Disc. 久石譲 『Diary』 *Unreleased

2019年5月5日 TVオンエア開始

曲名:Diary
作曲:久石譲
演奏:読売日本交響楽団

 

日本テレビ系TV番組「皇室日記」(毎週日曜日、朝6:00-6:15)新テーマ曲として書き下ろされた楽曲。2019年5月1日、時代は平成から令和へ。

いくつかのBGMが使われる番組ではあるが、久石譲が手がけたのは新テーマ曲の1曲。番組オープニングやエンディングを主に内容にあわせて使用されている。

 

先がけて3月10日放送回にて、新テーマ曲について久石譲インタビューやレコーディング風景をまじえて紹介された。録音は2月川崎市にて。またフルバージョン(約3分)もオンエアされた。ナレーションもなく回想映像音もない、録音映像と皇室映像をまじえたPVのように、その音楽だけがきれいに聴けた貴重な回となっている。

 

久石譲 談

「『皇室日記』という番組でもあることもあってできるだけひと言で言ってしまえば堂々とした曲。天皇の代も替わるしいろんな意味で新しい時代が来ると。新しい時代の風みたいなそういうような感じに仕上がるといいなとは思いましたね。」

「大っきいこう大河が流れてくような楽曲にしたい。そうするとメロディーが高いほうできらびやかにするよりは、こうお腹の底からと言いますかね、割と低いほうからガツっと音楽を支えたほうがいい。それでやはりビオラが何かね、あの音域のメロディっていうのはとても自分にとっては今回合うなと思いまして。」

「皇太子さまがビオラ弾かれてるっていうのは何となく風のうわさでは聞いてましたけども、意図したわけではないんですがいい具合に一致したのはとてもありがたいです。」

(3月10日放送回より 書き起こし)

 

 

久石譲による言葉がこの楽曲の特徴を語ってくれている。高い品格をまとった曲で、ヴィオラの音域が堂々とかまえ悠々と流れる大河のように旋律を奏でる。それはヴァイオリンなどが高らかに歌うのとは違う、同じ高さ(目線)で語りかけてくれるようでもある。テーマを1回奏した次の中間部では、ソリッドな手法でひとつのモチーフが弦楽・管楽と交錯する。まるで幾重にも織り編まれる時間を刻んでいるようで、まるで幾重にも交わる人のつながりが果てしないように、綴られていく日記。その後2回目のテーマが奏され、1回目よりも弦楽による刻みや低音のリズムがしっかり強調される、力強く前向きに。だがしかし、ドラマティックになりすぎない展開は劇的さを望まず、最後にチューブラーベルの鐘の音がくっきりと響きわたる。

 

未CD化楽曲。これから先、読売日本交響楽団との共演コンサートなどで初演を迎えてほしい。

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『To the Grand Universe』 *Unreleased

2018年12月19日 上映

 

コニカミノルタプラネタリアTOKYO
オープニング記念作品
DOME2 プラネタリウムドームシアター作品
『To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲』

上映期間:2018年12月19日~2019年 月 日
上映時間:約40分
上映時刻:12時/14時/16時/18時/20時
音楽:久石譲
ナレーション:夏帆

 

プラネタリウムの音楽を書き下ろすのはキャリア初、全編書き下ろし。自らタクトを振るい『宇宙』をテーマにオーケストラ編成による壮大なサウンドスケープ。本作は最新の立体音響システム「SOUND DOME®」に対応、まるで実際に目の前でオーケストラが演奏しているかのような、重厚かつ繊細な音響空間を構築。本作のテーマは、宇宙飛行士が体験した“本当の宇宙”。日本人宇宙飛行士の土井隆雄さん、山崎直子さん、大西卓哉さんの体験を元に、そこから見える宇宙の光景(すがた)を、コニカミノルタプラネタリウムの最新投映機「Cosmo Leap Σ(コスモリープ シグマ)」と全天周CG映像で再現。

43.4ch音響。SOUND DOMEは、ドーム裏側に配置された43個のスピーカーと、壁背面の4個のウーファーで構成した立体音響システム。前後左右に加え上下や回転といった、きめ細かな音像移動を表現。オーケストラによる演奏や環境音を忠実に再現することで、リアルな体験を提供。

 

 

To the Grand Universe 大宇宙へ music by 久石譲 約30秒

コニカミノルタプラネタリウム Official Youtubeチャンネル より (※2018年12月19日現在)

 

 

12月17日ラジオJ-WAVE「GOOD NEIGHBORS」に生出演した際には、本作品の音楽について語られ、エンディングに流れる「AD UNIVERSUM」(約3分)楽曲がオンエアされた。

 

「結果的に書いてよかったです。自分が書きたいミニマルベースな方法論で書けました。地面じゃない音楽っていう言い方は変かな、例えば深海シリーズとかディープオーシャン、ちょっと日常ではない世界、宇宙とかね、そういう音楽って意外に音楽の持っている力がけっこう発揮しやすい。そういう意味では、わりと書きたいように書かせていただいたし、この間試写を観たときにすごく「あっ、これはかなりいいねえ」と僕は思いました。」

「宇宙は実は一個問題があって、キューブリックの『2001年宇宙の旅』という映画があって、なぜか宇宙空間になると(あのワルツの)パターンができちゃってるんで、これを壊さなきゃいけないというのがちょっとありますよね。やっぱり僕はすごいと思う、あのアイデアはね。そういう方法をとらないで、ミニマルをベースにしたので大丈夫だったんですが、やっぱり宇宙だと一回ああいう衝撃的な音のつくり方をされると、これけっこうみんな残っちゃいますよね。」

「まだちゃんとしたミックスもしてなくて音質も悪いです。ただ一番レアなものだということで聴いていただけたらいいかなあと思います。タイトル言いましょうか。「To The Grand Universe」よりエンディングを聴いてください。」

(J-WAVE GOOD NEIGHBORS 出演トークより 一部書き起こし)

 

 

2019.1.8 追記

レビュー

久石譲のラジオインタビューにあるとおり、ミニマル手法をベースに全編音楽構成された作品。メインテーマがありオープニングやエンディングで流れ本編ではそのバリエーション(変奏・アレンジ)が流れるという構成ではなく、全編書き下ろされた楽曲になっているのも大きな特徴と言える。

主張するようなはっきりとした性格をもったメロディではないけれど、ミニマルという最小限のモチーフながら広がりや無限さを感じさせる巧みな音づくり。聴き飽きることのない音楽、ずっとループしていたいような音楽宇宙。アプローチとしては深海シリーズやディープオーシャンに通じる小編成オーケストラで、切れ味のよいソリッドな響き、リズミックな刻みが心地いい。ピアノ・マリンバ・ハープといった久石譲のミニマル・エッセンスに欠かせない楽器たちが絶妙なバランスでブレンドされている。

たとえば、プラネタリウムから連想するきれいで優しくてゆったりとした、楽器でいうとストリングスが悠々と流れシロフォンがキラキラと輝き。そんなイメージを打破してくれる久石譲のモダンでミニマルな音楽構成はとても新鮮で、新しい表現を提示してくれたこと、見事に映像と音楽で宇宙を描けていることは画期的とも言える。

ひとつだけ例をあげると、満点の星空がゆっくりと時間をかけて一周するシーンがある。久石譲のミニマル・ミュージックだけで約数分間静かに確かに推しきっている。そしてこれは星の動きが終わりなく永遠であること、ミニマルの調べもまた永遠であることと強く共鳴し印象的なシーン。

良い意味で映画のように制約が少ない音楽づくりは、とても久石譲がやりたいイメージで伸び伸びと発揮されているように思うし、映画ではここまでミニマル・ミュージックを貫けないだろうという点でも貴重な音楽作品。ナレーション付きだけれど、しっかりと音楽だけを聴かせる箇所も複数あり、効果音がうるさくぶつかることも少ない。まるでMusic Videoを観ているように久石譲音楽をたっぷりと聴くことができる。上映作品名に久石譲の名前がついているだけあって、音楽を大切につくられたプラネタリウム作品であることが伝わる。

映画サウンドトラックよりも、久石譲の明確なアプローチやコンセプトをもった、オリジナルアルバムに近い位置づけとできる音楽たち。上映時間約40分中、音楽は2/3以上配置されている。ぜひミニアルバムなどのCD化を強く願っている。また「Deep Ocean組曲」のように演奏会用音楽作品としても再構築され、コンサートで演奏されることも期待したい。それほどまでに現在進行形の久石譲が凝縮された最先端の音楽が届けられたとうれしさ満点。

エンドロールがとても駆け足で音楽関連情報をほとんど把握することができなかった。演奏はオーケストラ団体名はなく、Violin誰々というように全楽器奏者の個人名がクレジットされていた。おそらく約40人規模ぐらいの編成だったのではないかと思う。もうひとつ取り上げたいのが、公式PVで映像がはさまれていたレコーディング風景の1コマ2コマ、奏者の服装に半袖や腕をまくった人が多かったこと。この時は、秋にかけてレコーディングしたのかなと推察していた。そしてエンドロールのクレジットを組み合わせる。オーケストラ団体名ではなかったのは、今回のレコーディングメンバーは、ナガノ・チェンバー・オーケストラのメンバーがベースとなっているのではないだろうか。時期的にも「第九」公演にて完結した2018年夏からまもなくであり、久石譲の現代的アプローチを見事に表現できる室内オーケストラ、3年間久石譲と互いに磨きあげた信頼関係と演奏技術。まったくの勝手な推測の域を出ないけれど、この作品の音楽の”音”を思い出すたびにそんな気がしてくる。いつか演奏者や合唱団についての詳細が明らかになるとうれしい。

 

久石譲が紡ぎあげる宇宙空間。こんなにも贅沢な非日常イマジネーション豊かな音楽を、飽きのこない広がりある心地よい無重力ミニマル・ミュージックを、日常生活のなかでいつも包まれ聴きたい。

 

プラネタリアTOKYOオープニング作品(期間限定)、再上映予定なし、未CD化作品。

 

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲』 *Unreleased

2018年8月9日、「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」にて世界初演。

 

アメリカのアカデミー賞長編アニメーション賞を獲った作品で、海外からも一番これを演奏してほしいという要望が強いんですよね。すごく強いのですが、なぜかチャレンジをずっと避けていた曲なんです。今年本格的に取り組んでみて、思った以上に激しい曲が多くて驚きました。人間世界から異世界に迷い込んで、千尋という名前が千に変わり、両親が豚に変えられたりする中で、様々な危機が来る。当然、音楽も激しくなるわけです。一方でこの作品には「六番目の駅」に代表されるような、現実と黄泉の世界の狭間が色濃く表現されている。宮崎さんが辿り着いた死生観が漂っている気がします。でもだからこそ生きていることが大事なんだ、ということをちゃんと謳っている。その思いが伝わればいいなと思っています。

久石譲

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・パンフレット より)

 

 

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 【AB】
今年のW.D.O.は“あの夏へ”がやってくる。──このキャッチコピーのとおり、目玉となるジブリ交響作品化シリーズ第4弾。2001年映画公開年に組曲化した「Super Orchestra Night 2001」収録版を遥かに超える完全版が巨大な姿を現しました。多種多彩な音楽を盛り込んだオリジナル・サウンドトラック盤から、ストーリーにそって展開される組曲。「あの夏へ」「夜来る」「神さま達」「湯屋の朝」「底なし穴」「竜の少年」「カオナシ」「6番目の駅」「ふたたび」「帰る家」映画のシーンを象徴する10楽曲です。今、このサントラ楽曲たちをプレイリストで一気に流してみても圧巻ですが、フルオーケストラ版でヴァージョンアップした組曲は、まさにオーケストラのフルスペック。映像化・音源化されるその日まで多くを語ることができません。海外からも一番要望の強い作品、きっとこれを聴いたら度肝を抜かれるでしょう。

強く思ったこと。ファンタジー音楽の金字塔。たとえば『ハリーポッター』が西洋ファンタジーをうまく表現していたときに、『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジーとして誇れるものです。映像と音楽を切り離しても『ハリーポッター』は西洋ファンタジー音楽の魅力がつまっています。同じように『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジー音楽の象徴のようです。これってすごいことだな、と改めて思ったわけです。ファンタジーならではの夢・異世界・冒険・活劇・希望。ここに日本やアジアのエッセンスを見事に盛り込んでファンタジー音楽にしている。日本のアニメーションはすごいと言われます。でも、あえて言うなら、もっと大きな枠でファンタジーと言ってもいいんじゃないか。海外からも一番要望の強い作品、それは宮崎駿作品だから、日本アニメーションだから、それだけかな、ファンタジーとして評価されているんじゃないかな。そして久石譲が築きあげた音楽は、東洋ファンタジー音楽の象徴として熱望されているんじゃないかな。実写やアニメーションという枠をとっぱらって。そんなことを強く思いました。だから僕は、『千と千尋の神隠し』音楽はファンタジー音楽の金字塔、と言いたい。

”あの夏へ”にはじまり”あの夏へ”におわる。久石譲ピアノにはじまり久石譲ピアノにおわる。”One Summer’s day”のメロディは世界中のファンをうっとり魅了します。ピアノの音がゆっくり空気に包まれていく余韻まで、久石譲が鍵盤から指をはなして静止した数秒間まで。日本の”間”をたっぷりと感じとってほしいエンディングです。

 

久石譲 『千と千尋の神隠し サウンドトラック』

 

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

『Spirited Away Suite』
今回のコンサートの目玉。「千と千尋の神隠し」組曲です。まず、サントラの曲名で構成を報告します。「あの夏へ(弾き振り)→夜来る→神さま達→湯屋の朝→底なし穴→竜の少年→カオナシ→6番目の駅(弾き振り)→ふたたび(指揮のみ)→帰る家(弾き振り)→One Summer’s Dayの終結部」という構成でした。

久石さんの分散和音から始まる『あの夏へ』。後半はあの世界へといざなうドライブのシーンもオーケストラで完全再現です。いままでコンサートで披露されてこなかった楽曲もふんだんに取り入れられていて、圧倒されました。『カオナシ』までもが完全再現で演奏されとは思いませんでした。大迫力です。これまでの交響組曲の中でも久石さんがピアノ演奏する場面もかなり多かったです。『6番目の駅』での不安を表すようなアルペジオと浮遊感のあるメロディ。とても繊細でした。『ふたたび』でフィナーレかな?と思ってましたが、まさか『帰る家』まで組まれているとは思いませんでした。『あの夏へ』と『帰る家』は同じメロディですが、映画を見ても思いますが、全然雰囲気が異なる印象を受けてしまいます。最初では不安とさみしさを感じさせるのですが、最後では思い出と希望を持ち帰る感じがします。それを今回の生演奏でも感じられて感無量でした。そして最終的に『One Summer’s Day』のアウトロに結びつきました。今回もかなりのクオリティの交響組曲に仕上がっていて、かなり感動しました。

Overtone.第18回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・レポート by ふじかさん より抜粋)

 

 

 

2019.1.13 追記

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲

映画に使われた主要な楽曲、印象的なシーンに使われた楽曲たちを贅沢に組曲化した「千と千尋の神隠し」完全版。久石譲のピアノ曲からエスニック、ガムラン、バリ島の音楽、沖縄民謡、中近東やアフリカにわたるいろいろな素材や楽器をごった煮することで、広がりあるファンタジーの世界を築きあげていた同作品およびサウンドトラック。組曲化に際しても映画のストーリーにそって、めまぐるしく変わる展開、統一感をあえて嫌うようなバリエーション豊かな音楽たちは、底知れないパワーを秘めています。

一番注目したいのは、フルオーケストラをベースとしながらも、シンセサイザー、民族楽器、民族パーカッション、サンプリングヴォイスなど、音色的にも多彩なバリエーションによって構成していたサウンドトラック盤。これらがフルオーケストラのみでなんの遜色もなく再現されていること自体に驚きです。聴いていてなにか物足りない、サントラには敵わないなという印象はなく、圧巻のオーケストラ・フルスペック。僕が言いたいのはこれに尽きます。

音楽構成は「あの夏へ」「夜来る」「神さま達」「湯屋の朝」「底なし穴」「竜の少年」「カオナシ」「6番目の駅」「ふたたび」「帰る家」全10曲おしみなくオールハイライト。もともとサウンドトラック盤は感覚値で7:3か8:2のオーケストラ:シンセサイザー比率、またスタジオ録音ではなくコンサートホール録音を採用していたこともあって、全体的な響きもこのコンサート版と近い印象あります。

それでもたとえば「カオナシ」パート。狂乱に満ちたスリリングな楽曲で活躍しているのが、タイゴングという音程のある銅鑼の仲間。これ、ずっと名前がわからなくて触れることができなかったのですが、とても特徴的な楽器です。

 

これはW.D.O.2018ツアー期間中、新日本フィル公式SNSにアップされていた舞台裏写真。銅鑼ごとに音程があり音名がふられていることがわかります。「d」は「レ」、「f」は「ファ」というように。

 

このパートだけでも大きな銅鑼、大太鼓、ティンパニ、スネア、シンバルら多彩なパーカッションを総動員し、シンバルの閉じた叩き方で効果音のようになっていたり、スティックを叩いたり、打楽器のいろいろな箇所を叩いて豊かな表現をしています。マリンバ奏者は「Music Future コンサート・シリーズ」などもふくめ久石譲作品には欠かせない和田三世さん。オーケストラ演奏会は、ベースとなる楽団奏者のほかにプログラムやプラスアルファされる楽器に合わせた客演奏者も招かれて、はじめてみんなで音楽を作りあげます。マリンバのような打楽器は久石譲音楽の要です、W.D.O.音楽監督を務める久石譲の人選によるところはもちろんでしょう。

シンセサイザーであれば簡単に効果音やそれらしい音色を選べば世界観が築けてしまうところ。それをオーケストラで構築していることに大きな価値があるように思います。オーケストラで表現できる音楽というのは、楽器を選ばない、場所を選ばない、国を選ばない、時代を選ばない。

「カオナシ」という組曲のひとつのパートをチョイスするだけでもたくさんの発見と楽しさがつまっています。食い入るように見聴きしてしまいます。ぜひ「千と千尋の神隠し」の好きな曲、好きなシーンの音楽からサウンドトラック盤と組曲版楽しんでください。コンサートレポートでも少し書きましたが改めてTV放送を見て。「千と千尋の神隠し」音楽は、西洋オーケストラ楽器で表現しうる東洋ファンタジー音楽の金字塔。そう強く思います。

 

組曲化された楽曲たちをみるとストーリーの展開に沿っていることはもちろん、千尋・ハク・カオナシという3つの登場人物たちにフォーカスしていることがわかります。「夜来る」は千尋とハクが出会うシーンであり、「湯屋の朝」は千尋とカオナシが出会うシーン(カオナシが映画のなかで初登場する場面)です。いつもの作風とは異なりライトモチーフ的な手法で、湯婆婆のテーマや釜爺のテーマなど印象的な楽曲が多かった『千と千尋の神隠し』音楽のなかから、なぜ「あの夏へ」「夜来る」「神さま達」「湯屋の朝」「底なし穴」「竜の少年」「カオナシ」「6番目の駅」「ふたたび」「帰る家」という10曲が選ばれたのか。興味は尽きません。

「ふたたび」(CD盤3:14~)は、千尋とハクが月夜の空を駆ける印象的なシーンです。この空、水、時間を漂うような神秘的で幻想的なシーンで奏でられていたのがグロッケンシュピールやハープです。そして、交響組曲版ではグロッケンシュピールを外し、ピッコロとフルートという木管楽器がハープとブレンドされています。なにげない数十秒間なんですけれど、神秘感と幻想感に心地よい浮遊感が加わり、映像がないなかで”空を飛んでいること”を音楽で表現しイメージを後押しする。こんなことを見つけだしたらキリがないくらい、でも、もっとたくさん発見できる聴き手になりたい。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」BS日テレTV放送 レビュー より抜粋)

 

 

 

Disc. 久石譲 『毛虫のボロ』 *Unreleased

2018年3月21日 映画公開

 

『毛虫のボロ』 ジブリの森のえいが

公開日:2018年3月21日(水・祝)~8月31日(金)予定
原作・脚本・監督:宮崎駿
声と音:タモリ
音楽:久石譲
時間:14分20秒
会場:三鷹の森ジブリ美術館 映像展示室「土星座」

 

映画本編はすべてタモリによる声と音のみで、エンディングに久石譲によるピアノ曲が1曲流れる作品になっている。

また映画パンフレットの制作クレジットにも「音楽:久石譲」とあるのみなので、シンプルなピアノ曲ということになる。曲名は記載がないため曲名不明の楽曲である。

スタジオジブリ小冊子「熱風 2018年3月号」の米津玄師コメントにて楽曲の印象が少しだけ触れてある。詳細は割愛するが、一連のジブリ美術館のための音楽(展示室用BGM他)の流れをくんだ楽曲であることが推測できる。

映画パンフレットには、約15ページにおよぶ映画シーンの絵紹介、2ページにわたる宮崎駿×養老孟司 対談、プロダクションノートとして奥井敦(撮影監督)・吉田昇(美術監督)・中村幸憲(CG作画監督)のインタビューが掲載されている。

 

 

レビュー記

本編はタモリによる声と音だけで、唯一エンドロールで久石譲によるピアノ小曲が約1分間ほど流れる。メランコリックで不思議な印象をのこす、はっきりとしたメロディというよりも静かなピアノの調べ。フェイドアウトするわけではないけれど、まだその先もつづきそうなゆったりとした旋律。ジブリ美術館展示室用オリジナルBGMなどの世界観に共通する雰囲気をもった幻想的で神秘的なピアノ曲。

また三鷹の森ジブリ美術館「土星座」で上映されているすべての短編アニメーション映画のオープニング用として久石譲が書き下ろした「ムゼオ虫」(ジブリの森のえいがサウンドロゴ)を聴くことができる。バグパイプで始まりススワタリのような声と特徴的な打楽器たち、「となりのトトロ」の音楽世界に通じる約10秒間の音づくりがされている。

未CD化作品。

 

 

 

 

■宮崎駿監督のコメント(全文)

ごあいさつ

生まれたばかりのちっぽけな毛虫に世界はどう見えているのでしょう。
小学生のとき、植物の光合成について教えられて、光合成はどう見えるのかズーッと気になっていました。
毛虫には空気の粒は見えるのかなぁとか、葉っぱをかじった時はゼリーのような味がするのかなぁとか、狩人蜂は今の戦場で飛び回っている無人攻撃機みたいなものかなぁとか…。
それでこんな映画ができてしまいました。
さいごまでつきあってくれたスタッフと、ノボロギクを教えてくれた家内と、音をあててくれたタモリさんに感謝します。
タモリさんなくては、この映画は完成しませんでした。

ありがとう
宮崎駿

2018年3月11日

Info. 2018/03/14 宮崎駿監督最新短編アニメ『毛虫のボロ』完成 久石譲ピアノ曲 より)

 

 

 

Disc. 久石譲 『Oriental Wind』 2018 New version *Unreleased

2018年3月18日 CMオンエア開始

サントリー緑茶 伊右衛門「こころの茶屋 編」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。2004年から2012年まで同CMシリーズにて様々なヴァージョンで使用されてきた「Oriental Wind」。2017年に5年ぶりに新ヴァージョンにて再登場して、翌2018年も新たなヴァージョンがうまれた。

 

商品名:サントリー緑茶 伊右衛門
出演者:本木雅弘/宮沢りえ/草彅剛
Web公開日:2018年3月16日
オンエア開始日:2018年3月18日
ナレーター:松川信
使用楽曲:Oriental Wind
作曲家:久石譲

 

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ティザー』篇 30秒 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ティザー/歌』篇 60秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 歌』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 歌 特別』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 足しびれ』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM

 

4月9日 CMオンエア開始

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 地図』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 自撮り』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー CM

 

4月9日 Web公開

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋』 草彅剛篇 メイキングムービー 1分28秒 本木雅弘 宮沢りえ 草彅剛 サントリー

 

4月9日 ラジオCM

  • 草彅剛 挑戦篇 40秒
  • 草彅剛 春の風編 40秒
  • 草彅剛 ジーンズ篇 40秒

 

 

4月19日「たらい篇」が追加公開。4月23日からTVCMもオンエア開始。

 

商品名:サントリー緑茶 伊右衛門
出演者:本木雅弘/宮沢りえ/加藤茶/高木ブー/仲本工事
Web公開日:2018年4月19日
オンエア開始日:2018年4月23日
ナレーター:松川信
使用楽曲:Oriental Wind
作曲家:久石譲

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 たらい』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 加藤茶 高木ブー 仲本工事 サントリーCM

 

5月14日ラジオCM

  • 加藤茶・高木ブー・仲本工事シリーズ 前を向く言葉篇 40秒
  • 加藤茶・高木ブー・仲本工事シリーズ ひと息編 40秒
  • 加藤茶・高木ブー・仲本工事シリーズ お茶の間に必要なもの篇 40秒

 

7月1日Web公開

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋』 ザ・ドリフターズ篇 メイキングムービー 1分28秒 本木雅弘 宮沢りえ 加藤茶 高木ブー 仲本工事 サントリー CM

 

7月2日CMオンエア開始

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ずっこけ』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 加藤茶 高木ブー 仲本工事 サントリーCM

 

 

2019年

2月28日CM動画・メイキングムービー 公開

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 怪物』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 松坂大輔 村田修一 サントリー CM
  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 怪物』篇 メイキングムービー 1分1秒 本木雅弘 宮沢りえ 松坂大輔 村田修一 サントリー CM

 

2月28日ラジオCM

  • 平成の怪物編 40秒

 

5月3日CM動画公開

  • サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 記念』篇 30秒 本木雅弘 宮沢りえ 松坂大 サントリー CM

 

 

サントリー公式サイトにおいてCM動画/メイキング動画/ラジオCM視聴可能 (※2018年7月現在)
https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/green_tea/pr/

 

 

2017年版を継承したようなひっかかりのあるメロディがピアノで奏でられる。その後盛り上がる旋律は弦楽3拍子に変化したりと、おなじみのメロディを変拍子を巧みに交錯させ、新鮮味を与えている。小編成アンサンブルを基調としたシンプルな構成。

清涼感もあり、懐かしさもあり、新しさもある。メロディ配置や楽器配置ふくめて現代的なアプローチである。

1コーラス目はピアノに始まり、2コーラス目はフルートが奏でる。CMでは1コーラス目(3月18日~O.A.)と2コーラス目(4月23日~O.A.)がそれぞれ使用されている。また2コーラス(1分15秒)をフルで聴くことができるのはメイキング動画から。

 

 

久石譲の代表曲のひとつともいえるこの曲「Oriental Wind」。サントリー緑茶 伊右衛門 CM曲として四季折々なバリエーションでお茶の間に響いてきた楽曲。実は2004年から現在にいたるまでCMバージョンは音源化されていない。十数バージョンに及ぶ全バージョンがいずれもCDにはなっていないという信じられない作品。

また2012年からの「新テーマ」もCD化されていない。今回のNewヴァージョンをきっかけに全CMヴァージョンのパッケージ化の機運が高まってくれればと心から願っている。

 

 

 

 

2018.9 追記

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ」コンサートツアーにて「Oriental Wind 2018」が披露される。

Oriental Wind 2018 【A】
「サントリー緑茶 伊右衛門」CM曲としておなじみの楽曲。久石譲代名詞のひとつ。余談ですが、「伊右衛門も久石譲だったのか」という声を耳にすることも少しだけ増えたように思います。時間の流れを感じると同時に、それは今でも現役バリバリに多くの曲を送り出しているからでもあります。ということでここらで一発!この楽曲も映像化・音源化してほしかった(過去形ではないんですが…)。2004年発表当時から一貫したそのメロディは、2018年CM版では旋律配置や変拍子を巧みに交錯させ、安心する懐かしさにみずみずしい新鮮味を与えてくれます。爽やかなCMヴァージョンが2コーラス奏され(1コーラス目ピアノメロディ~2コーラス目フルートメロディ)、「WORKS III」オーケストラ版イントロへ。中間部のサクソフォンパートはカットし、転調してクライマックスへ。現代的なアプローチで進化した2018版。そのCMヴァージョンが聴けたのもうれしいですが、中間部をカットしたこともあり「タリラリラ~ン」のメロディが始まりから終わりまで怒涛のようにたたみかけてきます。美味しいヴァージョンです。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

日本を代表する曲「Oriental Wind」の歴史は下記ご参照

 

 

 

Disc. 久石譲 『南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD』 *Unreleased

2018年2月2日 公開

映画:南极之恋 TILL THE END OF THE WORLD
公開:2018年2月2日 中国 *日本公開未定
監督:吴有音
音楽:久石譲
主演:赵又廷、杨子姗

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
録音:ビクタースタジオ

 

 

映画公開に先がけて2月1日に「南极之恋 久石譲 MV / Original Music Score by Joe Hisaishi」動画が公開された。映画本編とレコーディング風景を編集した映像に、この映画のために書き下ろされたメインテーマを聴くことができる。

オーケストラを基調とした大きく包みこむような音楽。愛のテーマともいえる久石譲によるピアノ旋律。南極を舞台にした世界観を反映し、澄みきった壮大な曲想である。

またフルオーケストラのなか、エッセンスとしてデジタル音も低音域や効果音的に配置するなど、NHKシリーズ・ディープオーシャンをはじめとした直近の指向性が反映されている。

劇中音楽もあまり分厚くなりずきず歌いすぎず、リアリティを増す音楽設計がされている。それでもさすがエンタテインメント、盛り上げるところは盛り上げ、スリリングで緊迫感のある音楽、ミニマム手法を駆使した楽曲などが随所に詰め込まれている。

映画「花戦さ」や先に書いた「ディープオーシャン」の音楽を発展させたもの(手法として)、そこからつながる今の久石譲が大作映画・南極という舞台に置き換え、弦楽を前面に出した王道の映画音楽をつくりあげている。

ぜひとも映画日本公開そしてサウンドトラック盤の発売を叶えてほしい久石譲音楽である。

 

映画は現時点で日本未公開で、サウンドトラック盤も発売されていない。

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『Oriental Wind』 2017 New version *Unreleased

2017年7月17日 CMオンエア開始

サントリー緑茶 伊右衛門「川下りの夏 編」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。2004年から2012年まで同CMシリーズにて様々なヴァージョンで使用されてきた「Oriental Wind」が5年ぶりに新ヴァージョンにて再登場である。

商品:サントリー緑茶 伊右衛門
CM:川下りの夏 編 15秒
出演:本木雅弘
音楽:久石譲「Oriental Wind」

サントリー公式サイトにおいてCM動画視聴可能 (※2017年7月現在)

公式サイト:サントリー緑茶 伊右衛門

 

 

おなじみのメロディーに胸が躍る。涼しく爽やかな清涼感ある響きになっている。ピアノによるメロディー、弦楽合奏による切れ味のよい刻みから、弦楽の盛りあがる旋律へと展開していく。

サンプラーを巧みに使用した隠し味エッセンスも効いていて、心地よいエッジ感で魅了している。

Aメロは4拍子、サビ(仮に)は3拍子(または8分の6拍子)で展開していて装い新た感に驚かされる。またAメロの旋律の配置がすごく独特である。バッグで鳴っている電子音が拍子を正確に刻んでいると思われるので、メロディーが少しずらしてあるように聴こえる。タララララ~ンで始まるメロディー、通常は4つ目のラ~ンのところが拍子の1拍目にくる。今回のNewヴァージョンはラ~ンの「ラ」までが前の小節で「~ン」のところが1拍目になっている。シンコペーションのようなひっかかりになっているのだけれど、とてもおもしろい。TVで流れてきたときにも強いひっかかりインパクトになってつい手が耳がとまってしまうはずである。

なぜこれができるか?成立するか?と考えてみたときに。それはまさに「おなじみのメロディー」だからである。2004年から足かけ10年以上もお茶の間に浸透している曲。だからこそ、ちょっとメロディに独特な動きをみせたとしても、聴く人は「いつもの」メロディーおよびリズムを頭のなかで容易にすり合わせることができる、だから絶妙な違和感の範囲でおさまってしまうのではないか。

メロディーを聴くだけですぐそれとわかるということは、あまりメロディに装飾や手を加えないほうがいい場合もある。実際にメロディーはまったく同じである。変わったのは楽器や構成といったアレンジはもちろんだが、メロディーのちょっとした音の配置の変化。いや絶妙で確信的な音の配置の変化。

もしこの解釈が逸脱しすぎていないならば、すごすぎる!久石譲! とため息。

 

 

久石譲の代表曲のひとつともいえるこの曲「Oriental Wind」。サントリー緑茶 伊右衛門 CM曲として四季折々なバリエーションでお茶の間に響いてきた楽曲。実は2004年から現在にいたるまでCMバージョンは音源化されていない。十数バージョンに及ぶ全バージョンがいずれもCDにはなっていないという信じられない作品。

また2012年からの「新テーマ」もCD化されていない。今回のNewヴァージョン再登場をきっかけに全CMヴァージョンのパッケージ化の機運が高まってくれればと心から願っている。

 

日本を代表する曲「Oriental Wind」の歴史は下記ご参照

 

 

 

Disc. 久石譲 『Our Time Will Come(明月几时有)』 *Unreleased

2017年7月1日 映画公開

中国・香港合作映画
「Our Time Will Come (明月几时有/明月幾時有)」

公開:中国 2017年7月1日 / 香港台湾 2017年7月6日 *日本公開未定
監督:アン・ホイ(許鞍華)
音楽:久石譲

 

 

アン・ホイ監督とは映画「おばさんのポストモダン生活」(2007年・中国)につづいて2作目のタッグである。

この映画のために書き下ろされた音楽は決して多くはない。メインテーマはバグパイプがメロディを奏でていてとても強いアクセントになっている。それでもそこにはアジアを感じる悠々とした大きな流れがある。弦楽へと引き継がれていくこのメロディは、展開することのない印象的な旋律をくりかえすものだが、シンプルであるからこそ強く迫ってくるもの、大きな余韻を残すものがある。

このメインテーマはいろいろな楽器で奏でられ、またいろいろなバリエーションによって数パターン登場している。メインテーマ以外にもいくつかの主要テーマ曲が散りばめられている。

音楽全体としては、フルオーケストラというよりも小編成オーケストラによるもので、緻密なオーケストレーションというよりもシンプルにしっとりと聴かせる音楽が基調となっている。もちろんクライマックスではメインテーマが壮大に響き、広がり奥ゆきある展開をしている。

 

映画は現時点で日本未公開で、サウンドトラック盤も発売されていない。

 

 

2018.4 追記

 

 

2018.5 追記

久石譲香港公演のアンコールにて、同作品メインテーマが初披露されました。音楽賞受賞をうけてともとれるタイムリーなギフト、同公演には監督の姿もあったようです。いつか日本でも演奏されますように。

 

 

 

Disc. 久石譲 『Encounter』 *Unreleased

2017年2月12日「ナガノ・チェンバー・オーケストラ 第3回定期演奏会」にて初演。

曲名:Encounter for String Orchestra
初演:2017年2月12日 長野市芸術館
演奏:久石譲(指揮)、ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)

 

「本当は別の曲を予定していたんです。でもオーケストラが物凄く優秀で、次世代を担う人たちが結集している。夏の第1、2回のコ ンサートも、メンバーたちが喜んでくれて、僕も嬉しかった。なので作曲家たる自分がこのオーケストラのために作品を書かないのは間違いだろうと思い、今回新作を作ることにしました」。

まだ内容は未定だが、「おそらく弦楽を主体にした作品になるだろう」との由。ナガノ・チェンバー・オーケストラのサウンドと技量を想定した初の作品だけに、大きな注目が集まる。

Blog. 「NCAC Magazine Opus.4」(長野市芸術館) 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

2017.5追記

2017年5月18日、19日開催「久石譲&ミッシャ・マイスキー」コンサート(台北)にて披露。

久石譲:Encounter for String Orchestra
数年前にフェルメール展が催され、その作曲を依頼されたのですが、僕の強い要望でエッシャーも展示されました。ミニマリストとしてはフェルメールよりも(もちろん好きですけど)だまし絵のエッシャーのほうに興味があったからです。その楽曲を中心に後に弦楽四重奏曲第1番を作曲しました。その第1曲がこの「Encounter」です。それをストリングオーケストラとして独立した楽曲にしました。この楽曲は2017年2月12日のナガノ・チェンバー・オーケストラ定期演奏会で世界初演されました。

レの音を中心としたモードによるリズミカルなフレーズがくり返されます。ややブラックなユーモアもありますが、変拍子と相まって曲の展開の予想はつきにくい、従って演奏もかなり難しいです。

曲のタイトルはエッシャーの「Encounter」という絵画(版画)からきています。もちろんインスピレーションも受けています。

決して重い曲ではないので、楽しんでいただけたら幸いです。

久石譲

(「JOE HISAISHI and MISCHA MAISKY」公式コンサート・パンフレット より)

 

 

2018.9.2 追記

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ」にて披露。曲名は「Encounter」へ。

 

-続く「Encounter」はもともと弦楽のために書かれた曲ですね。

エッシャーのだまし絵からインスピレーションを得た「String Quartet No.1」という4楽章からなる弦楽四重奏曲の第1曲目です。それを後に、長野のチェンバー・オーケストラのために書き直しました。リズミックで、ちょっとブラックなユーモアのある曲。マーラーもシューベルトの弦楽四重奏曲を弦楽合奏用に直していますが、厚くなる部分と、ソロの部分をうまく活かしてよりダイナミックに作っている。僕もそこが一番大事だと思っています。

久石譲

 

Encounter 【AB】
ひとつのモチーフをもとに展開する楽曲。弦楽器のみで奏されるなか、主旋律の楽器を変えたり、ピッチカートなど奏法を変えたり、ユニゾンや合奏で厚みをましたり。それと並行して進行するミニマルのズレ。コンサート会場ならではの、音の前後左右、高低差、厚みや濃淡。決して聴きやすい楽曲ではないかもしれないけれど、おもしろいがつまった曲。

シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」も、最小限に削られ磨かれた四重奏版と、マーラーが編成を拡大し編曲した弦楽オーケストラ版。オリジナルを損なわない核は保ちつつ、作品の新しい持ち味や可能性を引き出しています。久石譲自身による「Encounter」のふたつの版も同じことが言えます。それは「厚くなる部分と、ソロの部分をうまく活かしてよりダイナミックに作っている。僕もそこが一番大事だと思っています」と語っているところにも、追求したかったこと、具現化された自信や納得のようなものを感じます。はやく音源化されたものが聴きたい作品です。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

2019.1.7 追記

弦楽オーケストラの作品は、すべて同じ種類の音色として高音・低音の差こそあれ、耳だけでは聴き分けにくいものです。映像を見ながら聴けることで、今鳴っているのは、ヴァイオリンなのか、ヴィオラなのか、そういったことにも気づくことができます。また弦のフレージングやピッツィカート、様々な奏法を駆使して彩り豊かなストリングス(弦楽)の世界を構築していることに触れることができます。

特に僕のような初心者には耳だけではヴァイオリンとヴィオラの区別もつかないので、映像でスコアを追うようにヴィオラパートをクローズアップして映してくれるだけでも感激です。あっ、ここヴィオラが弾いてるんだと。ステージ向かって左からコントラバス(低音)、第1ヴァイオリン(高音)、チェロ(中低音)、ヴィオラ(中高音)、第2ヴァイオリン(高音)です。これまたオーケストラ楽器配置が通常であれば、左から第1ヴァイオリン(高音)~右はコントラバス(低音)と音の高さが一本に流れてしまいます。対向配置を採用しているからこそ、この作品でも音がくっきり飛び交う持ち味を堪能できます。久石譲=対向配置と覚えてください。それは演奏会のパフォーマンスだけではなく、創作活動のときから対向配置を念頭に作曲・オーケストレーションされているということです。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」BS日テレTV放送 レビュー より抜粋)

 

 

Disc. 久石譲 『(ダンロップ)CM音楽』 *Unreleased

2017年1月21日 CMオンエア開始

ダンロップ(DUNLOP)新CMに久石譲が音楽を書きおろしている。

出演:福山雅治
音楽:久石譲 「(曲名不明)」

テレビCM
・LE MANS V(ル・マン ファイブ)「誕生」篇 15秒
・ダンロップ低燃費タイヤシリーズ「選べるダンロップ」篇 15秒

ラジオCM
・「我が子のための発明」篇 80秒
・「我が子のための発明」篇 60秒
・LE MANS V(ル・マン ファイブ)「誕生」篇 20秒
・選べるダンロップ「ひとりひとりに一番合ったタイヤを」篇 20秒

ダンロップCMギャラリーにてCM動画視聴可能 (※2017年1月現在)

公式サイト:ダンロップタイヤ | ダンロップCMギャラリー

 

「音と沈黙」による、今もっとも旬な久石譲ミニマル・ミュージックのかたち。2016年「ミュージック・フューチャー Vol.3」コンサートで世界初演された新作 『2 Pieces for Strange Ensemble』の流れを彷彿とさせる、斬新な楽曲である。

室内アンサンブルの編成ではあるけれど、その響きはクラシックというよりもロックのようなワイルドさ。これもまた上述新作にて追求したサウンドが活かされているように思う。「音と沈黙、躍動と静止、継続と断絶」によっても曲のリズムやグルーヴ感は失われておらず、時間軸としての凹凸感がみえておもしろい。

あえて言うならば、台詞やナレーションも必然的に「音と沈黙」があるわけで、互いの「音と沈黙」で意識が散漫になる危険性はあるのかもしれない。一般的に音楽が通音で鳴っている上に台詞や言葉がのっかる、というものとの違いのことである。そんな事象も折り込み済みで、狙っているのなら、意見するところではない。

一般的にCM音楽に不可欠とも思われるキャッチーなメロディはそこにはない。がしかし、聴こえた瞬間に耳に意識を集中させてしまうほどの、手を止めてしまうほどの強烈なインパクトのある楽曲。一瞬にして日常生活にはない違和感のあるサウンドで、強く印象に刻まれることはもちろん、ヴィンテージ感や高級感といった品格の佇まいすら感じる。

近年、CM音楽においても、メロディー系ではなく本格的なミニマル・ミュージックを投じることがふえた傾向にある。そのなかでも、久石譲が今もなお進化していることを証明する、アヴァンギャルドな楽曲である。

最長80秒を視聴することのできる楽曲。その先の展開や着地も気になる、ぜひフルサイズで聴いてみたい作品である。