Disc. 鈴木理恵子 『WINTER GARDEN』

鈴木理恵子 wintergarden

2006年6月7日 CD発売 WRCT-1009

 

「鈴木理恵子は僕にとって永遠のヴァイオリニストである」 久石譲

世界的音楽家・久石譲プロデュースによるヴァイオリニスト鈴木理恵子の待望のソロアルバム!

久石譲がこのアルバムにあわせて書き下ろした新曲「Winter Garden」、学生時代の卒業作品「MEDIA」、そして名曲「For You」に加え、クラシックの数々の名曲を豪華収録。

 

 

【楽曲解説】

◇ウィンター・ガーデン / 久石譲

2006年作。このアルバムにあわせて書きおろされた楽曲。ミニマリスティックで疾走感のある第1楽章と、それとは対照的に瞑想的な雰囲気を持つ第2楽章の2つの楽章からなる。

1.第1楽章
8分の15拍子の中で多彩にフレーズが変化を見せる。ピアノとヴァイオリンの鋭いパッセージが互いの旋律を模倣しながら交錯してゆき、ねじれる様に絡み合いながらもお互いに歩み寄ることで再現へと向かう。

2.第2楽章
純度の高い硬質な和音の上に、ヴァイオリンが叙情的に歌い始める。次第に不安と緊張を増してゆく旋律を、助長する様に響きが変容してゆく。

 

6.フォー・ユー / 久石譲
1993年に制作された水の精霊と少年の交流を描いたファンタジー映画『水の旅人 -侍KIDS-』より。中山美穂が歌った主題歌「あなたになら…」のメロディをヴァイオリンが歌いあげる。多くの人を魅了しているそのメロディは今回このアルバムに収められているヴァイオリンとピアノによる演奏において、より深く繊細に心に響く。

 

13.メディア / 久石譲
国立音楽大学在学中、卒業演奏会にて初演された楽曲。久石の音楽的志向がミニマルへと移行してゆく以前の貴重なスコアをこのアルバムの為に初録音した。

 

(【楽曲解説】 CDライナーノーツより 久石譲作品のみ抜粋)

 

 

 

鈴木理恵子 wintergarden

1.ウィンター・ガーデン 第1楽章 Winter Garden 1st movement / 久石譲
2.ウィンター・ガーデン 第2楽章 Winter Garden 2nd movement / 久石譲
3.即興曲 第15番 エディット・ピアフを讃えて / F.プーランク
4.即興曲 第7番 / F.プーランク
5.即興曲 第13番 / F.プーランク
6.フォー・ユー For You / 久石譲 (映画「水の旅人」主題歌より)
7.アンダルーサ(嘆き) / E.グラナドス
8.我が母の教え給いし歌 / A.ドヴォルザーク
9.古い仏教の祈り / L.ブーランジェ
10.シチリアーナ / M.T. von パラディス
11.太陽への讃歌 / N.A.リムスキー=コルサコフ
12.深い河 / 黒人霊歌
13.メディアMEDIA / 久石譲

Produced by Joe Hisaishi

Violin:鈴木理恵子
Piano:浦壁信二 (1,2,8,9,11,13) 小柳美奈子 (3-7,10,12)
Flute:荒川洋 (13)
Arrangement:唐木亮輔 (6)

Recorded at Wonder Station (1,2,13 – Mar.2006, 3,8~12 – Mar.2005, 4~7 – Feb.2004)
Mixed & Masterd (2006) at Wonder Station

 

Disc. 近藤浩志 『ARCANTO』

近藤浩志 ARCANTO

2003年12月3日 CD発売 WRCT-1008

 

久石譲プロデュースによる、チェリスト・近藤浩志のデビューアルバム。

 

 

~曲目について~

久石さんから僕のソロアルバムを創ろうよ、とのお話を頂き当初、全曲久石さんの曲でと思っていた僕にとって、選曲はとても困難な作業でした。しかし久石さんの助言のもと、練りに練られたこの選曲は、今、録音を終えてみると、どの曲も最初から決まっていたかの様な愛しい気持ちを持てる物になりました。

久石さんの曲、「風の谷のナウシカ組曲」……。
この曲との出会いは当時学生だった僕と、今のこの時をつなぐかけがえのないものになりました。その20年の軌跡の中で幾度となくこの曲に触れてきましたが、作曲者である久石さんと10年ほど前から一緒に音楽をさせて頂けるようになり、少しずつ本当の歌を教わってきたことが今ここに、僕が出来ること全てを懸けたナウシカ組曲となったことを幸せに思います。共に成長してきたこの組曲は僕の音楽の原点であり続けると思います。光と影。光が強ければ強いほど影は色濃くなり、また、影が深ければ深いほど、僅かな光に優しさや暖かさを感じる。そんなことを感じながらこの曲を弾きました。

静かな湖面に輝く曲線を浮かべてたたずむ「白鳥」。清らかな魂への救いを神に祈るタイスの姿を描いた「タイスの瞑想曲」。2曲とも微細ながらも生命の源を感じる力強さや厳しさがあるような気がします。力強く、厳しく、そして優しく歌うことを教えていただいたのは他でもない久石さんになのです。

歌うと言うことは僕の音楽の原点です。歌のように弾きたい。ずっとそう思ってきました。このアルバムにも原曲が歌の曲が3曲あります。夢にまであらわれる、愛する人への思いを歌った「夢のあとに」。愛してしまったことを悔やみながらも忘れ得ぬ思いをうちあける「花の歌」。そして、張り裂けそうな切ない旋律が終わりなく満ち引きする波のように歌いうねる「ヴォカリーズ」。

もうひとつ、歌曲ではないですが僕の中では歌になった曲。死者への問いかけ。鎮魂。そして思い出。凛とした流れの中に胸が裂ける様な慟哭の溢れている「ノクターン 第20番 嬰ハ短調」。演奏中涙がとまりませんでした。

心の一番深い場所に咲く一輪の花のような曲達です。そしてその場所へはとても一人では行けませんでした。このアルバム制作に関わって下さったスタッフ誰一人欠けてもこの演奏は出来なかったと思います。久石さんの大きな愛情は勿論ですが、是認の優しい気持ちが僕の音楽の道標になりました。

沢山の優しさと思いやりで創られたこのアルバム。
聴いて頂ける全ての方々にその心が伝わればと思っています。

2003年10月 近藤浩志

(CDライナーノーツ より)

 

 

近藤さんとのこと

近藤さんは、僕の文字通りの戦友である。数々の修羅場をふたりでくぐり抜けて来て、今や「あうん」の呼吸で演奏できる数少ない演奏家である。

近藤さんとは、彼が新日本フィルでチェロのトップをやっている頃に知り合った。だからもう10年以上の付き合いになる。その後、久石譲アンサンブルのコンサートにソリストとして参加してもらい、ミニマルミュージック系のやや先鋭な音楽をずっと一緒にやってきた。今年春先の9人のチェリストとピアノのコンサートツアーでは、コンサートマスターとして、僕の音楽を再現するのに最大の力を発揮して頂いた。近藤さん抜きでは、あのコンサートの成功はあり得なかった。そしてその感動の模様をDVDとして世に出す決心までつけさせたのも近藤さんの力だと思っている。

今回ワンダーランドレコード初のオリジナルアルバムアーティストとして近藤さんを迎えられたことは、僕個人としてもワンダーランドレコードとしても最大の喜びである。

ナウシカ組曲は、藤原真理さんによる素晴らしい名演が残されているが、今回、近藤さんの力強い演奏で、新たな「ナウシカ」として蘇った(一部編曲の手直しも行った)。

近藤さんはその大柄の体型から、優しくおおらかな人柄を想像しがちであるが(事実その通りでもあるのだが)、実に神経の細やかな、芸術家としての資質を十二分に持っている人である。そのあたりはこのアルバムにも十分に反映されている。アルバムアーティストは点であってはならない。線として次回作、そのまた次回作と作っていくべきだと僕は思っている。今後とも近藤さんの次回作、そして僕のコンサートと、一緒にやっていけることを心から愉しみにしている。

2003年10月 久石譲

(CDライナーノーツ より)

 

 

 

名曲「風の谷のナウシカ組曲」[改訂版]、2003年4月オペラシティで行われた久石譲コンサートツアーのライブ音源「la pioggia」(久石譲ピアノ)、その他にもフォーレやショパンなどクラシックの名曲を収録。

タイトルの「ARCANTO」(アルカント)とは…Arco(弓)、とCanto(歌う)をかけあわせた造語である。

 

 

近藤浩志 ARCANTO

「風の谷のナウシカ」組曲[改訂版] / 久石譲
1. 風の伝説
2. レクイエム
3. 遠い日々
4. 谷への道
5. はるかな地へ

6. 夢のあとに / フォーレ
7. 白鳥 / サン=サーンス
8. ヴォカリーズ / ラフマニノフ
9. 花の歌~歌劇「カラメン」より~ / ビゼー
10. ノクターン 第20番 嬰ハ短調 / ショパン
11. タイスの瞑想曲 / マスネ
12. La Pioggia / 久石譲 (映画「時雨の記」より)

近藤浩志(チェロ)
吉澤友里絵(ピアノ) except M-12

久石譲(ピアノ) M-12

 

1 ~ 5 are labeled “Nausicaa of the Valley of Wind” Musical Suite (Revised Edition)
12 is a live version of “la pioggia” from “Diary of Early Winter Shower”

Produced by Joe Hisaishi

Violoncello: Hiroshi Kondo
Piano: Yurie Yoshizawa (Except M-12)
Joe Hisaishi (M-12)

Violoncello (M-12): Takashi Kondo, Susumu Miyake, Makoto Osawa
Haruki Matsuba, Yoshihiko Maeda, Masanori Taniguchi
Hiromi Uekusa, Seiko Ishida

Recording & Mixing Engineer: Suminobu Hamada
Assistant Engineer: Toshiyuki Takahashi
Recorded & Mixed at Wonder Station
Mastered at Wonder Station

 

Disc. 西田ひかる 『幸せのかたち』

西田ひかる 幸せのかたち

1998年9月2日 CD発売 PCCA-1225

 

久石譲プロデュース作品

 

 

タイアップ曲(2曲)がアルバムに先がけシングル発売されている。

1998年4月29日 CDS発売 PCDA-01054

西田ひかる pure

1. pure (ハウス食品 PURE-IN CFソング)
2. 私は私 (NHK総合テレビ「あした天気に」主題歌)
3. pure(オリジナル・カラオケ)
4. 私は私(オリジナル・カラオケ)

 

 

西田ひかる 幸せのかたち

1. pure 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲
2. ねぇ,歩きましょ? 作詞:蓮水香 作曲:高野寛 編曲:森俊之
3. 人魚になりたい 作詞・作曲:大江千里 編曲:西脇辰弥
4. 幸せが胸にある (Duet with 高橋克典) 作詞:及川眠子 作曲:松本俊明 編曲:西脇辰弥
5. ひとり 作詞:伊藤裕子 作曲:上田知華 編曲:久石譲
6. 愛されたこと。 作詞:和田琢磨 作曲・編曲:久石譲
7. 生きる! 作詞・作曲:大江千里 編曲:窪田晴男
8. 午後の浜辺で 作詞:及川眠子 作曲:山口美央子 編曲:山川恵津子
9. 二人だけの時間 作詞:西田ひかる 作曲:上田知華 編曲:山川恵津子
10. 私は私 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲

Produced by 久石譲

Piano , Keyborad:久石譲 1. 5. 6. 10.

 

Disc. 本名陽子 『friends』

本名陽子 friedns

1996年7月22日 CD発売 TKCA-70947

 

大ヒット曲「カントリー・ロード」から1年…
”高校3年・17才”本名陽子の等身大の想いを描いたオリジナルファーストアルバム

本名陽子といえば、スタジオジブリ作品 映画「耳をすませば」にて、主人公月島雫を演じていたその人である。同映画の主題歌「カントリー・ロード」も歌唱している。

本作のCDジャケットイラストは、同映画の監督を務めた近藤喜文氏によるものである。

久石譲プロデュース作品。

 

 

コメント

この時代にこんなに純粋で純朴な女の子がいるのか、というのが本名陽子さんと初めて会ったときの印象。アムラーのような女の子と正反対の位置にいる。もちろん女の子の中にも多面性があって、本名さんのような子でも茶パツにして、ああいうカッコをしてみたいという気持ちだってあることはわかる。でもそれだけを彼女たちが望んでいるわけではないだろう。現実は、友だちが大切で、生きているすべての中心が学園生活にあって、家に帰ったら、友だちと学校で会ってたはずなのに、夜、1時間も2時間も長電話する今の高校生。本名陽子なら、その感性をそのまま出したアルバムを作れると思った。

テーマは「フレンズ」。恋愛事だけじゃなくてもっと日常的な言葉で、本名さんから感じられるような自然体の、健やかさのあるアルバム。

そんなコンセプトで今回はプロデュースしてみた。いわば彼女の身の丈で作った、現代を一生懸命生きている女の子の歌。

このアルバムは彼女の到達点ではない。彼女自身、もっともっと成長するだろうし、歌手としての勝負もこれからだろう。でも今だからこそできる、今しか歌えない歌がある。荒削りかもしれないが、そんな勢いを、新鮮さを受けとめて欲しい。そこに本名陽子がいる。

プロデューサー/久石譲

(コメント ~CDライナーノーツより)

 

 

本作品において久石譲はあくまでも全面的プロデュース、収録された楽曲において作曲・編曲・演奏などを手がけているものはない。

 

 

アルバムに先駆け、「カントリー・ロード」(映画「耳をすませば」主題歌)につづくシングル第2弾として、久石譲プロデュースのもと「未来のドア」が発売された。同楽曲は本人がパーソナリティをつとめる文化放送番組「YOKO DE PARADISE」テーマ曲としても使用された。

 

1996年6月5日 CDS発売 TKDA-70871

本名陽子 未来のドア

1. 未来のドア
2. ひだり巻きのアサガオ
3. 未来のドア (Original Karaoke)
4. ひだり巻きのアサガオ  (Original Karaoke)

「未来のドア」
作詞:工藤純子 作曲:福田典之 編曲:旭純 プロデュース:久石譲

「ひだり巻きのアサガオ」
作詞:藤林聖子 作曲:有坂美裕 編曲:旭純 プロデュース:久石譲

 

 

本名陽子 friedns

1. 未来のドア
2. フレンズ
3. 蒼空のために
4. オレンジの糸
5. 待ってて
6. あこがれは
7. 友達のままで
8. カントリー・ロード
9. ひだり巻きのアサガオ

 

Disc. 純名里沙 『Propose』

純名里沙 propose

1995年9月21日 CD発売 MRCA-10034

 

久石譲 作曲 プロデュース 作品

 

 

同アルバムからの先行シングルも発売されている。

 

1995年9月6日 CDS発売 MRDA-00055

プロポーズ 純名里沙 シングル

1. プロポーズ
2. 青い鳥
3. プロポーズ (オリジナル・カラオケ)

 

 

純名里沙 propose

1.プロポーズ
作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲
2.春の人
作詞:工藤順子 作曲・編曲:久石譲
3.素敵ひとつ
作詞:まさごろ 作曲・編曲:久石譲
4.こころ
作詞:芹口希理子 作曲・編曲:久石譲
5.見つめてみたい
作詞:渡辺なつみ 作曲・編曲:久石譲
6.愛の果て
作詞:芹口希理子 作曲:久石譲 編曲:旭純
7.めぐる季節
作詞:吉元由美 作曲:久石譲 編曲:片倉三起也(ALI PROJECT)
8.さよならの未来図
作詞:及川眠子 作曲・編曲:久石譲
9.青い鳥
作詞:工藤順子 作曲・編曲:久石譲

Produced by Joe Hisaishi

All Composed by Joe Hisaishi

All Arranged by Joe Hisaishi (except 6. 7.)

 

Disc. KOUJI 『友よ』

KOUJI 友よ

1995年5月19日 CDS発売 MRDA-00050

 

音楽がボクに生きていく勇気をくれた
14才 KOUJI デビュー

久石譲プロデュース作品

 

 

友よ KOJI sc 1

1.友よ
2.とまどいの中で
3.冬

全楽曲 作詞・作曲:KOUJI 編曲:久石譲

Produced by 久石譲

All songs Arranged & Performed by 久石譲

Guest Musicians:
吉川忠英(A.Guitar) Track-1
角田淳(E.Guitar) Track-2
斎藤有太(A.Piano) Track-3

Recorded at
Wonder Station
ON AIR AZABU
音のメルヘン屋

 

Disc. 今井美樹 『flow into space』

今井美樹 flow into space

1992年12月23日 CD発売 FLCF-30196

 

久石譲プロデュース作品

久石譲が作曲・編曲を担当した楽曲も多数収録されている。

 

 

1992年11月6日 CDS発売 FLDF-10228

(CDジャケット)

 

フジテレビ、松竹提携作品「パテオ」エンディングテーマ

1.Blue Moon Blue
2.かげろう
3.Blue Moon Blue(Instrumental)

 

 

 

 

 

 

今井美樹 flow into space

1. Blue Moon Blue(Re-mix)
作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華 編曲:久石譲
2. amour au chocolat
作詞:今井美樹 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
3. 素敵なうわさ
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:浦田恵司
4. The Days I Spent With You
作詞:岩里祐穂 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
5. かげろう(Re-mix)
作詞:今井美樹 作曲:MAYUMI 編曲:久石譲
6. 永遠が終わるとき
作詞:川村真澄 作曲・編曲:久石譲
7. 雪の週末
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:久石譲
8. flow into space
作詞:今井美樹 作曲:上田知華 編曲:浦田恵司
9. 遠い街から
作詞:今井美樹 作曲・編曲:久石譲

Produced
MIKI IMAI
JOE HISAISHI
NAO MATSUDA (For Life Records, Inc.)

All Songs Arranged
JOE HISAISHI
(Except 3. 8.)

All Acoustic Piano:JOE HISAISHI

 

Disc. 藤原真理 『風のメッセージ』

藤原真理 風のメッセージ

1990年7月21日 CD発売 COCO-6427
2004年3月24日 CD発売 COCO-70705

 

滅びゆく自然への、人間の哀歌

久石譲がプロデュースした「自然との共生」をテーマとする心温まるアルバム
藤原真理のチェロの響きが心地よく胸にしみる

 

 

言葉ふたつ

「風のメッセージ」のトラック・ダウンを終えてすぐ、ライヒャ(レイハ)のフルート・カルテットの録音のためオランダに出かけた。そこで印象に残っているのが、フルートのニコレの言葉。「正直言って録音という作業は決して好きではない。だけれどこれは、お医者に行って診察を受け、レントゲン写真を前にこことあそこが悪いと診断されているようなもので、時々しなくてはいけない。」彼の音楽には、音楽の広範な知識が、現在進行形で息づいており、何よりも現在起こっていることに対する好奇心は六十をこえたいまも旺盛で、青春まっさかりという人である。ニコレほどではないけれど私自身も録音という作業が好きなわけではない。私もまた同意見である。実際、録音してみると演奏する人間の良いところ悪いところが拡大サイズで現れてくる。

今回の〈風〉のシリーズ二枚目では、前回に引き続きシンセサイザーが使われ、クラシックの音楽に混じってリズミックなポップ系の曲が増えた。選曲も同じ〈自然〉というテーマでなされている。「風のとおり道」で始まり同じ曲の別の編曲で終わるこのアルバムを聞いていただければわかるように、演奏のよしあしだけではなく、チェロという楽器の性格があからさまに出たように思う。演奏ということから考えてみると、楽器自体が持つ特質を前面に出さないのが良い演奏というもので、それぞれの楽器の音を超えて音楽の語り口、人の声が持つ語り口、さらに言えばその本人の声で語るのが理想であり、またそうなるまで待たなくてはいけない。しかし実際は、作品を生み出す作業に携わる人間が増えればそれだけ制約も増えて、いつも好きなだけ時間をかけて仕事ができるわけではない。また演奏ということをさらに考えてみても、演奏のある水準はもちろん要求されるが、常にヴィルトオーゾの技術で楽に上手に演奏できることだけが目的でもないだろう。

ひとりの人間が生きている時間の中で、そのある時点の瞬間が記録され、その結果から、ものを生み出す作業のプロセスがうかがわれる、そういった作品、そういう演奏家がいてもよいのではないだろうか。そんな試行錯誤の中で、「風のメッセージ」の録音は無事終了し、さらに私は懲りないので録音を続けているのである。

最後に、もうひとつ耳について離れない言葉がある。1年ぶりに一緒に働いたドイツ人のアシスタント・ディレクターの話で、「デュッセルドルフからパリまで汽車で移動している途中、何度も森が死んでいるのを見てショクだった。枯れた木の残骸でしかない森の話は聞いていたがこれほど事体が悪化しているとは夢にも思わなかった。僕達はひとりひとりが日常のなかで実際にできることをすぐに実行していかなくてはならない。」という。私もまず手近にできることから始めて、それを続けたいと思う。

藤原真理

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目についてのメモ

■風のとおり道
宮崎駿監督のアニメーション「となりのトトロ」のテーマ。人間の生活と自然の可能なかぎりの調和をみいだそうとする宮崎駿のいつもの試みは、ここでは1950年代の日本を舞台とする。(この時代は今から考えれば、文明の狂暴性がそれほど深刻でなかった)。トトロは人間と自然の相互がつくりだすやさしい幻想。ここではピアノ伴奏による版が冒頭に、最後にはシンセサイザーとチェロによる異なったヴァージョンがおかれる。

■春の朝
マーラーの初期に属する歌曲。レアンダーの民謡風な詩による。春の朝、部屋いっぱいにさしこむ光は、生命のよみがえりを暗示する。最晩期にかかれた「大地の歌」の汎神論的世界の包芽がみられないだろうか。この光はかれの壮大な交響曲作品のすべてにもつねにみいだすことができる。

■イカルス
ラルフ・タウナーの作品。反捕鯨運動の集会などでさかんに演奏されている。反捕鯨運動がエコロジーにむすびつくかどうかは、疑問なしとはしないが、天空を飛翔するイカルスの幻想は、人間の精神の自由を象徴する。

■ギリシャの海
「日曜はダメよ」の作曲家ハジダキスは、レジスタンスの闘士でもあった。この曲は、ナナ・ムスクーリの歌でヒット。人間のうつりやすいエモーションと、不変な海がうたわれる。

■小熊物語
1988年に大ヒットしたジャン=ジャック・アノー監督の動物映画。動物映画にありがちな、擬人化された動物というパターンから一歩も出ていないが、みるべきは、カナダの自然の美しさである。なお音楽は、フィリップ・サルドとクレジットされているが、チャイコフスキーのピアノ曲集「四季」のなかの「舟歌」そのものである。

■森の静けさ
ピアノ連弾用の組曲「ボヘミアの森から」の第5曲を作曲者自身が編曲したもの。19世紀まで、ボヘミアは、工業化されていく西欧の人々にとって、神秘な国であった。森と川は幻想をはぐくみ、そこにすむ人々はある特別な能力をもっていると信じられていた。ドヴォルザークの作品には、どこでかれがかいたものであっても、森に入っていく人の後姿の残像がやきついている。

■バイレロ
中部フランス山岳地方の古い歌は、どういうわけか、フランスのワグネリアンたちを魅了しつづけた。ダンディがそうえあり、この「オーヴェルニュの歌」のカントルーブがそうである。メリスマ的な動きをもつメロディーは、しばしば古典的な秩序のワクをこえる。おそらくキリスト教の伝来以前から伝わる歌であろう。この信仰によって文明の発展はなされ、そしていま滅びようとしている。

■フラジャイル
スティングは、最近とみにエコロジー運動にコミットするようになった。この曲は政治運動にまきこまれペンダゴンに殺された一アメリカ人をうたう。「雨は教えてくれるだろう、人がどれほどはかない存在か」という詞からは生命の根源をみすえるものの視線が感じられる。

■モア
1961年グァティエロ・ヤコペッティによる映画「世界残酷物語」は大きな衝撃をあたえた。文明化されていない民族のさまざまな、グロテスクな習慣。残酷という感性もが、相対的なものであることを知らされる。ちょうど文化人類学で「野性の思考」ということばがつかわれだすころである。この歌はウミガメが放射能で方向感覚を失い死んでいくシーンでつかわれる。いまもチェルノブイリではウミガメのように死んでいく人たちが大勢いる。

■イマジン
ジョン・レノンが1971年に発表した曲。物質主義から精神の自由を回復するためには多くのものをすてなければならない。天国すらも。殺しあいも、宗教もなく、あるのは頭上の空だけ。この透徹したニヒリズムは、あらゆる行動の規範になるべきであろう。ここから自然との、社会との、人間との調和はあらたにつくりだされなければならないであろう。

川口義晴 (制作ディレクター)

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

藤原真理 風のメッセージ

1. 風のとおり道 (「となりのトトロ」より) (久石譲)
2. 春の朝 (マーラー)
3. イカルス (ラルフ・タウナー)
4. ギリシャの海 (マノス・ハジダキス)
5. 小熊物語 (映画「小熊物語」より) (原曲:チャイコフスキー「舟歌」~「四季」)
6. 森の静けさ (ドヴォルザーク)
7. バイレロ (「オーヴェルニュの歌」より) (カントルーブ)
8. フラジャイル (スティング)
9. モア (映画「世界残酷物語」より) (リズ・オルトラーニ,ニーノ・オリヴィエロ)
10. イマジン (ジョン・レノン)
11. 風のとおり道 〈Version II〉 (久石譲)

藤原真理(チェロ)
山洞智(ピアノ)
羽田健太郎(ピアノ) 〈特別友情出演〉 1.

久石譲(プロデュース、編曲、シンセサイザー)

録音:1989年12月~1990年5月 日本コロムビア 第1スタジオ/ワンダー・ステーション

 

Disc. 奥田瑛二 『BLACK VIRGIN ブラック・バージン』

1989年10月25日 CD発売 H30C-10008

 

久石譲が大きく参加した作品である。

ミュージック・プロデューサー
2楽曲の作曲
全曲の編曲
シンセサイザー参加

 

 

「イタイのそこが」はプロモーション用非売品EPなどもある。

奥田瑛二 イタイのそこが EP 1

奥田瑛二 イタイのそこが EP 2

(EPジャケット)

 

 

奥田瑛二 ブラックバージン sc

1.イタイのそこが
作詞:Touch 作曲:Touch
2.そりゃないぜ
作詞:平野肇 作曲:景家淳
3.夢にまみれて
作詞:門谷憲二 作曲:高橋研
4.乾いた朝
作詞:奥田瑛二 作曲:久石譲
5.エンド・マーク
作詞:奥田瑛二 作曲:Touch
6.待ち人小夜曲(セレナーデ)
作詞:平野肇 作曲:山沢雅明
7.夢から醒めれば BRAIN DEAD
作詞:奥田瑛二 作曲:久石譲
8.ブラック・バージン
作詞:奥田瑛二 作曲:山沢雅明
9.生命をかけて(Ip Ti Darò Di Più)
作詞:Albert Testa 作曲:Memo Remigi 日本語詞:岩谷時子

全編曲:久石譲

Produced by Eiji Okuda and Jun Takagi
Music producer:Joe Hisaishi

MUSICIANS:
Eiji Okuda:vocals and blues harp
Joe Hisaishi:synthesizers
Hideo Saito:guitars
Kosuke Kaneko:sequencing and synthesizer programming

Songs arranged by Joe Hisaishi except backing voices on “Yume Ni Mamirete” , “Kawaita Asa” , “Yume Kara Samereba Brain Dead” , and “Io Ti Darò Di Più” arranged by Fumikazu Miyashita

 

Disc. 新井満 『尋ね人の時間』

新井満 尋ね人の時間

1988年12月5日 CD発売 30CH-339
2007年4月25日 CD発売 TECG-28005

 

秋川雅史が歌うあの「千の風になって」の日本語詞、作曲家。彼の芥川賞作品と共に発表された同名アルバム。編曲/サウンド・プロデュースを全曲久石譲が担当。二人が織り成す美しいコラボレーションが堪能できる1枚。

1988年小説「尋ね人の時間」で第99回芥川賞受賞。同年受賞作をベースとしたアルバム「尋ね人の時間」を発表。文学と音楽との境界線上に新しいジャンルを切り開く、歌う小説家(シンガー・ソングライター&ノベリスト)となる。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

新井満 尋ね人の時間

1. 尋ね人の時間 -IN SEARCH FOR THE MISSING ONE-
2. レティシアの微笑
3. ずれ -OFF THE WALL-
4. パリソアールの女
5. 月の子供
6. 愛の翼
7. 夕陽海岸にて
8. さらば惑星
9. ラストワルツ

全編曲:久石譲 (収録中作曲は担当していない)