Posted on 2021/08/06
「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・ツアーから、アンコール「World Dreams」が特別配信されました。4月の緊急事態を受けて翌日以降4/25,27の公演中止を余儀なくされた、4/24公演最後の一曲です。ぜひご覧ください。 “Info. 2021/08/06 「World Dreams」W.D.O.2021 Date April 24 より 特別配信” の続きを読む
Posted on 2021/08/06
「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・ツアーから、アンコール「World Dreams」が特別配信されました。4月の緊急事態を受けて翌日以降4/25,27の公演中止を余儀なくされた、4/24公演最後の一曲です。ぜひご覧ください。 “Info. 2021/08/06 「World Dreams」W.D.O.2021 Date April 24 より 特別配信” の続きを読む
Posted on 2021/07/07
待望のミニマリズム・シリーズ第4弾!! 久石譲のソロアルバム「ミニマリズム4」が、7月7日に発売。「コントラバス協奏曲」と「The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra」を豪華に収録した本作の発売に合わせ、ソロを務めたコントラバス奏者の石川滋氏とホルン奏者の福川伸陽氏、そして久石譲の3人による鼎談が実現しました。貴重なインタビューの模様をギュッと約10分の映像にまとめてお届けいたします。 “Info. 2021/07/07 久石譲「ミニマリズム 4」秘蔵インタビュー映像 公開!! 【8/6 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2021/07/31
4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。
❝久石譲と新日本フィルによるワールド・ドリーム・オーケストラ、2年ぶりの公演決定&[ライブ配信決定]*!待望のシンフォニーNo.2がいよいよ完成するほか、交響組曲「もののけ姫」完全版を披露します。どうぞご期待ください!❞
*[additional information]
アナウンスとキラーコピーが駆け抜けた3月、一喜一憂した4月、再び希望の光に導かれた7月。いかなる現状であっても少しでも閉塞感を打破したい!決して負けない!止めてしまってはいけない! コンサートを準備する人たちと、コンサートを待ち望む人たち、その希求する方向は同じです。それでもなお事情や葛藤を抱えながらコンサートへ行けない人もいます。いろいろな思いを日々のエネルギーにして、遠くまでのびる光のように、また次の楽しみを目標にしていきたいですね。
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021
[公演期間] 
2021/04/21,22,24
2021/07/25,26
[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール
*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(日本・海外)
*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(日本・海外)
[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24) 安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 *世界初演
Symphony No.2 (World Premiere)
Mov.1 What the world is now?
Mov.2 Variation 14
Mov.3 Nursery rhyme
—-intermission—-
久石譲:Asian Works 2020 *世界初演
I. Will be the wind
II. Yinglian
III. Xpark
久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
—–encore—-
久石譲:World Dreams
さて、個人的な感想はひとまず置いておいて、会場で配られたコンサート・パンフレットからご紹介します。
皆さんこんにちは、久石譲です。
2021年のワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)は明るく元気に行きたいと思います。
色々あるけど、それでも行ってよかった!
そう思えるコンサートになるように我々一同ベストを尽くします。楽しいひと時をお過ごしください。
1. Symphony No.2 (World Premiere)
2020年9月にパリとストラスブールで初演し、その後世界各地で演奏する予定だったが、パリは2022年4月、その他の都市も2022年以降に延期された。僕としては出来上がった曲の演奏を来年まで待てないので今回W.D.O.で世界初演することに決めた。
2020年の4~5月にかけて、東京から離れた仕事場で一気に作曲し、大方のオーケストレーションも施した。が、コンサートが延期になり香港映画などで忙しくなったこともあり、そのまま今日まで放置していた。当初は全4楽章を想定していたが、3楽章で完結していることを今回の仕上げの作業中に確信した。
この時期だからこそ重くないものを書きたかった。つまり純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した。36分くらいの作品になった。
Mov.1 What the world is now?
チェロより始まるフレーズが全体の単一モチーフであり、それのヴァリエーションによって構成した。またリズムの変化が音楽の表情を変える大きな要素でもある。
Mov.2 Variation 14
「Variation 14」として昨年のMUSIC FUTURE Vol.7において小編成で演奏した。テーマと14のヴァリエーション、それとコーダでできている。とてもリズミックな楽曲に仕上がった。ネット配信で観た海外の音楽関係者からも好評を得た。
Mov.3 Nursery rhyme
日本のわらべ歌をもとにミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるかの実験作である。途中から変拍子のアップテンポになるがここもわらべ歌のヴァリエーションでできている。より日本的であることがむしろグローバルである!そんなことを意識して作曲した。約15分かかる大掛かりな曲になった。
2. Asian Works 2020 (World Premiere)
2020年のエンターテインメント音楽として作曲した曲の中から、アジアから依頼されたものを選んだ曲集だ。それぞれの楽曲は中国、香港、台湾と何やら緊張する地名が並んでいるが、政治的意図は全くありません(笑)
I. Will be the wind
LEXUS CHINAの委嘱で作曲、疾走感を重視した。
II. Yinglian
2020年の香港映画「Soul Snatcher」で使用したラブテーマ。クラリネットのソロが印象的な小曲だ。
III. Xpark
台湾の水族館のために作曲した。いわば環境音楽のように観に来ていただいた人々に寄り添う音楽を書いたが、この曲はExitの音楽として観客の皆さんが楽しい気分で帰って欲しい、と思い作曲した。
3. Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
1997年のアニメーション映画「もののけ姫」に書いた音楽をもとに交響組曲として再構成した。数年前にW.D.O.で取り上げたのだが、何かしっくり来なかったので、今回再チャレンジした。
大きく変えた箇所は新たに世界の崩壊のクライマックスを入れたこと、それとスタジオジブリフィルムコンサート世界ツアーで使用しているオーケストレーションを関連楽曲に導入したことなどである。再構成したことでより宮崎さんが目指した世界に近づけたように思え、僕は満足している。
最後に本当に来ていただいてありがとうございます。
楽しんでいただけたら幸いです。
久石譲
(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・パンフレット より)
*パンフレットは4月開催分と7月開催分で[公演日程]と[久石譲 楽曲解説]が一部修正されています。楽曲解説の一~ニ文が添削されています。ここでは7月開催分を掲載しています。
ここからはレビューになります。
見たいのは『もののけ姫』のところだけかもしれない。いろいろ言われてもピンとこないかもしれない。長くて読むにツライかもしれない。……それでも、書ききりたい!いま思ったことを刻々と書ききってしまいたい!……そう思ってプログラム順です。『もののけ姫』だけ見たい人は豪快にスクロールしてください。一気に読むのは忍耐かもしれませんが、少しずつでも楽しく読みすすめていただけたらうれしいです。
交響曲 第2番
Symphony No.2
Mov.1 What the world is now?
Mov.2 Variation 14
Mov.3 Nursery rhyme
待望のシンフォニーNo.2世界初演です。全3楽章、各楽章10分以上、トータル約36分の大作です。まず触れたくなるのは作品名のことです。これまでの流れからみたときに、新作交響曲は《第2交響曲(2番目の交響曲)》であり、タイトルは《○○○○ SYMPHONY》などというようになるのかと思っていました。今回は純粋なる作品番号《交響曲 第2番》として現れました。
以前、久石譲はこんなことを語っています。
”これはすごく悩みます。シンフォニーって最も自分のピュアなものを出したいなあっていう思いと、もう片方に、いやいやもともと1,2,3,4楽章とかあって、それで速い楽章遅い楽章それから軽いスケルツォ的なところがあって終楽章があると。考えたらこれごった煮でいいんじゃないかと。だから、あんまり技法を突き詰めて突き詰めて「これがシンフォニーです」って言うべきなのか、それとも今思ってるものをもう全部吐き出して作ればいいんじゃないかっていうね、いつもこのふたつで揺れてて。この『THE EAST LAND SYMPHONY』もシンフォニー第1番としなかった理由は、なんかどこかでまだ非常にピュアなシンフォニー1番から何番までみたいなものを作りたいという思いがあったんで、あえて番号は外しちゃったんですね。”
(Blog. NHK FM「現代の音楽 21世紀の様相 ▽作曲家・久石譲を迎えて」 番組内容 より抜粋)
『THE EAST LAND SYMPHONY』は、標題音楽(音楽外の想念や心象風景を聴き手に喚起させることを意図して、情景やイメージ、気分や雰囲気といったものを描写した器楽曲のことをいう from ウィキペディア)的側面もあります。
『交響曲 第2番』は、絶対音楽・純音楽に近い、久石譲楽曲解説でいう ”つまり純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した” 作品ということになります。最新インタビューでも、タイトルを付けることをやめた理由について語っています。そこで持ち上がってくるファンの心の声「第1番はどれ?過去のシンフォニー作品たちは?」、そのあたりのこともあわせて別頁で探求しています。よかったらご覧ください。
楽章ごとには副題が付与されているおもしろさにも注目したいです。
Mov.1 What the world is now?
きれいな翻訳が見つけられなかったのですが、僕の解釈です【世界は今どうですか?/世界は今どうなっていますか?/世界は今何が起こっていますか?/世界は今どんな状況ですか?】、こんなニュアンスや意味合いなのかなと思います。世界中を覆っているCovid-19という今を如実に反映したものであると言えます。また、これから先いかなる時もいかなる瞬間も、ふと立ち止まって考えたい問題提起や警鐘のようなもの、と思っています。
荘厳な導入部です。上から下へ連なる2音がくり返す弦楽は、古典クラシック作品にもみられる崇高さあります。最小に切りつめられたモチーフが、ヴァリエーション(変奏)で展開していきます。中間部や終部に聴かれるパーカッションの炸裂も強烈です。急降下する旋律、下からせり上がってくる旋律、うねり旋回する旋律、それらの合間にアタックする最強音たち。単一モチーフ[レ・ファ・ド](D-F-C)および[レ・ファ・ド・ミ](D-F-C-E)の旋律とそこからくるハーモニーは、第3楽章の構成と響きにもつながっていくようです。
Mov.2 Variation 14
久石譲楽曲解説にあるとおり、交響曲の第2楽章として書き上げたものを、先に小編成版で披露していた曲です。MFコンサートの16奏者による小編成版も好感触、遂にオリジナル・フルオーケストラが初披露されたというおもしろい登場順番です。全体構成は同じですが、楽器編成の拡大縮小によるパートや旋律の増減はあるのかもしれません。
次の第3楽章とはまた異なる、こちらもわらべ歌のようなテーマ(メロディ)とそのヴァリエーション(変奏)から構成された曲です。メロディがリズミカルになったり、付点リズムになったり、パーカッションや楽器群の出し入れの妙で楽しいリズミックおもちゃ箱のようです。遊び歌のようでもあり、お祭り音頭のようでもあります。日本津々浦々で聴けそうでもあり、海を渡って世界各地の風習や郷愁にもシンパシー感じそうでもあります。子どもたちが集まって遊びのなかで歌う歌、それがわらべ歌です。おはじきのような遊びも、世界各地で石をぶつけて同じように遊ぶものあったり、お祭りのようなリズム感は世界各地の祭事やカーニバルのような躍動感あります。
ひとつのテーマ(メロディ)が、歴史や伝承によって歌い継がれる時間のなかでの変化、あるいは土地や環境によって節回しやリズム感が異なるという空間のなかでの変化。そんな時間軸と空間軸によるヴァリエーション(変奏)という見方をしてみるのもおもしろいなと思います。そこには、人・歴史・記憶・思いといったものが重層的に響きあうように思うからです。
また、近年久石譲が推しすすめている単旋律の手法を連想させます。厳密に言うと、単旋律になっている箇所はないと思うのですが。単旋律の手法で使っていた同じ音を複数の楽器で重ねることで、音の厚みを瞬間的に持たせたり、重ねる楽器をカラフルにすることで色彩感を演出する。そういったことが随所に施されていますが、部分的にも単旋律で押しきっている箇所はないと思います。それでも、楽章をとおして極力ハーモニー感をおさえた書きかたがされています。ハーモニーからくるエモーショナルじゃない、リズミックからくるエモーショナルで貫きたい、たとえばそんな印象です。
About “Variation 14 for MFB” and “Single Track Music”
MFヴァージョンは、コンサート動画特別配信もされています。単旋律についてもあります。
Mov.3 Nursery rhyme
タイトルそのまま日本語で”わらべ歌”です。12~13小節からなる五音音階メロディラインが次々とフーガのように織りかさなっていきます。久石譲楽曲解説にあるとおり、”途中から変拍子のアップテンポになるがここもわらべ歌のヴァリエーションでできている。” なるほどたしかにわかりやすくなります。
久石譲のいう “日本のわらべ歌をもとに” というのが、特定の歌をさしているのかわかりませんが、日本人なら誰しも聴いてすぐに「かごめかごめ」をイメージすると思います。うーん、悩む。ベースとなっているのは「かごめかごめ」でもいいとは思うんです。けれども、例えば変拍子のアップテンポになるヴァリエーションなど聴きすすめていくと、また別のわらべ歌を連想する人もいると思います。聴いた人それぞれが生まれ育った土地にある歌に結びつきやすい。わらべ歌は五音音階の似た旋律が多くみられます。つまり、総合的なわらべ歌のイメージが、この第3楽章の基本モチーフになっているとみることもできるような気がします。「かごめかごめ」の楽曲的背景を暗喩としてどこまで持ち込みたいとしているか、このあたりにも付随してくることだと思うので、一旦「この曲から引用」とは断定しないでおきたい今の心境です。
”ミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるかの実験作である”、久石譲の楽曲解説からです。ここからはテーマ(メロディ)だけに注目して楽章冒頭を紐解いていきます。コントラバス第1群がD音から13小節のテーマを奏します。2巡目以降は12小節のテーマになります。本来は1コーラス=12小節のテーマでできていて、1巡目に1小節分だけ頭に加えているかたちです。「レーレレ/レーレミ、レーレーレー」(13小節版)、「レーレミ、レーレーレー」(12小節版)というように。なぜ、こうしているのかというと、かえるの歌の輪唱とは違うからです。かえるの歌はメロディ1小節ごとに、次の歌い出しが加わっていきますよね。なので、ズレて始まって、そのままズレズレて終わっていきます。
コントラバス第1群が2巡目に入るとき、同じ歌い出しの頭から、チェロ第1群コントラバス第2群がA音から13小節のテーマを奏します。同じく2巡目以降は12小節のテーマになります。この手法によってズレていくんです、すごい!12小節のテーマだけなら、同じ歌い出しの頭から次が加わっていくと、メロディをハモるように重なりあってズレることはありません。でも、なんらかの意図と理由で、歌い出しの頭を統一しながらもズラしたい。だからすべて1巡目だけ13小節で、2巡目以降は12小節なんだと思います、すごい!テーマは低音域から高音域へとループしたまま引き継がれていきます。つづけて、チェロ第2群チェロはE音から、ヴィオラはC音から、第2ヴァイオリンはG音から、第1ヴァイオリン第1群はB音から、最後に第1ヴァイオリン第2群はD音からと、壮大な太陽系を描くように紡いでいきます。そして全7巡回したころには、壮大なズレによる重厚なうねりを生みだしていることになります。対向配置なので、きれいにコントラバスから第1ヴァイオリンまで時計回りに一周する音響になることにも注目したい。さらに言うと、コントラバス第1群のD音に始まり、最終の第1ヴァイオリン第2群もD音で巡ってくるわけですが、このとき響きが短調ではないと思います。メロディの一音が替わっているからです。あれ? なんで同じD音からなのにヴァイオリンのときは抜けた広がりがあるんだろう、暗いイメージがない。ここからくるようです。
(余談)「わらべ唄」と「天女の歌」(両作曲:高畑勲)でも同じような関係性と響きをみることができますね。快活に歌われるメロディと、暗い影をおとすメロディ。同じ旋律をもとにしながら響きや印象をがらっと変える。わらべ歌というものがそういったことをしやすいのか、五音音階のライン上で動かすことに効果を発揮するのか、とても興味深いところです。(余談おわり)
登場順からは少し入れ替えますが、ピアノなどで低い順に[レ・ラ・ド・ミ・ソ・シ](D-A-C-E-G-B)と同時に鳴らすと美しい和音になることがわかります。7巡する旋律からくる基音6音(D-A-C-E-G-B)ですが、再現部にコントラバスのF音から始まります。これを加えると基音7音(D-F-A-C-E-G-B)で、ピアノを指で押さえた状態を見ると3度ずつ均等に離れた音が、両手を使って2オクターブできれいに響いていると思います。また、ここで第1楽章の単一モチーフを思い出してみます。単一モチーフ[レ・ファ・ド・ミ](D-F-C-E)の旋律とそこからくるハーモニーと、第3楽章のテーマの基本7音[レ・ファ・ラ・ド・ミ・ソ・シ](D-F-A-C-E-G-B)は、同じようなハーモニーを響かせていることに気づきます。わらべ歌の五音音階のメロディからくる日本的響きと、セブンスコードのようなモダンな響きによる深いブレンド。それから、かえるの歌のようにまったく同じメロディが重なっていくのではない、メロディの音をそっと一音替えることで明暗をつくりだす。基本テーマも中間部ヴァリエーションも終盤の再現部も、同じような響きの変化を聴くことができます。重層的な旋律とそこから生まれるハーモニーの整合性をとっているように思えます。……わかったようなことを言ってはいけない、失礼しました、終わります。
再現部のクライマックス(楽章終盤)、コントラバスやチューバのどっしりしたテーマに支えられた管弦楽の大謳歌は『ムソルグスキー:展覧会の絵』終曲「キエフの大門」を彷彿とさせるほどの荘厳さを感じます。いや、黄金の国ジパングか!? 終結部のソロ・コントラバスはE音から12小節のテーマを奏して幕をとじます。コントラバスという低弦楽器に始まり、そして終わる。とても土着的なイメージをあたえてくれます。そこに根づいているということ、あるいはちゃんと根を張ることの象徴のようにも感じます。
高畑勲監督が聴いたら喜んだんじゃないかな、満面の笑みで楽しんだんじゃないかな。そんなこともまた思いました。あるいは、この作品をベースに映像をつけさせてほしい、なんていう逆オーダーもありそうなほど気に入ったかもしれない。そんなこともまた思いました。なんとはなしに、目頭の熱くなってくる作品です。
総評して。
まず驚きます。何に驚くかって、この作品の初演が海外オーケストラとの共演で予定されていたということです。これだけ日本的な旋律や響きの色濃い作品であれば、普通なら日本のオーケストラと初演や共演を重ねて地盤と自信を固めたいとならないのかな。それをフランスのオーケストラが初演!?、なんとも野心的だと思います。
でも、ここにこそ、久石譲のみなぎる自信があるように感じてきたりもします。つまり、日本的な旋律を使いながら、全楽章とおして縦のラインがそろっている。タタッ、タタッ、と縦わりで、ターラッとこぶしをつけたくなるような旋律も、一切の節回しを排除して、リズミックに徹しています。たぶん、リズムものってきてテーマを歌おうとしたら「タ~ラッ」ってなってしまいそうなところも、「タッタッ」と一貫してきちんとそろえてアプローチしています。だからこそ、海外オーケストラでも、この交響曲を同じクオリティと求める表現でパフォーマンスできる。作品の持ち味と現代的なアプローチをいかんなく発揮できる。そう踏んだじゃないかと思うほど。勝手に震える。
『THE EAST LAND SYMPHONY』と『交響曲 第2番』で確信したこと。久石譲にしかつくれない交響曲がある。そこには大きな3つの要素があります。古典のクラシック手法、現代のミニマル手法、そして伝統の日本的なもの。この3つの要素と音楽の三要素(メロディ・ハーモニー・リズム)の壮大なる自乗によって、オリジナル性満ち溢れた久石譲交響曲は君臨しています。これは誰にもマネできるものではありません。言い換えると、今の時代の×日本の誇る×世界に発信する 現代作曲家、ということになりますよね! We want to listen to your Symphonies. そんな海外オファーも増えてくるんじゃないかな。いつか久石譲ご本人による、音楽専門家らによる音楽的作品解説にも期待したいです。
『交響曲 第2番』にフォーカスすると、正統的な番号付け作品として初めて登場しながら、構成や形式は必ずしも正統的ではありません。ソナタ形式、緩徐楽章などといった一般的な交響曲のかたちではない。全楽章が変奏形式(ヴァリエーション)で構成されているという、とんでもなく個性的です。久石譲のミニマル×ヴァリエーションの手法がとても相性がいい、いやいや強力な武器であることに気づかされるほどです。聴く人ひとりひとりの豊かな感受性によって、この交響曲はより一層イマジネーション豊かに響きわたっていきそうです。
これからも久石譲交響曲は作品番号を重ねていくでしょう。そして、重ねれば重ねるほど私たちは実感していくことになると思います。交響曲は、現代作曲家 久石譲としての最終形態であり到達点であるということに。ジブリの曲は知ってる、映画音楽やCM音楽は聴きやすい、ミニマル曲こそおもしろい、現代作品の先鋭さかっこいい。そんなすみ分けや境界線すら吹き飛ばしてくれる交響曲たち、それは《総合的な久石譲音楽のかたち》です。
Asian Works 2020
多くの人が初めて聴いた曲も多いだろうなか、SNSコンサート感想などでも人気の高かったコーナーです。そして、きれいに人気を等分していたのも印象的でした。エンターテインメントで発表された楽曲たちがすぐにコンサートで聴けるというのも、近年では珍しいかもしれません。音源化の有無なんかもふくめてリアルタイムに追いかけているファンにもうれしいラインナップとなりました。
I. Will be the wind
先に公開されたオリジナル音源と楽曲構成はほぼ同じだと思います。
”叙情的でミニマルなピアノの旋律と室内オーケストラ編成で構成されている。ミニマルなモチーフのくり返しを基調とし、奏でる楽器を置き換えたり、モチーフを変形(変奏)させたり、転調を行き来しながら、めまぐるしく映り変わるカットシーンのように進んでいく。
後半はミニマルなピアノモチーフの上に、弦楽の大きな旋律が弧を描き、エモーショナルを増幅しながら展開していく。かたちをもたない風、安定して吹きつづける風、一瞬襲う強い風、淡い風、遠くにのびる風。決して止むことのない風、それは常に変化している、それは常にひとつの場所にとどまらない。ミニマルとメロディアスをかけあわせた、スマートでハイブリットな楽曲。”
(Disc. 久石譲 『Will be the wind』 *Unreleased レビューより抜粋)
たとえば、世界中から日本を訪れる人たち。飛行機が滑走路へ降り立つ機内で、日本を紹介するビデオと一緒にこの音楽が流れる。なんと美しいウェルカム音楽だろうと思います。そして、これから旅する日本への高鳴る気持ちを運んでくる。つつましさと、風流さ舞うなおもてなし。
II. Yinglian
ぜひサントラ盤も聴いてみてください。この曲はTrack.17「英蓮 / Yinglian」です。
”愛のテーマ。主要キャラクターの一人、女性が登場するシーンで多く聴かれる楽曲。お香のような、ゆらゆらと、ふわっとした、無軌道な和音ですすむ。ゆるやかな独奏、メロディとアドリブのあいだのような、動きまわりすぎない加減の無軌道な旋律がのる。魅惑的で妖艶な曲想は、これまでの久石譲には珍しい。クラリネット、ピアノ、フリューゲルホルン、フルート、ストリングス。登場するたびにメロディを奏でる楽器たちを変え、まるで衣装替えに見惚れるように、つややかに彩る。(Track.17,20,25,27)”
(Disc. 久石譲 『赤狐書生 (Soul Snatcher) オリジナル・サウンドトラック』 レビューより抜粋)
III. Xpark
明るく軽やかな曲です。音符の粒の細かいメロディがつながってラインになって、楽しそうに転げているようです。そして広がりのある曲です。ありそうでなかった!そんな久石譲曲です。番組音楽に使わせてください!そんな久石譲曲です。後半のソロ・ヴァイオリンの旋律も耳奪われる演出です。ホンキートンク・ピアノのように、ちょっとチューニングの狂った調子っぱずれのニュアンスで、小躍りするほど浮足立った弾みを表現しているようにも聴こえてきます。してやったりなコンマスと指揮者の目配せに笑みこぼれます。こんな音楽でおでかけの楽しい一日が締めくくれたらなんて素敵だろう。
映画『海獣の子供』公開時、コラボレーション企画として国内いくつかの水族館で、この映画音楽を使ったショータイムが開催されました。撮影OK!拡散Welcome!ということもあって、よくSNSで動画見かけました。それを目にしてのオファーだったのかはわかりません。でも、久石譲のミニマル・オーケストレーションは、ほんと海や宇宙のミクロマクロな世界観と抜群Good!なことはわかります。
Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
待った甲斐あったスケールアップ!2021年版は楽曲構成も追加され、いよいよその全貌を現しました。
<構成楽曲>
1.アシタカせっ記 (交響組曲 第一章 アシタカせっ記)
2.タタリ神
3.旅立ち -西へ-
7.コダマ達
4.呪われた力 *
8.神の森 (交響組曲 第五章 シシ神の森)
20.もののけ姫 ヴォーカル (交響組曲 第四章 もののけ姫)
28.黄泉の世界 *
29.黄泉の世界 II *
30.死と生のアダージョ II *
31.アシタカとサン (交響組曲 第八章 アシタカとサン)
ナンバー/曲名『もののけ姫 サウンドトラック』に準ずる
(曲名『交響組曲 もののけ姫 CD版』に準ずる)
*新規追加楽曲
《Symphonic Suite PRINCESS MONONOKE》2016年版
a) アシタカせっ記
b) TA・TA・RI・GAMI
c) 旅立ち
d) コダマ達
e) シシ神の森
f) もののけ姫 (vo)
g) レクイエム
h) アシタカとサン (pf/vo)
『もののけ姫』の作品世界もあいまって、語彙豊かな感情豊かなコンサート感想がSNSには溢れていました。一人一人がこの作品と共に歩んできた証なのかもしれません。そこには到底敵わない。なので、事実確認として報告いたします!…なるべくわかりやすく箇条書きで書いていきます。
1.2016年版と2021年版では構成楽曲が新たに入れ替わっています。
2.2016年版「レクイエム」が除外され、2021年版「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」が新規追加されています。「レクイエム」は『交響組曲 もののけ姫 CD版』独自の楽曲構成からとなっていました。
3.交響組曲作品『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』のあり方にならって、映画本編で使用した音楽を中心に、サウンドトラック盤ベースに楽曲構成するというコンセプトに大きく軌道修正したように思います。一方では、楽曲によって『交響組曲 もののけ姫 CD版』のオーケストレーションを活かしているところもあります。上記〈構成楽曲〉で( )表記しています。
4.『交響組曲 もののけ姫 CD版』にしかなかった独自のメロディやパートは極力除外したということになります。「神の森」は「交響組曲 第五章 シシ神の森」の楽曲構成に近いですが、イメージアルバム「シシ神の森」の楽曲構成と世界観から取り込んでいるとするのが、正しいに近いと思います。風の谷のナウシカの交響組曲もイメージアルバムから「谷への道」を導入したように。初期の構想からすでに生まれていたけれど映画本編には使われなかった曲。
…と2016版と2021版の大枠の変化を記したうえで、《交響組曲 もののけ姫 2021版》を構成する楽曲をそれぞれ見ていきましょう。
5.「アシタカせっ記」、太鼓たちの轟きで一瞬にして『もののけ姫』の世界へ。この確固たるメインテーマが聴けただけで満足感いっぱいになりますが、我に返ってまだまだ一曲目です。
6.「タタリ神」、荒れ狂うような速いパッセージの弦楽器に管楽器、そして通奏するパーカッション群。重く獰猛に進んできそうなメロディは、これまでにはない革新的な日本製マーチ(行進曲)の誕生だったとすら感じます。
7.「旅立ち -西へ-」、この曲好きな人とっても多いと思うんです。交響組曲に登場したこと感無量な人とっても多いと思うんです。
8.「コダマ達」、サウンドトラックのみに収録されていた楽曲(オーケストラ+シンセサイザー)で、2016版から交響組曲に盛り込まれました。ピッツィカート・木管・鍵盤打楽器、そして木柾やウッドブロックなどの小ぶりなパーカッションたちが、コダマたちを巧みに表現しています。
9.「呪われた力」、2016年版「レクイエム」パート中にもありましたが、前半に単曲で新規追加されました。細かくいうとアレンジは交響組曲CD中のもの、およびサントラ盤「23.呪われた力 II」に近いです。物語にそった組曲を目指したこと、呪われた力の凶暴性を出すことで、のちのシシ神の森のシーンや終盤の黄泉の世界までしっかりとつながっていきます。
10.「神の森」、『交響組曲 もののけ姫 CD版』に近い楽曲構成になっています。ただし、4.にも記しましたが、遡ればイメージアルバム「シシ神の森」にもすでにありました。映画本編では未使用となったもの、音楽作品として極めるためにはあってしかりですね。
11.「もののけ姫」(vo)、ソプラノによって歌われます。序盤の伴奏もピアノではなく、ハープなどで静な深い森を演出しているようです。(vo)についてはのちほど…。
12.「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」、久石譲楽曲解説に ”新たに世界の崩壊のクライマックスを入れた” とあたります。シシ神殺しのパートをダイレクトに入れ込むことで、破壊と再生、生と死、『もののけ姫』作品世界の内在する二極を表現しています。そして前半の「呪われた力」にあった、決して消えることのない痣、いつ濃くなり蝕むかわからない痣を思い起こさせます。それは、決して簡単に答えの出ない世界で生きていく私たちへと、しっかりと刻み込まれる思いがします。
13.「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」、サントラ盤ではシンセサイザーの唸るような音色が、ここでは見事にコントラバスのグリッサンドで表現されています。うん、再現という以上の効果を発揮しています。圧巻です。こんなことできるんだと鳥肌ものでした。ここまでできたらもう怖いものないんじゃないかなというくらい(どんなシンセ曲でもオケ曲にできる、の意)。
14.「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」、たしかにと納得してしまいます。これぞ入って『もののけ姫』の世界と強く膝を打ちたくなります。そうして、それでもしっかりと生きていかなければいけない私たちへと迫り浴びせられる地割れのする管弦楽の轟きの後、希望と再生へとつながっていきます。
15.「アシタカとサン」(vn/vo)、やっぱり導入は僕がエスコートしないと(幻の声)、1コーラス目は久石譲ピアノが迎え入れたソロ・ヴァイオリンが美しいメロディを奏でます。2コーラス目にソプラノによって丁寧に歌われることもあって、豊嶋泰嗣さんのフェイク(メロディラインの持つ雰囲気は残しつつも、ある程度装飾的な要素を加えつつ崩して演奏すること)が光っています。
16.「アシタカとサン」(vn/vo)、2コーラス目はソプラノによって歌われます。「信じて~」からの天からやさしく降りそそぐ光ようなストリングス(武道館verから)、チューブラーベルの希望の鐘が高らかに、やさしい余韻へと。(vo)についてはのちほど…。
17.久石譲楽曲解説に ”スタジオジブリフィルムコンサート世界ツアーで使用しているオーケストレーションを関連楽曲に導入した” とあります。『久石譲 in パリ』のTV音源を聴いていても、僕には見つけることできませんでした。アンコール「アシタカとサン」はTV放送されていない。とても精緻なオーケストレーションのところなのかな…?
浅はかでした。ごめんなさい。
壮大なお詫びをしたいと思います。以前に、『交響組曲 もののけ姫 2016年版』だけがCD化されないことについて、うだうだつらつら書いたことがあります。そこでは「ああ、歌の部分に納得してないのかなあ」ということを中心に掘りさげていました。だったら歌なし版でもいいのかも……ちょっとだけそんな書いていたかもしれません…。
今回の久石譲楽曲解説に、”数年前にW.D.O.で取り上げたのだが、何かしっくり来なかったので、今回再チャレンジした。” とあります。ただ、そのつづきを読んだらわかるとおり、楽曲構成において主に修正がかかっています。
……
2021年版を聴いて「歌は必要なんだ!」と強く思いました。『もののけ姫』という作品において、歌(言葉)による精神性の表現というのは大切なことなのかもしれません。世界ツアー版で「もののけ姫」はソプラノによる日本語歌唱、「アシタカとサン」はコーラスによる英語で歌われています。でも、だから2021年版もやっぱり歌で、と言っているわけじゃないんです。
それは、「日本語による歌唱」です。ここに強くこだわっているように思えてきました。世界ツアー版とは異なり、これから先《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》が海外公演されるときは、現地オーケストラと現地ソリストによる共演になります。そして、きっと「日本語による歌唱」です。これはたぶん揺るがない。
ディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌「Let It Go」。映画プロモーション企画で、25ヶ国語で歌いつながれた主題歌動画が公開されたとき、話題となったのは日本語で歌われていたサビ「ありのままの~」の部分です。音符ひとつひとつに、言葉ひとつひとつを乗せた日本語に「キュート!美しい!」と世界の人たちが反応しました。日本人だけはピンとこないのか、そうなの?、何をそんなに騒いでいるのかわからない、温度差を感じるほど、世界はその瞬間たしかに日本語に熱狂しました。
これです。《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》でめざしたのは、『もののけ姫』の世界を音楽で表現すること、日本的なメロディ・ハーモニー・リズムを余すことなく表現すること、そのなかに日本語の美しさを表現することも含まれる。そう強く思いました。オペラなどと同じように、純正の日本語でしっかりとした作品をのこす。「日本語っていいね、きれいな響きだね」と言われるものをつくる。
「もののけ姫」(作詞:宮崎駿)も、「アシタカとサン」(作詞:麻衣)も、文字数にすると少ない日本語で作られています。久石譲が作曲した音符の数とほぼイコールになります。言葉ひとつひとつに、音符ひとつひとつがのる。もうひとつ、久石譲は歌詞にメロディをつけるときに、言葉のアクセントやイントネーションには逆らいません。発声と同じように自然なメロディをつけます。♪ポニョ~も♪トトロ~も、そうですよね。そのふたつの手法こそ、久石譲がポリシーとしてずっとやってきたことです。あるとき「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」現象と突如パッとつながったんです。そういうことか!そういうことか?!ちっ違いますか…? と。
スタジオジブリ作品交響組曲プロジェクト、2015年以降『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『千と千尋の神隠し』『魔女の宅急便』『もののけ姫』とここまできました。そして、ジブリ作品が日本を代表する象徴であるように、交響組曲でも初めて純正の日本語でしっかりと作品をのこす『もののけ姫』が2021年版として堂々完成することになった。このことは、海外で演奏される近い未来にとっても、日本文化として残ってほしい遠い未来にとっても、大きな意味と価値をもっていくだろう、そう強く思っています。
……
17の箇条書きと壮大なお詫び、けっこうなボリュームになってしまいました。最後に一文で。物語にそった音楽構成と日本語の美しさで『交響組曲 もののけ姫』完全版ここに極まる。
World Dreams
「9.11」から20年の今年。このことだけでも重みのある一曲です。そして「Covid-19」の渦中にある今。どんな時でも必ず演奏される曲。こんな一面も、4月24日無念さを残しながら、それでも今できることをかみしめるように演奏したWDOオーケストラメンバーのSNSの声も印象的でした。観客だけじゃなく、楽団員にとっても大きな一曲は、中断を経て新しい完走地点の7月25,26日いろいろな想い駆け巡りながら、会場に響きわたりました。
東日本大震災から5年後の2016年にシンフォニーNo.1「THE EAST LAND SYMPHONY」と「交響組曲もののけ姫2016」。そして10年後の2021年にシンフォニーNo.2「交響曲 第2番」と「交響組曲 もののけ姫 2021」。まさかのアクシデントを乗り越えて完走したW.D.O.2021は、10年前に思い描いていた未来ではない、新しい試練の真っ只中となりました。
そんななかでも、全公演完売御礼となったWDOコンサートはやっぱりすごい。今回もオール久石譲プログラムでしたが、WDO史上最も久石譲らしい作品たちが並んだようにも思います。日本やアジア色の強い作品たちが、待望の新作交響曲と熱望のエンタメ作品が、日本人作曲家としての久石譲の魅力が、リタルタイムで世界各地にライブ配信されたということもきっと大きいと思います。
コンサート・パンフレットは販売による密集を回避するためか、観客全員に配布されるものとなっていました。各会場特設販売コーナーでは、最新ベストアルバムCDや最新スコアなどが並んでいました。
いつもなら全公演とも一瞬でスタンディングオベーションが起こります。今回も気持ちはそう!したかった!…遠慮や躊躇があります見られます。席を立つことで、大きく拍手することで、ウィルスを舞わせてしまうんじゃないかと危惧するように、科学的根拠はたぶんないけれど心理的なもの…ここが日本人らしいんです。海外ファンの配信視聴した皆さんは不思議だったかもしれないから、ひと言添えておきたい。気持ちはオール・スタンディングオベーション!
MCのない久石譲コンサートですが、アンコール終わっても鳴り止まない拍手に、何回も登壇する久石譲は、拍手をやさしく制して「今日はありがとうございます」「気をつけて帰ってくださいね」「また会いましょう」などと各会場でひとこと挨拶してくれました。
みんなの”WDO2021”コンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
リハーサル風景



from 新日本フィルハーモニー交響楽団 団員SNS
記念撮影

from 豊嶋泰嗣 SNS

from 二期会21 公式ツイッター
@nikikai21
公演風景
4/24 東京公演
7/26 東京公演
2021.08.06 追記
最後まで読んでいただきありがとうございます。

Posted on 2021/07/30
4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。
今回ご紹介するのは、WDOだけでも3回連続(2018/2019/2021)でレポートしてくれる、ふじかさんです。さすが久石譲音楽を広く深く愛してやまない、ふじかさんです。過去作品たちから新作につながっているもの、そして未来の新作たちへつながるかもしれないもの。久石譲曲の点と点が線になっていて理解をやさしく助けてくれるレポートです。
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021
[公演期間] 
2021/04/21,22,24
2021/07/25,26
[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール
*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(日本・海外)
*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(日本・海外)
[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24) 安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 *世界初演
Symphony No.2 (World Premiere)
Mov.1 What the world is now?
Mov.2 Variation 14
Mov.3 Nursery rhyme
—-intermission—-
久石譲:Asian Works 2020 *世界初演
I. Will be the wind
II. Yinglian
III. Xpark
久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
—–encore—-
久石譲:World Dreams

WDO2021東京芸術劇場公演の様子をレポートさせて頂きます。
2021年7月25日 東京芸術劇場 15:00開演
今回のWDO公演は新型コロナウイルスによる情勢の変化で大きく振り回されるツアーとなってしまいました。本来は4月末に開催予定でしたが、3度目の緊急事態宣言により公演は中止。およそ3か月遅れ、再度公演が設定されましたが、またしても4度目の緊急事態宣言が発令され、そのような状況下での開催となりました。ちょうど、東京オリンピックの開催とも重なり、会場では消毒・検温のほか、手荷物検査も実施されていました。個人的には2019年の静岡公演以来、約2年ぶりのWDOとなりました。
今回の目玉はコロナ禍で書き上げられた『Symphony No.2』。前作の交響曲となる『The East Land Symphony』からは早くも5年となり、待望の最新作の交響曲となりました。そして同時に演奏される『もののけ姫組曲』は2016年WDO公演にもプログラムされており、破壊と再生をキーワードにどんな世界観が構築されるのか本当に楽しみにしていました。
会場に入ると、ほぼ満席の客席。しかし、会話は少なく、いつもよりは静かな印象を受けました。
15時すぎに楽団員の登壇に続き、コンサートマスターの豊嶋さんが登場。チューニングののちにしばしの沈黙。ほどなくして、久石さんが登場。前回のFOC Vol.3と同様、コンマスとの握手はせず会釈のみで、指揮台へと上がります。
Joe Hisaishi 『Symphony No.2』
『1楽章 What the world is now?』
前作の交響曲『The East Land Symphony』では再生と東日本大震災以降の日本を軸に構成されていて、楽曲の始まりから重々しい雰囲気で導入されるのが印象的でしたが、今回の『No.2』ではプログラムにて「純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した」との記載がありました。
早速、導入部では前作のような重々しい和音ではなく、どこか浮遊感のある和音にストリングスが散発的に2音の音を折り重ねていくような展開から始まりました。同時にチェロによるモチーフが提示され、そのモチーフが木管へと引き継がれていきます。その後はストリングスが細かいパッセージを構成しながら、打楽器隊のパワフルな演奏が加わります。雰囲気としては先日のFOC Vol.3で披露されたレポ・スメラの『Symphony No.2』を彷彿とさせるものもありました。
テンポもリズムも大きく変わっていきますが、軸となるのは冒頭で提示されたチェロによるフレーズで、それらを取り込み、変容しながらフィナーレへと一気に駆け上がっていきました。息つく間もなく、次々と曲の構成が変わっていく様子はまさしくタイトルにもあるように、今日のコロナ禍での世界の様子を暗示させるものも感じました。
演奏後、一瞬拍手が入りそうになりましたが、間一髪で鳴りませんでした…
『2楽章 Variation 14』
去年のMusic Future Vol.7にて小さい編成での試演がされましたが、いよいよ完全版での披露となります。『1楽章』の雰囲気とは一気に変わり、どこか陽気でリズミックなモチーフが提示され、次々と変奏されていきます。このどこか陽気でリズミックなモチーフはまるで『Encounter』のようなユーモアも感じます。様々な音色とアレンジで受け継がれゆくモチーフは聴いていて本当に楽しく、後半にゆくにつれて体を揺らしていきたくなるようなわくわく感に包まれます。終盤は冒頭のモチーフが華やかなパーカッションとスピード感ある演奏により、スリル満点になります。その後、ストリングの短いフレーズを繰り返しながら、チェロの音色で終わります。
『3楽章 Nursery rhyme』
プログラムには「日本のわらべ歌をもとにミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるのかの実験作である」と記載がありました。
わらべ歌のモチーフがコントラバスから始まり、チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンと受け継がれていきます。冒頭がコントラバスから始まることにびっくりしましたが、ある意味マーラーの『Symphony No.1 3楽章』のフランス民謡(日本語歌詞では「グーチョキパーでなにつくろう」)というモチーフを引用したような部分と共通のものも感じました。
わらべ歌モチーフがミニマル的なアプローチで発展をしていく様子は、以前『なよたけのかぐや姫(女声三部合唱のための)』にて実践してきた部分も取り入れられたような部分もあり、いままでの作品にて実験・実践してきた部分も活用し、今回の楽曲へ応用して取り組まれていった様子も感じることができ、それらを踏まえると前作の『The East Land Symphony』とはうって変わって、純粋に音の運動性を追求した作品であると改めて意識することができました。
ミニマルアプローチでの盛り上がりがピークに達したところ、一瞬演奏が途切れます。この瞬間に一瞬拍手がなるハプニングもありました。その後は、再度冒頭のコントラバスによるモチーフの再提示がありますが、副旋律も加わりより重厚な演奏になります。このモチーフを再度発展させていき、再び盛り上がりのピークへ。最終盤は、コントラバスソロによりモチーフを歌い上げ、静かに終わります。
今回の『Symphony No.2』から感じられたことは、ここ近年のミニマル作品にて取り入れてきた部分を様々な形で活用し、構成していった部分でした。各楽章ともそれぞれ、モチーフを提示し、アレンジさせ発展していきます。そしてただズレていくためだけのミニマルではなく、ミニマルもエッセンスの一つとして構成されています。
近年の『Single Track Music 1』『Chamber Symphony No.2』『I Want to Talk to You』『Encounter』『2 Pieces』などなど単旋律の追求、モチーフの発展の仕方など、様々な方法を実験し、行きついた作品が今回の交響曲であると感じました。そして、日本の作曲家だからこそできた西洋楽器と東洋のメロディ・モチーフとの融合。
今後、この楽曲は世界での演奏会でも数多く予定されていており、日本のエンターテインメント性をも訴えることができる作品だと思います。いずれは、日本を代表する交響曲のスタンダードとしてラインナップされるとファンとしてはうれしい限りです。もし、FOCなどでの少し小さい編成でのオーケストラにて演奏した場合、どのような表情へ変わるのか…音を運動性を追求した作品だけあって、今後の様々な発展も期待できる作品となりました。
Joe Hisaishi『Asian Works 2020』
2020年に発表されたエンターテインメント作品をピックアップしたコーナー。近年のエンタメ作品は発表のみでコンサートでの披露や音源化されることなく埋もれてしまうことが多かったですが、今回のコンサートでは一挙に3曲もコンサートのピースとして披露されました。本当にうれしい限りです。
『Ⅰ.Will be the wind』
ミニマルテイストを感じさせるピアノのフレーズを軸に、次々と様々な楽器が折り重なるように演奏されていきます。要所要所に入ってくるミニマル特有のズレが聴いていてなんともクセになります。後半に入るにつれ、加わってくる弦楽器の少し切なげなメロディとミニマルの交差から久石さんのエンターテインメント性が光ります。最後は力強く、バンっ!とフィニッシュです。
『Ⅱ.Yinglian』
香港映画の『赤狐書生オリジナルサウンドトラック』から『英蓮』がセレクト。ピアノの刻みから展開されるクラリネットから聴こえてくる、浮遊感のあり、掴みどころがないようなフワフワとしたメロディ。近年のエンタメ作品で実施されている引いた音楽がここでも実践されている気がしました。
『Ⅲ.Xpark』
最後は台湾の水族館のための音楽からセレクト。フルートの明るく楽しいミニマルを感じさせるメロディから始まり、木管の演奏へと続きます。ミニマル素材と海や深海などのテーマとの相性は抜群。水の流れを感じさせる雄大な弦の調べや、光を感じさせる伴奏のリズム。久石さん自身も楽しそうに体を揺らしながら指揮をしていたのが、印象的でした。最後は水の気泡が弾けるようなピチカートでポンッ!と終わりました。
近年のエンタメ作品では、ミニマルの要素が随所に取り込まれていて作品のクオリティが一段と高められています。納品先で流れて終わりではなく、コンサートで取り上げても作品として成立する完成度。この3曲を聴くと、いままで発表されコンサート等でのお披露目がまだの作品も今後の演奏があるのでは…!と期待のできるコーナーでもありました。
Joe Hisaishi『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』
今回のコンサートのもう一つの目玉、『もののけ姫組曲』が満を持して登場です。ちなみに私自身、2016年版演奏時はプログラムされていないほうの公演(Bプロ)を聴いたため、この組曲はいまだに聴いたことがありませんでした。今回ようやく初鑑賞です。
『アシタカせっ記』
久石さんの大きな振りとともに轟く大太鼓の音色。一気に物語の世界観へといざないます。メロディの入口にはパーカッションも加わり、より壮大な印象へ。
『TA・TA・RI・神』
再び、久石さんの大きな振りとともに轟く大太鼓とさらに和太鼓の音色。緊張感あふれるメロディと吠える金管、炸裂するパーカッション。会場が揺れるような演奏の迫力に会場全体も圧倒されたような雰囲気を感じました。
『旅立ち~西へ~』
先ほどの緊張感からはうって変わり、『もののけ姫』のメロディを軸に楽曲が展開されていきます。後半での壮大なパートではメロディの美しさとアレンジの力強さが見事に伝わってきます。
『コダマ』
コダマの首を回す音は打楽器にて見事に表現。原曲でのシンセの音は木管や金管の息の長い音色で再現。コミカルで不思議な雰囲気のこの楽曲もオーケストラにて完全に構築されていました。
『呪われた力~神の森』
劇中にてアシタカが敵から襲われるスリリングなこの曲も取り込まれ、そのままシシ神のテーマへ。木管から紡がれる怪しい雰囲気から混沌を感じさせる激しいパートへ。
『もののけ姫』
ゲストソプラノが登場し、有名な主題歌を披露。途中から転調し、ソプラノの美しさがより感じられる場面では、生演奏だからこそ伝わってくる気迫も感じられ鳥肌が立ちました。
『黄泉の世界~死と生のアダージョ』
終盤に向けて組み込まれた世界崩壊のクライマックス。手に汗握るようなスリリングな楽曲に時折顔をのぞかせる『もののけ姫』のテーマ。
『アシタカとサン』
組曲の終盤を飾るのは、物語では再生のテーマとして流れた本楽曲。今回のアレンジでは豊嶋さんのヴァイオリンソロを堪能できるバージョンへと進化しており、久石さんも短いながら、ピアノの伴奏として参加します。後半ではソプラノが加わり、希望の歌詞を豊かに歌い上げ、希望の鐘も響きながら美しく幕を閉じました。
会場からは割れんばかりの惜しみない拍手。
何度かのカーテンコールののちにアンコールへと進みます。
Encore
Joe Hisaishi『World Dreams』
いままで、何度も聴いてきた本楽曲でここまで泣きそうになってしまったのは初めてでした。コロナ禍で日常はもちろん音楽を楽しむ状況まで一変し、いままでとはまったく違う世の中になってしまいました。今の世界の夢ははやく日常を取り戻すこと。そこへ向かいたいというエネルギーがこの楽曲に凝縮されていて、改めて元気と活力をもらうことができました。
「哀しみにつまずけば 自由がみえる 歓びの灯が消えても ともに歩き続けよう」
演奏が終わると再び、拍手喝さい。
なかなか鳴りやまない拍手の中、大盛況で振替公演1日目は幕を閉じました。
2021年7月28日 ふじか

純粋に読んでいて楽しいです。リラックスしていて力まずにすっと読みやすいというかなあ、自分のと比べるとなおさら(苦笑)。今回も共感できるところ、新しい発見なところ、おもしろい表現なところ、とマーカーを引いていったら、なんとカラフルになるだろう! そんな感想です。いつも素敵なレポートありがとうございます。
いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)
ふじかさん
@fujica_30k
こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」
久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。
みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
reverb.
レポート多いと感想や感動が立体的になってきてうれしいです(^^)

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
Posted on 2021/07/29
4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。
今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。感嘆すると思います、日本ファン顔負けの精通ぶりに。もし僕が海外作曲家にお気に入りがいたとして、ここまでリアルタイムに正確に音楽活動を追っかけられるかな。時差なし!誤差なし!すごいですっ!
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021
[公演期間] 
2021/04/21,22,24
2021/07/25,26
[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール
*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(日本・海外)
*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(日本・海外)
[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24) 安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 *世界初演
Symphony No.2 (World Premiere)
Mov.1 What the world is now?
Mov.2 Variation 14
Mov.3 Nursery rhyme
—-intermission—-
久石譲:Asian Works 2020 *世界初演
I. Will be the wind
II. Yinglian
III. Xpark
久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
—–encore—-
久石譲:World Dreams

はじめに
久石譲のアルバムは、多くの曲をTENDOWORKで扱ってきたが、いざジブリ曲は扱ったことがない。ジブリ曲はあえて私が説明しなくても広く知られていることもあるし、たくさん聴かれていることもあるからだ。また、久石譲が最終的に作曲家として追求したミニマル音楽をより応援したいこともあった。
それにもかかわらず、今回のコンサートは、久石譲の第二交響曲が演奏される歴史的なコンサートなのでしっかりレビューみたいという思いがした。
W.D.O.の紹介
W.D.O.は久石譲の代表的なコンサートシリーズだ。それほど歴史も深い。韓国にも来韓して素晴らしい演奏を披露したことがある(WDO2017)。特に2008年の「久石譲 in 武道館」公演をはじめ、数多くの公演を行い、2015年から、新しいプロジェクトとしてスタジオジブリ・アニメーション音楽の交響組曲に取り組んでいる。
紆余曲折の多かったコンサート
今回のコンサートは本当にいろいろな情報が何度も出入りした。それだけ紆余曲折が多かった。2019年を最後に再準備期間に突入したW.D.O.が、2年ぶりにW.D.O.2021に戻るというびっくりするニュースが流れてきた。2020年だけスキップして、1年ぶりに帰ってきたも同然だった。さらに、予想もしなかった4月の公演日程だった。(ほとんどW.D.O.公演は8月頃の夏に行われる。)次いでライブストリーミング公演の計画発表。しかし、「ワールド・ドリーム・オーケストラ」ツアーの途中、日本の緊急事態宣言でキャンセルされてしまう。
後に振替公演の知らせが聞こえてきたが、再び緊急事態宣言のニュースも聞こえてきてパニックに陥った。それにもかかわらず、結果的に公演が行われた。だからこそ、感慨深いコンサートではなかっただろうか。
これからしっかりコンサートのレビューを始める。
Joe Hisaishi:Symphony No.2
久石譲の第二交響曲だ。「久石譲の交響曲第1番は何か」というささやかな議論になるがパスしよう。
Mov.1 What the world is now?

第1楽章は、現在のパンデミックをはじめとする世界各国の悲劇を意識したようなタイトルの「What the world is now?」 悲壮な雰囲気が逸品だった。少し難しく感じられるミニマル曲だ。

久石譲の曲には、ウッドブロックが本当にたくさん入る。交響曲第2番の第1楽章からウッドブロックが登場する。チクトクチクトクする効果音を響かせた。(このコンサートでウッドブロックのすごい活用度を知ることができるだろう。)
このウッドブロックの音が鳴り止む頃にものすごく曲が激しくなるが、この時、登場するフレーズでフィリップ・グラスのGlassworksの素早く繰り返されるフレーズが思い浮かんだ。「The Border」では、だんだん低い音に下がっていくような印象的な部分があるが、今回の曲では似たような形だが、むしろだんだん高い音に上がっていくようなフレーズがあった。(これを狙ったのかもしれない。)
Mov.2 Variation 14

第二楽章の「Variarion14」は「MUSIC FUTURE VOL.7」でより小さな規模で演奏されたことがあった。リズム感とウィットに富んだ曲だ。名前にふさわしく、変奏曲形式である。久石譲の”Single Track Music”の手法が少し連想される面があり印象的だった。これはなんの和音もなく曲が成り立つ手法であるが、不協和音などに依存する現代音楽の限界を克服しようとする試みの一種であるように見えた。演奏されるメロディのいくつかの箇所で、他の楽器が同じ音に短く重ねて演奏する部分があり、リズム感もキープし雰囲気もアップする感じだった。(ただし、これによる演奏難易度は非常に上昇するものと予想された。)しかし、この曲は厳然として見れば”Single Track Music”ではない。中間部分からセクションが互いにすれ違いからだ。

最後の頃にはとても静かになり、グロッケンシュピールとヴィブラフォンが演奏される場面があるが、すぐに続く激しいトゥッティ演奏がハイライトだ。この部分は、僕のお気に入りの部分だ。”Single Track Music”の限界を振り切ってすっきりと演奏されるフレーズと、各楽器の激しい演奏が逸品だ。最後のチェロの締めも素晴らしい。
Mov.3 Nursery rhyme

最初コントラバスが奏でる童謡がテーマになる。なのでタイトルも「Nursery rhyme」。これは日本の童謡で、日本人のツイッターの反応を見ると、「かごめかごめ」という曲の少しの変形だと多く言われている。
静かで落ち着いた曲のように思えるが、すぐに拍子が速くなりテーマになるメロディも複雑になる。主題となるメロディがシンプルな童謡だったので、それでも比較的聴きやすかった。 (コロナ以降の楽めるコンサートが目標になっているため、第2、3楽章はわざとシンプルに書いた感じがする。)
このような強烈な速さで進行された後クライマックスに入る。この部分では、多くの人々が音楽が終わった感じることもあったようだ。しかし、クライマックスの後つかの間の静寂に続いて、再び重く荘重に変奏主題が演奏された後、コントラバスが静かにソロで演奏されて終わる。とても劇的な構成だ。
だから結論的に、久石譲の交響曲第2番は、全体的に変奏曲の形式で成り立っていて、ある意味退屈になりうる危険な構造だったかもしれないが、悩みと研究を重ねて交響曲まで成立させた大作とすることができるようだ。
Joe Hisaishi:Asian Works 2020
I. Will be the wind

中国で公開されたLEXUSテーマ曲「Will be the wind」だ。とても洗練された雰囲気の曲だ。典型的なメロディ+ミニマルな感じの曲。風が吹くような感じのモチーフが様々に変化し、心を揺さぶる。単純なモチーフの繰り返しではない、無意識の何かを引き出す不思議な魔法を使う曲だ。ピアノの旋律もとても印象的だ。また、久石譲の武器であるマリンバも欠かせない。最後までよどみなく吹き荒れる素敵な曲だ。
II. Yinglian

いよいよTENDOWORKでレビューしていた曲が登場した。(https://tendowork.tistory.com/66)「Yinglian」は『赤狐書生』という香港映画のラブテーマに当たる曲だ。とても魅惑的なメロディが印象的だ。特異な点は、「MUSIC FUTURE Vol.7」でも演奏されたジョン・アダムズの「Gnarly Buttons:Movement III – Put Your Loving Arms Around Me」ととても似た雰囲気の曲ということである。これは久石譲の意図なのか?聴き比べてみるのもおもしろいだろう。クラリネットのソロ演奏は本当に素晴らしかった。
III. Xpark

祭り的な雰囲気のとても明るい曲だ。Xparkの館内展示音楽として久石譲が作曲した曲は全7曲だが、このうち1曲がW.D.O.で演奏されたものである。YouTubeでXparkに関する動画を見ながらいくつかの曲の一部を聴いてみると、すべて美しく素晴らしい曲ばかりだ。海外に出て行くことができないため、実際に聴くことができない貴重な音源である。コンサートでこういう形でも1曲ちゃんと聴けてうれしい。

豊嶋泰嗣さんのヴァイオリン・ソロ部分でこんなに明るい笑顔を見せてくれる久石譲さん…!!!
Joe Hisaishi:Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

W.D.O.2016で演奏された交響組曲が完全版に進化した。2016年に演奏された「Symphonic Suite “Princess Mononoke”」は音源発売もされず、コンサートの映像化もされなかった。だからファンたちがとても熱望した曲だが、この機会にアルバム発売にもつながってほしい。やはりもののけ姫の曲は胸を鳴らし、耳を清めるような感じだった。

ウッドブロックをたたきながらコダマを表現した。(大太鼓の横の楽器もウッドブロックだろうか。 鉄製の感じがするんだけど… マレットの違いかも…)この曲は、1998年にアルバムとして発売された「交響組曲もののけ姫」になかった追加された部分だ。

ソプラノ安井陽子さんが「もののけ姫」を素敵に歌ってくれた。クライマックスの部分はいつ聴いても身の毛がよだつほどいい。

いまにも終わりそうだった交響組曲は、世界の崩壊を表現した楽曲が演奏され、再び緊張が高まる。コントラバスを下から上へ上から下へと演奏される技法が印象的だ。この部分が追加されることでもののけ姫の物語世界が完成されて、音楽的にもより完成された感じだ。

最後の曲「アシタカとサン」。個人的にもののけ姫で一番好きな曲だ。久石譲のピアノ演奏とコンサートマスター豊嶋泰嗣さんの素敵なヴァイオリン・ソロ演奏。久石譲のピアノは概ね伴奏にとどまりヴァイオリン・ソロがとても華やかだった。久石譲のピアノ演奏はいつ聴いてもいいが、「アシタカとサン」ピアノ・ソロとして多く演奏されてきたので、ヴァイオリン・ソロ演奏で聴くととても新鮮だった。特に今回のコンサートのために変形されたフレーズが心をつかんだ。次いでソプラノ安井陽子さんのボーカルバージョンが引き継がれた。 武道館の合唱バージョンはもうおなじみだったからソプラノバージョンもとても良かった。原曲のカウンターテナーともまた違った感じだ。
今回のコンサートでは、久石譲がコンサートの出演者紹介で「Conductor, Piano」ではなく、「Conductor」としてだけ紹介された。指の負傷の影響もあったはず、それでも指揮台からメインピアノに移動してピアノ演奏を披露するサプライズ演出を見せた。たとえ短い演奏でも、こんなファンサービスに感動した!!
World Dreams

コンサートのアンコール曲は「World Dreams」で終わる。W.D.O.の象徴になってしまった曲だ。2019年以降、「World Dreams」が終わるとマリンバの音が幻聴で聞こえてくる後遺症があるが、どうしようもない。
久石譲の今回の「ワールド・ドリーム・オーケストラ・2021」コンサートは、2016年のコンサートと似ている面がある。久石譲の「The East Land Symphony」と「もののけ姫交響組曲」が演奏された2016年、そして久石譲の「交響曲第2番」と「もののけ姫交響組曲2021」が演奏された2021年。本当に素晴らしい組み合わせだ。 2016年のコンサートが映像化されていないことが残念でならない。
また、リアルタイムストリーミングの利点は、彼のコンサートをリアルタイムで見て、感じた点を、日本の観客とすぐに共有することができるし、今すぐ映像と録音に残ったコンサートを何回も繰り返すことができるということだ。テレビやブルーレイとは異なり、編集の心配もなく、公演開始前の楽器のチューニング、舞台セッティングの過程などを生き生きと見ることができるのもいい。
これからもリアルタイムのストリーミングが慣行として残ってほしいという願いをもって終了。
2021年7月27日 tendo
出典:TENDOWORKS|久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2021 コンサート・レビュー
https://tendowork.tistory.com/70

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。
https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1
”2019年以降、「World Dreams」が終わるとマリンバの音が幻聴で聞こえてくる後遺症があるが、どうしようもない。”
ここは、組曲「World Dreams」I.World Dreamsの終わり、ストリングの響きをのこしたまま II.Driving to Futureのマリンバへとつながっていく。組曲版が染みついてしまってるからの幻聴ですね♪ もしこの部分を見て、「それわかるっ! おなじくそうなるっ!」って思った人、tendoさんと楽しく仲良くなれると思います。ぜひツイッターでFFつながってください(^^)
tendo
@tendo01
tendoさんとはSNSで交流しています。ご自身のサイトに公開していたレポートを、日本語に翻訳するかたちで紹介させてもらうこと、快諾してくれました。なるべくオリジナルテキストの雰囲気が残るように必要な添削と最低限の補正にしています。複数の翻訳サイトを使って吟味しました。tendoさんのレポートおもしろかったですよね、 かなり伝わるもの多かったですよね。果汁100%のままとはいきませんが、80%くらいで美味しさ伝わったならうれしいです。
こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」
久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。
みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
reverb.
ライブ配信が海外ファンレポート第1号を叶えてくれました(^^)

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
Posted on 2021/07/27
4月21~24日開催、7月25~26日振替開催、国内3都市5公演と世界各地ライブ配信も実現した「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートツアーです。4月の緊急事態宣言を受けツアー途中で中止となってしまいましたが、それから間を置かず7月振替公演を叶えてくれました。W.D.O.2021完走してくれたこと、尽力いただいた皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです。
今回ご紹介するのは、いち早く京都公演のコンサート・レポートを送っていただいていたA.Mさんです。ようやくオープンにすることができます。ありがとうございます。
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2021
[公演期間] 
2021/04/21,22,24
2021/07/25,26
[公演回数]
5公演
4/21 京都・京都コンサートホール 大ホール
4/22 兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
4/24 東京・すみだトリフォニーホール
*緊急事態宣言を受け2公演とライブ配信 中止
4/25 東京・すみだトリフォニーホール
4/27 東京芸術劇場 コンサートホール
4/27 ライブ配信(日本・海外)
*振替公演
7/25 東京芸術劇場 コンサートホール
7/26 東京・すみだトリフォニーホール
7/25 ライブ配信(日本・海外)
[編成]
指揮:久石譲
ソプラノ:林正子(4/21,22,24) 安井陽子(7/25,26)
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:交響曲 第2番 *世界初演
Symphony No.2 (World Premiere)
Mov.1 What the world is now?
Mov.2 Variation 14
Mov.3 Nursery rhyme
—-intermission—-
久石譲:Asian Works 2020 *世界初演
I. Will be the wind
II. Yinglian
III. Xpark
久石譲:交響組曲「もののけ姫」2021
Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
—–encore—-
久石譲:World Dreams

京都公演 コンサートレポート
4月21日に行われた京都公演に行ってきました。
私にとって、初めてのコンサートでした。
久石譲さんと彼の音楽に出会ったのは中学1年生の頃です。たまたまYouTubeで武道館公演の動画を見つけたのがきっかけです。初めて彼の音楽を聴いた時に本当に感動しました。音楽で人の心は動くのだと、そう実感した瞬間でした。そして、人生で1度は必ず久石譲さんのコンサートに行こうと決めた瞬間でもありました。
実際にコンサート会場を訪れて見ると、会場にいる人たちの年齢層の広さに驚きました。幼稚園生、小学生辺りの子どもから親世代の方々、ご年配の方まで、幅広い年代の方が男女問わず大勢訪れていました。久石譲さんの音楽はたくさんの人に年齢性別問わず愛されているのだと実感しました。
私にとってもののけ姫は人生のバイブルと言っても過言ではありません。アシタカを見ると真っ直ぐに生きなければと常に思います。そんなもののけ姫の音楽を生で聴くことが出来て本当に感無量でした。特にアシタカせっ記を聴いた時、全身を血が駆け巡ったようでした。心が震えるとはこのことなのかと感じました。アシタカせっ記の美しい音色や力強さはまさにアシタカの心、生き方そのものなのだと思いました。
ずっと前から画面越しに見ていた人、聴いていた音楽を今目の前にしている…あの瞬間は一生の思い出です。
辛い時や悲しい時、心を沈めたい時やリラックスしたい時にはいつも久石譲さんの音楽がありました。私にとって久石譲さんと彼の音楽は人生の大切な、大切な一部です。
本当に素敵な音楽をありがとうございます。これからも応援しています。
そして、久石譲さん、新日本フィルの皆様を初めとした、コンサートスタッフの皆様、今回の素晴らしいコンサートを実現していただいて本当にありがとうございました。一人一人の力のおかげで、コンサートは成り立ったのだと思います。これからもなかなか思うように行動できなかったり、自由を制限されることがあると思いますが、きっと私はコンサートの思い出と彼の音楽に心を何度も癒されることになるでしょう。
ずっとずっと久石譲さんの音楽が大好きです。
2021年4月24日 A.M

とても心伝わるレポートありがとうございます。初めてのコンサート、きっと一生の思い出になりますね。そんな大切な想いとコンサート感想をいただいてとても光栄です。書き残す場所として、伝える場所としてファンサイトに送っていただき本当にありがとうございます。
コンサート会場でプレゼントやお手紙を出演者へ預けることもできない今。ちょっとした声援、ファンとの一瞬の会話もできない今。きっと演奏者の皆さんへも観客の生の声が届きにくくなっていると思います。これまでコンサートのたびにお互い活力や喜びになっていたもの。
届くかはわかりませんが、めぐりめぐってきっと届く!もしそう信じてくれるのなら。コンサートの感動を伝える場所として、ファンサイトをひとつの選択肢にしてもらえたらうれしく思います。届きやすくなるように日々がんばっていきます(^^)
4/21京都公演
リハーサル風景

from 久石譲コンサート公式Twitter
@joehisaishi2019
コンサート風景



from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式Twitter
@newjapanphil
4/22兵庫公演
リハーサル風景

from 久石譲コンサート公式Twitter
@joehisaishi2019
コンサート風景


from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式Twitter
@newjapanphil
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reverb.
紹介できたこと、とてもうれしく思います♪

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Posted on 2021/07/25
2022年2月9日「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.4」コンサート開催が決定しました。
“Info. 2022/02/09 「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.4」コンサート開催決定!!” の続きを読む
Posted on 2021/07/25
2021年10月8日「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサート開催が決定しました。
“Info. 2021/10/08 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサート開催決定!!” の続きを読む
Posted on 2021/07/21
テレビ情報誌「NHKウィークリーステラ 2008年5/3~5/9号」に収録された対談です。韓国ドラマ「太王四神記」特別企画としてカラー3ページになります。
《太王四神記》特別企画
豪華!韓日巨匠対談
監督 キム・ジョンハン × 音楽 久石譲
都内の完成な住宅街にあるレストラン・高矢禮(ゴシレ)。ペ・ヨンジュンがプロデュースするこの落ち着いたお店の一室で、韓日を代表する巨匠の対談が実現した。〈太王四神記〉の壮大な映像を創り出したキム・ジョンハン監督と壮大な音楽を紡ぎ出した久石譲。本作で出会い、深い絆を結んだという2人の、撮影後初再会という貴重な場に同席したステラが、取材に成功。2人の〈太王四神記〉への思いを聞いた。
1年ぶりの再会!
久石:
会いたかった~!(両手を広げて)
キム:
私もとても!(がっちり抱き合う)
久石:
けがをしたと聞いて心配でした。具合はどうですか?
キム:
一度手術(※1)をして、すぐに撮影に戻り、2か月後、再手術をしました。一歩まちがえると、死ぬところでした。久石さんのお顔も見られないところだった。
久石:
僕は、日本で状況がわからなくて、すっごく心配だった。
キム:
お花を届けてくださってありがとうございました。これから久石さんと一緒にやりたい仕事がたくさんあるから、死ぬわけにはいきませんでしたよ(笑)。
久石:
とにかく安心しました。
キム:
はい。
久石:
僕はね、今、字幕版の放送を毎週、見ているんです。
キム:
ということは、まだ最終回まではご覧になっていないんですね。
久石:
はい。音楽を手がけたドラマを毎週楽しみにしてるなんて(笑)。自分で録画予約するのも初めて。
キム:
(笑)感想はどうですか?
久石:
最近、作曲漬けで大変なんですけれども、週に1回の放送が唯一の楽しみになっています。
キム:
久石さんが作ってくださった最高の音楽に見合う作品になっているのか不安に思っていました。
久石:
いや。脚本に苦しんだと聞いていましたけど、人間関係がしかり描かれているし、本当にすばらしい作品。ヨン様もすてきだしね。
キム:
(笑)今回、久石さんにお会いすると話したら、ヨン様、イ・ジア、ユン・テヨン、ほかの俳優たちもうらやましがっていました。みんな、すてきな音楽を作ってくださった久石さんに感謝しているんです。
久石:
そうかぁ。うれしいですね。
キム:
特にヨン様は、自分のテーマ曲をチェロの演奏にしてほしいと言ったんですよね。久石さんはその要望どおりに作ってくださいました。とても喜んでいましたよ。
監督念願の久石音楽
久石:
それにしても、ほんとに迫力があって、一話一話が映画みたい。完成して心からおめでとうございますって言いたいです。
キム:
アリガトウゴザイマス(日本語)。苦労もたくさんしましたし、疲れ果てて、もう辞めたいと思ったこともありましたが、そんなときには、いつも、視聴者の方と久石さんの顔を思い浮かべましたよ(笑)。
久石:
(大爆笑)いちばん大変だったことって何ですか?
キム:
台本が遅れてしまい、時間に追われる形になったことです。それから、ヨン様がケガをしてしまったので、終盤は、かなりタイトなスケジュールでした。
久石:
そうか。なるほど……。もう1年前のことになるんですね。ちょうど去年の3月ぐらいにオーケストラを録ったんです。自分でも納得できるいい感じに仕上がってね。あまりに早くできたから、その後、何をしたらいいか考えてしまいました(笑)。音楽はどうでしたか?
キム:
私は、もともと久石さんの作ったアニメ映画の音楽が好きで、よく聴いていたんです。『ハウルの動く城』『となりのトトロ』、それから『千と千尋の神隠し』も好きですね。この作品では、日韓最高の作曲家にお願いしたかった。それで、久石さんに正式に依頼をしたのですが、お忙しい方ですから、まさかOKしてくださるとは思いませんでした。引き受けていただいたときは、天にも昇るような気持ちでした。
ぴたりと合った波長
キム:
お会いするまでは、気難しい方だったらどうしようと心配したのですが、すぐに友達になれて、とても心地よく一緒に作業をしていくことができました。2人の少年が出会ったようでしたね。とても幸せでした。
久石:
ほんとですね。やはり韓国の歴史上の人物の作品を日本人の僕が作るということで、できるだけスケール感のあるものをと考えました。同時にラブストーリーでもあるので、そこにいちばん、神経を使いましたね。
キム:
初めて聴いたとき、とても感動したんです。撮影中は、いつも頭の中に音楽を思い浮かべていました。それにしても、久石さんはセットしかご覧になっていない段階で、なぜ、あんなに映像とぴったりな音楽を作れたんでしょうか。一度聞いてみたかったんです。
久石:
(笑)
キム:
私は、2人の間に見えないけれども通じ合うインスピレーションがあったのではないかと思っています。
久石:
ほんと、そうですね。僕もこの曲は、こういう使い方をしてほしいなというのが、そのとおりになっていてね。音楽を生かしてもらったなあって、すごく感謝しています。これはね、多分に生理的に近いところがあって、監督が撮ったリズムと波長が一致していたんでしょうね。それと、監督の演出をちらっと見たときに、その一つ一つのやり方とかテンポに、優しさと激しさが同居していて、これが監督そのものだなと思ったんです。それは自分が持っている体質でもあるから、そのへんのところが合ったんじゃないかな。
キム:
久石さんは、一見、叙情的で穏やかな音楽を作りそうですが、スペクタクルを感じさせるテンションの高い音楽も作られるので、見た目とは違って意外に思いました(笑)。
久石:
そうですか(笑)。
キム:
私は、今回ご迷惑をかけてしまったので、次にご一緒するときは、事前に完成映像をお見せできるようにします。
久石:
でも、事前にキムさんとたくさん話をしたので、意外に早くその世界をつかむことができたんです。自分でも驚くくらいの集中力で、たくさんの曲ができて(※3)。すごくうれしかった。そういえば、去年、コンサートで、〈太王四神記〉のテーマをオーケストラでやったんですけど、お客さんがとても喜んでくださいました。地上波で吹き替え版の放送が始まったから、もっとたくさんの方が見てくださるんじゃないですか。
キム:
韓国では、時代劇は中高年の女性に人気なのですが、この作品は、10代20代が熱狂的に支持してくださいました。彼らは、やはり音楽にも注目しますので、モバイルダウンロードで1位になったんです。久石さんの音楽が韓国の若者に浸透するのに一役買うことができたと思います。久石さん、ますます有名になっていますよ。
久石:
それはうれしいですね(笑)。
2人の絆を結んだ1曲
久石:
僕はね、スジニのテーマが印象に残っているんです。あの曲は、実は、ちょっと冒険だったんです。それまでは、僕自身、歴史スペクタクルというとらえ方が強かったかもしれないんだけど、でも、監督はすごく気に入ってくださって。で、そのときにね、あっ、なるほどと思ったんです。このドラマは本当はラブストーリーでもあるんだなって実感したんですよね。わりと早い段階で、監督の目指すところが見えてね。だからとても印象に残っています。
キム:
そうなんです。久石さんが、済州島(チェジュド)にデモテープを持っていらっしゃって、そのとき、私がスジニのテーマを聴いて、「これは、私が考えている雰囲気そのものだ」と思ったんです。100回話し合って、説明するよりも、実際に音楽を聴き、セットや映像を見て、2人の考えが一つになって、あのときがスタートになったと思います。
久石:
うん。あの曲は、戦闘シーンでも使われているしね、自分でも満足していますね。
キム:
ベスト!
久石:
(大爆笑)
キム:
久石さんの音楽は迫力があるので、戦闘シーンでは、エキストラ1万人分ほどの効果があります。エキストラ代を節約してくれてありがとう。
ーここでSSDのスタッフより、「国際映画音楽批評家協会賞・オリジナル作曲賞」を受賞したと韓国からメールが入ったことが告げられるー
(一同拍手喝采)
久石:
ほんとに? すばらしい!
キム:
MBCの演技大賞では、ヨン様の大賞受賞をはじめ、私たちが全体の賞の3分の1を受賞しました。そのときに、ヨン様が久石さんをご招待して、パーティーを開こうと言っていたんです。スケジュールが合わずに実現しなかったのが残念です。
久石:
ぜひぜひやってください。いつでも行きますから!
ステラ読者へメッセージ
久石:
キム監督と出会えて、僕自身、一生懸命音楽を書き、今は、一視聴者として毎週放送を見ています。本当にわくわくする内容で、そういう気持ちになるというのは、作品が間違いなくいいという証拠。世界中に共通する、人間のスペクタクルとして、本当に楽しんでもらえると思う作品です。音楽も映像に負けないように一生懸命書いたので、注目してください。
キム:
アジアで最高の作曲家である久石さんと作りました。ペ・ヨンジュンさんのファンの方々、寒い冬も暑い夏も、いつも声援を送ってくださった日本の方々に対して、ありがたい気持ちでいっぱいです。この作品は韓国の物語ですが、韓国ドラマではなく、日本のドラマであると言っても過言ではありません。ぜひ、ご覧いただければうれしいです。可能であれば、一度見て、2度見て、3度見て……いただければ、作品のおもしろさ、そして、音楽の奥深さをさらに感じていただけると思います。ぜひ最後までご覧いただければと思います。
久石:
われわれの3年間のね、努力の結晶ですから。
キム:
その中の90㌫は久石さんの力。
久石:
いえいえ。また済州島に一緒に行きたいですね。
キム:
俳優たちも久石さんいごあいさつできればと思っていますし、仕事抜きで韓国にいらっしゃってください。私も俳優たちを連れて日本に来ます。ベストフレンド! アリガトウゴザイマス!
久石:
今度ゆっくりお酒を飲みましょう。きょうはありがとうございました。
※1:監督は、クランクアップの数か月前に、国内を車で移動中、交通事故に巻き込まれ内臓破裂という重症を負った。
※3:久石さんは〈太王四神記〉用に約60曲のオリジナル曲を作った。
(「NHKウィークリーステラ 2008年5/3~5/9号」より)



Posted on 2021/07/20
ふらいすとーんです。
久石譲の真骨頂ミニマリズムについて、進化つづけるミニマリズムについてです。
ミニマリズムとは
「Minima_Rhythm」というタイトルは、ミニマル・ミュージックの「Minimal」とリズムの「Rhythm」を合わせた造語だが、リズムを重視したミニマル・ミュージックの作品を作りたいという作家の思いからつけた。
不協和音ばかりに偏重してしまった現代音楽の中でも、ミニマル・ミュージックには、調性もリズムもあった。現代音楽が忘れてしまったのがリズムだったとするならば、それをミニマル・ミュージックは持っていた。
映画音楽やポップスのフィールドで仕事をしてきた。言うまでもなくポップスの基本はリズムであり、またメロディーにもある。そこで培ってきた現代的なリズム感やグルーヴ感、そういうものをきちんと取り入れて、両立させることで独自の曲ができるのではないか。もう一回、作品を書きたいという気持が強くなったとき、自分の原点であるミニマル・ミュージックから出発すること、同時に新しいリズムの構造を作ること、それが自分が辿るべき道であると確信した。それがごく自然なことだった。
(『Minima_Rhythm ミニマリズム』CDライナーノーツより 抜粋)
久石譲が若い時代に封印したクラシックに戻り、つよく作品をのこしたいと作家性を解放しはじめることになったのが、『Minima_Rhythm ミニマリズム』(2009)の発表です。ここから以前にまして、エンターテインメント音楽の大衆性とオリジナル作品の芸術性を両軸に、大きな翼を広げていくことになっていきます。
自らの原点であるミニマル・ミュージックを追求し、シンフォニックな作品を凝縮した記念碑的アルバム。フルオーケストラから室内オーケストラまで、クラシックの語法を施しながら、色濃く久石譲の作家性をもあぶり出してみせたミニマリズム出発点です。たとえて言うなら、シンフォニック・ミニマリズム。

指揮者久石譲としての現代的アプローチも如実に、ソリッドな響きに磨きのかかったアルバム。室内楽編成で彩られた作品は、ピアノソロ、2つのマリンバ、4つのサキソフォンとパーカッション、弦楽四重奏という独創性あるもの。最小(音型・編成)にこだわった芸術性で新しい方向性をすでに示してします。たとえて言うなら、室内楽ミニマリズム。

いよいよ長大な交響曲が姿を現した、それは未完となっていた交響曲第1番の完全版なる作品を遂に収録したアルバム。おさまりきらないカオスは、パーカッションが炸裂しソプラノが浄化する。またファンファーレ感きらめく新たなコンセプトと着想でまとめあげた祝祭的作品も。たとえて言うなら、管弦楽ミニマリズム。

最新作は、ミニマル×コンチェルトという斬新なコンセプト。さらにはソリストに迎える楽器も、協奏曲の数が稀有なコントラバスと、これまでのイメージを覆し新しい表現力に挑んだ3本のホルン。久石譲にしか書けない協奏曲を、久石譲とともに現代的アプローチを磨いてきたFOCの演奏で収録。たとえて言うなら、協奏曲ミニマリズム。

このように振り返ってみると、ミニマリズムはシリーズをかさねるごとに、コンセプト・音楽構成・楽器編成と、それぞれの盤に独自のカラーとテーマ性で練られ、それぞれの立ち位置で堂々と君臨していることがわかります。すべてに共通しているのはクラシック・フィールドから発表されていることです。伝統的なクラシックの手法を受け継ぎながら、現代の作品として新しい可能性を追求しています。
![]()
久石譲の現代作品はこれだけでしょうか?
歩みのなかで忘れてはいけないこと、あくまでも”Minima_Rhythm”出発点は【原点のミニマル・ミュージックをベースに作品を書くこと】であったということです。すでに『ミニマリズム2』(2015)の時には出発点から大きく進化しています。一般的なミニマル・ミュージックの狭義から大きく飛び越えています。
“ミニマリズム Minima_Rhythm”アルバムには収録されていないけれど、久石譲オリジナル作品の多くにミニマル手法は盛りこまれ、あらゆるかたちでミニマルなエッセンスは散りばめられています。
主なオリジナル作品(2000-)
2005年
DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano
(『WORKS III』収録)
Links
(『Minima_Rhythm』収録)
Orbis
(『Melodyphony』収録)
MKWAJU 1981-2009 for Orchestra
(『Minima_Rhythm』収録)
DA・MA・SHI・絵
(『Minima_Rhythm』『Spirited Away Suite』収録)
Sinfonia for Chamber Orchestra
(『Minima_Rhythm』収録)
The End of the World
(『Minima_Rhythm』収録)
2010年
弦楽オーケストラのための 《螺旋》 *
*Unreleased
Prime of Youth *
*Unreleased
2011年
5th Dimension
(『JOE HISAISHI CLASSICS 4 』収録)
2012年
Shaking Anxiety and Dreamy Globe
(『Minima_Rhythm II』収録)
2014年
Single Track Music 1
(『Minima_Rhythm II』収録)
String Quartet No.1
(『Minima_Rhythm II』収録)
Winter Garden for Violin and Orchestra *
*Unreleased
2015年
祈りのうた ~Homage to Henryk Górecki~
(『The End of the World』収録)
The End of the World for Vocalists and Orchestra
(『The End of the World』収録)
室内交響曲 for Electric Violin and Chamber Orchestra
(『MUSIC FUTURE 2015』収録)
コントラバス協奏曲
(『Minima_Rhythm IV』収録)
Orbis for Chorus, Organ and Orchestra *
*Unreleased
2016年
TRI-AD for Large Orchestra
(『Minima_Rhythm III』収録)
THE EAST LAND SYMPHONY
(『Minima_Rhythm III』収録)
2 Pieces for Strange Ensemble
(『MUSIC FUTURE II』収録)
2017年
Encounter for String Orchestra
(『Spirited Away Suite』収録)
ASIAN SYMPHONY
(『Symphonic Suite Castle in the Sky』収録)
室内交響曲第2番《The Black Fireworks》〜バンドネオンと室内オーケストラのための〜
(『MUSIC FUTURE III』収録)
2018年
The Black Fireworks 2018 for Violoncello and Chamber Orchestra
(『MUSIC FUTURE IV』収録)
2019年
Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *
*Unreleased
2020年
The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra
(『Minima_Rhythm IV』収録)
2 Pieces 2020 for Strange Ensemble *
*Unreleased
Variation 14 for MFB *
*Unreleased
2021年
I Want to Talk to You ~ for string quartet, percussion and strings ~ *
*Unreleased
交響曲 第2番 *
*Unreleased
久石譲オリジナル作品一覧はこちらにまとめています。上記は大きく抜粋したものです。その全貌や変遷はこちらからどうぞ。

![]()
久石譲コンサート活動の転換点となった「久石譲 フューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)」と「久石譲 presents ミュージック・フューチャー(MF)」、この2つのコンサート・シリーズは創作活動にも影響を与えている分岐点です。
コンサートそのものに大きなコンセプトを備えているので、おのずとそこで発表される久石譲新作も、コンセプトに沿ったものという新しい指向性をうみだすことになりました。最新アルバム『Minima_Rhythm IV』に収録された「The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra」はFOCコンサートで初演されたものです。
新しいミニマリズム 1
注目したいのは、MFコンサートで新作として初演される個性的で先鋭的な作品たちです。オーソドックスな楽器編成ではなく、ストレンジな特殊編成でつくりあげられているという点においても。
《ソリストのためのミニマリズム》です。こんなにおもしろい構成ってなかなかないと思います。変わった楽器編成かつソリストを迎えたかたちで、ミニマル手法を駆使した音楽を構成しています。ソリスト×ミニマルって世界中をみわたしても、作品群として築いている人ってそういないんじゃないかな。オーケストラとして、アンサンブルとしては、もちろんあります。でも、ソリストのためのミニマル作品ということは、ソリストを務める演奏者に求められるものも大きく、またソロ楽器のことも熟知したうえで表現力を開花できる作曲家、ということになるからです。
《Minima_Rhythm for Soloists》
室内交響曲 for Electric Violin and Chamber Orchestra
(エレクトリック・ヴァイオリン)

室内交響曲 第2番《The Black Fireworks》
~バンドネオンと室内オーケストラのための~

The Black Fireworks 2018 for Violoncello and Chamber Orchestra
(チェロ)

Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *
(2台のピアノ)*Unreleased
タイトルを見ただけでも、なんと意欲的で衝撃的な作品が並んでいることか。エッジの効いたサウンドはときにサンプラーやキーボードもアクセントになっています。実験性の高いというには完成度の高すぎる、その時期の創作活動のマイルストーンとなっている楽想・音色・コンセプト・手法・こだわりなどが濃厚に反映されている。そして、オーケストラ作品よりも編成規模も中、時間も中、ほどよい大きさと長さは、より一層ミニマル・ミュージックを突きつめるのにも適している。新しい感覚で聴き手を魅了し、躍動と静謐の緩急で覚醒させ、未来を切り拓いていこうとするエネルギーに溢れています。そして!(ここ大切)、ソリストをおくことで、呼吸するミニマル、エモーショナルなミニマルを強く打ち出しています。
広く協奏曲も for ソリスト。
最新作『Minima_Rhythm IV』に収録された「Contrabass Concerto」も「The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra」も協奏曲というグルーピングであり、ソリストを迎えある楽器にフィーチャーした音楽構成という意味では、上のMF作品群と同じです。一方では、MFの室内交響曲と銘打ったエレクトリック・ヴァイオリンやバンドネオンの作品も、音楽構成は協奏曲形式です。2つの協奏曲もMF作品群も《ソリストのためのミニマリズム》という大きなグルーピングにもなります。
音源化されていない「Winter Garden for Violin and Orchestra」もヴァイオリン協奏曲の構成をとった珠玉の作品です。まだかまだかと待ち望んでいるファンはとても多い。
久石譲の大きなこだわり。一貫してすべての作品で、ソロ楽器とオーケストラ(アンサンブル)が役割の切り離された主従関係のような構成をとっていません。ソロが主役、オケが伴奏ではなく、一体化して聴かせる音楽になっている。旋律も音色も融和することで、絶妙な調和をうみだし、ソリストふくめ全奏者がアンサンブルする一員となっている音楽構成です。
ソリストのために構成された音楽は、性格・カラー・コンセプトを決定づける大きな要素になります。そして、伝統的な協奏曲形式をとりながらも、斬新で意欲的な現代にしか書けないもの。久石譲の《ソリストのためのミニマリズム》とは挑戦であり開拓である、と強く感じます。
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新しいミニマリズム 2
久石譲の音楽は、エンターテインメント音楽(大衆性)とオリジナル作品(芸術性)の二面性のバランスをとりながら、いずれか一方を強く打ち出すかたちで、境界線を引くように生みだされてきました。
近年は、エンターテインメント音楽とオリジナル作品の発表比率が5:5に近づいているだけではなく、エンターテインメント音楽においても、色濃く作家性をにじませた楽曲をつくっています。つまり大衆性と芸術性の二面性という境界線をクロスオーバーするような作風が目立ってきました。
《エンターテインメント・ミニマリズム》あるいは《クロスオーバー・ミニマリズム》です。エンターテインメントの壁をすり抜けて、ミニマルなアート性を貫いた楽曲たち。映画音楽やCM音楽という壁をすり抜けて、オリジナル作品へと昇華したり組み込まれた楽曲たち。
《Minima_Rhythm for Crossover》
ASIAN SYMPHONY
(『Symphonic Suite Castle in the Sky』収録)
映画『花戦さ』のために書き下ろされた楽曲が、ひとつの楽章として組み込まれています。
Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *
*Unreleased
ダンロップCM音楽のために書き下ろした楽曲が、ひとつの楽章として組み込まれています。
ほかには、直近から映画『海獣の子供』『赤狐書生』、テレビ『ディープオーシャン』、プラネタリウム『ad Universum』、プロモーション『Will be the wind(レクサス中国)』『Prayers(明治神宮)』など、さまざまな機会でミニマル手法の多面性を開花させています。このなかには、すでに演奏会用に再構成された作品もあります。
ここでひとつ象徴的な言い方をしてみましょう。これまでは聴いてすぐ「あっ、久石メロディだ」とわかる楽曲がエンターテインメント音楽にありました。最近は、「あっ、この音楽久石さんかな」とわかるミニマル手法の楽曲がエンターテインメント音楽にあります。ミニマルなエッセンスが広くお茶の間にも顔をのぞかせしっかり浸透しはじめている。
少し横道に。
久石譲は「ASIAN SYMPHONY」を【メロディアスなミニマル】(2017)と言い、「DEAD」を【最も自分らしい曲でもある】(2018)と言っています。ここで引き出したいのは、メロディとミニマルを融合させるかたちをこの2作品はとっているということです。これこそが、久石譲独自の音楽を確立するひとつのモデルとなっています。
エンターテインメントとオリジナル作品、メロディアスとミニマル。エンターテインメントはメロディアス、オリジナル作品はミニマルと、これまでは並走する2本の線だったものが、4つの点を縦横無尽にクロスして、これまでの境界線をとっぱらって、なんの矛盾もなく共存できる、いかなる可能性をも秘めています。
《Minima_Rhythm for Soloists》×《Minima_Rhythm for Crossover》
Untitled Music *
*Unreleased
TV番組『題名のない音楽会』のために書き下ろされたテーマ曲で、番組司会を務めた五嶋龍さんに華を添えるように、ヴァイオリンをフィーチャーした楽曲になっています。久石譲の新しい方向性を導いたといってもいい、秀逸なエンタメ×ミニマルの結晶です。オリジナル作品一覧にラインナップしたいほどに。
The Dream of the lambs
(『羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL』収録)
映画エンディングテーマとして書き下ろされた曲で、久石譲と辻井伸行というコラボレーションは大きな話題にもなりました。ミニマルとメロディアスが交差するこの曲は、記憶にのこる印象的なメロディと高度な律動で、心地よい情感と緊張感に魅了されます。
この2曲は、今ある単曲としても素晴らしいです。もしかしたら、これから大きな作品へと再構成される可能性もないとは言えない、久石譲作品を並べるうえで外せない作品です。
リスペクトする演奏家、コラボレーションしたい楽器、ソリストのために書き下ろされる作品。世界で活躍する次世代を担う若きトッププレーヤー、五嶋龍(ヴァイオリン)、辻井伸行(ピアノ)、三浦一馬(バンドネオン)、現代的なアプローチとリズム感覚にも優れ、若い才能と強い個性で久石譲音楽を輝かせる。抜群の安定感と充実した表現力でリードするトッププレーヤー、西江辰郎(ヴァイオリン)、マヤ・バイザー(チェロ)、滑川真希(ピアノ)、石川滋(コントラバス)、福川伸陽(ホルン)、演奏不可能を可能にする熟練の技術と集中力。こういった一流演奏家たちこそ、100年後のソロ楽器レパートリーへと久石譲音楽をつないでくれる確かな先導者たちです。
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新しいミニマリズム 3
久石譲の初期作品は、アンサンブル曲やシンセサイザー曲があります。のちに、オーケストラ作品として生まれ変わったものも数多くあります。「MKWAJU 1981-2009 for Orchestra」「DA・MA・SHI・絵」「DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano」「The End of the World」など。オリジナル版から発展させたもの、完全版へと昇華させたもの、これがこれまでのひとつの流れでした。
久石譲の近年作品は、完全版としてあるものを新たに置き換える、そんな手法も目立つようになりました。《リコンポーズ・ミニマリズム》です。楽器編成を拡大したり、反対に縮小したりすることで、その楽曲の核を強く浮かびあがらせる。あるいは、楽器や構成を換えても楽曲の核を失わないことを確かめるように。そのようにして再構成(リコンポーズ)していく。オリジナル版からリコンポーズまでの期間が短いというのも特徴といえます。
《Minima_Rhythm for Recomposed》
Shaking Anxiety and Dreamy Globe
[2台ギター版]
[2台マリンバ版]
Single Track Music 1
[吹奏楽版]
[サクソフォン四重奏と打楽器版]
Encounter
[弦楽四重奏版] 第一楽章
[弦楽オーケストラ版]
祈りのうた
[ピアノ版]
[ピアノと弦楽合奏とチューブラー・ベルズ版]
The Black Fireworks
[バンドネオンと室内オーケストラ版]
[チェロと室内オーケストラ版]
2 Pieces for Strange Ensemble *
(2016年版/2020年版 改訂)
Variation 14 for MFB *
(交響曲第2番からひと楽章を先行披露)
I Want to Talk to You *
(合唱版/器楽版 先に完成の合唱版は未初演)
*Unreleased
また、作品をまたいだ転用手法もあります。
The End of the World for Vocalists and Orchestra
III.D.e.a.d
「D.E.A.D」第2楽章<The Abyss~深淵を臨く者は・・・・〜>がひとつの楽章として組み込まれています。
Orbis for Chorus, Organ and Orchestra
III. Mundus et Victoria ~世界と勝利
「Prime of Youth」をベースに合唱パートを加えひとつの楽章として再構成されています。
The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra
III. The Circles
「室内交響曲 for Electric Violin and Chamber Orchestra」第3楽章をベースにひとつの楽章として再構成されています。
このように、一度コンポーズ(作曲・構成)したものを、柔軟にリコンポーズ(再構成)することで、久石譲作品の足腰はどんどん鍛えられ、強靭なコアを磨きあげていっている。クラシック音楽では、旋律の転用をはじめ楽曲まるまる転用という手法は一般的にあります。ベートーヴェンでもマーラーでもお気に入りのメロディをいろいろな作品に使っていたりします。そこには、作曲家のオリジナリティが強くあるもの、作曲家の執着が強いもの、作家性としてコアなパーツが転用されていると捉えることもできます。作曲家の視点でみるなら、転用に値すると判断したもの、ということでしょうか。
裏返せば、リコンポーズほど作家性が色濃く出る手法はありません。自作品であれば、リコンポーズするだけのオリジナル性をもっていないとBefore作品もAfter作品もその魅力を発揮でません。他作品であれば、オリジナル版から新しい魅力を引き出せる、あるいはリコンポーズした人が誰なのか聴いてわかるほどのアイデンティティをそこへ残せるか。「フィリップ・グラス:TWO PAGES」を久石譲がリコンポーズした版のように。
リコンポーズについては、これから先もふれることがあると思うので、いまはキーワードだけ残させてください。……リワーク、再構成、再構築、脱構築、再作曲、解体、変形、変容、再発見、再創造…どれも久石譲リコンポーズ・ワークスにつながるように思います。
久石譲は、自らを作曲家という肩書きにこだわっています。多種多彩なコンサート活動をみわたせば、プログラム(選曲)ふくめプロデューサーでもあります。指揮者として臨んだコンサートでも、古典作品と現代作品を同じアプローチで扱いソリッドに表現構成しています。コンポーズには作曲という意味がありますが、構成するという意味もあります。久石譲の活動をみると、大きく音楽を構成している人のようにも思えてきます。久石譲は作曲家であり音楽を構成するコンポーザー。現代における稀有な音楽家です。
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新しいミニマリズム 4
最後はやっぱり《交響曲ミニマリズム》です。
《Minima_Rhythm for Symphony》
THE EAST LAND SYMPHONY

記念すべき第1交響曲は、「THE EAST LAND SYMPHONY」とされています。もともとは未完で発表された「交響曲第1番 第1楽章」を、そのまま第1楽章として継承し全5楽章からなる作品として誕生しました。
位置づけとしての番号付け【第1交響曲 / シンフォニーNo.1】はしていますが、作品名としての番号付け【交響曲第1番 / シンフォニー No.1】はされていません。このあたりの思いについて、以前少し語られたことがあります。
”これはすごく悩みます。シンフォニーって最も自分のピュアなものを出したいなあっていう思いと、もう片方に、いやいやもともと1,2,3,4楽章とかあって、それで速い楽章遅い楽章それから軽いスケルツォ的なところがあって終楽章があると。考えたらこれごった煮でいいんじゃないかと。だから、あんまり技法を突き詰めて突き詰めて「これがシンフォニーです」って言うべきなのか、それとも今思ってるものをもう全部吐き出して作ればいいんじゃないかっていうね、いつもこのふたつで揺れてて。この『THE EAST LAND SYMPHONY』もシンフォニー第1番としなかった理由は、なんかどこかでまだ非常にピュアなシンフォニー1番から何番までみたいなものを作りたいという思いがあったんで、あえて番号は外しちゃったんですね。”
(Blog. NHK FM「現代の音楽 21世紀の様相 ▽作曲家・久石譲を迎えて」 番組内容 より抜粋)
さらに悩ましいことに、「THE EAST LAND SYMPHONY」(2016)を第1/No.1としてしまうと、それ以前の交響作品たちは??
多楽章で構成されたオーケストラ作品(改訂 発表順)
実は、こう振り返ってみると、もし仮に過去作品から純粋な【久石譲 第1交響曲】を選ぼうとすると、、「Sinfonia for Chamber Orchestra」「Orbis for Chorus, Organ and Orchestra」「ASIAN SYMPHONY」あたりに絞られてくることにも気づいてきます。見方によるけれど「The End of the World for Vocalists and Orchestra」くらいの4作品まで。ふむ、4作品も候補があれば充分あふれてる気もしてくる。交響曲をフルオーケストラの管弦楽作品としたときにです。
個人的には、作品番号付けしてほしい派です。「THE EAST LAND SYMPHONY」ではなく、「交響曲第1番《THE EAST LAND SYMPHONY》」でも「交響曲第1番《THE EAST LAND》」でもいいので。
理由は2つです。
久石譲の交響作品がワンセットとして機能すること。「今日は3番聴こうかな、今日は5番な気分だな」とか、そういうあり方をひとつひとつの作品がしてくれることで、久石譲音楽が多面的に有機的に響きあうこと。数字的な無機質さの良さ(機会を狭めない)もあります。
もうひとつは番号付けによる関連付けです。未来の話をします。たとえば100年後、「久石譲:交響曲第5番《○○○》」が注目されたとします。引っ張られるように、ほかの番号作品は?と注目が連鎖していきます。歴史のなかで見直されてきたマーラー交響曲たちのように。もしこれが、《○○○》だけだったら注目が点で終わる可能性もあるのかもしれません。番号付けすることで交響作品の点と点が線となり、久石譲交響作品の歴史としてわかりやすくなります。
外堀から攻める。
「シューマン:交響曲 第4番」、作曲年次としては、第1番《春》に次ぐ2番目の交響曲であるが、改訂後の出版年次(1854年)により第4番とされた。(ウィキペディアより)
「メンデルスゾーン:交響曲 第4番」、第1番、第5番に次いで実質3番目に完成された。「第4番」は出版順である。(ウィキペディアより)
長い長い歴史でみたときに、実は完成はこっちが先とか初演はこっちが先とか、そういうことは、重要じゃない、いや重要なんです。聴く人が深く紐解こうとしたときに、聴く人が深く聴き入ろうとしたときに、トリビアな味わいになっていくじゃないかなあと思います。
そして第2交響曲は、「交響曲 第2番」として2021年に初演されたばかりです。なんとタイトルがなくなって純粋な作品番号だけになっています。…と書いていたところに、最新ウェブインタビューでその理由も知ることができました。
”でも、そういうタイトルを付けると、必ず〈Borderってどういう意味ですか?〉とか質問されるじゃないですか。そこで僕が言った言葉が聴く人にある種のイメージを付けてしまいますよね。現代音楽の人は実はそういうことが大好きなのですよ。そこで、僕はタイトルを付けることはやめてしまったのです。
例えば、〈9.11についての作品〉〈東日本大震災に向けたレクイエム〉〈政治に対する怒り〉といったきっかけで書かれた作品はすごく多い。でも、僕は、そういうのはゼロなんですよ。音の運動性をきちんと書きたい訳です。〈純音楽〉と言ったらいいのかな、バロック時代のように音のフレーズを運動体として、文学的な意図なんて一切無しに、音を論理的に構成していくことをやりたいんですよ。だから、タイトルを付けられないんですね。
今、9月の新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会のために書いている作品も、同時に演奏するマーラーと同じ編成のオーケストラ曲ですが、あくまでも〈交響曲〉というタイトルで、特にサブ・タイトルは付けません。そういう意味でも、今回の『ミニマリズム4』のアルバムは、ひとつの特徴ある作品集となったと思います”
(Info. 2021/07/15 久石譲がコントラバス石川滋、ホルン福川伸陽と語る挑戦に満ちた協奏曲集『ミニマリズム4』(Web Mikikiより) 抜粋)
とても賛成です。なんだか勇み足だったかな。ポイントは【運動性】【純音楽】と前インタビューの【ピュア】といったキーワードに象徴されています。純粋に音の運動性で論理的に構成した作品ということですね。こうなってきたら、もっと柔軟に、ベートーヴェン交響曲のように(本人が付与したわけではないけれど)、サブ・タイトル付きの交響曲と番号のみ交響曲とが並んでていいんじゃないかなあと思います。だから、想いも込めた「交響曲 第1番《THE EAST LAND》」と次は「交響曲 第2番」そして次は、というように…しつこいかな。
過去の交響作品たちも、新しい番号をもらう日がくるかもしれません。たとえば、「The End of the World」が交響曲第○番とされる日には、今あるスタンダード曲の引用楽章はなくなるかもしれないとか、「DEAD」の弦楽オーケストラ構成が管弦楽に拡大されるならばとか、「Orbis」は完全版となって第9交響曲にあたるのかな!?とか…改訂や出版のタイミングで晴れて番号もらえる…しつこいかな。
「交響曲 第2番」についてのレビューは、少し先に控えています。「久石譲&WORLD DREAM ORCHESTRA 2021」コンサート・レポートでたっぷり感想を語れたらと思っています。たぶん重複しますが、強く言いたいこと。「THE EAST LAND SYMPHONY」と「交響曲 第2番」の2作品だけを並べてみても、そこには大きな3つの要素があります。古典のクラシック手法、現代のミニマル手法、そして伝統の日本的なもの。この3つの要素と音楽の三要素(メロディ・ハーモニー・リズム)の壮大なる自乗によって、オリジナル性満ち溢れた久石譲交響曲は君臨しています。これは誰にもマネできるものではありません。《Minima_Rhythm for Symphony》、これこそまさに久石譲にしかつくれない交響曲であり、《総合的な久石譲音楽のかたち》と言うべきものです。
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むすび。
今までの流れだけを見て、今の時点だけをとらえて、カテゴライズしてしまうのは可能性を狭めてしまいます。作品たちのそれぞれの立ち位置や、作品群としての位置関係などは、あとから大きく見たときにわかってくるでいい。そう思っています。むしろ、いろいろと楽しく推測したり空想広げたら、無限の方向性や新しい転換点がまだまだこの先待ちうけているんだろうなあという、予想もできないワクワク感でいっぱいになってきます。
2020年『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』久石譲音楽のメロディにフォーカスした自作品や映画音楽などからセレクトされた世界リリース・ベスト盤です。2021年『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』では、オリジナル作品からも収録されます。これまで以上に、世界中から注目を浴びることは間違いありません。
もっともっと先に、「ミニマリズム Minima_Rhythm」のワールド・ベストが発売されることにでもなれば、もっともっと久石譲作品が広く聴かれることになるでしょう。「Minima_Rhythmシリーズ」のユニバーサルミュージック、「MUSIC FUTREシリーズ」のオクタヴィア・レコード、ぜひレーベルの枠を越えてオールタイム・ミニマリズムになったら、なおいいなあと思います。
久石譲ミニマリズムの足跡をたどること、それは現代作曲家としての久石譲の足跡をたどることそのものです。時代ごとのアイデア・コンセプト・テーマを、純粋に音楽的に具現化されたもの。クラシック・現代音楽・最先端まで時代の語法を駆使しながら、論理的に構築された音楽たち。エンターテインメント音楽ではうかがい知れない、時代の空気を色濃くあぶり出しすような現代の音楽たち。点と点がしっかりと線になっている久石譲オリジナル作品は、20-21世紀の歴史を刻み未来のレパートリーとなりますように。《新しいミニマリズムのかたち ミニマリスト:久石譲》でした。
Modern Minima_Rhythm Style
Minimalist: Joe Hisaishi

それではまた。
reverb.
今回は、久石譲の音楽活動をリアルタイムに(必死についていこうと!?)歩んでいるファン、そんな歩速と歩幅で、足なみ緩めることなく一気に進みました。こんな作品知らなかった、こんなコンサート活動知らなかった、こんな歴史知らなかった、ということもあると思います。興味あるところからゆっくりのぞいてもらえたなら、じんわりたしかにわかってくることもあると思っています。いつも頭の中散らかっています(^^;

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪