2015年完成予定の新長野市民会館の芸術監督に内定した久石譲氏(62)が6日、長野市で記者会見し、「日常の中に音楽が入ってくるための魅力的なプログラムをつくりたい」と述べた。
久石氏は芸術監督を引き受けた理由について、「出身県でもあり、自分の年齢も考え、少しは世の中に貢献しようと思った」と述べた上で、「いろいろな人が見に来る環境をつくるために、広告塔になっても構わない」と力強く語った。
具体的な目標としては、年1回の音楽祭の開催を掲げ、「善光寺での野外コンサートを含んだコンサート週間を柱にし、長野だけでなく、全国に発信したい」と希望を語った。さらに、年10回程度の自主公演の企画にも意欲を示し、自身も1、2回参加するとした。
同席した鷲沢正一市長は「久石ワールドを思う存分展開してもらい、長野ならではの新しい芸術文化を生み、全国や世界に発信できれば」と期待を込めた。
会見後、駆けつけた市立城東小学校の合唱団約40人が、久石氏が手掛けた長野冬季パラリンピックのテーマソング「旅立ちの時」を合唱。久石氏はうなずきながら笑顔で見守り、目頭を押さえる場面もあった。
久石氏は合唱後、児童と握手し、「音楽は聴くだけじゃなくて自分が参加できたときに喜びを感じる。子どもたちが歌っている笑顔が生き生きしていていい。演奏して楽しめる空間にしたい」と話した。
新市民会館は15年夏に使用開始となる予定で、久石氏は、運営主体となる財団法人が設立される今年10月に正式就任する運び。
(2013年6月7日 読売新聞)