Disc. 同志社学生混声合唱団 『宇宙戦艦ヤマト ~混声合唱とピアノ・打楽器のための合唱組曲』

1979年11月25日 LP発売 日本コロムビア CQ-7031

久石譲が編曲を手がけている。詳細は下記CD盤にて。

混声合唱とピアノ・打楽器のための合唱組曲『宇宙戦艦ヤマト』 1

混声合唱とピアノ・打楽器のための合唱組曲『宇宙戦艦ヤマト』 2

混声合唱とピアノ・打楽器のための合唱組曲『宇宙戦艦ヤマト』 3

(LPジャケット)

 

 

1995年6月21日 CD発売

「宇宙戦艦ヤマト~混声合唱とピアノ・打楽器のための 合唱組曲」同志社学生混声合唱団

 

合唱組曲「宇宙戦艦ヤマト」について

私は、この「合唱組曲・宇宙戦艦ヤマト」を聴いて、非常に驚きもし、また、喜びを感じた。合唱組曲そのものは、私のオリジナルではない訳だが、それがここまで壮大なスケール感をもって構成され、宇宙戦艦ヤマトが生き生きと登場してくるとは夢にも思わなかった。そして、それをドラマの展開にそって、豊かに歌い上げている同志社学生混声合唱団の人達に対して、感謝の念に絶えない。

子供から15、6才の少年少女たちまで熱狂的な支持を受けた「宇宙戦艦ヤマト」。その音楽性を考えるとき、混声合唱として扱われたということ自体、私としてもうれしい思いである。また、それをCD化することは、たいへん意義のあることではないだろうか。

「合唱」は比較的一部の分野と思われているが、その新しい試みの素材として、「宇宙戦艦ヤマト」がお役に立てたということは、たいへんうれしい。この「合唱組曲・宇宙戦艦ヤマト」を聴きながら、あなたの胸をゆさぶったシーンの数々を思い浮かべてほしいものだ。

プロデューサー 西崎義展

(CDライナーノーツより)

 

曲目解説

1.序曲~宇宙のテーマ~
宇宙の深い闇の中から聞こえてくるような低いバスの声、それにテノールとアルトの4度音程が特徴の和音が広大な空間を感じさせます。そこに女声のソロが宇宙の彼方から聞こえてくるように美しく響き渡る。やがてそれがベルトーンとなって、それまでの静止した空間が揺れ動き女声スキャットの、宇宙のテーマへと入って行きます。いかにも「合唱版宇宙戦艦ヤマト」の序曲にふさわしい。

曲の途中、これからの物語を暗示するように、ヤマトのテーマなどが、様々な曲想で歌われるが、再び宇宙のテーマに戻りドラマチックに曲を終わる。

川島和子のすばらしいスキャットはもうすでに、「交響組曲宇宙戦艦ヤマト」のアルバムでおなじみだが、同志社大の混声合唱団も好演している。

 

2.ヤマト誕生~宇宙戦艦ヤマト~
男声のハミングとピアノの先鋭的な響きによっての導入部は、かなりシリアスに描かれています。

やがてマーチ風のスネアドラムに導かれて、合唱が徐々に明るさを増し、リズミックに発展してきます。そして、ファンファーレ風のモチーフを奏した後、あの有名なヤマトのメロディーが聞こえてきます。スケールの大きなこのメロディーは、今さら解説する必要もないでしょうが、この編曲のメインテーマであり、この後の曲にも、様々な変奏を伴って現われます。

 

3.イスカンダル
女声三部合唱用にアレンジされている。劇の中の音楽として作曲されたので、詩はついていないが美しいメロディー・ラインで、イージーリスニング-いわゆるポップス音楽として充分に楽しませてくれる。

冒頭、グレゴリア聖歌のような清涼な響きが女声コーラスによって歌い出されたその後、川島和子のスキャットが美しくイスカンダルのイメージを形作っていく。7度音程の跳躍が特徴的なこのメロディーは、大変美しが、反面歌う技術としては、声のコントロールが比較的難かしい。力まずに。女声コーラスだけが持つその透明感が表現されれば、ステキな小品に仕上がるだろう。

 

4.試練
冒頭よりピアノとシンバル(ハイハット)による12/8拍子のオスティナートが激しくリズムを刻み、そこに男声コーラスから順にDのジャズコードに合わせてスキャットで切り込んでくる。そのスピード感が大変良い効果を上げている。

途中、白色彗星のテーマが男声コーラスによって無気味に響く。

後半、風のようなオスティナートリズムが突然止み、コーラスとティンパニだけでヤマトのテーマがまるで試練を乗り越えた後のように深く沈んだように現われる。それは、死んで行った仲間への気持だろうか、それとも戦わなければならない者たちの生への問いかけだろうか。

 

5.白色彗星のテーマ
男声三部合唱のアレンジ。ヤマトの新たな的、白色彗星は直径1万キロもある巨大な彗星で、その無気味さを原曲ではパイプオルガンを使用して表現しています。

まず16小節のテーマが2回、調を変えてくり返され、その後バロック風に格調高い変奏が続きます。

形式としては、パッサカリア(どこかの声部で必ず基本のメロディーを奏していて、その上で様々な変奏をする)でできていますが、男声合唱の持つ重量感がこの巨大な敵、白色彗星の残酷なまでの冷たさをよく表現しています。

 

6.想人(おもいで)~星に想うスターシャ
ロマンチックで美しい、この2つの曲は、それぞれ独立して、アレンジしたかったのですが、組曲としての性格上メドレーになっています。ピアノの短い前奏の後、川島和子のスキャットが情感をたたえてすばらしい。途中からバックのコーラスが、より一層物哀しくメロディーを包みこみます。

そしておそらく最も宮川泰氏らしい「星に想うスターシャ」は、今回のレコーディングでは一番最後に録音されました。

「もしも許されるものならば この手で抱きしめて 連れて来たかった…」

万感の想いでこの曲を聞いていたとき、スタッフの中には涙を流している人さえいました。本当にすばらしいラブソングです。

 

7.真赤なスカーフ
挿入歌として大変ヒットした曲、いまさら解説もいらないと思います。

・・・宇宙戦士のユウキをたたえて振る、真赤なスカーフ、その心の中に去来するものは・・・。

曲はいきなりアカペラ(無伴奏)で歌い出しますが、その見事な表現をぜひ聞いて下さい。合唱だけが持つ力強い表現力があなたの胸を打つでしょう。

途中、ト短調からハ短調に転調して曲はどんどん盛り上がって行きます。それぞれの合唱団のレパートリーに加えていただきたい曲の一つです。

 

8.好敵手
この宇宙戦艦ヤマトの中のキャラクターで最も印象に残ったのはこのデスラーだと言う人も多い事でしょう。主人公、古代進の宿命の敵だったデスラー…二人の最後の対決の時、「ガミラスの再建とヤマトの撃滅が、私の悲願だった。彗星帝国に身を寄せ、屈辱の日々に耐え抜いて来たのもこの日のためだった。…しかし、もう思い残す事は何もない」デスラーは、最後までヤマトの敵だったが、誇り高い武人でもあった。

そんなデスラーの孤独を前半ハミングで、切々と歌い上げています。後半、男たちの生き様を歌った「好敵手」は大変印象に残る曲です。

 

9.決戦=勝利
ヤマトが戦闘に入り、傷つきんがらもついに勝利を得るまでを、従来の合唱曲には、あまりみられない手法で大胆にアレンジされている。

三つのパートからできていて、第1と第2では、それぞれクラスター(音を半音ずつ、つみ重ねて作る不協和音)とミニマル音楽(単純な音型をくり返しながら演奏し徐々にその型を変える)の手法が用いられている。

やがてピアノのクラスターがとどろき、声のバッキングリズムが激しく交錯する。最後にヤマトのテーマの変奏が、力強く歌われてヤマトの勝利を告げる。

 

10.終曲~明日への希望~
この合唱組曲のエンディングテーマです。冒頭、再び、宇宙のテーマがスキャットで現われる。それが「大いなる愛」のメロディーをはさんで、朗々と合唱で歌われる。

そして、8小節のロシア民謡風のメロディーが、ピアニシモから、どんどん盛り上がって、やがてクライマックスに到達する。最後は再び宇宙のテーマのモチーフが現われて曲を締めくくる。

ロマンと冒険、そして愛・・・・・・

この曲は、作者が少年少女に贈る、永遠のメッセージなのです。

 

11.ヤマトより愛をこめて
この曲だけ作曲者が宮川泰氏ではなく、大野克夫氏になっています。沢田研二の歌でもヒットしたこの味わい深い曲、映画のラストシーンで、静かに宇宙空間に消えていくヤマトの雄姿にオーバーラップしてすばらしい効果を上げました。

「私たちは愛のために戦った・・・・・」

愛の持つやさしさ、強さ、はかなさ、そういった感情の側面を見事に、歌い上げていると思います。同志社学生混声合唱団の皆さんも、決してオーバーな表現をせずに、淡々と、すばらしいアンサンブルを聞かせてくれています。

永遠の愛へのメッセージ、ヤマトの終章にふさわしい曲です。

 

解説/久石譲

(CDライナーノーツより)

 

 

混声合唱とピアノ・打楽器のための合唱組曲『宇宙戦艦ヤマト』 ジャケット

1. 序曲 ~宇宙のテーマ~
2. ヤマト誕生 ~宇宙戦艦ヤマト~
3. イスカンダル
4. 試練
5. 白色彗星のテーマ
6. 想人~星に想うスターシャ
7. 真赤なスカーフ
8. 好敵手
9. 決戦=勝利
10. 終曲 ~明日への希望~
11. ヤマトより愛をこめて

作曲:宮川泰
編曲:久石譲
合唱:同志社学生混声合唱団
指揮:熊谷弘
ピアノ伴奏:梶原綾子
打楽器:益子高明
作詩:阿久悠
スキャット:川島和子
ヤマトより愛をこめて 作曲:大野克夫

 

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