世界的なアニメーション映画の巨匠、宮崎駿監督にアメリカの映画芸術科学アカデミーから「アカデミー名誉賞」が贈られ、11月8日日、授賞式が行われました。日本人が受賞するのは、黒澤明監督以来、2人目です。
「アカデミー名誉賞」は、アメリカ映画界、最高の栄誉とされる「アカデミー賞」を選ぶ映画芸術科学アカデミーが、映画界への貢献をたたえて贈るもので、ことしは日本のアニメーション映画の第一人者、宮崎駿監督をはじめ3人が選ばれました。
8日、ロサンゼルスで授賞式が行われ、式の前、宮崎監督は「名誉賞という賞があるのを知りませんでした。喜んでいるのもまぬけだし、喜ばないのも憎たらしいので、その両方のふりをしています」と語りました。
その後の記念のスピーチで、宮崎監督は、「紙と鉛筆とフィルムを使った最後の時代の50年間につきあえたことが幸せだと思います」とあいさつしました。
宮崎監督は、2003年、「千と千尋の神隠し」でアカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞し、今年は「風立ちぬ」が同じ賞にノミネートされるなど、その作品は高く評価されていて、多くの映画関係者に影響を与えてきたと言われています。
現地時間8日、米アカデミー賞を選考する映画芸術科学アカデミーから、宮崎駿(73)監督にアカデミー名誉賞が贈られた。米ロサンゼルスのハリウッドで行われた式典に出席した宮崎監督は、会見で、賞への姿勢と今後の活動について語った。
アカデミー名誉賞は、類まれなる功績を残した世界の映画人に贈られる賞。宮崎監督の受賞は、日本人としては、1990年に受賞した黒澤明監督以来24年ぶり2人目の快挙となる。会見の様子はニコニコ生放送でも紹介され、受賞について宮崎監督は、友人でありピクサーCEOジョン・ラセターの名前を挙げ「ラセターさんの陰謀ではないかと、相当運動したに違いないとか、いろいろと思っているんです」と笑顔でコメント。
また「賞ってもらえないと頭にきます。けどもらって幸せになるかというとならないんですよ」と切り出すと、「それで自分の仕事が突然良くなるってことはない。もうとっくに終わった仕事ですから、その結果を一番良く知っているのは自分。あそこは失敗したとかそういうものをいっぱい抱えて映画って終わるんですよ。映画は自分で終らせないといけない。だから、もらえればうれしいだろうけども、賞によって決着はつかないんです。むしろそれなりに翻弄(ほんろう)されますから、ドキドキするだけ不愉快ですよね」と持論を展開した。
今後のアニメとの関わりについては、長編作品の製作は改めて否定しつつ、「大きなものは無理ですけど、小さいものでチャンスがあるときはやっていこうと思っています」とコメント。「三鷹の森ジブリ美術館」で公開する短編は「作れる限り作っていく」と明かした。
またこの日は、アイルランドの女優モーリン・オハラ(94)も名誉賞を受賞。宮崎監督はモーリンに会えたことにいたく感動した様子で「生きている間に会えるなんて夢にも思わなかったです。生きていると、とんでもないことがおこる」と大興奮。オハラが94歳ということで、自身を「本当に小僧」に感じたといい、「なので、あまりリタイアとかそういうことは声に出さずに、やれることはやっていこうと思いました」と笑みを浮かべた。
また、同映画の音楽を担当した久石譲の同作品が対象となった受賞作は以下のとおり。
【主要賞】
2001年 「千と千尋の神隠し」第56回毎日映画コンクール音楽賞
2002年 「千と千尋の神隠し」新世紀東京国際アニメフェア劇場映画部門音楽賞
2003年 「千と千尋の神隠し」第30回国際アニメ映画協会(ASIFA)主催アニー賞
2003年 「千と千尋の神隠し」第16回日本ゴールドディスク大賞アニメーションアルバム・オブ・ザ・イヤー
2003年 「千と千尋の神隠し」(BGM)JASRAC賞金賞