Disc. 久石譲 『魔女の宅急便 イメージアルバム』

魔女の宅急便 イメージアルバム

1989年4月10日 CD発売 32ATC-180
1989年4月10日 CT発売 25AGC-2064
1996年11月21日 CD発売 TKCA-71030
2004年9月29日 CD発売 TKCA-72741
2020年3月11日 LP発売 TJJA-10020

 

1989年公開 スタジオジブリ作品 映画「魔女の宅急便」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

それ自体が作品として成立するイメージアルバムをまず作り、サントラ制作に生かすという方法も本作で4回目。今回も充実した内容となった。「なんとなくヨーロッパ、どこか地中海あたり…」をイメージしながらこのアルバムは制作されている。

 

本作品「魔女の宅急便 イメージアルバム」から、「魔女の宅急便 サウンドトラック」への変化。
曲名をイメージアルバム → サウンドトラック の順番で明記。

  • かあさんのホウキ / 木漏れ日の路地 → 旅立ち / オソノさんのたのみ事…
  • ナンパ通り → 海の見える街(後半) / 大忙しのキキ
  • 町の夜 → 傷心のキキ
  • 元気になれそう → 仕事はじめ
  • 風の丘 → 海の見える街(前半) / おじいさんのデッキブラシ ※モチーフとして
  • リリーとジジ → 身代わりジジ
  • トンボさん → プロペラ自転車
  • 世界って広いわ → 晴れた日に… / 空飛ぶ宅急便 / ウルスラの小屋へ / デッキブラシでランデブー
  • パン屋さんの窓 → パン屋の手伝い

*サウンドトラックへ収録されなかった未使用曲:渚のデイト / 突風

 

こう並べてみるとわかりやすい。

そして曲名タイトルだけを見比べても、アレンジや長さこそ編曲されているものの、どのシーンで使われるべくイメージ作曲されたのかが明確である。そのくらい曲名タイトルがどちらも似ているというか、同じシーンや登場人物をかんたんに連想することができる。

「イメージアルバムの時点ではこのつもりだったけれど、映画本編では全く違う場面やシーン・キャラクターに使われた」というようなミスマッチは起こっていないことがよくわかる。イメージアルバムの時点で、”どのシーンにどんな曲を”ということを、監督と作曲者が入念に打ち合わせをしていることがわかる。

そして、映画本編での未使用曲が2曲しかないのも、イメージアルバムの時点で、それだけ音楽による世界観の完成度が高いことがわかる。未使用となった「渚のデイト」と「突風」もどちらも『魔女の宅急便』の世界観を表現した貴重な曲。

 

映像の絵コンテにあたる、ラフスケッチな音楽集ということで、シンセサイザーをメインに奏でられている。なかにはヴァイオリンの生楽器や、ギター、パーカッションなども登場し、そのヨーロッパ的な雰囲気を表現した楽器たちは、そのままサウンドトラックにも反映されている。

映画本編用の作り込みやオーケストレーションがされていない原石的楽曲だけに、シンプルなシンセサイザー・アレンジでありながら、そのメロディーたちが際立っていて、生き生きと、そして印象的に響いてくる。

 

このイメージアルバムからサウンドトラックへの曲変化をもとに、サウンドトラックのトラックリストを見ると、また別の視点で楽しめる。それは、イメージアルバムの時点では存在しなかった楽曲、つまりは映画本編のシーンのために新しく書き下ろされた曲、それがどのシーンのどの曲なのかがよくわかる。

上記のイメージアルバム→サウンドトラックへの比較リストのなかで、曲名のあがっていない「サウンドトラック」収録楽曲である。

イメージアルバムとサウンドトラック、いろいろな楽しみ方ができる。

 

 

魔女の宅急便 イメージアルバム

1. かあさんのホウキ
2. ナンパ通り
3. 町の夜
4. 元気になれそう
5. 渚のデイト
6. 風の丘
7. トンボさん
8. リリーとジジ
9. 世界って広いわ
10. パン屋さんの窓
11. 突風
12. 木洩れ陽の路地

 

Kiki’s Delivery Service Image Album

1.Mother’s Broom
2.Nampa Street
3.The Town at Night
4.I will be Fine
5.A Date by the Beach
6.A Windy Mountain
7.Mister Tombo
8. Lily and Jiji
9.What a Wide World
10.The Bakery’s Window
11.A Sudden Gust
12.An Alley lit by Treelight

 

Disc. 森末慎二 『だってしょうがないじゃない / ありがとうのうた』

1989年4月10日 EP発売 LRS-2015
1989年4月10日 CDS発売 09L3-4081

 

1989年開催世界デザイン博覧会 『東邦ガスパビリオン』内「ファンタジーワールド」テーマ曲として、「ありがとうのうた」を久石譲が書き下ろしている。

「だってしょうがないじゃない」は和田アキ子が歌う大ヒットナンバーのカバーである。

 

 

(EPジャケット / EP盤)

 

(CDジャケット)

 

1.だってしょうがないじゃない
作詩:川村真澄 作曲:馬飼野康二 編曲:矢島賢
2.ありがとうのうた
作詩:冬杜花代子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『ヴイナス戦記 オリジナル・サウンドトラック』

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1989年4月10日 CD発売 29L2-58
1989年4月10日 LP発売 25L1-58
1989年4月10日 CT発売 25L4-58
2005年12月21日 CD発売 COCX-33509

 

1988年公開 映画「ヴイナス戦記」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

 

 

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1. メインテーマ(ヴイナスの彼方へ)
2. 青空市場 -スピトーンにて-
3. 灼熱のサーキット 歌:山根えい子
4. 愛のテーマ(For Maggie)
5. 青春の疾走
6. メインテーマ -ハウンド-(Reprise)
7. ヴイナスの風(Wind On The Venus) 歌:北原拓
8. デッド・ポイント
9. スウVS.ドナー
10. 戦場、そして残るものは…
11. 明日への風 歌:柳ジョージ

作曲・編曲:久石譲 (except 11.)
作詩:冬杜花代子 3. 7.

ストリングス&ホーン・アレンジ:藤野浩一 1. 3. 4. 7.

「明日への風」
作詩:平野肇 作曲:大田黒裕司 編曲:平野孝幸

 

Disc. 久石譲 『となりのトトロ ドラマ編』

1989年2月25日 CD発売 24ATC-174~5
1992年11月25日 CT発売 TKTA-20265
1996年11月21日 CD発売 TKCA-71028

 

1988年公開 スタジオジブリ作品 映画「となりのトトロ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は映画本編を映像なしの音声のみで聴く作品である。BGMはもちろんセリフや効果音などもそのまま収録されている。

 

 

解説

『となりのトトロ』は、’88年4月、全国東宝系で公開され、大好評を博した、宮崎駿、原作・脚本・監督による劇場用長編アニメーションです。(同時上映「火垂るの墓」製作/新潮社。監督/高畑勲)

昭和30年代のはじめ、まだ自然や四季の美しさにあふれていた頃の日本の都市郊外を舞台に、11歳と4歳の姉妹と大自然の精霊・トトロとの心あたたまる交流を描いたファンタジックな内容は、それこそ大人から小さい子どもにいたるまで幅広く観客の心をとらえました。

「いま、ダサイ、クサイといわれるものの中にこそ、新しいもの、現代人が渇望していながら見失ってしまったものがある」と断言した宮崎監督のみごとな勝利といえるものでしょう。

さらにいえば「もっともナショナルなものこそ、インターナショナルになり得るのだ」という監督の言葉も、’88年8月現在香港における上映の大成功が裏付けしています。(ちなみに、香港における歴代邦画興行成績第1位は『天空の城ラピュタ』第2位が『風の谷のナウシカ』第3位は『子猫物語』。『トトロ』の最終興行成績予想では、ほぼ『ラピュタ』とならぶ。何と、これでBEST3はすべて宮崎作品となる!)

宮崎監督は東映動画を振り出しに、様々なスタジオで傑作を作ってきており、随分前からアニメーション界では伝説的に語られてきた人です。特に『ルパン三世カリオストロの城』(’79年・脚本・監督)はアニメ・アクション映画の最高峰として、いまだ人気を保っていますが、何といっても、その名がアニメーション界にとどまらず映画ファン、一般大衆にまで広く知られるようになったのは『風の谷のナウシカ』(’84年。原作・脚本・監督)においてでしょう。巨大産業文明崩壊後1000年の地球から、するどく現代における自然と人間の在り方を照射したこのSFヒロイックファンタジーは、’84年度、数多くの映画賞を獲得しました。

さらに2年後『天空の城ラピュタ』(’86年。原作・脚本・監督)でも、その並々ならぬ映画作りの腕を見せ、ついに映画界に「宮崎ブランド」を確立させました。そのいうところは、作品の質が高く、なおかつエンターテイメントであるということです。

ところで、一貫して「宮崎作品」の質が高いのは、その製作体制に秘密があります。

ふつうのテレビアニメの場合、制作費や時間的制約のため、分業が極度にすすんでおり、メインスタッフすら、別々のスタジオにいることは珍しくありません。宮崎作品の場合、メインスタッフ、原画、動画、背景、メインの仕上げにいたるまで、同じスタジオに集まります。監督と同じ土俵で、同じ目的意識を持ち、意志の疎通を計ります。なお、それぞれのスタッフが超一流であることはいうまでもありません。

さらにもうひとつ。監督の作画チェックです。自身が超一流のアニメーターだったこともあり、表情、動作、タイミングに実にきびしい、綿密なチェックが入ります。週1本制作したテレビシリーズ『未来少年コナン』でも同じだったと伝えられていますから、1年かける劇場用の場合のきびしさは、想像以上のものです。制作中、アニメーターはつらい思いをしますが、終わって聞いてみると、もてる才能のすべてを燃焼した満足感を語るアニメーターが多くいます。

ところで、『となりのトトロ』は『ナウシカ』『ラピュタ』の後、作られたわけですが、じつは、監督のもともとの発想は10年も前のことです。そのときの仮題は『所沢のオバケ』。『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』などのメインスタッフとして活躍していたころのことです。「なぜいつも、外国を舞台に、外国の子どもを主人公にしなければならないんだろう」という素朴な疑問がその出発点だったといいます。

そうして数多くのイメージボードを自ら描いたもですが、一見ジミに見えるこの企画は、とても通らなかったのです。あるいは時期が早かったのかもしれません。しかし、その後、10年間ひそかに温めつづけ、そして10年前よりさらにウデの上がった監督自身によって作られたこの作品は、むしろ幸運だったかもしれません。

(徳間書店「アニメージュ」編集部 亀山)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

1000-203本体22

DISC 1
1.さんぽ
2.五月の村

DISC 2
1.風のとおり道
2.となりのトトロ

 

Disc. 久石譲 『ゾイド2 -ゼネバスの逆襲- 音楽集』 ※非売品 *Unreleased

1989年 CDS PCDLZ-1002 非売品 Not for Sale

 

ファミリーコンピューター用ゲームソフト「ゾイド2 -ゼネバスの逆襲-」
音楽:久石譲 編曲:浅倉大介

 

 

 

ゾイド2 ゼネバスの逆襲 久石譲

1. メイン・テーマ
2. 地上移動のテーマ ~ 海上移動のテーマ
3. 戦闘のテーマ ~ 空中偵察のテーマ ~ 空中戦のテーマ
4. 道標のテーマ ~ 地下通路のテーマ ~ クックの街のテーマ ~ 水中のテーマ ~ 廃墟の村のテーマ
5. ヘリックⅠ世のテーマ ~ 共和国の街のテーマ ~ 共和国首都のテーマ
6. 帝国軍要塞のテーマ ~ ゼネバス皇帝のテーマ
7. エンディング・テーマ

音楽:久石譲 編曲:浅倉大介

Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション Vol.4』

1989年1月25日 CD発売

 

”ニュー・サウンズ・イン・ブラス”シリーズの中から特別によりすぐった名演奏の数々…。ダイナミックで一味違ったポップな演奏をお楽しみください。

指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ

 

久石譲が吹奏楽アレンジを手がけた「愛のコリーダ」が収録されている。

 

 

曲目解説

1.ロックン・ロール・メドレー
「ロック・アラウンド・ザ・クロック」1955年に、映画「暴力教室」の主題歌として使われ大ヒット、全米中をロックン・ロール・ブームに巻き込み、’55年度ヒット・チャート第1位となった曲。「ロックン・ロール・ミュージック」ビートルズがアルバム「ビートルズ’65」に吹き込んで有名になった曲。「ハートブレイク・ホテル」”ハウンド・ドッグ”同様、今は亡きエルビス・プレスリーの黄金時代を築いた記念すべき大ヒット曲。ロックのスピリチュアルに満ちあふれた作品です。「ダイアナ」ポール・アンカのデビュー・ヒット曲。レコーディング時までに歌詞が完成せず、サビの部分で「オー・オー」と歌ったのが面白く、後に多くのロック曲がこれを真似たと言う話があります。「ハウンド・ドッグ」ロックンロールが生んだ英雄、エルビス・プレスリーの代表的ヒット曲です。1950年代後半から、全世界を風靡した”ロックン・ロール”。それは平和と取り戻し、若いエネルギーが新しい息吹きを探し求めて生まれた革命的なポップスでした。歌い踊り、それに大きく反応した若者たちの世代は、やがてビートルズの出現、ロック全盛時代の布石となって行ったのです。大変なつかしい素材ですが、このメドレーは構成が明快で、演奏も容易だから恐らく中学校バンドでも、喜んで演奏されることでしょう。

 

2.オリーブの首飾り
イージー・リスニングの代表作とも云うべきご承知の曲です。クロード・モルガンの作品ですが、多くの楽団によって演奏されており、中でもポール・モーリア楽団の演奏で、日本でも大ヒットしています。イントロはラテン調を思わせる編曲で、コンガ又はボンゴスをドラムセットとからめて上手に使うと、非常に面白くなります。グレードも易しく中学校バンドでも楽しく演奏できますし、コンサートのアンコールなどで使えば、聴衆の喝采は受け合いです。録音に際しては、新しい試みとして電子ピアノ(ヤマハCP-30)を使用して見ました。管楽器だけのサウンドがややもすると陥る単調さを救うもので、電気的に作り出すハープシコードの音色は、又バンドの世界にニューサウンドを投げ掛けています。

 

3.ステイン・アライヴ
かつて、多くの若者を虜にした”サタデー・ナイト・フィーバー”で最初に飛び出して来たディスコです。少々混み入った細かなリズムは、殆ど同じパターンの繰り返しですから、リズムに乗って覚えてしまえば演奏も何でもありません。それにしても美しいメロディーであるし、リズムと低音を誇張した演奏は、吹奏楽で立派にディスコ・サウンドを作れることを証明しています。

 

4.エンドレス・ラヴ
’82年の正月映画として公開されたアメリカ映画、「エンドレス・ラヴ」の主題歌。作詞・作曲は、あのコモドアーズのピアニストでありシンガー・ソング・ライターとしても今もっとも注目されているライオネル・リッチー、そして彼自身の歌に、「ビリー・ホリデー物語」「マホガニー物語」「ザ・ウィズ」と映画出演が続いている歌手のダイアナ・ロスが加わっている。この2人のデュオはまさに絶妙、美しくしっとりとしたバラッドを唱い上げます。この2人のデュオの雰囲気を壊さないようにアレンジに気が配られているため、木管楽器(cla. fl. sax)等のソロやソリについては、特にバランスに気をつけてください。ステージ効果を上げるため、PA等の使用を考えるとよりよいでしょう。尚監督フランコ・ゼフィレッリ、主演ブルック・シールズによるこの映画は’81年全米で公開されると同時に大ヒットとなり、又主題歌も同じく大ヒットとなりました。現代のロミオとジュリエット、そんな内容の映画です。

 

5.愛のコリーダ
クインシー・ジョーンズ、彼の名前を聞く時、或る人々はジャズを感じ、或る人々はポップスを感じるといいます。4 beat から16 beat、その様々な音楽のシーンを背負って生きて来た彼に対する評価は、人それぞれだと思います。しかし彼について確実に言える事は、彼の音楽にはいつも真新しいものが溢れていて、前向きに何かをやろうとする、意気込みが感じられる事です。彼自身、クエスト・レコードの設立、3年ぶりのニュー・アルバムについて、”なにかを成し遂げようというものじゃない……、より良くしようというものなんだ……”という意味のことを明らかにしています。兎に角、パワー、内容、共にアメリカという表現が、とてもピッタリくる人物である事はまちがいないでしょう。この「愛のコリーダ」、クインシー・ジョーンズ・オーケストラの演奏で、大ヒットをしましたが、この曲は、’80年の秋頃ブリティッシュ・チャートのベスト10入りしたヒットナンバーで、作曲者のチャス・ジャンケルは、もとイアン・デューリー・グループのギタリストだった人。調子のよい、ダンサンブルなビートに支えられたリフレイン、「AI NO CORRIDA、that’s where I am」を演奏時に加えるのも又一興と思います。

 

6.恋のアランフェス
スペインの作曲家ロドリゴが、ギターの名手サインス・デ・ラ・マサのために1940年に作曲した「ギターと小オーケストラのための協奏曲」が原曲です。この曲はその第二楽章のアダージョですが、原曲よりもすでにムード・ミュージックとしてなじみの深い曲です。フリューゲルホルンが中心にソロを歌いますが、ソローテンポが却つてアンサンブルを手こずらせることでしょう。演奏に際してはゆるやかな中にも曲の流れを感じさせることが大切ですし、もし仕上げに手こずるようでしたら、倍のテンポのタクトでたんねんに拍子を合わせる練習をするとよいでしょう。又指揮の技術の腕試しにもなる素材ですし、ギターの上手な学生を探し出し、効果を高めて欲しいものです。

 

7.サンチェスの子供たち
アメリカのジャズ・クロスオーバー界で大活躍のフリューゲル・ホルン奏者、チャック・マンジョーネの初の映画音楽作品。アンソニー・クインが主人公を演ずる映画「サンチェスの子供たち」の音楽で、フリューゲル・ホルンが、民族的リズムに乗って、哀愁を帯びた美しいメロディーを歌いあげます。

 

8.涙のトッカータ
これもポール・モーリア楽団のレコードで大ヒットした作品です。作曲は同楽団のメンバーのひとりガストン・ローランです。題名が示すようにクラシック的気品とトッカータが全曲を流れており、ごく簡単でしかも美しい8小節のモチーフの繰り返しです。演奏に際してはクラシック同様各セクションの音型や長さを統一すること。それにオブリガードをバランスよく生かすことが大切です。最後の3小節は純粋にクラシック調のアンサンブルで終ります。単調さを避ける工夫が感じられる良い編曲です。電気ピアノを使いハープシコードの感じを良く出していますが、勿論無くても演奏ができます。

 

9.ヴァイブレーションズ
アルト・サックスとトランペットのアドリブを伴う軽快な曲。ただしコード進行が全てGm・F・E♭・D7と易しく、アドリブ入門曲としても丁度手頃です。

 

10.ホワット・ア・ワンダフル・ワールド
ルイ・アームストロングの名唱でおなじみの、ジャズのスタンダード・ナンバー。ブラス、サックス・セクションの音を厚く、全編フルバンド風のアレンジ。他の曲のソロ同様、現在ジャズ・トランペッターNo.1と評価の高い数原晋のソロが素晴らしい。

 

11.マイ・ウェイ
原曲はフランス産ですがハリウッドの大御所フランク・シナトラが歌って大ヒットしました。曲の構成はオーソドックスですし、十分盛りあがりのある曲なので誰にも問題なく好かれます。ダイナミックな短調の序奏に続いて、最初のテーマを木管だけで歌います。やがてリズム群を加えて金管が重なり、中音の対旋律が効果的にからみます。2コーラスはテンポを落した各セクションの掛け合い、アルトサックスのソロが美しい。ラストの盛り上がりがタップリしているので、アンコール曲として最適。オーソドックスな曲だけに、ポピュラー入門曲として推めたい。いつものことながら、岩井直溥の編曲はこの単純な曲を見事な手法で生かし、アンサンブルの遊びを教えてくれます。安心してすべてのバンドにお推め出来る佳曲。

 

12.ハリー・ジェームスに捧ぐ
ハリウッド映画にも度々登場、オールド・ファンも魅了したトランペットの王様で、バンドリーダーでもあったハリー・ジェームスの愛奏曲が2曲。トランペット・ソロでムーディーなスリーピー・ラグーン。それに同楽団のテーマ曲でもあったイタリア民謡チリビリビンは、かなりのハイトーンとテクニックが要求される難曲です。アマチュアの皆さんも、2人掛りの分担奏などでチャレンジして見てください。

(解説:鮎川信/石上禮男)

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション Vol.4

1.ロックン・ロール・メドレー Rock ‘n’ Roll Medley
ロック・アラウンド・ザ・クロック Rock Around The Clock ~ ロックン・ロール・ミュージック Rock And Roll Music ~ ハートブレーク・ホテル Heartbreak Hotel ~ ダイアナ Diana ~ ハウンド・ドッグ Hound Dog
2.オリーヴの首飾り El Bimbo
3.ステイン・アライヴ Stain’ Alive
4.エンドレス・ラヴ Endless Love
5.愛のコリーダ Ai no corrida
6.恋のアランフェス Aranjuez Mon Amour
7.サンチェスの子供たち Children Of Sanchez
8.涙のトッカータ Toccata
9.ヴァイブレーションズ Vibrations
10.ホワット・ア・ワンダフル・ワールド(この素晴らしき世界) What A Wonderful World
11.マイ・ウェイ My Way
12.ハリー・ジェームスに捧ぐ A Tribute To Harry James
スリーピー・ラグーン By The Sleepy Lagoon ~ チリビリビン Ciribiribin

編曲:
岩井直溥 1,2,3,7,9,11,12
三枝成章 4
久石譲 5
浦田健次郎 6,8
真島俊夫 10

 

Disc. 久石譲 『冬の旅人』

1989年1月10日 EP発売 N07E-702
1989年1月10日 CDS発売 N10C-702

 

フジテレビ系ドラマ「華の別れ」主題歌『冬の旅人』

 

作曲はもちろん、久石譲本人による歌唱楽曲である。1988年12月21日発売、オリジナル・ソロアルバム「illision」からのシングル・カットである。アルバム版とシングル版では歌詞が異なっている(作詞家は同じ)。

カップリングにはオリジナル・ソロアルバム「Piano Stories」より、「Green Requiem」が収録されている。これは映画「グリーン・レクイエム」のメインテーマ曲を、ピアノソロ作品にアレンジしたものである。

 

ちなみにTVドラマ本編BGMでは、「冬の旅人」アコースティックなインストゥルメンタルver.(未音源化)や、「A Summer’s Day」「Green Requiem」などオリジナルソロアルバム『Piano Stories』から複数の楽曲が使用されている。「illusion」(同名アルバム曲)も使用されている。

 

 

冬の旅人 LP corect

(EPジャケット)

 

1.冬の旅人
作詞:松本一起 作曲・編曲:久石譲 歌:久石譲
2.Green Requiem (Instrumental)
作曲・編曲:久石譲 ピアノソロ:久石譲(「Piano Stories」より)

 

Disc. 久石譲 『(MAZDA GRANZ)CM音楽』 *Unreleased

1988年 CM放送

 

「マツダ グランツ (MAZDA GRANZ)」のCM音楽。曲名不明。

硬質なフェアライトサウンド。前衛的なリズムを貴重に構成された楽曲で、パーカッションやサンプリングボイスが入り乱れた楽曲。未音源化楽曲。

 

(CM映像より)

 

Disc. 久石譲 『ヴイナス戦記 イメージアルバム』

久石譲 『ヴィナス戦記 イメージアルバム』

1988年12月21日 CD発売 32L2-41
1988年12月21日 LP発売 28L1-41
1988年12月21日 CT発売 28L4-41

 

1988年公開 映画「ヴイナス戦記」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

【楽曲解説】

1.ヴイナスの彼方へ
愛と美の女神の地-ヴイナス。しかしその素顔は冷たく、人々の争いにも救いを与えてはくれない。激しい戦闘のあいまに、ひとときの安らぎを得ようとするヒロインたちの、悲しさをおびた旋律が盛り上がり、そしてまた無情な戦斗の彼方にかき消されてゆく。それでもヒロは走り続けるのだ。ヴイナスの明日は、一体どんなものとなるのか、果たして彼らはそれを戦いとれるのだろうか。

2.灼熱のサーキット
明るいエイトビートにのせ、力強い女声ヴォーカルが、ローリング・ゲームに賭けるヒロたちを唄い上げる。そしてまた、戦場へと世界は移っても、生命を賭けて疾走する彼らの若さが、激しくそして鮮やかな事に少しの変わりはないと。-…熱いものが、ほしいんだ。なにか、熱いものが… それを見つけるためにとび出してゆくヒロ。その後ろ姿にきらめくものは、希望と呼んで良いのだろうか。それを見た者は誰でも、彼を追おうとするだろう。

3.青空市場
大地に根づいた人類のいとなみを感じさせる土着的なリズムは、そのたくましさをも表しているといえよう。特に前半の明るい広がりは、人々の希望を思わせ力強い。そして、後半の金属質な旋律により、のしかかっている現実-すなわち政治的背景の存在を暗示し、日常にひそんだ不安をかいまみせるのである。

4.イシュタルの襲来
響く重低音とそれにかぶる不気味な高音は、重爆撃機の襲来と警報を表しているようだ。雨のように注ぐ爆弾、そして降下する重戦車隊に、街は制圧させてゆく。破壊と死、残るものは絶望ばかりか。そんな凄まじさを不協和音がいっそうあおりたてる。その唐突な終結は、不安なヴイナスの惑星としての未来をすら感じさせる。

5.愛のテーマ(For Maggie)
スローテンポのイントロが、ぎこちないヒロとマギーを映し出す。せつない主旋律は酸っぱいような想いをいっぱいにあふれさせ、ヒロを包み込み支えようとするマギーのおさない母性を感じさせる。激情のままに抱き合っても、心の中心部にはもっと真剣な想いのあふれる二人を、まるでヴイナスが見守っているような、詩情豊かなメロディが広がる。

6.青空の疾走
イオシティを疾走するヒロとバイク。街は頽廃の色から荒廃へと変わろうとしている。人々の不安があたりに満ちるなか、ひたすら走るヒロの目には、絶望しか映らぬようにさえ見える。いや、そんなことはない。何か、何かが起こるはず。その何かこそが、自分をぶつけられるもののはず。いらだちを交えたヒロの疾走を、アップテンポで追う。

7.スウのテーマ
軽いタッチのポップなリズムに、ちょっと散りばめられたのは、大人の女の妖しい気分? 自由奔放で目立ちたがりで、キャリアウーマンのツッパイも一人前。そんなスウがヴイナスにやってきた。スウにとっては戦争だってワクワクのもとだ。けれど、スウだって本当は楽しいことが大好きの明るい純情っ子。軽快なメロディに、スキップしている彼女が見えるようだ。

8.ヴイナスの風(Wind On The Venus)
ロック調のメロディにのせ、迷いながらも前進を続けていくヒロを唄う。負けず嫌いな性格が、いつしか自分ばかりでなく、回りの皆をひっぱって行く程の大きな力となってゆくのがよくわかるだろう。ヴォーカルの繊細さが、ヒロのナイーブさを上手く見せてくれているようでもある。

9.イオ・City
炎と氷、極暑と極寒。この二つの顔をもつヴイナスは、美しさと、すさまじい嫉妬をあわせもつ、きまぐれな女神のようだ。そして、二つのはざまの黄昏地でしか生きることができないヒロたちは、いつも同じ表情の太陽しか知らない。きらめくようなピアノが夜を教えても、見上げる空は薄明…。それでも時間だけは動いてゆく。この眺めが変わらないように、ヒロたちの明日もただ過ぎてゆくのだろうか。空の広がりの壮大さに、悲しみを含ませるような弦が美しい。

10.燃える戦場
緊迫したリズムが、初陣のヒロをふるえさせる。敵重戦車”タコ”の前進の響きが地をゆるがす。巨大な”タコ”を向こうに回し、大口径ミサイルや滑空砲をかいくぐり、戦闘バイクを操るヒロの指がトリガーにかかる。-撃つんだ!! 弾倉が空になるまで!! 40ミリライフルが火を吹き、部厚い”タコ”の胴体にくい込んでゆく。少年たちの歓声が、ヒロにきこえる。閃光と轟音をふくれあがらせ-”タコ”が死んだ。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

 

久石譲 『ヴィナス戦記 イメージアルバム』

1. ヴイナスの彼方へ
2. 灼熱のサーキット
3. 青空市場
4. イシュタルの襲来
5. 愛のテーマ(For Maggie)
6. 青春の疾走
7. スウのテーマ
8. ヴイナスの風(Wind On The Venus)
9. イオ・City
10. 燃える戦場

作曲・編曲:久石譲
作詩:冬杜花代子 2. 8.