Disc. 久石譲 『Toccata』 *Unreleased

2022年5月7日開催「MAKI NAMEKAWA」にて世界初演。

 

2022年5月6日~8日開催フィルハーモニー・ド・パリ「week-end Joe Hisaishi」久石譲にフォーカスしたイベントプログラムのなかの一公演。久石譲作品「Variation 57 ~2台のピアノのための協奏曲~」の初演などでもつながりのある滑川真希のピアノリサイタルにて世界初演。

 

 

プログラムノート

Joe Hisaishi
Toccata

Composition : 2020-2022.
Commande du Massachusetts Institute of Technology’s Center for Arts,
Science, and Technology (CAST), du Festival Ars Electronica et de la
Philharmonie de Paris.
Durée : environ 9 minutes.

Ma Toccata a été composée à la demande de Maki Namekawa pour un concert à la Philharmonie de Paris programmé à l’origine à l’automne 2020. Je lis dans mes premières ébauches que j’ai commencé à y travailler en janvier 2020. Puis sont arrivés la Covid-19, le confinement et les annulations dans le monde entier pour des artistes comme Maki et moi-même. J’ai utilisé le temps qui m’était subitement accordé par la force des choses pour composer plusieurs grandes pièces pour orchestre, dont mes Symphonies nos 2 et no 3.

Dans ma Toccata je suis à la recherche de la fluidité dans le son, associée à la diversité
rythmique que j’admire tant en musique baroque. En me concentrant sur des mouvements horizontaux, linéaires, et en évitant les dissonances manifestes dans les accords, j’espère faire naître une réponse émotionnelle chez l’auditeur plutôt que de lui en imposer une. Maki Namekawa est une excellente pianiste, avec une approche directe et sincère de la musique qu’elle interprète. J’attends son concert avec beaucoup d’impatience.

Joe Hisaishi
Traduction : Delphine Malik

(「MAKI MAKI NAMEKAWA」プログラムノートPDFより 抜粋)

 

 

約9分のピアノソロ作品。作曲時期は2020-2022年。

Toccataは滑川真希の依頼で作曲しました。フィルハーモニー・ド・パリは当初2020年秋に予定されていました。私は2020年1月に作曲を始めました。その後、Covid-19によって真希のようなアーティストも私自身も世界的なロックダウンとキャンセルに見舞われました。私は突然与えられた時間を使って交響曲第2番と第3番をふくむオーケストラのためのいくつかの大きな作品を作曲しました。

Toccataでは、多様性に関連する音の流動性を探しています。バロック音楽でとても尊敬するリズム。動きに焦点を当てる。水平で直線的で、そして和音の明らかな不協和音を避けたいと試みました。聴き手に感情的な反応を強要するのではなく、感情的な反応を呼び起こします。滑川真希は優れたピアニストであり、彼女が演奏する音楽、彼女のコンサートを楽しみにしています。

(プログラムノートより Web翻訳・意訳)

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『I Want to Talk to You』 *Unreleased

2022年4月30日開催「合唱の祭典」にて世界初演。

 

山形県合唱連盟創立70周年事業
山形県総合文化芸術館オープニング事業
「合唱の祭典」

2020年5月10日開催予定されていたものの、新型コロナウィルスの影響に伴い延期・中止のスケジュールを経てようやく2年越しの振替公演となった。

 

 

I Want to Talk to You (委嘱作品・初演)
作曲:久石譲
1. I Want to Talk to You 作詞:麻衣 久石譲
2. Cellphone 作詞:久石譲

指揮:山田和樹
パーカッション:大場章裕、和田光世
ピアノ:鈴木慎崇、今村尚子
合唱指揮:水戸博之、鈴木義孝、柿﨑泰裕
合唱:東京混声合唱団、山形県合唱連盟、合唱団じゃがいも、合唱団Pianeta、鶴岡土曜会混声合唱団

 

 

楽曲解説

「I Want to Talk to You」は、2020年5月に山形県山形市で行われる予定だった「合唱の祭典」で演奏するために山形県から委嘱されて作曲した。僕の作品としては初めての書き下ろし合唱作品になるはずだったが、Covid-19の世界的パンデミックのため何度か順延され、2年後の2022年4月にやっと初演される運びになった。

当初は、街を歩いていても、店に入っても、電車の中でも人々は携帯電話しか見ていない、人と人とのコミュニケーションが希薄になっていくこの現象に警鐘を鳴らすつもりでこのテーマを選んで作曲したが、その後の人と人との接触を控えるこの状況では、携帯電話がむしろコミュニケーションの重要なツールになった。別の言い方をすると世間という煩わしい人との関係性から逃れる便利なアイテムが最小限の人との接触のアイテムになった。なんとも皮肉なことだが、それだけ携帯電話が人々にとって必須なものになったということだろう。

作詞はいくつかのキーワード、例えば「Talk to you」をコンピューターで検索し関連用語やセンテンスを抜き出し、音のイメージに合う言葉を選んでいった。最終的には、I. I Want to Talk to Youは娘の麻衣が詩としてまとめ、II. Cellphoneは僕がまとめた。約20分の作品になり、少合唱グループと大合唱グループ、それに2台のピアノとパーカッションという編成になった。

作品としてはこれで完成しているが、僕としては日本語でも聴きたいと思っている。つまり日本語バージョンである。そこには弦楽オーケストラが演奏していることも想定している。山形の皆さんには、これが終わりではなく、これからも機会があるたびに進化してくこの作品を聴いて(歌って)いっていただきたいと思っている。

久石譲氏からのプログラムノート

(「合唱の祭典」コンサート・パンフレットより)

 

 

 

ここからはSNS情報による。

・演出には携帯電話の呼び出し音、指揮合図による音の消音など。また最後は、着信の入った電話を渡された指揮者がスマホ片手に話しながら退場する、という演出もある。

・I. I Want to Talk to You、ビブラフォンを低弦楽器の弓で弾く特殊奏法もある。

・II. Cellphone、クラッピング(手拍子)やストンプ(足を踏み鳴らす)も取り入れられている。

・久石譲からのビデオレターも流された。同期間の海外公演先チェコにて撮影したもの。

・作詞を手がけた麻衣も会場に駆けつけた。

 

 

リハーサル風景

from 東京混声合唱団 公式ツイッター
https://twitter.com/TokyoKonsei

 

 

 

I Want to Talk to You ~ for string quartet, percussion and strings ~

2021年3月開催「久石譲コンサート 2021 in ザ・シンフォニーホール」にて世界初演。2020年5月開催予定だった合唱版の順延によって、ほぼ同時期に構想された弦楽バージョンが先がけて披露された。久石譲指揮、共演は日本センチュリー交響楽団。

2021年7月開催「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.3」にてプログラム。久石譲指揮、FOCの以心伝心タッグで披露された。

 

 

 

この弦楽バージョンは久石譲公式チャンネルなどから特別配信されている。

 

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『(アサヒ飲料 十六茶)CM音楽』 *Unreleased

2021年3月8日 CM動画公開
2021年3月12日 TVCM放送開始

アサヒ飲料十六茶、新CMの音楽を久石譲が担当している。CMオリジナル楽曲を書き下ろしている。

 

「自然に、健康。編」
「環境にやさしいペットボトルでました編」
出演:新垣結衣、中村倫也
音楽:久石譲「(曲名不明)」

 

公式サイトCMギャラリーや公式チャンネルにてCM動画&メイキング動画 全8種 公開されている。(※2021年3月現在)

  • 十六茶 CM 「環境にやさしいペットボトルでました」編 新垣結衣
  • 十六茶 CM 「自然に、健康。」となりのお姉さん春編 15秒 新垣結衣
  • 十六茶 CM 「自然に、健康。」となりのお兄さん春編 15秒 中村倫也
  • 十六茶 CM 「自然に、健康。」となりのお姉さん春編 30秒 新垣結衣
  • 十六茶 CM 「自然に、健康。」となりのお兄さん春編 30秒 中村倫也

ほか

 

 

2021.05.27 追記

CM動画全8種公開。メイキング動画は、音楽をわりときれいな音源として聴くことができる。

 

 

聴いた瞬間にパッと爽やかになる、清涼感にあふれたメロディと音色。純度の高い旋律と純度の高い和音で透明感をつくっている。ピアノのメロディにグロッケンシュピールとハープが軽やかにバッキングを添える。春の待ち遠しい原曲版登場となった。

また15秒版と30秒版はメロディに変化を加えている。30秒版をベースにすると、Aメロ(00-10秒)Bメロ(11-20秒)Cメロ(21-30秒)となる。これできれいに起承転結、そしてきれいに着地している楽曲。

15秒版はAとCの2パートで構成され、Bメロはカットされている。AとCをつなぐ8-10秒あたりのメロディが変化している。これにより、縫い目よくメロディとパート展開をつなぎあわせている。30秒版からの切り貼りでもなく、15秒間流れるだけとおすでもなく、あえて修正を加えている。さりげないけれど、たしかな技でぬかりない。感嘆。

1回聴いただけで覚えてしまいそうな、軽く鼻歌してしまいそうな、リフレインするキャッチーなメロディ。”CMは15秒・30秒の勝負、もっと言うならセリフやナレーションの入ってくる前、最初の数秒が勝負” こんな久石譲のかつての発言が甦ってくる。感嘆。

これから季節ごとの新CM発表にあわせて、楽曲もバリエーションが増えていく、そんな期待と楽しみがある。

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『(チョバニ)CM音楽』 *Unreleased

2021年3月1日 動画公開

チョバニ(Chobani)の広告動画の音楽を久石譲が書き下ろしている。チョバニはギリシャヨーグルトで人気のアメリカ乳製品企業で、コマーシャル動画「Eat today, feed tomorrow」がWEB動画公開された。本国TVCMとしてもオンエアされているかどうかはわからない。

 

音楽:久石譲「(曲名不明)」

 

公式サイトにて動画試聴可能(※2021年3月現在)

公式サイト:Chobani
https://www.thelineanimation.com/work/chobani

 

ノスタルジックで牧歌的な笛のメロディにのせて流れる。エスニックなパーカッションやピアノの伴奏なども入って異国情緒あふれる、小編成なアンサンブル構成になっている。また拍節ごとに絶妙な変拍子で30秒の音楽をおさめ、フェードアウトではなくきれいに着地している。

日本ならばすぐに久石譲音楽だとわかるくらいの久石メロディとハーモニーが、海を渡って海外で頻繁に流れ聴かれ、こういった久石譲音楽のテイストが浸透していくとうれしい。

 

 

2021.07 追記

新しい動画(ロングバージョン)が公開された。同じ音楽を使用しているがこちらも前回よりも長尺で聴くことができる。

 

動画視聴可(2021.7現在)

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『Prayers』 *Unreleased

2020年10月19日 公開

明治神宮鎮座百年祭 記念曲「Prayers」

明治神宮公式チャンネルにて公開

 

 

明治神宮鎮座百年祭にあたり、わが国を代表する音楽家 久石譲氏に記念の楽曲をつくっていただきました。まるで森の中へと入っていくような、静けさと奥行きのある荘厳な調べは、まさに明治時代、日本の精神をもって西洋文明を取り入れた和魂洋才を思い起こします。この曲にあわせて編集された映像と共にご視聴ください。

作曲・編曲 久石譲
演奏 東京交響楽団
録音会場 ミューザ川崎シンフォニーホール
録音・ミキシング 江崎友淑・村松健(オクタヴィア・レコード)
映像編集 佐渡岳利・ 井上寛亮(NHKエンタープライズ)
映像撮影 宝貝社、凸版印刷、乃村工藝社・惑星社、HEXaMedia
アートディレクター 原研哉
写真 関口尚志
制作 サンレディ、ワンダーシティ
制作統括 明治神宮

from 明治神宮 公式チャンネル Meiji Jingu Official Channel

 

 

公開動画について

 

 

明治神宮の会員および関係者へ、CD+DVDパッケージ化したものが非売品として配布されている。音源も映像も公開されたものと同一収録されている。

 

 

和太鼓の強打によってはじまる曲は、静謐な五音音階的モチーフを幾重にも織りませながら厳かな雰囲気ですすめられる。いくつかの打楽器はあるものの、日本の伝統和楽器は使われていない。一般的な西洋オーケストラ楽器のみで、日本古来からの世界観を表現している。公式コメントにもあるとおり、まさに”和魂洋才”といえる。フルートやピッコロをはじめとした木管楽器で五音音階的ハーモニーや五音音階的不協和音を演出するなど、その響きは雅楽などにも共鳴するものがある。

この作品がエンターテインメントに属するかという点においても、レビューをためらう。聴いた感じやイメージで語ることはできたとしても、果たしていいのか、とためらう。信仰や宗教といった側面をもつため、単なるエンタメ気分だけで作曲していないことは確かだと思う。そうなると、信仰や宗教といったもの、それになぞらえたものを、どう音楽的手法に置きかえているのか、どこにコンセプトをおいているのか。そういった手引がないと、なにを表現しているのか、見当違いな回答を導きだしてしまう。それでいいのかもしれないけれど、やはりとっかかりがわかったほうが理解は深まる。

「この曲を聴いて絵を書いてください」そう課題を出されたクラス全員の絵が、すべて違うような状態にある。もしそこに「作者は、森をイメージしたようです」「作者は、この楽器を火に見立てたようです」「作者は、このような儀式から着想を得ています」などと解説があれば、課題を出されたクラスの半数以上に、共通点が見つかる絵ができあがるかもしれない。ましてや鎮座百年という記念曲、歴史においても、ふたつの世界大戦をのみこむ長大な時間。そういうことです、レビューをためらう。

たとえば、印象にのこっているもののひとつに、執拗なトランペットの旋律、奏者にとっては最も過酷なパート(動画タイム 4:57-5:27 )。息つく間もなく祈りを唱えつづける言霊のようにも聴こえたり、はたまた、かがり火の炎がちりちりと火の粉たちをまき散らすようにも聴こえたり。容易に近づくことのできない信仰の集中力や、場の空気の緊張感といったものがひしひしと伝わってくる。

こういった部分的なイメージ空想の羅列になってしまうので、控えることにします。シンプルに言うと「すごくかっこいいじゃないですか! That’ so Cool!!」と日本からも海外からも驚きと深い喜びでむかえられる楽曲。

この曲をひとつの楽章として置き、多楽章な作品へと発展する生命力を十分に宿した、今の久石譲を出し惜しみなく具現化した大曲。大衆性・芸術性の両軸をかねそなえた、歌わせる旋律とミニマルな旋律を交錯させた、日本と西洋を”いま”で表現した、そんな楽曲になっている。いつか、本人解説や楽曲コンセプトが知りたい。

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『Will be the wind』 *Unreleased

2020年9月15日 公開

LEXUS(レクサス中国市場向けプロモーション)
テーマ曲「Will be the wind」

中国国内メディアにて動画一斉公開

 

 

叙情的でミニマルなピアノの旋律と室内オーケストラ編成で構成されている。オーケストラの音源はシンセサイザーによる割合も大きいように聴こえる。ミニマルなモチーフのくり返しを基調とし、奏でる楽器を置き換えたり、モチーフを変形(変奏)させたり、転調を行き来しながら、めまぐるしく映り変わるカットシーンのように進んでいく。

後半はミニマルなピアノモチーフの上に、弦楽の大きな旋律が弧を描き、エモーショナルを増幅しながら展開していく。かたちをもたない風、安定して吹きつづける風、一瞬襲う強い風、淡い風、遠くにのびる風。決して止むことのない風、それは常に変化している、それは常にひとつの場所にとどまらない。ミニマルとメロディアスをかけあわせた、スマートでハイブリットな楽曲。

エンターテインメントとしても、とても聴きやすい音楽になっているけれど、「ミュージック・フューチャー・コンサートシリーズ」などで、この曲をひとつの楽章として置き、多楽章な作品へと発展する可能性をも感じる、久石譲の今の作風を表した楽曲になっている。

 

公開動画について

 

 

2021.07 追記

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートにて初演された。

 

 

 

Disc. 久石譲 『Xpark(館内展示エリア音楽)』 *Unreleased

2020年8月7日 開館

2020年8月7日グランドオープン
新都市型水族館『Xpark』(台湾・高鉄桃園駅前)
館内展示エリアの楽曲(全7曲)書き下ろし

曲名・分数・編成などは不明

 

 

“久石譲さんによる7曲の館内音楽は、コロナの影響でリモート会議による打ち合わせを行ったという。巨大水槽で行われる魚群ショーや各ゾーンのイメージを伝えて打ち合わせを重ね、コロナの影響でオーケストラでのレコーディングができないなどの困難を乗り越えで完成した。”

(台北経済新聞 より抜粋)

 

 

メディア・旅行代理店向けに行われた内覧会の様子を動画で見たかぎり、TV『Deep Ocean シリーズ』、プラネタリウム『ad Universum』、映画『海獣の子供』の音楽づくり線上にあるような、ミニマルベースの心地よい、時間軸や空間軸の無数の広がりを感じる音楽となっている。また、生楽器のレコーディングが難しい環境下だったからだろうか、シンセサイザーベースの音楽になっていて、ほとんど生楽器は使っていないように聴こえる。そのぶん、シンセサイザー構成ならではの音やフレーズが飛び交っていて、近年の久石譲音楽制作からすると、貴重な音源といえるかもしれない。生楽器ならば微細な質感や音感でニュアンスに広がりや表情をもたせられることに対して、今回のシンセサイザーベースの楽曲は、パート数・トラック数といった旋律の数を多くすることで、表情を豊かにカラフルにしているように聴こえた。

 

 

なお、公式CM動画公開(2020年9月28日)でも、少しだけ音楽を聴くことができる。

 

 

いつかオリジナル音源や、演奏会用の作品として聴いてみたい。

 

 

2021.7 追記

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートにて「Xpark」が初演された。

 

”台湾の水族館のために作曲した。いわば環境音楽のように観に来ていただいた人々に寄り添う音楽を書いたが、この曲はExitの音楽として観客の皆さんが楽しい気分で帰って欲しい、と思い作曲した。”

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・パンフレットより)

and

 

 

 

2021.11 追記

久石譲インタビュー動画が公開された。また11月11日からは新しいフルオーケストラ・バージョンが館内で公開されることになった。

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『Diary』 *Unreleased

2019年5月5日 TVオンエア開始

曲名:Diary
作曲:久石譲
演奏:読売日本交響楽団

 

日本テレビ系TV番組「皇室日記」(毎週日曜日、朝6:00-6:15)新テーマ曲として書き下ろされた楽曲。2019年5月1日、時代は平成から令和へ。

いくつかのBGMが使われる番組ではあるが、久石譲が手がけたのは新テーマ曲の1曲。番組オープニングやエンディングを主に内容にあわせて使用されている。

 

先がけて3月10日放送回にて、新テーマ曲について久石譲インタビューやレコーディング風景をまじえて紹介された。録音は2月川崎市にて。またフルバージョン(約3分)もオンエアされた。ナレーションもなく回想映像音もない、録音映像と皇室映像をまじえたPVのように、その音楽だけがきれいに聴けた貴重な回となっている。

 

久石譲 談

「『皇室日記』という番組でもあることもあってできるだけひと言で言ってしまえば堂々とした曲。天皇の代も替わるしいろんな意味で新しい時代が来ると。新しい時代の風みたいなそういうような感じに仕上がるといいなとは思いましたね。」

「大っきいこう大河が流れてくような楽曲にしたい。そうするとメロディーが高いほうできらびやかにするよりは、こうお腹の底からと言いますかね、割と低いほうからガツっと音楽を支えたほうがいい。それでやはりビオラが何かね、あの音域のメロディっていうのはとても自分にとっては今回合うなと思いまして。」

「皇太子さまがビオラ弾かれてるっていうのは何となく風のうわさでは聞いてましたけども、意図したわけではないんですがいい具合に一致したのはとてもありがたいです。」

(3月10日放送回より 書き起こし)

 

 

久石譲による言葉がこの楽曲の特徴を語ってくれている。高い品格をまとった曲で、ヴィオラの音域が堂々とかまえ悠々と流れる大河のように旋律を奏でる。それはヴァイオリンなどが高らかに歌うのとは違う、同じ高さ(目線)で語りかけてくれるようでもある。テーマを1回奏した次の中間部では、ソリッドな手法でひとつのモチーフが弦楽・管楽と交錯する。まるで幾重にも織り編まれる時間を刻んでいるようで、まるで幾重にも交わる人のつながりが果てしないように、綴られていく日記。その後2回目のテーマが奏され、1回目よりも弦楽による刻みや低音のリズムがしっかり強調される、力強く前向きに。だがしかし、ドラマティックになりすぎない展開は劇的さを望まず、最後にチューブラーベルの鐘の音がくっきりと響きわたる。

 

未CD化楽曲。これから先、読売日本交響楽団との共演コンサートなどで初演を迎えてほしい。

 

 

 

2019.8.14 追記

2019年8月1日「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」にて世界初演された組曲「World Dreams」の第3曲として組み込まれた。

 

組曲「World Dreams」 
1.World Dreams
2.Driving to Future
3.Diary

 

実は「World Dreams」を組曲にしたいという構想はこれまでもありましたが、今年テレビ番組(「皇室日記」)からオファーを受けて「Diary」を書いた時に「World Dreams」の世界観と通じるものがあると感じ組曲にしました。

(久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019 コンサート・パンフレットより 抜粋)

 

第3曲「Diary」はTV番組『皇室日記』の新テーマ曲として2019年5月から使用されている楽曲。TV版は約3分の楽曲として一度だけO.A.されたことがありますが、それとは異なる組曲用の再構成、大幅にドラマティックに加筆されていました。第1曲のキメのフレーズが再循環で登場したりと、組曲を統一するにふさわしい壮大なオーケストレーション。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

2020.08.19 追記

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサートライヴ盤がCD発売された。

 

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『ad Universum』 *Unreleased

2018年12月19日 上映

 

コニカミノルタプラネタリアTOKYO
オープニング記念作品
DOME2 プラネタリウムドームシアター作品
『To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲』

上映期間:2018年12月19日~2019年12月18日
上映時間:約40分
上映時刻:12時/14時/16時/18時/20時
音楽:久石譲
ナレーション:夏帆

 

コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウン
上映期間:2019年10月12日~ *

*台風のため10月12日は休館。初上映は10月13日 15時~の回より。

 

 

プラネタリウムの音楽を書き下ろすのはキャリア初、全編書き下ろし。自らタクトを振るい『宇宙』をテーマにオーケストラ編成による壮大なサウンドスケープ。本作は最新の立体音響システム「SOUND DOME®」に対応、まるで実際に目の前でオーケストラが演奏しているかのような、重厚かつ繊細な音響空間を構築。本作のテーマは、宇宙飛行士が体験した“本当の宇宙”。日本人宇宙飛行士の土井隆雄さん、山崎直子さん、大西卓哉さんの体験を元に、そこから見える宇宙の光景(すがた)を、コニカミノルタプラネタリウムの最新投映機「Cosmo Leap Σ(コスモリープ シグマ)」と全天周CG映像で再現。

43.4ch音響。SOUND DOMEは、ドーム裏側に配置された43個のスピーカーと、壁背面の4個のウーファーで構成した立体音響システム。前後左右に加え上下や回転といった、きめ細かな音像移動を表現。オーケストラによる演奏や環境音を忠実に再現することで、リアルな体験を提供。

 

 

To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲 約30秒

コニカミノルタプラネタリウム Official YouTubeチャンネル より (※2018年12月19日現在)

 

 

12月17日ラジオJ-WAVE「GOOD NEIGHBORS」に生出演した際には、本作品の音楽について語られ、エンディングに流れる「AD UNIVERSUM」(約3分)楽曲がオンエアされた。

 

「結果的に書いてよかったです。自分が書きたいミニマルベースな方法論で書けました。地面じゃない音楽っていう言い方は変かな、例えば深海シリーズとかディープオーシャン、ちょっと日常ではない世界、宇宙とかね、そういう音楽って意外に音楽の持っている力がけっこう発揮しやすい。そういう意味では、わりと書きたいように書かせていただいたし、この間試写を観たときにすごく「あっ、これはかなりいいねえ」と僕は思いました。」

「宇宙は実は一個問題があって、キューブリックの『2001年宇宙の旅』という映画があって、なぜか宇宙空間になると(あのワルツの)パターンができちゃってるんで、これを壊さなきゃいけないというのがちょっとありますよね。やっぱり僕はすごいと思う、あのアイデアはね。そういう方法をとらないで、ミニマルをベースにしたので大丈夫だったんですが、やっぱり宇宙だと一回ああいう衝撃的な音のつくり方をされると、これけっこうみんな残っちゃいますよね。」

「まだちゃんとしたミックスもしてなくて音質も悪いです。ただ一番レアなものだということで聴いていただけたらいいかなあと思います。タイトル言いましょうか。「To The Grand Universe」よりエンディングを聴いてください。」

(J-WAVE GOOD NEIGHBORS 出演トークより 一部書き起こし)

 

 

2019.1.8 追記

レビュー

久石譲のラジオインタビューにあるとおり、ミニマル手法をベースに全編音楽構成された作品。メインテーマがありオープニングやエンディングで流れ本編ではそのバリエーション(変奏・アレンジ)が流れるという構成ではなく、全編書き下ろされた楽曲になっているのも大きな特徴と言える。

主張するようなはっきりとした性格をもったメロディではないけれど、ミニマルという最小限のモチーフながら広がりや無限さを感じさせる巧みな音づくり。聴き飽きることのない音楽、ずっとループしていたいような音楽宇宙。アプローチとしては深海シリーズやディープオーシャンに通じる小編成オーケストラで、切れ味のよいソリッドな響き、リズミックな刻みが心地いい。ピアノ・マリンバ・ハープといった久石譲のミニマル・エッセンスに欠かせない楽器たちが絶妙なバランスでブレンドされている。

たとえば、プラネタリウムから連想するきれいで優しくてゆったりとした、楽器でいうとストリングスが悠々と流れシロフォンがキラキラと輝き。そんなイメージを打破してくれる久石譲のモダンでミニマルな音楽構成はとても新鮮で、新しい表現を提示してくれたこと、見事に映像と音楽で宇宙を描けていることは画期的とも言える。

ひとつだけ例をあげると、満点の星空がゆっくりと時間をかけて一周するシーンがある。久石譲のミニマル・ミュージックだけで約数分間静かに確かに推しきっている。そしてこれは星の動きが終わりなく永遠であること、ミニマルの調べもまた永遠であることと強く共鳴し印象的なシーン。

良い意味で映画のように制約が少ない音楽づくりは、とても久石譲がやりたいイメージで伸び伸びと発揮されているように思うし、映画ではここまでミニマル・ミュージックを貫けないだろうという点でも貴重な音楽作品。ナレーション付きだけれど、しっかりと音楽だけを聴かせる箇所も複数あり、効果音がうるさくぶつかることも少ない。まるでMusic Videoを観ているように久石譲音楽をたっぷりと聴くことができる。上映作品名に久石譲の名前がついているだけあって、音楽を大切につくられたプラネタリウム作品であることが伝わる。

映画サウンドトラックよりも、久石譲の明確なアプローチやコンセプトをもった、オリジナルアルバムに近い位置づけとできる音楽たち。上映時間約40分中、音楽は2/3以上配置されている。ぜひミニアルバムなどのCD化を強く願っている。また「Deep Ocean組曲」のように演奏会用音楽作品としても再構築され、コンサートで演奏されることも期待したい。それほどまでに現在進行形の久石譲が凝縮された最先端の音楽が届けられたとうれしさ満点。

エンドロールがとても駆け足で音楽関連情報をほとんど把握することができなかった。演奏はオーケストラ団体名はなく、Violin誰々というように全楽器奏者の個人名がクレジットされていた。おそらく約40人規模ぐらいの編成だったのではないかと思う。もうひとつ取り上げたいのが、公式PVで映像がはさまれていたレコーディング風景の1コマ2コマ、奏者の服装に半袖や腕をまくった人が多かったこと。この時は、秋にかけてレコーディングしたのかなと推察していた。そしてエンドロールのクレジットを組み合わせる。オーケストラ団体名ではなかったのは、今回のレコーディングメンバーは、ナガノ・チェンバー・オーケストラのメンバーがベースとなっているのではないだろうか。時期的にも「第九」公演にて完結した2018年夏からまもなくであり、久石譲の現代的アプローチを見事に表現できる室内オーケストラ、3年間久石譲と互いに磨きあげた信頼関係と演奏技術。まったくの勝手な推測の域を出ないけれど、この作品の音楽の”音”を思い出すたびにそんな気がしてくる。いつか演奏者や合唱団についての詳細が明らかになるとうれしい。

 

久石譲が紡ぎあげる宇宙空間。こんなにも贅沢な非日常イマジネーション豊かな音楽を、飽きのこない広がりある心地よい無重力ミニマル・ミュージックを、日常生活のなかでいつも包まれ聴きたい。

 

プラネタリアTOKYOオープニング作品(期間限定)、再上映予定なし、未CD化作品。

 

 

 

2019.8.14 追記

2019年8月1日「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ」にて組曲化、世界初演。

 

ad Universum
1.Voyage
2.Beyond the Air
3.Milky Way
4.Spacewalk
5.Darkness
6.Faraway
7.Night’s Globe
8.ad Terra

 

ーAプロでは次の曲が「ad Universum」です。

久石:
今年オープンしたプラネタリウム(コニカミノルタ プラネタリウム)のために書いた曲を組曲として構成し直しました。宇宙がテーマだったので、ミニマル・ミュージックでありながら聴きやすさを大事にして作った曲です。つまり相反する要素を一つの曲の中で表現している。そういう意味ではBプロで演奏する深海をテーマにした「Deep Ocean」の続編としての側面もあります。

(久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019 コンサート・パンフレットより 抜粋)

 

ad Universum 【A】
コニカミノルタプラネタリアTOKYO『To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲』のために書き下ろされた曲たちが『ad Universum』というタイトルで組曲化されました。この作品についてはとても曖昧な印象、な話になってしまいます。現在もロングラン上映中かつ未CD化のオリジナル楽曲たちだからです。

おそらくほとんどの曲が組曲化で盛り込まれているような気はします。小さい編成のオーケストラ+シンセサイザーで組み立てられたオリジナル版は、ミニマル手法を貫いた楽曲たちです。コンサートの印象では、やや編成を大きくし、アクセントやパンチの効いたダイナミックなオーケストレーションも施され、あくまでも管弦楽をベースとして必要最小限のキーボードによる電子音使用、まさに演奏会用の音楽作品に再構成されているんだろうと思います。静かな曲での電子音はエッセンスとしてとても効果的で、オーケストラも厚すぎず、散りばめられた星たちが適度な距離感でまたたくように、音たちもそれぞれの距離感で奏であい、、やっぱり曖昧な印象になってしまう。

エンディングに流れる曲はオリジナル版では合唱編成あり、この楽曲だけラジオO.A.音源として聴くことができます。コーラスの厚みが金管楽器などに置き換わっていました。さすが演奏会用に昇華されたダイナミックなエンディング曲です。ということで、、プラネタリウム鑑賞時のレビューのほうが各楽曲について細かく記しているかもしれません。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

ad Universum
プラネタリウムの為に書き下ろされた楽曲達が再構成されて、コンサートで披露されました。ミニマルミュージックを軸に構成されており、反復で表現されていく様子はまさしく音のプラネタリウムでした。8曲から構成され、プラネタリウムで使用された楽曲はほとんど使用されていたのはないでしょうか? 絶え間なく演奏され、1曲ずつの感想は書けませんが、印象に残ったことを書いていきます。

冒頭(1.Voyage)では、ゆったりとしたストリングの調べから、突如マリンバのソロが入ります。そこから繰り広げられていくミニマルの刻み。『D.E.A.D』組曲の三楽章『死の巡礼』のように迫りくるリズムが続きます。

2.Beyond the Airでは『The East Land Symphony』の二楽章『Air』のような浮遊する雰囲気を感じられます。全体としてメロディの要素は少ないですが、途中で現れる「ラレド♯ー」のような特徴的なメロディの欠片からは流れ星の煌めきを連想させます。低音から高音へ、波の揺らぎのような部分からは『Deep Ocean』のような雰囲気も。

終盤(8.ad Terra)からは大迫力のミニマルワールド。ひたすら繰り返されるリズムの刻みに終始圧倒されました。大迫力のフィナーレのあと、マリンバのソロで静かに終わるのが印象的でした。

Overtone.第24回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート by ふじかさん より抜粋)

 

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『毛虫のボロ』 *Unreleased

2018年3月21日 映画公開

 

『毛虫のボロ』 ジブリの森のえいが

公開日:2018年3月21日(水・祝)~8月31日(金)予定
原作・脚本・監督:宮崎駿
声と音:タモリ
音楽:久石譲
時間:14分20秒
会場:三鷹の森ジブリ美術館 映像展示室「土星座」

 

映画本編はすべてタモリによる声と音のみで、エンディングに久石譲によるピアノ曲が1曲流れる作品になっている。

また映画パンフレットの制作クレジットにも「音楽:久石譲」とあるのみなので、シンプルなピアノ曲ということになる。曲名は記載がないため曲名不明の楽曲である。

スタジオジブリ小冊子「熱風 2018年3月号」の米津玄師コメントにて楽曲の印象が少しだけ触れてある。詳細は割愛するが、一連のジブリ美術館のための音楽(展示室用BGM他)の流れをくんだ楽曲であることが推測できる。

映画パンフレットには、約15ページにおよぶ映画シーンの絵紹介、2ページにわたる宮崎駿×養老孟司 対談、プロダクションノートとして奥井敦(撮影監督)・吉田昇(美術監督)・中村幸憲(CG作画監督)のインタビューが掲載されている。

 

 

レビュー記

本編はタモリによる声と音だけで、唯一エンドロールで久石譲によるピアノ小曲が約1分間ほど流れる。メランコリックで不思議な印象をのこす、はっきりとしたメロディというよりも静かなピアノの調べ。フェイドアウトするわけではないけれど、まだその先もつづきそうなゆったりとした旋律。ジブリ美術館展示室用オリジナルBGMなどの世界観に共通する雰囲気をもった幻想的で神秘的なピアノ曲。

また三鷹の森ジブリ美術館「土星座」で上映されているすべての短編アニメーション映画のオープニング用として久石譲が書き下ろした「ムゼオ虫」(ジブリの森のえいがサウンドロゴ)を聴くことができる。バグパイプで始まりススワタリのような声と特徴的な打楽器たち、「となりのトトロ」の音楽世界に通じる約10秒間の音づくりがされている。

未CD化作品。

 

 

 

 

■宮崎駿監督のコメント(全文)

ごあいさつ

生まれたばかりのちっぽけな毛虫に世界はどう見えているのでしょう。
小学生のとき、植物の光合成について教えられて、光合成はどう見えるのかズーッと気になっていました。
毛虫には空気の粒は見えるのかなぁとか、葉っぱをかじった時はゼリーのような味がするのかなぁとか、狩人蜂は今の戦場で飛び回っている無人攻撃機みたいなものかなぁとか…。
それでこんな映画ができてしまいました。
さいごまでつきあってくれたスタッフと、ノボロギクを教えてくれた家内と、音をあててくれたタモリさんに感謝します。
タモリさんなくては、この映画は完成しませんでした。

ありがとう
宮崎駿

2018年3月11日

Info. 2018/03/14 宮崎駿監督最新短編アニメ『毛虫のボロ』完成 久石譲ピアノ曲 より)