Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション Vol.9』

1991年9月20日 CD発売

”ニュー・サウンズ・イン・ブラス”シリーズの中から特別によりすぐった名演奏の数々・・・。ダイナミックで一味違ったポップな演奏をお楽しみください。

 

久石譲が編曲を手がけた「哀愁のアダージョ」が収録されている。オリジナルLP発売時(1978年 第6集)は、本名名義となっているため、現在のペンネーム久石譲ではなく、藤沢守名義となっている。

 

指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ

ゲスト・ミュージシャン:
Drums 猪俣猛
Bass 荒川康男
Trumpet 数原晋 他

 

曲目解説

1.レッツ・ダンス
1819年、カール・マリア・フォン・ウェーバーの手によって作曲されたこの曲は、1934年、米国NBCの広告放送出演の為に作られた楽団のテーマ曲として使用された。もちろん使用に際しては当時のアメリカを反映させジャズ風にアレンジされた事は言うまでもない。この曲とは、ウェーバーの「舞踏への勧誘」op.65であり、この楽団こそ「スウィングの王様」として世界に知れ渡った、ベニー・グッドマン率いるベニー・グッドマン楽団であった。そして、この後もこの曲は、当楽団のテーマ曲として親しまれてきたのである。1909年生まれのベニー・グッドマン、テレビのコマーシャルに出演していたのを覚えている人も多いのではないだろうか。クラリネットをフューチュアーした、スムーズなサックス群のソリとメカニックなブラス群のアタック、リズムリフ等、グッドマン・サウンズをブラスに再現させたアレンジの見事さは、アレンジャー岩井直溥の独壇場である。又演奏においても、ドラム猪俣猛、ベース荒川康男、ギター中牟礼貞則というメンバーに、クラリネット佐野正明、トランペット数原晋、T.Sax宮沢昭という顔ぶれは、今日考えられる中でも最高のアーティストぞろい、という事になりそうだ。猪俣のドライブするドラミングを中心に、それぞれのセクションがトップのリードで一丸となりドライブする。佼成ウィンド・オーケストラの多才な一面がうかがえる。吹奏楽がこんなに活き活きしていると、聞いていて嬉しくなってしまう。スウィングの醍醐味を充分味わう事のできるレパートリーである。

 

2.ストレンジャーー・イン・パラダイス
ミュージカル「キスメット」の主題曲として発表された曲だが、原曲のボロディン作、歌劇「イゴール公」のテーマからの編曲と言った方が正確である。吹奏楽コンクールでもしばしば「イゴール公、ダッタン人の踊り」は演奏されるが、この様な軽い編曲、気楽なスタイルも良いもので、全般に音の厚みがないので、プログラムの中間部で演奏すると良い。

 

3.インテルメッツォ・ナンバーワン
スウェーデンの人気ロックグループ、”アバ”が演奏しヒットした古典調の曲。ベニー・アンダーソンが作曲となっているが、大変クラシカルな和声と形式ながら、原曲が何んであるのか不明である。アバのレパートリーとしては珍しく楽器演奏中心の曲で、ポピュラーに不馴れなバンドでも入門曲として演奏できそうだし、編曲も吹奏楽向きで優れている。

 

4.サンバでミネルバ
ミネルバは武芸の女神のこと。作曲者の土井慶子はヤマハ音楽教育システムで勉強、「自ら創り、自ら演奏する」教育理念の中で育った若いエレクトーン奏者である。サンバ特有の細かく速いリズムに乗って、木管と金管群の掛合いで全編小気味よいテーマが流れる。技術的にも難しい曲でなく、又この様に単に演奏するだけでなく、自らが作曲しそれを演奏する姿勢は、今の吹奏楽界にはまだ例もなく、今後バンドメンバーの中から、この様な自作自演者が生まれて来ることを期待したいものである。

 

5.ボイジャー
ヤマハ音楽教育システムでは、沢山の小・中学生が音楽の総合力を身につける便局をしているが、この曲は13歳の少女(中学生)の作品である。題名の通り、宇宙の壮大さを表すようなスケールの大きな作品だ。既成曲を演奏するだけでなく、自らも音楽を作ると言う意味は何か、同世代の皆さんに是非演奏していただきたい曲です。

 

6.ドント・セイ・ザット・アゲイン
人気絶頂のイギリスのジャズ/ファンク・バンド、「シャカタク」が演奏した軽快なサンバ。にぎやかなラテン・パーカッションの連打が続く中、あくまで都会的に洗練されたセンスが、上品さを保つ軽快なサンバだ。

 

7.松田聖子ヒット・メドレー
なんとナント!、ニュー・サウンズに流行歌の登場、いや驚きました。それも問答無用の聖子ちゃんメドレーとは!!しかし面白い。ハートのイアリング、赤いスイートピー、Rock’n Rouge、それにペンギンとビールのコマーシャルで大ヒットのSweet Memories。これは編曲者の力量勝ち。皆んなで楽しもうよ。

 

8.ケアレス・ウィスパー
イギリス出身のジョージ・マイケルとアンドリュー・レッジレー組の作品。まるで日本の歌謡曲を思わせるような作風で、サックスを中心にウィットに歌い上げる。短調、スローロック調は日本調と言うのか、ヨーロッパ風と言うのか・・・・。本編唯一のしっとりとした作品、聴衆にほのぼのとした感じを与えること受け合いだ。

 

9.ダンシング・クィーン
若者の間にファンの多い、スウェーデン出身グループ、”アバ”の演奏で大ヒットしたナウな曲。小気味より軽快なリズムに流れる構成の簡単な小品だが、メロディー、ハーモニーの味も上品で、木管と金管セクション掛け合いが見事。フルート、クラリネット等高音木管に細かな運指はあるが、うまくリズムに乗れれば、演奏も楽しくなるだろう。

 

10.燃える想い
恒例の世界歌謡祭の入賞曲(第8回、1977年度)。コーラスグループ、ラッグスの演奏で登場、見事入賞しましたが、歌謡祭当日よりむしろその後に評価が高まり、数ヶ月にわたりヒットパレード曲としておなじみとなった。いわゆる歌の編曲だがら、全編を通じて同テンポで快調に飛ばされているが、後半には転調もあり、アンコール曲などによい。

 

11.哀愁のアダージョ
スペインの作曲家ミカエル・バケスのクラシック曲をムード調ポップスに編曲したもの。まるでメロドラマを思わせる甘くせつないテーマだが、編曲は3/4拍子を少し速目のモデラートと快調なアレグロに交互に置きかえ、変化を求めている。リズム形に少しややっこしさもあるが、馴れてしまえば問題ない。全体のパートのバランスが鍵となるだろう。

 

12.ミュージカル”ソフィスティケイテッド・レディーズ”メドレー
1981年以来、ブロードウェイで大ヒットの作品だが、普通のミュージカルではない。バンドの演奏が主役なのだ。今は亡きジャズの巨匠デューク・エリントンの作品を抜萃したもので、この編曲もなつかしい”パーディド”ほか5曲のスイングから構成されたスケールの大きなもの。エリントンならではのピアノ、バリトン・サックスのソロ等、ジャズの片鱗に触れられる。演奏も見事、大編成の吹奏楽は腕達者揃、本家のビッグ・バンドも真青と言ったところだ。

[石上禮男]

※解説は発売当初のものを転用しました。

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション Vol.9

1.レッツ・ダンス Let’s Dance
2.ストレンジャー・イン・パラダイス Stranger in Paradise
3.インテルメッツォ・ナンバーワン Intermezzo No.1
4.サンバでミネルバ Samba de Minerva
5.ボイジャー Voyager
6.ドント・セイ・ザット・アゲイン Don’t Say That Again
7.松田聖子ヒット・メドレー
ハートのイアリング~赤いスイートピー~Rock’n Rouge~Sweet Memories
8.ケアレス・ウィスパー Careless Whisper
9.ダンシング・クィーン Dancing Queen
10.燃える想い Can’t Hide My Love
11.哀愁のアダージョ Adagio Cardinal
12.ミュージカル”ソフィスティケイテッド・レディーズ”メドレー
オーヴァチュア~昔はよかったね~ソフィスティケイテッド・レディーズ~パーディド~スイングがなければ意味がない~ロッキン・リズム
Overture~Things Ain’t What They Used to Be~Sophisticated Ladies~Perdido~It Don’t Mean a Thing~Rockin’ In Rhythm

編曲:
岩井直溥 1,3,4,6,7,8,9
小野崎孝輔 2,10
梶谷修 5
藤沢守 11
中川賢二 12

 

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