Blog. 久石譲 『WORKS IV』 サウンド&レコーディング・マガジン インタビュー内容

Posted on 2014/11/15

雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」2014年11月号に、久石譲のインタビューが掲載されています。

新作「WORKS IV -Dream of W.D.O.-」のサウンド・メイキングなど専門誌ならではの話が満載です。少々長いですが、さすが専門誌!レコーディングからミックス作業まで、その過程がぎっしり詰まっています。機器や機材など一般には馴染みないお話も多いですが、それだけに徹底的に掘り下げた内容になっています。

  • 『WORKS IV』コンセプトと9年ぶりのWORKS新作発表の経緯
  • 合計6回(リハーサルx2 / ゲネプロx2 / 本番x2)からのベストミックス
  • 約50本以上におよぶ各楽器ごとに配置された録音用マイク
  • 現在の作曲方法
  • ライブ録音/レコーディング/ミックス作業に使われた機材

『WORKS IV』ができるまで、永久保存版な貴重な記録です。

 

オーケストラの録音は響いている音で作り上げる
今回はその空気を伝わってくる音を大切にしてCDを仕上げることができました

宮崎駿監督のジブリ作品をはじめ、数多くの映画音楽やCM、ドラマなどの映像音楽を手掛けている、日本を代表する作曲家、久石譲。ピアノ・ソロや室内楽、オーケストラなど演奏活動も精力的に行っており、多数のソロ・アルバムもリリースしている彼が、このたび”WORKS”シリーズと称したアルバムの第4弾『WORKS IV -Dream of W.D.O.-』を9年ぶりに発表した。こちらは、去る8月9日~10日に、久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ(以降 W.D.O.)によって開かれたコンサートの曲目を収録したもので、世界初演の『交響幻想曲「かぐや姫の物語」』や日本初演の『バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲』などを収録。”オーケストラの魅力を広く伝えていきたい”という久石の思いの詰まった作品となっている。その舞台裏について久石本人と、エンジニアを務めた浜田純伸氏の言葉から振り返っていこう。

オーケストラは絵の具のようなもの 書きたい音楽を表現しやすいんです

-”WORKS”シリーズとしては4作目となりました。まずはこのシリーズのコンセプトを教えて下さい。

久石 「僕が映画やドラマなどの仕事(WORKS)で書いた楽曲を素材として、”作品”として音源化しているシリーズです。映像ありきのときには、セリフとの兼ね合いや長さなど、どうしても制約がありますよね。そういうことを意識しないで音楽的な”作品”としてオーケストレーションし直して完成させたものなんです。」

-”作品”にするということが、フル・オーケストラによるレコーディングだったと?

久石 「”WORKS”シリーズに関しては基本的に全部、ベーシックはオーケストラです。元の楽曲もほとんどはオーケストラで作っているので、新たにオーケストラに書き直しているということはないんですけどね。」

-作曲をする時点でオーケストラを意識しているということですか?

久石 「そういう意識で書いていることはないですね。オーケストラというのはツールというか、絵の具のようなもの。自分の書きたい音楽がたまたまオーケストラだと表現しやすいということなんです。」

-今作の演奏は前作『WORKS III』に続き、W.D.O.によるものでした。こちらのオーケストラが結成されたきっかけを教えてください。

久石 「もともと新日本フィルハーモニー交響楽団とは随分長い間一緒に仕事をしてきて、とても良い関係が作れていたんです。そこで、僕と新日本フィルで独自のことができないかということで結成されたのがW.D.O.。2004年のことですね。」

-8月にW.D.O.とは3年ぶりのコンサートを行い、そのコンサートを収録したアルバムとして、『WORKS IV』をリリースしました。アルバムは9年ぶりとなりましたが、このタイミングで作品を発表しようと思ったのはなぜですか?

久石 「2013年に公開された映画『風立ちぬ』が、僕が宮崎駿監督を作品を担当した10作品目で、しっかりとした形に残しておこうと思ったのがきっかけですね。それをメインにして、さらに高畑勲監督の『かぐや姫の物語』、山田洋次監督の『小さいおうち』という、3人の巨匠を中心に”WORKS”として作りました。曲に関しては、まずこれまでに音源化していなかった作品を選んでいき、「Kiki’s Delivery Service for Orchestra(2014)』に関しては、2管編成でのオーケストラver.ではまだレコーディングしていなかったので入れました。」

-その収録楽曲の「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」は、組曲として演奏されたものですが、組曲としてアレンジし直したということですか?

久石 「僕はアレンジではなくオーケストレーションと言っているんですが、映画で書いた楽曲は、先ほども言ったように制約があるので、ちゃんとした音楽的な作品としてコンサートなどで演奏できるように作り直すわけです。その”作品化する”という一環で組曲になっているんです。」

コンサートはコンサートで成功させCDとしてもどこまで追求できるか

-今回のレコーディングは、どのように進められたのですか?

久石 「オーケストラのレコーディングというのは、お金がかかってしまうものですよね。だからといって、コンサートの本番1回だけをライブ盤として出すのは良いとは思わなかった。というのは、コンサートの雰囲気をそのままパッケージするということは、音のバランスという意味で難しいというケースもあるからです。なので、今回は2回のリハーサル、2回のゲネプロ、本番2回の合計6回すべて、初日からレコーディング・クルーを入れて、全テイクを録ったんですよ。それで、リハーサルが終わった夜に、レコーディングのクルーを含めて全部聴いて、例えば”シンバルの音が大きいから修正したほうが良いね”となった場合、マイクの位置やほかの楽器との距離を変えたり、それでも駄目だったら、僕の指揮で「そこのシンバルをもう少し小さくして」と指示を出して対処しようと話し合いました。そうやって徹底的にシミュレーションしたんです。そうすることによって、コンサートとしてもきちんとした演奏のクオリティを保ちつつ、CDとしてもできる限り望んでいる音のクオリティに近づけようとしたわけです。恐らく、こういう方法を日本で試みた人はいないと思いますよ。リハーサルの初日から舞台袖には大量のマイクとレコーディングの機器を用意し、マイクはそれぞれの楽器ごと1cm単位で角度などの修正をする。最終的なCDの音源はコンサートの音が中心になっているんですが、実はリハーサル時の会場にまだ観客が誰もいない状態の音もいっぱい使われているんです。そういう意味で、なかなか良いクオリティだと思いますよ、追求できましたからね。」

-6回分の演奏を総合してミックスしたということですね?

久石 「そうですね。ポップスなら、それぞれの楽器をトラックごとに奇麗に録れるでしょ?その録り音に対してバランスを取ったり、エフェクトをかけたりしますが、このやり方だと、それはできない。クラシック音楽のミックスのスタイルは、基本的にバランスは取れているから、録った音の波形編集になるんです。すごく時間のかかる作業になりますね。」

-確かにポップスとは異なりますね。

久石 「もっと予算があれば、本番が終わった後にオーケストラを帰さず、観客が帰った会場で、駄目だったところをもう1回収録し直したかったんですが、さすがにそこまではちょっとできませんでした(笑)。でも、海外のオーケストラはそこまで積極的にやるという話を聞きます。」

-そうなんですね。初めて聞きました。

久石 「コンサートはコンサートで成功させなければならないんですが、CDとしてのクオリティをどこまで追求できるかがテーマでしたから。そういう意味で予算はかかってしまいましたが、今やれるベストなことができましたね。」

テンモニでうまく響いていれば大概どこで聴いても響きますね

-今回エンジニアはどなたが務めたのですか?

久石 「浜田純伸さんです。もう僕とは長い付き合いなので、僕の考える一番良いイメージを伝えて、作業してもらいました。」

-レコーディング・トラック数はどのくらいだったのでしょうか?

久石 「80~90trだったと思います。アンビエントも入れるとそのくらいだったはずです。最初、マイクの数を決めるとき、本番の見栄えも考慮すると、40本くらいと言われていたんですが、もっと用意しろと(笑)。だからもっと増えていたんじゃないかな。」

-ミックス段階でエフェクト処理をしたのでしょうか?

久石 「多少はしていますね。鉄板(EMT 140)とか。そうしないと、つなぐときにうまくつながりませんからね。実際、ミックスには立ち会って、いろいろやり取りしながら完成させました。普通は2日くらいで仕上がるんですが、今回は4日間かかりましたね。」

-確認はスタジオのモニターで?

久石 「テンモニ(YAMAHA NS-10M)です。僕はテンモニが結構好きなんですよ。すべてのリスナーが、良い環境で聴けるわけではないですから、できるだけ癖のないモニターで確認しているんです。そこでうまく響いていれば、大概どこで聴いても響きますね。あとはラジカセで低域の濁りをなくすために確認で聴いたりもします。長い間レコーディング・スタジオを経営していましたから、その辺のノウハウは駆使しています。」

クラシック曲を指揮するときは作曲者と意識が同化している

-コンサートでは、ピアノを弾きながら指揮もされていますが、どんな意識なのでしょうか?

久石 「指揮をするというのは、基本的には自分では音を出しません。だからこそ、みんなが演奏しやすい環境を作るのと、どうしたいかということを明確にすることが重要になってきます。ある種、現場監督の立ち位置でもあるんですね。例えば僕が興奮したり迷ったりすると絶対オーケストラに影響してしまうので、極力自分が客観的でなおかつどういうふうに弾けるか。さらに今回はレコーディングの音にも意識が行っていたので、頭の中はスーパー・コンピューターなみに駆けずり回っていましたよ(笑)。」

-指揮者としては、どんなところが面白いですか?

久石 「コンサートは絶対同じにはなりませんよね。もちろん譜面どおりの演奏が基本ですが、会場も違うし、オーケストラの人たちも毎回演奏は違うわけです。そこが面白いですね。」

-資料を拝見すると、クラシックの曲を指揮するきっかけの1つに、作曲の勉強のためということが書かれていました。

久石 「それはありますね。やっぱりクラシックの譜面をただ見ているだけでなく、指揮者をするとなると、演奏者に伝えなければいけないですから、猛烈に勉強しますよね。そうすると結果的に自分の作曲にも役立つのではないかと思っています。ベーシックは作曲をすることを大事にして、指揮もしているということですね。僕は肩書きで言ったら作曲家ですから。指揮もピアノもしますが、基本は曲を書く人です。それがないと自分の音楽活動は成立しません。だから作曲というのはどこまでも大事にしたいですね。」

-実際に影響はありましたか?

久石 「あると思います。ただ、正確に言うと諸刃の剣ですけどね。」

-と言いますと?

久石 「だって、歴史を生き残ったすごい曲ばかりなので、そういう曲を見ていると、自分の書いた曲が何て情けないんだろうって思ってしまったりもする。だから適度にしておかないと大変だなと思うこともありますよ(笑)。」

-クラシック曲の指揮をしているときには、どんな意識なのですか?

久石 「僕がクラシック曲を指揮するときには、作曲者と意識が同化しているんです。作曲家がどういう心境で作曲したのかを深く考えると、”このメロディは真剣に書いていないな、こっちが重要だな”とかが手に取るように分かる。そういうことを徹底して勉強するから、相当面白いんですよ。僕は、作曲者はなぜこの曲を書いたんだろうか、どこでうまくいかなかったのか、そういうのを徹底的に分析していくんです。僕が指揮をすることで、普通とは違った作曲家としての視点でアプローチできるし、違う音楽が作れるのではないかとも思うのです。」

-これまで指揮してきた中で印象的な作曲家といえば?

久石 「やっぱりベートーヴェンは偉大ですね。あと、僕はブラームスが大好きです。ブラームスのシンフォニーは全曲振っていますが、全部良いですね。面白いし。現代音楽でも、今年の夏振ったペンデレツキの「広島の犠牲者に捧げる哀歌」は、ものすごい不協和音の曲なんですが、非常に面白かったですね。苦労はするんですけど、得るものは多いですね。」

-作曲家を目指す人にとっても、そういったことはやるべきだと思いますか?

久石 「それはそうですね。いっぱい勉強した方がいいですよ。」

-久石さんの現在の作曲方法を教えてください。

久石 「ケースバイケースですね。ピアノだけで全体を作ってオーケストレーションしていくという方法や、時間がなければオーケストラから作っていくこともあります。」

-打ち込みでデモを?

久石 「しますね。オーケストラのシミュレーションをするために打ち込みで作りますから。譜面は、MAKE MUSIC Finaleを活用しているので、MIDIで打ち込むことが大半です。だから作曲の際は結構コンピューターに向かっている時間も多いかもしれません。ただ、最近は核になるメロディやハーモニーは、ピアノで作ってしまう場合が多いですね。」

-ご自身の曲で、旋律やハーモニー、楽器の使い方で自分らしいなと思う部分はありますか?

久石 「これだけ多くの曲を書いていると、自分の癖のような部分は出ていると思いますけど、僕はこれまで、自分らしい音楽ができればいいという発言は一回もしたことがないんですよ。そんなうぬぼれたことは言ってはいけない。周りが聴いて、”これは久石的”と言うかもしれませんが、自分ではそんなことは意識していませんね。」

-今作は、6回にわたるレコーディングを経て完成させたアルバムになりましたが、あらためて聴いてみるといかがですか?

久石 「オーケストラの録音は、空気感というか、スタジオでオンマイクの音で作る音楽ではなくて、響いている音で作り上げるんです。今回は、それをしっかり録るということをメインにして、その空気を伝わってくる音を大切にしてCDに仕上げることができたと思います。」

-ここ最近、ハイレゾ配信など、高解像度の音源が発売されていますが、それについて久石さんのご意見を聞かせてください。

久石 「高解像度だと、より生に近い音になるので、テクノロジー的により良くなるのであれば素晴らしいことだと思います。ただ僕の場合は、指揮台で一番いい音を聴いてしまっているんですよね(笑)。たまに、”僕って本当に幸せだなぁ”と思いますよ。それがあるので、CDや配信ではどうやっても劣ってしまいますが、でも僕が指揮台で聴いている音に近づいてくれるのであれば、どんどん進化してほしいと思いますね。」

-今後の予定、目標についてはいかがですか?

久石 「来年に向けて書かなくてはいけない曲があり、指揮者としても取り組まなければならない楽曲が、現代曲を含めてあるので、それらを中心にやっていきます。指揮だけを考えると、同じ曲でもシンフォニーなどは、5回10回と振っていくことで理解度が深まりますから、そういった経験は非常に重要です。なのでチャンスがあったらどんどんチャレンジしていきたいですね。」

 

About Recording

今回の録音は、コンサートの収録だったため、エンジニアを務めた浜田純伸氏はマイキングに関して、見た目が邪魔にならないように気をつけていたという。また久石さんからは、リハーサルの初日にマイクの数が多過ぎて、ごちゃごちゃして見えるという指摘があったそうだが、マイクを減らすことはせずに、ポジションを動かしただけで、そのまま進行させた。そのマイクの数は、予備も含めて合計56本になったそうだ。

初日のリハーサルが終わり、録ったテイクをプレイバックした際、久石さんから、パーカッションの音像と音量が大き過ぎることと、ソロ・バイオリンの音色が薄く抜けが悪いという指摘があった。パーカッションに関しては、マイキングだけでは対処が難しいということだが、弦のオンマイクに関しては、マイクの向きと指向性を調整。あとは、ミックスで処理することにしたそう。ソロ・バイオリンに関しては、マイクそのものを変えて対処したという。

レコーディング・システムはAVID Pro Tools | HDX、24ビット/96kHzで行われた。DSDでの録音も念頭にあったそうだが、トラック数が多いのと、ミックス時のさまざまな制約を考えて、Pro Toolsになったという。マイクのケーブリングは、吊りのマイク以外はすべてステージ上からマルチで舞台下手袖に作った仮説のモニター・ルームに引っぱり、プリアンプからダイレクトにPro Toolsに送っていた。さらにそのアウトをすべてアナログでSTUDERのアナログ・コンソール4台に送り、それをジョイントしてモニターしたという。

使用マイクは、メインのオーバートップに、デッカ・ツリーでNEUMANN TLM170を3本セットし、そのほかのアンビエンスには、B&K 4006、SCHOEPS BLM3、CMC64を使用。楽器は、ストリングスにNEUMANN KM841とAKGC414EB、C414ULS、木管はSCHOEPS CMC54、NEUMANN TLM103、SCHOEPS ZCMC621、金管はNEUMANN TLM49、TLM103など、ピアノはB&K 4011をステレオで、パーカッションはAKG C451。プリアンプはMILLENNIA、GRACE DESIGNを使ったとのこと。

 

Mail Interview 浜田純伸
ダイナミズムを失わないで奥行感のある音像に仕上がった

今回のアルバムのレコーディングとミックスを手掛けたエンジニア、浜田純伸氏に久石との仕事と、アルバムのエンジニアリングについて補足インタビューを行った。

-6回分のベスト・テイクを切り張りした編集作業はどこで行いましたか?

浜田 「久石さんの事務所、ワンダーシティです。」

-編集に使ったソフトとは?

浜田 「AVID Pro Toolsです。また、さまざまなノイズを消すためにIZOTOPE RXを多用しました。譜めくり、いすの鳴る音、咳、空調音・・・・。今回はダイナミック・レンジの広い曲が多く、静かなところでは、結構細かなノイズが聴こえてくるためです。」

-編集作業で大変だったことは?

浜田 「今回はホールが2ヵ所あり、リハと本番でホールの響きもかなり違いました。その中から細かくベスト・テイクをつないでいったので、つなぎ目で響きの違いが不自然にならないようにEQ、コンプなどのオートメーションを書いた部分が大変でした。」

-ミックスでの作業環境を教えてください。

浜田 「Bunkamura Studioで行いました。すべてのトラックをSSLコンソールに立ち上げ、アナログ・ミックスです。オケものに関しては、Pro Toolsの内部ミックスよりもアナログに立ち上げた方が空気感と音像のなじみがいいため、久石さんの仕事のときは基本そうしています。」

-どんなエフェクトを使いましたか?

浜田 「リバーブはプラグインではなく、リアルにEMT 140とLEXICON 224X、480Lを使っています。ただし、EQ、コンプに関しては、個体差と再現性の問題でハードウェアは使っていません。今のプラグインは本当に素晴らしいものがいっぱいありますから。使ったEQは、主にWAVESのAPI 550B、Linear Phase EQ。ローカット用にAVID EQ III 1Band。コンプはWAVES Linear Phase MultibandとSONNOX Oxford TransMod、Oxford Inflatorなど。SSLでミックスした後に再びPro Toolsに戻し、マスター・コンプとしてLine Phase MultibandとOxford Inflatorを薄くかけています。」

-どのようなミックスを目指しましたか?

浜田 「初めはデッカ・ツリーなどのメイン・マイク中心の、いわゆるクラシカルなバランスで作っていたのですが、久石さんに聴かせたら、”全然ダメ”ということになり、当初より、オンマイクの音量がかなり上がってきています。」

-具体的なミックス方法について教えてください。

浜田 「久石さんとミックス作業をするときは、オンマイクとメイン系のバランスを、久石さんの指示の下に一つ一つ取り直していきます。レベルだけでなく、マイク間の距離の補正・・・・・・測定した距離データを基にサンプル単位で遅延補正を行い、さらに聴感上の補正なども細かくやっています。その上で、ピックアップしたい楽器やうるさい楽器のレベルをPro Toolsのオートメーションで書き、さらにはEQやマルチバンド・コンプなどを使い、パーカッションなどの飛び出した部分を抑え込む。今回はそれだけでは終わらず、SSLのフェーダー・オートメーションまで使っています。結果、当初目指した”クラシカルなオケの響き”という点では若干音像が近くなりましたが、ダイナミズムを失わず、奥行き感のある音像に仕上がったと思っています。」

-サンレコ読者にひと言お願いします。

浜田 「ミックスより久石さんの音楽を聴いてほしい。その音楽の魅力を伝える上で、何かしらミックスが貢献していると感じてもらえれば最高です。」

(サウンド&レコーディング・マガジン 2014年11月号 より)

 

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