Disc. 久石譲 『ラ・フォリア / パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

久石譲 『ラ・フォリア パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

2011年2月2日 CD発売 TKCA-73627
2021年11月27日 LP発売 TJJA-10044

 

2010年11月20日より、三鷹の森ジブリ美術館にて公開

三鷹の森ジブリ美術館 ジブリの森のえいが
『パン種とタマゴ姫』 上映時間 11分37秒
原作・脚本・監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

『ラ・フォリア』ヴィヴァルディ / 久石譲 編
指揮:久石譲
演奏:三浦ストリングス
コンサートマスター:三浦章宏

 

三鷹の森ジブリ美術館映画「パン種とタマゴ姫」のサウドトラック。宮崎監督がこの映画を製作している時にずっと聴いてたという、ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」という曲を素材に、宮崎監督の映像が与えてくれるインパクトに沿う形で、古典曲を現代的なアプローチで再構築した作品。録音は2010年10月。

 

三鷹の森ジブリ美術館オリジナル短編アニメーション第8作「パン種とタマゴ姫」(2010年上映開始)のサントラ盤。本作のみ、美術館ショップ専売CDとは別に一般市販向けCDが制作された。ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」を久石が現代的アプローチで再構築。

同美術館のショップ「マンマユート」でのみの販売されている同サントラ盤は、ジャケットだけでなく内容も一部異なっており、本盤は最終的に映画で使用された構成で収録されている。

 

 

 

『ラ・フォリア』を素材として、現代的に再構築した音楽 久石譲(音楽)

今回の音楽は、宮崎監督が『パン種とタマゴ姫』を制作している時にずっと聴いていたというヴィヴァルディの『ラ・フォリア』という曲を素材としています。宮崎監督の映像が与えてくれるインパクトに沿う形で、古典曲を現代的なアプローチで再構築してはどうかと考えました。

この映画の世界観は、宮崎監督がこの作品を作るきっかけになったというブリューゲルの絵の質感みたいなことをすごく大事にしていましたし、ヨーロッパの民謡のような印象をうけました。ヴィヴァルディが活躍した時代の”バロック音楽”(16世紀末から18世紀中ごろまでのヨーロッパ音楽)のシステマチックな部分に、僕の得意とするミニマル・ミュージックの手法を取り入れ、音の形を少しずつ変化させ反復し続けていくことで、古典的なニュアンスを保ちながらも現代のバロック曲として、この映画に合うものになるのではないかと思ったのです。宮崎監督にこうした意図をお話すると「面白い」ということになり、音楽の方向性は決まりました。

そうは言っても、最初は『ラ・フォリア』という曲が持つ暗さが、この映画に合うのだろうかと心配でもありました。でも曲を作り、僕が自分のコンサートツアーなどでいつもお願いしている弦楽合奏団、サックスとマリンバ奏者に演奏をしてもらい、映像に合わせて聞いてみると、キャラクターの持つ雰囲気と音楽のギャップが映画に深みを与え、とてもいい仕上がりになりました。

通常、映画音楽はシーンに合わせる形で何曲も作るのですが、今回は映画が12分ほどの短いものですから、音楽は変奏していく1つの楽曲という作りになっています。その意味では、音楽単独でも聴きやすいものになっていますので、映画をご覧になった後、興味のある方はCDなどで音楽そのものを楽しんで頂ければと思います。

(CDライナーノーツより)

 

 

 

ヴィヴァルディの『ラ・フォリア』という曲を素材に編曲されたもの。古典的なバロック音楽と現代的なミニマル・ミュージックの融合。演奏は弦楽、サックス、マリンバとシンプルな小編成。

バロック音楽で有名な、パッフェルベルのカノンに代表されるバロック音楽を象徴する楽器、チェンバロの音も奏でられている。短編映画のため計7曲で約12分。

 

 

2021.11 update

liner notes フォリア(ラ・フォリア)とは?/ヴィヴァルディの原曲について/『パン種とタマゴ姫』のスコアについて/楽曲(主題と変奏)解説 (前島秀国)所収

 

 

 

久石譲 『ラ・フォリア パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

1. 主題
2. 第1変奏
3. 第2変奏
4. 第3変奏
5. 第4変奏
6. 第5変奏
7. 終曲

 

指揮:久石譲
演奏:三浦ストリングス
コンサートマスター:三浦章宏

レコディング・エンジニア:秋田裕之(ワンダーステーション)
レコーディングスタジオ:ビクタースタジオ・Bunkamuraスタジオ

 

Disc. 久石譲 『Prime of Youth』 *Unreleased

2010年 委嘱

 

2010年11月5日~2011年1月16日開催「久石譲アジアツアー2010」にて初演(東京/大阪/韓国のみプログラム)。

■Prime of Youth
2010年、大阪青年会議所のピース・カンファレンス・オブ・ユース事業のテーマソングとして書き下ろされた。ファンファーレのように高らかに鳴り響く冒頭と、それに続く8分の11拍子の変拍子のリズムから紡ぎだされるミニマル・ミュージックとシンフォニックな響きが特徴的な作品。

 

 

2015.11. 追記

2015年12月11日開催「久石譲 第九スペシャル 2015」にて、「Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~」の第3楽章に組み込まれる。合唱編成をともなう加筆と修正によって新たに改作されている。

 

 

Disc. 久石譲 『海洋天堂 / Ocean Heaven』 *Unreleased

2010年 中国公開

 

2010年公開 映画 「海洋天堂」
監督:シュエ・シャオルー 音楽:久石譲 出演:ジェット・リー ウェン・ジャン 他

日本公開日:2011年7月9日

2012年DVD化
サウンドトラック未発売 未CD化作品

 

父と子の絆を描く感動のヒューマンストーリー。また親子愛のみならず男女愛、隣人愛、友情までと様々な愛情を映し出す作品。

リアリティさと海や水中を描く映像のコントラストが美しい。そして映像に共鳴するかのような音楽の寄り添いもまた美しい。主張しすぎず、涙腺に訴えかけすぎない配慮のされた奥深い音楽。それはクラシックの印象派のような表現。

ピアノやハープの細かい音の粒が母なる生命=海を感じさせる。そしてそれはあらゆる生き物の力強い生命力や息吹までも感じることができる。

劇中音楽はさほど多いほうではないが、それが作品のリアリティさを増し、海や水中を表現しているシーンに、効果的にこのメインテーマが響いている。ピアノやハープが旋律を織りなし、いつしかストリングスに旋律が移るなか、ピアノの細かい粒たちは、そのバックグランドとして奏でつづける。フルートやオーボエなどの木管楽器も絡み合いながら、フルオーケストラの広がりと深み、あらゆる生命体が共鳴し光り輝くようである。

メインテーマはまさに海を象徴しているものであり、同じく生命の尊さ、愛おしさを美しく表現した名曲。一度聴いただけではメロディーを覚えられそうにないところにこの楽曲の肝があり、主張しすぎない、印象派のような、1枚の絵画のように、楽曲全体として聴けば聴くほどに深く心に入ってくる。

作品全体をとおしても、悠々としたピアノやストリングスの旋律が美しく寄り添っている。緻密で繊細なオーケストレーションが、生命の愛おしさを感じさせてくれる。愛に溢れた音楽、ぜひともCD化してほしい作品である。

 

 

またメインテーマ曲に歌詞をつけたボーカルバージョンも存在する。

《海洋天堂 (「海洋天堂」电影插曲) 》
作词:许朔
作曲:久石让Joe Hisaishi
演唱:桂纶镁

原曲のイメージを崩していないオーケストラによる伴奏だが、久石譲が編曲も担当したかどうかは不明。

 

 

海洋天堂 DVD

 

海洋天堂 ポスター

 

Disc. 麻衣 『麻衣』 

麻衣 『麻衣』

2010年12月15日 CD発売 VICL-63695

 

久石譲の愛娘、麻衣。4際の時に、映画『風の谷のナウシカ』の中で、ナウシカ幼少時の回想シーンで流れる「ラン ラン ララ~」のメロディーを歌っていたのは彼女。その後も久石譲作品やハリーポッター作品などの活動を経て、オリジナルアルバム。久石譲が作曲・編曲を手がけているのは、(3) (9) (10)。

 

本作には収録されていないが、2012年1月からの中部電力CMにて自身が作詞作曲した「Dreamland」という曲が使用されている。中部電力公式サイトにて、同曲フルバージョンをweb限定公開している。

 

2015.4 追記
「Dreamland」は、セカンドミニアルバム『空みあげて』(2015年4月8日発売)に収録された。

 

 

麻衣 『麻衣』

1. 光の朝
2. 大きな木 ~The Giving Tree~ (キョーリン製薬グループCMソング)
3. I will be (日産スカイラインCMソング)
4. きみを守りつづける
5. 永遠の地へ
6. きみにわらい きみになく
7. 大地のはじまり
8. 月と宇宙ひっくり返っても
9. ウルルの唄 (映画「ウルルの森の物語」主題歌)
10. 心のかけら (RPGゲーム「二ノ国」(DS/PS3)主題歌)
11. 空の奇跡
12. Lullaby

「I will be」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「ウルルの唄」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「心のかけら」
作詞:鈴木麻実子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『Joe Hisaishi ANNIVERSARY』 ※非売品 *Unreleased

2010年11月26日 非売品

 

同日開催された「久石譲60歳誕生記念パーティー」にて参加者に贈られた贈答品2枚組記念CDである。久石譲の音楽活動を総括する主要CD作品から1楽曲がセレクトされている。

 

 

ごあいさつ

本日はお忙しい中、
お越しいただきありがとうございました。

気がつけばもうすぐ60、
その歳までに交響曲を書くと決めていたのですが、
道半ば、来年には必ず実現するつもりです。
やっと音楽の中で少し自由になったとは思いますが、
なかなか総てがうまくいくというわけではありません。
2勝1敗の人生を目指して今後も頑張ります。

ここまで来られたのは皆様のご支援があってのこと、
心より感謝致します。
より一層の努力と精進が、
皆様のご支援にお応えできることと考えております。
どうぞ今後とも、よろしくお願い申し上げます。

末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を
お祈り申し上げます。

平成22年11月 吉日
久石譲

(CD寄稿より)

 

 

久石譲 アニバーサリー 60 1

DISC 1
1. MKWAJU / 『MKWAJU』 1981/08
2. WONDERCITY / 『INFORMATION』 1982/10
3. DA・MA・SHI・絵 / 『α-BET-CITY』 1985/06
4. 794BDH (マツダ「ファミリア」CFソング) / 『CURVED MUSIC』 1986/09
5. The Wind Forest (映画「となりのトトロ」より) / 『Piano Stories』 1988/07
6. 冬の旅人 (東海テレビ「華の別れ」主題歌」) / 『illusion』 1988/12
7. VIEW OF SILENCE / 『PRETENDER』 1989/09
8. Tasmania Story (映画「タスマニア物語」より) / 『I am』 1991/02
9. TANGO X.T.C. (映画「はるかノスタルジィ」より) / 『My Lost City』 1992/02
10. PROLOGUE ~ DRIFTING IN THE SKY / 『Symphonic Best Selection』 1992/09
11. ぴあの (English Version) (NHK連続テレビ小説「ぴあの」より) / 『地上の楽園』 1994/07
12. I Believe In you / 『Melody Blvd.』 1995/01
13. The Wind of Life / 『PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』 1996/10
14. MADNESS / 『WORKS I』 1997/10

 

久石譲 Joe Hisaishi ANNIVERSARY D1

 

DISC 2
1. HANA-BI (映画「HANA-BI」より) / 『NOSTALGIA ~ PIANO STORIES III ~』 1998/10
2. Asian Dream Song (長野パラリンピック冬季競技大会テーマソング) / 『WORKS II』 1999/09
3. KIDS RETURN (映画「KIDS RETURN」より) / 『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』 2000/05
4. Summer (映画「菊次郎の夏」より) / 『ENCORE』 2002/03
5. Quartet Main Theme (映画「Quartet」より) / 『SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001』 2002/07
6. Silence (Short Version) (ダンロップ「VEURO」CFソング) / 『CURVED MUSIC II』 2003/01
7. 夢の星空 (日本テレビ「未来創造堂」オープニングソング) / 『ETUDE ~a Wish to the Moon~』 2003/03
8. Musée imaginaire (Orchestra Ver.) (NHK「世界美術館紀行」テーマソング) / 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』 2003/10
9. Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CFソング) / 『FREEDOM ~ PIANO STORIES 4~』 2005/01
10. Keaton’s 「THE GENERAL」 01. Movement 1 (映画「バスターキートンの大列車強盗」より / 『WORKS III』 2005/07
11. Welcome to Dongmakgol (韓国映画「トンマッコルへようこそ」主題曲) / 『Asian X.T.C.』 2006/10
12. Innocent (映画「天空の城ラピュタ」より) / 『Piano Stories Best ’88-’08』 2008/04
13. Theme of Departures (映画「おくりびと」より) / 『Another Piano Stories ~The End of the World~』 2009/02
14. The End of the World III.Beyond The World / 『Minima_Rhythm』 2009/08
15. One Summer’s Day (映画「千と千尋の神隠し」より) / 『Melodyphony』 2010/10

 

久石譲 Joe Hisaishi ANNIEVERSARY D2

 

Disc. 久石譲 『パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

2010年11月20日 CD発売 MDG-R-00007

 

2010年11月20日より、三鷹の森ジブリ美術館にて公開

三鷹の森ジブリ美術館 ジブリの森のえいが
『パン種とタマゴ姫』 上映時間 11分37秒
原作・脚本・監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

『ラ・フォリア』ヴィヴァルディ / 久石譲 編
指揮:久石譲
演奏:三浦ストリングス
コンサートマスター:三浦章宏

 

同美術館のショップ「マンマユート」でのみの販売されている本作サントラ盤は、ジャケットだけでなく内容も一部異なっており、本盤は最終的に映画で使用された構成で収録されている。録音は2010年10月。

本作のみ、美術館ショップ専売CDとは別に一般市販向けCDが制作された。ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」を久石が現代的アプローチで再構築。

 

久石譲 『ラ・フォリア パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

 

 

2021.11 update

liner notes フォリア(ラ・フォリア)とは?/ヴィヴァルディの原曲について/『パン種とタマゴ姫』のスコアについて/楽曲(主題と変奏)解説 (前島秀国)所収

 

 

 

パン種とタマゴ姫 サウンドトラック sc

1. 主題~第1変奏
2. 第2変奏
3. 第3変奏
4. 第4変奏
5. 第5変奏
6. 終曲

レコーディングスタジオ:ビクタースタジオ , Bunkamuraスタジオ

 

La Folía – Mr. Dough and the Egg Princess Soundtrack

1.Theme
2.Variation 1
3.Variation 2
4.Variation 3
5.Variation 4
6.Variation 5
7.Coda

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

2010年11月17日 CD発売 TOCT-27010

 

司馬遼太郎の長編小説を原作とするスペシャルドラマ「坂の上の雲」。日本のテレビ史上これまでにないスケールを目指しNHKが総力を挙げて取り組んでいるスペシャルドラマである。音楽を手掛けるのは日本を代表するコンポーザー久石譲。

本作は「ドラマ第1部」使用曲より第1弾サントラ未収録曲と「ドラマ第2部」のために録音された新曲をまとめて一挙収録した豪華盤。視聴者の皆様からの多くのお問い合わせ・リクエストを頂いた「少年の国」などの楽曲も収録。

壮大なスケール感。希望に満ちた旋律。坂の上の雲に向かってひたすらに歩み続けた明治人の世界が鮮やかによみがえるオリジナル・サウンドトラック。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

生みの苦しみ、生みの喜び

スペシャルドラマ「坂の上の雲」は3年間におよぶ撮影、そして3年に亘る放送と、これまでの規格に収まらない番組だ。この文章を書いている時点で、この番組のプロジェクトを立ち上げてからすでに8年になる。プロジェクトを進行させてゆく面白さと裏腹に、継続させてゆくつらさも常に付きまとう。新しいことに挑戦してゆくときのある種の熱気のようなものをバネに「エイヤッ」と走り出しても、ゴールは遥か先で到底視界には入らず、そして途中棄権も許されないマラソンを走っている感じだ。しかし、短距離走よりマラソンの利点も多く、それだけ準備も撮影も周到にできる。番組をご覧いただいた方には、その質の高さを実感いただけたのではないかと自負している。

このマラソンを走る「面白さ」と「つらさ」を感じているのは私だけではなく、この番組に携わっている全てのスタッフや出演者が感じているのではないかと思う。ご本人に直接聞いたことはないが、音楽を担当していただいている久石譲さんも、同じ感覚を持っているのではないか、と勝手に想像している。

ドラマの第1部はいわば「青春編」だった。日本が国際社会という舞台に初めて立ち、主人公たちがそれぞれの道を歩き始めるというストーリーだった。第2部は「友情編」である。ロシアとの関係が緊張を増し、ついに開戦となるなか、秋山真之の二人の親友、正岡子規と広瀬武夫が壮絶な最期を遂げる。兄の好古はロシアや清国の、本来は対決するはずの人々と親交を結んでゆく。子規や広瀬の死は音楽的にも大きなテーマだし、ロシアを音楽でどう表現するのかなど、久石さんのマラソンコースの上で、難所だったに違いない。

そしてメインテーマだ。ドラマは3部構成であり、しかも3年に亘って放送する。物語は激しく展開し、時代は変わり、見ている人たちも作っている私たちも変わってゆく。ならばメインテーマも変わっていったらどうだろうか。そう思っていたのは私だけではなく、久石さんも同じだったようだ。しかし、英国の歌姫のイメージを踏襲しながら、違和感なく新しいヴァージョンを創り出すのはかなりの難産だった。けれど、森麻季さんの歌声と久石さんの手腕で素晴しい曲に仕上がった。

これがマラソンの面白さかな、と思っている。

2010年11月

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
チーフ・プロデューサー 藤澤浩一

(CDライナーノーツより)

 

 

この「オリジナル・サウンドトラック 2 」は第1部未収録楽曲となる(1)~(12)と第2部新録音楽曲となる(14)~(24)で構成されている。(13)は「オリジナル・サウンドトラック 1」(以下 サントラ1)にも収録されているため、Bonus track となっている。

主題歌でありメインテーマの『Stand Alone』は、「サントラ1」の4ヴァージョンとは別に、(5)にて、ヴァイオリンとチェロの掛け合いにハープの上品な伴奏という悠々な1曲となっている。

第2部で主題歌を歌っているのは、森麻季(24)。オーケストラアレンジは、第1部で歌ったサラ・ブライトマンのそれと同じだが、歌声が変わるだけで、また違った印象と息吹を与えてくれる佳曲。

第1部の未収録楽曲からは、(1) (2) (12)が、若者たちの青春を象徴した、希望に満ちた、豪快かつ軽快な楽曲。(3)は「サントラ1」の『(3)旅立ち』をモチーフにした吹奏楽アレンジになっていたり、(4)は「サントラ1」の『(5)青春』をモチーフにコミカルなタッチになっている。(6)は全3部で随所に聴くことができる、いわば「坂の上の雲」作品におけるレクイエムのよう。トランペットの優しくも高揚な音色が、明治という時代の様々な出来事や人々の感情を、何も語らずも一気に飲み込んでしまう、包みこんでしまう、そういう楽曲。

この曲以後、後半の第1部未収録楽曲からは、戦争や国際社会といった時代の渦に流されていく重厚な楽曲たちが並ぶ。

第2部の新録音楽曲からは、(17) (18) (19)など、この時代の混沌さを重厚に表現している。一方では(15) (16) (21)など、人々の感情を叙情的に美しくも儚く表現している。第2部はいわば「友情編」となっていて(制作サイド)、主人公たちのそれぞれの道や親友の死、またロシアや清とった国際社会が舞台になっていることからも垣間見える。それは(14)や(22)からも象徴され伝わってくる一貫した緊張感が凝縮されている。

「第1部」 「オリジナル・サウンドトラック 1 」とは、また別の世界観を堪能できる1枚。

 

 

 

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

第1部:未収録楽曲より
1. 少年の国
2. ガキ大将!真之
3. 奇跡の時
4. 悪ガキ行進曲
5. Stand Alone for Violin & Violoncello
6. 疵
7. 偵察
8. 狼煙
9. 破局の始まり
10. 終の住処
11. 少年の国 for Woodwinds & Strings
12. 広瀬 ~快活な人物~
13. Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石 譲(Bonus track)

第2部:新録音楽曲より
14. 若き精鋭たち
15. 真之と季子
16. 律 ~愛と悲しみ~
17. 強国ロシア
18. アリアズナ
19. 列強と日本
20. 奸計
21. 慕情
22. 開戦への決意
23. 広瀬の最期
24. Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)

音楽/久石譲
指揮/久石譲 演奏/東京ニューシティ管弦楽団
指揮/外山雄三 演奏/NHK交響楽団 (第2部メインテーマ:M24)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano by 久石譲 (M13, M24)

Recorded at NHK CR-506, CR-509, Nemo Studios (M13)
Mixed at NHK CP-604, CR-506, NHK出版宇田川スタジオ (M24), Nemo Studios (M13)

 

Disc. リトルキャロル 『クリスマスコレクション』

2010年11月10日 CD発売 WRCT-1012

 

親子で楽しむクリスマスソング!
リトルキャロル セカンド・アルバム

 

 

久石譲楽曲が二曲収録されている。どちらもカバーとしてセレクトされたもの。

 

 

 

 

Christmas Collection
Little Carol

1.O Come O Come Emmanuel
John Mason Neale/Traditional/arr. 松波千映子
2.Carol of the bells
Traditional/arr. 南安雄
3.Angels we have heard on high~Hark! The Herald angels sing
Charles Wesley & Felix Mendelssohn/Japanese by 由木康/arr. 松波千映子
4.We wish you a Merry Christmas
Traditional/arr. Connor Burrows
5.Gaudete!
Traditional/arr. 藤沢麻衣
6.O Little Town of Bethlehem
Phillips Brooks/Traditional/Japanese by 矢崎節夫/arr. David Willcocks
7.Come Oh Jesus
Traditional
8.Oh Holy Night
海野洋司/Adolphe Adam/arr. 南安雄
9.Deck the hall
Traditional/arr. 南安雄
10.Gabriel’s message
Traditional/arr. 藤沢麻衣
11.God rest ye merry gentlemen
Traditional/arr. 松波千映子
12.Sing Joy!
Traditional/Georg Friedrich Händel/arr. 鵜飼侑起子
13.Sing Noel
Jay Althouse/Georges Bizet/arr. 鵜飼侑起子
14.まきびとひつじを
Traditional/arr. 松波千映子
15.プチパパノエル
藤沢麻衣&河野清香(Little Carol)/Raymond Vinci/arr. よこやまじゅんこ
16.聖フランシスの祈りのうた
Sebastian Temple/arr. よこやまじゅんこ
17.Girl
藤沢麻衣/久石譲/arr. 足本憲治
18.ホワイトナイト
河野清香&小池光子(Little Carol)/久石譲/arr. 松波千映子

 

All Performed & Produced by Little Carol

Recorded at Saitama Arts Theatre Concert Hall
Recording & Mixing Engineer: Toshiyuki Takahashi [Wonder Station]
Assistant Engineer: Atsuo Fujita [F]
Mixed at Wonder Station
Mastering Engineer: Atsuo Fujita [F]

Illustration: Chie Hitotsuyama
Design: Ai Hayashi

Piano: Go Nakajima (M-3,6,7,8,12,13,15,16,17,18)

Production Management: Mai Fujisawa, You Kobayashi, Akiko Suzawa [Wonder City Inc.]

Director: Mai Fujisawa

Technical Derector: Daisuke Mogi [Principal Oboe, NHK SYMPHONY ORCHESTRA]
(M-1,2,3,4,5,9,12,14,16)

Executive Advisor: Joe Hisaishi

Executive Producer: Ayame Fujisawa [Wonder City Inc.]

Thanks to Nobumasa Koyama, Emiko Koyama, all our families and friends

 

Disc. 森高千里 『ペコちゃんの歌』

2010年10月29日 CD発売 TGCS-6408 数量限定

 

不二家創業100周年記念ソング
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲 歌:森高千里

 

テンポの良いリズムで、子供から大人まで口ずさんでしまう元気なかわいい曲。ウクレレやストリングスに加えて、バンジョー、パーカッション、クイーカが使われている。

CDでは、1曲目:ボーカル 森高千里 2曲目:カラオケバージョンを不二家公式サイトでは、子供たちによる合唱バーションを聴くことができる。

 

このCDは一般のCD販売店での販売はなく、不二家洋菓子店舗、不二家ネットショップ「ファミリータウン」、2010年銀座ペコちゃんミュージアムで数量限定販売された。

 

 

不二家 ペコちゃんの歌 1

不二家 ペコちゃんの歌 2

不二家 ペコちゃんの歌 3

不二家 ペコちゃんの歌 4

不二家 ペコちゃんの歌 5

 

Disc. トロンボーン・クァルテット・ジパング 『EXPO in ZIPANG』

2010年10月27日 CD発売 OVCC-79

 

ジブリ映画の久石譲、吹奏楽の巨匠スパークの両氏による書き下ろし作品を含む ジパング的トロンボーン・クァルテット万国博覧会!!

日本を代表する管楽器アンサンブル、トロンボーン・クァルテット・ジパングの最新アルバムの登場です。今回の注目はなんといっても、日本を代表する作曲家で、ジブリ映画の音楽を担当し、今年はSMAPに楽曲提供し話題となった久石譲が、ジパングのために楽曲を提供しました! 久石らしい美しいメロディとミニマム・ミュージックが融合した大作となりました。このレパートリーの定番となってゆくでしょう。

また、吹奏楽界の巨匠、フィリップ・スパークの書き下ろしも収録。今回はミディアム・テンポの重厚でスパークらしい心地よいハーモニーを堪能できる作品となりました。

その日本とイギリスの作曲家の新作を中心に、フランスのバセット、ポーランドのセロツキ、イタリアのガブリエリ、ドイツのライヒェ、オーストリアのアルブレヒツベルガーと世界のトロンボーン四重奏の作品を集めました。世界各国を代表する楽曲を、トロンボーン・クァルテット・ジパングが見事に奏でます。まさにジパングによる世界万国博覧会!!

トロンボーン・クァルテットによる世界平和のハーモニーが高らかに響きます!

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

久石譲(1950-)
トロンボーンカルテットのための『4つのバガテル』
1:アレグロ・マルチャ・コン・アニマ
2:アレグロ・ヴィヴァーチェ
3:レント
4:アレグロ・コン・ブリオ

「4つのバガテル」は自分にとって、とても大切な作品になりましたが、4つの同じ楽器、それも低い低音のトロンボーンをどう聴かせるのか、実は作品に取り掛かるまでは不安でした。

しかし、ZIPANGのメンバーの方々の、僕の作品の出来上がりをじっくり待ってくださる姿勢と(笑)、彼らの心暖まるサウンドを聴きながら、自分なりに出来るものを作ろうと思ったのです。「バガテル」とは、作曲家がスケッチのように思いつくままに書いたり、手すさびとして書かれたもののことをいいます。そのタイトルのように、僕も、心に浮かぶ風景をできるだけそのまま音にしています。もちろん作曲家として構成など、随所に工夫を凝らしています。

彼らの音を聴くのを一番楽しみに待っているのは、きっと僕です。 (久石譲)

(CDライナーノーツより 久石譲メッセージ)

 

 

宮﨑駿監督によるアニメーション映画をはじめとする一連のフィルム・スコアで数々の受賞歴を誇り、広範な層にファンを獲得している作曲家…などと久石譲を改めて紹介するまでもあるまい。ミュージシャンへの楽曲提供やプロデュース活動のキャリアは国立音楽大学在学中に始まり、彼自身のグループによる演奏活動も恒常的に展開してきた。そのスタートラインといえるのが1970年代に一大潮流をなした”ミニマル・ミュージック”の分析と研究であり、1981年に発表されたファースト・アルバムのコンセプトにも集約的に示されている。当アルバムのために書き下ろされた「4つのバガテル」における反復音形や声部進行の書式には、”ミニマル”の語法を独自の感性を昇華してみせた作曲家の筆の冴えが感じられよう。

久石は2004年から、新日本フィルハーモニー交響楽団が新たにスタートさせた「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」(W.D.O.)の音楽監督の地位にあり、指揮者およびピアニストとして公演を率いてきた。それが契機となってジパングのメンバー(バス・トロンボーンの門脇賀智志が新日本フィル団員)との交流も始まり、この委嘱新作に結びつくこととなったわけである。  (こはた・いっせい)

(CDライナーノーツより 解説)

 

 

 

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ノレ:
1. カトル・ア・カトル: 1 Fox-trot
2. カトル・ア・カトル: 2 Ballade
3. カトル・ア・カトル: 3 Blues
4. カトル・ア・カトル: 4 Vif
セロツキ:
5. 組曲 : 1 Intrada
6. 組曲 : 2 Kanon
7. 組曲 : 3 Interludium
8. 組曲 : 4 Choral
9. 組曲 : 5 Intermezzo
10. 組曲 : 6 Arietta
11. 組曲 : 7 Toccatina
バセット:
12. トロンボーン四重奏曲
スパーク:
13. リフレクション
ガブリエリ / ブラウン編
14. ソナタ
ライヒェ:
15. ソナチネ 第3番
アルブレヒツベルガー
16. ドッペルフーガ
久石譲:
17. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 1 Alla marcia con anima
18. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 2 Allegro vivace
19. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 3 Lento
20. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 4 Allegro con brio

演奏:トロンボーン・クァルテット・ジパング
メンバー:
吉川 武典(Takenori Yoshikawa)
桑田 晃(Akira Kuwata)
岸良 開城(Haruki Kishira)
門脇 賀智志(Kachishi Kadowaki)

収録:2010年6月7-9日 茨城・小美玉市四季文化館みのーれにて収録