1989年1月25日 第1版 発行
2001年4月20日 第2版 復刻
久石譲による完全オリジナル版です。「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」などお馴染みの曲を作曲者自身がピアノ・ソロ用に書いたオリジナル楽譜の復刻版です。
心をしめつけるあの音楽が甦る。久石譲初のピアノソロ作品集。「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」等、お馴染みの曲を久石譲本人がピアノソロ用にかいた完全なオリジナル楽譜。比類なきメロディライン。久石譲の原点がここにある。
(メーカー・インフォメーションより)
ピアノ・ストーリーズについて
「Piano Stories」というアルバムは、日頃シンセサイザーを使用する仕事の多い僕が、一度原点に戻りたいということで制作したアルバムです。それがピアノソロだったわけで、まず虚飾を取り去り、表現をシンプルにする。そしてそれを如何に一枚のアルバムとして構成するか……それが、この作品の鍵となっていたわけです。
僕の音楽というのは、言ってみれば鏡のようなものです。
情緒や感性だけに流されずに表現したい……それはどんな作品でも必ず自分が心がけていることです。虚飾を取り去ったぎりぎりの音に出会った時、聴く人は自分のその時の状況、心境、その他いろいろな思い入れをそこに投影させることが出来る。しかし、逆に作家が思い入れを激しくすると、聴き手にその気持ちを限定してしまうということが起こるわけです。
このアルバムに関してもそれが言えて、ともするとメロディーに感情を込め過ぎて流されるところを、例えば左手の伴奏ひとつにしても出来るだけ表現をシンプルにして、右手で歌う。そういうシンプルさを心がけることによって、通常のピアノアルバムとは違った世界が作れるのではないかと考えたのです。
レコーディングには約3年程かかりました。1986年秋、ロンドンのサームウェストスタジオで、Resphoina、Lady of Spring、Green Requiem、そしてInnocentの4曲をベーゼンドルファーのピアノで、残りの曲はその後1988年1月、東京でスタインウェイのピアノで録音することが出来ました。
演奏方法は、かなりラフなスケッチを用意して、スタジオに入ってから即興的に演奏をしながら録音を進めていきました。それで出来るだけ自然に聴こえるように心がけたのです。
この楽譜を演奏するにあたって、特別に注意する点はありません。むしろ、音をひとつひとつ大切に、味わうように弾いて頂ければ曲の良さは出ると思います。ただ多少くせがあるのは、通常のクラシックのように3度とか6度などの指の配置からできているのではなく、比較的4度関係の音程が出てくるので、その点を心がけてもらえれば、僕が好んで出す響きについて、とてもわかりやすくなると思います。
ピアノという楽器は大変素晴らしい楽器で、たった一人のオーケストラと言われているように表現力が豊かです。これからも「Piano Stories 2」「Piano Stories 3」と、どんどん発展させていけたら、と思っています。そして皆さんに、それを一部でも弾いていただければ幸せです。
1989年1月 久石譲
(「Piano Stories -オリジナル・エディション」 寄稿より)
久石譲 ピアノ・ストーリーズ
JOE HISAISHI PIANO STORIES
[収録曲]
A Summer’s Day
Resphoina (映画「アリオン」より)
W Nocturne (映画「Wの悲劇」より)
Lady of Spring
The Wind Forest (映画「となりのトトロ」より / 風のとおり道」)
Dreamy Child
Green Requiem (映画「グリーン・レクイエム」より)
The Twilight Shore
Innocent (映画「天空の城ラピュタ」より / 空から降ってきた少女」)
Fantasia(for Nausicaä) (映画「風の谷のナウシカ」より)
菊倍判/56頁
定価:1,500円(税別)
発行:株式会社全音楽譜出版社
◎音源は久石譲『Piano Stories』に収録されています。