作家性を貫き時代築く 作曲家・久石譲
ミシェル・ルグランさんは、非常にしっかりした技術を持っていた。それにフレンチ風のエスプリが相まって、時代をきっちり作った作曲家といえる。
中でも「シェルブールの雨傘」は欧州のミュージカルの代表作で、米国の「ウエスト・サイド物語」(レナード・バーンスタイン作曲)に並ぶ名作だ。ジャズの要素を取り込みつつ、きちんとしたフォームにのっとったメロディーラインがある。
僕もルグランさんの曲は大好きで、「華麗なる賭け」のメインテーマ「風のささやき」などを自分のコンサートのためにアレンジしたことがある。
ルグランさんはジャズトリオなど、自分のやりたいことをさまざまな形で表現した。アルバムもたくさん作っているし、終生、作家性を貫いた人だった。
だが、映画音楽に作家性が求められた時代は過ぎた。今は俳優が泣いたら悲しい音楽が流れるような効果音楽になってしまった。
映画音楽に再び作家性が重視される時代は必ず来るだろう。ただルグランさんの死は、一つの終焉(しゅうえん)だ。美しいメロディーが要求された良き時代は、二度と戻らない。でも、彼が残した遺産を私たちはいつでも享受できる。そういう意味では、本当にお疲れさまという気がする。(談)
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作曲家でピアニストのミシェル・ルグランさんが死去したと1月26日、仏メディアが報じた。86歳だった。
(産経ニュースより 抜粋)
出典:【追悼】作曲家 ミシェル・ルグランさん 豊富な音の語彙力発揮 音楽プロデューサー・濱田高志
https://www.sankei.com/entertainments/news/190205/ent1902050004-n2.html
映画「シェルブールの雨傘」の音楽を手掛け、フランス映画音楽の巨匠として知られる作曲家、ピアニストのミシェル・ルグランさんが26日、パリで死去した。86歳。同国のメディアが伝えた。死因は明らかにされていない。
1932年、パリで音楽家の家庭に生まれ、パリ音楽院でピアノと作曲を学んだ。10代後半でジャズに引かれ、50年代にはピアニストやアレンジャーとして、米国のトランペット奏者マイルス・デイビスさんらと共演した。
映画音楽への取り組みも50年代に始め、ジャンリュック・ゴダール監督らの作品の音楽を手掛けた後、ジャック・ドゥミ監督とミュージカル映画に挑戦。女優カトリーヌ・ドヌーブさんの出世作となった「シェルブールの雨傘」(64年)は主題歌が世界的に大ヒットし「ロシュフォールの恋人たち」(67年)も高い評価を受けた。(共同)
(Webニュースより)
Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『パリのアメリカ人』
Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『W.D.O. BEST』
Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『W.D.O.』