Info. 2017/05/20 公開映画「たたら侍」主題歌 EXILE ATSUSHI×久石譲 『天音(アマオト)』 決定!

EXILE ATSUSHIが作詞とボーカルを務め、映画音楽界の巨匠・久石譲が作曲を担当した楽曲「天音(アマオト)」が、青柳翔主演の映画「たたら侍」(5月20日公開)の主題歌に決定した。2人がともに制作に取り掛かるのは、2013年10月に発売された「懺悔」以来、約3年3ヵ月ぶり2度目。今作のために書き下ろされた楽曲となっている。

主題歌としての起用が決まった映画「たたら侍」は、EXILE HIROが映画初プロデュースを手掛けた、原作なしのオリジナルストーリー。戦国時代の島根・奥出雲の村を舞台に、伝統を継承し守ることを宿命付けられた青柳演じる主人公が、葛藤や挫折を通して真の「侍」へと成長していく姿を描いた本格時代劇映画。 “Info. 2017/05/20 公開映画「たたら侍」主題歌 EXILE ATSUSHI×久石譲 『天音(アマオト)』 決定!” の続きを読む

Info. 2017/01/21 [CM] DUNLOP「LE MANS V(ル・マン ファイブ)誕生」篇 「選べるダンロップ」篇 O.A.スタート

住友ゴム工業は、今年でイメージキャラクターとして9年目となる福山雅治さんを起用した新テレビコマーシャル「LE MANS V(ル・マン ファイブ)誕生」篇と「選べるダンロップ」篇を1月21日(土)から全国で放映します。 “Info. 2017/01/21 [CM] DUNLOP「LE MANS V(ル・マン ファイブ)誕生」篇 「選べるダンロップ」篇 O.A.スタート” の続きを読む

Disc. 久石譲 『DUNLOP』 *Unreleased

2017年1月21日 TVCM放送

 

ダンロップ(DUNLOP)新CMに久石譲が音楽を書きおろしている。

出演:福山雅治
音楽:久石譲  曲名:DUNLOP

 

テレビCM
・LE MANS V(ル・マン ファイブ)「誕生」篇 15秒
・ダンロップ低燃費タイヤシリーズ「選べるダンロップ」篇 15秒

ラジオCM
・「我が子のための発明」篇 80秒
・「我が子のための発明」篇 60秒
・LE MANS V(ル・マン ファイブ)「誕生」篇 20秒
・選べるダンロップ「ひとりひとりに一番合ったタイヤを」篇 20秒

ダンロップCMギャラリーにてCM動画視聴可能 (※2017年1月現在)

公式サイト:ダンロップタイヤ | ダンロップCMギャラリー

 

 

「音と沈黙」による、今もっとも旬な久石譲ミニマル・ミュージックのかたち。2016年「ミュージック・フューチャー Vol.3」コンサートで世界初演された新作 『2 Pieces for Strange Ensemble』の流れを彷彿とさせる、斬新な楽曲である。

室内アンサンブルの編成ではあるけれど、その響きはクラシックというよりもロックのようなワイルドさ。これもまた上述新作にて追求したサウンドが活かされているように思う。「音と沈黙、躍動と静止、継続と断絶」によっても曲のリズムやグルーヴ感は失われておらず、時間軸としての凹凸感がみえておもしろい。

あえて言うならば、台詞やナレーションも必然的に「音と沈黙」があるわけで、互いの「音と沈黙」で意識が散漫になる危険性はあるのかもしれない。一般的に音楽が通音で鳴っている上に台詞や言葉がのっかる、というものとの違いのことである。そんな事象も折り込み済みで、狙っているのなら、意見するところではない。

一般的にCM音楽に不可欠とも思われるキャッチーなメロディはそこにはない。がしかし、聴こえた瞬間に耳に意識を集中させてしまうほどの、手を止めてしまうほどの強烈なインパクトのある楽曲。一瞬にして日常生活にはない違和感のあるサウンドで、強く印象に刻まれることはもちろん、ヴィンテージ感や高級感といった品格の佇まいすら感じる。

近年、CM音楽においても、メロディー系ではなく本格的なミニマル・ミュージックを投じることがふえた傾向にある。そのなかでも、久石譲が今もなお進化していることを証明する、アヴァンギャルドな楽曲である。

最長80秒を視聴することのできる楽曲。その先の展開や着地も気になる、ぜひフルサイズで聴いてみたい作品である。

 

 

2019.11.1 Update

「Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra」(「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.6」コンサート)の第3曲に組み込まれる。

 

 

Overtone.第2回 映画『君の名は。』 音楽としての情報量

Posted on 2017/01/12

ふらいすとーんです。

最初からえらいもんをぶっこんできたな、なんて思ったりもしますが、まあまあ落ち着いていきましょう。2016年No.1映画『君の名は。』(監督:新海誠 音楽:RADWIMPS)、スタジオジブリ映画独占だった興行ランキング、その牙城を崩した作品です。公開から約半年、ここまで社会現象になれば観ている人も多いでしょうが、観ていない人もいると思います。ストーリーの内容には一切触れることなく、ネタバレすることもなく、安全に?!音楽の話だけをしてみたいと思います。

宮崎駿×久石譲、新海誠×RADWIMPS、監督からも音楽からもスタジオジブリ作品と比較されることの多いこの作品。興味深いとも思い、比較するものじゃないとも思い、影響がないわけないとも思い。スタジオジブリ作品が培ってきたものがあって、そのアニメーション映画の延長線上に、映画『君の名は。』は誕生することができた、と僕は思っています。ゼロから生み出された映画というよりも、先人の巨匠たちの職人たちの歴史があって、その地ならし(観客もふくめて)のうえに、新しい作り手たちが受け継いだもの。それが今、巨大な共感と一体感を巻き起こしたのだろうと。

だから同じ天秤にのせても、意味がないし、のせてみたいのもわかるし、うーん、でも時間的重みを加味したら、アドバンテージがちがうしなあ、なんて思ったりしながら、比べることは放棄します。良い悪いではなく、どちらも”それぞれの作品”として尊重されるものですからね。仮に比べることで新しい側面が発見できるのなら、それはすごく支持します。そう、その流れで進めます。

 

 

映画『君の名は。』を観て、音楽面で気になったのは《音楽としての情報量》です。「夢灯籠」「前前前世」「スパークル」「なんでもないや」というRADWIMPSの4つの主題歌がクローズアップされ、強烈なインパクトを放っている音楽。その他の本編BGM、インストゥルメンタル楽曲って、あまり印象に残りにくい。サントラ盤も第一印象は、なんか薄い、音数も少ない、メロディーの幅や広がりもない、展開も抑え気味、全体的にいたってシンプル…言いたい放題ですが、要はすごく違和感があったんですね。4つのヴォーカル曲との作り込みというか密度の差が非常に激しい。これはなんだろう?

 

 

この映画は、映像そしてストーリーにおいて、最も比重が大きい、とてつもない情報量が詰め込まれています。おそらく観客は映像美に見惚れながらも、その内容を理解しながら追っかけることで2時間ノンストップ集中します。作品構成、スピード感、展開のはやさ、伏線の収拾において、息つくひまを与えないすごい映画だなあと思います。

だらかです。だからゆえに、音楽は情報量を抑えたんじゃないか。例えばピアノ曲は、ピアノを習っている子供ならすぐに弾けてしまうほどのシンプルなメロディのくり返し。サントラ全体の楽器編成も、ヴォーカル曲を除いて、とても小編成なアコースティック楽器とエッセンスとしてのシンセプログラミング。起伏や緩急をもって展開することのない、シーン(場面)のための背景音楽。膨れあがる情報量(映像・ストーリー)から、一歩引いたところにある音楽。あえて情報量を減らし、密度を薄くすることで、そのバランスを保った音楽とも言えるんじゃないかなあと、僕は思います。

たとえば、久石さんとRADWIMPS、どちらが映像のための音楽か、映像を補完する音楽かと言われれば、RADWIMPSのほうでしょう。一方で、どちらが映像にシンクロした音楽かと聞かれれば、それは間違いなく久石さんでしょう。「ラピュタ」にしても「トトロ」にしても、どの宮崎駿作品にも、必ずどこかに、映像と完全にシンクロして、マッチングしている楽曲があります。

このあたりがおもしろいところで、久石さんは『登場人物や映像につけているわけではなく、世界観に音楽をつけている』というスタンスです。僕が言いたいのは、すごく深いことなんです。久石さんは世界観につけた音楽という核があって、一見映像とシンクロして聴かれるそれらの楽曲たちは、核の完成度が高いからこその手法のひとつ、引き出しのひとつ、遊び心のひとつ。だから表面的にシンクロした音楽がすごいのではなく、奥深い音楽としての核が、やっぱりすごいんです。伝わりますか? すいません、文章力がない。

 

 

映画『君の名は。』 音楽における最大の功績は、RADWIMPSというロックバンドが映画のための音や言葉を紡ぎだし、純粋無垢な疾走感を演出し、声と声質によって、主人公の内なる声を浮かび上がらせることでコラボレーションしたことだと思います。《音楽としての情報量》その役割を、「言葉と声」に集約させたことが一番の核だと思います。

少し具体的に分けて見ていきましょう。

 

【ヴォーカル曲】

4つの主題歌は、いずれも”ここしかない”という絶好の場面で流れます。相乗効果はもちろん、それはもう映画の一部です。自分たちの音楽性をこの映画のために捧げた、映像のために作曲され楽想も構成された音楽。これまでの主題歌・挿入歌という枠とセオリーをぶち壊した監督とアーティストの化学反応で、それはひとつの偉業だと思います。

ヴォーカルの声と声質が主人公とダブらせ、紡ぎ出される言葉やシャウトが、主人公の内なる声を浮かびあがらせる。『せーの』『ハイタッチ』『革命前夜』『旗を立てる』『美しくもがく』『権利』『叶えたい夢』『追い越したんだよ』…。若い世代の日常生活に駆け巡るキーワード、若い時代だからこそ光輝く言葉たち、痛いくらい眩しいくらい、汚れを知らないときの純粋無垢な言葉たち。そして、まっすぐに届けられる突き抜けた声。

オリジナルアルバム『人間開花』に収録された「スパークル (original ver.)」や「前前前世 (original ver.)」と聴き比べてみました。両曲movie ver.は、エレキギターもベースも、ボリュームをおさえ、音質もクリアに近いものを選び音の歪みをおさえています。かき鳴らしたいところをカッティングに徹したエレキギター、動きまわりたいところを単音連打で駆けおさえるベース。映画のためという制約のあるなかで、いかにロック性を失わないか、緻密に作り込まれ、音が選ばれているように思います。

映画の邪魔をしてはいけないから当然、という見方もできますね。でもそのなかで主人公、疾走感、高揚感、刹那感を表現するということは、そう簡単なことではないと思います。映画のため、それはアーティスト性として大きな賭けでもありリスクもともないます。ファンを増やすこともあれば、ファンを裏切ることにもなりかねません。本来のテクニックを発揮できないことは、見限られるという紙一重でもあります。

「前前前世」は(movie ver.)とも(original Ver)とも違うヴァージョンが本編では使われています。(original ver.)の歌詞が本編には追加されていますが、楽曲アレンジは(movie ver.)の延長線にあります。「スパークル」は(movie ver.)では映画に広がりをもたせる弦楽が使われていますが、(original ver.)は本来のギターサウンドを前面に打ち出しています。このように、サントラ盤だけでRADWIMPSの音楽性を測ってしまわずに、オリジナル作品と聴き比べることで、RADWIMPSの「映画に100%寄り添った音楽」とその解放がそれぞれの場所に着地しています。

RADWIMPSの楽曲が、ストーリー展開に影響を与えたこと、歌詞の言葉から台詞が変わったシーンがあること、音楽待ちだった映像制作現場、などなど。映像の長さを音楽に合わせるほどに、”ここしかない”場面でRADWIMPSのサウンドと言葉をぶつける手法。登場人物たち、いや主人公と同じくらいの扱いをもって迎えられていることがわかるエピソードですね。

 

【インスト曲】

たとえば、明快でわかりやすいのは、4つの主題歌をメインテーマとしてインストゥルメンタルでBGMを散りばめることです。そうすることで、音楽全体として統一感のある世界をえがくことができます。でも、主題歌の旋律を聴くことができるのは、「夢灯籠」のメロディをピアノや弦楽が奏でる「かたわれ時」だけです。そうまでして主題歌とBGMを切り離したかった、主題歌をピークに浮き上がらせたかったということなんだと思います。

もうひとつは、映像・ストーリーとの密度のバランスです。それを具現化するように、シンプルな楽曲構成になっています。鳴っている音の数も少ない、メロディの幅や広がりが小さい、急な大きな展開をのぞまない緩やかな繰り返し。音の動きや音の増減は、瞬間的に意識がそっちにいってしまいます。あえてそうさせたくなかったのが、これらインスト曲の役割であり、主題歌におけるギターやベースの立ち位置だったように見えてきます。

ちょっと映像に寄り添いすぎた音楽かなともとれます。明るいシーンに明るい曲、泣かせるシーンに泣かせたい曲、という単純な意味ではないです。久石さんが嫌いな言葉なので普段使わないですが、”劇伴”という表現がしっくりきます。あくまでも映像を引き立てるため、もちろんそこにも大きな意味はあります。見事にその役割をまっとうしたのがRADWIMPSの本編BGMです。

「デート」「三葉のテーマ」「デート2」は同じモチーフをもった楽曲です。とてもシンプルなピアノ曲です。でしゃばらないけれど、そっと近寄ってすっと印象に残るような佳曲です。「三葉のテーマ」を軸にみたときに、「デート」「デート2」は映像の奥にあるもの、心のなかでは気持ちのうえでは誰とデートしているのか? そういったところもしっかりと描かれて音として紡がれています。

この3楽曲の旋律のなかに「♪ドソドソド~、ドソドソド、ドソドソド~」と繰り返しているメロディ箇所、このコードの展開が似ているシーンがあります。主題歌「スパークル」で、長い間奏のあと静かになって再び歌声が戻ってくる「♪愛し方さえも~、君の匂いがした~」。頭の中でピアノのメロディを重ねてみたら、なんとなくダブってくるから不思議です。これは意図していることかわからないので、僕の勝手な解釈です。なんだか物語と一緒に音楽においても伏線、からまって、結びを感じてしまいます。もしよかったら、がんばってイメージして重ね響かせてみてください。

 

 

 

新海誠監督はインタビューで、「宮崎さんと同じ方向に行っても絶対追い越せないので、宮崎さんとは違うものを出していきたい。例えば、宮崎さんには久石譲さんという完璧なコンポーザーがいて、完璧な映像と音楽のマッチングがあります。であるなら、全然違う方向の音楽じゃないと手触りが違う魅力のある作品にならない。じゃあ、ロックバンドの疾走感のある音楽をベースに、音楽を聴きながら作品を作ろうと思いました。これからも違うものを差し出していきたいという気持ちです」と語っています。

まさにこの言葉に凝縮されていますね。そして、その挑戦が見事に成功したエポック的作品になっていくと思います。道なき道をつくった、新しく切り拓いた、これからの映画界の布石になっていくんだろうと。

ロックについてはどうでしょうか。おそらく予想を越えて老若男女が映画館に足を運んだこの作品。ある世代には響いた音楽も、耳になじまない世代や観客もいたでしょう。さらには海外での大ヒット、監督の狙った「ロック」「言葉と声」という画期的な音楽演出は、今後は果たして?

ふと、思い出したのが、久石さんが最近のインタビューで語っていた言葉です。ジブリ映画・ジブリ音楽が海外でも大きく支持されていることについて。「一番良かったと思うのは、中途半端なインターナショナルとか中途半端なグローバリゼーションとか一切無関係で、超ドメスティックに作り続けてきた。それで、超ドメスティックであることが、実は超インターナショナルだった。結果、そうだったような気がします。」(NHK WORLD TVより)

いろいろなものが交錯して見えておもしろいなあと思います。新海誠監督は今作で得た手応えと、大ヒットすることで見えてきたものがあるとするなら。『君の名は。』と同じ音楽手法をさらに突き進めてみるのか、もしくはまた違ったアプローチに挑んでくるのか。もうすでに次回作の構想は、静かに始まっているのかもしれませんね。

 

宮崎駿×久石譲では生み出すことのできなかったものが、新海誠×RADWIPMSによって確信犯的に生み出された。違う手法を選ぶことで、新しい可能性を示した。セオリーを取っぱらい、突っ込んで、振り切った映像×音楽のコラボレーション。映画『君の名は。』は、過去から遡っても、未来から振り返っても、”ここしかない”タイミングに誕生した作品、そんな気がします。

RADWIMPSにしかできない音楽があって、久石さんにしかできない音楽がある。出発点も方向性も違う作品が、どちらもその時代と共鳴し、大きな共感と渦をもって社会現象を巻き起こす。宮崎駿×久石譲、新海誠×RADWIMPS、その両方を楽しめる観客としては、これはとても幸せなことですよね。

「久石さんが音楽だったらよかった」「新海誠×久石譲をみてみたい」なんてのを目にすると、うんうん、と一瞬思ってしまったことは白状します。でも、こうやって整理して書いてみて、やっぱりこれはRADWIMPSでよかったんだ、映画『君の名は。』は新海誠×RADWIMPSがよかったんだと、心からそう思います。かけがえのない作品をありがとうございます。あーっ、また映画館に行きたくなってきた。何回目かは聞かないでくださいね。

それではまた。

 

reverb.
「君の名は。」のサントラ、僕のプレイリスト年間再生回数 上位でした (  ̄3 ̄)~♪

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメンする” からどうぞ♪

 

Blog. 「NCAC Magazine Opus.4」(長野市芸術館) 久石譲 インタビュー内容

Posted on 2017/1/11

長野市芸術館 広報誌 「NCAC Magazine Opus.4」(2016年12月15日発行)にて、久石譲インタビューが掲載されています。巻頭2ページにわたって、「ナガノ・チェンバー・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニー・ツィクルス」について語られています。

定期演奏会のプログラムについて、ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)が追求するベートーヴェンとは、第1-2回公演を振り返って。そして2月に迫った第3回公演に向けて。読み応えあるだけでなく、メディアを通して語ることが少ないぶんだけ、久石譲のダイレクトなメッセージを受けとれる貴重なインタビューです。

 

 

作曲当時の編成で ロックのようなベートーヴェンを!
~ナガノ・チェンバー・オーケストラの比類ない魅力

文:柴田克彦(音楽ライター)

クラシックの最高峰を軸にしたかつてないプログラミング

長野市芸術館オープニング・シリーズの柱ともいうべき「ナガノ・チェンバー・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニー・ツィクルス」の第3回の公演が、2月に開催される。クラシック音楽の金字塔であるベートーヴェンの9曲の交響曲を、2年半・全7回で演奏するのがこのシリーズ。まずは、今なぜベートーヴェンなのか?を、ツィクルスの指揮者である当ホールの芸術監督・久石譲の口から語ってもらおう。

「ベートーヴェンはやはりクラシック音楽の最高峰。何をどう頑張っても最後はここに行き着くんです。別の音楽を何回か経験した後に挑む方法もありますが、最初にベートーヴェンの交響曲全曲演奏を経験し、あるときにまた挑戦すればいい — 僕はそう考えました。演奏者もベートーヴェンをやるとなれば気持ちが違いますし、新たにスタートしたナガノ・チェンバー・オーケストラでも、メンバーの結束の強さが変わってきます。これはとても重要なことだと思っています」。

大きな特徴は、毎回「現代作品」がカップリングされている点。そこには、”作曲家”久石譲の明確な意志が示されている。

「現代に作られた曲と古典的な音楽を組み合わせるのが、僕の基本的な考え方。これは長野でも変わりません。クラシック音楽は、ほっておくと古いものばかり演奏されてしまいます。しかしそれでは古典芸能になってしまう。そうしないための唯一の方法は、今日作られている作品を演奏して、未来に繋げていくことです。また自分が一生懸命取り組んでいる音楽を、皆に聴いて頂きたいとの思いもあります。多くの現代音楽は、一部のファンだけを集めた特殊なコンサートで演奏されていて、普通のクラシック好きには届いていませ ん。今我々が生活している世界の動きの中で作られている作品を、理屈抜きに感じる意味においても、通常のコンサートで必ず現代曲を演奏すべきだと考えています」。

清新なアプローチと 類のない豪華メンバー

2016年7月に行われた第1回(第2回も翌日に開催)の公演を聴いて、生気に充ちた演奏に感銘を受けた。プログラムは、前半がヴィヴァルディ(久石譲編曲)の「ラ・フォリア」 とグレツキの「あるポルカのための小レクイエム」、後半がベートーヴェンの交響曲第1番という、見たことのない組み合わせ。これ自体がすこぶる新鮮だ。「ラ・フォリア」のソリストを長野市出身のメンバー3名が務めるのも、第1回の開幕に相応しい配慮。前半は普段聴く機会のない、しかしそれでいて明快な音楽が、シリアスかつ優しく耳に届けられる。後半は、小綺麗に整った模範的な演奏ではなく、各奏者の表現意欲が束になって前進するような、ビート感やライヴ感のあるベートーヴェン。オーボエをはじめとする各楽器のソロも表情豊かで、メインに置かれることの少ない第1番が、エネルギーと躍動感に溢れた力作であることを再認識させられた。

このベートーヴェン演奏には、久石の音楽観が強く反映されている。

「我々の演奏は、日本の人たちが通常やっているベートーヴェンではないんですよ。アプローチは完全にロックです。さらに言うとベートーヴェンが初演したときの形態でもあります。現代のオーケストラは、ワーグナー以来の巨大化したスタイルであり、ドイツ音楽は重く深いものだと思われています。しかしベートーヴェンが初演した頃は、ナガノ・チェンバー・オーケストラくらいの編成なんです。巨大なオーケストラが戦艦やダンプカーだとすれば、ナガノ・チェンバー・オーケストラは、モーターボートやスポーツカー。小回りが効くし、ソリッドなわけです。我々は、ベートーヴェンが本来意図した編成を用いながら、現代の解釈で演奏します。なぜなら昔と違ってロックやポップスを聴いている今の奏者は、皆リズムがいいからです。そのリズムを前面に押し出した強い音楽をやれば、物凄くエキサイティングなベートーヴェンになる。我々のアプローチはそういうことです」。

奏者たちもそれに応えている。

「何十回もやって慣れてきたスタイルと全く違うので、メンバーも興奮していますよ。別に特別な細工をしたわけではありません。先に申し上げたように、編成はオリジナルに近づけて、リズムなどは現代的な解釈を採用しただけです。皆が色々な音楽を聴いている今は、その感覚で捉えなかったら、ベートーヴェンをやる意味はないと思うのです。ですから本当に、だまされたと思って一度聴きに来てください」。

ナガノ・チェンバー・オーケストラは、何しろメンバーが素晴らしい。第1、2回に続いて参加する主な顔ぶれをみても、コンサートマスターの近藤薫(東京フィル・コンサートマスター)をはじめ、ヴァイオリンの遠藤香奈子(都響首席)、水鳥路(東京フィル首席)、ヴィオラの中村洋乃理(N響次席)、加藤大輔(東京フィル副首席)、チェロの渡邉辰紀(東京フィル首席)、向井航(関西フィル特別契約首席)、コントラバスの弊隆太郎(シュトゥットガルト放送響)、オーボエの荒絵理子(東響首席)、ファゴットの福士マリ子(東響首席)、ホルンの福川伸陽(N響首席)、日比野美穂(ドレスデン国立歌劇場管)、トランペットの長谷川智之(N響)、ティンパニの岡田全弘(読響首席)等々、各楽器屈指の名手が目白押し。これに今回初登場となるフルートの荒川洋(新日本フィル首席)、ファゴットのチェ・ヨンジン(東京フィル首席)、ホルンの豊田美加(神奈川フィル首席)などを含めて、著名オーケストラの首席クラスの奏者がズラリと顔を揃え、海外一流楽団からも参加し、フリーの名手や長野県出身者も複数いる。しかも若い世代の実力者が中心を成しており、気力と意欲に充ちた奏者たちが、久石の清新なアプローチのもとで生き生きとした音楽を聴かせてくれる。実はこのオーケストラ、東京でも聴くことができない唯一無二の豪華精鋭アンサンブルなのだ。

本格化の幕開けを告げる傑作が登場

第3回のプログラムの「現代曲」にあたる部分は、久石譲の新作の世界初演。これもまた豪華メンバーゆえに実現した。

「本当は別の曲を予定していたんです。でもオーケストラが物凄く優秀で、次世代を担う人たちが結集している。夏の第1、2回のコンサートも、メンバーたちが喜んでくれて、僕も嬉しかった。なので作曲家たる自分がこのオーケストラのために作品を書かないのは間違いだろうと思い、今回新作を作ることにしました」。

まだ内容は未定だが、「おそらく弦楽を主体にした作品になるだろう」との由。ナガノ・チェンバー・オーケストラのサウンドと技量を想定した初の作品だけに、大きな注目が集まる。

ベートーヴェンの交響曲は、第4番と第3番「英雄」。第4番は、「二人の巨人(第3番『英雄』と第5番『運命』)に挟まれた美しいギリシャの乙女」というシューマンの形容で知られる佳品にして、第1楽章の加速しながら主部へ移る手法や第2楽章の幻想的なロマンなど、古典的造作の中に新たな方向性を見出した意欲作である。それに楽曲の性格上、ナガノ・チェンバー・オーケストラの編成や持ち味が生きるのは間違いない。ここは若干隠れた名作の真髄を体感する好機となるであろう。

第3番「英雄(エロイカ)」は、かつてない巨大な構成で、交響曲の歴史を変えた作品。第2楽章の「葬送行進曲」は広くおなじみだし、第1楽章の大胆な開始と無限の推進力、第3楽章のホルン3本の効果(強力メンバーを揃えた今回の演奏は期待大!)、第4楽章の変奏曲の採用など、画期的要素が満載されている。しかもこの曲は、2014年10月の長野市芸術館開館記念プレイベントで、久石が新日本フィルを指揮して披露した演目でもある。彼は「『エロイカ』は、“ 崇高さと下世話”が同居しているので、大変なんですよ。本当に立体的に届けようと思ったら、正月も休めないくらいです」と話すが、今回はそれを踏まえた久石のアプローチとナガノ・チェンバー・オーケストラの清新な熱演に期待がかかる。

久石は、こう語る。

「ナガノ・チェンバー・オーケストラを、”おらが街のオケ”と思ってもらえるよう、何とか努力したい。僕の理想は、駅前の飲み屋にチラシが置いてあって、『昨日行ってきたけど、これがいいんだよ』といった話が日常会話になること。自分の街がオーケストラを持っているのは自慢できることだし、『長野には善光寺プラスこういうのがある』といわれるためにも、『敷居は高くない。聴いたら絶対楽しい』ことをどんどん発信していきたいと思っています。それに ホールでの生の舞台には、格別な感動があります。とにかくこのオーケストラを、できる限り多くの人に聴いてもらいたいですね」。

ベートーヴェン中期“傑作の森”の幕開けを告げる名作を2曲聴ける今回は、ビギナーも音楽通も“おらが街のオーケストラ”に足を運 ぶ格好の機会だ。

(長野市芸術館広報誌「NCAC Magazine Opus.4」より)

 

 

◆長野市芸術館 広報誌 Vol.4(NCAC Magazine)12月15日発行
※広報誌は長野市芸術館の公式サイト内からどなたでもご覧いただけます。

長野市芸術館公式サイト>>>
https://www.nagano-arts.or.jp/ダウンロード/
こちらのページの「NCAC Magazine」の「ダウンロード」をクリック。
PDFファイルとして閲覧およびダウンロードできます。

 

 

Info. 2017/01/09 長野市芸術館広報誌「NCAC Magazine Opus.4」発行

長野市芸術館 広報誌 「NCAC Magazine Opus.4」(2016年12月15日発行)にて、久石譲インタビューが掲載されています。巻頭2ページにわたって、「ナガノ・チェンバー・オーケストラ ベートーヴェン・シンフォニー・ツィクルス」について語られています。

定期演奏会のプログラムについて、ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)が追求するベートーヴェンとは、第1-2回公演を振り返って。そして2月に迫った第3回公演に向けて。読み応えあるだけでなく、メディアを通して語ることが少ないだけに、久石譲のダイレクトなメッセージを受けとれる貴重なインタビューです。ぜひご覧ください。 “Info. 2017/01/09 長野市芸術館広報誌「NCAC Magazine Opus.4」発行” の続きを読む

Info. 2017/03/下旬 富山市内駅と高岡駅「ふるさとの空」(久石譲)到着メロディーに

あいの風とやま鉄道、全19駅の到着メロディー決まる

あいの風とやま鉄道が3月末をめどに全19駅に導入する到着メロディーが決まった。富山市内の駅と高岡駅には、2012年に「富山県ふるさとの歌」として制定され、久石譲氏が作曲した「ふるさとの空」を使う。県民のマイレール意識を醸成するのが目的で、同社は「駅に到着した際の楽しみにしてほしい」としている。 “Info. 2017/03/下旬 富山市内駅と高岡駅「ふるさとの空」(久石譲)到着メロディーに” の続きを読む

Blog. 「久石譲 ジルベスターコンサート 2016 in festival hall」 コンサート・レポート

Posted on 2017/01/07

毎年恒例の久石譲ジルベスターコンサート。2014年から3年連続、2016年も大晦日に開催されました。1年間の総決算であり、久石譲自身もこのジルベスターコンサートには特別な思い入れがあると思います。その年の書き下ろし作品やコンサート演目からの集大成、往年の名曲も盛りこまれ、さらには来年以降の方向性ものぞかせるような、とびきりスペシャルなコンサート、それが「久石譲ジルベスターコンサート」です。

 

まずは演奏プログラム・アンコールのセットリストから。

 

久石譲 ジルベスターコンサート 2016 in festival hall

[公演期間]
2016/12/31

[公演回数]
1公演
大阪・フェスティバルホール

[編成]
指揮・ピアノ:久石譲
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
ソプラノ:安井陽子

[曲目]
TRI-AD for Large Orchestra

Deep Ocean *世界初演
1.the deep ocean
2.mystic zone
3.radiation
4.evolution
5.accession
6.the deep ocean again
7.innumerable stars in the ocean

—-intermission—-

~Hope~
View of Silence
Two of Us
Asian Dream Song

Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE

—-encore—-
Dream More
My Neighbor TOTORO

 

 

例年にも増してスペシャルなプログラムですね。なかなかこれだけの過去(名曲)、現在(2016年発表)、未来(世界初演)が一堂に会することは、近年の久石譲コンサートでも稀です。1年間の締めくくりにふさわしい、出し惜しみなしの、サービス満点スペシャル・コンサート。

さて、個人的な感想やレビューはあとまわし、当日会場で配られたコンサート・パンフレットから、本公演を紐解いていきます。

 

 

一口コメント ~大阪ジルベスターコンサートに寄せる~

2016年の大晦日になりました。その大晦日に行われるコンサートをジルベスターコンサートといいます。これはドイツ語で大晦日(SILVESTER = 聖ジルベスターの日)から由来したとウィキペディアに載っています。どうりで英語の辞書を引いても出てこないわけです。

暮れは大阪で!もう僕の体内時計にはセットされています。
さあ1年を締めくくるコンサート、張り切っていきましょう、開演です。
が、そのまえに簡単な解説を。

一口コメント
前半はミニマル・ミュージック(僕のライフワークです)をベースにした祝典序曲と映像作品で、後半は最近あまり演奏していなかった曲を含めてメロディー中心の楽曲を選びました。

また弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)に初挑戦します。そのためこのコーナーはすべて新しくオーケストレーションし直しました。

あれ、今までもピアノと指揮を同時に行っていたではないか?という声が聞こえますが、いや違うのですよ!今までは指揮をしている合間にピアノを弾いていたのです(笑)。その違いをぜひご覧ください。

二口コメント
その弾き振りの「HOPE」というコーナータイトルは長野パラリンピックのときに作った応援アルバムのタイトルからとりました。折しもフィギュアスケートの羽生結弦さんが今年の演目で採用している楽曲が2曲含まれます、お楽しみに。

三口コメント
「Deep Ocean」は今夏NHKでオンエアーされたドキュメンタリー番組のために書いた曲を今回のジルベスターのためにコンサート楽曲として加筆、再構成しました(リハーサルの10日前に完成、相変わらず遅い)。ですから世界初演です。7つの小品からできており、ミニマル特有の長尺でもないので聴きやすいと思いますし、ピアノ2台を使った新しい響きは僕自身ホールで聴いてみたかったのです。でも真冬になぜ深海?寒そうなどといってはいけない、あと半年で夏がきます。

かんたんなコメントのはずが長くなってきました。以下はCDまたは初演のときの解説などの抜粋を載せますが、そのまえに一口ではなく一言、関西フィルハーモニーの皆さん、ソプラノの安井陽子さん(今夏W.D.O.ツアーでも共演)と演奏するのがとても楽しみです。会場の皆さまにも楽しんでいただけたら幸いです。

久石譲

 

Program Note

「TRI-AD」 for Large Orchestra
タイトルの「TRI-AD(トライ・アド)」のとおり「三和音」をコンセプトに書かれた、シンプルで立体感あるミニマル作品。祝典序曲のような明るく華やかな曲調と、冒頭のファンファーレが、これからはじまる「何か」をそこはかとなく期待させてくれる。2016年5月8日、久石が芸術監督を務める長野市芸術館のグランドオープニング・コンサートにおいて世界初演された。

Deep Ocean *世界初演
2016年夏に放送されたNHKスペシャル『ディープ・オーシャン』のために書きおろした曲。2013年の「ダイオウイカ」に次ぐ新・深海シリーズ。

 

~HOPE~

View of Silence
1989年のアルバム「PRETENDER」に収録され、その美しいメロディーから、根強い人気を誇る名曲として知られている。
*ベスト盤「THE BEST COLLECTION」収録

Two of Us
1991年の大林宣彦監督作品『ふたり』より。思わず口ずさみたくなるような甘く切なく、どこか懐かしいメロディーは、聴く人の心に強い印象を与えてくれる。
*アルバム「My Lost City」(ピアノ&ストリングス版)、「WORKS・I」(オーケストラ版)収録

Asian Dream Song
1998年、長野パラリンピック冬季競技大会のテーマソングとして作曲された。「世界の中の日本」をイメージしてつくられ、アジアの風土を想起させる荘厳なメロディーと、日本の情緒的な音階の中に力強さが感じられる曲。
*「PIANO STORIES II」(ピアノ&ストリングス版)、「WORKS II」(オーケストラ版)収録

 

Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE
1997年公開、宮崎駿監督作『もののけ姫』より。アシタカが登場するシーンのメインテーマ「アシタカせっ記」からはじまり、タタリ神と死闘を繰り広げる「TA・TA・RI・GAMI」に加え、「旅立ち」「コダマ達」「シシ神の森」「もののけ姫」「レクイエム」、そしてラストは久石のピアノ・ソロが登場する「アシタカとサン」と、いずれも物語の印象的なシーンを彩るモティーフにより壮大な物語が紡がれる。

今回演奏される交響組曲は、宮崎監督作品の音楽を作品化するプロジェクトの第2弾として、「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2016(W.D.O.2016)」で初演された作品。主題歌でおなじみの「もののけ姫」と、「アシタカとサン」はソプラノ・安井陽子によって歌われる。

(一口コメント/楽曲解説 ~「久石譲ジルベスターコンサート2016」 コンサート・パンフレットより)

 

 

コンサート・パフレットを開演前の客席で読みふけりながら、オケの皆さんの直前音出しを耳にしながら(これはなんの曲のどこだろう?  ひとりクイズする感覚)、期待いっぱいに胸は高鳴っていきます。ここからは、感想・レビューを記していきます。

 

と、その前に、関西フィルハーモニーについて。「エンター・ザ・ミュージック」(毎週月曜日夜11時BSジャパン)に出演しています。クラシックから映画音楽、多彩なゲストや楽器とのコラボレーションと、趣向をこらした音楽番組です。つい先日は「ニューイヤースペシャル」特集、新年にふさわしい優雅なプログラムでした。「鍛冶屋のポルカ」では、鍛冶職人の鉄を打楽器として使い、見ていても楽しいユーモアな演出で、ぐっと音楽が身近になります。

次回(1月9日放送)は、「ピアノ協奏曲第3番/ラフマニノフ」特集です。ちょっとしたトークや楽曲解説もあるので、オーケストラや楽器のこと、クラシック音楽のことをわかりやすく学びたい、まさに私のような初心者でも楽しめる番組です。ぜひ興味のある人は、チェックしてみてください。

いつも観ているせいか勝手に親近感をもってしまい、そののびやかで勢いのある演奏、テレビで観るおなじみの皆さんに、客席から「毎週楽しいプログラムをありがとうございます!」と心のなかでお辞儀して強い拍手でお出迎え、いざ開演の時間です。

 

 

「TRI-AD」 for Large Orchestra
2016年に書きおろした作品のひとつです。「三和音」をコンセプトにしていますが、とても演奏難易度の高い曲だと思います。あらためて聴いてこの作品の末恐ろしさを感じました。ミニマル・ミュージックとしても大作ですし、祝典序曲のような華やかさと躍動感もすごいです。さらに今回、ひしひしと感じたのがうねりです。「音がまわる」立体音空間です。とりわけ、ラストの螺旋状に昇っていくような各セクションの音の織り重なりは圧巻です。ファンファーレ的な金管楽器に、弦楽器や木管楽器が高揚感をあおり、粒きれいに弾ける打楽器・パーカッション。オーケストラの音がステージから高くスパイラルアップして響き轟く立体的な音空間。これはぜひコンサートで生演奏を体感してほしい、臨場感を味わえる楽曲です。

オーケストラも対向配置なので各セクションが輪郭シャープに、メリハリある前後左右の音交錯を体感できます。近年久石譲コンサートはそのほとんどが対向配置をとっています。ただ、それに輪をかけて、秘めたる潜在パワーをもった作品のような気がします。長野公演から半年以上経って、今回新しく感じたこと。これは久石譲の楽曲構成とオーケストレーションの強烈なマジックなのかもしれない、と。独特なうねりです。

 

左が「対向配置」、右が「通常配置」です。主に弦楽器(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の楽器配置が異なります。コントラバスの位置や、管楽器・打楽器の配置は、「対向配置」においても「通常配置」においても、作品意図によってバリエーションはさまざまです。

超浅い知識で補足します。久石譲の緻密なオーケストレーションは、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが違う旋律やリズムを奏でることが多いです。なので、隣あわせの「通常配置」よりも、対称に位置する「対向配置」のほうが、それぞれのパートがくっきりシャープに、空間的にも立体的響きになる。かつ、管弦打楽器配置を活かした絶妙なパート構成やオーケストレーションの進化。そんな感じじゃないかなあ、わかりませんよ、でも弓の動きを見てると違います(超素人 笑)。

なんて、えらそうなことを書いていますが、ここ数年ではじめて知ったことです。せっかくの久石譲コンサート、最大限に満喫したいですよね!もっともっと教えてもらいたいこともたくさん、もっともっと学んで分かち合いたいこともたくさん、そんな心境です。余談でした。

 

Deep Ocean *世界初演
本公演のサプライズ的演目でした。まさかこの作品が聴けるとは、しかも小編成オーケストラとピアノ2台という大掛かりなステージ配置変更をしての演奏です。「ミュージック・フューチャー vol.3」でも別新作をピアノ2台と室内アンサンブル編成で聴かせてくれたばかりです。ここは小ホールとは違い大ホール。ステージ前面ギリギリのところでセッティング、指揮者も奏者も前面中央に密集、少しでも微細な響きが客席奥や2、3階席まで届くようにと配慮されてのことかもしれません。

ミニマル・ミュージックの心地よいグルーヴ感と、神秘的な世界観。多彩な打楽器や管楽器の特殊奏法などで、目をとじて耳をすませたくなる深海の世界が広がっていました。かなり忘れたくない余韻で気になったので、録画していたTV番組を見返してみました。「ダイオウイカ」シリーズからではなく、「ディープオーシャン」として新しく書きおろした音楽は、ほぼ演奏されたんじゃないかなあ、と記憶をふりしぼっています。2017年夏には第2回以降のTV放送も予定されています。サウンドトラック発売も待ち遠しい作品です、いやホントしてくれないと困る作品です(強く)。

 

~HOPE~
View of Silence
Two of Us
Asian Dream Song

約30名の弦楽オーケストラと久石譲ピアノの共演にて。往年の名曲たちが極上の響きとなって観客を陶酔させてしまったプレミアム・プログラムです。あまりにも素晴らすぎて、語ることがありません。

「View of Silence」や「Asian Dream Song」は、『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』での楽曲構成・ピアノパートをベースにしていると思いますが、9人のチェリストから約30人のストリングスへ、豊かな表現と奥ゆかしさで、たっぷりねかせた&たっぷり待ったぶん熟成の味わい。

「Two of Us」は、コンサートマスター(ヴァイオリン)&ソリスト(チェロ)&久石譲(ピアノ)を中心に、バックで弦楽が包みこむ贅沢なひととき。パンフレットにもCD紹介はされていましたが、どちらかというと楽曲構成・ピアノパートは、『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』収録バージョンに近いと思います。そこに弦楽(ストリングス)が大きく包みこむイメージです。

久石譲初挑戦の弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)。どの楽曲もピアノパートが多くほとんど弾きっぱなしです。ピアノ奏者として座ったままの状態で、オーケストラに目を配らせ、ときおり身振り手振りで指揮者の役割も果たす。なるほど納得です。

2016年は、フィギュアスケート羽生結弦選手が久石譲の楽曲を採用したことでも話題になりました。そんな羽生選手ファンもこのコンサートを楽しみに来られていたと思います。きっと大満足で久石譲の音楽に、羽生選手の残像に、胸いっぱいの余韻だったのではないでしょうか。

 

Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE
W.D.O.2016コンサートツアーで日本各地と台湾を湧かせたばかりの「交響組曲 もののけ姫」です。ソプラノ・安井陽子さんはW.D.O.2016【Bプログラム】のほうで共演していました。この作品はなんといっても弦楽器も管楽器も打楽器・パーカッションも、重厚です。関西フィルの演奏もパワフルでエネルギッシュ、この作品にふさわしい大迫力でした。

楽曲詳細やレビューは「W.D.O.2016」にて書いていますのでそちらをご参照ください。

 

—–アンコール—–

Dream More
W.D.O.2015、W.D.O.2016でも演奏されている「サントリー プレミアムモルツ マスターズ・ドリーム」CM曲です。すっかり定着してきた感のある優美なメロディーで、今年一年に乾杯!そして大晦日のこの日新年にむけて乾杯!そんな久石譲のサービス心を感じる艷やかで華麗なシンフォニー。
(アルバム「The End of the World」収録)

 

My Neighbor TOTORO
「もう1曲やるよ」とジャスチャーで合図して、舞台袖から再び指揮台にあがった久石譲。永遠のメロディー、トトロです。楽しそうに演奏するオーケストラも、自然にからだを揺らしてしまう観客も、みんなで音楽を楽しんでいると感じる瞬間です。中間部の久石譲によるピアノ演奏もあって、幸せと名残惜しさをかみしめながらのクライマックス。鳴り響く最後の一音とバズーカークラッカーによる紙テープで盛大にフィナーレ!
(アルバム「メロディフォニー Melodyphony」収録)

 

舞いあがったテープと総立ちスタンディング・オベーションはほぼ同時の出来事でした。久石譲も、オーケストラも、観客も満面の笑みで、至福の会場は包まれました。その決定的瞬間は久石譲オフィシャルFacebookで写真におさめられています。

公式サイト:久石譲オフィシャルFacebook | ジルベスターコンサート2016

 

久石譲も何回袖から出てきたでしょうか。そのたびに楽団をねぎらい、奏者たちから讃えられ、そして観客の拍手とブラボーの波は大きくなる一方。やむことのない拍手喝采に、久石譲は手で”静かに”と合図して、一瞬で会場は沈黙、そのとき久石譲の生声で「よいお年を」という一言、また割れんばかりの大喝采、最高潮のまま観客総立ちでコンサートは終わりをつげました。

 

会場客席に舞ったテープを記念にもらうお客さんも多かったですね。もちろん私も大切に持ち帰りました。

 

 

久石譲コンサートに足を運ぶことの多い近年、新しい作品を聴くことを楽しみに、それらが大変強く印象に刻まれます。が、不覚にも!?今回は往年の名曲たちが心からよかった。久石譲にしか出せないピアノの音ってあるんですよね。あれはテクニックや技術とはちがうところ、魔法です。そんな久石譲の魔法は「View of Silence」「Two of Us」「Asian Dream Song」、もののけ姫より「アシタカとサン」、そしてアンコール「となりのトトロ」の中盤で光輝き、すっかり酔いしれてしまいました。やっぱりいい、いいものはいい、としか言いようがないんです。

久石譲のピアノの音色でよみがえってくるもの、こみあげてくるものが、あまりにも大きすぎて、ちょっとやられちゃいましたね、ノックアウトです。これからも少しでもいいので、久石譲のピアノを聴かせてほしいと心から願うばかりです。あの手から紡ぎだされる音は唯一無二、みんなが待ちのぞむ音の魔法です。今回初挑戦の弾き振り(ピアノを弾きながら座って指揮もする)も、いつもの弾き振り(指揮台とピアノを往来する)も、どちらも大歓迎です!

「サイコー!ブラボー!」──これだけでコンサート・レポートとしたいところです(笑)が、そんな弾け飛びそうな気持ちを、少しずつほぐしてほぐして、書きおわりました。いつも読んでいただきありがとうございます。

 

コンサートに行かれた方!行けなかった方!次こそはと誓った方!どしどしコメントやメッセージお待ちしています♪ 響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントを残す” からどうぞ♪

 

Related Page:

 

 

Overtone.第1回 「響きはじめの部屋」へようこそ

Posted on 2017/01/05

ふらいすとーんです。

「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」へようこそ。

いつもご覧いただきありがとうございます。このたび新しいコーナーをはじめます。直接的には久石譲に関係のない情報や話題でも、もしかしたら《関連する・つながる》かもしれない。もっと広い範囲のお話を書いていきたい、そんな思いからスタートします。”Info.(インフォメーション)”や”Blog.(ブログ)”の項では、これまでどおり、ダイレクトに久石譲を発信するため、そことは別部屋にしたほうがいいだろうということになりました。

久石譲のことを知りたくて、「響きはじめの部屋」にたどり着いたのに、まったく関係のないことがごちゃまぜにあったらイヤですよね、僕はイヤです。そんなことない人もいるでしょうね。もちろんこれは、「久石譲ファンサイト」という看板を掲げているからの問題でもあります。できれば久石譲以外のことは混ぜたくない、久石譲のことさえ伝わればそれが一番いいと思ってサイト運営していますので、今までどうすみ分けできるのかなと足踏み状態でした。

個人的な日記を書く場所ではありません。あくまでも久石譲音楽を楽しむことが中心にある生活のなかで、《関連する・つながる》かもしれないことをテーマに、音楽話、サイト話、ジャンルを越えた作家やアーティスト、久石譲ファンとの交流など多岐に記していきます。話と話が交錯することで、本来話していない別のことが見えてきたり、つながって連鎖して新しいことが見えてくる。「Overtone」のように。そして音楽を楽しむことがより広く深く豊かになっていく。間接的な話題が、結果”久石譲”にはね返って共鳴する、新しい楽しみ方ができる。そんなコーナーになれたらいいなと思っています。

 

 

さて、「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」。察しのいい人はすでにご存知だと思います、これはとある名称からきています。三鷹の森ジブリ美術館の常設展示室「動きはじめの部屋」です。”アニメーションはどうやってできているのか?” 絵や人形が命を吹き込まれて動き出す様子を、原始的にわかりやすく展示した部屋です。

『久石譲の音楽が響きはじめる部屋』、作り出される過程(インフォメーション、インタビュー、コンサート、ライナーノーツ)を記録したサイトである。『久石譲の音楽が響きはじめるきっかけになる部屋』、あなたのなかで久石譲の音楽を聴くきっかけになるコンテンツを提供するサイトである。ほかにもあったかな? そんな想いをつめこんで、あやかって、表札とさせてもらいました。

ところがこれ、日本語ではまあなんとなくニュアンスは伝わっても、英語でなんと言ったらいいものか…。「動きはじめる」とは言っても、「響きはじめる」なんて、なかなか日本語でも違和感のある表現ですよね。しかも「響きはじめ”の”」。最初、意訳もふくめて”The room begin to resound with joe hisaishi music.”と記していました。”久石譲音楽が響きはじめる部屋”というつもりだったんです。おそらく間違ってるだろうな、と思いながら随分放置していました。ずっと気になっていたので、ある機会に英語が堪能な人に診てもらいました。そしたら案の定おかしい英語ですね、と言われてしまった。

”The room begin to resound with joe hisaishi music.” 「これは主語が部屋なので、響いているのは音楽じゃなくて部屋になりますね」「”resound”ってあまり一般的に使わない英語、調べてみたら”大きな音が鳴っている、エコーのようにわんわん鳴り響く”っていうような”響く”です」……。恥ずかしい。

やりとりしながら導きだしてもらったのが”The room filled with Joe Hisaishi music.” よく使われる英語表現に”◯◯ filled with love” 「愛が満たされた・たくさん詰まった◯◯ (プレゼント/人生etc)」というのがあるようで、『久石譲の音楽が満たされた部屋』というニュアンスになります。うん、意図するところもふくめて万事納得!ただいまこちらのサブタイトルを使っています。あれっ?ジブリ美術館の「動きはじめの部屋」ってどう英語表記されてるんだろう? 参考にすればよかった、検索してもわからない、知ってる人いたら教えてください。

 

 

余談ですけど、僕のペンネーム「ふらいすとーん」。とぼけたポカンとした名前だな、なんて思うんですけど、ふらいすとーん、Fly Stone、飛行石です(笑)。いや、これはちっぽけな名誉のために、飛行石の英語として正しくないです。映画『天空の城ラピュタ』英語版でも、台詞としても、飛行石は”Levitation Stone”と英語表現されています。『Castle in the Sky ~天空の城ラピュタ・USAヴァージョン』サウンドトラックには、「3.The Levitation Crystal」というオリジナル盤にはなかった追加楽曲がありますね。正確にはオリジナル盤「2.スラッグ渓谷の朝」を再構成した前半部分です、気になった方は聴き比べてみてくださいね。

レビテーション・ストーン、かたい。フライング・ストーン、なんかちがう。フライ・ストーン、ふらい・すとーん、ふらいすとーん…、うん、ほんわかしてていいんじゃないかな。かなり勝手な解釈、響きのインスピレーションで、そうしちゃいました。でも、「ふらいすとーんです」なんて書いたことないから、ペンネーム知ってる人なんていないでしょうね。たまーに「響きはじめさん」と言われるくらいですから(笑)

 

久石譲 『Castle in the sky 天空の城ラピュタ・USAヴァージョン』 久石譲 『天空の城ラピュタ サウンドトラック』 

 

 

くだらない話をしてしまいました。今回、新コーナーロゴも友人に頼んで作ってもらいました。えらく気合入ってますね、いいえ、カタチから入るんですね。強気に言って続けていくための決意表明、弱気に言って願かけやおまじない。口うるさい細かいオーダーにも快く、修正をくり返し、素敵なデザインをカタチにしてくれました。とても気に入っています。

 

 

「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」を続けていくためには、僕にとって必要な場所でした。いつまで続くかわかりませんが、その比重は決して小さくありません。久石さん以外のことをもっと広く見る、聴く、感じる、整理して書くという過程が、結果ファンサイトを続けていくエンジンになる。そんな思いでささやかにスタートします。

それではまた。

 

reverb.
書きはじめのコーナー、今月は2~3回の掲載がんばります φ(. .)

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Info. 2017/01/04 [CM] 東北電力「よりそう地域とともに」篇 O.A.開始

1月4日より、東北電力の新CM「よりそう地域とともに」篇のオンエアがスタートしました。2015年10月から東北電力企業広告「より、そう、ちから。」のCM音楽を久石譲が担当しています(曲名:不明)。今回はそのニュー・ヴァージョンになります。ピアノを基調としたミディアムテンポ、とてもきれいな調べです。 “Info. 2017/01/04 [CM] 東北電力「よりそう地域とともに」篇 O.A.開始” の続きを読む