Disc. 久石譲 『交響組曲 「アリオン」』

1986年4月25日 CD発売

1986年公開 映画「アリオン」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

シンフォニーで奏でる壮大な「アリオン」ワールド!
80’Sアニメブームの人気キャラクターたちを描いた人気アニメーター安彦良和
初監督作品「アリオン」を久石譲が壮大な交響組曲で再現!

 

音楽解説

この交響組曲「アリオン」のきき方はふたつある。ひとつはここでの久石譲の音楽のうちに「アリオン」のドラマを感じとりながらきくきき方である。もうひとつは、映画「アリオン」のことを考えずに、独立した音楽としてきくきき方である。もし、映画「アリオン」を見ている人にしか、この音楽が楽しめないということであれば、交響組曲「アリオン」は、音楽作品として自立していない、映画「アリオン」に従属したものということになる。しかし、ここできける音楽は、たとえ映画を見ていない人にも、充分に楽しめる。それというのも、この音楽が音楽として、奥行きの深い、しかも魅力にみちたものだからである。

交響曲の多くは4楽章で構成されるが、交響組曲の楽章数は、ここでのように4楽章をこえるものも少なくない。交響組曲「アリオン」は、それぞれの楽章がすこぶる個性的な音楽による6つの楽章でなりたっている。

第1楽章をきいたききては、この音楽の作曲者である久石譲が、その若き日に、フィリップ・グラス、テリー・ライリー、あるいはスティーブ・ライヒといったような作曲家によるミニマル・ミュージックに強い影響を受けたことを思い出すかもしれない。そして、同時に、ここで久石譲は、シンフォニー・オーケストラならではの、まさにシンフォニックな表現力を十全にいかして、スケールの大きい音楽を展開している。

つづく第2楽章では、打楽器を積極的に用いて、リズム的な楽しさを充分に味わわせてくれる主部と、フルートの響きを有効にいかして、抒情的な音楽をきかせる中間部との対比が、効果的である。

第3楽章は、ミステリアスな雰囲気をたたえながら、しかも推進力にとんだ音楽によって、開始されている。この音楽のあきらかにしている緊迫感は、ききてをひきつけずにはおかないものである。つづく中間部では、ほの暗い抒情性が示された後に、さらに冒頭の部分が再現して、第3楽章はしめくくられている。

第4楽章では、静かなピアノのモノローグをきくことができる。この交響組曲「アリオン」のなかで、久石譲のメロディー・メイカーとしての本領がもっともストレートに発揮された部分ともいえるであろう。

第5楽章では、ブラスの力強い吹奏がフィーチャーされていて、勇壮な音楽が展開されている。しかし、ここでは、ブラスの力にみちた響きを弦楽器が支えているために音楽としての厚みがましていることに、注意するべきであろう。

しめくくりの第6楽章は、さまざまな性格の音楽を巧みに構成して、変化にとんだ音楽となっている。この壮大な交響組曲にふさわしい華やかさにみちた、フィナーレらしい音楽によっていて、とりわけ最後のもりあがりは素晴らしい。

黒田恭一

(’86年リリース オリジナル・ライナーノーツより転載)

(CDライナーノーツより)

 

久石譲 『交響組曲「アリオン」』

1. 第一章
2. 第二章
3. 第三章
4. 第四章〈レスフィーナの唄〉
5. 第五章
6. 第六章

プロデューサー:久石譲

作曲:久石譲
指揮:中谷勝昭
演奏:久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団

録音スタジオ:アバコクリエイティヴスタジオ

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