Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『Symphonic Suite “Kikiʼs Delivery Service”』

2020年8月19日 CD発売

 

久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
交響組曲「魔女の宅急便」

Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”
Joe Hisaishi & New Japan Philharmonic World Dream Orchestra

魔女の宅急便がオーケストラ作品に。
世界初演の熱気そのままに音源化。

(CD帯より)

 

 

商品紹介

2019年に初演された「World Dreams」と「魔女の宅急便」の2大組曲を軸に久石メロディを堪能できるW.D.O.2019コンサートライヴ盤。

●Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”(「魔女の宅急便」組曲)
1989年公開の宮崎駿監督作品『魔女の宅急便』、初となる交響組曲。軽めのヨーロピアンサウンドを目指して書かれていたサウンドトラックを、久石譲自身が映画の世界観を追体験できる組曲に仕立て直した。

●[Woman] for Piano Harp, Percussion and Strings
アルバム『Another Piano Stories』に収録されていた3つの作品が、ピアノと弦楽オーケストラ、ハープとパーカッションによる三部作[Woman]として生まれ変わった。

●組曲「World Dreams」
World Dream Orchestra(W.D.O.)のテーマ曲として2004年に作曲された「World Dreams」に、2019年に委嘱された2つのオリジナル曲(NTV『皇室日記』より「Diary」、アイシンAW50周年祈念事業映像メインテーマ曲より「Driving to Future」)を組み入れ、3楽章に構成しなおされた。長年久石が温めてきたWorld Dreamsの組曲化の構想が実現した作品。

(メーカーインフォメーション より)

 

 

解説

 久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団がワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)のプロジェクトを開始してから15周年に当たる2019年の8月1日、ツアー初日の演奏を静岡市民文化会館で聴いた時のことは、よく覚えている。茹だるような蒸し暑さを物ともせず、会場に集まった若い世代──10代から30代の聴衆──の多さに、まずは圧倒された。しかも彼ら彼女らのほとんどは、あたかもヨーロッパの夏の音楽祭に参加するかのように、瀟洒なファッションに身を包んで会場に馳せ参じている。普段からクラシックの演奏会を聴きに来ているかどうかわからないが、この日の演奏が特別なものになるに違いないと期待に胸を膨らませた聴衆の喜びと興奮は、客席を埋め尽くした洒落た装いから十分過ぎるほど伝わってきた。その若い聴衆たちが、本盤にも収録されている《Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”》《[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings》《組曲「World Dreams」》を一音も逃すまいと集中して聴き入る姿を傍から眺めていると、さまざまな記憶が頭の中に去来してきた。W.D.O.が創設された15年前といえば、おそらく聴衆のほとんどは、まだ大学生以下だったはずである。ちょうど2019年で30周年を迎えた『魔女の宅急便』公開当時は、物心がついていなかったという聴衆も多かったのではあるまいか。そういう若い世代がW.D.O.の演奏会に集うようになったのである。15年あるいは30年という時間の流れは、それなりの重みを持っている。

 2004年にW.D.O.を立ち上げた時、久石が掲げた目標のひとつは、彼なりのスタイルで日本におけるポップス・オーケストラの在り方を模索し、それを実現させることだった。久石がエンターテインメントのために書いた楽曲がプログラムに含まれるのは当然だが、それだけでなく、コンサートごとにさまざまなテーマを設定し、他の作曲家が書いた映画音楽やポップス、ロックを含めながら、そのテーマに基づく世界観でプログラム全体を統一するという、非常に凝った構成で久石流のポップス・オーケストラを実現させていった。それが2011年まで続いたW.D.O.第1期の大まかな概略だが、いま振り返っても、この時期のプログラミングと演奏はとても楽しいものだったし、こういう機会でもなければ久石が取り上げないジャンルの音楽や珍しいレパートリーが聴けたという意味でも、とても貴重な体験だったと思う。

 その後、2014年から始まったW.D.O.第2期においては、久石自身の作品をプログラムの中心に据えて曲目を構成しながら、宮崎駿監督の作品のために書いた音楽を交響組曲化し、それを世界初演していくプロジェクトがコンサートに組み入れられるようになった。これまで久石が作曲した作品だけでも膨大な数に上るし、これらをコンサート用の楽曲として演奏していくだけでも、実は”久石作品集”というひとつの大きなテーマが立派に成立する。加えて、第2期を開始した頃から、久石の楽曲の演奏状況が日本以外の各国で大きく変わり始めた。つまり、久石作品の演奏回数が世界中で急増し始めたのである。そうした状況の変化に対応するため、W.D.O.はこれまでになかったもうひとつの役割、つまり他の演奏団体が久石の作品を演奏する際の”お手本”を示すという役割も担うようになった。

 だが、それ以上にW.D.O.第2期に大きな変化をもたらした重要な要素がある。それは、クラシック作曲家/指揮者としての久石の音楽性が、より明確な形でW.D.O.に反映されるようになったという点だ。

 そうした観点から見てみると、宮崎作品の音楽の交響組曲化は──もちろん世界中から寄せられる演奏の要望に応えるという側面も有しているが──実はW.D.O.第2期のクラシカルな性格と何ら矛盾をきたさない。チャイコフスキーのバレエ曲を例に挙げるまでもなく、過去のクラシック作曲家たちは舞台のために書いた劇音楽を演奏会用組曲として再構成し、形に残すという作業を重ねてきたが、久石の場合も基本的にはそうした流れを汲んだものと言える。ここで重要なのは、単に劇音楽の聴きどころを寄せ集めた”ハイライト”を作るのではなく、物語の流れを踏まえた上で、演奏会用作品としての完成度を追求している点にある。そうした方法論は、W.D.O.第1期だったらおそらく不可能だったかもしれない。それを実現するためには、クラシック音楽家としての久石の円熟を待たなければならなかったからだ。

 したがって、W.D.O.創設の際に久石が書き下ろしたテーマ曲〈World Dreams〉が、今回3楽章形式の《組曲「World Dreams」》として装いも新たに生まれ変わったのも、先に触れたW.D.O.第2期の性格に鑑みれば、至極当然の結果と言えるだろう。ポップス・オーケストラとしての面白さを追求していた第1期ならば〈World Dreams〉ただ1曲の演奏でも充分に役割を果たしていたかもしれないが、よりクラシカルな性格を備えた第2期のW.D.O.の”顔”には、それなりの風格──つまり今回のような3楽章形式の組曲──が相応しい。同じことは、やはり本盤に収録された《[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings》についても言える。

 しかしながら、W.D.O.が第1期のような特定のプログラム・テーマを追求していくやり方を完全に止めてしまったかというと、必ずしもそうではない。本盤の場合には”ヨーロッパ”と”女性”というテーマが収録曲から浮かび上がってくる仕組みになっている(聡明にも、久石はそうしたテーマの明言を敢えて避けているが)。あるプログラムに込められた特定のテーマを、リスナーなりに読み取り、楽しんでいくのは、実は音楽の面白さのひとつでもある。ダウンロードやストリーミングでの音楽鑑賞が普及し、自分が聴きたい1曲だけを狙い撃ちして聴くのが当たり前になった現在、アルバム単位やプログラム単位で音楽を聴く習慣は、ひょっとしたら若い世代のリスナーには敷居が高いと感じられるかもしれない。だが、1時間のアルバムに込められたコンセプトや、4楽章の交響曲が表現している内容を聴き取っていくのは、1曲だけを聴くリスニングにはない喜びや満足感を与えてくれる。そこに重点を置いているのが、クラシック音楽家としての現在の久石の矜持であり、ひいてはW.D.O.が第2期で到達したクラシカルな面白さではないだろうか。

2019年で第2期を締め括ったW.D.O.が、今後第3期でどのような展開を見せていくのか──千人単位の聴衆が演奏会場を埋め尽くすコンサートの実現が難しい現時点においては──まだわからない。ただし、ひとつ確実に言えることは、本盤にライヴ収録された音楽の喜びと興奮が、第3期で再始動する時のW.D.O.の大きな原動力となるに違いない、という点である。

 

楽曲解説

Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”
交響組曲「魔女の宅急便」

本盤が世界初録音となる《Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”(交響組曲「魔女の宅急便」)》は、これまで久石とW.D.O.が発表してきた宮崎駿監督作品の交響組曲同様、本編のために作曲された主要な楽曲を物語順に配列した上で、常設オーケストラのレパートリーとして演奏可能なように構成した作品である。

もともと『魔女の宅急便』のスコアは、オカリナ、アコーディオン、そして数々の木管楽器など、息=風(ウィンド)を吹き込む楽器が多用されているという特徴を持っている。”息=風”は、主人公キキがホウキに跨って飛ぶ”空の風”の象徴であり、彼女が暮らすコリコの街に漂う”空気感”の象徴であり、ひいては彼女自身の”生命の息吹”、つまり生命力の象徴でもある。そうした人間の生命力を肯定的に讃えながら、久石がスコアの中で表現したキキの成長物語は、アコースティックな管楽器の美しさを十全に活かした今回の交響組曲において、よりいっそう色鮮やかな魅力を発揮していると言えるだろう。

ちなみに『魔女の宅急便』の本編においては、いくつかの楽曲が未使用に終わったが(サントラ盤には収録されている)、今回の交響組曲ではそれらの楽曲も復活させ、本来の久石の作曲意図が完全に楽しめる内容となっている。また、サントラ録音時にやや軽めの編成だったオーケストラも今回はシンフォニックな厚みが加わり、シンセサイザーで代用していた楽器(オカリナなど)も今回は生楽器に置き換えたことで、クラシカルなオーケストラに相応しいダイナミックなサウンドと細やかな表現力を堪能することが出来る。たとえ映像を見なくても、今回の交響組曲を聴けば、リスナーは物語のドラマ的な要素をすべて理解出来るはずだ。

次に、組曲での登場順に各曲を紹介する。

On a Clear Day 晴れた日に…
本編冒頭、キキが旅立ちを決意するシーンで流れるワルツの楽曲で、本作の音楽全体においてはメインテーマの役割を果たしている。アコーディオン、マンドリン、ツィンバロンなど、地中海的な音楽を連想させる楽器を多用することで、舞台となる架空のヨーロッパを色鮮やかに表現する。

A Town with an Ocean View 海の見える街
前半部(イメージアルバムでの曲名は〈風の丘〉)と後半部(同じく〈ナンパ通り〉)からなる、本作のサブテーマ。前半部は、キキの目に映った街のよそよそしさを反映するかのように、木管と弦のピツィカートがメロディを折り目正しく演奏する。オーボエ・ソロを巧みに用いた間奏部分は、あたかもヴィヴァルディやバッハのオーボエ協奏曲を聴いているかのようだ。街の人々がキキの姿に感嘆の声を上げる後半部になると、カスタネットも加えたフラメンコ風の音楽となり、彼女の躍動感と期待感を高らかに表現する。

The Baker’s Assistant パン屋の手伝い
キキが、オソノさんのパン屋で働き始めるシーンの音楽で、アコーディオンを用いたコンチネンタル・タンゴ(ヨーロピアン・タンゴ。1960年代の日本で高い人気を誇った)のスタイルで書かれた楽しい楽曲。実質的にはオソノさんのテーマと見ることが出来る。

Starting the Job 仕事はじめ
曲名通り、キキの仕事はじめのシーンで流れてくる。思わず歌詞をつけて歌いたくなるような民謡風の楽曲。

Surrogate Jiji 身代りジジ
『トムとジェリー』風のアニメ音楽という設定で流れてくる楽曲で、調子っぱずれのホンキートンク・ピアノがユーモラスな楽曲。W.D.O.2019のリハーサル中に久石が語ったところによれば、20世紀前半のアメリカで流行したディキシーランド・ジャズを意識して作曲した曲だという。今回の交響組曲においては、管楽器がスタンドプレーを披露する聴かせどころのひとつとなっている。

Jeff ジェフ
どこかのんびりしたチューバが、老犬ジェフの緩慢な仕草を表現したテーマ。

A Very Busy Kiki 大忙しのキキ
Late for the Party パーティーに間に合わない
前述の〈海の見える街〉後半部のフラメンコ風の音楽を基にしたヴァリエーション。

A Propeller Driven Bicycle プロペラ自転車
実質的には、少年トンボのテーマとして書かれている。キキと仲良くなったトンボが、彼女をプロペラ自転車に乗せて走るシーンで流れてくるが、音楽が徐々にテンポを上げた後、ふたりを乗せた自転車が宙に浮かぶと、どこか田舎臭いワルツ──あるいはワルツの前身とされるレントラー──が盛大に演奏される。

I Can’t Fly! とべない!
本編未使用曲だが、今回の交響組曲で復活した楽曲。もともとはキキの魔法が弱くなり、飛べなくなってしまうシーンのために書かれたサスペンス音楽で、彼女が直面する危機を表現した「危機のテーマ」と言える。

Heartbroken Kiki 傷心のキキ
トンボからの電話にまともに答えず、ひとり部屋に籠もってホウキを作るキキをアコーディオンが優しく慰めるように演奏する。

An Unusual Painting 神秘なる絵
絵描きの少女ウルスラの小屋の中で、キキがウルスラに励まされるシーンの楽曲。本作全体の中でも特にユニークな存在感を放っている楽曲で、サントラではオカリナ風のシンセによって演奏されていたが、今回の交響組曲ではフルート奏者3人がオカリナに持ち替え、見事な三重奏を披露する。どこか太古の響きを感じさせるオカリナの音色は、生命の根源そのものの象徴であり、わかりやすく言えば生命力そのものを象徴している。そのオカリナを用いることで、人間としての自然治癒、自己回復を表現した楽曲と見ることが出来る。

The Adventure of Freedom, Out of Control 暴飛行の自由の冒険号
前述の〈とべない!〉で登場した「危機のテーマ」をテンポを速めてアレンジした楽曲。後半部は金管セクションが加わり、いやが上にもサスペンスを盛り上げる。

The Old Man’s Push Broom おじいさんのデッキブラシ
もともとは、飛行船に取り残されたトンボをキキが救いに向かうアクション・シーンのために書かれた楽曲。〈海の見える街〉前半部のテーマを007風の活劇調に変奏していくことで、手に汗握るスリルとサスペンスを見事に表現している。本編では未使用となったが、今回の交響組曲の中で最も聴き応えのあるダイナミックな楽曲となっている。

Rendezvous on the Push Broom デッキブラシでランデブー
キキが見事にトンボを救い出す大団円で流れる楽曲で、メインテーマのワルツが再現する。

Mother’s Broom おかあさんのホウキ
今回の交響組曲では、キキの旅立ちを家族や隣人たちが見送るシーンの楽曲(サントラ盤では〈旅立ち〉として収録)がエピローグとして演奏される。しっとりとしたヴァイオリン・ソロを演奏しているのは、W.D.O.コンサートマスターの豊嶋泰嗣。そのソロをオーケストラが幸せに包みこむようにして、全曲が閉じられる。

 

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings

2009年にリリースされたアルバム『Another Piano Stories ~The End of the World~』に収録されていた3つの楽曲をピアノ、ハープ、パーカッション、弦楽合奏で演奏可能なように再構成した作品。曲名通り、いずれの楽曲もすべて女性に因んでいる。

Woman
原曲は、2006年にオンエアされた婦人服ブランド「レリアン」CMのために書かれた楽曲。アルゼンチン・タンゴ、より正確には久石が敬愛するアストル・ピアソラのタンゴを意識したスタイルで作曲されている。

Ponyo on the Cliff by the Sea
さかなの子・ポニョと人間の子・宗介の出会いと冒険を描いた宮崎駿監督『崖の上のポニョ』のメインテーマ。弦楽器やハープのピツィカートとマリンバのトレモロが生み出すユーモラスな響きが、不思議にもポニョのイメージと一致する。

Les Aventuriers
久石のお気に入りの映画のひとつで、ジョアンナ・シムカス演じるヒロインを軸にしながらアラン・ドロンとリノ・ヴァンチュラの2人が冒険を繰り広げる『冒険者たち』から自由にイメージを羽ばたかせ、演奏者たちに5拍子という”冒険”を要求する作品。『冒険者たち』をご覧になったことがあるリスナーなら、ドロン扮するパイロットが複葉機で凱旋門をくぐり抜けようとするシーンを想起されるかもしれない。映画の中で曲芸飛行は失敗に終わるが、本楽曲においては演奏者たちが鮮やかな”曲芸飛行”を決める。

 

組曲「World Dreams」

2004年に久石と新日本フィルがW.D.O.を立ち上げた際に書き下ろしたテーマ曲〈World Dreams〉を第1楽章に用い、全3楽章の組曲として構成した作品。

I. World Dreams
「作曲している時、僕の頭を過っていた映像は9.11のビルに突っ込む飛行機、アフガン、イラクの逃げまどう一般の人々や子供たちだった。『何で……』そんな思いの中、静かで優しく語りかけ、しかもマイナーではなくある種、国歌のような格調あるメロディが頭を過った」。”世界の夢”(World Dreams)を象徴する崇高なメロディをオーケストラが荘重に演奏する、ある意味で久石版《歓喜の歌》と呼ぶべき楽章である。

II. Driving to Future
原曲は大手自動車部品メーカー、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 50周年記念事業映像のためのメインテーマ。メロディアスな第1楽章から雰囲気が一変し、久石の得意とするミニマル・ミュージック的な語法が中心となる軽やかな楽章。トランスミッションの歯車を思わせる精緻なリズム構造の上で、弦が滑らかな曲線を描いていく。

III. Diary
原曲は日本テレビ『皇室日記』テーマ曲。荘重なメロディが新たに登場し、格調高く演奏される。久石によれば、〈Diary〉の作曲時に〈World Dreams〉の世界観と共通するものを感じ、今回の組曲化に踏み切ったということである。

前島秀国 / Hidekuni Maejima
サウンド&ヴィジュアル・ライター
2020/07/07

(解説/楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

*ライナーノーツ 日・英文解説(英文ライナーノーツ封入)

 

 

 

ーテーマ曲でもある「World Dreams」が組曲になりますね。

久石:
「World Dreams」は活動を始めた2004年に作った曲です。2001年に9.11(米同時多発テロ)が起きてから、世界はバラバラになって今までの価値観ではもうやっていけなくなるという感覚が自分の中で強くありました。だからこそ、世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思ったんです。

実は「World Dreams」を組曲にしたいという構想はこれまでもありましたが、今年テレビ番組(「皇室日記」)からオファーを受けて「Diary」を書いた時に「World Dreams」の世界観と通じるものがあると感じ組曲にしました。

~中略~

ー後半は「Woman」から始まります。

久石:
ここ数年挑んでいるピアノと弦楽オーケストラの形です。指揮者としてオーケストラと対峙する関係と違い、演奏者として一体感が高く、とても好きなスタイルです。一方、指揮者もやらなければならないので、とてもハードなスタイルでもあります。作曲家の久石譲さんは演奏家にとても厳しいので、ピアニストとしてはいつも大変です(笑)。

今回はハープともう一台のピアノ、パーカッションを入れました。「Woman」「Ponyo on the Cliff by the Sea」「Les Aventuriers」の3曲とも「Another Piano Stories」というアルバムに入っていた曲です。12人のチェロとピアノ、ハープとパーカッションという特殊な編成のバージョンをベースにしながら、今回のツアーのために書き直ししました。

ー最後は「Kiki’s Delivery Service Suite」。

久石:
W.D.O.の第2期では宮崎駿監督作品を交響組曲にするシリーズを続けてきました。今年は「魔女の宅急便」です。

映画用に書いた曲というのは、台詞や物語の流れを踏まえ、音楽があえて語り過ぎないようになっています。さらにもともとこの作品は軽めのヨーロピアンサウンドを目指して作った曲です。それをシンフォニックな曲にしてしまうのは違うと思い、ずいぶん悩みました。今から30年前に書いた曲で、譜面もまともに残っていなかったのにも苦労しました(笑)。今回のツアーではアコーディオンとマンドリンの奏者を加え、映画の世界観を追体験しながら、音楽を存分に楽しんでもらえたら嬉しいですね。

~後略~

(久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019 コンサート・パンフレットより 抜粋)

 

 

 

 

2020.9 on Twitter (memo)

〈晴れた日に〉鳥たちのさえずり思わせるピッコロ・フルートが加えられたり顔ゆるむ。〈海の見える街〉ジブリコンサート版のように後半ジャジーにスイングしない、サントラ基調。Melodyphony、WORKSIV、WDO2018、いくつバージョンあってもうれしい一曲。

〈身代わりジジ〉コンサートではクラリネット、トランペット、トロンボーンが、ソロ・スタンディング演奏していて楽しい雰囲気に。サントラに比べてよりコミカルにカラフルになったなー。

〈プロペラ自転車〉2巡めテンポあがるところ、ペダルやチェーンの回転を連想させるパーカッションいい。ヴィブラスラップの連打かな? 回して鳴らすラチェット、ロータリーパーカッションとかかな? 後半もドタバタパンチ効いてる。

〈暴飛行の自由の冒険号〉〈おじいさんのデッキブラシ〉〈デッキブラシでランデブー〉ストーリーにあわせてハラハラドキドキなジェットコースター音楽。大迫力のクライマックス!大スペクタクル・サウンド!

〈かあさんのホウキ〉
A.久石譲 in 武道館 2008
B.久石譲 in パリ 2017
C.久石譲 & WDO 2019

Bは指揮に徹する。ACはコンサートマスター・ヴァイオリンを久石譲ピアノがエスコート。Aは1コーラス目のみ、Cは2コーラス目まで。ACはピアノ伴奏パターンもちがう。珠玉の名曲うっとり。

 

 

Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service” (「魔女の宅急便」組曲)
01. On a Clear Day ~ A Town with an Ocean View
02. The Baker’s Assistant ~ Starting the Job
03. Surrogate Jiji ~ Jeff
04. A Very Busy Kiki ~ Late for the Party
05. A Propeller Driven Bicycle ~ I Can’t Fly!
06. Heartbroken Kiki ~ An Unusual Painting
07. The Adventure of Freedom, Out of Control ~ The Old Man’s Push Broom ~ Rendezvous on the Push Broom
08. Mother’s Broom

[Woman] for Piano, Harp, Percussion and Strings
09. Woman
10. Ponyo on the Cliff by the Sea
11. Les Aventuriers

組曲「World Dreams」
12. Ⅰ. World Dreams
13. Ⅱ. Driving to Future
14. Ⅲ. Diary

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by New Japan Philharmonic World Dream Orchestra, Yasushi Toyoshima (solo concertmaster)

Recorded at Suntry Hall, Tokyo (August 8~9th, 2019)

Symphonic Suite ” Kiki’s Delivery Service” (Track-1~8)
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

“Mother’s Broom” Solo violin: Yasushi Toyoshima
Mandolin: Tadashi Aoyama
Accordion: Tomomi Ota

Driving to Future (Track-13)
Theme music for the 50th Anniversary Project Video of AISIN A W CO., LTD.

Diary (Track-14)
NIPPON TV PROGRAM「DIARY OF THE IMPERIAL FAMILY」THEME SONG
© 2019 by NIPPON TELEVISION MUSIC CORPORATION & WONDER CITY INC.

Recording & Mixing Engineer: Takeshi Muramatsu (Octavia Records Inc.)
Mixed at EXTON Studio Yokohama
Mastering Engineer: Shigeki Fujino (UNIVERSAL MUSIC STUDIOS TOKYO)

Art Direction & Design: Daisaku Takahama
Artwork Coordination: Tatsuaki Ikeda (UNIVERSAL MUSIC)

and more…

 

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