2011年2月9日 CD発売 PKCF-1036
レベルファイブ×スタジオジブリ による任天堂DS用ゲームソフト「二ノ国 漆黒の魔導士」音楽監督を担当、そのオリジナル・サウンドトラック。
コメント
『二ノ国』に参加するきっかけは、ジブリさんから「こういう仕事があるけれど、一緒にやらないか?」という話があったからです。実際に総監督の日野(晃博)さんにお会いしたら…「これはすごくいいものができそうな現場になるな」という予感がしました。
『二ノ国』の仕事は、比較的、壁にぶつからずにスムーズにできました。毎朝起きたときにラフスケッチ(ピアノだけでメロディと伴奏)を書くのですけれど、それが毎日、同じフレーズが出てくるのです。結果、それがエンディングテーマ曲になるのですが。
そこで、まず最初に中心になる楽曲がきちんと出てきた。だから、非常に全体の曲が組み立てやすかったということもあります。
そこから…最初に21曲を7日間で全部書きました。
こういうことは稀にあり、すごく調子のいい時の傾向です。もちろん、オーケストレーションで、大変な労力、時間はかかっています。ただ、「どっちに進めばいいかわからない!」ということではなくて、行く道は見えながら、その上で「良い音楽に到達するにはどうすればいいのか?」という状態でした。
結果…音楽的にすごく密度の濃い、完成度の高い作品が作れたと思います。
ゲームとしても、音楽も、アニメーションの部分も含めて、すごくレベルが高い。世界観もハッキリしているので、多くの人の期待に応えられていると思います。ぜひ、ゲームの世界を楽しんでみてください。
久石譲
(コメント ~CDライナーノーツより)
今回はいつもの作曲の時とは違う方法で作曲が進められている。通常なら最初の作曲段階でオーケストレーションをしながら曲をスケッチしていくが、今回は全曲をまずピアノ一本で楽曲として仕上げ、それからオーケストレーションを施すという方法がとられている。音のぶつかりや和声の組み方、また主旋律とその他の役割の音の絡みなどが鮮明に聴こえ、より一音一音にシビアになれるからだとか。
ジブリ作品に通じるファンタジーでもあり、そこにRPG・冒険という世界が加わり、バリエーションに富んだ音楽世界が楽しめる作品。
(1)のメインテーマに世界観が凝縮されている。(18) (19)では、メインテーマのモチーフとしてより力強い冒険が響きわたる。(3) (6) (9) (10) (11)などは、まさにファンタジー感満載、軽快かつコミカルな曲、冒険を進めていくなかでの、ステージ世界が色鮮やかに描かれている。
この作品において、エスニックな楽器も随所に登場していて、それが作品の世界観を広げ、冒険のフィールドを大きく羽ばたかせている。
(21)主題歌は、麻衣が担当。(8)では主題歌のオーケストラによるインストゥルメンタルを聴くことができる。
メインテーマ、主題歌とならんで、主要な曲となるのが、メロディアスな美しい旋律の(5) (20)。(5)ではピアノをメインにしっとりと、(21)ではエンディングにむかう高揚感とあわせて壮大なオーケストレーション。
ひとつの新しいジブリ作品を楽しめるような、ファンタジー音楽。ジブリ作品を連想させる似た曲というものではなく、それだけ完成された新しいファンタジー世界。
(2)では、ちょっぴり「天空の城ラピュタ」でのトランペットを手に持ったパズーとシータの朝や、「魔女の宅急便」でのキキが生活をはじめた街なみを思い馳せることができるのも、それはまたファンならではの聴き方・楽しみ方かもしれない。
久石譲本人もCDライナーノーツにてこう語っている。
「ファンタジーとしてきちんとした作品になりたい。アイルランドとか格調のある音楽、懐かしくてでも未来につながるそういう音の世界観。」
1. ニノ国メインテーマ
2. 始まりの朝
3. ホットロイト
4. 事件発生
5. アリー~追憶~
6. シズク
7. 強大な魔法
8. フィールド
9. ネコ王国の城下町
10. 砂漠の王国の町
11. 帝国行進曲
12. 危機
13. 緊迫
14. バトル
15. 漆黒の魔導士ジャボー
16. イマージェン・バトル
17. 迷宮
18. 決戦へ
19. 最後の戦い
20. 奇跡~再会~
21. 心のかけら 歌:麻衣
指揮:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フェビアン レザ パネ
リュート:金子 浩
シタール:伊丹 雅博
ホイッスル:高桑 英世
タブラ・バヤ:梯 郁夫
レコーディング・ホール:横浜みなとみらいホール
ミキシング・スタジオ:Azabu-O Studio
オーケストレーション:
久石譲
宮野 幸子
足本 憲治
松波 千映子