Info. 2014/05/02,03 久石譲 台湾コンサート開催決定 新作管弦楽版「風立ちぬ」世界初披露

久石譲が5月に再度来台、「風立ちぬ」の管弦楽組曲ニューバージョンのほか、「Orbis」、ベートーベンの「第九」などが披露される。

台湾でも公開され好評を博した宮崎駿さん監督のアニメ大作「風立ちぬ」は、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」など他の宮崎作品と同様、久石さんが音楽を担当。優美な楽曲のゆったりとした旋律は壮大な画面とマッチし一層観衆の心に残るものとなっている。

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Info. 2014/03/12 久石譲 「ジブリ・ベスト ストーリーズ」 CD発売

作曲家の久石譲が宮崎駿作品のために書いた楽曲を集めた
ベストアルバムCD「ジブリ・ベスト ストーリーズ」が3月12日に発売された。

1984年公開の「風の谷のナウシカ」から昨年の「風立ちぬ」まで30年にわたって宮崎作品を手がけてきたが、ベストアルバムを出すのは初めて。

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Disc. 久石譲 『Ghibli Best Stories ジブリ・ベスト ストーリーズ』

2014年3月12日 CD発売 UMCK-1473

 

1984年3月11日に公開された「風の谷のナウシカ」から30年。
久石譲が再編曲した名曲達をまとめた初のジブリ・ベストセレクション!

久石譲は当初、レコード会社からの提案に「過去を振り返るのは嫌いなので作りたくなかった」と感じたそうだが、「出来上った盤を聴いてみると、これはこれで一つの世界があり、納得できた」とコメントしている。ソロアルバム用に録音してきた編曲の中から、ピアノをメインにリアレンジされた楽曲、ロンドン交響楽団が演奏した「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」など13曲を収録。

ジブリ映画を彩った名曲達を久石譲が再編曲・プロデュースした作品を集めたベストアルバム! 公開30周年(2014年時)を迎える『風の谷のナウシカ』から『崖の上のポニョ』まで、初CD化音源も含めた、ジブリ映画音楽の決定盤。

 

 

30年という時間

僕が宮崎さんと一緒に仕事をするようになって、30年という時間が過ぎた。本当は宮崎駿監督とお呼びしなければいけないのだが、彼の明るく飾らない人柄のせいか、周りの人や僕は宮崎さん、あるいはもっと親しい人は宮さんと呼んでいる。

『風の谷のナウシカ』から最新作『風立ちぬ』まで10作品、そのひとつひとつに制作上のドラマがあり、葛藤があり、真の喜びがあった。そのエピソードを語るつもりはない。が、世界中の人たちに観ていただき、音楽を聴いていただいたということは、結果として宮崎さんの作品に少しは貢献できたものとして安堵しているし、心から感謝している。

このアルバムは、その30年間に僕のソロアルバムとして制作してきた中から、宮崎さんの映画のために書いた曲を集めたものである。ピアノを中心に、アルバムごとのコンセプトに即してリアレンジしたものなのでサウンドトラックとは違う。だが、どんな状況でも(オーケストラの演奏でも、ピアノ一台でも、あるいは街を歩いている子供の鼻歌でも)そこには宮崎さんがいて僕がいる。そのような強い楽曲を作れたのはもちろん僕の力だけではなく、多くの関わった人たち、特に鈴木敏夫さんの力がなければできなかったであろう。

過去を振り返るのは嫌いなのでこのようなベストアルバムは作りたくはなかったが、レコード会社の強い要望で(最近ソロアルバムを作っていないので)出すのを了承した。

だが、出来上がった盤を聴いてみると、これはこれで一つの世界があり、存在していいものだと納得した。多くの関係者に感謝する。彼らがいなかったらこのアルバムは存在しなかった。

そして僕はというと、ピアノの音と音の間の沈黙から30年という時間の流れにのって宮崎さんの満面の笑顔が浮かんでくるのを観てニンマリとしているのである。

久石譲 -ライナーノーツより

 

 

ピアノ、ミニマル、オーケストレーション
宮崎駿監督作における久石譲の音楽について

今から30年前の1984年3月11日に公開された宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』で、久石譲は映画音楽作曲家としての第一歩を踏み出した。それ以前の彼は、テリー・ライリーやスティーヴ・ライヒといったアメリカン・ミニマリズムの作曲家やドイツのクラフトワークに刺激を受けた、彼独自のミニマル・ミュージックの可能性を模索する作曲活動を地道に続けていた。ミニマル・ミュージックとは──『MKWAJU ムクワジュ』(1981)や『INFORMATION』(1982)といった彼の初期のアルバムに聴かれるように──シンプルなリズムパターンを繰り返し、時には拍をずらすことによってパルス(=拍動、脈動)の存在を聴き手に強く意識させる音楽である。アフリカやインドの伝統音楽に見られるような、音楽を最小限(=ミニマル)の構成要素から組み立てていく手法をとるので、フレーズやメロディを中心に発展してきた西洋音楽史全体に挑戦状を叩きつけることに繋がりかねない。そんな過激な姿勢を貫く日本人作曲家は、1980年代初頭の時点で久石以下ごく少数しか存在しなかったし、ましてや、それを劇映画の音楽に応用しようなどと無謀なことを考える作曲家は、世界中見渡してもほとんど存在しなかった。

そんな彼の『INFORMATION』が高畑勲監督と鈴木敏夫プロデューサーの目に留まったことで、久石は『風の谷のナウシカ』のイメージアルバムを録音することになり、結果として『風の谷のナウシカ』の本編そのものの音楽も手がけることになった。

では、実際に久石は『風の谷のナウシカ』をどのように作り上げたのか?

まず彼は、ピアノという楽器でメインテーマ──《風の伝説》の曲名で知られている──のメロディを導入する。当時の一般的な観客が予想し、期待したであろうヴォーカルを一切用いることなく、である。しかも、そのメロディの冒頭部分は、当時のポップスのトレンドに真っ向から対抗するように、コード進行をほとんど変えず、ストイックに提示される。そして本編の物語が進むにつれ、久石はシタールのようなインドの民族楽器から後期ロマン派風のオーケストラにいたるまで、死力を尽くしてありったけの音色を投入するのだ。実験的なミニマル・ミュージックと商業用の映画音楽という、ある意味で対極的な二項対立の狭間に立たされた久石は、自己のアイデンティティを殺すことなく、ギリギリのところで壮大な音楽ドラマを書き上げてみせた。そうした彼のストイックな音楽的姿勢が、ナウシカというヒロインの壮絶な生きざまに重なって聴こえたのは、著者ひとりだけではないだろう。そして、その後30年にわたって彼が書き続けることになる宮崎作品の音楽の原型が、『風の谷のナウシカ』の中にすべて含まれていると言っても過言ではないのだ。

メロディの導入にあたり、演奏家としての久石の力量が遺憾なく発揮されるピアノ(1)。音楽の構成要素を最小限まで切り詰めていくミニマル的な手法(2)。そして、多種多様な楽器やアンサンブルを駆使していくオーケストレーションの多様性(3)。『風の谷のナウシカ』の音楽を特徴づけるこれら3つの要素は、時には単独の形で、時には三位一体の形で、宮崎作品の重要なエッセンスを表現していくことになる。そのエッセンスが何かと問われれば、おそらく次のように要約することが出来るだろう。

久石自身の演奏楽器である(1)のピアノは、メロディを生み出す母体となることで、物語における叙情的な要素──とりわけ宮崎作品のヒロインたち──を強調する役割を果たす。これに対し(2)のミニマル的な手法は、リズムパターンを剥き出しにする場合に、根源的な生命(力)の存在──『となりのトトロ』の雨中のバス停の場面が有名──を示すことが多い。そして(3)のオーケストレーションの多様性は──フランス印象派を思わせるダイナミックな三管編成を駆使した『崖の上のポニョ』が端的に示しているように──宮崎監督の世界観の確立に貢献する役割を果たす。仮に(1)のピアノを”女性的”な要素、(3)のオーケストレーションを”男性的”な要素、(2)のミニマルを久石自身の”生命”、と読み替えてみるならば、少し飛躍があるかもしれないが、このように結論づけることも出来るだろう。すなわち宮崎作品における久石の音楽は、(1)ピアノという”ヒロイン”の”君をのせて”、(3)オーケストレーション(オーケストラ)という”ヒーロー”が奏でていく、(2)ミニマルという”生命”から生まれたドラマなのだ。

そのドラマにおいて、特にヒロインが恋に落ちる時、彼女たちがピアノのメロディと共に登場するのは決して偶然ではない。謎の少年・ハクに惹かれる『千と千尋の神隠し』の千尋。魔法使いハウルを愛し続ける『ハウルの動く城』のソフィー。身を削って夫・二郎への愛を貫く『風立ちぬ』の菜穂子。彼女たちの存在感が大きくなるにつれ、メロドラマ的な要素が物語に占める割合も大きくなっていく。ここで想起しておきたいのは、そもそもメロドラマという言葉が古代ギリシャ語の「メロス(歌)」と「ドラマ(劇)」を語源としているという点である。そうした根源的な意味において、久石のピアノのメロディは”ヒロイン”という女性的な要素と結びついていると見るべきだ。つまり、宮崎作品におけるメロドラマとは、文字通り「歌(メロディ)による劇(ドラマ)」なのである。

本盤『ジブリ・ベスト ストーリーズ』には、久石が宮崎作品のために書いた楽曲をソロアルバム用にアレンジし直した演奏が収録されているが、サントラのアレンジに比較的近いものもあれば、アルバムのコンセプトに沿って大胆にアレンジし直されたものもある。ここで是非とも確認しておきたいのは、そもそも久石の映画音楽は──映画公開以前に録音されたイメージアルバムの中で表現されているように──先に触れたようなエッセンスを直接的に表現するところから作曲がスタートしているという点だ。個々の場面に後付けする伴奏とは、発想の出発点が根本的に違う。別の言い方をすれば、映像と音楽は協調関係(対位法的な対立関係を含む)を結ぶことはあっても、主従関係に陥ることはない。つまり、音楽が特定の映像に縛られないので、映画が完成した後も、さらに音楽が発展する余地が残されている。と同時に、それらの楽曲が映画とは異なる文脈でアレンジされることで、サントラを聴くだけでは判らなかった潜在的な意味が浮かび上がってくる。だからこそ、彼が宮崎作品の音楽をリアレンジし、演奏する必然性が生まれてくるのだ。

以下の楽曲解説は、そうしたリアレンジの文脈も知っていただきたく、敢えてCDをの収録順とは異なり、出典元となったソロアルバムの録音年代順でお読みいただくことにした。そのほうが、本編とは異なる世界観を表現したオーケストレーションの醍醐味と、アーティストとしての久石が辿った30年の変遷が、明瞭に浮かび上がってくるからである。

 

『Piano Stories』(1988)より
4.The Wind Forest
6.Fantasia (for NAUSICAÄ)

ミニマル作曲家・久石が、旋律作曲家としての自己を強く意識し始めた時期のアルバム。ミニマル風の前奏の後、日本音階のメロディが続く《The Wind Forest》(風のとおり道)は、その意味で極めて象徴的な楽曲と言えるだろう。一方の《Fantasia (for NAUSICAÄ)》は、先に触れた《風の伝説》を幻想曲としてリアレンジしたもの。久石が著者に語ったところによれば、この時期の彼のピアノのタッチは、高校時代から敬愛するジャズ・ピアニスト、マル・ウォルドロンの影響を強く受けていたという。

『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』(1998)より
7.il porco rosso

イタリア・モデナで録音された『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』は、『紅の豚』で描かれたアドリア海の陽光と青空を久石に懐古させる、注目すべき成果をもたらした。イメージアルバムの段階で《マルコとジーナ》というタイトルが付けられていた《il porco rosso》(帰らざる日々)は、後半部分にストリングスを加えることで、原曲以上にノスタルジックなジャズへと生まれ変わり、ホテル・アドリアーノに漂う”大人のロマン”を優雅に演出している。

『WORKS II』(1999)より
11.もののけ姫

宮崎作品のサントラ録音で初めて常設の交響楽団(東京シティ・フィル)を起用した『もののけ姫』以後、久石は大編成を用いた演奏に意欲を燃やし始める(その論理的な帰結が、2000年から始める彼の指揮活動だ)。有名なヴォーカル盤では、ケーナや篳篥といった民族楽器を隠し味として使っていたが、この東京シティ・フィルのライヴではそれらを排除し、伝統的なオーケストラサウンドの枠内で『もののけ姫』の世界観を再現している。

『ENCORE』(2002)より
12.アシタカとサン

久石初の全曲ピアノソロアルバム『ENCORE』は、マイクの設置場所にミリ単位までこだわった入魂作。”破壊された世界の再生”を描く、『もののけ姫』の重要なラストにおいて、久石はそれまで鳴り続けていたオーケストラを止め、シンプルなピアノだけで希望のメロディを奏でてみせた。その意味では《風の伝説》と対をなす楽曲と言えるかもしれない。

『Castle in the Sky』(2002)より
3.Confessions in the Moonlight

『天空の城ラピュタ』の北米版のために、久石が本編全体のスコアをリアレンジ・追加作曲し、シアトルの教会で録音した演奏から。オリジナル版の電子楽器を排除し、豊かなオーケストラサウンドにこだわって宮崎作品の世界観を再構築していくという点では、先に触れた《もののけ姫》の方法論の発展と見ることも可能だ。冒険活劇といえば長調の明るいメインテーマ、というハリウッド的な常識に真っ向から反旗を翻すように、『天空の城ラピュタ』のメインテーマ《君をのせて》は変ホ短調で書かれている。その表現の奥深さを示した例のひとつが、飛行船の上でシータがパズーに不安を打ち明ける場面の《Confessions in the Moonlight》(月光の雲海)だ。空間の響きを活かした久石のピアノソロが、オリジナル版以上に《君をのせて》の旋律をしっとりと浮かび上がらせている。

『空想美術館』(2003)より
5.谷への道

フルオーケストラとチェロ九重奏の演奏を交互に並べた野心作『空想美術館』収録の《谷への道》は、もともと『風の谷のナウシカ』イメージアルバムのために作曲された楽曲。のちにチェロ独奏を前提とした《ナウシカ組曲》の第5楽章に組み込まれた。独奏部分だけでなく、伴奏部分まですべてチェロの音色に統一するという発想は、作曲家ヴィラ=ロボスの《ブラジル風バッハ第5番》チェロ八重奏の先例を彷彿とさせるだけでなく、ミニマル作曲家ライヒのカウンターポイントシリーズ(チェロ9声部で書かれた《チェロ・カウンターポイント》など)にも通じるところがある。なおかつ、ここでのチェロ九重奏の大らかな響きは、『風の谷のナウシカ』の豊かな世界観と何ら矛盾をきたしていないのだ。

『Piano Stories Best ’88-’08』(2008)より
10.人生のメリーゴーランド -Piano Solo Ver.-

『ハウルの動く城』は、スコアのほぼすべてをワルツ主題とその変奏だけで押し通す久石の音楽設計が、そのまま宮崎監督の演出意図を表現したユニークな作品。ここに聴かれる演奏では、前半がワルツのテーマ、後半にその変奏を聴くことが出来るが、ヒロインのソフィーも同様に──ハウルへの変わらぬ恋心を抱きながら、18歳から90歳まで年齢が変化し続けるという点で──”主題と変奏”というべきキャラクターなのだ。

『Another Piano Stories ~The End of the World~』(2009)より
8.Ponyo on the Cliff by the Sea

『崖の上のポニョ』公開後にピアノ、チェロ12本、コントラバス、マリンバ、打楽器、ハープ2本という編成によるツアーと連動して録音されたアルバムから。伝統的な管弦楽法からは絶対に思いつかない発想だが、チェロのピツィカートとマリンバの倍音が生み出すユーモラスな響きは、不思議とポニョのイメージに合う。宮崎作品のエッセンスを的確な音色で表現していく、久石のオーケストレーションの凄さが現れた演奏のひとつ。

9.海のおかあさん(CD初収録)

『崖の上のポニョ』本編では1コーラスしか聴くことの出来なかったオープニング主題歌を、今回初めて2コーラスのフルヴァージョンで収録したもの。”母なる大地”ならぬ”母なる大海”と読むことができるグラン・マンマーレは”母性”そのものというべき存在である。それを表現するため、久石はクラシックのソプラノ歌手(林正子)を起用した。彼女が歌うベルカントの豊かな声量は、”母性”の象徴であると同時に、広大な海の象徴でもある。

『Melodyphony』(2010)より
1.One Summer’s Day
2.Kiki’s Delivery Service
13.My Neighbour TOTORO

2009年のアルバム『Minima_Rhythm』に続き、久石がロンドン交響楽団を指揮したアルバムから。《One Summer’s Day》(あの夏へ)と《Kiki’s Delivery Service》(海の見える街)は、それまでの日常と異なる世界──『千と千尋の神隠し』の場合は湯屋の町、『魔女の宅急便』の場合は大都会コリコ──に足を踏み入れようとするヒロインが、そこはかとなく感じる期待と不安を表現しているという点で、対をなす2曲と言えるかもしれない。しかも、《Kiki’s Delivery Service》のリアレンジでは久石のピアノソロがメロディをくっきりと演奏しており、《One Summer’s Day》のニュアンスに富んだピアノソロと見事な対照を生み出している。

そして《My Neighbour TOTORO》(となりのトトロ)は、組曲《オーケストラストーリーズ 「となりのトトロ」》の終曲を演奏したもの。近年はクラシックの古典曲を積極的に指揮している久石にとって、ロンドン響での録音は大きな意味があった。ロンドン響はクラシックの超一流オケである以上に、ライヒやジョン・アダムズといったミニマル作曲家の演奏で比類なき能力を発揮するオケなのだ(つまり、世界で一番ミニマルを理解しているオケ)。《My Neighbour TOTORO》のコーダ部分に聴かれる圧倒的な歓喜の音楽は、ミニマル・ミュージックの作曲家、宮崎作品の作曲家、そしてクラシックの指揮者という久石の3つの側面が統合された、ひとつの到達点なのである。(文中敬称略)

前島 秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター) -ライナーノーツ・楽曲解説より

 

 

 

 

 

 

ジブリ・ベスト ストーリーズ 久石譲 収録曲

1. One Summer’s Day (千と千尋の神隠し)
2. Kiki’s Delivery Service (魔女の宅急便)
3. Confessions in the Moonlight (天空の城ラピュタ)
4. The Wind Forest (となりのトトロ)
5. 谷への道 (風の谷のナウシカ)
6. Fantasia (for NAUSICAÄ) (風の谷のナウシカ)
7. il porco rosso (紅の豚)
8. Ponyo on the Cliff by the Sea (崖の上のポニョ)
9. 海のおかあさん 歌 / 林 正子 (崖の上のポニョ) *初CD化
10. 人生のメリーゴーランド -Piano Solo Ver.- (ハウルの動く城)
11. もののけ姫 (もののけ姫)
12. アシタカとサン (もののけ姫)
13. My Neighbour TOTORO (となりのトトロ)

■初回プレス分のみ「スリーブケース」仕様

 

Info. 2014/03/16 「第37回日本アカデミー賞授賞式 完全版」CS放送・日テレプラス

3月16日(日)21:00-25:00
3月22日(土)25:30- [再]
「第37回日本アカデミー賞授賞式 完全版」CS放送・日テレプラス(未公開映像を加えたノーカット版)

先日行われた3月7日「第37回日本アカデミー賞授賞式」(地上波)のノーカット完全版を放送。

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Blog. 久石譲 第37回 日本アカデミー賞 最優秀音楽賞 受賞 「風立ちぬ」

Posted on 2014/3/10

先日3月7日、ついに第37回日本アカデミー賞が開催されました。ということで、それをもとに結果はこうなりました。

 

第37回 日本アカデミー賞 結果(ノミネート発表:1月16日 授賞式:3月7日)

□優秀作品賞 ノミネート作品

  • 『凶悪』
  • 『少年H』
  • 『そして父になる』
  • 『東京家族』
  • 『舟を編む』 ☆
  • 『利休にたずねよ』

□優秀アニメーション作品賞 ノミネート作品

  • 『かぐや姫の物語』
  • 『風立ちぬ』 ☆
  • 『キャプテンハーロック』
  • 『劇場版魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』
  • 『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』

□優秀音楽賞 ノミネート作品

  • 岩代太郎 (利休にたずねよ)
  • 荻野清子 (清須会議)
  • 久石 譲 (かぐや姫の物語)
  • 久石 譲 (風立ちぬ) ☆
  • 久石 譲 (東京家族)
  • 松本淳一/森 敬/松原 毅 (そして父になる)
  • 渡邊 崇 (舟を編む)

 

メインの音楽賞で、最優秀音楽賞を「風立ちぬ」の音楽で見事受賞いたしました。

2013年に携わった作品のなかで「東京家族」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」が各部門にノミネートされていたわけですが、アニメーション作品賞の宮崎駿監督×高畑勲監督のジブリ対決では、宮崎駿の映画「風立ちぬ」が選ばれましたね。

優秀音楽賞に久石譲の音楽3作品がノミネートされているだけでもすごいことだったわけですが、最優秀音楽賞は「風立ちぬ」の音楽が選ばれました。

日本アカデミー賞の最優秀音楽賞の受賞は第34回の「悪人」以来です。そしてジブリ作品では、第32回の「崖の上のポニョ」で同じく最優秀音楽賞を受賞しています。

これで日本アカデミー賞最優秀音楽賞の受賞は歴代No.1記録を更新し計8度目の受賞となりました。

 

過去の受賞歴はこちらにまとめています。

こちら ⇒ Blog. 日本アカデミー賞 最優秀音楽賞 歴代受賞者/受賞作品 一覧

 

ちなみに映画「風立ちぬ」の音楽としては、第10回 国際映画音楽批評家協会賞においてもオリジナル作曲賞アニメーション部門を受賞しています。

こちら ⇒ Info. 2014/02/20 第10回 国際映画音楽批評家協会賞 久石譲「風立ちぬ」受賞

 

日本アカデミー賞の受賞コメントでは、「3作も入っていたので、(票が)割れてとれないんじゃないかと思っていました。とても驚いています。ありがとうございます。」と笑顔で喜びお礼を。

また、ゴーストライター問題がニュースになっている時期でもあったため、「何かと作曲家が注目されていますが、(今回の曲は)私が書いています。念のため。」とニヤリとチクリと話題にしていました。

 

さて、毎年恒例なのですが!?TV放送ではメインの各賞を取り上げているため、久石譲の最優秀音楽賞受賞の瞬間も、上の受賞コメントも、TV放送ではカットされていました。翌日以降の各局のニュースやワイドショーでは取り上げられていましたが。旬な話題ということもあり。

ということで、3月16日21:00-25:00「第37回日本アカデミー賞授賞式 完全版」CS放送・日テレプラス(未公開映像を加えたノーカット版)

こちらを楽しみにしたいと思います。

 

Related page:

 

日本アカデミー賞 久石譲 風立ちぬ

 

Info. 2014/03/04 [CDマガジン] 「クラシック プレミアム 5 ~ヴィヴァルディ / ヘンデル~」 久石譲コラム連載 発売

2014年3月4日 CDマガジン 「クラシック プレミアム 5 ~ヴィヴァルディ / ヘンデル~」(小学館)
隔週火曜日発売 本体1,200円+税

「久石譲の音楽的日乗」連載付き。クラシックの名曲とともにお届けするCDマガジン。久石による連載エッセイのほか、音楽評論家や研究者による解説など、クラシック音楽の奥深く魅力的な世界を紹介。

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Blog. 「クラシック プレミアム 4 ~ショパン ピアノ作品集~」(CDマガジン) レビュー

Posted 2014/3/1

「クラシック プレミアム」第4号は、ショパンです。

他の19世紀作曲家とは違い、生涯ピアノ作品のみをつくりつづけたショパンですが、まさにピアノひとつで多彩な世界、詩人のような作曲家だなと思います。

 

【収録曲】
《幻想即興曲》
スタニスラフ・ブーニン(ピアノ) 録音/1987年
《華麗なる大円舞曲》
ジャン=マルク・ルイサダ(ピアノ) 録音/1990年
ポロネーズ《英雄》
ジャン=イヴ・ティボーデ(ピアノ) 録音/1999年
《子犬のワルツ》、ワルツ 第7番
ジャン=マルク・ルイサダ(ピアノ) 録音/1990年
バラード 第1番
アンドレイ・カヴリーロフ(ピアノ) 録音/1991年
練習曲《別れの曲》
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ) 録音/1988年
練習曲《革命》 《黒鍵》 《木枯らし》
ヴラディーミル・アシュケナージ(ピアノ) 録音/1971-1972年
夜想曲(ノクターン) 第2番・第20番
マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ) 録音/1995-1996年
前奏曲 第8番・第15番《雨だれ》
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ) 録音/1975年
スケルツォ 第2番
アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリ(ピアノ) 録音/1971年

 

収録曲の名前だけを見ても、曲が思い浮かばないものもありますが、かくいう私もCDを聴くまではそうでした。いざCDを流してみてびっくりしました。ほとんどの曲を知っていました、聴いたことがありました。

そのくらいどの曲も、そのなかのメロディーやフレーズも印象的で、TV・映画・CMと引っ張りだこな音楽たちばかりということがわかります。

上品かつ繊細で、イメージを縛らない、動的な曲も静的な曲も印象的でインパクト、まさにピアノ1本で多彩な音楽世界、イメージを広げるショパンの音楽だからこそ、今日まで多くの人に愛され、日常生活にもその音楽が溢れているんだろうなと思います。

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第4回は、僕が指揮をするわけは?

この連載コラムも4回目を迎えましたが、全50巻のうちこの冒頭は、久石譲の指揮者としての考え方や視点を垣間見ることができます。

今回のコラムでは、職業としての指揮者が確立された時代のことや、作曲家が指揮をしていた時代、その背景や逸話など、いろいろな側面からのクラシック音楽の歴史が見れておもしろかったです。

そして印象に残った箇所を一部抜粋してご紹介します。

 

「それでは作曲家兼楽器奏者と作曲家兼指揮者の違いは何なのだろう。ブーレーズによれば「前者は日常的とまでは言わないにせよ、少なくともあまり大きな中断のない筋肉の訓練を必要とし、そうすることによって楽器の名手としての能力を維持するが、他方、後者の方は、専門家としての技能を手中にしていれば、断絶の影響を恐れることなく、いつでも自分の活動を中断したり再開したりできる。」なるほど、おこがましいが僕が最近ピアノを弾かなくなった理由と指揮をするわけがわかった気がする(笑)。」

 

作曲家が指揮をすることの意味は、前回(第3回)のコラムで書かれていましたが、久石譲は、作曲家、ピアニスト、指揮者と3役ありますからね。このあたりそれぞれの住み分けも自身の著書やインタビューで明確に語っていた内容がありますね。

これからどんな指揮者論や、クラシック話、広義での音楽話が聴けるのかますます楽しみです。毎回コラムのなかで、いろいろな人物などキーワードが飛び出すので、それを後から自分なりに調べたりするのもおもしろいです。知らないことや、新しい興味など、どんどん広がっていきます。

 

クラシックプレミアム 4 ショパン

 

Blog. 映画『魔女の宅急便』の音楽 久石譲 高畑勲 インタビュー

Posted on 2014/2/27

先日、文春ジブリ文庫 「ジブリの教科書 5 魔女の宅急便」について、読書感想としてその内容を書きました。

こちら ⇒ Blog. 文春ジブリ文庫 「ジブリの教科書 5 魔女の宅急便」 読書

とても読み応えのある内容で、おそらく誰が読んでも、目からウロコ、新しい発見がある、そんな充実した本です。そして、あまりにもたくさん書いてしまって、肝心の音楽:久石譲のことを触れることができなかったので、あらためて。

 

映画『魔女の宅急便』が1989年公開ですから、今から約25年前です。

この作品は音楽:久石譲に加えて、注目すべきなのは音楽演出:高畑勲です。宮崎駿監督との間で、この3者による音楽制作が進められていたということです。なので、当時のインタビューも久石譲と高畑勲監督の、それぞれのインタビューが収録されています。

それがすごく興味深かったです。つい昨年2013年に、映画『かぐや姫の物語』で高畑勲×久石譲の初タッグが実現し、それにともなうインタビューや対談はたくさん紹介してきました。

こちら ⇒ Blog. 久石譲 「かぐや姫の物語」 インタビュー 熱風より
※ページ下部に『かぐや姫の物語』関連インタビュー リンクもほぼすべて紹介しています

 

映画『かぐや姫の物語』の物語に関しては、まだ記憶に新しいのもあり、この「ジブリの教科書 5 魔女の宅急便」を読み進んでいくと、久石譲も高畑勲監督も、お互い言っていることがシンクロするほどだったんです。

1989年の『魔女の宅急便』と2013年の『かぐや姫の物語』約25年の時間の隔たりがあるなか、両者とも映画音楽に求めるものや、その位置づけ、大切にしていることなど、その根幹となるものに対して同じことを言っているんですね。

これにはびっくりしました。

 

具体的には、高畑勲監督は、映画『かぐや姫の物語』の音楽に対して、こういう要求をしています。

  • 一切登場人物の気持ちを表現しないでほしい
  • 状況に付けないでほしい
  • 観客の気持ちを煽らないでほしい

つまりは「一切感情に訴えかけてはいけない」、引きの音楽、観る人に委ねる音楽、これを久石譲の音楽に求め、見事にその音楽世界は表現されることになりました。

これを念頭に、本書「ジブリの教科書 5 魔女の宅急便」のインタビューを紐解いてみます。一部抜粋して紹介します。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

-今回はヨーロッパが舞台ということで音楽的にもそのへんを意識されたと思うのですが。

久石 「そうですね、架空の国ではあるけれどもヨーロッパ的な雰囲気ということで、いわゆるヨーロッパのエスニック、それも舞曲ふうのものを多用しようということは考えました。」

(中略)

-たしかに、映画を拝見しますと音楽のつけ方がはっきりしていて、今回でいえばキキがつぎの場所へ移動する時の、つなぎの部分に音楽が使われているような印象がありました。

久石 「たとえば悲しいシーンに悲しい曲をつけるとか、アクションシーンに派手な曲をつけるとか、そういうやり方はいっさいしないという前提でやりましたからね。ある意味でそれはすごく徹底していると思います。むしろ感情に訴えかけるよりも、見ている人を心地よくさせるような音楽のつけ方というんですか、そういう点を心がけたということはありますね。わざとらしくない、自然な音楽といいますか…。」

-久石さんが宮崎作品の音楽を創る時にいちばん、心がけることは何ですか。

久石 「まず大きな声で歌えること。変にこまっしゃくれたものではなく、徹底して童心にかえってストレートに作るということですね。そしてヒューマン、人間愛にあふれていること。これに尽きると思います。」

(中略)

 

-今回の音楽の特徴は、どういうところですか。

高畑 「この作品はいわゆるファンタジーではありません。『トトロ』もそうでしたが、大きな意味ではファンタジーに属するものでしょうが、もっと現実に近い物語であると宮さんは考えてつくった。たとえばキキは空を飛びますけど、それはカッコよく飛ぶのとはちがうし、ふつうの女の子の日常的な描写や気持ちが中心になっているんですね。ですから音楽が担当する部分も、世界の異質さとか戦闘の激しさとかを担当するわけではない。むしろふつうの劇映画のような考え方をして、しかもヨーロッパ的ふんいきをもった舞台にふさわしいローカルカラーをうち出そうということだったんです。それと、つらいところ悲しいところに音楽はつけない、とか、歌とは別にメインテーマの曲を設定して、あのワルツですが、あれをキキの気持ちがしだいにひろがっていくところにくりかえし使うとかが、音楽の扱いの上での特徴というえば特徴ではないでしょうか。はじめ、ホウキで空を飛ぶ、というのはスピード感もないし、変な効果音をつけるわけにはいかないので心配だったのですが、久石さんの音楽もユーミンの歌も、いまいったねらいにピッタリだったし、上機嫌な気分が出ていたのでホッとしているところです。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

いかがでしょうか。

約25年の時空を超えて、考え方や発言がシンクロしていることが、わかってもたえたのではないでしょうか。

それだけスタジオジブリ作品、鈴木敏夫プロデューサーをはじめ、宮崎駿監督、高畑勲監督、それぞれが劇中音楽をいかに大切にしているか、独自の価値観と要求によって、それを見事に久石譲が音楽に昇華しているか、ということがあらためてわかった当時のインタビュー内容でした。

 

本当に読み応え満点で、思わず映画『魔女の宅急便』がまた観たくなります。実際、この読書をしながら、文章を書きながら、『魔女の宅急便』の音楽を聴いています。

 

当サイトでは、もちろん『魔女の宅急便』関連CD作品もそれぞれ詳細紹介しています。

  • イメージアルバムとサウンドトラックの違いって?
  • 同じメロディーの曲なのに曲名がちがう?
  • ヴォーカル・アルバムやハイテックシリーズって?

 

そのあたりも下記CD作品詳細をのぞいてもらえれば、わかると思います。

魔女の宅急便 イメージアルバム

魔女の宅急便 イメージアルバム

 

久石譲 『魔女の宅急便 サントラ音楽集』

魔女の宅急便 サントラ音楽集

 

久石譲 『魔女の宅急便 ヴォーカル・アルバム』

魔女の宅急便 ヴォーカル・アルバム

 

久石譲 『魔女の宅急便 ハイテックシリーズ』

魔女の宅急便 ハイテックシリーズ

 

 

ほかにも、『魔女の宅急便』の音楽たちは、久石譲作品のいろいろなCDアルバムに収録されています。「メロディフォニー」では、美しいフルオーケストラ組曲として。「空想美術館」では、華麗な弦の響きにて。そのあたりは、いつの日か、特集ページでしっかり掘り下げて紹介したいと思います。

 

 

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Blog. 文春ジブリ文庫 「ジブリの教科書 5 魔女の宅急便」 読書

Posted on 2014/2/24

2013年4月から創刊された文春文庫 x スタジオジブリによる文春ジブリ文庫シリーズです。第1弾『風の谷のナウシカ』から始まって、第5弾は『魔女の宅急便』です。

毎回楽しみにしているこのシリーズですが、各界からの豪華執筆陣がその作品を独自の視点から読み解いていたり、当時の製作陣インタビューなど貴重な記録が満載です。当時出版された様々な書籍からの再編集も多いですが、ある意味作品ごとに、その内容がまとめられて収められているのはうれしいところ。

また今回のための書き下ろしや語り下ろしインタビューなどもあり、過去と現在の時間を超えて『魔女の宅急便』の世界を楽しむことができます。多彩な執筆陣から、原作者角野栄子、内田樹、上野千鶴子、青山七恵、氷室冴子、松任谷由実、C.W.ニコル、などいろいろなインタビューや対談満載です。

 

読んで知ったことなど、書きたいことたくさんあるのですが。

目からウロコだったのは

  • 映画『魔女の宅急便』の表テーマと裏テーマの存在
  • どうしてキキは飛べなくなったのか?
  • どうしてキキは黒猫ジジと言葉が通じなくなったのか?

このあたりのことが、宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーの口から語られていてとても興味深いです。

ほかにも上の3点などの主要な問題に対して、豪華執筆陣たちが、それぞれの解釈で、あらゆる角度から解説しているのも、なるほどとうなずけます。どれが正解というよりも、いろいろな考え方や捉え方が自由にあるんだな、ということがすごくよくわかります。

“思春期の女の子の物語”でありながら、そこには、「成長」「才能」「働くということ」がしっかりと描かれていたんだなと、改めて奥が深い作品であることがわかりました。

 

宮﨑駿監督は、この作品にふれて「才能」のことを語っています。

平気に無意識にできていたことが、ある日突然できなくなる。
なぜできなくなったのかわからない。
そして無意識のうちに成長していくことはできない。

ちょっと漫画を描けるだけ、単に空を飛べるだけ、それで食っていけるのか?

 

このように「才能を職業にするということ」「働くこと」「おカネをもらって生活していくこと」つまりは、『自分でおカネを稼いで自立する』ということがどういうことなのか、その過程で起こる不安や葛藤、つまずきや成長を、見事に描いています。

キキは空を飛ぶだけの才能、監督は漫画が描けるだけの才能、その小さい頃から無意識にできていたことを意識的に成長させていく物語、そう両者を捉えると、この作品の見どころや台詞の重さも変わってくるのかもしれません。

 

また”思春期”に対する洞察力がすごい。確かに「思春期の頃ってこういう感情だったかな」と誰もが思うような、思春期特有の言動・葛藤・自分を守ること・避難場所 など宮崎駿監督の語りはそれだけでも読む価値が十分にあります。

そんな”思春期”特有のディティールを、映画のなかに散りばめてあって「なるほど、このシーンはこういうことだったのか」と唸ってしまいます。

 

冒頭に、制作当時のインタビューなどを再編集、と書きましたが、そのおかげて、いろいろな製作陣の話が、とてもリアルです。当時の時間をそのまま切り取ったような鮮明さと具体的な話が満載です。美術ボードなどのカラースケッチも多数収録してあり、キャラクター設定のスケッチもあり、絵としても見どころ満点でした。「西洋と東洋の魔女、その歴史」なんかもかなり深く掘り下げてあって、より専門的な話、歴史観や宗教観も学ぶことができます。

 

そしてあのヨーロッパ的な雰囲気のする舞台ですが、モデルとなったスウェーデンのストックホルム、ゴッドランド島のヴィズビーの他、インタビューのなかからいろいろな街の名前が登場してきます。そんなごっちゃまぜにしたヨーロッパ的な舞台だからこそ、モデル地はありながらも「架空の場所」という設定になっているんですね。

ヴィズビーの街です。

魔女の宅急便 ヴィズビー

素敵ですね!ほかにも「ヴィズビー」や「ストックホルム」などで検索をすると、『魔女の宅急便』的雰囲気をもった街写真がたくさんHitすると思います。

 

さて、肝心の音楽:久石譲のことに触れていませんが、もちろん久石譲の当時制作インタビューも収録されています。ここまで網羅してしまいますと、膨大になってしまいますので、それはまた別の機会にご紹介します。

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