CD版は12人のチェロとピアノ、ハープとパーカッションという編成、コンサートでは弦楽オーケストラへと拡大しています。久石譲のミニマル音楽に欠かせないハープは、一般的な流麗な演奏とは対照的なリズミックで時に鋭い音が求めらます。そんな奏法や音色の違いを生で感じることができて感動です。

「Woman」は、モダンな旋律とハーモニー、軽やかな疾走感で、現代女性の象徴のような美しくかっこいい曲です。編成のPercussionというのがポイントで、いくつの打楽器が縦横無尽に使われていたのか(マリンバ、ヴィブラフォン、グロッケンシュピールetc…)、奏者は何人だったか。CD版は2台のハープ、コンサートは1台のハープ、打楽器へ少なくとも1台分のパートが置き替わっている、複数に振り分けられているだろうからです。[Woman]コーナー全体をとおして、ぜひ映像で確認したいところです!

「Ponyo on the Cliff by the Sea」は、おなじみ「崖の上のポニョ」のメロディを、すべての楽器が同じ奏で方で一曲とおす魅力です。弦楽器はピッツィカートで弦をはじき、打楽器は鍵盤を打ち、音符の粒たちがコロコロとかわいく跳ねあいます。マリンバ系のパートが増えていたりと、弦楽の拡大に合わせて打楽器もバランスを合わせているのだろうと思います。

「Les Aventuriers」は、『Piano Stories II』(1996)にも収録されている久石さんお気に入り曲(ライナーノーツ公言)。と言いながら、コンサートで聴けるのは何年ぶりだろう?何十年ぶりだろう? ファンのあいだでもとても人気のある楽曲です。ズバリしびれました。弦楽オーケストラに拡大した真骨頂を垣間見ました。サビ(Another CD盤1:38~)のところでこれまでにはなかったフレーズが聴こえてきます。ヴィオラが低音から一音一音駆け上がってくるんですね、相当な圧で。あまりにも強烈な印象すぎて釘づけになってしまいました。ヴィオラが歌ってる歌ってる、サビのメロディに堂々と対峙して圧巻でした。後半のくり返しでも登場します。ABプロと2公演聴くことができたので、1日目終わってCD聴きなおし、やっぱりないよね…、2日目再確認してノックアウト、もう頭から離れません。ほんとかっこよかった。5拍子のグルーヴ感が魅力なこの曲、そこへさらにうねりができたような、改訂という言葉以上の進化を感じてゾクゾクしました。

 

Kiki’s Delivery Service Suite 【AB】
ジブリ交響組曲第5弾は映画『魔女の宅急便』。構成楽曲は次のとおりです(サントラTrack.No・曲名)。「1. 晴れた日に…」「3. 海の見える街」「5. パン屋の手伝い」「6. 仕事はじめ」「7. 身代わりジジ」「8. ジェフ」(前半部) 「9. 大忙しのキキ」「10. パーティーに間に合わない」「12. プロペラ自転車」「13. とべない!」「14. 傷心のキキ」「16. 神秘なる絵」「17. 暴飛行の自由の冒険号」「18. おじいさんのデッキブラシ」「19. デッキブラシでランデブー」「11. オソノさんのたのみ事…」。サウンドトラック全21曲中、主題歌2曲とTrack.2,4,15を除くほぼすべての曲が組曲化されていました。Track.2,4,15 も同じメロディで他曲にあるので、”All Music for KIKI” 完全版です!

弦14型(14.12.~ 7.)の対向配置による弦楽編成と、3管編成の木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネットなど)、フルパワーの金管楽器各4本(トランペット、トロンボーン、ホルンなど)、さらには2奏者による鍵盤楽器(ピアノ、チェレスタ、キーボード)の弾き分け、マリンバ、ヴィブラフォン、シロフォン、グロッケンシュピール、ハープ、カスタネットも、そしてマンドリンとアコーディオンまで編成された、『魔女の宅急便』のためのフルスペック・フルオーケストラです。

「晴れた日に…」オーケストレーションもパワーアップして冒頭からマンドリン、アコーディオンも登場し一気に世界に誘われます。このふたつの楽器は、メロディに伴奏にと全編とおして大活躍でとても大切な組曲エッセンスになっていてニンマリしてしまいます。「海の見える街」『久石譲 in 武道館』『久石譲 in パリ』『Works IV CD』『WDO2018版』これらのすべてを踏襲していない、あくまでもサウンドトラックを基調にしたヴァージョンにはびっくりしました。「身代わりジジ」クラリネット、トランペット、バストロンボーンがフィーチャーされ絡み合う独奏を立って披露、イベント感あるとても楽しい演出です。ホンキートンク・ピアノ(少しチューニングが狂ったような音色を出す)がポイントのこの曲はキーボードでしっかり聴くことができます。「ジェフ」チューバの愛くるしいメロディはじめ金管楽器メインの前半部分を抜粋。「大忙しのキキ」『久石譲 in 武道館』での「海の見える街」後半部分の6/8拍子スイングはここでたっぷり登場します。「プロペラ自転車」冒頭からキーボードであの伴奏リズムがしっかり聴かれ、後半は管楽器のフレーズも追加されていたような。「神秘なる絵」オカリナによる美しいソロとそのあと広がる三和音の神秘ハーモニーにはうっとり。オカリナは音程を合わせるのがとても難しい楽器、完璧を超えて身を委ねてしまうほどの美音に包まれます。「 暴飛行の自由の冒険号」「おじいさんのデッキブラシ」「デッキブラシでランデブー」息つくひまもないスリリングとスペクタクルで圧巻。音楽だけだからこそできる怒涛のたたみかけ。「オソノさんのたのみ事…」WDOコンサートマスター豊嶋泰嗣さんのヴァイオリンソロと久石譲ピアノも華を添えます。『久石譲 in 武道館』では「かあさんのホウキ」となっているあの曲です。組曲での曲名もこちらでしょう。永久保存版映像で親しまれている武道館演奏も、もちろん豊嶋泰嗣さんです。エバーグリーンなパフォーマンス、涙モノです。

 

すべての曲について感想書けるほど覚えていませんので印象に残ったポイントだけになりました。それでも、ぜひサウンドトラックから構成楽曲でプレイリストをつくってみてください。これがフルオーケストラで組曲になったのかあ!イメージふくらませるたびに感動します。

サウンドトラックから16曲も!と思いながら聴きかえすと、たしかに原曲は短い曲が多い。たとえば、『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『天空の城ラピュタ』などは映画音楽を越えてシンフォニー音楽作品としてもCD化されてきました。だから組曲を構成する1楽曲が長いものもあります。一方で、『魔女の宅急便』は映画の世界観をそこなわない忠実なアップデートとしたときに、この方法が一番良いとなったんだと思います。イメージアルバムもシンセサイザーで組み立てられていたので、今回のオーケストラベースの組曲化は相当に大変だったと思います。当時と感覚も違うでしょうし、だからといって今の手法やスタイルを持ちこんでもうまく合わないでしょうし。

大満足しています。『魔女の宅急便』音楽ってこんなにもメロディの宝庫だったんだなって思えるほど、ひとつひとつの曲がはっきりしていて、とにかく楽しいです。イベント感やフェスティバル感といった華やかさもあって、にぎやかなヨーロッパの街にいるよう。これは海外公演でも人気出るだろうなあ。野外フェスとかで聴いてみたい。よく海外で行われているオーケストラの野外フェスティバル、自然のなかで芝生に腰おろしてリラックスして楽しんでいる光景、そんなのいいなあ。

 

Il Porco Rosso 【Encore A】
『久石譲 in 武道館 2008』や海外開催『Joe Hisaishi Symphonic Concert:Music from the Studio Ghibli of Hayao Miyazaki』でプログラムされている『紅の豚』コーナーから。コンサートでは久石譲ピアノ+管楽器約7奏者によるジャジーなアンサンブルですが、それをベースにピアノパートだけを抜き出したソロバージョン。日本公演初お披露目。これがえも言われぬほどいいのですよ。常に候補曲として持ち歩いてほしい逸品です。

 

Summer / あの夏へ【Encore B】
会場によってセレクトのちがう久石譲ピアノソロ。やっぱり久石さんのコンサートに行ったら、久石さんのピアノを少しでも多く聴きたいよね、と思ってしまうのです。特に若い人や新しいファン層も多いW.D.O.コンサートでは、CDやTVから聴こえていた久石譲の曲が、ピアノの音色が、目の前で今、生で聴いてる!ご本人の演奏で!!となってしまうのです。聴いた公演では、「Summer」のイントロ左手が3音くらい鳴り出すだけで大きなどよめきが起こる。こんなことってあります?! このリアクションこそが言葉での説明を必要としません。すごいです。

 

Merry-Go-Round 【Encore AB】
映画『ハウルの動く城』から「人生のメリーゴーランド」です。2018年NCO公演で初演されたヴァージョンで、それ以降海外公演でも披露されています。オリジナル版は言えばすぐ浮かぶ、ピアノの切ないイントロに始まり、ピアノの美しいメロディがつづきます。タイトル「Merry-Go-Round」となっているこのヴァージョンは、ピアノがありません。イントロをハープで、出だしのメロディをグロッケンシュピールとチェレスタで、というようにピアノパートがオーケストラ楽器に置き替わっています。楽曲構成は同じですが印象は変わります。よりヨーロッパになったかなあ、というか、これなら久石譲以外のコンサートでもっと爆発的に演奏されるんじゃないかな、そんな新しい魅力も。アメリカやヨーロッパをはじめ海外指揮者・海外オケによる純粋な管弦楽作品として披露できる。

おっと、これは言わないといけない。本公演はマンドリンとアコーディオンが編成されていたこともあって、この曲にも特別に参加しているスペシャルヴァージョンです。よりサントラ版に近い印象で、すごくよかったです。いや、すごく得した気分です。

 

 

今後の久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラについて。

久石さんはパンフレットで「第2期の区切り」と語っています。2004年~2011年の第1期、2014年~2019年の第2期。ここからは個人の推測です。来年はTOKYO2020オリンピック開催です。交通機関や宿泊施設などの影響も大きく都心でのイベント規制などもあるのかもしれません。ちょうど例年のW.D.O.開催時期とも重なります。2022年公開目指して製作が進められている宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』。(同年には愛知県『ジブリパーク』開業予定もある。)そんな外的要因と、久石さんのこれから先に向けて思うところ、、来年はおそらく、数年の小休止になるのかもしれませんね。

W.D.O.第2期の大きな柱のひとつとなったジブリ交響組曲化プロジェクトは、『Symphonic Poem “NAUSICCÄ” 2015』(2015/『The End of the World』収録)、『Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE』(2016/未CD化)、『Symphonic Suite “Castle in the Sky”』(2017/『交響組曲「天空の城ラピュタ」』収録)、『Spirited Away Suite』(2018/『Spirited Away Suite』収録)、『Kiki’s Delivery Service Suite』(2019)と現在5作品で、そのほとんどがハイクオリティな演奏と録音でCD化されています。

もし第3期が再始動するときがあれば、きっとこの交響組曲化プロジェクトも再開してくれると願っています。第2期に象徴されるオール久石譲プログラムなW.D.O.コンサートになるのかはわかりません。おそらく久石譲さんという人は予定調和やマンネリは嫌う人だと勝手に思っているのですが、だからこそ一度リセットして、当たり前をなくしたい、もっと新しい刺激的なもの魅力的なものを提示し観客と共有したい、そんな勝手な思い巡らせたインタビュー内容でした。

今は、久石さんと新日本フィルが盤にのこしてくれているCDたちを、ゆっくり何回も聴き楽しむとき。聴いて聴いてW.D.O.第2期の感動をあらためてかみしめ、絶対なんてないW.D.O.第3期の再始動を強く熱望し想い届け!と願います。

 

 

 

久石譲コンサート公式ツイッターでは、ツアー期間中会場ごとのコンサート風景やリハーサル風景がリアルタイムに写真付き公開されていました。毎日楽しみにしていた人も多いと思います。

久石譲コンサート 2019-2020 公式ツイッター
https://twitter.com/joehisaishi2019

 

コンサート期間中チェックしていた新日本フィルハーモニー交響楽団の関連ツイッターです。奏者の方たちがリアルタイムにツイートした内容は、舞台裏を垣間見れたり楽器や人を身近に感じるきっけかにも。それに対してコメントするファンの人、返信くれる楽団とのやりとり。コンサート会場での感動がもっともっとふくらみます。久石譲コンサートをきっかけに、好きな楽器や奏者のファンにもなっていく。

新日本フィルハーモニー交響楽団
https://twitter.com/newjapanphil

東珠子(ヴァイオリン)
https://twitter.com/tamako_azuma

佐々木絵理子(ヴァイオリン)
https://twitter.com/Erillante

甲斐涼太郎(ヴァイオリン)
https://twitter.com/RyotaroViolin

醍醐のり子(ヴィオラ)
https://twitter.com/sKKtfyp9sR0OS3L

藤井将矢(コントラバス)
https://twitter.com/SHOYA1213

荒川洋(フルート)
https://twitter.com/nekoranpa2

中舘壮志(クラリネット)
https://twitter.com/soushi_clar

石川晃(ファゴット)
https://twitter.com/fg_akira

佐藤和彦(チューバ)
https://twitter.com/kazuhiko_tuba

柴原誠(打楽器)
https://twitter.com/shiba_da

高橋ドレミ(ピアノ/チェレスタ)
https://twitter.com/si_doremi21

青山忠(マンドリン)※客演
https://twitter.com/aoyamandolin

 

インスタグラムで発信されている方もいるでしょうし、ここにはご紹介していない方もたくさんSNSされているかもしれませんね。

 

 

ファンサイトではコンサート・レポートも募集し掲載させてもらいました。コンサートでもらった感動を!コンサートのありがとう!を。久石さんや新日本フィルのみなさんへめぐりめぐって届きますように。

 

 

東京公演ではマイクをはじめたくさんのカメラもありました。次の朗報も待ち遠しいところです!

久石譲さん、新日本フィルの皆さん、演奏者の皆さん、今年のW.D.O.もほんと最高でした!幸せな時間をありがとうございます!

 

 

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

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