Disc. 久石譲 『To the Grand Universe』 *Unreleased

2018年12月19日 上映

 

コニカミノルタプラネタリアTOKYO
オープニング記念作品
DOME2 プラネタリウムドームシアター作品
『To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲』

上映期間:2018年12月19日~2019年 月 日
上映時間:約40分
上映時刻:12時/14時/16時/18時/20時
音楽:久石譲
ナレーション:夏帆

 

プラネタリウムの音楽を書き下ろすのはキャリア初、全編書き下ろし。自らタクトを振るい『宇宙』をテーマにオーケストラ編成による壮大なサウンドスケープ。本作は最新の立体音響システム「SOUND DOME®」に対応、まるで実際に目の前でオーケストラが演奏しているかのような、重厚かつ繊細な音響空間を構築。本作のテーマは、宇宙飛行士が体験した“本当の宇宙”。日本人宇宙飛行士の土井隆雄さん、山崎直子さん、大西卓哉さんの体験を元に、そこから見える宇宙の光景(すがた)を、コニカミノルタプラネタリウムの最新投映機「Cosmo Leap Σ(コスモリープ シグマ)」と全天周CG映像で再現。

43.4ch音響。SOUND DOMEは、ドーム裏側に配置された43個のスピーカーと、壁背面の4個のウーファーで構成した立体音響システム。前後左右に加え上下や回転といった、きめ細かな音像移動を表現。オーケストラによる演奏や環境音を忠実に再現することで、リアルな体験を提供。

 

 

To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲 約30秒

コニカミノルタプラネタリウム Official Youtubeチャンネル より (※2018年12月19日現在)

 

 

12月17日ラジオJ-WAVE「GOOD NEIGHBORS」に生出演した際には、本作品の音楽について語られ、エンディングに流れる「AD UNIVERSUM」(約3分)楽曲がオンエアされた。

 

「結果的に書いてよかったです。自分が書きたいミニマルベースな方法論で書けました。地面じゃない音楽っていう言い方は変かな、例えば深海シリーズとかディープオーシャン、ちょっと日常ではない世界、宇宙とかね、そういう音楽って意外に音楽の持っている力がけっこう発揮しやすい。そういう意味では、わりと書きたいように書かせていただいたし、この間試写を観たときにすごく「あっ、これはかなりいいねえ」と僕は思いました。」

「宇宙は実は一個問題があって、キューブリックの『2001年宇宙の旅』という映画があって、なぜか宇宙空間になると(あのワルツの)パターンができちゃってるんで、これを壊さなきゃいけないというのがちょっとありますよね。やっぱり僕はすごいと思う、あのアイデアはね。そういう方法をとらないで、ミニマルをベースにしたので大丈夫だったんですが、やっぱり宇宙だと一回ああいう衝撃的な音のつくり方をされると、これけっこうみんな残っちゃいますよね。」

「まだちゃんとしたミックスもしてなくて音質も悪いです。ただ一番レアなものだということで聴いていただけたらいいかなあと思います。タイトル言いましょうか。「To The Grand Universe」よりエンディングを聴いてください。」

(J-WAVE GOOD NEIGHBORS 出演トークより 一部書き起こし)

 

 

2019.1.8 Update!!

レビューを追記しました。

 

久石譲のラジオインタビューにあるとおり、ミニマル手法をベースに全編音楽構成された作品。メインテーマがありオープニングやエンディングで流れ本編ではそのバリエーション(変奏・アレンジ)が流れるという構成ではなく、全編書き下ろされた楽曲になっているのも大きな特徴と言える。

主張するようなはっきりとした性格をもったメロディではないけれど、ミニマルという最小限のモチーフながら広がりや無限さを感じさせる巧みな音づくり。聴き飽きることのない音楽、ずっとループしていたいような音楽宇宙。アプローチとしては深海シリーズやディープオーシャンに通じる小編成オーケストラで、切れ味のよいソリッドな響き、リズミックな刻みが心地いい。ピアノ・マリンバ・ハープといった久石譲のミニマル・エッセンスに欠かせない楽器たちが絶妙なバランスでブレンドされている。

たとえば、プラネタリウムから連想するきれいで優しくてゆったりとした、楽器でいうとストリングスが悠々と流れシロフォンがキラキラと輝き。そんなイメージを打破してくれる久石譲のモダンでミニマルな音楽構成はとても新鮮で、新しい表現を提示してくれたこと、見事に映像と音楽で宇宙を描けていることは画期的とも言える。

ひとつだけ例をあげると、満点の星空がゆっくりと時間をかけて一周するシーンがある。久石譲のミニマル・ミュージックだけで約数分間静かに確かに推しきっている。そしてこれは星の動きが終わりなく永遠であること、ミニマルの調べもまた永遠であることと強く共鳴し印象的なシーン。

良い意味で映画のように制約が少ない音楽づくりは、とても久石譲がやりたいイメージで伸び伸びと発揮されているように思うし、映画ではここまでミニマル・ミュージックを貫けないだろうという点でも貴重な音楽作品。ナレーション付きだけれど、しっかりと音楽だけを聴かせる箇所も複数あり、効果音がうるさくぶつかることも少ない。まるでMusic Videoを観ているように久石譲音楽をたっぷりと聴くことができる。上映作品名に久石譲の名前がついているだけあって、音楽を大切につくられたプラネタリウム作品であることが伝わる。

映画サウンドトラックよりも、久石譲の明確なアプローチやコンセプトをもった、オリジナルアルバムに近い位置づけとできる音楽たち。上映時間約40分中、音楽は2/3以上配置されている。ぜひミニアルバムなどのCD化を強く願っている。また「Deep Ocean組曲」のように演奏会用音楽作品としても再構築され、コンサートで演奏されることも期待したい。それほどまでに現在進行形の久石譲が凝縮された最先端の音楽が届けられたとうれしさ満点。

エンドロールがとても駆け足で音楽関連情報をほとんど把握することができなかった。演奏はオーケストラ団体名はなく、Violin誰々というように全楽器奏者の個人名がクレジットされていた。おそらく約40人規模ぐらいの編成だったのではないかと思う。もうひとつ取り上げたいのが、公式PVで映像がはさまれていたレコーディング風景の1コマ2コマ、奏者の服装に半袖や腕をまくった人が多かったこと。この時は、秋にかけてレコーディングしたのかなと推察していた。そしてエンドロールのクレジットを組み合わせる。オーケストラ団体名ではなかったのは、今回のレコーディングメンバーは、ナガノ・チェンバー・オーケストラのメンバーがベースとなっているのではないだろうか。時期的にも「第九」公演にて完結した2018年夏からまもなくであり、久石譲の現代的アプローチを見事に表現できる室内オーケストラ、3年間久石譲と互いに磨きあげた信頼関係と演奏技術。まったくの勝手な推測の域を出ないけれど、この作品の音楽の”音”を思い出すたびにそんな気がしてくる。いつか演奏者や合唱団についての詳細が明らかになるとうれしい。

 

久石譲が紡ぎあげる宇宙空間。こんなにも贅沢な非日常イマジネーション豊かな音楽を、飽きのこない広がりある心地よい無重力ミニマル・ミュージックを、日常生活のなかでいつも包まれ聴きたい。

 

プラネタリアTOKYOオープニング作品(期間限定)、再上映予定なし、未CD化作品。

 

 

 

 

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